JPH1092221A - 電解液及びそれを用いた高分子ゲル電解質、及びその用途 - Google Patents

電解液及びそれを用いた高分子ゲル電解質、及びその用途

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JPH1092221A
JPH1092221A JP8245068A JP24506896A JPH1092221A JP H1092221 A JPH1092221 A JP H1092221A JP 8245068 A JP8245068 A JP 8245068A JP 24506896 A JP24506896 A JP 24506896A JP H1092221 A JPH1092221 A JP H1092221A
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compound
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electrolytic solution
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JP8245068A
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Masataka Takeuchi
正隆 武内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用温度範囲、安定電圧範囲が広く、高イオ
ン伝導度の新規な電解液、及び高イオン伝導性で使用温
度範囲、安定電圧範囲が広い高分子ゲル電解質の提供。
高容量、高電流で作動でき、使用温度範囲の優れた一次
電池及び二次電池の提供。出力電圧が高く、取り出し電
流が大きく、使用温度範囲の優れた電気二重層コンデン
サの提供。 【解決手段】 一般式(1)または(2) R1 −O−R2 −COO−R3 …(1) R1 −O−( CH2)3 −COO−R3 …(2) [式中R1 ,R3 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、
分岐状または環状のアルキル基またはフルオロアルキル
基を表す。R2 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、分
岐状、環状のアルキレン基またはフルオロアルキレン基
を表わす。]で表される鎖状エステルと電解質を含む電
解液または高分子ゲル電解質。該電解液及び/または高
分子ゲル電解質を用いることを特徴とする電池、電気二
重層コンデンサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鎖状エステル及び電
解質を含む新規な電解液及び該電解液と高分子からなる
高分子ゲル電解質、及び該電解液または高分子ゲル電解
質を用いた電池または電気二重層コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年Liイオン二次電池、コイン型Li
二次電池、Li電池等の非水電解液系二次電池が高電
圧、高エネルギー密度という点で大きく伸びている。非
水電解液に使用されている溶媒としては、高誘電率、高
粘性のプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカー
ボネート(EC)、γ−ブチルラクトン(γ−BL)等
の環状炭酸エステルまたはラクトンと低粘性のジメチル
カーボネート(DMC),ジエチルカーボネート(DE
C)等の鎖状炭酸エステルまたは1,2−ジメトキシエ
タン(DME)、ジグライム(DG)、ジオキソラン
(DOX)等のエーテル等の混合溶媒が用いられてい
る。特にこの中で最近上市され、高エネルギー密度二次
電池として今後大きな伸びが期待されているLiイオン
電池には、EC+DECまたはEC+DMC混合溶媒が
黒鉛系負極、金属酸化物系正極に対する安定性に優れ、
また分解電圧が高いという利点から主に用いられてい
る。しかしながらECは室温で固体である為低温特性に
問題があり、またDECやDMCは沸点が低く、電池作
製工程上の問題や高温特性の問題がある為、使用温度範
囲や電圧範囲が広い溶媒の検討が望まれていた。またP
Cは使用温度範囲が広いが、黒鉛系負極やLi負極との
反応性が高い為、二次電池には単独では使用できないと
いう問題がある。
【0003】特開平8−37025にはPCの電極に対
する安定性を改善する為にPCのメチル基をフッ素化し
たトリフルオロプロピレンカーボネートの電解液への使
用が開示されているが、融点が約10℃と高くEC同様
低温特性に問題があり、また誘電率も低下する為、イオ
ン伝導度も不十分である。ヨーロッパ特許531617
号にはプロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチ
ル(EP)とDECとの混合溶媒にLi塩を溶解した電
解液が提案されている。MP、EP共にDECより誘電
率が高く、イオン伝導性が向上しているが、沸点に差は
なく、温度特性の改善には至っていない。
【0004】近年、メモリーバックアップ電源用など
に、活性炭、カーボンブラックなど比表面積の大きい炭
素材料を分極性電極として、その間にイオン伝導性溶液
を配置する電気二重層コンデンサが多用されてきてい
る。例えば、「機能材料1989年2月号33頁」に
は、炭素系分極性電極と有機電解液を用いたコンデンサ
が、「第173回エレクトロケミカルソサエティ・ミー
ティング・アトランタ・ジョージア,5月号,No.1
8,1988年」には、硫酸水溶液を用いた電気二重層
コンデンサが記載されている。電気二重層コンデンサ用
有機電解液に使用されている溶媒としてもPC,γ−B
LやDME等の混合溶媒が用いられており、電池同様、
使用温度範囲や安定性がまだ充分ではない。
【0005】またこれまでの電解質溶液を用いた電池、
コンデンサでは、部品外部への液漏れあるいは電極物質
の溶出などが発生しやすいために長期信頼性に問題があ
る。それに対して、固体電解質を用いた製品はそのよう
な問題がなく、また薄型化することも容易である。さら
に固体電解質は耐熱性にも優れており、電池などの製品
の作製工程においても有利である。特に高分子を主成分
とした固体電解質を使用した高分子固体電解質は、無機
物に比較して、電池の柔軟性が増し、種々の形状に加工
できるというメリットがある。しかしながら、これまで
検討されてきたものは、高分子固体電解質のイオン伝導
度が低いため、取り出し電流が小さいという問題を残し
ていた。これら高分子電解質の例として、「ブリティッ
シュ・ポリマー・ジャーナル(Br. Polym. J. ),第3
19巻、137頁、1975年」には、ポリエチレンオ
キサイドと無機アルカリ金属塩との複合物がイオン伝導
性を示すことが記載されているが、その室温でのイオン
伝導度は10-7S/cmと低い。
【0006】最近、オリゴオキシエチレンを側鎖に導入
した櫛型高分子が、イオン伝導性を担っているオキシエ
チレン鎖の熱運動性を高め、イオン伝導性が改良される
ことが多数報告されている。例えば、「ジャーナル・オ
ブ・フィジカル・ケミストリイ(J. Phys. Chem.)、第
89巻、987頁、1984年」には、ポリメタクリル
酸の側鎖にオリゴオキシエチレンを付加したものにアル
カリ金属塩を複合化した例が記載されている。さらに、
「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエテ
ィ(J. Am. Chem. Soc. )、第106巻、6854頁、
1984年」には、オリゴオキシエチレン側鎖を有する
ポリホスファゼンにアルカリ金属塩を複合化した例が記
載されているが、イオン伝導度は10-5S/cm程度と
まだ不十分であった。US特許4357401号には、
ヘテロ原子を含有する架橋ポリマーとイオン化可能な塩
からなる高分子固体電解質の結晶性が低下し、ガラス転
移点が低く、イオン伝導度が改善されることが報告され
ているが、10-5S/cm程度とまだ不十分であった。
【0007】特開平4−253771号では、ポリホス
ファゼン系高分子を電池や電気二重層コンデンサのイオ
ン伝導性物質として用いることを提示しており、このよ
うな高分子を主成分とした固体イオン伝導性物質を使用
したものは、無機系イオン伝導性物質に比較して出力電
圧が高く、種々の形状に加工でき、封止も簡単であると
いうメリットがある。しかしながら、この場合では、高
分子固体電解質のイオン伝導度が10-4〜10-6S/c
mと充分ではなく、取り出し電流が小さいという欠点が
あった。また、固体電解質を分極性電極とともにコンデ
ンサに組み立てる場合には、固体同士の混合であること
から、比表面積の大きい炭素材料に均一に複合するのが
難しいという問題もあった。一般的に検討されている高
分子固体電解質のイオン伝導度は、室温における値で1
-4〜10-5S/cm位まで改善されたものの、液体系
イオン伝導性物質に比較するとなお二桁以上低いレベル
である。また、0℃以下の低温になると、一層極端にイ
オン伝導性が低下する。更に、これらの固体電解質を電
気二重層コンデンサ等の素子に組み込む場合や、これら
の固体電解質を薄膜にして電池に組み込む場合、電極と
の複合化や接触性確保等の加工技術が難しく製造法でも
問題点があった。
【0008】J.Appl.Electroche
m.,No.5,63〜69ページ(1975年)に記
載されているように、ポリアクリロニトリルやポリフッ
化ビニリデンゲル等の架橋高分子に溶媒及び電解質を加
えたいわゆる高分子ゲル電解質は高イオン伝導度となる
ことが報告されている。また、特公昭58−36828
にはポリメタクリル酸アルキルエステルに溶媒及び電解
質を加えた同様の高分子ゲル電解質は高イオン伝導度と
なることが報告されている。しかしながらこれら高分子
ゲル電解質は高イオン伝導度であるが、溶媒が添加され
ている為、流動性を付与することとなるため、完全な固
体としては取り扱えず、膜強度や成膜性に劣り、電気二
重層コンデンサや電池に応用すると短絡が起こり易いう
え、液体系イオン伝導性物質同様に封止上の問題が発生
する。また、溶媒の揮発や凝固のための使用温度範囲の
制約も電解液同様にあった。
【0009】一方、US特許4792504にポリ酸化
エチレンの連続ネットワーク中に金属塩及び非プロトン
性溶剤からなる電解液が含浸された架橋系高分子固体電
解質を用いることにより、イオン伝導度が改善されるこ
とが提案されている。しかしながら溶剤が添加されてい
るが、イオン伝導度は10-4S/cmとまだ不十分で溶
剤が添加されたため、膜強度が低下するという問題が生
じた。これらの問題を解決するために、本発明者らはウ
レタン結合を有するオキシアルキレン基を含有する(メ
タ)アクリレートモノマー混合物を用いた重合体及び電
解質からなる複合体を用いたイオン伝導性の高分子固体
電解質(特開平6−187822)を提案した。この高
分子固体電解質のイオン伝導度は、溶媒未添加で10-4
S/cm(室温)であり高いレベルであるが、さらに溶
媒を添加すると、室温またはそれより低温であっても1
-3S/cm以上となり、また膜質も厚膜であれば自立
膜として得られる程度に改善された。また、このモノマ
ーは重合性が良好で、電池や電気二重層コンデンサに応
用する場合、モノマー状態で電池や電気二重層コンデン
サに組込んだ後に重合し、固体化できるという加工上の
メリットもあった。しかしながら、溶媒添加系では溶媒
の揮発や凝固のための使用温度範囲の制約が電解液同様
にあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は使用温度範
囲、安定電圧範囲が広く、高イオン伝導度の新規な電解
液及び該電解液と高分子からなる高イオン伝導性で使用
温度範囲、安定電圧範囲が広い高分子ゲル電解質を提供
することを目的とする。また、本発明は該電解液または
高分子ゲル電解質を使用することにより、高容量、高電
流で作動でき、使用温度範囲の優れた一次電池及び二次
電池を開発することを目的とする。また、更に、本発明
は、該電解液または高分子ゲル電解質を使用することに
より、出力電圧が高く、取り出し電流が大きく、使用温
度範囲の優れた電気二重層コンデンサを提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電解液や
高分子ゲル電解質に使用する溶媒としてアルコキシ基を
有するエステル系化合物が使用温度範囲が広く、高誘電
率であることを見い出し、従って、このような化合物を
使用した電解液または高分子ゲル電解質は、高イオン伝
導性で使用温度範囲、安定電圧範囲が広いことを見い出
した。また、本発明者らは、上記の電解液または高分子
ゲル電解質を使用することにより、薄膜化が容易であ
り、高容量、高電流で作動でき、使用温度範囲の優れた
一次電池及び二次電池とすることができることを見出し
た。さらに、本発明者らは、上記の電解液または高分子
ゲル電解質を用いることによって、出力電圧が高く、取
り出し電流が大きく、使用温度範囲の優れた電気二重層
コンデンサが得られることを見出し、本発明を完成する
に至った。即ち本発明は以下のものを提供することによ
り、前記目的を達成した。
【0012】[1] 下記の一般式(1) R1 −O−R2 −COO−R3 …(1) [式中R1 ,R3 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、
分岐状または環状のアルキル基またはフルオロアルキル
基を表す。R2 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、分
岐状、環状のアルキレン基またはフルオロアルキレン基
を表わす。]で表される鎖状エステルと電解質を含む電
解液。 [2] 鎖状エステルが下記の一般式(2)R1 −O−
( CH2)3 −COO−R3 …(2) [式中R1 ,R3 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、
分岐状または環状のアルキル基またはフルオロアルキル
基を表す。]で表されるアルコキシプロピオン酸エステ
ルである前記[1]記載の電解液。 [3] 電解質が、アルカリ金属塩、4級アンモニウム
塩、4級ホスホニウム塩、または遷移金属塩から選ばれ
た少なくとも一種である前記[1]または[2]記載の
電解液。
【0013】[4] 下記の一般式(1) R1 −O−R2 −COO−R3 …(1) [式中R1 ,R3 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、
分岐状または環状のアルキル基またはフルオロアルキル
基を表す。R2 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、分
岐状、環状のアルキレン基またはフルオロアルキレン基
を表わす。]で表される鎖状エステル、電解質及び高分
子を含む高分子ゲル電解質。 [5] 鎖状エステルが下記の一般式(2) R1 −O−( CH2)3 −COO−R3 …(2) [式中R1 ,R3 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、
分岐状または環状のアルキル基またはフルオロアルキル
基を表す。]で表されるアルコキシプロピオン酸エステ
ルである前記[4]記載の高分子ゲル電解質。 [6] 高分子が一般式(3) CH2=C(R4 )CO[OR5x NHCOO−R6 − …(3) [式中、R4 は水素または炭素数5以下のアルキル基を
表わし、R5 、R6 は炭素数1以上の2価の有機基を表
わす。該2価の有機基はヘテロ原子を含んでいてもよ
く、直鎖状、分岐状、環状構造のいずれからなるもので
もよい。xは0または1〜10の数値を示す。但し、同
一化合物中の複数個の上記一般式(3)で表される重合
性官能基中のR4 、R5 、R6 及びxの値は、それぞれ
独立であり、同じである必要はない。]で表わされる重
合性官能基を有する化合物であることを特徴とする前記
[4]または[5]記載の高分子ゲル電解質。
【0014】[7] 電解質が、アルカリ金属塩、4級
アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、または遷移金属
塩から選ばれた少なくとも一種である前記[4]〜
[6]のいずれか記載の高分子ゲル電解質。 [8] 前記[1]〜[3]のいずれか記載の電解液及
び/または前記[4]〜[7]のいずれか記載の高分子
ゲル電解質を用いることを特徴とする電池。 [9] 電池の負極がリチウム、リチウム合金またはリ
チウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む電極から
なる前記[8]記載の電池。 [10] 電池の正極が、導電性高分子、金属酸化物、
金属硫化物または炭素材料を含む電極からなる前記
[8]または[9]記載の電池。 [11] イオン伝導性物質を介して分極性電極を配置
した電気二重層コンデンサにおいて、イオン伝導性物質
が、前記[1]〜[3]のいずれか記載の電解液または
前記[4]〜[7]のいずれか記載の高分子ゲル電解質
であることを特徴とする電気二重層コンデンサ。
【0015】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
電解液または高分子ゲル電解質に用いられる一般式
(1)または(2) R1 −O−R2 −COO−R3 …(1) R1 −O−( CH2)3 −COO−R3 …(2) [式中R1 ,R3 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、
分岐状または環状のアルキル基またはフルオロアルキル
基を表す。R2 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、分
岐状または環状のアルキレン基またはフルオロアルキレ
ン基を表わす。)で表わされる鎖状エステル化合物の総
炭素数は4以上20以下が好ましく、5以上15以下が
特に好ましい。炭素数が少ないと沸点が一般に低くな
り、目的とする高温特性を満足しない。炭素数が多過ぎ
ると、一般的に粘度上昇もしくは結晶化を起こし、また
誘電率が低下するために、低温特性の低下、電解液や高
分子ゲル電解質とした場合のイオン伝導度が低下する。
【0016】一般式(1)または(2)で表される化合
物の例として、メトキシギ酸エチル、メトキシ酢酸メチ
ル、メトキシ酢酸エチル、メトキシプロピオン酸メチ
ル、メトキシプロピオン酸エチル、エトキシプロピオン
酸エチル、ブトキシプロピオン酸アミル等が挙げられ
る。
【0017】本発明の一般式(1)または(2)で表わ
される鎖状エステル化合物と複合する電解質の種類は特
に限定されるものではなく、電荷でキャリアーとしたい
イオンを含んだ電解質を用いればよいが、鎖状エステル
化合物を用いた電解液や高分子ゲル電解質中での解離定
数が大きいことが望ましく、LiCF3 SO3 、LiN
(CF3 SO22 、LiPF6 、LiClO4 、Li
I、LiBF4 、LiSCN、LiAsF6 、NaCF
3 SO3 、NaPF6 、NaClO4 、NaI、NaB
4 、NaAsF6 、KCF3 SO3 、KPF6 、KI
等のアルカリ金属塩、(CH3 CH24 NBF4 等の
4級アンモニウム塩、(CH3 CH24 PBF4 等の
4級ホスホニウム塩、AgClO4 等の遷移金属塩ある
いは塩酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、パラトルエン
スルホン酸等のプロトン酸が推奨される。
【0017】また本発明の電解液及び/または高分子ゲ
ル電解質に用いる溶媒としては一般式(1)または
(2)で表わされる鎖状エステル化合物単独でも良い
が、目的によっては他の有機化合物と混合して用いるこ
ともできる。使用できる他の有機化合物としては、一般
式(1)または(2)で表わされる鎖状エステル化合物
との相溶性が良好で、誘電率が大きく、沸点が100℃
以上であり、電気化学的安定範囲が広い化合物が適して
いる。そのような有機化合物としては、トリエチレング
リコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコール
ジメチルエーテル等のオリゴエーテル類、エチレンカー
ボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネ
ート等のカーボネート類、ベンゾニトリル、トルニトリ
ル等の芳香族ニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−ビニル
ピロリドン、スルホラン等の硫黄化合物、リン酸エステ
ル類等が挙げられる。この中で、オリゴエーテル類及び
カーボネート類が好ましく、カーボネート類が特に好ま
しい。
【0018】これら一般式(1)または(2)で表わさ
れる鎖状エステル化合物単独溶媒または混合溶媒と複合
する電解質の複合比は、溶媒重量に対し、0.1〜50
重量%が好ましく、1〜30重量%が特に好ましい。複
合に用いる電解質が50重量%以上の比率で存在する
と、電解液の粘度や高分子ゲル電解質のガラス転移点が
上昇し、イオン移動が大きく阻害され、逆に0.1重量
%以下の比率では、イオンの絶対量が不足となってイオ
ン伝導度が小さくなる。
【0019】本発明の一般式(1)または(2)で表わ
される鎖状エステル化合物を高分子ゲル電解質に応用す
る場合の高分子としては、メタクリル酸メチル、アクリ
ル酸n−ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル、各種ウレタンアクリレート、オキシフルオロカーボ
ン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステルもしくは(メ
タ)アクリル酸フッ素化アルキルエステル、アクリルア
ミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルア
ミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、炭酸ビニレ
ン、(メタ)アクリロイルカーボネート、N−ビニルピ
ロリドン、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモ
ルホリン、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系化合物、ス
チレン、α−メチルスチレン等のスチレン系化合物、N
−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等のN
−ビニルアミド系化合物、またはエチルビニルエーテル
等のアルキルビニルエーテル等の各種重合性化合物の単
独重合体や共重合体、あるいはポリエチレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイド、ポリアクリロニトリ
ル、ポリブタジエン、ポリメタクリル(またはアクリ
ル)酸エステル類、ポリスチレン、ポリホスファゼン
類、ポリシロキサンあるいはポリシラン、ポリフッ化ビ
ニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等の各種高分子
及びこれらの架橋化物等が挙げられる。
【0020】これらの中で(メタ)アクリル酸エステ
ル、ウレタン(メタ)アクリレート、またはオキシフル
オロカーボン鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル等
の重合性化合物の重合体が、重合前に本発明の一般式
(1)または(2)で表わされる鎖状エステル化合物や
電解質と複合できるという点で好ましい。これらの重合
性化合物中でウレタン(メタ)アクリレートが重合性、
高分子ゲル電解質の膜強度、各種溶媒との相溶性という
観点で特に好ましい。
【0021】上記ウレタン(メタ)アクリレートの例と
しては、一般式(3) CH2=C(R4 )CO[OR5x NHCOO−R6 − …(3) [式中、R4 は水素または炭素数5以下のアルキル基を
表わし、R5 、R6 は炭素数1以上の2価の有機基を表
わす。該2価の有機基はヘテロ原子を含んでいてもよ
く、直鎖状、分岐状、環状構造のいずれからなるもので
もよい。xは0または1〜10の数値を示す。但し、同
一化合物中の複数個の上記一般式(3)で表される重合
性官能基中のR4 、R5 、R6 及びxの値は、それぞれ
独立であり、同じである必要はない。]で表わされるウ
レタン(メタ)アクリレート系重合性官能基を有する化
合物が挙げられる。
【0022】また、一般式(3)で表わされるウレタン
(メタ)アクリレート系重合性官能基を有する化合物の
中で有機基R6 にポリまたはオリゴオキシアルキレン基
を含むと重合体のイオン伝導度が向上し好ましい。この
場合の重合体中のオキシアルキレン鎖数、例えば前記一
般式(3)におけるR6 中に含まれるオキシアルキレン
の繰り返し数は1〜1000の範囲が好ましく、5〜5
0の範囲が特に好ましい。このオキシアルキレンの種類
として、オキシメチレン、オキシエチレンは極性が大き
く電解質塩の解離を促進し溶解できるが、電解質塩がア
ルカリ金属の場合はアルカリ金属イオンとの相互作用が
大きく、大電流を流す場合にアルカリ金属イオンの移動
を妨げやすい。また、結晶性が高く、高分子のガラス転
移点が多少高くなる傾向にある。オキシアルキレン中の
アルキレンの炭素数をプロピレン、ブチレンと大きくす
るとアルカリ金属イオンとの相互作用が小さくなり、結
晶性も落ちてくるが、極性も小さくなり、電解質塩を解
離しにくくなる。従って、アルカリ金属イオンとの相互
作用、極性とのバランスを考慮すると、オキシアルキレ
ンとしてはオキシエチレン、オキシプロピレンが高分子
ゲル電解質中のアルカリ金属イオンの移動には適してい
る。
【0023】本発明の高分子ゲル電解質に用いられる一
般式(3)で表される官能基を有する化合物を合成する
方法に特に限定はないが、例えば、 CH2=C(R4 )CO[OR5x NCO [ただし、式中R4 、R5 、xは一般式(3)と同じ]
で表されるイソシアネート化合物と末端にヒドロキシル
基を有する有機化合物とを反応させることにより容易に
得ることができる。
【0024】具体的方法として一般式(3)で表される
官能基を一つ有する化合物は、例えば、メタクリロイル
イソシアナート系化合物(以下MI類と略記する。)あ
るいはアクリロイルイソシアナート系化合物(以下AI
類と略記する。)とモノアルキルオリゴオキシアルキレ
ングリコールとを、以下の反応の様に1:1のモル比で
反応させることにより、容易に得られる。 CH2=C(CH3)COO(CH2)2NCO + HO(CH2CH(CH3)O)mCH3 → CH2=C(CH3)COO(CH2)2NHCOO(CH2CH(CH3)O)mCH3
【0025】また一般式(3)で表される官能基を二つ
有する化合物は、例えば、MI類あるいはAI類とオリ
ゴアルキレングリコールとを、2:1のモル比で反応さ
せることにより、容易に得られる。また、一般式(3)
で表される官能基を三つ有する化合物は、例えばMI類
及び/またはAI類と、グリセリン等の3価アルコール
にアルキレンオキサイドを付加重合させたトリオールと
を、3:1のモル比で反応させることにより、容易に得
られる。また、一般式(3)で表される官能基を四つ有
する化合物は、例えばMI類及び/またはAI類と、ペ
ンタエリスリトール等の4価アルコールにアルキレンオ
キサイドを付加重合させたテトラオールとを4:1のモ
ル比で反応させることにより、容易に得られる。
【0026】また、一般式(3)で表される官能基を五
つ有する化合物は、例えばMI類及び/またはAI類
と、α−D−グルコピラノースにアルキレンオキシドを
付加重合させたペンタオールとを、5:1のモル比で反
応させることにより、容易に得られる。また、一般式
(3)で表される官能基を六つ有する化合物は、例えば
MI類及び/またはAI類と、マンニットにアルキレン
オキシドを付加重合させたヘキサオールとを6:1のモ
ル比で反応させることにより、容易に得られる。本発明
の高分子ゲル電解質の構成成分として好ましい高分子
は、一般式(3)で表される官能基を有する化合物の単
独重合体であっても、該カテゴリーに属する2種以上の
共重合体であっても、あるいは該化合物の少なくとも一
種と他の重合性化合物との共重合体であってもよい。
【0027】一般式(3)で表される官能基を有する化
合物の重合は、官能基であるアクリロイル基もしくはメ
タクリロイル基の重合性を利用した一般的な方法を採用
することができる。即ち、これら化合物単独、あるいは
これら化合物と他の前記共重合可能な重合性化合物の混
合物に、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパ−
オキサイド等のラジカル重合触媒、CF3 COOH等の
プロトン酸、BF3 、AlCl3 等のルイス酸等のカチ
オン重合触媒、あるいはブチルリチウム、ナトリウムナ
フタレン、リチウムアルコキシド等のアニオン重合触媒
を用いて、ラジカル重合、カチオン重合あるいはアニオ
ン重合させることができる。また、かかる重合性化合物
及び/または混合物を膜状等の形に成形後重合させるこ
とも可能である。前記一般式(3)で表される官能基を
有する化合物の少なくとも一種から得られる重合体及び
/または該化合物を共重合成分とする共重合体を、本発
明のような高分子ゲル電解質の重合体に用いる場合に
は、特にこのように、重合性化合物及び/または混合物
を成膜後に重合することが有利である。
【0028】即ち、前記一般式(3)で表される官能基
を有する化合物の少なくとも一種と一般式(1)または
(2)で表わされるオキシアルキレンカーボネート系化
合物とアルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホス
ホニウム塩または遷移金属塩のごとき少なくとも一種の
電解質とを混合し、場合によっては、さらに他の重合性
化合物及び/または他の溶媒を添加混合し重合性組成物
を調製し、これら重合性組成物を前記触媒の存在下ある
いは非存在下に、場合によっては加熱及び/または活性
光線を照射して重合させる。特に、該重合性化合物、混
合物、組成物を膜状等の形状に成形後に、例えば加熱及
び/または活性光線を照射して、重合させ、膜状重合物
とすることにより、加工面での自由度が広がり、応用上
の大きなメリットとなる。
【0029】重合に溶媒を用いる場合には、重合性化合
物の種類や重合触媒の有無にもよるが、重合を阻害しな
い溶媒であればいかなる溶媒でも良く、例えば、テトラ
ヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン等を用いるこ
とができる。重合させる温度としては、前記一般式
(3)で表される官能基を有する化合物の種類による
が、重合が起こる温度であれば良く、通常は、0℃から
200℃の範囲で行えばよい。活性光線照射により重合
させる場合には、前記一般式(3)で表される官能基を
有する化合物の種類によるが、例えば、ベンジルメチル
ケタール、ベンゾフェノン等の開始剤を使用して、数m
W以上の紫外光またはγ線、電子線等を照射して重合さ
せることができる。
【0030】本発明の高分子ゲル電解質を薄膜フィルム
として使用する場合、他の多孔性フィルムと複合して用
いても良い。こうすることにより、フィルムとしての強
度がさらにアップするが、複合するフィルム種、量によ
っては伝導度の低下や安定性の悪化を招くので、適した
ものを選ぶ必要がある。複合フィルムとしてはポリプロ
ピレン製不織布やポリエチレン製ネットのような網状ポ
リオレフィンシート等の多孔性ポリオレフィンシート、
セルガード(商品名)等のポリオレフィン製マイクロポ
ーラスフィルム、ナイロン不織布等が挙げられるが、多
孔性ポリオレフィンフィルムが好ましい。また、その空
孔率としては、10〜90%程度あればよいが、強度の
許す限りできるだけ空孔率の大きいものが良いので、好
ましい空孔率の範囲としては40〜90%の範囲であ
る。
【0031】複合方法としては特に制限がないが、例え
ば、一般式(3)で表される官能基を有する化合物の少
なくとも一種、またはこれに少なくとも一種の電解質及
びまたは溶媒を添加した混合物を、多孔性ポリマーフィ
ルムに含浸後、かかる一般式(3)で表される官能基を
有する(メタ)アクリロイル系化合物を重合する方法
が、均一に複合でき、膜厚制御が簡便であり、推奨でき
る。本発明の電池の構成において、負極にアルカリ金
属、アルカリ金属合金、炭素材料のようなアルカリ金属
イオンをキャリアーとする低酸化還元電位の電極活物質
(負極活物質)を用いることにより、高電圧、高容量の
電池が得られるので好ましい。このような電極活物質の
中では、リチウム金属あるいはリチウム/アルミニウム
合金、リチウム/鉛合金、リチウム/アンチモン合金等
のリチウム合金類が最も低酸化還元電位であるため特に
好ましい。また、炭素材料もLiイオンを吸蔵した場合
低酸化還元電位となり、しかも安定、安全であるという
点で特に好ましい。Liイオンを吸蔵放出できる炭素材
料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、気相法黒鉛、石油コ
ークス、石炭コークス、ピッチ系炭素、ポリアセン、C
60、C70等のフラーレン類等が挙げられる。
【0032】本発明の電池の構成において、正極に金属
酸化物、金属硫化物、導電性高分子あるいは炭素材料の
ような高酸化還元電位の電極活物質(正極活物質)を用
いることにより、高電圧、高容量の電池が得られるので
好ましい。このような電極活物質の中では、充填密度が
高くなり、体積容量密度が高くなるという点では、酸化
コバルト、酸化マンガン、酸化バナジウム、酸化ニッケ
ル、酸化モリブデン等の金属酸化物、硫化モリブデン、
硫化チタン、硫化バナジウム等の金属硫化物が好まし
く、特に酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト等
が高容量、高電圧という点から好ましい。
【0033】この場合の金属酸化物や金属硫化物を製造
する方法は特に限定されず、例えば、「電気化学、第2
2巻、574頁、1954年」に記載されているよう
な、一般的な電解法や加熱法によって製造される。ま
た、これらを電極活物質としてリチウム電池に使用する
場合、電池の製造時に、例えば、Lix CoO2 やLi
xMnO2 等の形でLi元素を金属酸化物あるいは金属
硫化物に挿入(複合)した状態で用いるのが好ましい。
このようにLi元素を挿入する方法は特に限定されず、
例えば、電気化学的にLiイオンを挿入する方法や、米
国特許第4357215号に記載されているように、L
2 CO3 等の塩と金属酸化物を混合、加熱処理するこ
とによって実施できる。
【0034】また柔軟で、薄膜にし易いという点では、
導電性高分子が好ましい。導電性高分子の例としては、
ポリアニリン、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリパ
ラフェニレン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘
導体、ポリチエニレン及びその誘導体、ポリピリジンジ
イル及びその誘導体、ポリイソチアナフテニレン及びそ
の誘導体、ポリフリレン及びその誘導体、ポリセレノフ
ェン及びその誘導体、ポリパラフェニレンビニレン、ポ
リチエニレンビニレン、ポリフリレンビニレン、ポリナ
フテニレンビニレン、ポリセレノフェンビニレン、ポリ
ピリジンジイルビニレン等のポリアリーレンビニレン及
びそれらの誘導体等が挙げられる。中でも有機溶媒に可
溶性のアニリン誘導体の重合体が特に好ましい。これら
の電池あるいは電極において電極活物質として用いられ
る導電性高分子は、後述のような化学的あるいは電気化
学的方法あるいはその他の公知の方法に従って製造され
る。
【0035】また、炭素材料としては、天然黒鉛、人造
黒鉛、気相法黒鉛、石油コークス、石炭コークス、フッ
化黒鉛、ピッチ系炭素、ポリアセン等が挙げられる。ま
た、本発明の電池あるいは電極において電極活物質とし
て用いられる炭素材料は、市販のものを用いることがで
き、あるいは公知の方法に従って製造される。
【0036】本発明の電池の一例として、薄膜固体二次
電池の一例の概略断面図を図1に示す。図中、1は正
極、2は電解液及び/または高分子ゲル電解質層、3は
負極、4は集電体、5はスペーサーである絶縁性樹脂フ
ィルムであり、6は絶縁性樹脂封止剤である。電池の形
状としては、図1のようなシート型のほかに、コイン
型、あるいは分極性電極及び電解液及び/または高分子
ゲル電解質のシート状積層体を円筒状に捲回し、円筒管
状の電池構成用構造体に入れ、封止して製造された円筒
型等であっても良い。
【0037】次に本発明の固体電気二重層コンデンサに
ついて説明する。本発明の固体電気二重層コンデンサに
おいて、本発明の前記電解液及び/または高分子ゲル電
解質を用いることにより、出力電圧が高く、取り出し電
流が大きく、使用温度範囲に優れた全固体電気二重層コ
ンデンサが提供される。本発明の固体電気二重層コンデ
ンサの一例の概略断面図を図2に示す。この例は、大き
さ1cm×1cm、厚み約0.5mmの薄型セルで、8
は集電体であり、集電体の内側には一対の分極性電極7
が配置されており、その間に電解液及び/または高分子
固体電解質膜層9が配置されている。10はスペーサー
であり、この例では絶縁性フィルムが用いられ、11は
絶縁性樹脂封止剤、12はリード線である。
【0038】集電体8は電子伝導性で電気化学的に耐食
性があり、できるだけ比表面積の大きい材料を用いるこ
とが好ましい。例えば、各種金属及びその燒結体、電子
伝導性高分子、カーボンシート等を挙げることができ
る。分極性電極7は、通常電気二重層コンデンサに用い
られる炭素材料等の分極性材料からなる電極であればよ
いが、かかる炭素材料に本発明の高分子固体電解質を複
合させたものが好ましい。分極性材料としての炭素材料
としては、比表面積が大きければ特に制限はないが、比
表面積の大きいほど電気二重層の容量が大きくなり好ま
しい。例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック
(アセチレンブラックを含む)、チャンネルブラック等
のカーボンブラック類や、椰子がら炭等の活性炭、天然
黒鉛、人造黒鉛、気相法で製造したいわゆる熱分解黒
鉛、ポリアセン及びC60、C70を挙げることができる。
電気二重層コンデンサの形状としては、図2のようなシ
ート型のほかに、コイン型、あるいは分極性電極及び高
分子固体電解質のシート状積層体を円筒状に捲回し、円
筒管状のコンデンサ構成用構造体に入れ、封止して製造
された円筒型等であっても良い。
【0039】
【作用】本発明の電解液及び/または高分子ゲル電解質
は、前述のとおり、アルコキシ構造を有する高誘電率で
使用温度範囲が広いエステル系化合物を用いている
為、、高イオン伝導性、低高温特性に優れている。本発
明の電池及び電気二重層コンデンサは、イオン伝導性物
質として前記電解液及び/または高分子ゲル電解質を用
いることにより、取り出し電流が大きく、使用温度範囲
が広く、信頼性が高い。
【0040】
【実施例】以下に本発明について代表的な例を示しさら
に具体的に説明する。なお、これらは説明のための単な
る例示であって、本発明はこれらに何等制限されるもの
ではない。 [実施例1]精製メトキシプロピオン酸メチル(MM
P)(徳山石油化学(株)製;水分10ppm,誘電率
6.0、沸点141.0℃)に電池グレードLiClO
4 (岸田化学製)を1mol/lの濃度で溶解した。2
5℃、−15℃でのイオン伝導度は各3.4×10-3
0.8×10-4S/cmであった。
【0041】[実施例2]精製エトキシプロピオン酸メ
チル(MEP)(徳山石油化学(株)製;水分7pp
m,誘電率5.3、沸点157.1℃)に電池グレード
LiClO4 (岸田化学製)を1mol/lの濃度で溶
解した。25℃、−15℃でのイオン伝導度は各1.7
×10-3、0.5×10-4S/cmであった。
【0042】[実施例3]精製エトキシプロピオン酸エ
チル(EEP)(徳山石油化学(株)製;水分7pp
m,誘電率4.8、沸点170.1℃)に電池グレード
LiClO4 (岸田化学製)を1mol/lの濃度で溶
解した。25℃、−15℃でのイオン伝導度は各1.0
×10-3、0.3×10-4S/cmであった。
【0043】[実施例4]精製エトキシ酢酸エチル(E
EA)(徳山石油化学(株)製;水分12ppm,誘電
率5.6、沸点156.4℃)に電池グレードLiCl
4 (岸田化学製)を1mol/lの濃度で溶解した。
25℃、−15℃でのイオン伝導度は各2.5×1
-3、0.7×10-4S/cmであった。
【0044】[実施例5]MMP(徳山石油化学(株)
製;水分10ppm,誘電率6.0、沸点141.0
℃)と精製エチレンカーボネート(EC)(三菱化学
(株)製;水分20ppm、誘電率90、沸点238
℃)との重量比1:1の混合溶媒に電池グレードLiC
lO4 (岸田化学製)を1mol/lの濃度で溶解し
た。25℃、−15℃でのイオン伝導度は各9×1
-3、2.5×10-3S/cmであった。
【0045】[比較例1]精製ジエチルカーボネート
(DEC)(三菱化学(株)製;水分10ppm,誘電
率2.8、沸点79.0℃)に電池グレードLiClO
4 (岸田化学製)を1mol/lの濃度で溶解した。2
5℃、−15℃でのイオン伝導度は各0.7×10-4
0.1×10-4S/cmであった。
【0046】[比較例2]DEC(三菱化学(株)製;
水分10ppm,誘電率2.8、沸点79.0℃)とE
C(三菱化学(株)製;水分20ppm、誘電率90、
沸点238℃)との重量比1:1の混合溶媒に電池グレ
ードLiClO4 (岸田化学製)を1mol/lの濃度
で溶解した。25℃、−15℃でのイオン伝導度は各5
×10-3、2×10-3S/cmであった。
【0047】[実施例6] <化合物の合成>
【化1】 化合物(Mw 6000 ,KOH価 27.2mg /g ) 60.00
g 及び化合物 4.5gを窒素雰囲気中でよく精製したT
HF 100mlに溶解した後、0.44g のジブチルチンジラウ
レートを添加した。その後、25℃で約15時間反応さ
せることにより、無色の粘稠液体を得た。その1H-NMR、
IR及び元素分析の結果から、化合物と化合物は1対
3で反応し、さらに、化合物のイソシアナート基が消
失し、ウレタン結合が生成しており、化合物が生成し
ていることがわかった。
【0048】[実施例7]実施例6で合成した化合物
( 水分50ppm) 1.0g、MMP(徳山石油化学(株)
製)2.0g、EC(三菱化学(株)製)1.0g、電池グレー
ドLiBF4 (森田化学製)0.4g、及びイルガキュアー
500(チバガイギー社製)0.02g をアルゴン雰囲気中
でよく混合し、重合性組成物を得た。この重合性組成物
をアルゴン雰囲気下、PET フィルム状に塗布後、水銀ラ
ンプを5分照射したところ、MMP+EC系電解液を含
浸した化合物重合体が約30μm の透明な自立フィル
ムとして得られた。このフィルムの80℃、25℃、−
30℃でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定し
たところ、それぞれ、1.2×10-2、2.5×1
-3、0.7×10-3S/cmであった。
【0049】[実施例8]LiBF4 に代えて、電池グ
レードLiPF6 (橋本化成製)0.50g 用いた以外は実
施例7と同様にして、高分子ゲル電解質を約30μm の
透明な自立フィルムとして得た。この固体電解質の80
℃、25℃、−10℃でのイオン伝導度をインピーダン
ス法にて測定したところ、1.0×10-2、3.0×1
-3、0.6×10-3S/cmであった。
【0050】[実施例9]LiClO4 に代えて、精製
テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート( T
EAB) (橋本化成製)を同モル用いた以外は実施例5
と同様にしてMMP+EC系電解液を調製した。25
℃、−15℃でのイオン伝導度は各2×10-2、3×1
-3S/cmであった。
【0051】[実施例10]LiBF4 に代えて、精製
TEAB(橋本化成製)0.80g 用いた以外は実施例7と
同様にして、MMP+EC系電解液を含浸した化合物
重合体である高分子ゲル電解質を約30μm の透明な自
立フィルムとして得た。この高分子ゲル電解質の80
℃、25℃、−30℃でのイオン伝導度をインピーダン
ス法にて測定したところ、1.1×10-2、3.5×1
-3、7×10-4S/cmであった。
【0052】[実施例11] <化合物5の合成> CH3(OCH2CH(CH3))mOH + CH2=C(CH3)COOCH2CH2NCO (化合物) (化合物) → CH3(OCH2CH(CH3))mOCONHCH2CH2OCOC(CH3)=CH2 (化合物) 化合物(平均分子量Mn=550)55g 、化合物 15.5gを
窒素雰囲気中でよく精製したTHF 100mlに溶解した
後、0.66g のジブチルチンジラウレートを添加した。そ
の後、25℃で約15時間反応させることにより、無色
の粘稠液体を得た。その1H-NMR、IR及び元素分析の結果
から、化合物と化合物は1対1で反応し、さらに、
化合物のイソシアナート基が消失し、ウレタン結合が
生成しており、化合物が生成していることがわかっ
た。
【0053】[実施例12]化合物( 水分60pp
m) 0.5g、実施例6で合成した化合物( 水分50pp
m) 0.5g、MMP(徳山石油化学(株)製)1.5g、EC
(三菱化学(株)製)1.5g、電池グレードLiBF4
(森田化学製)0.4g、及びイルガキュアー500(チバ
ガイギー社製)0.02g をアルゴン雰囲気中でよく混合
し、重合性組成物を得た。この重合性組成物をアルゴン
雰囲気下、PET フィルム状に塗布後、水銀ランプを5分
照射したところ、MMP+EC系電解液を含浸した化合
物+重合体が約30μm の透明な自立フィルムとし
て得られた。このフィルムの80℃、25℃、−30℃
でのイオン伝導度をインピーダンス法にて測定したとこ
ろ、それぞれ、1.0×10-2、3.0×10-3、8×
10-4S/cmであった。
【0054】[実施例13] 化合物:CH3(OCH2CH2)mOCOC(CH3)=CH2(日本油脂製;
ブレンマーAE−400,Mw400)0.5g、実施例6
で合成した化合物( 水分50ppm) 0.5gとMMP
(徳山石油化学(株)製)1.5g、EC(三菱化学(株)
製)1.5g、電池グレードLiBF4 (森田化学製)0.4
g、及びイルガキュアー500(チバガイギー社製)0.0
2g をアルゴン雰囲気中でよく混合し、重合性組成物を
得た。この重合性組成物をアルゴン雰囲気下、PET フィ
ルム状に塗布後、水銀ランプを5分照射したところ、M
MP+EC系電解液を含浸した化合物+重合体が約
30μm の透明な自立フィルムとして得られた。このフ
ィルムの80℃、25℃、−30℃でのイオン伝導度を
インピーダンス法にて測定したところ、それぞれ、0.
9×10-2、2.0×10-3、6×10-4S/cmであ
った。
【0055】[実施例14] <V613正極の製造>21.4g のV25 と1.95g のバ
ナジウムを良く混合後ペレット化して、アルゴン雰囲気
下、600℃で20時間焼成後、粉砕することによりV
613粉末を得た。このV613粉末とアセチレンブラ
ック、ポリフッ化ビニリデンを重量比8:1:1で混合
し、さらに過剰のN−メチルピロリドン溶液を加え、ゲ
ル状組成物を得た。この組成物を約25μmのアルミ箔
上に1cm×1cm、約200μmの厚さに塗布成型した。
さらに、約100℃ で24時間加熱真空乾燥すること
により、V613正極(60mg)を得た。
【0056】[実施例15] <Li二次電池の製造>アルゴン雰囲気グローブボック
ス内で、厚さ75μm のリチウム箔を1cm×1cmに切出
し(5.3mg )、その端部約1mm四方を5μm のポリイミ
ドフィルムでスペーサーとして被覆した。次に、リチウ
ム箔上に電解液(1.0mol/lのLiBF4/MMP+EC
(重量比1:1))を薄く塗布し、実施例7で調製した
高分子ゲル電解質フィルム(12mm×12mm)をリ
チウム箔上に貼り合わせ、さらに実施例14で製造した
613正極(1cm×1cm)に電解液(1.0mol/lの
LiBF4 /MMP+EC(重量比1:1))を含浸さ
せたものを貼り合わせ、電池端部をエポキシ樹脂で封印
し、リチウム/V613二次電池を得た。得られた電池
の断面図は図1で表される。この電池を、作動電圧2.0
〜3.2V、電流0.3mA で充放電を繰返したところ、最大放
電容量は12.0mAh で、容量が50%に減少するまでのサ
イクル寿命は180回であった。
【0057】[実施例16] <ポリアニリンの化学合成>1Lの4つ口フラスコに、
温度計、撹拌機、コンデンサ−を取り付け、1規定のH
Cl水溶液を500mL加え、窒素をバブルしながら2
0.3gのアニリンを溶解した。次いで、撹拌下、窒素
バブルしながら、11.5gの過硫酸アンモニウムを固
体のまま、約30分かけて添加した。反応温度は約22
℃に保った。添加後、さらに22時間反応させた後ろ過
し、ろ残を500mLの蒸留水で洗浄した。次いで、こ
の生成物をビーカーに移し、500mLの5%アンモニ
ア水で約1時間撹拌後、ろ過、蒸留水洗浄、減圧乾燥す
ることにより、脱ドープ状態のポリアニリン粉末を約1
6g得た。
【0058】次に、300mLの3つ口フラスコにヒド
ラジン1水和物、150mLを加え、撹拌下、窒素フロ
ーしながら、室温で上記脱ドープポリアニリン粉末を約
1時間かけて添加した。さらに、窒素フロー下、約10
時間、室温で撹拌後、窒素雰囲気中でろ過し、減圧乾燥
した。さらに、窒素雰囲気下で精製THF、精製エーテ
ルで洗浄、減圧乾燥することにより、還元状態のポリア
ニリン粉末を約14g得た。この還元状態のポリアニリ
ン粉末の元素分析値は炭素、水素、窒素の総和が98%
であり、炭素/水素/窒素の元素比は 6.00 / 4.95 /
1.01 と理論値とほぼ一致した。
【0059】[実施例17] <ポリアニリン正極の製造>実施例16で製造した還元
型ポリアニリン粉末とアセチレンブラック、ポリフッ化
ビニリデンを重量比8:1:1で混合し、さらに過剰の
N−メチルピロリドン溶液を加え、ゲル状組成物を得
た。この組成物を約25μmのアルミ箔上に1cm×1c
m、約350μmの厚さに塗布成型した。さらに、約1
00℃で24時間加熱真空乾燥することにより、ポリア
ニリン正極(50mg)を得た。
【0060】[実施例18] <Li二次電池の製造>アルゴン雰囲気グローブボック
ス内で、厚さ75μm のリチウム箔を1cm×1cmに切出
し(5.3mg )、その端部約1mm四方を5μm のポリイミ
ドフィルムで、スペーサーとして被覆した。次に、リチ
ウム箔上に電解液(1.0mol/lのLiBF4 /MMP+E
C(重量比1:1))を薄く塗布し、実施例7で調製し
た高分子ゲル電解質フィルム(12mm×12mm)を
リチウム箔上に貼り合わせ、さらに実施例17で製造し
たポリアニリン正極(1cm×1cm)に電解液(1.0m
ol/lのLiBF4 /MMP+EC(重量比1:1))を
含浸させたものを貼り合わせ、電池端部をエポキシ樹脂
で封印し、図1で表されるリチウム/ポリアニリン二次
電池を得た。この電池を、作動電圧2.0 〜4.0V、電流0.
3mA で充放電を繰返したところ、最大放電容量は6.6mAh
で、容量が50%に減少するまでのサイクル寿命は22
0回であった。
【0061】[実施例19] <黒鉛負極の製造>MCMB黒鉛(大阪ガス製)、気相
法黒鉛繊維(昭和電工(株)製;平均繊維径、0.3 μm
、平均繊維長、2.0 μm 、2700℃熱処理品)、ポ
リフッ化ビニリデンの重量比 8.6 : 0.4 : 1.0の混合物
に過剰のN−メチルピロリドン溶液を加え、ゲル状組成
物を得た。この組成物を約15μmの銅箔上に1cm×1
cm、約250μmの厚さに塗布成型した。さらに、約1
00℃で24時間加熱真空乾燥することにより、黒鉛負
極(30mg)を得た。
【0062】[実施例20] <Liイオン二次電池の製造>アルゴン雰囲気グローブ
ボックス内で、実施例19で製造した黒鉛負極に電解液
(1.0mol/lのLiBF4 /MMP+EC(重量比1:
1))を含浸させたものの端部約1mm四方を5μm のポ
リイミドフィルムで、スペーサーとして被覆した。次
に、実施例7で調製した高分子ゲル電解質フィルム(1
2mm×12mm)を黒鉛負極上に貼り合わせ、さらに
実施例17で製造したポリアニリン正極(1cm×1c
m)に電解液(1.0mol/lのLiBF4 /MMP+EC
(重量比1:1))を含浸させたものを貼り合わせ、電
池端部をエポキシ樹脂で封印し、図1で表される黒鉛/
ポリアニリン系Liイオン二次電池を得た。この電池
を、作動電圧1.8 〜3.9V、電流0.3mA で充放電を繰返し
たところ、最大放電容量は6.6mAhで、容量が50%に減
少するまでのサイクル寿命は510回であった。また、
この電池を、作動電圧1.8 〜3.9V、電流2.0mA で充放電
を繰返したところ、最大放電容量は6.5mAhで、容量が5
0%に減少するまでのサイクル寿命は410回であっ
た。
【0063】[実施例21] <Liイオン二次電池の製造>高分子ゲル電解質フィル
ム(12mm×12mm)の代りに、PP製マイクロポ
ーラスフィルムのジュラガード2500((株)ポリプ
ラスチックス製;厚み25μm,12mm×12mm)
に電解液(1.0mol/lのLiBF4 /MMP+EC(重量
比1:1))を含浸させたものを用いた以外は実施例2
0と同様にして、図1で表される黒鉛/ポリアニリン系
Liイオン二次電池を得た。この電池を、作動電圧1.8
〜3.9V、電流0.3mA で充放電を繰返したところ、最大放
電容量は6.6mAhで、容量が50%に減少するまでのサイ
クル寿命は360回であった。また、この電池を、作動
電圧1.8 〜3.9V、電流2.0mA で充放電を繰返したとこ
ろ、最大放電容量は6.5mAhで、容量が50%に減少する
までのサイクル寿命は300回であった。
【0064】[実施例22] <活性炭電極の製造>椰子がら活性炭とポリフッ化ビニ
リデンの重量比 9.0 : 1.0の混合物に過剰のN−メチル
ピロリドン溶液を加え、ゲル状組成物を得た。この組成
物をステンレス箔上に1cm×1cmの大きさで約15
0μmの厚さに塗布した。約100℃で10時間真空乾
燥し、活性炭電極(14mg)を得た。
【0065】[実施例23] <電気二重層コンデンサの製造>アルゴン雰囲気グロー
ブボックス内で、実施例22で製造した活性炭電極(14
mg)1cm×1cmに、端部約1mm四方を厚さ5μm
のポリイミドフィルムを被覆し、実施例9で調製した電
解液(1.0mol/l TEAB/MMP+EC(1:1)) を
含浸した電極を2個用意した。次に、実施例10で調製
した高分子ゲル電解質フィルム(12mm×12mm)
を一方の電極に貼り合わせ、さらにもう一枚の電極をは
り合わせ、コンデンサ端部をエポキシ樹脂で封止し、図
2に示すような電気二重層コンデンサを製造した。この
コンデンサを、作動電圧0〜2.5V、電流0.2mA
で充放電を行なったところ、最大容量は480mFであ
った。また、この条件で充放電を50回繰り返してもほ
とんど容量に変化はなかった。
【0066】上記の結果より、本発明の電解液は高イオ
ン伝導性で温度特性に優れており、本電解液を用いた高
分子ゲル電解質は、薄膜強度、温度特性が良好で、高イ
オン伝導性である。これら電解液及び/または高分子ゲ
ル電解質を電池や電気二重層コンデンサの応用した場合
に、良好な物性を示していることがわかる。
【0067】
【発明の効果】本発明の電解液はアルコキシ構造を有す
る高誘電率で使用温度範囲が広いエステル系化合物を用
いている為、高イオン伝導性で低高温特性に優れてい
る。また、本電解液を用いた高分子ゲル電解質は、高イ
オン伝導性で薄膜強度、低高温特性が良好で、耐熱性に
優れている。本発明の電解液及び/または高分子ゲル電
解質を用いた電池は高容量、高電流で作動でき、サイク
ル性が良好で、使用温度範囲が広く、安全性、信頼性に
優れた電池であり、ポータブル機器用主電源、バックア
ップ電源をはじめとする電気製品用電源、電気自動車
用、ロードレベリング用大型電源として使用可能であ
る。また、特に高分子ゲル電解質として使用する場合、
薄膜化が容易にできるので、身分証明書用カード等のペ
ーパー電池としても使用できる。
【0068】更に、本発明の電解液及び/または高分子
ゲル電解質を用いた電気二重層コンデンサは、高電圧、
高容量、高電流で作動でき、サイクル性が良好で、使用
温度範囲が広く、安全性、信頼性に優れた電気二重層コ
ンデンサであり、このためバックアップ電源だけでな
く、小型電池との併用で、各種電気製品用電源として使
用可能である。また、特に高分子ゲル電解質として使用
する場合、薄膜化等の加工性に優れており、従来の電気
二重層コンデンサの用途以外の用途にも期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池の一例として示す、薄型電池の実
施例の概略断面図である。
【図2】本発明の薄型電気二重層コンデンサの実施例の
概略断面図である。
【符号の説明】
1 正極 2 高分子固体電解質 3 負極 4 集電体 5 スペーサー 6 絶縁性樹脂封止剤 7 分極性電極 8 集電体 9 高分子固体電解質膜 10 スペーサー 11 絶縁性樹脂封止剤 12 リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 10/40 H01G 9/00 301D

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1) R1 −O−R2 −COO−R3 …(1) [式中R1 ,R3 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、
    分岐状または環状のアルキル基またはフルオロアルキル
    基を表す。R2 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、分
    岐状、環状のアルキレン基またはフルオロアルキレン基
    を表わす。]で表される鎖状エステルと電解質を含む電
    解液。
  2. 【請求項2】 鎖状エステルが下記の一般式(2) R1 −O−( CH2)3 −COO−R3 …(2) [式中R1 ,R3 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、
    分岐状または環状のアルキル基またはフルオロアルキル
    基を表す。]で表されるアルコキシプロピオン酸エステ
    ルである請求項1記載の電解液。
  3. 【請求項3】 電解質が、アルカリ金属塩、4級アンモ
    ニウム塩、4級ホスホニウム塩、または遷移金属塩から
    選ばれた少なくとも一種である請求項1または2記載の
    電解液。
  4. 【請求項4】 下記の一般式(1) R1 −O−R2 −COO−R3 …(1) [式中R1 ,R3 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、
    分岐状または環状のアルキル基またはフルオロアルキル
    基を表す。R2 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、分
    岐状、環状のアルキレン基またはフルオロアルキレン基
    を表わす。]で表される鎖状エステル、電解質及び高分
    子を含む高分子ゲル電解質。
  5. 【請求項5】 鎖状エステルが下記の一般式(2) R1 −O−( CH2)3 −COO−R3 …(2) [式中R1 ,R3 は炭素数が1以上20以下の直鎖状、
    分岐状または環状のアルキル基またはフルオロアルキル
    基を表す。]で表されるアルコキシプロピオン酸エステ
    ルである請求項4記載の高分子ゲル電解質。
  6. 【請求項6】 高分子が一般式(3) CH2=C(R4 )CO[OR5x NHCOO−R6 − …(3) [式中、R4 は水素または炭素数5以下のアルキル基を
    表わし、R5 、R6 は炭素数1以上の2価の有機基を表
    わす。該2価の有機基はヘテロ原子を含んでいてもよ
    く、直鎖状、分岐状、環状構造のいずれからなるもので
    もよい。xは0または1〜10の数値を示す。但し、同
    一化合物中の複数個の上記一般式(3)で表される重合
    性官能基中のR4 、R5 、R6 及びxの値は、それぞれ
    独立であり、同じである必要はない。]で表わされる重
    合性官能基を有する化合物であることを特徴とする請求
    項4または5記載の高分子ゲル電解質。
  7. 【請求項7】 電解質が、アルカリ金属塩、4級アンモ
    ニウム塩、4級ホスホニウム塩、または遷移金属塩から
    選ばれた少なくとも一種である請求項4〜6のいずれか
    記載の高分子ゲル電解質。
  8. 【請求項8】 請求項1〜3のいずれか記載の電解液及
    び/または請求項4〜7のいずれか記載の高分子ゲル電
    解質を用いることを特徴とする電池。
  9. 【請求項9】 電池の負極がリチウム、リチウム合金ま
    たはリチウムイオンを吸蔵放出できる炭素材料を含む電
    極からなる請求項8記載の電池。
  10. 【請求項10】 電池の正極が、導電性高分子、金属酸
    化物、金属硫化物または炭素材料を含む電極からなる請
    求項8または9記載の電池。
  11. 【請求項11】 イオン伝導性物質を介して分極性電極
    を配置した電気二重層コンデンサにおいて、イオン伝導
    性物質が、請求項1〜3のいずれか記載の電解液または
    請求項4〜7のいずれか記載の高分子ゲル電解質である
    ことを特徴とする電気二重層コンデンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002251999A (ja) * 2001-02-22 2002-09-06 Showa Denko Kk 非水電池並びに該電池に用いる電極用ペースト及び電極
JP2014123641A (ja) * 2012-12-21 2014-07-03 Taiyo Yuden Co Ltd 電気化学デバイス
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CN113966557A (zh) * 2019-09-03 2022-01-21 株式会社Lg新能源 非水性电解液和包含该电解液的锂二次电池

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