JPH1075395A - 画像処理方法および装置 - Google Patents

画像処理方法および装置

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JPH1075395A
JPH1075395A JP8182155A JP18215596A JPH1075395A JP H1075395 A JPH1075395 A JP H1075395A JP 8182155 A JP8182155 A JP 8182155A JP 18215596 A JP18215596 A JP 18215596A JP H1075395 A JPH1075395 A JP H1075395A
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雅彦 山田
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    • GPHYSICS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボケマスク処理を行う画像処理方法および装
置において、エッジ部近傍に発生するアーチファクトを
防止する。 【解決手段】 ボケ画像信号作成手段1において、入力
された原画像信号Sorg に基づいて互いに周波数応答特
性が異なる多重解像度のボケ画像信号Susk (k=1〜
n)を作成し、帯域制限画像信号作成手段2においてボ
ケ画像信号Susk に基づいて複数の帯域制限画像信号を
作成する。変換手段3において、帯域制限画像信号のう
ち少なくとも1つの信号について、少なくとも一部を小
さくするような変換処理を施し、積算手段4において、
変換された帯域制限画像信号を積算して積算信号を作成
する。そして、周波数強調処理手段5において、積算信
号に所定の強調係数を乗じて原画像信号Sorg と加算す
ることにより、原画像の高周波成分が強調された処理済
画像Sprocを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像信号に対して、
この画像信号の高周波成分を強調する非鮮鋭マスク処理
(いわゆるボケマスク処理)を行う画像処理方法および
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】画像を表す画像信号を得、この画像信号
に適切な画像処理を施した後、画像を再生表示すること
が種々の分野で行われている。例えば、放射線画像の診
断性能を向上させるために、画像信号に対して非鮮鋭マ
スク(以下ボケマスクという)を用いて周波数強調処理
を施す方法が本出願人により提案されている(特開昭55
-163472 号公報、特開昭55-87953号公報等)。この周波
数強調処理は、読み取った原画像信号Sorg に、この原
画像信号Sorg から非鮮鋭マスク画像信号(以下ボケ画
像信号という)Susを引いたものに強調係数βを乗じた
ものを加える処理を施すもので、これにより、画像にお
いて所定の空間周波数成分を強調するようにしたもので
ある。これを式で表すと下記の式(1)のようになる。
【0003】 Sproc=Sorg +β×(Sorg −Sus) …(1) (Sproc:周波数強調処理された信号、Sorg :原画像
信号、Sus:ボケ画像信号、β:強調係数) ここで、ボケ画像信号Susは、例えば画像を構成する画
素の1画素おきに、各画素の周囲のM×Nの範囲内の原
画像信号Sorg について、 Sus=ΣSorg /(M×N) …(2) なる演算を行うことにより求められる。
【0004】また、いわゆる断層撮影法(たとえば、特
開昭58-67245号公報参照)により得られた放射線画像
(断層撮影画像)中の観察の対象となる中央領域におい
て、撮影対象とされた断層面以外に存在する放射線透過
量の大きく変化した部分の像が記録シートの移動方向に
沿って生ずる障害陰影(以下これを流れ像と称する)を
除去するための画像処理方法も行われている(たとえば
特開平3-276265号等)。この方法は、断層撮影により得
られた放射線画像の画像信号のうち、流れ像に対応する
低空間周波数成分を除去することにより、流れ像が除去
された画像を生成するようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記周波数強調処理で
は、画像の濃度が急激に変化しているエッジ部の近傍に
おいてボケ画像信号を作成する場合、図42に示すように
M×Nのマスク内にエッジ部が含まれてしまうため、そ
のボケ画像信号がエッジ部の濃度に影響されてしまい、
このボケ画像信号により処理が行われた画像に、オーバ
ーシュート、アンダーシュートあるいは偽輪郭などのア
ーチファクトが発生し、これにより画質が低下してしま
うという問題がある。これは、上述した断層撮影により
画像に発生する流れ像を除去するためにボケマスク処理
を行う場合にも同様に発生する問題である。
【0006】本発明は上記事情に鑑み、エッジ部近傍に
アーチファクトが発生することなく、良好な処理済画像
を得るボケマスク処理を行うことができる画像処理方法
および装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の画像処理方法お
よび装置は、原画像を表す原画像信号に、該原画像の高
周波成分に関する信号を加算することにより、該原画像
の高周波成分を強調する画像処理方法において、前記原
画像信号に基づいて、互いに周波数応答特性が異なる複
数の非鮮鋭マスク画像信号を作成し、前記原画像信号お
よび前記複数の非鮮鋭マスク画像信号、または前記複数
の非鮮鋭マスク画像信号に基づいて、前記原画像信号の
複数の周波数帯域ごとの信号を表す複数の帯域制限画像
信号を作成し、該各帯域制限画像信号のうち少なくとも
1つの信号について、該帯域制限画像信号の少なくとも
一部を小さくするような変換処理を施して複数の変換画
像信号を作成し、該各変換画像信号を積算することによ
り前記原画像信号に加算する前記高周波成分に関する信
号を得ることを特徴とするものである。
【0008】前記複数の変換画像信号の作成は、前記帯
域制限画像信号の絶対値が所定の閾値より大きい帯域制
限画像信号について、該帯域制限画像信号の絶対値を小
さくするように、該各帯域制限画像信号を変換すること
により行うことが望ましい。この際、前記各帯域制限画
像信号が所定の閾値より大きいほど該帯域制限画像信号
の絶対値を小さくするとともに、前記各帯域制限画像信
号の絶対値が該所定の閾値よりも小さい他の閾値よりも
小さいほど該帯域制限画像信号の絶対値を小さくするよ
うに、該各帯域制限画像信号を変換することにより行っ
てもよい。また、前記各帯域制限画像信号の周波数帯域
に応じて該各帯域制限画像信号の絶対値の大きさを変化
させるように、該各帯域制限画像信号を変換することに
より行ってもよい。
【0009】また、前記複数の変換画像信号の作成は、
前記各帯域制限画像信号を、前記周波数帯域ごとに異な
る複数の関数に基づいて、該帯域制限画像信号の絶対値
に基づいて決まる該絶対値以下の値となるように変換す
ることにより行ってもよい。この際、前記変換画像信号
の作成に使用される各関数は、前記帯域制限画像信号の
絶対値が所定の値より大きい帯域制限画像信号について
は、該変換画像信号の値がほぼ一定の値となるように該
帯域制限画像信号を変換する関数であり、該関数が高周
波帯域を処理する関数であるほど、前記所定の値が小さ
い値であることが望ましい。さらに、前記変換画像信号
の作成に使用される各関数は、該関数が低周波帯域を処
理する関数であるほど、前記帯域制限画像信号の絶対値
が0近傍の所定の範囲内の値である帯域制限画像信号を
変換した際に得られる該変換画像信号の絶対値が小さい
値であることが望ましい。
【0010】なお、前記帯域制限画像信号の作成、前記
変換画像信号の作成、前記高周波成分に関する信号の作
成、および該高周波成分に関する信号の前記原画像信号
への加算は、具体的には、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)+f2(Sus1 −Sus2)+… +fk(Susk-1−Susk )+…+fN(SusN-1−SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) にしたがって行うことが望ましい。
【0011】あるいは、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN ) =(1/N)・{f1(Sorg −Sus1)+f2(Sorg −Sus2)+… +fk(Sorg −Susk)+…+fN(Sorg −SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) にしたがって行ってもよい。
【0012】また、前記複数の変換画像信号を、前記帯
域制限画像信号の絶対値が所定の閾値より大きい帯域制
限画像信号について、該帯域制限画像信号の絶対値を小
さくするように、該各帯域制限画像信号を変換すること
により作成する場合には、前記帯域制限画像信号の作
成、前記変換画像信号の作成、前記高周波成分に関する
信号の作成、および該高周波成分に関する信号の前記原
画像信号への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sus1,Sus2,…SusN ) ={f2(Sus1 −Sus2)+f3(Sus2 −Sus3)+… +fk(Susk-1 −Susk)+…+fN(SusN-1 −SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=2〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) にしたがって行ってもよい。
【0013】あるいは、同様に、前記複数の変換画像信
号を、前記帯域制限画像信号の絶対値が所定の閾値より
大きい帯域制限画像信号について、該帯域制限画像信号
の絶対値を小さくするように、該各帯域制限画像信号を
変換することにより作成する場合には、上記処理を下記
の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sus1,Sus2,…SusN ) =(1/N)・{f2(Sus1 −Sus2)+f3(Sus1 −Sus3)+… +fk(Sus1 −Susk)+…+fN(Sus1 −SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=2〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) にしたがって行ってもよい。
【0014】さらには、上記の変換画像信号の作成は、
全て、前記各帯域制限画像信号に対して、前記強調係数
に応じた変換処理を施すことにより行ってもよい。この
際、この変換処理は、前記各周波数帯域ごとに異なる変
換処理であって、前記帯域制限画像信号の周波数帯域が
低周波帯域であるほど、該帯域制限画像信号を強く抑制
するような変換処理であり、前記強調係数が大きいとき
ほど、高周波帯域の帯域制限画像信号に対する抑制の度
合いと、低周波帯域の帯域制限画像信号に対する抑制の
度合いの差が大きいことが望ましい。
【0015】さらに、前記複数の変換画像信号の作成
は、前記帯域制限画像信号を、該帯域制限画像信号の絶
対値に基づいて決まる該絶対値以下の値となるように変
換することにより抑制画像信号を作成し、前記原画像信
号および前記複数の非鮮鋭マスク画像信号に基づいて、
前記抑制画像信号の作成に使用された帯域制限画像信号
よりも低い周波数帯域の信号を含む補助画像信号を作成
し、該補助画像信号を、該補助画像信号の絶対値が小さ
いほど1に近く、大きいほど0に近い値となるように変
換することにより前記抑制画像信号にそれぞれ対応する
倍率信号を作成し、前記抑制画像信号に、該抑制画像信
号に対応する前記倍率信号を乗ずることにより行っても
よい。
【0016】これは、具体的には、前記帯域制限画像信
号の作成、前記変換画像信号の作成、前記積算信号の作
成、および該積算信号の前記原画像信号への加算を、下
記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)・g(Sus1−Sus2) +f2(Sus1 −Sus2)・g(Sus2−Sus3)+… +fk(Susk-1−Susk )・g(Susk−Susk+1)+… +fN(SusN-1−SusN)・g(SusN−SusN+1)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換して前記
抑制信号を作成するための関数 g:前記各補助画像信号を変換して前記倍率信号を作成
するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) にしたがって行うことが望ましい。
【0017】あるいは、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)・g(Sorg−Sus2) +f2(Sus1 −Sus2)・g(Sorg−Sus3)+… +fk(Susk-1−Susk )・g(Sorg−Susk+1)+… +fN(SusN-1−SusN)・g(Sorg−SusN+1)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換して前記
抑制信号を作成するための関数 g:前記各補助画像信号を変換して前記倍率信号を作成
するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) にしたがって行ってもよい。
【0018】さらに、前記複数の変換画像信号の作成
は、変換される帯域制限画像信号である被変換帯域制限
画像信号よりも低い周波数帯域の帯域制限画像信号であ
る低周波側帯域制限画像信号を、原点をとおり該原点に
おける傾きがほぼ0で、処理される値が大きくなるにつ
れて該傾きが漸増する非線形関数に基づいて変換するこ
とにより前記被変換帯域制限画像信号の補助画像信号を
作成し、該補助画像信号を前記被変換帯域制限画像信号
に加算することにより複合帯域制限画像信号を作成し、
該複合帯域制限画像信号を、該複合帯域制限画像信号の
絶対値に基づいて決まる該絶対値以下の値となるように
変換することにより行ってもよい。
【0019】具体的には、前記帯域制限画像信号の作
成、前記変換画像信号の作成、前記積算信号の作成、お
よび該積算信号の前記原画像信号への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) =[f1{(Sorg −Sus1)+g(Sus1−Sus2)} +f2{(Sus1 −Sus2)+g(Sus2−Sus3)}+… +fk{(Susk-1−Susk )+g(Susk−Susk+1)}+… +fN{(SusN-1−SusN)+g(SusN−SusN+1)}] (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各複合帯域制限画像信号を変換する
ための関数 g:前記各帯域制限画像信号を変換して前記補助画像信
号を作成するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) にしたがって行うことが望ましい。
【0020】また、上記変換画像信号の作成は、全て、
前記原画像を撮影した際の撮影部位に応じて、前記各帯
域制限画像信号を変換することにより行うことが望まし
い。
【0021】さらに、前記原画像が断層撮影により得ら
れた流れ像を含むものである場合には、前記複数の非鮮
鋭マスク画像信号の作成を、前記原画像信号に対して該
流れ像の方向に沿う1次元非鮮鋭マスクによりマスク処
理を施すことにより行うことが望ましい。
【0022】
【発明の効果】本発明による画像処理方法および装置
は、互いに周波数応答特性が異なる複数の非鮮鋭マスク
画像信号を作成し、この非鮮鋭マスク画像信号から原画
像信号の複数の周波数帯域ごとの信号を表す複数の帯域
制限画像信号を作成する。この各帯域制限画像信号は、
複数の非鮮鋭マスク画像信号の周波数特性に応じて、原
画像をこの周波数特性に対応した周波数帯域の信号とし
て表すものとなる。ここで、この帯域制限画像信号は、
原画像の濃度変化が比較的小さいいわゆる平坦部におい
ては、各周波数帯域において値は小さくなるものであ
る。これに対して、濃度が急激に変化するエッジ部近傍
においては、帯域制限画像信号が比較的低周波数帯域で
ある場合、すなわち非鮮鋭マスク画像信号を得る際の非
鮮鋭マスクのサイズが比較的大きい場合は、そのエッジ
部近傍の画素については、非鮮鋭マスクにエッジ部が含
まれてしまうため、帯域制限画像信号がエッジ部の影響
を受けて信号値の絶対値が比較的大きなものとなる。こ
のように、本来エッジ部でない部分がエッジ部の濃度値
の影響を受けることにより、画像処理を行うことにより
得られた画像のエッジ部にはオーバーシュート、アンダ
ーシュートなどのアーチファクトが発生してしまう。
【0023】本発明はこの点に鑑みてなされたものであ
り、各帯域制限画像信号のうち少なくとも1つの信号に
ついて、該帯域制限画像信号の少なくとも一部を小さく
するような変換処理を施して、この変換された各帯域制
限画像信号を積算することにより、原画像信号に加算す
るための高周波成分に関する信号を得るようにしたもの
である。このため、比較的信号値の絶対値の大きい帯域
制限画像信号は、原画像信号に加算するための高周波成
分に関する信号に対する影響力が小さくなり実質的の非
鮮鋭マスクのサイズを小さくしたものと同様の信号とな
る。そしてこれにより、濃度が急激に変化するエッジ部
近傍においても、アーチファクトの原因となる信号は影
響力が弱められるため、処理を施すことにより得られる
画像をアーチファクトのない良好なものとすることがで
きる。
【0024】この際、帯域制限画像信号の変換方法とし
て、帯域制限画像信号の絶対値が所定の閾値よりも大き
い場合に、この絶対値が小さくなるように帯域制限画像
信号を変換することにより、特に大きな信号の影響力を
弱めることができる。あるいは帯域制限画像信号の絶対
値が所定の閾値よりも小さい他の閾値よりも小さいほど
この帯域制限画像信号の絶対値を小さくするように補正
する方法を用いれば、画像中においてノイズと見なせる
ような信号値の絶対値の小さい成分のレスポンスを小さ
くすることができ、これにより得られる画像のノイズを
低減することができる。また、帯域制限画像信号の周波
数帯域に応じて帯域制限画像信号の絶対値を変化させる
ように変換することにより、周波数帯域に応じた強調処
理を行うことも可能となる。
【0025】また、閾値よりも大きいか否かによらず、
周波数帯域に応じて異なる非線形関数によって変換処理
を施せば、より適切な処理を施すことが可能となり、こ
れにより、画像処理により生成される処理済画像信号の
全体の周波数特性を自在にコントロールすることもでき
る。これは、上記アーチファクトのみならず、周波数帯
域の境界に発生する階段状のアーチファクトをも抑制す
るという効果を有する。
【0026】あるいは、変換する帯域制限画像信号より
も低い周波数帯域の画像信号を用いて、2種類の信号を
加算あるいは乗算するなどして変換画像信号を作成する
ことにより、上記階段状のアーチファクトをさらに抑制
し、より滑らかな画像信号を作成して良好な処理済画像
を得ることができる。さらに、原画像を得た際の撮影部
位に応じてこのような変換を行うことにより、各撮影部
位に適した高周波成分の強調を行うことができる。
【0027】また、上述したように断層撮影を行うこと
により得られる流れ像を除去するために、非鮮鋭マスク
処理を行う方法が提案されているが(特開平3-276265
号)、この場合においても、急激に濃度が変化するエッ
ジ部の近傍においてアーチファクトが発生するという問
題がある。この場合、流れ像を除去するためには非鮮鋭
マスクを1次元として非鮮鋭マスク画像信号を得て非鮮
鋭マスク処理を行うものであるが、この非鮮鋭マスク画
像信号を得る際に、互いに周波数応答特性が異なる複数
の非鮮鋭マスク画像信号を得、これに基づいて上述した
ような帯域制限画像信号を得、この帯域制限画像信号の
絶対値が比較的大きい場合は、その絶対値が小さくなる
ように変換してその後の処理を行うことにより、流れ像
を除去するとともにアーチファクトのない良好な画像を
得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1は本発明による画像処
理装置の概念を表す図である。図1に示すように本発明
による画像処理装置は、入力された原画像信号Sorg に
基づいて互いに周波数応答特性が異なる多重解像度のボ
ケ画像信号Susk (k=1〜n)を作成するボケ画像信
号作成手段1と、ボケ画像信号作成手段1において作成
されたボケ画像信号Susk に基づいて複数の帯域制限画
像信号を作成する帯域制限画像信号作成手段2と、帯域
制限画像信号作成手段2において作成された複数の帯域
制限画像信号のうち少なくとも1つの信号について、該
帯域制限画像信号の少なくとも一部を小さくするような
変換処理を施す変換手段3と、変換された帯域制限画像
信号を積算して積算信号を作成する積算手段4と、積算
信号に所定の強調係数を乗じて原画像信号Sorg と加算
することにより、原画像の高周波成分が強調された処理
済画像Sprocを得る周波数強調処理手段5とからなる。
【0029】はじめに、ボケ画像信号作成手段1におい
て行われる処理について説明する。図2はボケ画像信号
作成手段1の処理を示すブロック図である。図2に示す
ように原画像を表すデジタルの原画像信号Sorgがフィ
ルタリング処理手段10においてローパスフィルタにより
フィルタリングされる。このローパスフィルタとして
は、例えば図3に示すような5×1のグリッド状の1次
元ガウス分布に略対応したフィルタFを用いることがで
きる。このフィルタFは下記の式(3)
【0030】
【数1】
【0031】において、σ=1としたものである。ここ
で、フィルタFとしてガウス信号を用いるのは、ガウス
信号は周波数空間および実空間の双方において、局在性
がよいためである。
【0032】そして、このフィルタFにより原画像の画
素のx方向およびy方向に対してフィルタリング処理を
施すことにより、原画像信号Sorg 全体に対してフィル
タリング処理が施される。
【0033】フィルタリング処理手段10においては、こ
のようなフィルタFにより以下のようにしてフィルタリ
ング処理が施される。図4はフィルタリング処理の詳細
を表す図である。図4に示すように、原画像信号Sorg
に対し、図3に示すフィルタFにより1画素おきにフィ
ルタリング処理が施される。そしてこのフィルタリング
処理により、フィルタリング処理画像信号B1が得られ
る。このフィルタリング処理画像信号B1は、原画像に
対するサイズが1/4(x方向、y方向にそれぞれ1/
2)となっている。次いで、再度フィルタFによりフィ
ルタリング処理画像信号B1に対して1画素おきにフィ
ルタリング処理が施される。そしてこのようなフィルタ
Fによるフィルタリング処理が繰り返し施されることに
より、n個のフィルタリング処理画像信号Bk (k=1〜
n)が得られる。このフィルタリング処理画像信号Bk
は、原画像に対してサイズが1/22kとなっている。こ
の際、フィルタリング処理画像信号Bk の周波数特性は
図5に示されるようなものとなる。図5に示されるよう
にフィルタリング処理画像信号Bk のレスポンスはkが
大きいほど高周波成分が除去されたものとなっている
(但し、図5においてはk=1〜3としている)。
【0034】なお、上記実施の形態においては、図3に
示す1次元フィルタFにより、原画像のx方向およびy
方向に対してフィルタリング処理が施されるようになっ
ているが、図6に示すような5×5の2次元フィルタに
より原画像信号Sorg およびフィルタリング処理画像信
号に対して一度にフィルタリング処理が施されるように
してもよい。
【0035】次いで、このようにして得られたフィルタ
リング処理画像信号Bk に対して図2に示される補間演
算処理手段11において補間演算処理が施され、これによ
り原画像と同一の大きさの多重解像度のボケ画像が得ら
れる。以下この補間演算処理について説明する。
【0036】補間演算の方法としては、Bスプラインに
よる方法など種々の方法が挙げられるが、本発明による
実施の形態においては、ローパスフィルタとしてガウス
信号に基づくフィルタFを用いているため、補間演算を
行うための補間係数としてもガウス信号を用いるものと
する。ここで、ガウス信号を用いた補間係数とは、下記
の式(4)
【0037】
【数2】
【0038】において、σ=2k-1と近似したものを用
いる。
【0039】フィルタリング処理画像信号B1 を補間す
る際には、k=1であるためσ=1となる。上記式
(4)において、σ=1としたときの補間を行うための
フィルタは、図7に示すように5×1の1次元フィルタ
となる。まずフィルタリング処理画像信号B1 に対して
1画素おきに値が0の画素を1つずつ補間することによ
りフィルタリング処理画像信号B1 が原画像と同一のサ
イズに拡大される。このように値が0の画素が補間され
たフィルタリング処理画像信号B1 を1次元的に図8に
示す。そして、この補間されたフィルタリング処理画像
信号B1 に対して上述した図7に示すフィルタF1 によ
りフィルタリング処理が施される。
【0040】ここで、図7に示すフィルタF1 は5×1
のフィルタであるが、図8に示すようにフィルタリング
処理画像信号B1 は1画素おきに値が0の画素が補間さ
れている。したがって、フィルタリング処理画像B1
対してフィルタF1 により施されるフィルタリング処理
は、実質的には2×1のフィルタ(0.5, 0.5)および3
×1のフィルタ(0.1, 0.8, 0.1)の2種類のフィルタ
により、施されるフィルタリング処理と等価なものとな
る。そしてこのフィルタリング処理により、原画像信号
Sorg と同一データ数、すなわち原画像と同一サイズの
ボケ画像の信号Sus1が得られる。
【0041】次いで、フィルタリング処理画像信号B2
に対してフィルタリング処理が施される。フィルタリン
グ処理画像信号B2 を補間する際には、k=2であるた
め、σ=2となる。上記式(4)において、σ=2とし
たときの補間を行うためのフィルタは、図9に示すよう
に11×1の1次元フィルタとなる。そして、まずフィ
ルタリング処理画像信号B2 に対して図11のように1画
素おきに値が0の画素を3つずつ補間することによりフ
ィルタリング処理画像信号B2 が原画像と同一のサイズ
に拡大される。値が0の画素が補間されたこのフィルタ
リング処理画像信号B2 に対して上述した図9に示すフ
ィルタF2 によるフィルタリング処理が施される。
【0042】ここで、図9に示すフィルタF2 は11×
1のフィルタであるが、図10に示すようにフィルタリン
グ処理画像信号B2 は1画素おきに値が0の画素が3つ
ずつ補間されている。したがって、フィルタリング処理
画像信号B2 に対してフィルタF2 により施されるフィ
ルタリング処理は、実質的には2×1のフィルタ(0.5,
0.5)および3×1のフィルタ(0.3, 0.65, 0.05)、
(0.13, 0.74, 0.13)および(0.05, 0.65, 0.3)の4
種類のフィルタにより施されるフィルタリング処理と等
価なものとなる。そしてこのフィルタリング処理によ
り、原画像信号Sorg と同一データ数のボケ画像信号S
us2が得られる。
【0043】そしてこのようなフィルタリング処理が全
てのフィルタリング処理画像信号Bk に対して行われ
る。フィルタリング処理画像信号Bk を補間する際に
は、上記式(4)に基づいて、3×2k −1の長さのフ
ィルタを作成し、フィルタリング処理画像信号Bk の各
画素の間に値が0の画素を2k −1個ずつ補間すること
により、原画像と同一サイズに拡大する。この値が0の
画素が補間されたフィルタリング処理画像信号Bk に対
して3×2k −1の長さのフィルタにより、フィルタリ
ング処理が行われる。
【0044】ここで、この3×2k −1の長さのフィル
タにより施されるフィルタリング処理は、2k 周期で長
さが2または3のフィルタにより施されるフィルタリン
グ処理と等価なものとなる。そしてこのフィルタリング
処理により、n個のボケ画像信号Susk が得られる。こ
のボケ画像信号Susk を可視像として表すと、結果とし
てそれぞれ解像度が異なる、すなわち周波数応答特性が
異なる多重解像度のボケ画像となる。このように、フィ
ルタは長くなるものの、実質的には長さが2または3の
フィルタによりフィルタリング処理を施していることと
同様であるため、演算量は、フィルタが長くなろうとも
それほど多くはならないものである。このため、演算量
を減らして、多重解像度のボケ画像信号Susk を高速に
作成することが可能となる。
【0045】なお、本実施の形態においては、長さが3
×2k −1の1次元のフィルタにより画像のx方向およ
びy方向にフィルタリング処理が施されるようになって
いるが、予め2次元状のフィルタを作成しておき、この
フィルタによりフィルタリング処理画像に対するフィル
タリング処理を施すことにより、ボケ画像信号Suskが
得られるようにしてもよい。この場合、フィルタリング
処理画像に対して、補間演算を行うためのフィルタリン
グ処理に使用するフィルタは、(3×2k −1)×(3
×2k −1)のフィルタとなるが、上述した1次元のフ
ィルタを用いる場合と同様に、これは2k 周期で2×2
または3×3のフィルタにより施されるフィルタリング
処理と等価なものとなり、上述した1次元フィルタを用
いる場合と同様に、フィルタのサイズが大きくなって
も、フィルタリング処理を行うための演算量は実質的に
はそれほど大きくならないものである。
【0046】このようにして得られたボケ画像信号Sus
k の周波数特性を図11に示す。図11に示すように、ボケ
画像信号Susk のkの値が大きくなるほど、原画像信号
Sorg の高周波成分が除去された信号となる。
【0047】図12は、上記図2のボケ画像信号作成手段
を含む本発明の画像処理装置の一実施の形態について、
その全体の構成を示す図であるが、この図に示されるよ
うに、ボケ画像信号作成手段1において生成された各ボ
ケ画像信号は、次に、帯域制限画像信号作成手段2およ
び変換手段3において処理される。図12に示すように、
まず、原画像信号Sorgおよびボケ画像信号作成手段1
において作成された複数のボケ画像信号Susk に基づい
て帯域制限画像信号が作成されるが、この帯域制限画像
信号は減算器21により、互いに隣接する周波数帯域同士
のボケ画像信号Susk の減算を行うことにより得られ
る。すなわち、Sorg −Sus1 、Sus1 −Sus2 、…S
usN-1 −SusN を順次計算することにより、複数の帯域
制限画像信号が求められる。この帯域制限画像信号の周
波数特性を図13に示す。図13に示すように、帯域制限画
像信号はボケ画像信号Susk のkの値が大きくなるほ
ど、原画像信号Sorg の低周波数成分の帯域を表す信号
となる。
【0048】次いで、変換手段3において、このように
して求められた帯域制限画像信号をこの帯域制限画像信
号の信号に応じて変換する。この変換は変換器22におい
て、例えば図14に示すような関数fにより行う。この関
数fは、帯域制限画像信号の絶対値が閾値Th1よりも
小さい場合は傾きが1であり、閾値Th1よりも大きい
場合は傾きが1よりも小さくなるような関数である。こ
の関数は、各帯域制限画像信号において同一のものであ
ってもよいが、各信号ごとに異なるものであってもよ
い。
【0049】このような関数fにより変換された帯域制
限画像信号は、上述した積算手段4および周波数強調処
理手段5を内包する演算器23に入力される。この演算器
23においては下記のような処理が行われる。まず、上述
したように関数fにより変換された帯域制限画像信号は
積算される。そしてこの積算信号が求められると、周波
数強調処理手段5において原画像信号Sorg の値に応じ
た強調度βが乗じられ、さらにこの強調度βが乗じられ
た積算信号が原画像信号Sorg と加算されて処理済画像
信号Sprocが得られる。
【0050】以上の帯域制限画像信号作成手段2、変換
手段3、積算手段4および周波数強調処理手段5におい
て行われる処理を下記の式(5)に示す。
【0051】 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)+f2(Sus1 −Sus2)+… +fk(Susk-1−Susk )+…+fN(SusN-1−SusN)}…(5 ) (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) このようにして得られた処理済画像信号Sprocは、例え
ば図15に示すような周波数応答特性を有するものとな
る。すなわち、上述した帯域制限画像信号は、原画像の
濃度変化が比較的小さいいわゆる平坦部においては、各
周波数帯域において信号値の絶対値は小さくなるもので
ある。これに対して、濃度が急激に変化するエッジ部近
傍においては、帯域制限画像信号が比較的低周波数帯域
である場合、すなわちボケ画像信号Susk を得る際のマ
スクのサイズが比較的大きい場合は、図42に示すよう
に、そのエッジ部近傍の画素についておかれたマスクに
エッジ部が含まれてしまうため、帯域制限画像信号がエ
ッジ部の影響を受けて信号値の絶対値が比較的大きなも
のとなる。このように、本来エッジ部でない部分がエッ
ジ部の濃度値の影響を受けることにより、画像処理を行
うことにより得られた画像のエッジ部にはオーバーシュ
ート、アンダーシュートなどのアーチファクトが発生し
てしまう。
【0052】そこで、帯域制限画像信号の絶対値が閾値
Th1よりも大きい場合に、上述した関数fによりこの
絶対値が小さくなるように帯域制限画像信号を変換し、
この変換された各帯域制限画像信号を積算し、さらに所
定の強調度で強調することにより、原画像信号Sorg に
加算するための高周波成分に関する信号を得るようにし
たものである。
【0053】このため、図15に示すように、エッジ部が
存在しない平坦部においては処理済画像信号Sprocの周
波数特性は実線で示すようなものとなるが、エッジ部近
傍の領域においては、処理済画像信号Sprocは図15の破
線に示すように比較的低い周波数帯域のレスポンスが低
下されたような特性を有するものとなる。これは、エッ
ジ部近傍の領域においては、ボケ画像信号(式(1)に
おけるSus)を得る際のマスクが実際のマスクよりも小
さくされたことと同一の効果を奏するものである。
【0054】したがって、エッジ部近傍の領域に対応す
る比較的信号値の絶対値の大きい帯域制限画像信号は、
原画像信号Sorg に加算するための高周波成分に関する
信号に対する影響力が小さくなる。このため、濃度が急
激に変化するエッジ部近傍においても、アーチファクト
の原因となる信号は影響力が弱められるため、処理を施
すことにより得られる画像をアーチファクトのない良好
な画像とすることができる。
【0055】なお、上記実施の形態においては、上記式
(5)により処理済画像信号Sprocを得るようにし
ているが、下記式(6)により処理済画像信号Spro
cを得るようにしてもよい。式(5)と式(6)とで異
なるのは、帯域制限画像信号を得る際に、式(5)にお
いては隣接する周波数帯域同士で減算を行っているが、
式(6)においては、全ての周波数帯域のボケ画像信号
Susk と、原画像信号Sorg とで減算処理を行っている
点が異なるものである。式(6)により得られる処理済
画像信号Sprocの周波数特性を図16に示す。図16に示す
ようにエッジ部が存在しない平坦部においては、処理済
画像信号Sprocの周波数特性は実線で示すようなものと
なるが、エッジ部近傍の領域においては、処理済画像信
号Sprocは図16の破線に示すように比較的低い周波数帯
域のレスポンスが低下されたような特性を有するものと
なる。これは、エッジ部近傍の領域においては、ボケ画
像信号Susk を得る際のマスクが実際のマスクよりも小
さくされたことと同一の効果を奏するものである。な
お、図15と比較すると、図16の場合は全周波数帯域に亘
ってレスポンスが低下したものとなっている。このた
め、エッジ部の近傍でない平坦部においてもレスポンス
が低下したものとなっている。このため、式(6)にし
たがって、処理済画像信号Sprocを求める方が平坦部の
レスポンスは低下されることなくエッジ部近傍のみのレ
スポンスが低下されるため、より好ましいものである。
【0056】 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN ) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN ) =(1/N)・{f1(Sorg −Sus1)+f2(Sorg −Sus2)+… +fk(Sorg −Susk)+…+fN(Sorg −SusN)} …(6) (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):ボケ画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) さらに、上述した実施の形態においては、帯域制限画像
信号を変換するための関数を図14に示すように、閾値T
h1よりも絶対値が大きい場合に、この絶対値を小さく
するような関数を用いているが、例えば図17に示すよう
に、帯域制限画像信号の絶対値が閾値Th1よりも大き
い場合に、この絶対値を小さくするとともに、閾値Th
2よりも小さい場合に、絶対値を小さくするような関数
を用いるようにしてもよい。
【0057】このように、帯域制限画像信号の絶対値が
閾値Th1よりも小さい閾値Th2よりも小さいほど、
この帯域制限画像信号の絶対値を小さくするように補正
することにより、画像中においてノイズと見なせるよう
な信号値の絶対値の小さい成分のレスポンスを小さくす
ることができ、これにより処理済画像のノイズを低減す
ることができる。
【0058】また、上述した実施の形態においては、上
記式(5)または式(6)により処理済画像信号Sproc
を得るようにしているが、下記式(7)により処理済画
像信号Sprocを得るようにしてもよい。上述した式
(6)においては、帯域制限画像信号を得るために、原
画像信号Sorg からボケ画像信号Susk を減算するよう
にしているが、式(7)においては、ボケ画像信号Sus
1 からボケ画像信号Susk(k=2〜N)を減算するように
している点が異なるものである。式(7)により得られ
る処理済画像信号Sprocの周波数特性を図18に示す。図
18に示すように式(7)により得られる処理済画像信号
Sprocの周波数特性は高周波成分が除去された特性を有
するものとなっている。
【0059】式(6)により処理を行うものにおいて
は、画像中のノイズと見なせる高周波成分をも強調して
しまうため、得られる処理済画像にノイズが目立つもの
となってしまうことがある。これに対して式(7)によ
り処理を行うものにおいては、図18に示すように処理済
画像信号Sprocの高周波成分が除去されているため、ノ
イズが強調されることがなくなりより高画質の処理済画
像を得ることができる。
【0060】 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sus1,Sus2,…SusN ) =(1/N)・{f2(Sus1 −Sus2)+f3(Sus1 −Sus3)+… +fk(Sus1 −Susk)+…+fN(Sus1 −SusN)} …(7) (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=2〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) さらに、下記の式(8)により処理を行うようにしても
よい。上述した式(5)においては、帯域制限画像信号
(Sorg −Sus1 )を用いているのに対して式(8)に
おいては、帯域制限画像信号(Sorg −Sus1 )を用い
ないものである。これにより図13における最高周波数成
分が除去されることとなるため、式(7)により処理を
行うものと同様に、処理済画像信号Sprocの高周波成分
が除去されてノイズが強調されることがなくなりより高
画質の処理済画像を得ることができる。
【0061】 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sus1,Sus2,…SusN ) ={f2(Sus1 −Sus2)+f3(Sus2 −Sus3)+… +fk(Susk-1 −Susk)+…+fN(SusN-1 −SusN)} …(8) (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=2〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) なお、原画像を得る際の撮影部位によって、診断に必要
な周波数帯域は異なるものである。例えば、肺と胃の二
重造影の画像とにおいて、肺は比較的低周波成分を強調
するのが好ましく、胃は胃壁のヒダの観察を行うため比
較的高周波成分を強調することが好ましい。一方、骨や
人工骨等の金属を含む画像においては、これらのエッジ
部分が強調すぎることによるアーチファクトを防止する
必要があるが、例えばマンモグラフィのように骨などの
エッジ部分を含まない画像に対しては、アーチファクト
は発生しにくく、骨を含む画像と同様に周波数成分の強
調を行うと、観察に必要な部分が逆に見にくくなるとい
う問題もある。したがって、原画像を得る際の撮影部
位、あるいは帯域制限画像信号の周波数帯域に応じて図
14に示す関数fの形状を変化させることが望ましい。
【0062】例えば、図19に示すように、骨を含む画像
においては関数fをBのようにして帯域制限画像信号の
高周波成分を抑制してエッジ部分にアーチファクトを発
生しにくくすることが好ましい。逆に、マンモグラフィ
のように骨を含まない画像においては関数fをAのよう
にして高周波成分をも強調し、略全周波数帯域に亘って
帯域制限画像信号の絶対値が大きくなるように変換処理
を行うことが好ましい。
【0063】また、胸部画像の場合、全周波数帯域に亘
って帯域制限画像信号が強調されることが好ましいた
め、帯域制限画像信号の周波数帯域に応じて関数fを図
20に示すように変化させることが好ましい。一方、胃の
二重造影像の場合は帯域制限画像信号の高周波成分を強
調し、低周波成分を抑制した方が好ましいため、帯域制
限画像信号の周波数帯域に応じて関数fを図21に示すよ
うに変化させることが好ましい。帯域制限画像信号を図
20に示す関数fにしたがって変換することにより得られ
た処理済画像信号Sprocの周波数特性を図22に、帯域制
限画像信号を図21に示す関数fにしたがって変換するこ
とにより得られた処理済画像信号Sprocの周波数特性を
図23にそれぞれ示す。図22の胸部の撮影の場合は、略全
周波数帯域に亘ってレスポンスが強調されているのに対
して、図23の胃の二重造影像の場合は、高周波帯域のレ
スポンスが他の周波数帯域よりも大きく強調されている
ことが分かる。
【0064】このように、胸部画像の場合に全周波数帯
域に亘ってレスポンスが強調されるように処理を施すこ
とにより、肺野がより観察し易いものとなり、胃の二重
造影像において高周波帯域のレスポンスが強調されるよ
うに処理を施すことにより、胃壁のヒダがより観察し易
いものとなる。そしてこのように、帯域制限画像信号の
周波数帯域に応じてあるいは撮影部位に応じて帯域制限
画像信号の絶対値を変化させるように処理を行うことに
より、撮影部位あるいは周波数帯域に応じたより観察に
適した画像を得ることができることとなる。
【0065】ここで、上記変換手段3における帯域制限
画像信号の変換は、上述の閾値Th1に制限されること
なく、周波数帯域ごとに異なる複数の関数f1〜fNに基づ
いて、帯域制限画像信号の絶対値に基づいて決まる該絶
対値以下の値となるように変換してもよい。この関数f1
〜fNは、画像処理の目的に応じて適切な関数の組み合わ
せを設定することが望ましい。
【0066】この閾値にとらわれない実施の形態におい
ては、得られる処理済画像信号Sproc の周波数特性
は、変換手段3において使用される関数を周波数帯域ご
とに異ならしめることにより任意の周波数特性になるよ
うに調整可能である。したがって、前記各装置において
それぞれ処理対象である画像に求められる条件に応じ
て、処理済画像信号Sproc の周波数特性を調整するこ
とが可能となる。
【0067】以下、前記関数を周波数帯域ごとに異なら
しめることにより得られる効果について説明する。図28
は、関数f1〜fNを全て同一の関数とする、すなわち全周
波数帯域の帯域制限画像信号を同じ変換方法で変換する
従来の方法の問題点を示す図である。これは画像の濃度
が急激に変化しているエッジ部の近傍における処理を段
階的に示したものであるが、階段状の原画像信号とその
原画像信号に基づいて作成されたボケ画像信号が(a)で
あり、これに関する帯域制限画像信号が(b)、変換画像
信号が(c)およびこの変換画像信号を積算して得た信号
が(d)としてそれぞれ示されている。
【0068】この図に示されるように、通常変換画像信
号を積算して得た信号は周波数帯域の境界部において不
自然なつなぎ目ができてしまい、これがすじ状のアーチ
ファクトの原因となる。これを防止するためには、この
境界部ができるだけ自然につながるよう考慮して変換画
像信号を作成しなければならない。しかしながら、関数
が一意に定められている場合には各帯域制限画像信号に
対して境界部の影響を考慮した任意の変換を行うことが
できず、結果としてすじ状のアーチファクトを防止する
ことができなかった。これに対し、本実施の形態は、前
記関数を周波数帯域ごとに異なるものとし、これらの関
数を前記周波数帯域の境界部を考慮して設定することに
より、このすじ状のアーチファクトを防止するものであ
る。
【0069】次に、このような周波数ごとに異なる関数
について例を示して説明する。図24は、上述のように変
換画像信号の作成に使用される関数の一例であり、横軸
に処理される帯域制限画像信号が、縦軸にその帯域制限
画像信号が処理された値がそれぞれ対応している。これ
らの関数は、帯域制限画像信号を、その帯域制限画像信
号の絶対値に基づいて決まる、その絶対値以下の値とな
るように変換するもので、帯域制限画像信号の絶対値が
所定の値より大きい帯域制限画像信号については、変換
画像信号の値がほぼ一定の値となるように変換を行う関
数であり、関数が高周波帯域を処理する関数であるほ
ど、前記所定の値が小さい値であることを特徴とするも
のである。
【0070】言い換えれば、これらの関数はそれぞれ、
原点を通り、関数の傾きがその関数により処理される帯
域制限画像信号の値にかかわらず1以下であり、その関
数により処理される帯域制限画像信号の値の絶対値の増
加にともないその関数の傾きが0になるかまたは0に収
束するような関数であって、その傾きが0または0に近
い所定の値となるときの前記処理される値の絶対値が、
高周波帯域を処理する関数であるほど小さい値であるこ
とを特徴とする。
【0071】この図24の関数は、振幅の大きな帯域制限
画像信号を抑制するような変換を行うものであり、周波
数帯域の高い帯域制限画像信号の抑制の度合いを、周波
数帯域の低い帯域制限画像信号よりも強くするものであ
るが、これは実際の放射線画像のエッジに含まれている
高周波成分が、低周波成分に比べてその振幅が小さいと
いうことを考慮したものである。すなわち図29に示され
るように、実際の放射線画像においては、かなり急峻な
エッジでさえも、図29(a)のように正確な階段状にはな
っておらず、同図(b)のように高周波成分になるほどそ
の振幅が小さくなっていることが多い。このため、各周
波数成分の振幅に合わせて、周波数の高い帯域制限画像
信号ほど小さい振幅から抑制を行うことが望ましく、本
関数によりそれを実現することができる。
【0072】次に図25の関数について説明する。図25の
関数は、帯域制限画像信号を、帯域制限画像信号の絶対
値に基づいて決まる、その絶対値以下の値となるように
変換を行うもので、この関数が低周波帯域を処理する関
数であるほど、帯域制限画像信号の絶対値が0近傍の所
定の範囲内の値である帯域制限画像信号を変換した際に
得られる変換画像信号の絶対値が小さい値であることを
特徴とするものである。
【0073】言い換えれば、これらの関数はそれぞれ、
原点を通り、関数の傾きがその関数により処理される値
にかかわらず1以下であり、その関数の0近傍における
傾きが、低周波帯域を処理する関数であるほど小さいこ
とを特徴とするものである。
【0074】これらの関数は、図28に示される変換画像
信号を積算して得られる信号(d)を、原画像信号Sorg
に加えた場合、原画像信号Sorg と加算された信号との
つなぎ目、すなわち信号の立ち上がりをより自然なもの
とするという効果がある。
【0075】図26に示される関数は、周波数強調処理装
置において使用される関数で、図24および図25の関数の
両方の特徴を兼ね備えたものであり、両方の関数の効果
を得ることができるものである。
【0076】以上のように本発明の画像処理方法および
装置により、各周波数帯域において使用される関数を目
的に応じて異ならしめて全体の周波数特性を任意のもの
とすることが可能となる。図27はその効果の一例を示す
ものであるが、この図には本発明の画像処理装置により
作成された各周波数帯域ごとの信号の周波数特性(a-
1)、(b-1)、(c-1)と、それに対応する全体の周波数特性
(a-2)、(b-2)、(c-2)が示されている。(a-1)、(a-2)は
全ての周波数帯域で傾き1の関数を設定した場合、(b-
1)、(b-2)は低周波帯域ほど傾きを小さく設定した場
合、(c-1)、(c-2)は特定の周波数帯域のみ関数の傾きを
1とし、それ以外を1より小さくすることにより全体と
してバンドパスの周波数特性を得た場合であり(c)の例
は、ある特定の周波数帯域の情報のみを得たい場合など
に有用である。
【0077】なお、上記閾値より大きい値を抑制する実
施の形態および閾値によらず全体を抑制する実施の形態
の2つの実施の形態では、変換手段3により行う変換処
理を強調係数βに応じて異なる処理としてもよい。以
下、その効果を閾値によらない関数を用いる場合を例に
説明する。
【0078】この関数f1〜fNとして、上記強調係数βが
比較的小さい場合には図30に示されるような関数を、ま
た強調係数βが大きい場合には図31に示すような関数を
用いている。ここで、図中の「高」「低」はそれぞれ、
高周波帯域の帯域制限画像信号の変換に使用される関
数、低周波帯域の帯域制限画像信号の変換に使用される
関数を示している。
【0079】これらの関数はいずれも帯域制限画像信号
をその帯域制限画像信号の絶対値よりも小さくなるよう
に抑制するものであるが、本実施の形態では、図30およ
び図31とを比較することによりわかるように、強調係数
βが大きいときほど、高周波帯域を処理する関数による
抑制の度合いと、低周波帯域を処理する関数による抑制
の度合いとの差が大きくなるように関数の組み合わせを
定義している。具体的には、高周波帯域を処理する関数
は強調係数に拘わらず一定とし、低周波帯域を処理する
関数の抑制の度合いを強調係数が大きくなるほど強くす
ることにより差を広げている。但し、これは低周波帯域
を処理する関数を一定として高周波帯域を処理する関数
の抑制の度合いを緩めてもよく、また全ての関数を抑制
の度合いの差が広がるように変化させてもよい。
【0080】以上説明したような関数により高周波成分
を強調された画像信号を、レスポンスとして示したもの
が図32および図33である。図32は、上記図30に示される
関数の組み合わせを使用した場合であり、図33は図31に
示される関数の組み合わせを使用した場合である。これ
らの図によれば、強調係数を大きくした際に高周波成分
のみ強調の度合いが強くなり、低周波成分の強調の度合
いは強調係数が小さい場合とそれほど変わらないように
なっていることがわかる。
【0081】強調係数βによらずに関数の組み合わせを
決定する場合には、強調係数を大きくすると全ての周波
数帯域において強調の度合いが強くなる。一般に強調係
数を大きくするのは、情報量が少ない高周波成分を強調
するためであるが、これでは、低周波成分までもが強調
されてしまうことになり、その結果コントラストがつき
すぎ、アーチファクトとなることがある。したがって、
図31に示されるように、強調係数βを大きくしても低周
波成分の強調の度合いはあまり変化させないようにする
ことにより、このアーチファクトの発生を防止すること
ができる。
【0082】なお、上記説明においては、強調係数βが
小さい場合と大きい場合用に1組ずつ関数の組み合わせ
を示したが、これは関数の組み合わせが2組であること
を意味するものではなく、強調係数βの変化に応じて関
数の特徴をどのように変えればよいかを示すための例に
すぎない。したがって、強調係数βの変化の度合いを何
段階かのレベルに分類し、各レベルに応じて関数の組み
合わせを決定するといったことも可能であり、そのよう
な段階をより細かく設定することにより、より高画質な
画像が得られることはいうまでもない。
【0083】また、上記実施の形態では、強調係数を大
きくするのは高周波成分のみを強調したいためであると
の解釈に基づいて非線形関数を決定しているが、強調係
数を変化させる目的はこれに限られるものではなく、し
たがって非線形関数としては目的に応じて様々なものが
適用可能である。この際、上記例では非線形関数は各周
波数帯域ごとに異なる複数の非線形関数の組としている
が、達成したい目的によっては、全ての周波数帯域に同
一の非線形関数を用いても本発明の効果を得ることがで
きる。
【0084】次に、本発明の画像処理方法および装置の
他の実施の形態について説明する。但し、本実施の形態
におけるボケ画像信号作成手段1、帯域制限画像信号作
成手段2、積算手段4、周波数強調処理手段5の処理は
上記実施の形態と同じであるため、ここでは説明を省略
し、変換手段3の処理についてのみ、以下説明する。
【0085】図34はこの実施の形態における本発明の画
像処理装置の全体の構成を示す図である。上記実施の形
態と同様、原画像信号Sorgおよびボケ画像信号作成手
段1において作成された複数のボケ画像信号Susk に基
づいて帯域制限画像信号が作成される。この帯域制限画
像信号は減算器21により、互いに隣接する周波数帯域の
2つのボケ画像信号Susk (但し原画像信号Sorgにつ
いてはSorgとSus1 )の減算を行うことにより得られ
る。すなわち、Sorg −Sus1 、Sus1 −Sus2、…Su
sN-1 −SusN を順次計算することにより、複数の帯域
制限画像信号が求められる。本実施の形態では、例えば
帯域制限画像信号Sus1 −Sus2 に対し、これに対応す
る補助画像信号をSus2 −Sus3 としている。したがっ
て、帯域制限画像信号作成手段と補助画像信号作成手段
は実質的に同一の手段を兼用するものとする。つまり、
帯域制限画像信号作成手段により作成された信号は、帯
域制限画像信号として処理されると同時に、隣接する帯
域制限画像信号に対応する補助画像信号としても処理さ
れるものとする。
【0086】上記のようにして求められた帯域制限画像
信号は、変換手段3において変換される。この変換は各
帯域制限画像信号に対して、図34に示される変換器22お
よび変換器24により、周波数帯域ごとにそれぞれ、変換
器22においては関数f1〜fNにより変換処理を施して抑制
画像信号を得、変換器24においては関数gにより変換処
理を施して倍率信号を得て、その抑制画像信号と倍率信
号とを乗ずることにより行われる。この際、乗算は、図
34に示されるように、例えば帯域制限画像信号Sus1
Sus2 を変換して得た抑制画像信号と、補助画像信号S
us2 −Sus3 を変換して得た倍率信号というように、隣
接した周波数帯域の信号どうしで行われる。ここで、関
数fkにより変換を行う変換器22が、前記抑制画像信号
作成手段に相当し、関数gにより変換を行う変換器24
が、前記倍率信号作成手段に相当し、それらの変換器の
出力信号を乗ずる乗算器25が、前記乗算手段に相当す
る。
【0087】関数f1〜fNは、全て同じ関数であってもよ
いし、異なる関数であってもよく、画像処理の目的に応
じて任意に設定可能なものとする。本実施の形態では、
この関数f1〜fNとして、帯域制限画像信号をその帯域制
限画像信号の絶対値よりも小さくなるように抑制する関
数で、周波数帯域ごとに異なる関数を用いており、例え
ば図24に示されるような関数が使用される。
【0088】関数gとしては、例えば図35に示されるよ
うなものが用いられる。この図は、この関数gによって
補助画像信号を変換する場合、補助画像信号の絶対値が
小さいときには、変換後の値として1に近い値が得ら
れ、絶対値が大きいほど0に近い値が得られることを示
している。なお、Kは変換後の値が0となる値のうち最
小の値を示している。
【0089】上記変換手段3により得られた変換画像信
号は、演算器23に入力される。演算器23は、積算手段4
および周波数強調処理手段5を内包するものである。演
算器23においては、複数の変換画像信号が積算され、こ
の積算により得られた積算値に原画像信号Sorgに応じ
て決定される強調係数βが乗じられ、さらにこの強調係
数βが乗じられた積算値が原画像信号Sorg と加算され
て処理済画像信号Sproc が得られる。この処理を、上
述した他の処理とともに数式として表すと、下記の式
(9) Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)・g(Sus1−Sus2) +f2(Sus1 −Sus2)・g(Sus2−Sus3)+… +fk(Susk-1−Susk )・g(Susk−Susk+1)+… +fN(SusN-1−SusN)・g(SusN−SusN+1)} …(9 ) (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換して前記
抑制信号を作成するための関数 g:前記各補助画像信号を変換して前記倍率信号を作成
するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) のようになる。
【0090】図36は、上記実施の形態においてエッジ付
近の画像信号を処理した際の効果を示す図である。(1)
はエッジ付近における階段状の原画像信号と、その原画
像信号に基づいて作成されたボケ画像信号を示し、(2)
は、(1)の信号の帯域制限画像信号を示し、(3)は(2)の
帯域制限画像信号より1つ低い周波数帯域の信号を含む
補助画像信号を示し、(4)は(3)の補助画像信号を関数g
により処理した際に得られる倍率信号を示し、(5)は(2)
の信号を関数fで処理した抑制画像信号に(4)の倍率信
号を乗じたものを示している。なお(3)に示されている
値Kは、図35に示した値Kであり、(3)の補助画像信号
がKとなる時に(4)の倍率信号が0となることが図示さ
れている。(2)の信号を単に絶対値が小さくなるように
変換した場合には、信号のピークの形状は滑らかになる
ものの、立ち上がり部分は急峻なままとなる。これに対
し、(5)に示される処理済信号は立ち上がり部分が滑ら
かになっている。このように各帯域制限画像信号の立ち
上がり部分を滑らかにすることにより、これらの信号を
積算して得られる信号の周波数帯域の境界に階段状に生
じるアーチファクトを防止することができる。
【0091】なお、関数gにより処理される補助画像信
号は、必ずしも上記のようなものでなくてもよく、本発
明の他の実施の形態では、周波数強調処理装置では、下
記の式(10) Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)・g(Sorg−Sus2) +f2(Sus1 −Sus2)・g(Sorg−Sus3)+… +fk(Susk-1−Susk )・g(Sorg−Susk+1)+… +fN(SusN-1−SusN)・g(Sorg−SusN+1)} …(10 ) (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換して前記
抑制信号を作成するための関数 g:前記各補助画像信号を変換して前記倍率信号を作成
するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) のような式にしたがって画像処理を行っている。
【0092】図37は、この式(10)を適用した実施の形
態においてエッジ付近の画像信号を処理した際の効果を
示す図であり、図36と同様に、(1)はエッジ付近におけ
る階段状の原画像信号と、その原画像信号に基づいて作
成されたボケ画像信号を示し、(2)は、(1)の信号の帯域
制限画像信号を示し、(3)は(2)の帯域制限画像信号より
1つ低い周波数帯域の信号を含む補助画像信号を示し、
(4)は(3)の信号を関数gにより処理した際に得られる倍
率信号を示し、(5)は(2)の帯域制限画像信号を関数fで
処理した抑制画像信号に(4)の倍率信号を乗じたものを
示している。この図に示されるように、関数gにより処
理する値としてSorg−Suskを用いる場合、コントラス
トの大きなエッジについては、変換により得られる信号
は小さくなり、コントラストの小さなエッジについては
変換により得られる信号はもとの帯域制限画像信号に近
い大きさとなる。
【0093】この信号は積算された後に、強調のために
原画像信号に加算される。この場合、コントラストの大
きなエッジはほとんど強調されないのに対し、コントラ
ストの小さなエッジはコントラストの大きなエッジに比
べると相対的に強く強調されるという効果が得られる。
【0094】以上、2種類の式について説明したが、関
数fおよびgについて、あるいは関数gにより処理する
帯域制限画像信号の作成方法については、様々な変更が
可能である。
【0095】次に、本発明の画像処理方法および装置の
さらに他の実施の形態について説明する。但し、この実
施の形態についても、ボケ画像信号作成手段1、帯域制
限画像信号作成手段2、積算手段4、周波数強調処理手
段5の処理は上記実施の形態と同じであるため説明を省
略し、変換手段3の処理についてのみ、以下説明する。
【0096】図38は本実施の形態における画像処理装置
の全体の構成を示す図である。上記実施の形態と同様、
原画像信号Sorgおよびボケ画像信号作成手段1におい
て作成された複数のボケ画像信号Susk に基づいて帯域
制限画像信号が作成される。この帯域制限画像信号は減
算器21により、互いに隣接する周波数帯域の2つのボケ
画像信号Susk (但し原画像信号SorgについてはSorg
とSus1 )の減算を行うことにより得られる。すなわ
ち、Sorg −Sus1 、Sus1 −Sus2 、…SusN-1 −S
usN を順次計算することにより、複数の帯域制限画像信
号が求められる。
【0097】上記のようにして求められた帯域制限画像
信号は、変換手段3において変換される。この変換で
は、図38に示されるように、ある周波数帯域の帯域制限
画像信号に、その周波数帯域よりも1つ低い周波数帯域
の帯域制限画像信号を変換器24により関数gを用いて変
換したものを加えて、さらにそれを変換器22により関数
kを用いて変換する。ここで、関数gにより変換を行
う変換器24が、前記補助画像信号作成手段に相当し、加
算器26が前記複合帯域制限画像信号作成手段に相当す
る。
【0098】関数gとしては、例えば図39に示されるよ
うなものが用いられる。図39に示される関数は原点をと
おり原点における傾きはほぼ0であり、処理される値が
大きくなるにつれて傾きが漸増し、最終的に傾きがほぼ
1となるような関数である。すなわち、信号の大きさが
小さいときには強く抑制し、大きくなるにつれて抑制の
度合いを緩めるというものである。上述の処理におい
て、この関数の、原点から徐々に傾きが増加する部分
は、補助画像信号の立ち上がりの部分の波形に影響を与
える。すなわち、この関数により変換を行うことで、急
峻な立ち上がり部分を滑らかにすることができる。ここ
で、実際の帯域制限画像信号の大きさには限度があるた
め、関数gは原点付近で傾きが0から徐々に増加するよ
うな関数であれば、どのようなものでもよく例えば、図
40に示されるようなものであってもよい。また、本実施
の形態では、信号の増幅は行わないため、傾きは最大1
としているが、本発明の効果は関数の傾きが原点付近で
漸増することにより得られるものであるため、この条件
が満たされていれば、必ずしも傾きを最大1に限定する
必要はない。
【0099】関数f1〜fNは、全て同じ関数であってもよ
いし、異なる関数であってもよく、画像処理の目的に応
じて任意に設定可能なものとする。本実施の形態では、
この関数f1〜fNとして、例えば図24のような関数を使用
する。
【0100】上記変換手段3により得られた変換画像信
号は、演算器23に入力される。演算器23は、積算手段4
および周波数強調処理手段5を内包するものである。演
算器23においては、複数の変換画像信号が積算され、こ
の積算により得られた積算値に原画像信号Sorgに応じ
て決定される強調係数βが乗じられ、さらにこの強調係
数βが乗じられた積算値が原画像信号Sorg と加算され
て処理済画像信号Sproc が得られる。この処理を、上
述した他の処理とともに数式として表すと、下記の式
(11) Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) =[f1{(Sorg −Sus1)+g(Sus1−Sus2)} +f2{(Sus1 −Sus2)+g(Sus2−Sus3)}+… +fk{(Susk-1−Susk )+g(Susk−Susk+1)}+… +fN{(SusN-1−SusN)+g(SusN−SusN+1)}] …(11) (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各複合帯域制限画像信号を変換する
ための関数 g:前記各帯域制限画像信号を変換して前記補助画像信
号を作成するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
数) のようになる。
【0101】図41は、この実施の形態においてエッジ付
近の画像信号を処理した際の効果を示す図である。(1)
はエッジ付近における階段状の原画像信号と、その原画
像信号に基づいて作成されたボケ画像信号を示し、(2)
および(3)は、(1)の信号にかかる帯域制限画像信号であ
って、(2)を被変換帯域制限画像信号とした場合の低周
波側帯域制限画像信号が(3)である。(4)は(3)の低周波
側帯域制限画像信号を関数gにより処理した際に得られ
る補助画像信号を示し、(5)は(2)の被変換帯域制限画像
信号と(4)の補助画像信号を加算した複合帯域制限画像
信号を示し、(6)は(5)の複合帯域制限画像信号を関数f
により処理して得られる変換画像信号を示している。こ
の図において、(2)の信号を単に絶対値が小さくなるよ
うに変換した場合には、信号のピークの形状は滑らかに
なるものの、立ち上がり部分は急峻なままとなる。これ
に対し、(5)に示される処理済信号は立ち上がり部分が
滑らかになっている。このように各帯域制限画像信号の
立ち上がり部分を滑らかにすることにより、これらの信
号を積算して得られる信号の周波数帯域の境界に階段状
に生じるアーチファクトを防止することができる。
【0102】以上、2つの式ついて説明したが、この実
施の形態においても、例えば、関数fおよびgについ
て、様々な変更が可能である。
【0103】なお、本明細書において説明したいくつか
の実施の形態は全て、ガウス信号のフィルタを用いて、
補間演算処理を行うようにしているが、Bスプライン補
間演算によりフィルタリング処理画像に対して補間演算
処理を施すようにしてもよい。以下このBスプライン補
間演算処理について説明する。
【0104】Bスプライン補間演算は、比較的鮮鋭度の
低い滑らかな2次画像を再生するための補間画像データ
を得るための補間演算方法である。このBスプライン補
間演算は、元のサンプル点(画素)を通ることは必要と
されない代わりに、第1階微分係数および第2階微分係
数(f″(X)で表す)が各区間間で連続することが必
要とされる。
【0105】すなわち、 fk (x)=Ak 3 +Bk 2 +Ck x+Dk …(12) において(式(12)においてBk は便宜上用いられる係
数であり、フィルタリング処理画像とは異なる。)、 fk ′(Xk )=fk-1 ′(Xk ) …(13) fk ′(Xk+1 )=fk+1 ′(Xk+1 ) …(14) fk ″(Xk )=fk-1 ″(Xk ) …(15) fk ″(Xk+1 )=fk+1 ″(Xk+1 ) …(16) が条件となる。ただし、画素Xk における第1階微分係
数が、その画素Xk の前後の画素であるXk-1 とXk+1
とについて、これらの画像信号Yk-1 、Yk+1 の勾配
(Yk+1 −Yk-1 )/(Xk+1 −Xk-1 )に一致するこ
とが条件であるから、下記式(17)を満たす必要があ
る。
【0106】 fk ′(Xk )=(Yk+1 −Yk-1 )/(Xk+1 −Xk-1 ) …(17) 同様に、画素Xk+1 における第1階微分係数が、その画
素Xk+1 の前後の画素であるXk とXk+2 とについて、
これらの画像信号Yk 、Yk+2 の勾配(Yk+2−Yk
/(Xk+2 −Xk )に一致することが条件であるから、
下記式(18)を満たす必要がある。
【0107】 fk ′(Xk+1 )=(Yk+2 −Yk )/(Xk+2 −Xk ) …(18) また関数f(X)は一般に下記式(19)に示すもので近
似される。
【0108】 f(X)=f(0) +f′(0) X+{f″(0)/2}X2 …(19) ここで、各区間Xk-2 〜Xk-1 ,Xk-1 〜Xk ,Xk
k+1 ,Xk+1 〜Xk+2 の間隔(格子間隔という)を1
とし、画素Xk からの画素Xk+1 方向への補間点Xp
位置をt(0≦t≦1)とすれば、式(13)〜(16)お
よび(19)より、 fk ′(0)=Ck =(Yk+1 −Yk-1 )/2 fk ′(1)=3Ak +2Bk +Ck =(Yk+2
k )/2 fk ″(0)=Yk+1 −2Yk +Yk-1 =2B したがって、 Ak =(Yk+2 −3Yk+1 +3Yk −Yk-1 )/6 Bk =(Yk+1 −2Yk +Yk-1 )/2 Ck =(Yk+1 −Yk-1 )/2 ここで、Dk は未知のため、 Dk =(D1 k+2 +D2 k+1 +D3 k +D4
k-1 )/6 とおく。また、スプライン補間関数fk (x)は上述の
通り、X=tなる変数変換をしているため、 fk (x)=fk (t) となる。よって、 fk (t)={(Yk+2 −3Yk+1 +3Yk −Yk-1
/6}t3 +{(Yk+1 −2Yk +Yk-1 )/2}t2
+{(Yk+1 −Yk-1 )/2}t+(D1 k+2 +D2
k+1 +D3 k +D4 k-1 )/6 となり、これを画像信号Yk-1 ,Yk ,Yk+1 ,Yk+2
について整理すると、下記式(20)で表すことができ
る。
【0109】 fk (t)={(−t3 +3t2 −3t+D4 )/6}Yk-1 +{(3t3 −6t2 +D3 )/6}Yk +{(−3t3 +3t2 +3t+D2 )/6}Yk+1 +{(t3 +D1 )/6}Yk+2 …(20) ここで、t=1とおけば、 fk (1)={(D4 −1)/6}Yk-1 +{(D3
3)/6}Yk +{(D2 +3)/6}Yk+1 +{(D
1 +1)/6}Yk+2 次に区間Xk+1 〜Xk+2 についての式(17)は、 fk+1 (t)={(−t3 +3t2 −3t+D4 )/6}Yk +{(3t3 −6t2 +D3 )/6}Yk+1 +{(−3t3 +3t2 +3t+D2 )/6}Yk+2 +{(t3 +D1 )/6}Yk+3 …(21) ここで、t=0とおけば、 fk+1 (0)=(D4 /6)Yk +(D3 /6)Yk+1
+(D2 /6)Yk+2 +(D1 /6)Yk+3 連続性の条件(fk (1)=fk+1 (0))、および各
フィルタリング処理画像信号に対応する係数同士が等し
いという条件により、D4 −1=0,D3 −3=D4
2 +3=D3 ,D1 +1=D2 ,D1 =0、となり、
したがって、 Dk =(Yk+1 +4Yk +Yk-1 )/6 となる。よって、 Yp =fk (t)={(−t3 +3t2 −3t+1)/6}Yk-1 +{(3t3 −6t2 +4)/6}Yk +{(−3t3 +3t2 +3t+1)/6}Yk+1 +{t3 /6}Yk+2 …(22) したがって、フィルタリング処理画像信号Yk-1
k 、Yk+1 、Yk+2 にそれぞれ対応する補間係数b
k-1 、bk 、bk+1 、bk+2 は、 bk-1 =(−t3 +3t2 −3t+1)/6 bk =(3t3 −6t2 +4)/6 bk+1 =(−3t3 +3t2 +3t+1)/6 bk+2 =t3 /6 となる。
【0110】以上の演算を各区間Xk-2 〜Xk-1 ,X
k-1 〜Xk ,Xk 〜Xk+1 ,Xk+1 〜Xk+2 について繰
り返すことにより、フィルタリング処理画像信号の全体
についてフィルタリング処理画像信号とは間隔の異なる
補間画像信号を求めることができる。
【0111】したがって、このBスプライン補間演算処
理を各フィルタリング処理画像信号Bk に対して施すこ
とにより、各フィルタリング処理画像信号Bk に対応し
たボケ画像信号Susk を得ることができる。
【0112】また、上記全ての実施の形態では、原画像
信号Sorg に対して1画素おきにフィルタリング処理を
施し、さらに補間演算を施すことによりボケ画像信号S
uskを得るようにしているが、フィルタリング処理につ
いてもこれに限定されるものではなく、複数のサイズの
ボケマスクを用いて、原画像信号Sorg にフィルタリン
グ処理を施すことにより、複数の周波数応答特性が異な
るボケ画像信号Suskを得るようにしてもよい。
【0113】さらに、上述した全ての実施の形態におけ
る画像処理方法および装置は、断層撮影により画像に現
れる流れ像を除去する場合にも適用できる。
【0114】すなわち、断層撮影を行うことにより得ら
れる流れ像を除去するために、ボケマスク処理を行う方
法が提案されているが(特開平3-276265号)、この場合
においても、急激に濃度が変化するエッジ部の近傍にお
いて、アーチファクトが発生するという問題がある。こ
の場合、流れ像を除去するためにはボケマスクを1次元
としてボケ画像信号Susk を得てボケマスク処理を行う
ものであるが、上述した実施の形態における画像処理に
おける互いに周波数応答特性が異なるボケ画像信号Sus
k を得る際に、流れ像を除去するための1次元ボケマス
クによるフィルタリング処理を行い、これに基づいて上
述したような帯域制限画像信号を得、この帯域制限画像
信号の絶対値が比較的大きい場合は、その絶対値が小さ
くなるように変換して、その後の処理を行うことによ
り、流れ像を除去するとともに、アーチファクトのない
良好な画像を得ることができる。
【0115】また、流れ像を除去するための1次元ボケ
マスクによる処理とともに、上述した2次元のボケマス
ク、あるいは1次元ボケマスクを2次元的の施す処理を
同時に行うようにしてもよい。これにより、原画像から
流れ像が除去されるとともに、エッジ部近傍のアーチフ
ァクトをより一層低減することができるため、より画質
のよい処理済画像を得ることができる。
【0116】また、上記一実施の形態において、帯域制
限画像信号に対して撮影部位ごとに異なる変換処理を施
すことにより得られる効果について説明したが、この撮
影部位ごとに処理を変えるという思想は上記全ての実施
の形態に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像処理装置の概念を表す図
【図2】ボケ画像信号作成手段の詳細を表す図
【図3】ボケ画像信号作成手段において用いられるフィ
ルタ(1次元)を表す図
【図4】フィルタリング処理の詳細を表す図
【図5】フィルタリング処理画像信号の周波数特性を表
す図
【図6】フィルタリング処理手段において用いられるフ
ィルタ(2次元)を表す図
【図7】フィルタリング処理画像信号B1 の補間演算に
用いられるフィルタを表す図
【図8】補間演算の詳細を表す図
【図9】フィルタリング処理画像信号B2 の補間演算に
用いられるフィルタを表す図
【図10】補間演算の詳細を表す図
【図11】ボケ画像信号の周波数特性を表す図
【図12】本発明の画像処理装置の一実施の形態におけ
る全体構成を示す図
【図13】帯域制限画像信号の周波数特性を表す図
【図14】変換手段における帯域制限画像信号の変換処
理の一例を表す図
【図15】処理済画像信号の周波数特性を表す図
【図16】処理済画像信号の他の周波数特性を表す図
【図17】変換手段における帯域制限画像信号の変換処
理の他の例を表す図
【図18】帯域制限画像信号の他の周波数特性を表す図
【図19】撮影部位に応じた帯域制限画像信号の変換処
理を表す図
【図20】周波数帯域に応じた帯域制限画像信号の変換
処理を表す図
【図21】周波数帯域に応じた帯域制限画像信号の他の
変換処理を表す図
【図22】図20に示す関数により得られる処理済画像
信号の周波数特性を表す図
【図23】図21に示す関数により得られる処理済画像
信号の周波数特性を表す図
【図24】変換手段において変換処理に使用される関数
の一例を示す図
【図25】変換手段において変換処理に使用される関数
の他の一例を示す図
【図26】図24の関数と図25の関数の特徴を兼ね備
えた関数の一例を示す図
【図27】周波数帯域ごとの周波数特性と全体の周波数
特性とを示す図
【図28】全ての帯域制限画像信号を1種類の関数で変
換した際の問題点を示す図
【図29】理想のエッジと実際のエッジを示す図
【図30】強調係数が小さい場合に各帯域制限画像信号
を変換する関数の一例を示す図
【図31】強調係数が大きい場合に各帯域制限画像信号
を変換する関数の一例を示す図
【図32】図30の関数を変換に用いることにより得ら
れる画像信号のレスポンスを示す図
【図33】図31の関数を変換に用いることにより得ら
れる画像信号のレスポンスを示す図
【図34】本発明の画像処理装置の他の実施の形態にお
ける全体構成を示す図
【図35】倍率信号作成手段において使用される関数の
一例を示す図
【図36】図34に示す実施の形態における効果を示す
【図37】図34に示す実施の形態における効果を示す
他の図
【図38】本発明の画像処理装置のさらに他の実施の形
態における全体構成を示す図
【図39】各帯域制限画像信号を変換して補助画像信号
を作成するための関数の一例を示す図
【図40】各帯域制限画像信号を変換して補助画像信号
を作成するための関数の他の例を示す図
【図41】図38に示す実施の形態における効果を示す
【図42】エッジ部近傍のボケ画像信号の作成処理を示
す図
【符号の説明】
1 ボケ画像信号作成手段 2 帯域制限画像信号作成手段 3 変換手段 4 積算手段 5 周波数強調処理手段 10 フィルタリング処理手段 11 補間演算処理手段 21 減算器 22 変換器 23 演算器 24 変換器 25 乗算手段 26 加算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平8−169063 (32)優先日 平8(1996)6月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−169064 (32)優先日 平8(1996)6月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−169065 (32)優先日 平8(1996)6月28日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原画像を表す原画像信号に、該原画像の
    高周波成分に関する信号を加算することにより、該原画
    像の高周波成分を強調する画像処理方法において、 前記原画像信号に基づいて、互いに周波数応答特性が異
    なる複数の非鮮鋭マスク画像信号を作成し、 前記原画像信号および前記複数の非鮮鋭マスク画像信
    号、または前記複数の非鮮鋭マスク画像信号に基づい
    て、前記原画像信号の複数の周波数帯域ごとの信号を表
    す複数の帯域制限画像信号を作成し、 該各帯域制限画像信号のうち少なくとも1つの信号につ
    いて、該帯域制限画像信号の少なくとも一部を小さくす
    るような変換処理を施して複数の変換画像信号を作成
    し、 該各変換画像信号を積算することにより前記原画像信号
    に加算する前記高周波成分に関する信号を得ることを特
    徴とする画像処理方法。
  2. 【請求項2】 前記複数の変換画像信号の作成を、前記
    帯域制限画像信号の絶対値が所定の閾値より大きい帯域
    制限画像信号について、該帯域制限画像信号の絶対値を
    小さくするように、該各帯域制限画像信号を変換するこ
    とにより行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理
    方法。
  3. 【請求項3】 前記複数の変換画像信号の作成を、前記
    各帯域制限画像信号が所定の閾値より大きいほど該帯域
    制限画像信号の絶対値を小さくするとともに、前記各帯
    域制限画像信号の絶対値が該所定の閾値よりも小さい他
    の閾値よりも小さいほど該帯域制限画像信号の絶対値を
    小さくするように、該各帯域制限画像信号を変換するこ
    とにより行うことを特徴とする請求項2記載の画像処理
    方法。
  4. 【請求項4】 前記複数の変換画像信号の作成を、前記
    各帯域制限画像信号の周波数帯域に応じて該各帯域制限
    画像信号の絶対値の大きさを変化させるように、該各帯
    域制限画像信号を変換することにより行うことを特徴と
    する請求項2または3記載の画像処理方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の変換画像信号の作成を、前記
    各帯域制限画像信号を、前記周波数帯域ごとに異なる複
    数の関数に基づいて、該帯域制限画像信号の絶対値に基
    づいて決まる該絶対値以下の値となるように変換するこ
    とにより行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理
    方法。
  6. 【請求項6】 前記変換画像信号の作成に使用される各
    関数が、前記帯域制限画像信号の絶対値が所定の値より
    大きい帯域制限画像信号については、該変換画像信号の
    値がほぼ一定の値となるように該帯域制限画像信号を変
    換する関数であり、該関数が高周波帯域を処理する関数
    であるほど、前記所定の値が小さい値であることを特徴
    とする請求項5記載の画像処理方法。
  7. 【請求項7】 前記変換画像信号の作成に使用される各
    関数が、該関数が低周波帯域を処理する関数であるほ
    ど、前記帯域制限画像信号の絶対値が0近傍の所定の範
    囲内の値である帯域制限画像信号を変換した際に得られ
    る該変換画像信号の絶対値が小さい値であることを特徴
    とする請求項5または6記載の画像処理方法。
  8. 【請求項8】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変換
    画像信号の作成、前記高周波成分に関する信号の作成、
    および該高周波成分に関する信号の前記原画像信号への
    加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)+f2(Sus1 −Sus2)+… +fk(Susk-1−Susk )+…+fN(SusN-1−SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項1から7のい
    ずれか1項記載の画像処理方法。
  9. 【請求項9】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変換
    画像信号の作成、前記高周波成分に関する信号の作成、
    および該高周波成分に関する信号の前記原画像信号への
    加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN ) =(1/N)・{f1(Sorg −Sus1)+f2(Sorg −Sus2)+… +fk(Sorg −Susk)+…+fN(Sorg −SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項1から7のい
    ずれか1項記載の画像処理方法。
  10. 【請求項10】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記高周波成分に関する信号の作
    成、および該高周波成分に関する信号の前記原画像信号
    への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sus1,Sus2,…SusN ) ={f2(Sus1 −Sus2)+f3(Sus2 −Sus3)+… +fk(Susk-1 −Susk)+…+fN(SusN-1 −SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=2〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項1から4のい
    ずれか1項記載の画像処理方法。
  11. 【請求項11】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記高周波成分に関する信号の作
    成、および該高周波成分に関する信号の前記原画像信号
    への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sus1,Sus2,…SusN ) =(1/N)・{f2(Sus1 −Sus2)+f3(Sus1 −Sus3)+… +fk(Sus1 −Susk)+…+fN(Sus1 −SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=2〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項1から4のい
    ずれか1項記載の画像処理方法。
  12. 【請求項12】 前記複数の変換画像信号の作成を、前
    記各帯域制限画像信号に対して、前記強調係数に応じた
    変換処理を施すことにより行うことを特徴とする請求項
    1から11のいずれか1項記載の画像処理方法。
  13. 【請求項13】 前記変換処理が、前記各周波数帯域ご
    とに異なる変換処理であって、前記帯域制限画像信号の
    周波数帯域が低周波帯域であるほど、該帯域制限画像信
    号を強く抑制するような変換処理であり、 前記強調係数が大きいときほど、高周波帯域の帯域制限
    画像信号に対する抑制の度合いと、低周波帯域の帯域制
    限画像信号に対する抑制の度合いの差が大きいことを特
    徴とする請求項12記載の画像処理方法。
  14. 【請求項14】 前記複数の変換画像信号の作成を、前
    記帯域制限画像信号を、該帯域制限画像信号の絶対値に
    基づいて決まる該絶対値以下の値となるように変換する
    ことにより抑制画像信号を作成し、 前記原画像信号および前記複数の非鮮鋭マスク画像信号
    に基づいて、前記抑制画像信号の作成に使用された帯域
    制限画像信号よりも低い周波数帯域の信号を含む補助画
    像信号を作成し、 該補助画像信号を、該補助画像信号の絶対値が小さいほ
    ど1に近く、大きいほど0に近い値となるように変換す
    ることにより前記抑制画像信号にそれぞれ対応する倍率
    信号を作成し、 前記抑制画像信号に、該抑制画像信号に対応する前記倍
    率信号を乗ずることにより行うことを特徴とする請求項
    1記載の画像処理方法。
  15. 【請求項15】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記積算信号の作成、および該積算
    信号の前記原画像信号への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)・g(Sus1−Sus2) +f2(Sus1 −Sus2)・g(Sus2−Sus3)+… +fk(Susk-1−Susk )・g(Susk−Susk+1)+… +fN(SusN-1−SusN)・g(SusN−SusN+1)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換して前記
    抑制信号を作成するための関数 g:前記各補助画像信号を変換して前記倍率信号を作成
    するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項1または14
    記載の画像処理方法。
  16. 【請求項16】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記積算信号の作成、および該積算
    信号の前記原画像信号への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)・g(Sorg−Sus2) +f2(Sus1 −Sus2)・g(Sorg−Sus3)+… +fk(Susk-1−Susk )・g(Sorg−Susk+1)+… +fN(SusN-1−SusN)・g(Sorg−SusN+1)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換して前記
    抑制信号を作成するための関数 g:前記各補助画像信号を変換して前記倍率信号を作成
    するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項1または14
    記載の画像処理方法。
  17. 【請求項17】 前記複数の変換画像信号の作成を、変
    換される帯域制限画像信号である被変換帯域制限画像信
    号よりも低い周波数帯域の帯域制限画像信号である低周
    波側帯域制限画像信号を、原点をとおり該原点における
    傾きがほぼ0で、処理される値が大きくなるにつれて該
    傾きが漸増する非線形関数に基づいて変換することによ
    り前記被変換帯域制限画像信号の補助画像信号を作成
    し、 該補助画像信号を前記被変換帯域制限画像信号に加算す
    ることにより複合帯域制限画像信号を作成し、 該複合帯域制限画像信号を、該複合帯域制限画像信号の
    絶対値に基づいて決まる該絶対値以下の値となるように
    変換することにより行うことを特徴とする請求項1記載
    の画像処理方法。
  18. 【請求項18】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記積算信号の作成、および該積算
    信号の前記原画像信号への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) =[f1{(Sorg −Sus1)+g(Sus1−Sus2)} +f2{(Sus1 −Sus2)+g(Sus2−Sus3)}+… +fk{(Susk-1−Susk )+g(Susk−Susk+1)}+… +fN{(SusN-1−SusN)+g(SusN−SusN+1)}] (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各複合帯域制限画像信号を変換する
    ための関数 g:前記各帯域制限画像信号を変換して前記補助画像信
    号を作成するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項1または17
    記載の画像処理方法。
  19. 【請求項19】 前記複数の変換画像信号の作成を、前
    記原画像を撮影した際の撮影部位に応じて、前記各帯域
    制限画像信号を変換することにより行うことを特徴とす
    る請求項1から18のいずれか1項記載の画像処理方
    法。
  20. 【請求項20】 前記原画像が断層撮影により得られた
    流れ像を含むものであり、前記複数の非鮮鋭マスク画像
    信号の作成を、前記原画像信号に対して該流れ像の方向
    に沿う1次元非鮮鋭マスクによりマスク処理を施すこと
    により行うことを特徴とする請求項1から19記載の画
    像処理方法。
  21. 【請求項21】 原画像を表す原画像信号に、該原画像
    の高周波成分に関する信号を加算することにより、該原
    画像の高周波成分を強調する画像処理装置において、 前記原画像信号に基づいて、互いに周波数応答特性が異
    なる複数の非鮮鋭マスク画像信号を作成する非鮮鋭マス
    ク画像信号作成手段と、 前記原画像信号および前記複数の非鮮鋭マスク画像信
    号、または前記複数の非鮮鋭マスク画像信号に基づい
    て、前記原画像信号の複数の周波数帯域ごとの信号を表
    す複数の帯域制限画像信号を作成する帯域制限画像信号
    作成手段と、 該各帯域制限画像信号のうち少なくとも1つの信号につ
    いて、該帯域制限画像信号の少なくとも一部を小さくす
    るような変換処理を施して複数の変換画像信号を作成す
    る変換手段と、 該各変換画像信号を積算することにより前記原画像信号
    に加算する前記高周波成分に関する信号を得る周波数強
    調処理手段とからなることを特徴とする画像処理装置。
  22. 【請求項22】 前記変換手段が、前記複数の変換画像
    信号を、前記帯域制限画像信号の絶対値が所定の閾値よ
    り大きい帯域制限画像信号について、該帯域制限画像信
    号の絶対値を小さくするように、該各帯域制限画像信号
    を変換することにより作成する手段であることを特徴と
    する請求項21記載の画像処理装置。
  23. 【請求項23】 前記変換手段が、前記複数の変換画像
    信号を、前記各帯域制限画像信号が所定の閾値より大き
    いほど該帯域制限画像信号の絶対値を小さくするととも
    に、前記各帯域制限画像信号の絶対値が該所定の閾値よ
    りも小さい他の閾値よりも小さいほど該帯域制限画像信
    号の絶対値を小さくするように、該各帯域制限画像信号
    を変換することにより作成する手段であることを特徴と
    する請求項22記載の画像処理装置。
  24. 【請求項24】 前記変換手段が、前記複数の変換画像
    信号を、前記各帯域制限画像信号の周波数帯域に応じて
    該各帯域制限画像信号の絶対値の大きさを変化させるよ
    うに、該各帯域制限画像信号を変換することにより作成
    する手段であることを特徴とする請求項22または23
    記載の画像処理装置。
  25. 【請求項25】 前記変換手段が、前記複数の変換画像
    信号を、前記各帯域制限画像信号を、前記周波数帯域ご
    とに異なる複数の関数に基づいて、該帯域制限画像信号
    の絶対値に基づいて決まる該絶対値以下の値となるよう
    に変換することにより作成する手段であることを特徴と
    する請求項21記載の画像処理装置。
  26. 【請求項26】 前記変換画像信号の作成に使用される
    各関数が、前記帯域制限画像信号の絶対値が所定の値よ
    り大きい帯域制限画像信号については、該変換画像信号
    の値がほぼ一定の値となるように該帯域制限画像信号を
    変換する関数であり、該関数が高周波帯域を処理する関
    数であるほど、前記所定の値が小さい値であることを特
    徴とする請求項25記載の画像処理装置。
  27. 【請求項27】 前記変換画像信号の作成に使用される
    各関数が、該関数が低周波帯域を処理する関数であるほ
    ど、前記帯域制限画像信号の絶対値が0近傍の所定の範
    囲内の値である帯域制限画像信号を変換した際に得られ
    る該変換画像信号の絶対値が小さい値であることを特徴
    とする請求項25または26記載の画像処理装置。
  28. 【請求項28】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記高周波成分に関する信号の作
    成、および該高周波成分に関する信号の前記原画像信号
    への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)+f2(Sus1 −Sus2)+… +fk(Susk-1−Susk )+…+fN(SusN-1−SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項21から27
    のいずれか1項記載の画像処理装置。
  29. 【請求項29】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記高周波成分に関する信号の作
    成、および該高周波成分に関する信号の前記原画像信号
    への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN ) =(1/N)・{f1(Sorg −Sus1)+f2(Sorg −Sus2)+… +fk(Sorg −Susk)+…+fN(Sorg −SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項21から27
    のいずれか1項記載の画像処理装置。
  30. 【請求項30】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記高周波成分に関する信号の作
    成、および該高周波成分に関する信号の前記原画像信号
    への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sus1,Sus2,…SusN ) ={f2(Sus1 −Sus2)+f3(Sus2 −Sus3)+… +fk(Susk-1 −Susk)+…+fN(SusN-1 −SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=2〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項21から24
    のいずれか1項記載の画像処理装置。
  31. 【請求項31】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記高周波成分に関する信号の作
    成、および該高周波成分に関する信号の前記原画像信号
    への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sus1,Sus2,…SusN ) =(1/N)・{f2(Sus1 −Sus2)+f3(Sus1 −Sus3)+… +fk(Sus1 −Susk)+…+fN(Sus1 −SusN)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=2〜N):前記各帯域制限画像信号を変換する関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項21から24
    のいずれか1項記載の画像処理装置。
  32. 【請求項32】 前記変換手段が、前記複数の変換画像
    信号を、前記各帯域制限画像信号に対して、前記強調係
    数に応じた変換処理を施すことにより作成する手段であ
    ることを特徴とする請求項21から31のいずれか1項
    記載の画像処理装置。
  33. 【請求項33】 前記変換処理が、前記各周波数帯域ご
    とに異なる変換処理であって、前記帯域制限画像信号の
    周波数帯域が低周波帯域であるほど、該帯域制限画像信
    号を強く抑制するような変換処理であり、 前記強調係数が大きいときほど、高周波帯域の帯域制限
    画像信号に対する抑制の度合いと、低周波帯域の帯域制
    限画像信号に対する抑制の度合いの差が大きいことを特
    徴とする請求項32記載の画像処理装置。
  34. 【請求項34】 前記変換手段が、前記帯域制限画像信
    号を、該帯域制限画像信号の絶対値に基づいて決まる該
    絶対値以下の値となるように変換することにより抑制画
    像信号を作成する抑制画像信号作成手段と、 前記原画像信号および前記複数の非鮮鋭マスク画像信号
    に基づいて、前記抑制画像信号の作成に使用された帯域
    制限画像信号よりも低い周波数帯域の信号を含む補助画
    像信号を作成する補助画像信号作成手段と、 該補助画像信号を、該補助画像信号の絶対値が小さいほ
    ど1に近く、大きいほど0に近い値となるように変換す
    ることにより前記抑制画像信号にそれぞれ対応する倍率
    信号を作成する倍率信号作成手段と、 前記抑制画像信号に、該抑制画像信号に対応する前記倍
    率信号を乗ずる乗算手段とからなることを特徴とする請
    求項21記載の画像処理装置。
  35. 【請求項35】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記積算信号の作成、および該積算
    信号の前記原画像信号への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)・g(Sus1−Sus2) +f2(Sus1 −Sus2)・g(Sus2−Sus3)+… +fk(Susk-1−Susk )・g(Susk−Susk+1)+… +fN(SusN-1−SusN)・g(SusN−SusN+1)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換して前記
    抑制信号を作成するための関数 g:前記各補助画像信号を変換して前記倍率信号を作成
    するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項21または3
    4記載の画像処理装置。
  36. 【請求項36】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記積算信号の作成、および該積算
    信号の前記原画像信号への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) ={f1(Sorg −Sus1)・g(Sorg−Sus2) +f2(Sus1 −Sus2)・g(Sorg−Sus3)+… +fk(Susk-1−Susk )・g(Sorg−Susk+1)+… +fN(SusN-1−SusN)・g(Sorg−SusN+1)} (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各帯域制限画像信号を変換して前記
    抑制信号を作成するための関数 g:前記各補助画像信号を変換して前記倍率信号を作成
    するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項21または3
    4記載の画像処理装置。
  37. 【請求項37】 前記変換手段が、変換される帯域制限
    画像信号である被変換帯域制限画像信号よりも低い周波
    数帯域の帯域制限画像信号である低周波側帯域制限画像
    信号を、原点をとおり該原点における傾きがほぼ0で、
    処理される値が大きくなるにつれて該傾きが漸増する非
    線形関数に基づいて変換することにより前記被変換帯域
    制限画像信号の補助画像信号を作成する補助画像信号作
    成手段と、 該補助画像信号を前記被変換帯域制限画像信号に加算す
    ることにより複合帯域制限画像信号を作成する復号帯域
    制限画像信号作成手段と、 該複合帯域制限画像信号を、該複合帯域制限画像信号の
    絶対値に基づいて決まる該絶対値以下の値となるように
    変換することにより前記変換画像信号を作成する変換画
    像信号作成手段とからなることを特徴とする請求項21
    記載の画像処理装置。
  38. 【請求項38】 前記帯域制限画像信号の作成、前記変
    換画像信号の作成、前記積算信号の作成、および該積算
    信号の前記原画像信号への加算を、下記の式 Sproc=Sorg +β(Sorg )・Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) Fusm (Sorg,Sus1,Sus2,…SusN) =[f1{(Sorg −Sus1)+g(Sus1−Sus2)} +f2{(Sus1 −Sus2)+g(Sus2−Sus3)}+… +fk{(Susk-1−Susk )+g(Susk−Susk+1)}+… +fN{(SusN-1−SusN)+g(SusN−SusN+1)}] (但し、Sproc:高周波成分が強調された画像信号 Sorg :原画像信号 Susk(k=1〜N+1):非鮮鋭マスク画像信号 fk(k=1〜N):前記各複合帯域制限画像信号を変換する
    ための関数 g:前記各帯域制限画像信号を変換して前記補助画像信
    号を作成するための関数 β(Sorg):原画像信号に基づいて定められる強調係
    数) にしたがって行うことを特徴とする請求項21または3
    7記載の画像処理装置。
  39. 【請求項39】 前記変換手段が、前記複数の変換画像
    信号を、前記原画像を撮影した際の撮影部位に応じて、
    前記各帯域制限画像信号を変換することにより作成する
    手段であることを特徴とする請求項21から38のいず
    れか1項記載の画像処理装置。
  40. 【請求項40】 前記原画像が断層撮影により得られた
    流れ像を含むものであり、前記非鮮鋭マスク画像信号作
    成手段が、前記複数の非鮮鋭マスク画像信号を、前記原
    画像信号に対して該流れ像の方向に沿う1次元非鮮鋭マ
    スクによりマスク処理を施すことにより作成する手段で
    あることを特徴とする請求項21から39記載の画像処
    理装置。
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