JPH107454A - 高磁束密度低損失Ni−Cu−Zn系フェライト焼結体およびDC−DCコンバータ用トランス - Google Patents

高磁束密度低損失Ni−Cu−Zn系フェライト焼結体およびDC−DCコンバータ用トランス

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JPH107454A
JPH107454A JP8158654A JP15865496A JPH107454A JP H107454 A JPH107454 A JP H107454A JP 8158654 A JP8158654 A JP 8158654A JP 15865496 A JP15865496 A JP 15865496A JP H107454 A JPH107454 A JP H107454A
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Tokukazu Koyuhara
徳和 小湯原
Teruo Uchikawa
晃夫 内川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 比抵抗の高いNi−Cu−Znフェライトに
おいて、飽和磁束密度が大きくて損失が小さい、DC/
DCコンバータ等のトランス用等として使用できるフェ
ライトを提供する。 【構成】 Fe23 49.0〜50.0mol%、Z
nO 18.0〜26.0、CuO 0〜12.0mo
l%、残部がNiOから成る組成を有するフェライトに
おいて、20〜140℃における損失(コアロス)の最
小値が150kW/m3以下(周波数50kHz、動作
磁束密度50mT)で飽和磁束密度が420mT以上
(印加磁界4000A/m)の特性をもつ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DC/DCコンバ
ータのトランス用等に用いられるフェライト焼結体及び
トランス用コアに関する。
【0002】
【従来の技術】スイッチング電源は、民生機器をはじめ
OA、産業用機器へと幅広い利用が進んでおり、現在、
小型、薄型、軽量化が図られている。このスイッチング
電源、DC/DCコンバータに使用されるトランスに
は、従来、Mn−Zn系のフェライトコアが使用されて
いた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】Mn−Zn系のフェラ
イトコアは、飽和磁束密度、透磁率が大きく、また損失
(コアロス)が10kW/m3程度(周波数50kH
z、動作磁束密度50mT)と小さいという特長があ
り、これまでスイッチング電源やDC/DCコンバータ
等のトランスに用いられてきた。しかしながら、比抵抗
が10Ω・m程度と比較的低く、コアに直接巻線をする
と漏れ電流が発生する。このため、DC/DCコンバー
タ等のトランス用としては、Mn−Zn系のフェライト
コアを使用する場合、コアにボビンをかぶせたり、絶縁
被膜等の処理を行ってから巻線を行っていた。それによ
り、製造コストが高く、小型化が難しいという問題があ
った。
【0004】これに対し、Ni系のフェライトコアは、
一般に比抵抗が106Ω・m程度と非常に高く、コアに
直接巻線をすることが可能であるが、損失(コアロス)
が大きいためコアが発熱し易く、また飽和磁束密度が小
さいためコア形状が大きくなり、DC/DCコンバータ
等のトランス用として適していなかった。本発明は、上
記のことを鑑みて、比抵抗の高いNi系フェライトに
て、飽和磁束密度が大きく損失(コアロス)が小さい、
DC/DCコンバータ等のトランス用等として使用でき
るフェライト材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、Fe23
9.0〜50.0mol%、ZnO 18.0〜28.
0、CuO 0〜12.0mol%(但し、0mol%
を含まない)、残部がNiOから成る組成を有し、平均
結晶粒径が3〜30μmであり、20〜140℃におけ
る損失(コアロス)の最小値が150kW/m3以下
(周波数50kHz、動作磁束密度50mT)で、飽和
磁束密度が420mT(印加磁界4000A/m)以上
であるNi−Cu−Zn系フェライト焼結体である。ま
た本発明は、コアロス(Pcv[kW/m3]、周波数5
0kHz、動作磁束密度50mT)と飽和磁束密度(B
m[mT]、印加磁界4000A/m)の関係が、式1
のとおりであるNi−Cu−Zn系フェライト焼結体で
ある。また本発明は、上記したNi−Cu−Zn系フェ
ライト焼結体からなるコアを用いたDC−DCコンバー
タ用トランスである。
【0006】本発明では、主成分組成範囲が重要な要件
である。即ち、Fe23が49.0mol%未満である
と、コアロスが大きくなり、飽和磁束密度も低くなる。
また、Fe23が50.0mol%を超えると、比抵抗
が低くなり、Ni系の特徴である絶縁性が低くなり、不
適当である。よって、Fe23は49.0〜50.0m
ol%の範囲であり、より好ましくは、49.3〜4
9.8mol%である。ZnOは18.0mol%未満
であると、コアロスが大きくなり、また28.0mol
%を超えると、飽和磁束密度が低くなる。よって、1
8.0〜28.0mol%の範囲であり、より好ましく
は、20.0〜24.0mol%である。また、このZ
nOの含有量が18.0〜28.0mol%のとき、コ
アロスの最小値を得る温度を20〜140℃の範囲に制
御できる。CuOは12mol%を超えると、コアロス
が大きくなる。よって、12mol%以下の範囲であ
り、より好ましくは、3.0〜9.0mol%である。
【0007】また本発明では、結晶粒径も重要な要件で
ある。この結晶粒径が3μm未満であると、コアロスが
大きくなり、また30μmを超えると、結晶が異常成長
し、コアロスが大となる。このため、平均結晶粒径は3
〜30μmの範囲であることが好ましい。更に好ましく
は、4〜20μmである。
【0008】この結晶粒径は、焼結体の断面を鏡面研磨
後、酸エッチングあるいは熱処理を施し、SEMにより
所定の倍率で観察する。そして、結晶粒子の数が50個
以上入る正方形の領域規定し、その領域内の各結晶の面
積を測定し、その面積から円換算で直径を求め、これを
各結晶の結晶粒径とする。その領域内の平均を平均結晶
粒径とする。尚、前記領域の領域線上に結晶が重なるも
のは含めないものとする。
【0009】また、本発明によるNi−Cu−Zn系フ
ェライトは、高磁束密度で、低損失な特性を特徴として
おり、損失(コアロス)は150kW/m3(周波数5
0kHz、動作磁束密度50mT)以下であることを特
徴とし、飽和磁束密度が420mT(印加磁界4000
A/m)以上であることを特徴としている。これらの特
性を満足しないと、スイッチング電源、DC−DCコン
バータ用トランスとして実用性が低くなる。また、コア
ロス(Pcv[kW/m3]、周波数50kHz、動作磁
束密度50mT)と飽和磁束密度(Bm[mT]、印加
磁界4000A/m)の関係が、式1のとおりであるこ
とを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るフェライト
材料の実施例を詳細に説明する。 実施例1 Fe23、NiO、ZnO、CuOの原料粉末を所定量
秤量し、これに所定量のイオン交換水を添加したものを
ボールミルにて4時間混合し、電気炉を用いて最高温度
850℃で1.5時間仮焼した後、これを炉冷し、40
メッシュのふるいで解砕する。しかる後、再び所定量の
イオン交換水を添加したものをボールミルにて6時間粉
砕し、粉砕されたスラリー状の原料を乾燥および解砕す
る。これにバインダー(ポリビニルアルコール)を加え
て造粒し、40メッシュのふるいにて整粒した顆粒を乾
式圧縮成形機と金型を用いて、外径16.8mm、内径
8.5mm、高さ5.4mmのリング状コアに成形圧147
MPaで成形し、これを大気中、1100℃で1.0時
間焼成した。得られた各試料の成分組成及び焼成密度を
測定した後、周波数50kHz、磁束密度50mTの測
定条件において20〜140℃の温度範囲で損失(コア
ロス)と印加磁界4000A/mの測定条件において2
0℃の飽和磁束密度を測定した。また、成分組成は、工
程中で変化し、秤量組成と若干異なるので、最終組成と
して表1に載せる。
【0011】
【表1】
【0012】表1及び図1に示すように、本発明の実施
例は、20〜140℃におけるコアロスの最小値が15
0kW/m3(周波数50kHz、動作磁束密度50m
T)以下を満足し、全て100kW/m3以下を達成し
ている。また飽和磁束密度は420mT(印加磁界40
00A/m)以上を満足し、440mT以上を達成して
いる。この実施例のコアロス(Pcv[kW/m3]、周
波数50kHz、動作磁束密度50mT)と飽和磁束密
度(Bm[mT]、印加磁界4000A/m)の関係
は、式1を満足している。またこの実施例の初透磁率
は、320以上を示し、比抵抗は1×107以上を有し
ている。また、焼成密度は5.21以上の値を示してい
る。
【0013】実施例2 表1の試料No.10のNi−Cu−Zn系フェライト
からなるドラム型コアを作製した。このドラム型コアの
寸法は、巻心径が2mm、鍔径が4.2mm、巻幅が
2.0mmで全長が3.2mmである。このコアに、U
EW0.2φの被覆導線を用いて、35ターン巻線し
た。この試料を用いて、直流重畳特性の評価を行った。
測定条件は、周波数100kHz、電流1mAである。
この重畳特性は、20℃、60℃、100℃で評価し
た。その結果を表2に示す。この表2のインダクタンス
Lは初期のインダクタンス値であり、L−20%時の電
流値は、電流値を上げ、インダクタンスが低下し、初期
の値から20%インダクタンス値が下がった時の電流値
である。また、20℃のときのL−Idc特性のデータ
を図2示す。このように、本発明の実施例は、測定温度
20℃、60℃、100℃の各温度で、比較例に比べて
3〜5%のインダクタンス値の向上と15%程度の電流
値の延びが確認された。この電流値の延びは、インダク
タンス値が同じ場合で比較すると、更に大きな違いとな
る。つまり、本発明の実施例は、スイッチング電源、D
C−DCコンバータ用トランスとして、実用的であり、
使用可能であることがわかる。
【0014】
【表2】
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、Ni−Cu−Znフェ
ライトにおいて、コアロスが150kW/m3以下(周
波数50kHz、動作磁束密度50mT)で、飽和磁束
密度が420mT以上(印加磁界4000A/m)とい
う非常に低損失で飽和磁束密度の高いフェライト焼結体
を得る事が出来、しかもNi系フェライトの特有の比抵
抗の高いフェライト焼結体が得られ、DC/DCコンバ
ータ等のトランス用として有用であり、トランスの小型
化及び製造コストの低減に大いに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例と従来例のPcvとBmの関
係を示した図である。
【図2】本発明に係る実施例と従来例のL−Idcの関
係を示した図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe23 49.0〜50.0mol
    %、ZnO 18.0〜28.0、CuO 0〜12.
    0mol%(但し、0mol%を含まない)、残部がN
    iOから成る組成を有し、平均結晶粒径が3〜30μm
    であり、20〜140℃における損失(コアロス)の最
    小値が150kW/m3以下(周波数50kHz、動作
    磁束密度50mT)で、飽和磁束密度が420mT(印
    加磁界4000A/m)以上であることを特徴とする高
    磁束密度低損失Ni−Cu−Zn系フェライト焼結体。
  2. 【請求項2】 Fe23 49.0〜50.0mol
    %、ZnO 18.0〜28.0、CuO 0〜12.
    0mol%(但し、0mol%を含まない)、残部がN
    iOから成る組成を有し、平均結晶粒径が3〜30μm
    であり、コアロス(Pcv[kW/m3]、周波数50k
    Hz、動作磁束密度50mT)と飽和磁束密度(Bm
    [mT]、印加磁界4000A/m)の関係が、式1の
    とおりであることを特徴とする高磁束密度低損失Ni−
    Cu−Zn系フェライト焼結体。 【式1】
  3. 【請求項3】 請求項2において、20〜140℃にお
    ける損失(コアロス)の最小値が150kW/m3以下
    (周波数50kHz、動作磁束密度50mT)で、かつ
    飽和磁束密度が420mT(印加磁界4000A/m)
    以上であることを特徴とする高磁束密度低損失Ni−C
    u−Zn系フェライト焼結体。
  4. 【請求項4】 Fe23 49.0〜50.0mol
    %、ZnO 18.0〜28.0、CuO 0〜12.
    0mol%(但し、0mol%を含まない)、残部がN
    iOから成る組成を有し、20〜140℃における損失
    (コアロス)の最小値が150kW/m3以下(周波数
    50kHz、動作磁束密度50mT)で、飽和磁束密度
    が420mT(印加磁界4000A/m)以上の磁気特
    性を有するコアを用いることを特徴とするDC/DCコ
    ンバータ用トランス。
  5. 【請求項5】 コアロス(Pcv[kW/m3]、周波数
    50kHz、動作磁束密度50mT)と飽和磁束密度
    (Bm[mT]、印加磁界4000A/m)の関係が、
    式1の特性のNi−Cu−Zn系フェライト焼結体から
    なるコアを用いることを特徴とするDC/DCコンバー
    タ用トランス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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