JPH1094895A - 9%Ni鋼サブマージアーク溶接用焼結型フラックス - Google Patents

9%Ni鋼サブマージアーク溶接用焼結型フラックス

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JPH1094895A
JPH1094895A JP25059996A JP25059996A JPH1094895A JP H1094895 A JPH1094895 A JP H1094895A JP 25059996 A JP25059996 A JP 25059996A JP 25059996 A JP25059996 A JP 25059996A JP H1094895 A JPH1094895 A JP H1094895A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な低温靱性を有する溶接金属を得ること
ができると共に、優れたスラグ剥離性及びビードの平滑
性を得ることができる9%Ni鋼サブマージアーク溶接
用焼結型フラックスを提供する。 【解決手段】 フラックス全重量あたり溶融型フラック
スを30乃至60重量%含有する9%Ni鋼サブマージ
アーク溶接用焼結型フラックスは、フラックス全重量あ
たり、SiO2:5乃至15重量%、CaF2:20乃至
40重量%、Al23:10乃至30重量%、CaO:
5乃至20重量%、Si:0.1乃至5重量%、希土類
元素:0.1乃至1重量%並びに金属単体、合金及び混
合物から添加されるAl及びCaのうちの1種又は2種
の合計:1乃至5重量%を含有し、水ガラスを添加して
造粒し、焼結された後のフラックス嵩密度が0.80乃
至1.20g/cm3であるものである。また、前記溶
融型フラックスは、溶融型フラックス全重量あたりSi
2:5乃至30重量%、CaF2:20乃至50重量
%、Al23:20乃至40重量%及びCaO:15乃
至25重量%を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液化天然ガスのよ
うに極低温液体用貯蔵タンクの建造材料等に使用される
9%Ni鋼サブマージアーク溶接用焼結型フラックスに
関し、特に、−196℃という極低温においても強度及
び低温靱性が良好であると共に、水平隅肉溶接及び横向
多層溶接時の作業性を向上させることができる9%Ni
鋼サブマージアーク溶接用焼結型フラックスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、極低温液体用貯蔵タンクの建造材
料等として使用される9%Ni鋼の溶接においては、高
温割れを防止するために、比較的低入熱で溶接する被覆
アーク溶接法及び半自動溶接法が適用されていた。しか
しながら、近時、耐高温割れ性が優れたワイヤが開発さ
れているため、溶接建造物の施工能率を向上させるため
に、サブマージアーク溶接の適用が増加している。この
ように、サブマージアーク溶接により極低温用の建造材
料等を溶接する場合、得られる溶接金属は母材と同等の
優れた強度及び低温靱性を有することが必要であり、そ
のようなサブマージアーク溶接に使用されるフラックス
についても種々研究が行われている。その中でも特に、
フラックス中の金属フッ化物、Al及び希土類元素の含
有量を適切に規定することにより、再熱ミクロ割れ性の
改善を図ったフラックスが提案されている(特開昭58
−110192号公報)。
【0003】また、原料粉として溶融型フラックスを5
0乃至90重量%含有する焼成型フラックスにおいて、
CaF2:30乃至70重量%、CaO及びMgOのい
ずれか1種又は2種の合計:8乃至30重量%、Al2
3:10乃至30重量%及びAl:2乃至8重量%を
含有し、SiO2を5重量%以下に規制すると共に、S
iを実質的に含有しないNi合金鋼のサブマージアーク
溶接用焼成型フラックスも開示されている(特開昭60
−127095号公報)。これは、フラックス組成を上
記範囲に規制することにより、耐X線欠陥特性及びビー
ド外観の向上を図ったものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の技術により溶接金属の性能を向上させることは
できるが、これと同様に重要視される溶接作業性、特
に、水平隅肉溶接及び横向多層溶接時におけるスラグ剥
離性及びビードの平滑性を向上させることはできないと
いう問題点がある。即ち、溶接金属の性能向上と溶接作
業性との双方を十分に満足することができるようなサブ
マージアーク溶接用のフラックスは、未だ開発されてい
ない。
【0005】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、良好な低温靱性を有する溶接金属を得るこ
とができると共に、優れたスラグ剥離性及びビードの平
滑性を得ることができる9%Ni鋼サブマージアーク溶
接用焼結型フラックスを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る9%Ni鋼
サブマージアーク溶接用焼結型フラックスは、フラック
ス全重量あたり溶融型フラックスを30乃至60重量%
含有する9%Ni鋼サブマージアーク溶接用焼結型フラ
ックスにおいて、フラックス全重量あたり、SiO2
5乃至15重量%、CaF2:20乃至40重量%、A
23:10乃至30重量%、CaO:5乃至20重量
%、Si:0.1乃至5重量%、希土類元素:0.1乃
至1重量%並びに金属単体、合金及び混合物から添加さ
れるAl及びCaのうちの1種又は2種の合計:1乃至
5重量%を含有し、前記溶融型フラックスは、溶融型フ
ラックス全重量あたりSiO2:5乃至30重量%、C
aF2:20乃至50重量%、Al23:20乃至40
重量%及びCaO:15乃至25重量%を含有するもの
であり、水ガラスを添加して造粒し、焼結された後のフ
ラックス嵩密度が0.80乃至1.20g/cm3であ
ることを特徴とする。
【0007】この9%Ni鋼サブマージアーク溶接用焼
結型フラックスは、更に、前記CaF2を除く金属フッ
化物をフッ素換算値で2乃至5重量%含有することが好
ましく、金属炭酸塩をCO2換算値で1乃至10重量%
含有することが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】極低温において使用される9%N
i鋼等の低温鋼用のサブマージアーク溶接により得られ
る溶接金属は、母材と同等の性能、特に、低温靱性を有
することが要求される。一般的に、溶接金属の低温靱性
を向上させるためには、溶接金属中の酸素量及びSi量
を低減することが有効であり、そのために、フラックス
中の酸素及びSi量が低減されている。しかしながら、
作業性の観点からは、フラックス中のSi及びSiO2
は、スラグの剥離性を向上させると共に、スラグの粘性
を高めてビード形状を良好にする効果を有しており、水
平隅肉溶接及び横向多層溶接を実施する場合に特に重要
な化学成分である。
【0009】また、本願発明者等は、スラグの剥離性及
びビード形状を良好にするためには、フラックスの嵩密
度を低くすることが有効であることを見い出した。しか
しながら、焼結型フラックスの嵩密度を低くすると、フ
ラックスが粉化しやすくなるので、溶接時に散布したフ
ラックスを回収して再利用する場合、フラックスの粒が
壊れて細粒が激増し、作業性が低下してしまう。
【0010】そこで、本願発明者等は、上記Si及びS
iO2の効果を十分に得ることができ、更に、嵩密度が
低いと共に、粉化しにくい焼結型フラックスを開発すべ
く、Si及びSiO2の添加量及び添加方法について種
々研究を行った。その結果、CaF2−Al23−Ca
O−SiO2系からなる溶融型フラックスが原料粉とし
て含有されている焼結型フラックスを使用することが有
効であることを見い出した。即ち、このような焼結型フ
ラックスを使用することにより、得られる溶接金属の低
温靱性が良好であると共に、スラグ剥離性及び水平隅肉
溶接時のビードの平滑性が優れており、嵩密度は低いが
粉化しにくい焼結型フラックスを得ることができる。
【0011】以下、本発明に係る9%Ni鋼サブマージ
アーク溶接用焼結型フラックスに含有される化学成分の
組成限定理由について説明する。
【0012】SiO2:5乃至15重量% SiO2はスラグの粘性及び流動性を調整するために添
加し、ビード形状の平滑性及びスラグ剥離性を良好にす
るために不可欠な成分である。フラックス中のSiO2
がフラックス全重量あたり5重量%未満であると、その
効果を十分に得ることができない。一方、フラックス中
のSiO2が15重量%を超えると、スラグの焼き付き
が発生すると共に、溶接金属の低温靱性の低下を引き起
こしてしまう。従って、フラックス中のSiO2はフラ
ックス全重量あたり5乃至15重量%とする。なお、こ
のSiO2の大部分は、焼結型フラックスの原料粉とす
る溶融型フラックスから添加されるが、それ以外にも、
珪砂及び珪灰石等からフラックス中に添加することがで
きる。また、フラックス原料の造粒時に使用される水ガ
ラス成分中のSiO2も含まれる。
【0013】CaF2:20乃至40重量% CaF2はアークを安定させると共に、スラグの粘性を
高めてビード形状を良好にする効果を有する。また、フ
ラックス中にCaF2を添加することにより、得られる
溶接金属中の酸素量を低減して、靱性を向上させること
ができる。フラックス中のCaF2がフラックス全重量
あたり20重量%未満であると、その効果を十分に得る
ことができない。一方、フラックス中のCaF2が40
重量%を超えると、アークが不安定になり、スラグの流
動性が悪くなるので、作業性が低下する。従って、フラ
ックス中のCaF2はフラックス全重量あたり20乃至
40重量%とする。なお、このCaF2の大部分は、焼
結型フラックスの原料粉とする溶融型フラックスから添
加されるが、それ以外にも、蛍石等としてフラックス中
に添加することができる。
【0014】Al23:10乃至30重量% Al23はスラグ形成剤として作用するものであり、主
に、スラグの流動性を調整すると共に、スラグの剥離性
を良好にする効果を有する。フラックス中のAl23
フラックス全重量あたり10重量%未満であると、その
効果を十分に得ることができない。一方、フラックス中
のAl23が30重量%を超えると、スラグの流動性が
過大となり、ビードの平滑性が劣化する。従って、フラ
ックス中のAl23はフラックス全重量あたり10乃至
30重量%とする。なお、このAl23の大部分は、焼
結型フラックスの原料粉とする溶融型フラックスから添
加されるが、それ以外にも、アルミナ等としてフラック
ス中に添加することができる。
【0015】CaO:5乃至20重量% CaOはスラグの塩基性を高めて、溶接金属の低温靱性
を向上させる効果を有する成分である。フラックス中の
CaOがフラックス全重量あたり5重量%未満である
と、その効果を十分に得ることができない。一方、フラ
ックス中のCaOが20重量%を超えると、スラグの剥
離性が著しく低下する。従って、フラックス中のCaO
はフラックス全重量あたり5乃至20重量%とする。な
お、このCaOの大部分は、焼結型フラックスの原料粉
とする溶融型フラックスから添加されるが、それ以外に
も、珪灰石及び炭酸石灰等からフラックス中に添加する
ことができる。
【0016】Si:0.1乃至5重量% Siは脱酸剤としてフラックス中に添加することによ
り、溶接金属の低温靱性を向上させることができる成分
である。フラックス中のSiがフラックス全重量あたり
0.1重量%未満であると、その効果を十分に得ること
ができない。一方、フラックス中のSiが5重量%を超
えると、溶接金属中のSi含有量が過大となり、低温靱
性が低下してしまう。従って、フラックス中のSiはフ
ラックス全重量あたり0.1乃至5重量%とする。な
お、このSiは単体としてフラックス中に添加される以
外に、Fe−Si等の合金又はレアアースカルシウムシ
リコン等の混合物からフラックス中に添加することがで
きる。
【0017】希土類元素:0.1乃至1重量% イットリウムその他の希土類元素、即ち、周期律表の3
A族に属する元素は優れた脱硫効果を有し、フラックス
中に添加することにより、溶接金属の耐高温割れ性を大
きく向上させることができる。フラックス中の希土類元
素がフラックス全重量あたり0.1重量%未満である
と、その効果を十分に得ることができない。一方、フラ
ックス中の希土類元素が1重量%を超えると、得られる
溶接金属の低温靱性が著しく低下する。従って、フラッ
クス中の希土類元素はフラックス全重量あたり0.1乃
至1重量%とする。なお、この希土類元素は、単体とし
てイットリウム、ランタン及びセリウムの少なくとも1
種からフラックス中に添加される以外に、レアアースカ
ルシウムシリコン及びミッシュメタル等の混合物からフ
ラックス中に添加することができる。
【0018】Al及びCaのいずれか1種又は2種の合
計:1乃至5重量% Al及びCaは脱酸剤としてフラックス中に添加するこ
とにより、溶接金属中の酸素量を著しく低下させ、低温
靱性を向上させることができる成分である。フラックス
中のAl及びCaのいずれか1種又は2種の合計が、フ
ラックス全重量あたり1重量%未満であると、その効果
を十分に得ることができない。一方、フラックス中のA
l及びCaのいずれか1種又は2種の合計が5重量%を
超えると、延性が不足することにより、−196℃の極
低温における靱性が低下する。従って、フラックス中の
Al及びCaのいずれか1種又は2種の合計はフラック
ス全重量あたり1乃至5重量%とする。なお、このAl
は、単体又はFe−Al合金等によりフラックス中に添
加することができ、Caは単体又はレアアースカルシウ
ムシリコン等の混合物によりフラックス中に添加するこ
とができる。
【0019】溶融型フラックス:30乃至60重量% 溶融型フラックスは本発明に係る焼結型フラックスの原
料粉として使用されるものであり、電気炉等で溶融した
後、冷却して粉砕することにより得られるSiO2−C
aF2−Al23−CaO系のフラックスである。この
ように、SiO2を一度溶解した後にフラックス中に添
加することにより、溶接金属の低温靱性に悪影響を及ぼ
すSi及びOの溶接金属への歩留まりを抑制することが
でき、更に、スラグ剥離性並びに水平隅肉溶接及び横向
多層溶接時のビード形状の平滑性を向上させることがで
きる。また、この溶融型フラックスをフラックス中に添
加することにより、アークを安定化して、フラックスの
溶融を円滑にすることができる。
【0020】焼結型フラックスの原料粉として使用され
る溶融型フラックスが、フラックス全重量あたり30重
量%未満であると、その効果を十分に得ることができな
い。一方、溶融型フラックスの含有量が増加すると、こ
れにより得られる造粒前のフラックス原料の嵩密度が高
くなり、このフラックス原料に水ガラスを添加して造粒
し、乾燥させた後の焼結型フラックスの嵩密度も必然的
に高くなる。嵩密度が作業性に及ぼす影響については後
述するが、良好な作業性を有する焼結型フラックスを得
るためには、フラックス嵩密度を1.20(g/c
3)以下にする必要があり、フラックス全重量あたり
の溶融型フラックスが60重量%を超えると、フラック
ス嵩密度を1.20(g/cm3)以下にすることがで
きなくなる。従って、フラックス中の溶融型フラックス
はフラックス全重量あたり30乃至60重量%とする。
【0021】なお、溶融型フラックス中のSiO2、C
aF2、Al23及びCaOの各成分が有する効果は前
述の通りであり、作業性及び低温靱性を向上させるため
には、溶融型フラックス中のSiO2は、溶融型フラッ
クス全重量あたり5乃至30重量%とする。また、アー
クの安定性及びスラグの流動性を向上させるために、溶
融型フラックス中のCaF2は、溶融型フラックス全重
量あたり20乃至50重量%とする。更に、スラグの流
動性及びスラグの剥離性を向上させるために、溶融型フ
ラックス中のAl23は、溶融型フラックス全重量あた
り20乃至40重量%とする。更にまた、スラグの塩基
性とスラグの剥離性を高めるために、溶融型フラックス
中のCaOは、溶融型フラックス全重量あたり15乃至
25重量%とする。
【0022】嵩密度:0.80乃至1.20(g/cm
3 溶融型フラックスを原料粉として得られた造粒前のフラ
ックス原料に、水ガラスを添加して造粒した後、焼結す
ることにより製造される焼結型フラックスの嵩密度は、
1.20(g/cm3)以下に規制することにより、水
平隅肉溶接及び横向多層溶接時のビード形状の平滑性を
改善し、スラグ剥離性を良好にすることができる。一
方、この嵩密度が0.80(g/cm3)よりも小さく
なると、作業性は良好となるが、フラックスが粉化しや
すくなり、この細粒化によりビードの平滑性が低下する
と共に、スラグの焼き付きが発生する。従って、フラッ
クス原料に水ガラスを添加して造粒した後、焼結するこ
とにより製造される焼結型フラックスの嵩密度は、0.
80乃至1.20(g/cm3)とする。
【0023】CaF2を除く金属フッ化物(フッ素換算
値):2乃至5重量% 主に、溶融フラックス中に含有されるCaF2の効果に
ついては前述の通りであるが、フラックス中にフッ化物
を添加することにより得られるアーク安定性及びビード
のなじみ性の向上効果を十分に得るためには、単体の金
属フッ化物をフラックス中に添加することが有効であ
る。即ち、フラックス中に金属フッ化物を添加すると、
アークを安定にすると共に、スラグに適度な粘性を与え
てビード形状を良好にすることができる。
【0024】フラックス中に金属フッ化物を添加する場
合、このCaF2を除く金属フッ化物が、フッ素換算値
で、フラックス全重量あたり2重量%未満であると、そ
の効果を十分に得ることができない。一方、フラックス
中のCaF2を除く金属フッ化物がフッ素換算値で5重
量%を超えると、スラグの粘性が低下して、ビード形状
が劣化する。従って、フラックス中に金属フッ化物を添
加する場合、CaF2を除く金属フッ化物は、フッ素換
算値で、フラックス全重量あたり2乃至5重量%とする
ことが好ましい。なお、この金属フッ化物とは、フッ化
ナトリウム、フッ化バリウム、氷晶石及びフッ化アルミ
ニウム等をいい、これらは、単独又は2種以上を組み合
わせてフラックス中に添加することができる。
【0025】金属炭酸塩(CO2換算値):1乃至10
重量% フラックス中に金属炭酸塩を添加すると、この金属炭酸
塩は溶融分解してCO2ガスを発生し、アーク雰囲気中
の水蒸気分圧を低下させるので、溶接金属中の水素量を
低減することができると共に、スラグの塩基性を高めて
溶接金属の低温靱性を向上させることができる。フラッ
クス中に金属炭酸塩を添加する場合、この金属炭酸塩
が、CO2換算値で、フラックス全重量あたり1重量%
未満であると、その効果を十分に得ることができない。
一方、フラックス中の金属炭酸塩がCO2換算値で10
重量%を超えると、アークが不安定になり、ビード形状
が悪化する。従って、フラックス中に金属炭酸塩を添加
する場合、この金属炭酸塩は、CO2換算値で、フラッ
クス全重量あたり1乃至10重量%とすることが好まし
い。なお、この金属炭酸塩とは、炭酸マグネシウム、炭
酸バリウム、炭酸ストロンチウム及び炭酸カルシウム等
をいい、これらは、単独又は2種以上を組み合わせてフ
ラックス中に添加することができる。
【0026】このように、本発明においては、9%Ni
鋼サブマージアーク溶接において使用する焼結型フラッ
クスの組成を上記範囲に規定するが、この焼結型フラッ
クスの特性を十分に発揮するためには、Ni基合金ワイ
ヤとの組み合わせでサブマージアーク溶接することが望
ましい。なお、Ni基合金ワイヤとは、Niを55重量
%以上含有すると共に、合金成分として、Mo、Cr、
Fe及びWを含有するワイヤをいう。
【0027】
【実施例】以下、本発明に係る9%Ni鋼サブマージア
ーク溶接用焼結型フラックスの実施例についてその比較
例と比較して具体的に説明する。
【0028】先ず、フラックス原料を調製し、これに固
着剤として水ガラスを添加して造粒した後、焼結するこ
とにより、下記表1乃至4に示す種々の化学組成を有す
るサブマージアーク溶接用焼結型フラックスを作製し
た。但し、各フラックス中の希土類元素としては、実施
例No.1、3、8及び比較例No.13はミッシュメ
タル(La:Ce=1:1)を使用し、実施例No.2及び比較
例No.18はイットリウムを使用した。また、実施例
No.4〜7、比較例No.15及び16はレアアース
カルシウムシリコンにより希土類元素を添加した。この
レアアースカルシウムシリコン中の希土類元素はLa及
びCeであり、これらの希土類元素の含有量はレアアー
スカルシウムシリコン全重量あたり20重量%である。
また、実施例No.9、10及び比較例No.11はラ
ンタンを使用し、比較例No.12及び17はセリウム
を使用した。
【0029】次いで、下記表5及び6に示す化学組成を
有する母材及びワイヤを使用して、下記表7に示す溶接
条件で水平隅肉溶接及び横向多層溶接を実施した。
【0030】図1(a)は水平隅肉溶接時に使用した溶
接母材の形状及びサイズを示す正面図であり、(b)は
その断面図である。図1に示すように、幅が70mm、
長さが500mmで厚さが12mmである鋼板21及び
22を使用して、鋼板21を水平に配置すると共に、そ
の上表面に鋼板22の長手方向の端面を当てて配置し、
T継手を形成した。そして、T継手の一方の隅部23に
対して水平隅肉溶接を実施し、溶接金属24を形成し
た。
【0031】図2は横向多層溶接時に使用した溶接母材
の形状及びサイズを示す断面図であり、図3は横向多層
溶接方法を示す模式図である。図2に示すように、厚さ
が20mmである鋼板25と、厚さが34mmである鋼
板26とを準備し、鋼板26の端面26aを14mmの
厚さで残して、45°の角度で端面26aの角部に切欠
き27を形成した。そして、鋼板25を水平に配置する
と共に、その上表面に鋼板26の端面26aを当てて配
置し、レ型開先部28を有する継手を形成した。次い
で、図3に示すように、レ型開先部28に対して、1パ
スで被覆アーク溶接を実施した後、15パスで横向多層
溶接を実施し、溶接金属29を形成した。なお、図3に
おいて、溶接金属29中の数値は横向多層溶接の各パス
毎に形成される溶接金属の積層順序を示している。
【0032】その後、水平隅肉溶接により形成された溶
接金属24については、ビード形状及びスラグの剥離性
等の作業性を評価すると共に、横向多層溶接により形成
された溶接金属29からシャルピー衝撃試験片を採取
し、−196℃における低温靱性を評価した。図4は溶
接金属29からの試験片の採取位置を示す模式図であ
る。図4に示すように、横向多層溶接により形成された
溶接金属29の表層部から試験片30を採取した。本実
施例においては、中央部に溶接金属29、両端部に鋼板
25と鋼板26が配置されるように試験片30を採取
し、その中央部に深さが2mmのVノッチ30aを形成
した。これらの評価結果を下記表8に示す。なお、図8
に示す評価基準としては、非常に優れているものを◎、
優れているものを○、実用上問題がないものを△、劣っ
ているものを×とし、低温靱性の評価結果欄には、括弧
内に衝撃値を記載した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】
【0041】上記表1乃至4及び8に示すように、実施
例No.1乃至10はフラックス中の化学組成並びにこ
のフラックスの原料粉として使用される溶融型フラック
スの添加量及び組成が適切に規制されていると共に、フ
ラックスの嵩密度も規制されているので、溶接時のビー
ド形状の平滑性、スラグ剥離性が良好であり、低温靱性
が優れた溶接金属を得ることができた。
【0042】一方、比較例No.11は溶融型フラック
スの添加量が本発明範囲の上限を超えているので、嵩密
度が本発明範囲の上限を超えている。また、フラックス
中のCaF2及びAl23の含有量も本発明範囲の上限
を超えているので、スラグの流動性が過剰になることに
より、ビードの平滑性が劣化した。更に、金属単体又は
合金としてのAl及びCaが添加されていないので、低
温靱性が低下した。比較例No.12は溶融型フラック
スの添加量が本発明範囲の下限未満であり、金属フッ化
物については、本発明範囲の好ましい範囲を外れている
ので、ビード形状が劣化すると共に、スラグ焼付きによ
りスラグ剥離性も低下した。
【0043】比較例No.13はフラックス中のSiO
2、Si及び希土類元素の含有量が本発明範囲の上限を
超えていると共に、CaF2含有量が本発明範囲の下限
未満であり、また、溶融型フラックス中のSiO2及び
CaF2の含有量も本発明の範囲から外れているので、
スラグ剥離性が低下し、低温靱性も著しく劣化した。比
較例No.14はフラックス中のSiO2、Si及び希
土類元素の含有量が本発明範囲の下限未満であると共
に、金属単体又は合金として添加されたAl及びCaの
合計量が本発明範囲の上限を超えており、また、溶融型
フラックス中のSiO2及びCaF2の含有量も本発明の
範囲から外れているので、ビードの平滑性及びスラグの
剥離性が低下し、低温靱性も劣化した。
【0044】比較例No.15はフラックス中のCaO
含有量が本発明範囲の下限未満であると共に、使用され
た溶融型フラックス中のAl23が本発明範囲の上限を
超えており、また、溶融型フラックス中のCaOの含有
量が本発明範囲の下限未満であるので、実施例と比較し
て、ビード形状の平滑性及び低温靱性が低いものとなっ
た。比較例No.16はフラックス中のAl23の含有
量が本発明範囲の下限未満であると共に、CaO含有量
が本発明範囲の上限を超えており、また、溶融型フラッ
クス中のAl23及びCaOの含有量も本発明の範囲か
ら外れているので、スラグの剥離性及び低温靱性が劣化
した。
【0045】比較例No.17はフラックス嵩密度が本
発明範囲の上限を超えているので、ビード形状の平滑性
が低下し、ビードが凸状になるので、スラグ剥離性も若
干劣ったものとなった。比較例No.18はフラックス
嵩密度が本発明範囲の下限未満であるので、フラックス
が粉化しやすくなり、繰り返し使用することにより作業
性が劣化するので、実用には不適である。また、フラッ
クス中の金属炭酸塩が本発明の好ましい範囲の上限を超
えているので、アークが不安定となり、良好な作業性を
得ることができなかった。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
9%Ni鋼サブマージアーク溶接用焼結型フラックス中
の化学組成並びにこのフラックスの原料粉として使用さ
れる溶融型フラックスの添加量及び組成を適切に規制す
ると共に、フラックスの嵩密度を規制しているので、良
好な低温靱性を有する溶接金属を得ることができると共
に、優れたスラグ剥離性及びビードの平滑性を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は水平隅肉溶接時に使用した溶接母材の
形状及びサイズを示す正面図であり、(b)はその断面
図である。
【図2】横向多層溶接時に使用した溶接母材の形状及び
サイズを示す断面図である。
【図3】横向多層溶接方法を示す模式図である。
【図4】溶接金属29からの試験片の採取位置を示す模
式図である。
【符号の説明】
21、22、25、26;鋼板 24、29;溶接金属 28;開先部 30;試験片

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラックス全重量あたり溶融型フラック
    スを30乃至60重量%含有する9%Ni鋼サブマージ
    アーク溶接用焼結型フラックスにおいて、フラックス全
    重量あたり、SiO2:5乃至15重量%、CaF2:2
    0乃至40重量%、Al23:10乃至30重量%、C
    aO:5乃至20重量%、Si:0.1乃至5重量%、
    希土類元素:0.1乃至1重量%並びに金属単体、合金
    及び混合物から添加されるAl及びCaのうちの1種又
    は2種の合計:1乃至5重量%を含有し、前記溶融型フ
    ラックスは、溶融型フラックス全重量あたりSiO2
    5乃至30重量%、CaF2:20乃至50重量%、A
    23:20乃至40重量%及びCaO:15乃至25
    重量%を含有するものであり、水ガラスを添加して造粒
    し、焼結された後のフラックス嵩密度が0.80乃至
    1.20g/cm3であることを特徴とする9%Ni鋼
    サブマージアーク溶接用焼結型フラックス。
  2. 【請求項2】 更に、前記CaF2を除く金属フッ化物
    をフッ素換算値で2乃至5重量%含有することを特徴と
    する請求項1に記載の9%Ni鋼サブマージアーク溶接
    用焼結型フラックス。
  3. 【請求項3】 更に、金属炭酸塩をCO2換算値で1乃
    至10重量%含有することを特徴とする請求項1又は2
    に記載の9%Ni鋼サブマージアーク溶接用焼結型フラ
    ックス。
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