JPH1084138A - R−Fe−B系焼結熱電変換素子とその製造方法 - Google Patents

R−Fe−B系焼結熱電変換素子とその製造方法

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JPH1084138A
JPH1084138A JP8257463A JP25746396A JPH1084138A JP H1084138 A JPH1084138 A JP H1084138A JP 8257463 A JP8257463 A JP 8257463A JP 25746396 A JP25746396 A JP 25746396A JP H1084138 A JPH1084138 A JP H1084138A
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Osamu Yamashita
治 山下
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Hitachi Metals Ltd
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の半導体的電気特性を示す熱電変換素子
に代わり、高い熱起電力と高い電流値を発生することが
可能であり、ゼーべック効果の高い結晶方位の選択が容
易な熱電変換素子とその製造方法を提供を目的とする。 【解決手段】 R−Fe−B系焼結体の電気良導体であ
るR2Fe14B金属間化合物中のFeの一部をSi、G
e、Coで置換することにより高い熱起電力が発生し、
しかも高い電流値が得られ、C面内に結晶方位を選択す
ることにより一層高い熱起電力と電流値が得られ、特に
ゼーべック効果の高いC面内の方位を選択的に選ぶこと
ができる利点があり、高価で機械加工を必要とする単結
晶に比べて粉末冶金的に簡単に制御、作製できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、従来の半導体的
電気特性を示す熱電変換素子に代わる新規なR−Fe−
B系焼結熱電変換素子に係り、金属的電気伝導を示すR
2Fe14B結晶構造を有するR2Fe14B系金属間化合物
からなるR2Fe14B特有の磁気異方性を利用してC軸
異方性の焼結体を粉末冶金的に作製し、その方位を利用
して熱起電力と電流値を向上させたR−Fe−B系焼結
熱電変換素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱電変換素子は、最近の産業界において
要求の高い熱エネルギーの有効活用の観点から実用化が
期待されているデバイスであり、例えば、排熱を利用し
て電気エネルギーに変換するシステムや、屋外で簡単に
電気を得るための小型携帯用発電装置、ガス機器の炎セ
ンサー等、非常に広範囲の用途が検討されている。
【0003】しかし、いままでに知られている熱電変換
素子は、一般に熱電変換素子の変換効率が低く、かつ使
用温度範囲が非常に狭いことや製造方法が煩雑でありコ
ストが高い等の理由から汎用されるには至っていない。
【0004】現在、変換効率をできる限り上げるため
に、半金属(As、Sb、Bi、C)やカルコゲン元素
(S、Se、Te)をSi、Geの半導体あるいは遷移
金属(Fe、Co、Mn等)に添加した化合物を中心に
研究されているが、これらの化合物では熱起電力は向上
するが、そもそもは電気的に半導体特性を示すために、
高い電流値が得られにくい短所がある。従って半導体を
用いた熱電変換素子ではその変換効率にも自ずと限界が
あり、特に高い熱電変換効率を実現するのは困難な状況
である。
【0005】また、今まで研究されてきた熱電変換素子
用の材料はほとんど多結晶体であり、特にゼーべック効
果の高い特定の結晶方位を選択することができず、結晶
方位の選択は価格の高い単結晶を利用するしか方法はな
く、変換効率の向上と用途拡大を妨げる要因にもなって
いる。さらに従来材においては、一般に化学的に有毒な
元素が多く含まれていると同時に、価格の高い元素が多
く、地球環境的にもコスト的にも量産には適していない
状況である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】熱電変換素子の熱起電
力は、原理的には熱電材料の一端を高温に熱し、他端を
低温にした時の温度差によって決まる。このような熱電
変換素子材料の研究は、主に半導体及び半導体特性を示
す金属間化合物を中心に行われてきた。その理由は、金
属や半金属に比べて熱伝導率が低く抑えられることと、
各種添加物を添加することによりドナーレベルあるいは
アクセプターレベルで比較的高いエネルギー状態密度が
得られやすいので高いゼーべック効果が得られる利点が
あるためである。
【0007】しかし前述したように、半導体では電気抵
抗が金属に比べてかなり高いために、高い熱起電力は得
られても高い電流値は得にくいという致命的な欠陥があ
るのも事実である。また、半導体的特性を示す金属間化
合物のほとんどは多結晶体であるために、ゼーべック効
果の高い結晶方位の選択は困難である。
【0008】この発明は、従来の半導体的電気特性を示
す熱電変換素子に代わる新規で、高い熱起電力と高い電
流値を発生することが可能であり、ゼーべック効果の高
い結晶方位の選択が容易な熱電変換素子とその製造方法
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、熱電変換素
子において、できる限り高い電流値を得るために、金属
的伝導を示す金属間化合物を中心に、しかも結晶の対称
性の低い結晶構造を種々検討した結果、R2Fe14
(但しRはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)
の結晶構造を有する金属間化合物が最も高い熱起電力と
高い電流値を発生することを知見した。
【0010】すなわち、R2Fe14B自体は、金属的伝
導を示しかつ結晶構造はC軸方向に対してFeのみの2
重層とFe−Nd−Bの層の繰り返し構造になってお
り、結晶学的には非常に対称性の低い結晶構造を有し、
このFeのみの2重層中のFeの3d電子のフェルミエ
ネルギー(εf)でのエネルギー状態密度は、特にC面
内方向では非常に高くなっている。このためにR2Fe
14Bの焼結体は、金属的伝導を示すにもかかわらず、従
来の半導体並みの高い熱起電力を示す。
【0011】また、R2Fe14B金属間化合物は、Fe
の一部を特に熱電能の高いSi、Ge、Bi、Co、N
i等で置換することも可能であり、これらの添加物の添
加量によって熱伝導率や熱起電力、電気抵抗等の制御も
可能になる。
【0012】さらに、R2Fe14Bは、粉末冶金的に焼
結体を作製することが可能であり、溶解塊を微粉砕した
後に磁場中で成形、焼結することによりC軸の揃った焼
結体を作製することができるために、特にゼーべック効
果の高いC面内の方位を選択的に選ぶことができる利点
があり、高価で機械加工を必要とする単結晶に比べて粉
末冶金的に簡単に制御、作製できることが最大の長所で
ある。
【0013】すなわち、発明者らは、電気良導体である
2Fe14B金属間化合物中のFeの一部をSi、G
e、Coで置換することにより高い熱起電力が発生し、
しかも高い電流値が得られること、さらにC面内に結晶
方位を選択することにより一層高い熱起電力と電流値が
得られることを知見し、この発明を完成した。
【0014】この発明は、R(但しRはYを含む希土類
元素のうち少なくとも1種)、B、あるいはさらにS
i、Ge、Biのうち少なくとも1種を含有し、Fe及
び遷移金属元素を含み、R2Fe14B結晶構造を主相と
したC軸異方性の焼結体からなり、例えば、熱電特性の
高いC面内の方位を温度勾配の高い方向に設定して使用
するR−Fe−B系焼結熱電変換素子である。
【0015】また、この発明は、R−Fe−B系合金粉
末に水とバインダーを添加・撹拌してスラリー状とな
し、該スラリーをスプレードライヤー装置により造粒し
た造粒粉を磁場中で成形した後、粉末冶金法にてC軸異
方性の焼結体を作製する上記のR−Fe−B系焼結熱電
変換素子の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明によるR−Fe−B系焼
結熱電変換素子並びに原料合金粉末の組成において、R
は、Yを含む希土類元素のうち少なくとも1種からな
り、Nd、Prが好ましい。Rは、11原子%未満では
合金溶製時に晶出するα−Fe相が増加し、20原子%
を超えると、Rリッチ相(例えばR3Co相やRFe4
4相)が増加し、高い熱起電力を有するR2Fe14B相の
体積比が相対的に減少し熱起電力が低下するために、1
1原子%〜20原子%の範囲が好ましい。
【0017】Bは、4原子%未満では合金粉末中のR2
Fe14B相の体積比が相対的に減少して焼結後に高い焼
結密度が得られず熱起電力も低下し、また、12原子%
を超えると、同様にR2Fe14B相の体積比が相対的に
減少してすぐれた熱電変換素子が得られないため、Bは
4原子%〜12原子%の範囲が好ましい。
【0018】この発明において、熱電能の高いSi、G
e、Biの添加は、Feと置換するためであり、その含
有量は置換可能な15原子%までが好ましく、特に置換
しなくても熱電素子としても充分な熱電特性を有するの
で特に下限は規定しない。また、熱電能の高いCo、N
i等の遷移金属元素については、基本的にFeと置換可
能であるが、30原子%を超えるとC軸異方性が小さく
なり、磁場中でプレス成形してもC軸配向した成形体が
得られなくなるので、Fe以外の遷移金属元素の添加含
有量は30原子%までとし、特に下限は規定しない。
【0019】残部はFe及び不可避的不純物からなり、
Feは53原子%〜85原子%の範囲が好ましい、Fe
は53原子%未満では磁性合金粉末としてキュリー点が
室温以下になり、成形時に磁場を印加してもC軸の揃っ
た異方性の成形体が得られなくなり、また85原子%を
超えると、希土類元素RとBが少なくなって焼結密度が
低下する。
【0020】また、R2Fe14B相を主相とする合金粉
末は、希土類元素を含有する金属間化合物相が酸化し易
く、また酸化すると焼結密度が低下するために、粉末の
耐食性と焼結密度の向上のために、上記合金粉末にT
i、V、Nb、Ta、Cr、W、Mn、Sn、Zr、H
f、Ca、Mg、Sr、Baのうち少なくとも1種を添
加含有させることが好ましく、また、磁場中成形時のC
軸配向度を向上させるために、Cu、Al、Moのうち
少なくとも1種を添加含有させて保磁力を向上させるこ
とが好ましい。これら添加元素は合計量で10原子%以
下が望ましく、添加元素に応じて合計量を5原子%以
下、3原子%以下等適宜選定することが望ましい。
【0021】この発明の熱電変換素子用のR−Fe−B
系合金粉末において、該合金粉末の平均粒径が1μm未
満では合金粉末の表面積が増大し酸化して焼結後の焼結
密度が低下するため好ましくなく、また、5μmを超え
る平均粒径では粒径が大きすぎて焼結密度が95%程度
で飽和し、該密度の向上が望めないため、平均粒径は1
〜5μmの範囲が好ましい。
【0022】粉末冶金法にてR−Fe−B系焼結熱電変
換素子を作製する場合、まず溶解塊をジョークラッシャ
ミル等により粗砕した後、ディスクミル等で粗粉砕して
ジェットミル粉砕することにより微粉末を作製し、単純
形状であれば、そのまま磁場中でプレス成形、焼結する
ことにより、この発明による熱電変換素子の作製は可能
である。
【0023】しかし、薄物形状やより複雑な形状の熱電
変換素子を作製する場合は、該微粉末をスプレードライ
ヤー装置等により造粒粉となしてプレス成形する以下の
方法が好ましい。この発明の熱電変換素子用の平均粒径
1〜5μmのR−Fe−B系合金微粉末に、水と水に溶
解したポリビニールアルコールあるいはメチルセルロー
スを添加し、撹拌してスラリー状にした後、スプレード
ライヤー装置で造粒することにより、平均粒径20〜1
50μmの流動性の高い球形状の造粒粉が得られ、該造
粒粉を用いて磁場中でプレス成形した後、水素中で脱バ
インダーすることによりバインダー中の炭素をほぼ脱炭
し、さらに真空中で昇温して焼結することによって焼結
密度の高い、複雑形状のR−Fe−B系焼結熱電変換素
子を作製することができる。
【0024】この発明において、R−Fe−B系合金粉
末をスラリー状にするために添加するバインダーとし
て、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニ
ルアルコールのうち少なくとも1種からなるものが好ま
しく、これらは少量の添加でスラリーの粘度を向上させ
ることができると共に乾燥後においても高い結合力を保
持することができ、また、添加量が少量で十分なため、
粉末中の残留酸素量、炭素量を低減することができる。
【0025】バインダーとして、上記の有機物をそれぞ
れ単独で用いる場合の含有量は、0.05wt%未満で
は造粒粉内の粒子間の結合力が弱く、成形前の給粉時に
造粒粉が壊れるとともに粉体の流動性が著しく低下し、
また、0.5wt%を越えると、焼結体における残留炭
素量と酸素量が増加して保磁力が下がり磁気特性が劣化
するので、0.05wt%〜0.5wt%の含有量がこ
れらの点で好ましい。また、上記の有機物をそれぞれ複
合して用いる場合は、上記と同様な理由により、0.0
5wt%〜0.4wt%が好ましい範囲である。
【0026】この発明において、バインダーに加える水
の含有量は、20wt%未満では合金粉末とバインダー
とを混練したスラリーの濃度が高くなって、粘度が増加
し過ぎるため、該スラリーを後述する撹拌機からスプレ
ードライヤー装置まで供給することができず、また、5
0wt%を越えるとスラリーの濃度が低くなり過ぎ、撹
拌機内及び撹拌機のスラリー供給パイプ内で沈殿が起こ
り、供給量が不安定になるとともにスプレードライヤー
装置によって得られる造粒粉の平均粒度が小さくなりす
ぎ、さらに粒度にバラツキを生じるため、20〜50w
t%が好ましい範囲である。
【0027】水としては、希土類成分との反応を極力抑
制するために、脱酸素処理した純水、あるいは窒素など
の不活性ガスをバブリング処理した水を用いることが望
ましい。また、合金粉末へのバインダーの添加、撹拌
は、予め該温度に冷却した水を用いたり、撹拌容器を冷
却水などによって冷却する手段などを採用することによ
り、0℃〜15℃の温度範囲内で行うことが好ましく、
合金粉末と水との酸化反応をより抑制することができ
る。
【0028】スプレードライヤー装置を用いた造粒粉の
製造方法を説明すると、スラリー撹拌機からスラリーを
ベーン型、ケスナー型、ピン型等種々の回転ディスク型
スプレードライヤー装置に供給する、装置のスラリー収
納部内あるいは造粒粉の回収部内を不活性ガスなどで置
換でき、かつその酸素濃度を常時3%以下に保持できる
密閉構造内で、回転ディスクの遠心力で噴霧したり、加
圧ノズル先端部で霧状に噴霧され、噴霧された液滴は、
60〜150℃に加熱された窒素ガスやアルゴンガスな
どの不活性ガスの熱風によって瞬時に乾燥されて造粒粉
となり、回収部内の下部に自然落下する。
【0029】得られる造粒粉の粒度は、スプレードライ
ヤー装置へ供給するスラリーの濃度やその供給量、ある
いは回転ディスクの回転数によって制御することができ
るが、例えば、希土類含有合金造粒粉の平均粒径が10
μm未満では、造粒粉の流動性がほとんど向上せず、ま
た、平均粒径が400μmを超えると、粒径が大きすぎ
て成形時の金型内への充填密度が低下するとともに成形
体密度も低下し、ひいては、焼結後の焼結体密度の低下
を来たすこととなるため好ましくなく、よって、造粒粉
の平均粒径は10〜400μmが好ましい。さらに好ま
しくは40〜200μmである。
【0030】また、ふるいによりアンダーカット、オー
バーカットを行うことにより、さらに極めて流動性に富
んだ造粒粉を得ることができる。さらに、得られた造粒
粉にステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ス
テアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ほ
う酸エステル類等の潤滑剤を少量添加することにより、
さらに流動性を高めることも可能である。
【0031】上述造粒粉を用いて焼結体を製造する工
程、すなわち、成形、焼結、熱処理など条件、方法は公
知のいずれの粉末冶金的手段を採用することができる。
以下に好ましい条件の一例を示す。成形は、公知のいず
れの成形方法も採用できるが、圧縮成形で行なうことが
最も好ましく、その圧力は、0.1〜2.0ton/c
2が好ましい。また、磁場を印加して成形する場合の
磁場強度としては10〜20kOeが好ましい範囲であ
る。焼結前には、真空中で加熱する一般的な方法や、水
素流気中で100〜200℃/時間で昇温し、300〜
600℃で1〜2時間程度保持する方法などにより脱バ
インダー処理を行なうことが好ましい。脱バインダー処
理を施すことにより、バインダー中のほぼ全炭素が脱炭
される。
【0032】なお、R元素を含む合金粉末は、水素を吸
蔵しやすいために、水素流気中での脱バインダー処理後
には脱水素処理工程を行なうことが好ましい。脱水素処
理は、真空中で昇温速度は、50〜200℃/時間で昇
温し、500〜800℃で1〜2時間程度保持すること
により、吸蔵されていた水素はほぼ完全に除去される。
また、脱水素処理後は、引き続いて昇温加熱して焼結を
行うことが好ましく、500℃を超えてからの昇温速度
は任意に選定すればよく、例えば100〜300℃/時
間など、焼結に際して取られる公知の昇温方法を採用で
きる。
【0033】R−Fe−B系焼結熱電変換素子は、酸化
しやすいために焼結後にNiめっき、アルミクロメート
等により表面被覆する必要がある。また、使用温度帯域
としては高温部を500℃以下で低温部は室温以下でも
良く、熱伝導率が比較的良好なために低温部を水冷もし
くは空冷、さらに低温にする場合は液体窒素で冷却する
と熱電変換効率は飛躍的に向上する。
【0034】熱電変換素子としての使用方法は、半導体
の場合と違ってR−Fe−B系熱電変換素子はN型のみ
のためPN接合はできないが、原理的には棒状の端部を
高温側にして他端部を低温側にするような使い方が最も
好ましい。
【0035】
【実施例】
実施例1 表1に示す組成からなる合金塊をArガス中で高周波加
熱溶解して作製したボタン状溶製合金を粗粉砕した後、
ディスクミル粉砕機により平均粒径約15μmに粗粉砕
し、さらにジェットミル粉砕により微粉砕して得た平均
粒径3μmの原料粉末に、表2に示す添加量のバインダ
ー、水、添加物を添加してスラリー状にした後、スプレ
ードライヤー装置により造粒した。
【0036】得られた造粒粉を用い、15kOeの磁場
中で50mm×10mm×10mmの直方体を磁場方向
10mmと磁場方向50mmの方向でプレス成形した。
この成形体を水素中で500℃まで昇温速度150℃/
時間で昇温し、500℃で水素をArガスで置換した
後、真空中で昇温速度200℃/時間で1100℃まで
昇温し、1100℃で2時間保持して焼結した。
【0037】焼結後Niめっきで表面被覆した後、それ
ぞれ端部に銀ロウで電極付けをしてこの発明によるR−
Fe−B系焼結熱電変換素子を作製した。得られた熱電
変換素子の直方体の長手方向の一端を450℃、他端部
を50℃にして温度差400℃での熱電変換素子の熱起
電力と電流値を測定した。測定結果を表3に示す。な
お、熱電変換素子の熱起電力と電流値は、熱電素子の高
温部をヒーターで加熱し、低温部を水で冷却しながら、
熱起電力をデジタルマルチメータ一で測定し、電流値は
電気抵抗2Ωの抵抗体と電流計を直列に接続して測定し
た。
【0038】比較例1 半導体の電変換素子の熱起電力と電流値と比較するため
に、珪素(Si)にAlを0.003wt%添加したP
型半導体、珪素(Si)にPを0.003wt%添加し
たN型半導体、鉄珪化物(FeSi2)にMnを3wt
%添加したP型半導体、さらに鉄珪化物(FeSi2
にCoをlwt%添加したN型半導体のバルクを使用し
て実施例1と同一条件で熱起電力と電流値を測定した測
定結果を表3に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】表3に示すごとく、R−Fe−B系焼結熱
電変換素子の熱起電力と電流値は、従来の半導体のそれ
らより著しく高い値を示し、熱電変換素子として非常に
有用な材料であることが明らかである。
【0043】
【発明の効果】この発明によるR−Fe−B系焼結熱電
変換素子は、従来の半導体的電気特性を示す熱電変換素
子とは異なり、金属的電気伝導を示すR2Fe14B結晶
構造を有するR2Fe14B系金属間化合物を用いてR2
14B相特有の磁気異方性を利用しC軸異方性の焼結体
となすもので、結晶方位をゼーべック効果の高いC面内
で自由に選択することが可能であり、従来に比較して一
層高い熱起電力と電流値が得られ、またさらに熱電能の
高いSi、Ge、Bi、Coを添加することにより、熱
電変換素子として極めて高い熱起電力と高い電流値を発
生する。また、この発明によるR−Fe−B系焼結熱電
変換素子は、化学的に有毒な元素を含有しないために地
球環境的にも安全であり、C軸異方性の焼結体を粉末冶
金的に作製することが容易で、量産に適している利点が
ある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 R(但しRはYを含む希土類元素のうち
    少なくとも1種)、B、Fe及び遷移金属元素を含み、
    2Fe14B結晶構造を主相としたC軸異方性の焼結体
    からなるR−Fe−B系焼結熱電変換素子。
  2. 【請求項2】 R(但しRはYを含む希土類元素のうち
    少なくとも1種)、B、さらにSi、Ge、Biのうち
    少なくとも1種を含有し、Fe及び遷移金属元素を含
    み、R2Fe14B結晶構造を主相としたC軸異方性の焼
    結体からなり、熱電特性の高いC面内の方位を温度勾配
    の高い方向に設定して使用するR−Fe−B系焼結熱電
    変換素子。
  3. 【請求項3】 R−Fe−B系合金粉末に水とバインダ
    ーを添加・撹拌してスラリー状となし、該スラリーをス
    プレードライヤー装置により造粒した造粒粉を磁場中で
    成形した後、粉末冶金法にてC軸異方性の焼結体を作製
    する請求項1または請求項2に記載のR−Fe−B系焼
    結熱電変換素子の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7955442B2 (en) 2003-11-18 2011-06-07 Tdk Corporation Method for producing sintered magnet and alloy for sintered magnet
JP2013102002A (ja) * 2011-11-07 2013-05-23 Daido Steel Co Ltd ホイスラー型鉄系熱電材料及びその製造方法
JP2020150054A (ja) * 2019-03-12 2020-09-17 日立金属株式会社 熱電変換材料の製造方法

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