JPH1087261A - 重量物の反転・芯出し装置および反転・芯出し方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、重量物の形状を問わず、反転できる
とともに、反転するときに、重量物の落下を防止できる
重量物の反転・芯出し装置を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 本発明に係る重量物の反転・芯出し装置
は、（Ａ）クレーンにより吊り下げられた天秤フレーム
１と、（Ｂ）天秤フレーム１の長手方向に搭載した４個
のホイスト（３ａ、３ｂ、６ａ、６ｂ）と、（Ｃ）前記
４個のホイストのうち、天秤フレーム１の両端側の２個
のホイスト（３ａ、３ｂ）のワイヤロープ先端を重量物
（Ｗ）に回して天秤フレーム下部に取り付ける係合片
と、（Ｄ）天秤フレーム１の中央側２個のホイスト（６
ａ、６ｂ）のワイヤロープ先端を重量物に取り付けた係
合片に係合できるようにしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、クレーンにより重
量物を吊り下げて反転及び芯出しを行う重量物の反転・
芯出し装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の重量物の反転装置を図５〜図６に
示す。重量物、例えば大型の金型、橋桁、ボイラ、管寄
せ等の重量物は、溶接、組み立て、据え付け等のため
に、横倒しにするか、裏返しに反転させるかし、必要に
応じて芯出しを行う必要がある。

【０００３】図５〜図６において、１０１は、クレーン
（図示せず）により吊り下げられた天秤クレーン、１０
２ａ、１０２ｂは、同天秤クレーン１０１の長手方向に
取付金具を介して取付けられた２つの反転機本体、１０
５は、同反転機構本休１０２ａ、１０２ｂに取付けられ
たモータ、１０６、１０７は、同モータにより駆動され
る減速歯車、１０８は、同減速歯車１０７により駆動さ
れるスプロケット、１０４ａ、１０４ｂは、上記反転機
構本休１０２ａ、１０２ｂのスプロケット１０７に噛合
した２本のチェーン、１０３ａ、１０３ｂは、重量物を
包持する２本のワイヤで、ワイヤ１０３ａ、１０３ｂの
両側上端部が上記チェーン１０４ａ、１０４ｂの両側下
端部に取付けられたフックに係合している。

【０００４】上記重量物の反転装置では、反転機構本体
１０２ａ、１０２ｂのモータ１０５を駆動して、その回
転を減速歯車１０６、１０７を介してスプロケット１０
７に伝え、チェーン１０４ａ、１０４ｂとワイヤ１０３
ａ、１０３ｂとを矢印方向に駆動して、重量物を矢印方
向に回転、反転させるようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の重量物
の反転装置には、次のような問題がある。 （１）前記図５、図６に示す従来の重量物の反転装置で
は、重量物が偏荷重物の場合、反転時に重量物の重心位
置が移動し、それに伴い重量物が大きく揺れて、建屋４
の柱や反転場所近くの工作機械等に衝突して、これらが
損傷する。 （２）また場合によっては、重量物が大きくバランスを
崩し、重量物を包持しているワイヤ１０３ａ、１０３ｂ
が重量物から外れて、重量物が落下ずる等の危険があつ
た。 （３）特に、重量物が丸いものではワイヤが滑って全く
反転できない。 （４）また、ワイヤ１０３ａ、１０３ｂにより重量物を
包持しているに過ぎないので、重量物の長手方向の傾き
角を変化させて、芯出し作業を行うことができない。 （５）さらに反転装置の重量物の吊り代が大きく、反転
後仮り置きしてクレーンから天秤クレーンを取り外して
重量物に玉掛けしなおして、再度吊り上げて据え付ける
必要があり、手間がかかり能率が悪い。

【０００６】本発明は前記の問題点を解決する装置、す
なわち、（１）重量物の揺動に基づく建屋等の損傷を防
止でき、（２）重量物の落下を防止でき、（３）重量物
の芯出し作業を行うことができる、重量物の反転・芯出
し装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

（第１の手段）本発明に係る重量物の反転・芯出し装置
は、（Ａ）クレーンにより吊り下げられた天秤フレーム
と、（Ｂ）前記天秤フレームの長手方向に搭載した４個
のホイストと、（Ｃ）前記４個のホイストのうち、天秤
フレームの両端側の２個のホイストのワイヤロープ先端
を重量物に回して天秤フレーム下部に取り付ける係合片
と、（Ｄ）前記天秤フレームの中央側２個のホイストの
ワイヤロープ先端を重量物に取り付けた係合片に係合で
きるようにしたことを特徴とする。 （第２の手段）本発明に係る重量物の反転・芯出し装置
は、第１の手段において、ホイストの代わりにチェーン
ブロック、または、ウインチを使用することを特徴とす
る。 （第３の手段）本発明に係る重量物の反転・芯出し方法
は、（Ａ）クレーンにより吊り下げられた天秤フレーム
と、前記天秤フレームの長手方向に搭載した４個のホイ
ストを有する揚重機構を具えた重量物の反転・芯出し装
置の、天秤フレームの両端側の２個のホイストのワイヤ
ロープで重量物を巻くことにより、重量物の支持と芯出
しを行い、（Ｂ）前記天秤フレームの中央側２個のホイ
ストのワイヤロープを互いに逆巻きにして、ワイヤロー
プの先端を重量物に取り付けた係合片に係合し、（Ｃ）
中央側２個のホイストの１方のワイヤロ−プを巻き上
げ、他方のワイヤロ−プを巻き下げることにより重量物
反転を行うことを特徴とする。 （第４の手段）本発明に係る重量物の反転・芯出し方法
は、第３の手段において、ホイストの代わりにチェーン
ブロック、または、ウインチを使用することを特徴とす
る。

【０００８】したがって、次のように作用する。 （１）本発明の重量物の反転・芯出し装置のクレーンＣ
により天秤フレーム１を吊り下げ、 （２）天秤フレームの長手方向上面に搭載した４個以上
のホイストのうち、両端側の２個のホイストのワイヤロ
ープを重量物に巻掛けてその重量を支持し、 （３）中央側２個のホイストの内、１方のホイストのワ
イヤロープを左巻きにして吊り管（吊りピース）に係合
させ、他方の１個のホイストのワイヤロ一プを右巻きに
して同じ吊り管に係合させた後、（ａ）中央側２個のホ
イストの内、１方のホイストのワイヤロープを巻き上げ
ながら、他方のホイストのワイヤロープを巻き下げるこ
とにより、重量物を安定的に反転させ、（ｂ）両端側の
２個のホイストの内、１方のホイストのワイヤロープを
巻き上げ、他方のホイストのワイヤロープを巻き下げ
（例えば左側を巻き上げ、右側を巻き下げる）、（ｃ）
かつ中央側２個のホイストのワイヤロープも比例的に巻
き上げ、巻き下げ追従させることにより、重量物の長手
方向の傾き角を変化させて芯出しを行う。

【０００９】

【発明の実施の形態】

（第１の実施の形態）本発明の第１の実施の形態を図１
〜図４に示す。図１は、本発明の第１の実施の形態に係
る重量物の反転・芯出し装置の側面図。

【００１０】図２は、本発明の第１の実施の形態の係る
重量物の反転・芯出し装置の上面図。図３は、図２のイ
ーイ、ローロ、ハーハに沿う断面図。

【００１１】図４は、本発明の第１の実施の形態の係る
重量物の反転・芯出し装置の作用説明図である。図１〜
図４において、１は、本発明装置本体の直線状Ｉ型ビー
ムの天秤フレームで、天秤フレーム１の中央部上面には
係合片２ａと、２ｂが溶接により固定されている。

【００１２】Ｃは、親クレーンのフック、ｗｌ、ｗ２
は、親クレーンのフツクＣと上記係合片２ａ、２ｂとに
係合したワイヤロープで、親クレーンにより天秤フレー
ム１が吊り下げられている。

【００１３】３ａ、３ｂは、天秤フレーム１の長手方向
上部の両端に搭載した吊り上げ芯出し用ホイスト、４
ａ、４ｂは、吊り上げ芯出し用ホイストのワイヤロー
プ、５ａ、５ｂは、前記ワイヤロープの取り付け係合
片、６ａ、６ｂは、天秤フレーム１の長手方向上部の中
央側に搭載した反転用ホイスト、７ａ、７ｂは、反転用
ホイストのワイヤロープ、Ｗは、重量物（管寄せ）、Ｔ
は、管台、Ｐは、管台の中央部で、かつ管寄せの重心よ
り外側に取付けた係合管である。

【００１４】次に、図４の手順図に基づき、前記図１〜
図３に示す重量物の反転・芯出し装置の作用を、具体的
に説明する。この例は、ボイラの管寄せを、現地にて梱
包状態（管台が傷つかないように上向きにしている）か
ら反転・芯出して吊り上げ据え付ける作業である。 （ａ）クレーンのフックＣからのワイヤｗｌ、ｗ２を係
合片２ａ．２ｂに係合して天秤フレーム１を吊り下げ、 （ｂ）天秤フレーム１の両端側に搭載した芯出し用ホイ
スト３ａ、３ｂから降ろしたワイヤロープ４ａ、４ｂ
を、管寄せに巻いて、他端を係合片５ａ、５ｂに係合す
る。 （ｂ）次に反転用ホイスト６ａから降ろしたワイヤロー
プ７ａを左巻きに回して係合管Ｐに係合させるととも
に、同じ反転用ホイスト６ｂから降ろしたワイヤロープ
７ｂを右巻きに回して係合管Ｐに係合させた後、図４
（１）のように、両端側のホイスト３ａ、３ｂのワイヤ
ロープ４ａ、４ｂを巻き上げて管寄せＷの重量を支持
し、ホイスト６ａ、６ｂのワイヤロープ７ａ、７ｂを張
る。

【００１５】図４（２）〜（５）のように、ワイヤロー
プ７ａを巻き上げながら、７ｂを巻き下げ、管寄せを１
８０゜反転する。図４（６）のように、ホイスト３ａ、
３ｂのワイヤロープ４ａ、４ｂを巻き上げ、かつホイス
ト６ａ、６ｂのワイヤロープ７ａ、７ｂを連動して巻き
上げて管寄せを管台長さ分吊り上げる。 （ｃ）この後、ワイヤロープ４ａまたは４ｂを少し巻き
上げて管寄せ長手方向の傾きを調整して芯出しし、 （ｄ）さらにワイヤロープ７ａ、７ｂを調整して反転の
ズレを最終微修正する。 （ｅ）この後、親クレーンＣで全体を吊り上げ所定位置
に据え付ける。 （ｆ）この過程で、重量物（管寄せ）は、ワイヤロープ
４ａと、４ｂにより支持されているので、反転中の落下
はなく、反転はワイヤロープ７ａ、７ｂで重量物に直接
係合し、互いに引っ張りをかけながら行うので安定して
できる。 （ｇ）上記実施の形態ではホイストを使用しているが、
チェーンブロックを用いてもよい。

【００１６】

【発明の効果】本発明は前述のように構成されているの
で、以下に記載するような効果を奏する。 （１）本発明により、重量物の形状を問わず、例えば丸
物でも反転できる。 （２）反転するとき、重量物の落下を防止でき、安全で
ある。 （３）さらに重量物の芯出し作業をも行うことができる （４）親クレーンから重量物までの吊り代を短くできる
とともに、据え付けまでの作業を一環してできるため、
能率が上がる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態に係る重量物の反転
・芯出し装置の側面図。

【図２】本発明の第１の実施の形態の係る重量物の反転
・芯出し装置の上面図。

【図３】図１の矢視イーイ、ローロ、ハーハに沿う断面
図。

【図４】本発明の第１の実施の形態の係る重量物の反転
・芯出し装置の作用説明図。

【図５】従来の反転装置の正面図。

【図６】従来の反転装置の側面図。

【符号の説明】

１…天秤フレーム ２ａ、２ｂ…係合片（ワイヤロープｗｌ、ｗ２の取り付
け係合片）、 ３ａ、３ｂ…ホイスト（天秤フレームの長手方向上部両
端搭載の吊り上げ芯出し用ホイスト） ４ａ、４ｂ…ワイヤロープ（吊り上げ芯出し用ホイスト
のワイヤロープ）、 ５ａ、５ｂ…係合片（ワイヤロープ４ａ、４ｂの取り付
け係合片）、 ６ａ、６ｂ…ホイスト（天秤フレームの長手方向上部中
央側搭載の反転用ホイスト）、 ７ａ、７ｂ…ワイヤロープ（反転用ホイストのワイヤロ
ープ）、 ８ａ、８ｂ…係合片（ワイヤロープ７ａ、７ｂの取り付
け係合片）、 １０１…クレーン １０２…反転機構本体 １０３…ワイヤ １０４…チェーン １０５…モータ １０６…減速歯車 １０７…減速歯車 １０８…スプロケット Ｃ…親クレーンフック ｗ１…ワイヤロープ ｗ２…ワイヤロープ Ｗ…重量物 Ｔ…管台 Ｐ…係合管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中口 治 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目１番１ 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】（Ａ）クレーンにより吊り下げられた天秤
   フレーム（１）と、（Ｂ）前記天秤フレーム（１）の長
   手方向に搭載した４個のホイスト（３ａ、３ｂ、６ａ、
   ６ｂ）と、（Ｃ）前記４個のホイストのうち、天秤フレ
   ーム（１）の両端側の２個のホイスト（３ａ、３ｂ）の
   ワイヤロープ先端を重量物（Ｗ）に回して天秤フレーム
   下部に取り付ける係合片と、（Ｄ）天秤フレーム（１）
   の中央側２個のホイスト（６ａ、６ｂ）のワイヤロープ
   先端を重量物に取り付けた係合片に係合できるようにし
   たことを特徴とする重量物の反転・芯出し装置。
2. 【請求項２】ホイストの代わりにチェーンブロック、ま
   たは、ウインチを使用することを特徴とする請求項１記
   載の重量物の反転・芯出し装置。
3. 【請求項３】（Ａ）クレーンにより吊り下げられた天秤
   フレーム（１）と、前記天秤フレーム（１）の長手方向
   に搭載した４個のホイスト（３ａ、３ｂ、６ａ、６ｂ）
   を有する揚重機構を具えた重量物の反転・芯出し装置
   の、天秤フレーム（１）の両端側の２個のホイスト（３
   ａ、３ｂ）のワイヤロープで重量物（Ｗ）を巻くことに
   より、重量物の支持と芯出しを行い、（Ｂ）前記天秤フ
   レーム（１）の中央側２個のホイスト（６ａ、６ｂ）の
   ワイヤロープを互いに逆巻きにして、ワイヤロープの先
   端を重量物に取り付けた係合片に係合し、（Ｃ）前記中
   央側２個のホイスト（６ａ、６ｂ）の１方のワイヤロ−
   プを巻き上げ、他方のワイヤロ−プを巻き下げることに
   より重量物の反転を行うことを特徴とする重量物の反転
   ・芯出し方法。
4. 【請求項４】ホイストの代わりにチェーンブロック、ま
   たは、ウインチを使用することを特徴とする請求項４記
   載の重量物の反転・芯出し方法。