JPH1090132A - くさび状ミクロトームメスを受容するメスホルダ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ミクロトームのメスの交換時または位置方向決
め（セット）時にメスホルダの操作の簡単化を、高い機
械的安定性を維持して、達成する。 【解決手段】くさび状ミクロトームメス（５）のメスホ
ルダ（１）またはブレードホルダであって、ミクロトー
ムメス（５）のセット角調節のためメスホルダ（１）を
ベース（４）に旋回自在に軸支した形式のものに関す
る。メスホルダ（１）は、ミクロトームメス（５）の受
容のため、１つの締付ネジ（６）を有し前方へ開放した
締付ジョー（２）を有する。ミクロトームメス（５）と
締付ジョー（２）との間に押え部材（８）が設けてあ
る。ミクロトームメス（５）の固定のため、押え部材
（８）は、締付ネジ（６）と力結合されている。押え部
材（８）は、カッタメス（５）の範囲に、Ｕ字形状部
（９）を装備し、従って、締付ネジ（６）の固定力は、
ミクロトームメス（５）の２つの点に伝達される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ミクロトームメス
を受容するメスホルダに関する。特に本発明は請求項１
の前置部に記載のくさび状ミクロトームメスを受容する
メスホルダに関する。即ち、このメスホルダは、くさび
状ミクロトームメス、特に、後研磨できる超硬合金製ま
たは鋼製メスのメスホルダまたはブレードホルダ（以下
「メスホルダ」の語で代表する）であって、ミクロトー
ムメスのセット角調節のためメスホルダをベースに旋回
自在に軸支し、ミクロトームメスの受容のため、１つの
締付ネジを有し前方へ開放した締付ジョーをメスホルダ
に設け、ミクロトームメスと締付ジョーとの間に押え部
材を設け、ミクロトームメスの固定のため、押え部材を
締付ネジと力結合させた形式のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】超硬合金または鋼からなるくさび状カッ
タメスは、より長い期間にわたって使用され、単なる
“使捨てブレード”とは異なり後研磨できる。この種の
くさび状カッタメスは、そのジオメトリ（立体形状）に
もとづき極めて安定であるので、構造簡単なメスホルダ
に使用できる。これに関して、左右に対となった締付ジ
ョーを有するメスホルダは公知である。

【０００３】締付ジョーにおけるメスの固定は、それぞ
れメス背面に作用する２つのネジを介して行う。

【０００４】ブレード状カッタメス（使捨てブレード）
を受容するため、上記ブレードを内部に固定するくさび
状ホルダが知られている。上記ブレードホルダは、用例
に応じて、くさび状カッタメスの代わりにも使用でき、
この場合も、２つの締付ジョーにホルダを固定する。

【０００５】メスホルダは、カットすべき対象にカッタ
メスを調心（位置調整）するため、ベースに旋回自在に
軸支（受承）されている。この種のメスホルダは、例え
ば、ドイツ特許第２１４３５２９号に図示、説明されて
いる。

【０００６】上記の公知のメスホルダの場合、２つの締
付ジョーが、安定上の理由から、上方へ閉鎖して構成し
てあり、従って、対応するガイド部にカッタメスを導入
する作業が煩瑣であるという欠点がある。

【０００７】ドイツ特許第３４１３２５１号には、２つ
の閉じた支え以外に連続の対向支持装置を有する多部分
からなるメスホルダが記載されている。カッタメスは、
１つのメス背面で、上記対向支持装置に支持される。カ
ッタメスの固定は、偏心器を介して作動され別のメス背
面に作用する連続の締付ジョーを介して行う。

【０００８】このメスホルダによって、メスの刃の範囲
に高い安定性が達成される。この場合、しかしながら、
カットされた試料が、締付ジョー上を摺動し、かくし
て、取外すのが困難であるという問題がある。

【０００９】ドイツ特許第１９５０６８３７号には、く
さび状ミクロトームメスを受容するメスホルダであっ
て、上方へ開放しカッタメスを受容する２つの締付ジョ
ーを有する形式のものが記載されている。メス受けにカ
ッタメスを固定するため、各締付ジョーには、連続の締
付板に固定された締付ネジが設けてある。双方の締付ネ
ジをねじ込むと、締付板がメス背面に押圧されメスホル
ダにカッタメスを固定する。

【００１０】この種のメスホルダは、有効であることが
実証されており、刃の範囲の高い機械的安定性を特徴と
する。このメスホルダの場合、カットした試料をメス背
面から簡単に取外すことができる。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】試料のカット時、メス
の刃の小部分だけが使用されるのに過ぎないので、上記
部分が摩耗した場合、メスホルダ内でカッタメスを移動
する。このためには、２つの締付ネジを外し、カッタメ
スを所定量だけ移動する必要である。この場合、対象に
対するカッタメスの角度位置もメスの刃から対象までの
距離も変化しないよう処置しなければならない。上記メ
スホルダの場合、設定したメス位置を保持してメスホル
ダ内でカッタメスを移動できる。しかしながら、実際か
ら、２つの締付ネジの操作にもとづきカッタメスの移動
が困難であることが判明した。

【００１２】従って、本発明の課題は、高い機械的安定
性を維持して、メスの交換時または位置決め（セット）
時のメスホルダの操作が簡単化されるよう、ドイツ特許
第１９５０６８３７号に記載のメスホルダを改良するこ
とにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】なお、各請求項に付記し
た図面参照符号は、本発明を図示の態様に限定すること
を意図しない。

【００１４】この課題は、本発明にもとづき、請求項１
の特徴記載部分に開示の特徴によって解決される。即
ち、本発明のメスホルダにおいて、メスホルダが、締付
ネジを中央に設けた唯一つの締付ジョーを有し、押え部
材が、ミクロトームメスの範囲にＵ字形状部を有すると
共に、該押え部材が、並置されメスの刃に平行に調心さ
れた２つのノーズを有し、該Ｕ字形状部が、該２つのノ
ーズの間にメスの刃に対して平行に延び、締付ネジの固
定力が、押え部材の中心に作用し、該２つのノーズを介
してミクロトームメスに伝達されることを特徴とする。

【００１５】なお、本発明のさらなる有利な展開形態
は、従属請求項の対象として記載した。

【００１６】本発明によって、くさび状カッタメスまた
はくさび状ブレードのホルダ（「メスホルダ」）のため
の唯一つの開放した締付ジョーを有する構造簡単なメス
ホルダを高い安定度で使用できる。

【００１７】この種のメスホルダをスライド式ミクロト
ームに使用すれば有利であることが判明している。なぜ
ならば、カッタメスの有効な刃範囲に自由に到達でき、
従って、切断操作時に何らの問題も生じないからであ
る。固定を手操作の唯一つの要素（唯１つの締付ネジ）
で行うことによって、メスを迅速且つ正確に交換できま
たはメスホルダ内で移動させることができる。この場
合、Ｕ字構造の押え部材によって、固定力がメス背面の
２つの点に伝達され、かくして、カッタメスの確実な固
定が行われる。

【００１８】

【発明の実施の形態】締付ジョーは、締付ネジの受容の
ため、連続のネジ山を有することが好ましい。押え部材
は、締付ジョーに向く側の範囲に、凹みを有することが
好ましい。押え部材（８）は、押圧バネの押圧力ないし
圧縮力を介して締付ジョーに結合されていることが好ま
しい。

【００１９】メス受け部に磁石を設ければ、カッタメス
は、締付ネジを外した場合に、不測にずれないよう固定
され、所定位置に保持される。メスホルダに対し、磁石
は、メスの刃と反対側の狭いメス背面と当接する状態で
設けられることが好ましい。

【００２０】

【実施例】以下、実施例を略図を参照して詳細に説明す
る。

【００２１】図１に、締付ジョー２と締付けられたくさ
び状メス５とを含むメスホルダ１を示した。メスホルダ
１は、メスのセット角を調節するためまたは対象に対し
て調心するためベース４に旋回自在に軸支（受承）して
あり、この場合、ロック機構（図示してない）が、調節
された当該セット角（特に逃げ角）を固定する。

【００２２】操作ヘッド１３を有する締付ネジ６は、ネ
ジ山１４によって締付ジョー２を介して案内され、操作
ヘッド１３とは反対側のネジ端で押え部材８を押圧す
る。押え部材８は、Ｕ字形状に形成され、２つのノーズ
１６をその左右端部に有する。カッタメス５は、並置さ
れた双方のノーズ１６とメス受け部７との間において、
締付ジョー２に固定され、この場合、メスの刃１２に対
向するメス背面１１は、磁石１０に当接する。メスホル
ダ１内でカッタメス５を位置方向決め（セット）する
際、磁石１０によってカッタメスの所定位置が達成され
る。

【００２３】押え部材８は、固定ネジ１７によって締付
ジョー２に固定された押圧バネ３と力結合されている。
押圧バネ３は、ミクロトームメス５の交換時、押え部材
８を定位置に保持する。

【００２４】図２に、図１の線Ａ−Ａに沿うカッタメス
１の断面図を示した。押え部材８は、締付ジョー２が係
合する凹み１５を有する。この構成によって、締付ネジ
６のねじ込み時に締付ジョー２に対する押え部材８の側
方へのズレが阻止される。締付ネジ８は、その自由端で
押え部材８を押圧する。この圧力は、Ｕ字形状部９また
は平行に並置された一対のノーズ１６を介してカッタメ
ス５の背面に伝達される。この場合、他のメス背面は、
メス受け部（ないしメス受け面）７に支持される。

【００２５】本発明の対象の場合、メスホルダ１にカッ
タメス５を固定する際、唯一つの締付ネジ６を作動する
だけでよい。２つの締付ネジを有するカッタメスの場合
は、スペース上の理由から、操作ヘッドを小さく選択
（設計）しなければならず、従って、操作者にとってト
ルク印加操作がやり難くなる。本発明の対象の場合、更
に、唯一つの締付ネジの利点以外に、人間工学的改善が
達成される。

【００２６】かくして得られるメスホルダ１の構成にも
とづき、カッタメス１内にカッタメス５の大きい移動範
囲が得られ、従って、メスの刃１２の最適な利用が可能
となる。この種のメスホルダは、構造寸法が小さいの
で、スライド式ミクロトームに有利に使用できる。この
場合、メスのまさに有効な刃範囲は、メスホルダ外にあ
るので、メスホルダを簡単に且つ邪魔されずにスライド
させることが可能である。

【００２７】実施例で説明したカッタメスを薄いブレー
ドのそれ自体は公知のくさび状ブレードホルダと交換す
ることは、本発明の枠内にある。

【００２８】

【発明の効果】本発明により、高い機械的安定性を維持
して、メスの交換時またはその位置方向決め時、即ち、
セット時のメスホルダの操作が、極めて簡単化される。
即ち、１つの締付ネジの操作のみにより、迅速且つ正確
にメスの交換ができかつ、メスのメスホルダでの移動
（スライド）ができる（請求項１）。

【００２９】本発明の各従属請求項の構成により、さら
に夫々付加的な利点が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、締付ジョーを組込んだメスホルダの断
面図である。

【図２】図２は、図１の線Ａ−Ａに沿う断面図である。

【符号の説明】

１ メスホルダ ２ 締付ジョー ３ 押圧バネ ４ ベース ５ くさび状メス ６ 締付ネジ ７ ２のメス受け ８ 押え部材 ９ ８のＵ字形状部 １０ 磁石 １１ 狭いメス背面 １２ メスの刃 １３ ６の操作ヘッド １４ ６のネジ山 １５ ８の凹み １６ ８のノーズ １７ ２に３を固定する固定ネジ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】くさび状ミクロトームメス（５）のメスホ
   ルダ（１）またはブレードホルダ（以下「メスホルダ」
   の語で代表する）であって、ミクロトームメス（５）の
   セット角調節のためメスホルダ（１）をベース（４）に
   旋回自在に軸支し、ミクロトームメス（５）の受容のた
   め、１つの締付ネジ（６）を有し前方へ開放した締付ジ
   ョー（２）をメスホルダ（１）に設け、ミクロトームメ
   ス（５）と締付ジョー（２）との間に押え部材（８）を
   設け、ミクロトームメス（５）の固定のため、押え部材
   （８）を締付ネジ（６）と力結合させた形式のものにお
   いて、 メスホルダ（１）が、締付ネジ（６）を中央に設けた唯
   一つの締付ジョー（２）を有し、 押え部材（８）が、ミクロトームメス（５）の範囲にＵ
   字形状部（９）を有すると共に、該押え部材（８）が、
   並置されメスの刃に平行に調心された２つのノーズ（１
   ６）を有し、 該Ｕ字形状部（９）が、該２つのノーズ（１６）の間に
   メスの刃（１２）に対して平行に延び、 締付ネジ（６）の固定力が、押え部材（８）の中心に作
   用し、該２つのノーズ（１６）を介してミクロトームメ
   ス（５）に伝達されることを特徴とするメスホルダ。
2. 【請求項２】該締付ジョー（２）が、締付ネジ（６）の
   受容のため、連続のネジ山（１４）を有することを特徴
   とする請求項１に記載のメスホルダ。
3. 【請求項３】該押え部材（８）が、締付ジョー（２）に
   向く側の範囲に、凹み（１５）を有することを特徴とす
   る請求項１または請求項２に記載のメスホルダ。
4. 【請求項４】該押え部材（８）が、押圧バネ（３）を介
   して締付ジョー（２）に結合されていることを特徴とす
   る請求項３に記載のメスホルダ。
5. 【請求項５】該メスホルダ（１）には、磁石（１０）
   が、メスの刃（１２）と反対側の狭いメス背面（１１）
   と当接する状態で設けてあることを特徴とする請求項１
   〜４に記載のメスホルダ。