JP4443175B2 - フェライト焼結体とこれを用いたフェライトコアおよびフェライトコイル - Google Patents

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Description

本発明は、コア損失が低く、高い誘導起電力が発生するフェライト焼結体、フェライトコア及びフェライトコイルに関する。特に、車両用タイヤの空気圧や温度の検知装置、車両の盗難防止装置、車両用キーレスエントリー装置等に装着されるRFID(無線周波数識別)用フェライトコアやフェライトコイルに関する。
従来より、車両の安全性、経済性(消費燃費)を向上させるため、車両の走行時や停車時のタイヤ内の空気圧、温度等を運転者に知らせることが要求されるようになっている。その方法として、例えば、車両に搭載されるバッテリーから電磁波パルス(周波数は125kHz、134.2kHz等)を送信すると、タイヤに取り付けたフェライトコアが、この電磁波パルスを受信し、この受信に伴って発生する誘導起電力によりタイヤ内に設けた圧力センサーと温度センサーにそれぞれ空気圧、温度を測定するよう指令信号が出され、この指令信号に基づいて空気圧、温度が測定される。そして、圧力センサーや温度センサーと繋がった送信回路を通じて、タイヤ内の空気圧、温度は車内の表示部に送信、表示されるようになっている。この場合、圧力センサー、温度センサーからそれぞれ測定された空気圧、温度を無線で送信するための電池が必要に応じて設けられている。
このようなフェライトコアは、コア損失の低いものが望まれている。この理由はフェライトコアが電磁波パルスを受信すると誘導起電力が発生するが、フェライト自体にも損失が通常発生する。フェライトコアのコア損失を低くすることで電磁波パルスから誘導起電力に変換される効率(以下、単に変換効率という。)は向上し、高い誘導起電力を発生させることができるからである。
また、上述のフェライトコアに用いられるフェライト焼結体は、透磁率、誘電起電力、キュリー温度(T)いずれも高いことが要求されている。透磁率、誘電起電力が小さいと、タイヤの空気圧や温度を測定させる指令信号が圧力センサーや温度センサーに伝達され難く、圧力センサーや温度センサーが作動し難くなるからである。また、タイヤは高温にさらされる場合が多いので、キュリー温度(T)が低いと簡単に磁性を失ってしまうからである。
このようなフェライト焼結体として、特許文献1では平均粒径0.5〜50μmのZrOを含有することで焼結体自体の直流印加(重畳)時のインダクタンス(L値)を向上させたNi-Znフェライト焼結体が開示されている。
また、特許文献2には、Fe、NiO、残部が実質的にMnOの組成となる基本成分中にSiO及びCaOを含有し、さらにTa、ZrO、Nb、V、TiOおよびHfOの中から選ばれる少なくともいずれか1種を含むことでコア損失が極小となる温度が100℃以下となるフェライト焼結体が開示されている。
また、特許文献3及び特許文献4には、Fe、NiO、ZnO、CuO、残部が実質的にMnOの組成からなる基本成分中に、SiO及びCaOを含有し、さらにNb、Ta、V、ZrO、HfO、TiOおよびSnOの群から選ばれる少なくともいずれか1種を含有することで、高周波領域でコア損失の低いフェライト焼結体が開示されている。
特開2003−112968号公報 特開平10−270231号公報 特開平11−3813号公報 特開2000−286119号公報
上記特許文献1のNi−Zn系フェライト焼結体は、Mn−Zn系フェライト焼結体に比べ約106倍も電気抵抗が高く、絶縁性に優れているので、コア・コイル間、コア・端子間などで絶縁対策が不要となる。従って、コア・コイル間、コア・端子間の距離も短くできるため、RFID(無線周波数識別)用フェライトコアの小型化が容易に行えるとともにコストを削減することができるという利点があった。しかしながら、上記Ni−Zn系フェライト焼結体は、Mn−Zn系フェライトに比べコア損失が約10倍と大きいため、発熱量が高くなり、その結果変換効率が低く、RFID(無線周波数識別)用フェライトコアとしての実用性に欠けるという課題があった。
上記Ni−Zn系フェライト焼結体をフェライトコアに用いた場合、コア損失が高くなるのは、含まれるZrOの平均粒径が0.5〜50μmと大きいために、Zrを均一に分散させることができず、磁界中では焼結体中の磁区と磁区との境界を構成する磁壁を容易に移動させられないからである。
また、特許文献2〜4のMn−Zn系フェライト焼結体は、Ni−Zn系フェライト焼結体に比べコア損失は低いので、発熱量も低くすることができ、その結果変換効率を高くすることができる。しかしながら、上記Mn−Zn系フェライト焼結体は、電気抵抗が数Ω・cmと低く、耐電圧を確保する設計が必要であり、小型化、低コスト化の要求を満足できないという課題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。即ち本発明は、コア損失を低くすることで電力損失を低下させ、発熱量を抑制することができるとともに、誘導起電力が高く、しかも容易に小型化、低コスト化を実現できるフェライト焼結体およびこれを用いたフェライトコア並びにフェライトコイルを提供することを目的とする。
本発明は、Fe、Zn、Ni、CuをそれぞれFe換算で42〜54モル%、ZnO換算で12〜37モル%、NiO換算で7〜35モル%、CuO換算で0.5〜10モル%含有する主成分100重量部に対し、ZrをZrO換算で0.001〜0.6質量部含有した焼結体であって、焼結体中の粒界相の厚みが20nm以下であり、
前記焼結体はNiFe 、ZnFe およびCuFe から選択される少なくとも1種またはこれらの固溶体から成る、上記Zrが含まれる結晶相を含み、上記Zrが前記焼結体中に均一に分散していることを特徴とするフェライト焼結体を提供する。
またさらに、平均結晶粒径が1〜30μm、焼結密度が5.0g/cm以上であることを特徴とする。
さらにまた、本発明のフェライトコアは、上記フェライト焼結体を所定形状に形成したことを特徴とする。
また、本発明のフェライトコイルは、上記フェライトコアに導線を巻回したことを特徴とする。
本発明のフェライト焼結体によれば、Fe、Ni、Zn、CuをそれぞれFe23換算で42〜54モル%、ZnO換算で12〜37モル%、NiO換算で7〜35モル%、CuO換算で0.5〜10モル%含有する主成分100質量部に対し、ZrをZrO換算で0.001〜0.6質量部含有した焼結体であって、かつZrが上記焼結体中に均一に分散したフェライト焼結体とすることで磁区と磁区との境界を構成する磁壁を容易に移動させることができ、その結果コア損失の低いフェライト焼結体とすることができる。
また、上記焼結体中の粒界相の厚みが20nm以下であるフェライト焼結体とする、あるいは平均結晶粒径が1〜30μmであって、焼結密度が5.0g/cm以上であるフェライト焼結体とすることで、さらにコア損失の低いフェライト焼結体を提供することができる。
また、平均結晶粒径が1〜30μmであって、焼結密度が5.0g/cm以上であるフェライト焼結体とすることで、さらにコア損失の低いフェライト焼結体を提供することができる。
また、本発明のフェライト焼結体でフェライトコアやフェライトコイルを形成することで、コア損失を低くすることができるため、電力損失や発熱量を抑制できる。その結果、変換効率を高くすることができ、例えば高い誘導起電力を必要とする車両用タイヤの空気圧や温度の検知装置、車両の盗難防止装置、車両用キーレスエントリー装置等に装着されるRFID(無線周波数識別)用フェライトコアおよびこれを用いたフェライトコイルとして用いることができる。
本発明のフェライト焼結体は、Fe、Zn、Ni、Cuを、それぞれFe23換算で42〜54モル%、ZnO換算で12〜37モル%、NiO換算で7〜35モル%、CuO換算で0.5〜10モル%含有する主成分100質量部に対し、ZrをZrO換算で0.001〜0.6質量部含有した焼結体であって、上記Zrが焼結体中に均一に分散し、焼結体中の粒界相の厚みが20nm以下であることが重要である。
本発明のフェライト焼結体で、FeをFe換算で42〜54モル%としたのは、Feが42モル%未満では、透磁率が低下し、54モル%を超えると電気抵抗が低下するためである。一方、FeがFe換算で42〜54モル%であれば、透磁率、電気抵抗ともに低下しない。Fe換算でのFeの含有量の下限は44モル%、上限は52モル%が望ましい。
また、ZnをZnO換算で12〜37モル%としたのは、ZnOが12モル%未満では、透磁率が低下し、37モル%以上ではキュリー温度(T)が低下するためである。一方、ZnをZnO換算で12〜37モル%とすれば、透磁率、キュリー温度(T)ともに低下しない。ZnO換算でのZnの含有量の下限は14モル%、上限は35モル%が望ましい。
NiをNiO換算で、7〜35モル%としたのは、NiOが7モル%未満では、キュリー温度(T)が低下し、35モル%を超えると透磁率が低下するためである。一方、NiをNiO換算で7〜35モル%とすれば、透磁率、キュリー温度(T)ともに低下しない。NiO換算でのNiの含有量の下限は9モル%、上限は33モル%が望ましい。
CuをCuO換算で0.5〜10モル%としたのは、0.5モル%未満では、焼結性が低下し、10モル%を超えると電気抵抗が低下するためである。一方、CuをCuO換算で0.5〜10モル%とすれば、燒結性、電気抵抗ともに低下しない。CuO換算でのCuの含有量の下限は2モル%、上限は8モル%が望ましい。
また、上記主成分100質量部に対しZrをZrO換算で0.001〜0.6質量部としたのは、0.001質量部未満では、コア損失を低くすることができないからであり、0.6質量部を超えると電気抵抗が低下するためである。一方、ZrをZrO換算で0.001〜0.6質量部とすることで、コア損失を低くすることができるが、電気抵抗は低下しない。
ここで、Ni−Znフェライト焼結体でコア損失が発生する主な要因は、焼結体中の磁区と磁区との境界を構成する磁壁の移動に伴って発生するヒステリシス損失である。ZrをZrO換算で0.001〜0.6質量部含有させ、かつ上記Zrを焼結体中の結晶相に均一に分散させることによって、上記磁壁を容易に移動させることができるため、ヒステリシス損失が小さくなり、コア損失も低くすることができる。
また、上記粒界相は主として反強磁性であるCuOからなり、コア損失低下の妨げとなるが、粒界相の厚みを20nm以下とすることで、反強磁性の影響を受けずに済み、コア損失を低くすることができる。
ここで、粒界相の厚みとは、結晶間の粒界の厚みのことであり、焼結体中の粒界の厚みの最大値を示すものであり、透過電子顕微鏡(TEM)を用い、例えば倍率50000倍で任意の10箇所を測定し、その最大値を粒界相の厚みとして求めればよい。
さらに、コア損失が著しく低いフェライト焼結体を得るためには、ZrO換算でのZrの含有量の下限は0.01質量部、上限は0.4質量部が望ましい。
なお、Zrが焼結体中に均一に分散している状態とは、焼結体中任意のエリア3.7μm×2.8μmを10エリア選択し、エネルギー分散型X線マイクロアナライザーを用いて、各エリア毎に電子ビームを10ポイント照射し、すべてのエリアでZrが8ポイント以上検出される状態をいい、Zrを均一に分散させることで磁区と磁区との境界を構成する磁壁を容易に移動させることができ、その結果コア損失の低いフェライト焼結体とすることができる。
Zrを焼結体中に均一に分散させるには、例えば、Fe、Zn、Ni、Cuの酸化物を前述した範囲になるように調合した後、Fe、Zn、Ni、Cuの酸化物を用い、これら主成分の各原料と、副成分として平均粒径が0.4μm以下のZrの酸化物を前述した範囲になるように調合する。次いで、バインダーやアクリル系分散剤を添加して平均粒径0.8μm以下になるまでボールミルやビーズミル等で粉砕混合して副成分を均一に分散した後、仮焼する。得られた仮焼粉体をボールミルやビーズミル等で粉砕して、造粒した後、プレス成形にて所定形状に成形する。そして、得られた成形体を400〜800℃で脱脂し、所定の焼成条件で焼結させればよい。
また、粒界相の厚みを20nm以下とするには、上述の仮焼における昇温速度を20℃/hr以下にすることが重要である。これは、フェライト化が開始する温度から完全に終了する温度までの昇温速度を遅くすることで、Cuを含有したフェライト化を促進させ、粒界相の生成を抑制することができるからである。
さらに、フェライト焼結体中の結晶相がNiFe、ZnFeおよびCuFeから選択される少なくとも1種またはこれらの固溶体であることが好適であり、これら結晶相は強磁性を示すことから、コア損失を一層低下させることができる。
このような結晶相は、透過電子顕微鏡(TEM)を用い、例えば50000倍の倍率で観察することができる。
また、フェライト焼結体の平均結晶粒径を1〜30μmとすることが好ましく、平均結晶粒径をこの範囲にすることでコア損失を著しく低減させられるからである。
さらに、本発明のフェライト焼結体は、焼結密度を5.0g/cm以上とすることが好ましい。これは、焼結密度を向上させることで、NiFe、ZnFe、CuFe等磁性体の重量比率か高くなり、コア損失を低くできるからである。
なお、上記平均結晶粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)等を用いてフェライト焼結体を、例えば3000倍で画像解析することで、また焼結密度はアルキメデス法により測定すればよい。
なお、上記フェライト焼結体の平均結晶粒径を1〜30μm、焼結密度を5.0g/cm3以上とするには、粉砕後の仮焼粉体の粒子の90%以上を粒径0.9μm以下、セラミック成形体の密度を3.0g/cm以上、かつ焼成条件を1000℃〜1300℃で1〜10時間保持とすることで得られる。
また、さらにコア損失を低くするために、上記主成分の含有量を99〜99.99質量部とすることが好ましく、例えば、SiO、S、CaO、Cr、MnO等の非磁性体をいずれも0.01〜1質量部未満の範囲で含んでもよい。
上記主成分の含有量が99質量部未満では、上記非磁性体の影響により、コア損失が低下しにくいとともに、透磁率も高くすることができないからであり、99.99質量部を超えるフェライト焼結体を得るには、原料精製上高コストとなるからである。
次に本発明のフェライト焼結体の製造方法について説明する。
本発明のフェライト焼結体の製造方法は、例えば、Fe、Zn、Ni、Cuの酸化物を用い、これら主成分の各原料と、副成分として平均粒径が0.4μm以下のZrの酸化物を前述した範囲になるように調合する。次いで、バインダーやアクリル酸エステル共重合体等のアクリル系分散剤を添加し、平均粒径0.8μm以下になるまでボールミルやビーズミル等で粉砕混合して副成分を均一に分散した後、例えば800〜950℃で仮焼する。得られた仮焼粉体をボールミルやビーズミル等で粉砕して、造粒した後、プレス成形にて所定形状に成形する。そして、得られた成形体を400〜800℃で脱脂し、所定の焼成条件で焼結させればよい。
また、Zrの酸化物等は仮焼前に主成分に加えることを拘束するものではなく、仮焼後に加えても特性に何ら影響するものではない。
特に、上述の仮焼における昇温速度を20℃/hr以下にすることが好適である。これは、フェライト化が開始する温度から完全に終了する温度までの昇温速度を遅くすることで、Cuを含有したフェライト化を促進させ、粒界相の生成を抑制することができるからである。
なお、粉砕後の仮焼粉体の粒子の90%以上を粒径0.9μm以下、セラミック成形体の密度を3.0g/cm3以上、かつ焼成条件を1000℃〜1300℃で1〜10時間保持とすることにより、本発明に係るフェライト焼結体の平均結晶粒径を1〜30μm、焼結密度を5.0g/cm3以上とすることができる。
かくして、このようにして得られた本発明のフェライト焼結体は、透磁率が400以上、キュリー温度(T)が100℃以上と高い上、コア損失を350kW/m以下と低くできる結果、変換効率が良好となり、高い誘導起電力を発生させることができる。
このフェライト焼結体は、フェライトコアとして好適に用いることができる。
フェライトコアは、所定の金型に造粒された粉体を充填し、プレス成形後、所定の焼成条件で焼結させることにより、例えば、図1(a)に示すリング状のトロイダルコア1、あるいは図1(b)に示すボビン状コア2とすれば良く、巻き線部1a,2aに被覆銅線からなる巻き線を巻回することでフェライトコイルを得ることができる。
以上説明したように、本発明のフェライト焼結体でフェライトコアやフェライトコイルを形成することで、コア損失を低くすることができるため、電力損失や発熱量を抑制することができる。本発明のフェライトコアやフェライトコイルは、特に、DC−DCコンバーター等、各種電源のトランス等に好適に使用することができる。また、例えば車両用タイヤの空気圧や温度の検知装置、車両の盗難防止装置、車両用キーレスエントリー装置等に装着されるRFID(無線周波数識別)用にも好適に使用することができる。
(実施例1)
平均粒径1.0μmのFe粉末49モル%、平均粒径1.0μmのZnO粉末30モル%、平均粒径1.0μmのNiO粉末15モル%及び平均粒径4.0μmのCuO粉末6モル%含有する主成分100質量部に対し、表1に示す平均粒径のZrOを0.3質量部添加した後、バインダー及び表1に示す分散剤を加えてボールミルにて混合粉砕した。得られた粉体の平均粒径は表1に示す通りである。この粉体を表1に示す昇温速度で800℃まで昇温、仮焼し、ボールミルにて粉砕した後、造粒した。次いで、プレス成形により図1に示すトロイダルコア1の形状に成形した。そして、得られた成形体を昇温速度75℃/hrで600℃に昇温し、この温度で5時間保持して脱脂した後、さらに昇温して1100℃で5時間保持して焼成した。
ここで、Zrの分散性については、ZrOの平均粒径を種々設定し、表1に示す分散剤を加えることで調整した。また、粒界相の厚みについては、仮焼温度までの昇温速度を種々設定することで調整し、上記粒界相の厚みについては透過電子顕微鏡(TEM)を用い、倍率50000倍で任意の10箇所を測定し、その最大値を粒界相の厚みとした。
また、得られたトロイダルコア1に線径0.2mmの被覆銅線を7ターン巻き付けて周波数100KHzで初透磁率を測定した。次に、トロイダルコア1に線径0.2mmの被覆銅線を10ターン巻き付けてキュリー温度(T)を測定した。そして、図2に示すようにトロイダルコア1に線径0.2mmの被覆銅線からなる一次巻き線3を10ターン、同様に線径0.2mmの被覆銅線からなる二次巻き線4を10ターン巻回して、一次巻き線3、二次巻き線4にそれぞれBHアナライザー5,6を接続して周波数50kHz、磁束密度150mTの条件でコア損失を測定した。また、電気抵抗についてはJIS C 2141−1992に準拠して測定した。
Zrの分散性については、焼結体中任意のエリア3.7μm×2.8μmを10エリア選択し、エネルギー分散型X線マイクロアナライザーにより、各エリア毎に電子ビームを10ポイント、全エリアで合計100ポイント照射し、Zrが検出されたポイントを表1に比率で示した。ここでは、その比率が80%以上のものを均一に分散しているものとし、80%未満のものを均一には分散していないものとした。
結果を表1に示す。
Figure 0004443175
表1からZrが焼結体中の結晶相に均一に分散していない試料(No.1〜5)のコア損失は350kW/mを超えているのに対し、Zrが均一に分散し、粒界相の厚みが20nm以下の試料(No.6〜10)のコア損失は350kW/m以下と低く、優れていることがわかった。
また透磁率は400以上、キュリー温度(T)は100℃以上、電気抵抗は10Ω・cm以上と良好であった。
実施例2
主成分として平均粒径1.0μmのFe、平均粒径1.0μmのZnO、平均粒径1.0μmのNiO、平均粒径4.0μmのCuO粉末をそれぞれ表2に示す比率で秤量し、この主成分100質量部に対して平均粒径0.4μmのZrOを表2に示す比率で添加し、バインダー及びアクリル系分散剤を加えてボールミルで平均粒径が0.8μmになるまで混合粉砕した。
この粉体を800℃で仮焼し、ボールミルにて粉砕した後、造粒した。次いで、プレス成形により図1に示すトロイダルコア1の形状に成形した。そして、得られた成形体を昇温速度75℃/hrで600℃に昇温し、この温度で5時間保持して脱脂した後、さらに昇温して1100℃で5時間保持して焼成することで、試料(No.11〜35)を作製した。
透磁率、電気抵抗値、キュリー温度(T)、コア損失は実施例1と同様の方法で測定した。
結果を表2に示す。
Figure 0004443175
その結果、Fe42〜54モル%、ZnO12〜37モル%、NiO7〜35モル%、CuO0.5〜10モル%含有する主成分100質量部に対して、ZrOを0.001〜0.6質量部含有する本発明の試料(No.21〜35)は、透磁率が400以上、キュリー温度(T)が100℃以上、電気抵抗が10Ω・cm以上、且つコア損失が350kW/m以下と優れた特性を示した。
一方、Feが42モル%未満の試料(No.11)は透磁率が350と低く、Feが54モル%を超える試料(No.12)は電気抵抗が0.1×10Ω・cmと低かった。
また、ZnOが12モル%未満の試料(No.13)は透磁率が350と低く、ZnOが37モル%以上の試料(No.14)はキュリー温度(T)が70℃と低かった。
また、NiOが7モル%未満の試料(No.15)はキュリー温度(T)が60℃と低く、NiOが35モル%を超える試料(No.16)は透磁率が350と低かった。
また、CuOが0.5モル%未満の試料(No.17)はキュリー温度(T)が70℃と低く、CuOが10モル%を超える試料(No.18)は電気抵抗が0.1×10Ω・cmと低かった。
また、上記主成分100質量部に対しZrOが0.001質量部未満の試料(No.19)はコア損失が500kW/mと高く、ZrOが0.6質量部より多い試料(No.20)は電気抵抗が0.1×10Ω・cmと低かった。
なお、Zrの分散性については、焼結体中任意のエリア3.7μm×2.8μmを10エリア選択し、エネルギー分散型X線マイクロアナライザーにより、各エリア毎に電子ビームを10ポイント、全エリアで合計100ポイント照射し、Zrが検出された比率を測定した。その結果、試料(No.21〜35)からZrが検出された比率はいずれも80%以上と良好であった。
実施例3
次に、平均粒径1.0μmのFe粉末49モル%、平均粒径1.0μmのZnO粉末30モル%、平均粒径1.0μmのNiO粉末15モル%、平均粒径4.0μmのCuO粉末6モル%含有する主成分100質量部に対して、ZrOを0.3質量部添加し、バインダー及びアクリル系分散剤を加えてボールミルで平均粒径が0.8μmになるまで混合粉砕した。
なお、Fe、Zn、Ni、Cuの総含有量はそれぞれFe、ZnO、NiO、CuO換算計で99質量部以上であった。
得られた粉体を800℃で仮焼し、仮焼粉体を得た。この仮焼粉体をボールミルにて粉砕した後、造粒した。次いで、プレス成形により図1に示すトロイダルコア1の形状及び図3に示す角柱フェライトコア7の形状に成形した。そして、得られた成形体を昇温速度75℃/hrで600℃に昇温し、この温度で5時間保持して脱脂した後、さらに昇温し、表3に示す温度、保持時間で焼成し、試料(No.36〜39)を得た。
透磁率、電気抵抗値、キュリー温度(T)、及びコア損失は実施例1と同様の方法で測定した。
また、フェライトコイル9の誘導起電力は次のように測定した。幅1.44mm、厚み1.0mm、長さ11mmの角柱フェライトコア7の長手方向の中心から左右に各4mmずつの幅計8mmの範囲内に線径0.2mmの被覆銅線8を34回巻回した後、150〜200mmの測定用の導線9を両端から引き出しフェライトコイル10とした。このフェライトコイル10の導線9の両端をオシロスコープに接続し、パルスジェネレーターと抵抗に接続されたヘルムホルツコイルの中心に置いてヘルムホルツコイルに一定磁界を発生させ、角柱フェライトコア7に発生した誘導起電力を測定した。
各試料の平均結晶粒径については走査電子顕微鏡(SEM)を用い、倍率3000倍の画像解析から求め、また焼結密度についてはアルキメデス法により測定した。
Figure 0004443175
表3より、平均結晶粒径が1〜30μmの範囲外でかつ焼結密度が5.0g/cm未満の試料(No.36,37)に対し、平均結晶粒径が1〜30μmであって、焼結密度が5.0g/cm以上の試料(No.38,39)は、コア損失が210kW/mとさらに低く、誘導起電力も向上した特性が得られた。
また透磁率は400以上、キュリー温度(T)は100℃以上、電気抵抗は10Ω・cm以上と良好であった。
なお、Zrの分散性については、焼結体中任意のエリア3.7μm×2.8μmを10エリア選択し、エネルギー分散型X線マイクロアナライザーにより、各エリア毎に電子ビームを10ポイント、全エリアで合計100ポイント照射し、Zrが検出された比率を測定した。その結果、試料(No.36〜39)からZrが検出された比率はいずれも80%以上と良好であった。
(a)、(b)は本発明のフェライトコアを示す図である。 本発明のフェライトコアのコア損失を測定する方法を示す斜視図である。 本発明のフェライトコイルを示す斜視図である。
符号の説明
1 :トロイダルコア
1a :巻線部
2 :ボビンコア
2a :巻線部
3 :一次巻き線
4 :二次巻き線
5,6:BHアナライザー
7 :角柱フェライトコア
8 :被覆銅線
9 :導線
10 :フェライトコイル

Claims (4)

  1. Fe、Zn、Ni、CuをそれぞれFe換算で42〜54モル%、ZnO換算で12〜37モル%、NiO換算で7〜35モル%、CuO換算で0.5〜10モル%含有する主成分100重量部に対し、ZrをZrO換算で0.001〜0.6質量部含有した焼結体であって、焼結体中の粒界相の厚みが20nm以下であり、
    前記焼結体はNiFe 、ZnFe およびCuFe から選択される少なくとも1種またはこれらの固溶体から成る、上記Zrが含まれる結晶相を含み、上記Zrが前記焼結体中に均一に分散していることを特徴とするフェライト焼結体。
  2. 平均結晶粒径が1〜30μmであるとともに、密度が5.0g/cm3以上であることを特徴とする請求項に記載のフェライト焼結体。
  3. 請求項1または2に記載のフェライト焼結体を所定形状に形成してなることを特徴とするフェライトコア。
  4. 上記フェライトコアに導線を巻回したことを特徴とする請求項3に記載のフェライトコアを用いたフェライトコイル。
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