JP4683718B2 - フェライト材料及びこれを用いたフェライトコア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェライト材料に関する。特に、高飽和磁束密度及び高透磁率を示すフェライト材料、及びこれを用いたフェライトコアに関する提案である。
【0002】
【従来の技術】
フェライト材料は、インダクター・変圧器・安定器・電磁石・ノイズ除去等のコアとして広く使用されている。特に、近年、携帯電話やノート型パソコン等、バッテリー駆動の携帯機器の小型・薄型化の進展と共に、これらの携帯機器に求められる電源も小型・薄型化の要求が強くなっている。そこで、上記インダクタ−用のコアも小型化されることから大きな電流を流しにくくなっており、体積が小さくても大きな電流を流すことの出来るフェライト材料が求められ、飽和磁束密度の高いフェライト材料が望まれている。
【0003】
即ち、フェライト材料をコア形状とし、巻き線を施してコイルとした場合に、巻き線に加える電流を大きくするほど生じる磁束密度が大きくなるが、ある一定値で飽和して、それ以上にはならないという特性がある。この時の磁束密度が飽和磁束密度(以下Bs値)であり、このBs値を超える範囲の電流を流すと発熱等の不都合が生じてしまう。従って、Bs値が高いほど大きな電流を流すことが出来るのである。
【0004】
また、これらの携帯機器に求められる部品の高インダクタンス化の要求も強くなっている。そこで、小型化してもインダクタンスの大きいフェライト材料が求められ、インダクタンスの材料特性である透磁率の高いフェライト材料が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、一般的に用いられるフェライト材料では、高いBs値と高い透磁率は両立できないとされている。
【0006】
一方、フェライト材料に各種添加物を加えることによって特性を高めることも提案されており、特開平6-295811号公報によれば、Fe2O3、MgO、NiO、CuO及びZnOを主成分としたフェライト材料にMoO3を添加することによりBs値を高くすることが示されている。
【0007】
しかしながら、いずれも上記問題点である高Bs値且つ高透磁率の特性を両立するものではなかった。
【0008】
そこで、本発明は高いBs値と高い透磁率を同時に実現したフェライト材料を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決する為の手段】
本発明のフェライト材料は、Feを主成分としてZn、NiまたはCuの少なくとも1種以上を含むスピネル構造の酸化物を主体とし、Zn、NiまたはCuのうち少なくとも1種を主成分とする酸化物の含有量を0.01体積%未満とし、かつ、SiO 2 の含有量を0体積%以上0.001体積%未満とし、前記フェライト材料100重量部に対して、副成分として更にZrまたはYの酸化物を、それぞれZrO2またはY2O3換算で、ZrO2:0.001〜0.1重量部、Y2O3:0.001〜0.1重量部、を含有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のフェライト材料は、Zn、Ni又はCuのうち少なくとも1種を主成分とする酸化物の90体積%以上が結晶粒子からなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は前記フェライト材料の平均結晶粒径が1〜50μm、かつ焼結密度が、5.0g/cm3以上であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は前記フェライト材料が、Fe、Zn、Ni、Cu及びMnの酸化物をそれぞれFe2O3、ZnO、NiO、CuO及びMnO換算でFe2O3が48〜50モル%、CuOが5モル%以下、MnOが0.01〜1モル%の範囲で含有し、かつZnO/NiOのモル比が0.5〜1.6であることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明のフェライトコアは、上記フェライト材料でもって所定形状になしたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のフェライト材料は、Feを主成分としてZn、NiまたはCuの少なくとも1種以上を含むスピネル構造の酸化物を主体とし、Zn、NiまたはCuのうち少なくとも1種を主成分とする酸化物の含有量を0.01体積%未満とし、かつ、SiO 2 の含有量を0体積%以上0.001体積%未満とし、前記フェライト材料100重量部に対して、副成分として更にZrまたはYの酸化物を、それぞれZrO2またはY2O3換算で、ZrO2:0.001〜0.1重量部、Y2O3:0.001〜0.1重量部を含有することによって高いBs値且つ高い透磁率を同時に実現したものである。
【0016】
一般に、Feを主成分としZn、Ni又はCuなどを含有するフェライト材料はFeを主成分とするスピネル構造の酸化物が主体となるが、一部Zn、Ni、Cuを主成分とした酸化物が存在する。そして、Zn、NiあるいはCuの少なくとも1種を主成分とした前記酸化物が弱い磁性若しくは、非磁性を示し、全体的な磁気特性を低下させ、透磁率とBs値とを低下させるため、本発明のフェライト材料においてはその含有量を少なくしたのである。前記のFeを主成分とせず、Zn、NiあるいはCuのうち少なくとも1種を主成分とする酸化物の含有量については、本発明ではフェライト材料の微小領域を分析することによって0.01体積%未満とすればよいことを見出した。
【0017】
また、本発明のフェライト材料は前記Zn、NiあるいはCuの少なくとも1種を主成分とした酸化物が0.01体積%未満の範囲で存在していても、その90体積%以上が結晶粒子であることが好ましい。これは、前記酸化物が結晶化することで、それ自体の磁性が高くなるため、フェライト材料の更にBs値と透磁率を高くすることができるからである。
【0018】
なお、本発明のフェライト材料に含まれるZn、NiあるいはCuの少なくとも1種を主成分とした酸化物の含有量は例えば以下の通り測定する。焼結したフェライト材料を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察しながら、波長分散型X線マイクロアナライザー(WDS)によりFe、Zn、Ni及びCuの各元素分布を測定する。この時の測定条件は、加速電圧15kV程度、プローブ電流2×10-7A程度、分析エリア103μm2〜108μm2程度とする。測定結果を画像処理し、Feの存在が少ない領域でNi、ZnもしくはCuの少なくとも1種が存在する領域をNi、ZnもしくはCuの少なくとも1種を主成分とする酸化物であるとし、その面積%を酸化物の体積%とする。
【0019】
さらに、その他の方法としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察しながら、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー(EDS)により算出できる。
【0020】
また、前記酸化物の結晶、非結晶の判定、定量については、X線回折又は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって行う。例えば、試料中の各結晶を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて結晶構造を同定できる。また、前記結晶構造の同定結果と試料のX線回折結果とを用いてリートベルト法によりシュミュレーションし結晶、非結晶の割合を測定することもできる。さらには前記酸化物の含有量の異なる分析用試料を用いて作製した検量線により結晶、非結晶の判定を行う、いわゆる検量線法を用いることもできる。
【0021】
また、本発明のフェライト材料は、透磁率を低下させずに更にBs値を高くする為に平均結晶粒径が1〜50μmであることが好ましい。本発明において平均結晶粒径を前記範囲とした理由は、1μm未満であると焼結密度が低下して透磁率の向上が著しくないからであり、50μmを超えると透磁率の向上が著しくないからである。
【0022】
また、本発明のフェライト材料は、透磁率を低下させずに更にBs値を高くするためには焼結密度が5.0g/cm3以上であることが好ましい。本発明において焼結密度を前記範囲とした理由は、焼結密度が5.0g/cm3未満の場合は透磁率の向上が著しくないからである。
【0023】
また、本発明のフェライト材料はFe、Zn、Ni、Cu及びMnの酸化物をそれぞれFe2O3、ZnO、NiO、CuO及びMnO換算でFe2O3を48〜50モル%、CuOを5モル%以下、MnOを0.01〜1モル%の範囲で含有し、かつZnO/NiOのモル比を0.5〜1.6とすることが好ましい。
【0024】
本発明においてFe2O3を48〜50モル%としたのは、透磁率を低下させずに更にBs値を高くすることができるためである。CuOを5モル%以下としたのは、Bs値を低下させずに更に透磁率を高くすることができるためである。MnOを0.01〜1モル%としたのは、透磁率を低下させずに更にBs値を高くするためである。ZnO/NiOのモル比が0.5〜1.6としたのは、透磁率を低下させずにさらにBs値を高くするためである。
【0025】
更に高いBs値と高い透磁率を同時に実現するためには、Fe2O3を48.5〜49.5モル%、CuOを0.01〜4モル%、MnOを0.1〜0.5モル%、ZnO/NiOのモル比を0.7〜1.2とすることがより好ましい。
【0026】
また、本発明のフェライト材料は、副成分としてZrO2またはY2O3をそれぞれ0.001〜0.1重量部添加することが好ましい。添加量を共に0.001〜0.1重量部としたのは、高いBs値と高い透磁率を同時に実現できるためである。より好ましい添加量は、ZrO2またはY2O3共に0.001〜0.01重量部である。
【0027】
なお、本発明のフェライト材料は上記成分以外のものを排除するものではない。たとえば、Al2O3、SiO2、CaO、MgO、K2O、Cr2O3、P2O5、WO3、PbO、K20等をいずれも0.05重量部未満の範囲で含んでもよい。
【0028】
本発明のフェライト材料の製造方法は、以下の通りである。Fe2O3、ZnO、NiO及びCuOの粉体の少なくとも1種の比表面積が5m2/gを超える原料粉体を所定量調合し、振動ミル等で混合粉砕を行う。この時、混合粉砕後の粉体の比表面積は5m2/g超える粉体とする。得られた粉体を昇温速度250℃/時間以下で昇温、800〜950℃で10〜20時間で保持、降温速度100℃/時間以下で降温して得られた仮焼粉体に前記副成分を加え、ボールミル等で粉砕、造粒する。得られた造粒体を周知の方法で所定形状に成形し、950〜1400℃で焼成する。
【0029】
通常、フェライト材料を製造する場合の粉体の比表面積は、一次原料の比表面積に寄与する。その際の粉体比表面積は、2〜3m2/gである。本発明では、Feを主成分としたスピネル構造のフェライト結晶化を促進させる為に比表面積の大きい粉体を用い、更に混合・粉砕を十分行い比表面積を大きくする。つまり、本発明では比表面積の大きい一次原料で且つ、混合・粉砕後の粉体比表面積を5m2/gを超える粉体とする事により局所的な組成の不均一状態を取り除く。その結果、フェライト焼結体の一部がZn、NiもしくはCuのうち少なくとも1種を主成分とした酸化物の含有量を0.01体積%未満とすることができる。
【0030】
前記の仮焼条件において昇温速度を250℃/時間以下、800〜900℃で10〜20時間保持する理由は、反応性の高い比表面積の大きな粉末を更にスピネル構造からなるフェライト結晶へ促進させる為である。
【0031】
つまり、前記酸化物を0.01体積%未満にするには、Fe2O3、ZnO、NiO及びCuOの原料粉体における比表面積を大きく、混合・粉砕後の比表面積を大きくまたは、仮焼条件において昇温速度を遅くし、仮焼時間を長くするとよい。
【0032】
前記の仮焼条件において降温速度を100℃/時間以下とする理由は、非結晶粒子は早い降温速度で生じやすいからである。つまり、降温速度を遅くすると前記結晶粒子の体積%を多くすることができる。
【0033】
また、副成分は仮焼後に加える事を拘束するのではなく、仮焼前に主成分へ加えても特性に何ら影響するものではない。
【0034】
また、本発明は、上記のフェライト材料を用いてフェライトコアを形成したことを特徴とする。
【0035】
ここで、フェライトコアとしては、図1(a)に示すようなリング状のトロイダルコア1、あるいは、図1(b)に示すようなボビン状コア2とすれば良く、それぞれ巻き線部1a、2aに巻き線を施す事によってコイルとすることができる。
【0036】
この様な本発明のフェライトコアは、大電流用インダクタ−に用いられ、特に、大電流が流れる電源部において高いBs値が必要で、且つ高いインダクタンスが必要な通信機、携帯電話、コンピュータ等の機器における電源系の部品に好適に使用する事ができる。
【0037】
【実施例】
実施例1
比表面積が5m2/gを超えるFe2O3、ZnO、NiO及びCuOの原料粉体を用い、40モル%のFe2O3、1モル%のCuO、0.5モル%のMnO及びZnO/NiOのモル比を1.8に調合し、振動ミルで混合粉砕を行った。この時、混合粉砕後の粉体の比表面積は5m2/g以上とした。得られた粉体を昇温速度250℃/時間以下で昇温、800〜950℃で10〜20時間保持、降温速度60℃/時間で降温して得られた仮焼粉体をボールミル等で粉砕、造粒した。得られた造粒体を圧縮成型して図1に示すトロイダルコア1の形状に成形し、この成形体を950℃〜1400℃で焼成して、表1に示したZn、NiあるいはCuのうち少なくとも1種を主成分とした酸化物を含有した試料No.5〜9を作製した。
【0038】
また、比較例としてZn、NiあるいはCuのうち少なくとも1種を主成分とした酸化物を含有せず、非磁性酸化物であるSiO2を含有した試料No.1〜4を準備した。
【0039】
なお、本発明の範囲内の試料の平均結晶粒径は、0.5μm以上で焼結密度は、4.5g/cm3以上であった。
【0040】
得られた焼結体をトロイダルコア1とし、これに線径0.2mmの被膜銅線を7ターン巻き付けて100kHzの条件でLCRメータを用い、透磁率を測定した。
【0041】
次に、トロイダルコア1に、図2に示すように線径0.2mmの被膜銅線を用いて一次側巻き線3を100ターン、二次側巻き線4を30ターン巻き付けて、一次側巻き線3に電源5を、二次側巻き線4に磁束計6をそれぞれ接続し、100Hz、100エルステッドの条件でBs値を測定した。
【0042】
結果を表1に示すように、Zn、NiあるいはCuのうち少なくとも1種を主成分とした酸化物を0.01体積%以上含有している試料No.8と9はBs値と透磁率が低かった。
【0043】
また、非磁性酸化物であるSiO2を含有した試料No.1〜4もBs値と透磁率が共に低かった。
【0044】
これに対し、前記酸化物を0.01体積%未満含有する本発明の試料No.5〜7では、Bs値が2950ガウス以上、透磁率が600以上と優れた特性が得られた。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例2
次に、主成分を40モル%のFe2O3、1モル%のCuO、0.5モル%のMnOとZnO/NiOのモル比を1.8とした。また仮焼時の降温速度100℃/時間とし、Zn、NiあるいはCuのうち少なくとも1種を主成分とした酸化物の含有量(体積%)とそのうちの結晶粒子の比率(体積%)を表2に示すように変化させた。その他条件は、上記実施例1と同様にしてトロイダルコア1の形状をなす試料No.10〜17を得た。
【0047】
得られた焼結体に対して、実施例1と同様にしてBs値及び透磁率を測定したところ、表2に示すような結果が得られた。
【0048】
この結果より、前記結晶粒子が90体積%以上である試料No.10、11、14、15、では、Bs値が3200ガウス以上、透磁率も820以上と更に優れた特性が得られた。
【0049】
【表2】
【0050】
実施例3
次に、主成分を40モル%のFe2O3、1モル%のCuO、0.5モル%のMnOとZnO/NiOのモル比を1.8とした。また、Zn、NiあるいはCuのうち少なくとも1種を主成分とした酸化物の含有量(体積%)、そのうちの結晶粒子の比率(体積%)、平均結晶粒径及び焼結密度を表3に示すように変化させた。その他条件は、上記実施例1と同様にしてトロイダルコア1の形状をなす試料No.18〜37を得た。
【0051】
得られた焼結体に対して、実施例1と同様にしてBs値及び透磁率を測定したところ、表3に示すような結果が得られた。
なお、各試料の平均結晶粒径は、種々の方法でエッチング加工した焼結磁器のSEM写真を撮り、各結晶に接する内接円と外接円の直径の平均値とし、焼結密度はアルキメデス法によって測定した。
【0052】
この結果より、前記結晶粒子が90体積%未満、平均結晶粒径が1〜50μm、焼結密度が5.0g/cm3以上である本発明範囲内の試料No.22〜29では、Bs値が2950ガウス以上、透磁率も650以上と優れた特性が得られた。
【0053】
また、前記酸化物含有量が0.01体積%未満、前記結晶粒子が90体積%以上、平均結晶粒径が1〜50μm、焼結密度が5.0g/cm3以上である試料No.18〜21、30〜37では、Bs値が3300ガウス以上、透磁率も900以上と更に優れた特性が得られた。
【0054】
【表3】
【0055】
実施例4
次に、主成分のFe2O3、CuO、MnO及びZnO/NiOのモル比を表4に示すように幾通りにも変化させ、Zn、NiあるいはCuのうち少なくとも1種を主成分とした酸化物の含有量を0.01体積%未満、そのうちの結晶粒子の比率を80体積%以上とし、その他条件は、上記実施例1と同様にしてトロイダルコア1の形状をなす試料No.38〜49を得た。なお、いずれの試料も平均結晶粒径は0.5μm以上で、焼結密度は4.8g/cm3以上であった。
【0056】
得られた焼結体に対して、実施例1と同様にしてBs値及び透磁率を測定したところ、表4に示すような結果が得られた。
【0057】
この結果より、48〜50モル%のFe2O3、0.01〜5モル%のCuO、0.01〜1モル%のMnO及びZnO/NiOのモル比が0.5〜1.6とした試料No.40〜49では、透磁率が600以上で、Bs値が3500ガウス以上と更に優れた特性が得られた。
【0058】
【表4】
【0059】
実施例5
次に、主成分を48モル%のFe2O3と1モル%のCuO、0.5モル%のMnOとZnO/NiOのモル比を0.7とし、Zn、NiあるいはCuのうち少なくとも1種を主成分とした酸化物の含有量を0.01体積%未満、そのうちの結晶粒子の比率を80体積%以上とし、副成分のZrO2とY2O3の含有量を表5に示すように変化させて、その他条件は、上記実施例1と同様にしてトロイダルコア1の形状をなす試料No.50〜58を得た。なお、いずれの試料も平均結晶粒径は0.5μm以上で焼結密度は、4.5g/cm3以上であった。
【0060】
得られた焼結体に対して、実施例1と同様にしてBs値及び透磁率を測定したところ、表5に示すような結果が得られた。
【0061】
この結果より、ZrO2の添加量を0.001〜0.1重量部またはY2O3の添加量を0.001〜0.1重量部とした試料No.51,53,55〜58では、Bs値は4600ガウス以上、且つ透磁率700以上と更に優れた特性が得られた。
【0062】
【表5】
【0063】
【発明の効果】
以上の様に本発明によれば、Feを主成分としてZn、NiまたはCuの少なくとも1種以上を含むスピネル構造の酸化物を主体とし、Zn、NiまたはCuのうち少なくとも1種を主成分とする酸化物の含有量を0.01体積%未満とし、かつ、SiO 2 の含有量を0体積%以上0.001体積%未満とし、前記フェライト材料100重量部に対して、副成分として更にZrまたはYの酸化物を、それぞれZrO2またはY2O3換算で、ZrO2:0.001〜0.1重量部、Y2O3:0.001〜0.1重量部を含有することによって高いBs値且つ高い透磁率を同時に実現したフェライト材料を得ることができる。
【0064】
また、本発明によれば、上記フェライト材料を用いてフェライトコアを形成することによって、大電流が使用でき、インダクタンスを高くすることが可能となる。従って、このフェライトコアを大電流用途のインダクターとして用いることにより、各種電子機器の小型化に貢献する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は本発明のフェライトコアを示す斜視図である。
【図2】本発明のフェライト材料におけるBs値の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1:リング状トロイダルコア
2:ボビン状コア
1a、2a:巻き線部
3:一次側巻き線
4:二次側巻き線
5:電源
6:磁束計
Claims (5)
- Feを主成分としてZn、NiまたはCuの少なくとも1種以上を含むスピネル構造の酸化物を主体とし、Zn、NiまたはCuのうち少なくとも1種を主成分とする酸化物の含有量を0.01体積%未満とし、かつ、SiO 2 の含有量を0体積%以上0.001体積%未満とし、前記フェライト材料100重量部に対して、副成分として更にZrまたはYの酸化物を、それぞれZrO2またはY2O3換算で、
ZrO2:0.001〜0.1重量部
Y2O3:0.001〜0.1重量部
を含有することを特徴とするフェライト材料。 - 前記Zn、NiまたはCuの少なくとも1種を主成分とする酸化物の90体積%以上が結晶粒子からなることを特徴とする請求項1記載のフェライト材料。
- 平均結晶粒径が1〜50μm、かつ焼結密度が、5.0g/cm3以上であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のフェライト材料。
- Fe、Zn、Ni、Cu及びMnの酸化物をそれぞれFe2O3、ZnO、NiO、CuO及びMnO換算で
Fe2O3:48〜50モル%
CuO:5モル%以下
MnO:0.01〜1モル%
の範囲で含有し、かつZnO/NiOのモル比が0.5〜1.6であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフェライト材料。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載したフェライト材料でもって所定形状になしたことを特徴とするフェライトコア。
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