JPH1095793A - 抗腫瘍性白金錯体カルボプラチンの製造方法 - Google Patents

抗腫瘍性白金錯体カルボプラチンの製造方法

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JPH1095793A
JPH1095793A JP26916996A JP26916996A JPH1095793A JP H1095793 A JPH1095793 A JP H1095793A JP 26916996 A JP26916996 A JP 26916996A JP 26916996 A JP26916996 A JP 26916996A JP H1095793 A JPH1095793 A JP H1095793A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抗腫瘍性白金錯体カルボプラチンの簡便かつ高
収率な製造方法を提供する。 【解決手段】シスジクロロジアンミン白金錯体をpH
7.0〜7.5に調整した1,1−シクロブタンジカル
ボン酸塩水溶液中で70〜100℃で反応させる方法に
よって、カルボプラチンを製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗腫瘍性白金錯体
であり、医薬品として広く臨床に使われているカルボプ
ラチン錯体(I)の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カルボプラチンは睾丸腫瘍、卵巣癌、小
細胞肺癌等に適用を持つ抗腫瘍性白金錯体であり、19
72年に合成され報告されている(アメリカ特許No.
4,140,707、特公昭56−29676号)。こ
れらに記載の製造法は、シスジクロロジアンミン白金錯
体に硝酸銀を反応させて得られる水溶性中間体に、1,
1−シクロブタンジカルボン酸塩を反応させ、カルボプ
ラチン錯体を得る方法である。この方法はマロン酸誘導
体の白金錯体を合成する一般的な反応である。これは2
工程の反応であり、反応の第1段階においては硝酸銀の
添加量を厳密に決める必要があり煩雑である。また生成
物への銀塩の混入が避けられない。
【0003】また、特開昭63−239292は硝酸銀
を使用しない製造方法をいくつか示している。すなわ
ち、pH5.9に中和し、調整した1,1−シクロブタ
ンジカルボン酸塩水溶液とシスジクロロジアンミン白金
錯体を加熱条件下反応させカルボプラチン錯体(I)を
得ている。この方法は前述の硝酸銀由来の問題点は克服
しているが、収率は満足のいくものではなく、実用性に
乏しい。また生成物である錯体(I)に、原料のシスジ
クロロジアンミン白金錯体が、医薬品として使用するの
に無視できない量で混入してくることがあり、医薬品製
剤の原薬としての使用には更に精製し、生成物である錯
体(I)の純度を上げる必要がある。本願発明における
原料化合物シスジクロルジアンミン白金錯体はpH6.
89以下の酸性側で安定であり、(例えば、ランダ注イ
ンタビューフォーム(日本化薬)7頁、1990年)、
及び生産物カルボプラチン製剤のpH領域はpH5.0
〜6.5の範囲であることが知られている(例えば、パ
ラプラチン注インタビューフォーム(ブリストルマイヤ
ーズ)7頁、1990年)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記問
題点を克服したカルボプラチン錯体(I)の製造法を開
発することにある。すなわち、銀塩及びシスジクロロジ
アンミン白金錯体(CDDP)等の不純物を除去する
か、医薬品製剤として許容できる程度まで低下させた錯
体(I)を、簡便かつ高収率で製造する。具体的には銀
塩を無炎原子吸光による定量法により検出限界以下の量
に、またシスジクロロジアンミン白金を高速液体クロマ
トグラフィーによる定量により0.1%以下の量にし、
医薬品製剤の原薬として使用できる錯体(I)を提供す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために、鋭意検討の結果、シスジクロルジアン
ミン白金錯体と1,1−シクロブタンジカルボン酸を反
応する際、pHを7.0〜7.5に調整して反応を行う
と予想外に生成物のカルボプラチン錯体の収率が上昇す
ることを見いだした。すなわち、本発明では原料および
生産物共に安定なpH領域外であるpH7.0〜7.5
を反応条件とすることにより、収率が予想外に高くかつ
精製も容易な高純度のものが得ることを見いだしたもの
である。また、カルボプラチン錯体(I)の精製には
N,N−ジメチルホルムアミドに懸濁させることによ
り、CDDPなどの不純物を除去し、CDDPの含量が
0.1%以下という高純度のカルボプラチン錯体を得る
ことができた。この方法は比較的大きなスケールで実施
でき、工業化への応用を可能とする。また高純度の錯体
(I)を供給することができ、医薬品製剤の原薬として
使用できる。すなわち、本発明は下記に関するものであ
る。
【0006】(1)シスジクロロジアンミン白金錯体と
pH7.0〜7.5に調整した1,1−シクロブタンジ
カルボン酸又はその塩の溶液を、反応温度を70〜10
0℃の範囲で反応させることを特徴とする下記式(I)
【化2】 で表わされるカルボプラチンの製造法。
【0007】(2)シスジクロロジアンミン白金錯体1
モルに対し、1,1−シクロブタンジカルボン酸又はそ
の塩の使用量が1〜4モルである(1)に記載の方法。
【0008】(3)シスジクロロジアンミン白金錯体が
0.05〜0.3モル/リットルの反応濃度で反応させ
る(1)に記載の方法。
【0009】(4)錯体(I)を含む粗生成物をN,N
−ジメチルホルムアミドに懸濁させ、25〜50℃で撹
拌し精製する(1)に記載の方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、1,1−シクロ
ブタンジカルボン酸は塩の形で用いても良く、具体的に
はナトリウム、カリウム、カルシウム塩等を示す。ま
た、1,1−シクロブタンジカルボン酸塩又はその塩の
水溶液のpH7.0〜7.5への調整は通常アルカリ物
質で行われ、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等の水酸化アルカリ金属の水溶液で行われる。カル
ボプラチン錯体(I)の製造方法は、原料化合物シスジ
クロロジアンミン白金錯体(CDDP)1モルに対し、
1,1−シクロブタンジカルボン酸又はその塩の使用量
は1〜4モル程度でよい。また、反応する水溶液全体に
対するシスジクロロジアンミン白金錯体の濃度は0.0
5〜0.3モル/リットル程度にするのが好ましい。更
に、その反応条件は前記したようにpH7〜7.5の範
囲が良く、反応温度を70〜100℃に保ち、30分〜
2時間程度攪拌して行われる。
【0011】カルボプラチン錯体は反応が終了し、冷却
すると徐々に折出してくるが、この溶液中には未反応物
を含め、不純物が含まれている。これら不純物を精製し
て除くには、反応液の溶媒を除々したペースト状濃縮物
に対し、N,N−ジメチルホルムアミドによる洗浄除去
でなされる。実際には、N,N−ジメチルホルムアミド
で懸濁し、室温(20〜50℃程度)30分〜2時間攪
拌し、この懸濁液をろ過・除去することにより行われ
る。精製効率を上げるには、この工程を繰り返すことに
より達成される。
【0012】次に実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を越えない限り以下の例に限定
されるものではない。
【0013】
【実施例】2Lの4つ口フラスコに、撹拌機、温度計、
冷却管を取り付けた。この反応器に、28.83gの
1,1−シクロブタンジカルボン酸と水800mlを加
え、撹拌し溶解させた。これに撹拌のもとで、2規定の
水酸化ナトリウムを200mlを添加することにより、
溶液のpHを7.2に調整した。これを90℃に加熱撹
拌した。そして30.00gのシスジクロロジアンミン
白金を加え1時間、加熱撹拌した。反応混合物を室温ま
で冷却した後、0.2μmのメンブレンフィルターでこ
れを濾過した。濾液の溶媒を減圧下溜去し、灰色のペー
スト状になるまで濃縮した。これに200mlのN,N
−ジメチルホルムアミドを加え、水浴中室温で1時間、
反応混合物が分散懸濁するよう、激しく撹拌した。この
懸濁液を濾過することにより、生成物の混合物を分離
し、吸引濾過のもと、100mlのN,N−ジメチルホ
ルムアミド、100mlのメタノールで洗浄し、減圧乾
燥した。300mlのナス型フラスコに、得られた固体
と水100mlを加え懸濁液とし、室温で30分撹拌
し、この後氷浴中で冷却した。この懸濁液を濾過するこ
とにより、生成物を単離した。吸引濾過のもと、50m
lの冷水、50mlのメタノールで洗浄し、減圧乾燥し
た。
【0014】
【表1】 CDDP:シスジクロロジアンミン白金錯体 残留銀量は無炎原子吸光法により分析。残留CDDP量
は高速液体クロマトグラフィーにより分析。
【0015】
【表2】
【0016】
【発明の効果】本発明によるカルボプラチンの製造方法
は収率が高く得られ、また生産物は不純物が非常に少く
高純度のものが得られた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 で表されるカルボプラチン錯体の製造であって、シスジ
    クロロジアンミン白金錯体とpH7.0〜7.5に中和
    し、調整した1,1−シクロブタンジカルボン酸又はそ
    の塩の溶液を、水を溶媒として反応温度を70〜100
    ℃の範囲で反応させることを特徴とする製造方法。
  2. 【請求項2】シスジクロロジアンミン白金錯体1モルに
    対し、1,1−シクロブタンジカルボン酸又はその塩の
    使用量が1〜4モルである請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】シスジクロロジアンミン白金錯体が0.0
    5〜0.3モル/リットルの濃度で反応させる請求項1
    記載の製造方法。
  4. 【請求項4】生成物カルボプラチンをN,N−ジメチル
    ホルムアミドに懸濁させ20〜50℃で撹拌し精製する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】銀塩含量が無炎原子吸光での定量法で検出
    限界以下であり、かつ、シスジクロロジアンミン白金の
    含量が高速液体クロマトグラフィーによる定量で0.1
    %以下であるカルボプラチン錯体。
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