JPH1071521A - 切削チップおよびフライス工具 - Google Patents

切削チップおよびフライス工具

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JPH1071521A
JPH1071521A JP9118527A JP11852797A JPH1071521A JP H1071521 A JPH1071521 A JP H1071521A JP 9118527 A JP9118527 A JP 9118527A JP 11852797 A JP11852797 A JP 11852797A JP H1071521 A JPH1071521 A JP H1071521A
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フェチュ ヴォルフガング
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造手間が僅かしかかからないか、または軽
減されるとともに、高い送り速度が達成されるような切
削チップならびにフライス工具を提供する。 【解決手段】 第1の切れ刃14の円弧状区分24と、
第2の切れ刃15の円弧状区分26とが、異なる長さを
有しており、逃げ面31,32が、前記別の区分23,
25に隣接する各1つの領域31−2,32−3を有し
ており、該領域が、基底面とほぼ平行な1平面内で互い
にゼロとは異なる鋭角αを成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にボールエンド
ミルおよび倣いフライスのための切削チップであって、
2つのコーナを有する輪郭を備えた板状の基体が一体的
に形成されており、該基体が、ほぼ平らな基底面と、対
向側に形成されたすくい面とを有しており、この基底面
とすくい面とが側方の逃げ面と一緒に第1および第2の
切れ刃を規定しており、該切れ刃が、2つのコーナ領域
を互いに結合する直線の両側に配置されており、各切れ
刃が少なくとも1つの円弧状区分と、該円弧状区分に続
いて設けられた別の区分とを有している形式のものに関
する。
【0002】さらに本発明は、端面領域に円弧状の切れ
刃を備えたエンドミルのようなフライス工具、特にボー
ルエンドミルまたは倣いフライスであって、使用中に長
手方向軸線を中心にして回転させようとする工具本体が
設けられており、該工具本体が端面側の端部に、少なく
とも第1および第2のチップ座を有している形式のもの
に関する。
【0003】
【従来の技術】このような形式のフライス工具はスロー
アウェイチップ(Wendeschneidplatten)を備えている。
これらのスローアウェイチップはオーバラップされて、
切削工具の回転軸線から、外周面の終端点にまで達する
少なくとも1つの完全な刃を規定する。この完全な切れ
刃は、互いにオーバラップした複数のスローアウェイチ
ップによって形成される。これらのスローアウェイチッ
プの切削作用する切れ刃は刃の各1つの区分を規定す
る。切れ刃がフライス工具の端面領域において円弧状に
形成されているので、フライス工具の付け刃のためには
異なるスローアウェイチップが必要である。このことは
オーバラップのために必要な、切削チップの軸方向ずれ
の理由からも云えることである。
【0004】例えばドイツ連邦共和国特許第38071
95号明細書に基づき公知のボールエンドミルは、端面
領域において、回転軸線に対して約180゜だけ互いに
ずらされた2つのチップ座を有している。両チップ座に
は、円弧状の切れ刃を備えたスローアウェイチップが保
持されている。これらの両スローアウェイチップは互い
に異なるように形成されている。しかしながら各切削チ
ップはその取付け穴に対して対称的に位置しているの
で、切削チップはその第1の切れ刃の摩耗時にそのチッ
プ座で反転されて、第2の切れ刃でさらに作動させるこ
とができる。両切削チップのうちの一方の切れ刃が回転
軸線にまで達しているのに対し、他方の切削チップの円
弧状の切れ刃は、この切削チップに対してある程度の間
隔を置いて終わっている。これとは逆に、回転軸線には
達しない切れ刃を有するスローアウェイチップは、直線
的な切れ刃区分を有している。この切れ刃区分はフライ
ス工具の周壁領域にまで延びている。
【0005】互いに適合した、端面側のチップ座のため
のスローアウェイチップは異なる形状に成形された切れ
刃を有している。切れ刃はその形状において互いに調和
されていなければならず、これにより少なくとも製造時
には相当な手間がかかることになる。
【0006】欧州特許第361435号明細書に基づき
公知の別のボールミルの場合、やはりシャンクにも端面
領域にも軸方向にずらされた、半径方向に互いに対向し
て位置するチップ座が設けられている。対応するスロー
アウェイチップは直線的または円弧状に形成された切れ
刃を有している。全体で3つの異なるスローアウェイチ
ップが使用される。シャンク領域においては正方形の切
削チップが設けられているのに対し、端面領域には異な
る2つの切削チップが設けられている。これらのスロー
アウェイチップは、ほぼ真ん中に配置された取付け穴に
対してそれぞれ対称的に形成されており、円弧状に形成
された区分を有する切れ刃を有している。これらの切れ
刃は互いに対向して位置する、各切削チップの両面で互
いに合致する。
【0007】それぞれ1つの円弧状の区分と、これに続
く平面図で見て直線的な区分とを有する2つの切れ刃を
備えた、対称的に形成されたスローアウェイチップが欧
州特許第504608号明細書に基づき公知である。こ
の明細書にはボールエンドミルが記載されている。この
ボールエンドミルは、半径方向に互いに対向して位置す
るチップ座を有している。これらのチップ座は軸方向に
互いにずらされている。軸方向において前方寄りに位置
するチップ座は、円弧状の切れ刃を備えたスローアウェ
イチップを備えているのに対し、軸方向において後方寄
りに配置されたチップ座は、短い円弧状の切れ刃区分
と、この切れ刃区分に続いて設けられた長めの直線的な
切れ刃区分とを支持している。
【0008】この公知の切削チップにおいても、互いに
調和された、異なる構成を有するスローアウェイチップ
が必要になる。しかしながら、別個に製造しようとする
スローアウェイチップの切れ刃は、できる限り正確に互
いに調和されていなければならない。このことはフライ
ス工具によって達成可能な加工精度に影響を与える。
【0009】さらに実地において公知のボールエンドミ
ルは、端面領域において、同一に形成された、しかし2
つのチップ座において異なる状態で位置決めされた三角
チップを備えている。これらの三角チップはただ1つの
刃を規定する。各三角チップは、第1の円弧状の切れ刃
と、円弧状の区分と直線状の区分とを備えた第2の切れ
刃とを有している。比較的長い第3のエッジは利用され
ない。
【0010】送り速度は、完全な刃が唯1つしか存在し
ないことに合わせて調和されなければならない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、製造
手間が僅かしかかからないか、または軽減されるととも
に、高い送り速度が達成されるような切削チップならび
にフライス工具を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の構成では、(イ)第1の切れ刃の円弧状区分
と、第2の切れ刃の円弧状区分とが、異なる長さを有し
ており、(ロ)逃げ面が、前記別の区分に隣接する各1
つの領域を有しており、該領域が、基底面とほぼ平行な
1平面内で互いにゼロとは異なる鋭角を成しているよう
にした。
【0013】さらにこの課題を解決するために本発明の
別の構成では、(イ)両チップ座が、それぞれ請求項1
から16までのいずれか1項記載の切削チップを収容す
るために配置されており、(ロ)第1のチップ座が、該
チップ座に保持された切削チップの第1の切れ刃が切削
作用するように構成されており、(ハ)第2のチップ座
が、該チップ座に保持された切削チップの第2の切れ刃
が切削作用するように構成されているようにした。
【0014】
【発明の効果】切削チップの両切れ刃は、それぞれ円弧
状に形成された1つの区分とこの区分に続いて設けられ
た1つの区分とを有している。この円弧状の区分に続い
て設けられた区分は、組み付けられた状態において、周
方向で工具の長手方向中央平面内に投影されて1つの直
線を生ぜしめる。これらの切れ刃の区分は、各切れ刃を
それぞれ他方のチップ座に対応させることができ、か
つ、両コーナの間に規定されたエッジが全長にわたって
切れ刃として役立つように形成されて2つのコーナを有
する切削チップに配置されている。すなわち、フライス
工具の端面の両チップ座には唯1つのタイプの切れ刃を
装着することができる。第1のチップ座の切削チップ
は、その第1の切れ刃で切削作用するのに対し、第2の
チップ座の切削チップは、異なる構成を有する第2の切
れ刃で切削作用する。切削チップを交換しなければなら
ないほど切れ刃が摩耗した場合、これらの切削チップは
反転されて、それぞれ他方のチップ座に固定される。
【0015】これらの切削チップは、反転時に置き換え
られ、切削チップの逃げ面の間(もしくは真直ぐに延び
た切れ刃の間)の角度に基づいて回転されなければなら
ない。このような手段により、両切れ刃をその全長にわ
たって利用し、かつ切削チップの全周を2つのステップ
において利用することができる。
【0016】このような手段により、フライス工具の端
面側のチップ座における刃付けのためには、1チャージ
において製造可能な唯1つのタイプの切削チップだけで
十分である。このことにより、さもなければ必要となる
後加工ならびに貯えを著しく減じることができる。
【0017】切削チップの両切れ刃が互いに非対称的に
形成されていて、特に切れ刃の円弧状の両区分の円弧長
が異なっていることに基づき、一方のチップ座の切削チ
ップの切れ刃が回転軸線にまで達しているか、またはこ
の回転軸線に交差することができるのに対し、他方の切
削チップの切れ刃は、回転軸線に対して所定の距離を維
持している。これによれば中央領域においては、刃数が
1であるのに対し、残りの湾曲領域においては、2つの
完全な刃が形成されている。このことにより特に半径方
向において、片刃工具に対して2倍だけ高められた送り
速度が可能になる。
【0018】直線的に形成された切れ刃の長さが異なっ
ていることにより、別の構成を有する、例えば方形、正
方形または三角形に形成された切削チップを備えた刃が
連続することが可能である。フライス工具に2つのチッ
プ列が形成されていると、切削チップの十分なオーバラ
ップが達成される。
【0019】必ずしも必要ではないが、切削チップの両
切れ刃はコーナ領域において、小さな曲率半径すなわち
円弧状の丸みを有して互いに接続されている。
【0020】切れ刃の延伸区分の間の鋭角は例えば11
゜である。これにより、長い切れ刃を備えた細いスロー
アウェイチップが得られる。
【0021】切れ刃の延伸区分は、工具の構成に応じ
て、楕円円弧、直線、多角形輪郭、またはこれに類似の
ものとして形成することができる。しかしながら切れ刃
は両コーナの間では無段階的に形成されている。すなわ
ち、切れ刃は屈曲部を有しない(切れ刃の各点において
は接線が正確に規定されているにすぎない)。
【0022】ほぼ中央に配置された取付け穴を備えた切
削チップが、このような領域において比較的厚く形成さ
れて、この取付け穴が、残りのすくい面に対して隆起し
た表面によって取り囲まれていると有利である。このこ
とにより切削チップの安定性が高められる。
【0023】切れ刃に続いて設けられた逃げ面は、切れ
刃に直ぐに続いて先ず小さな逃げ角が得られ、比較的大
きな距離を置いて、より大きな逃げ角が得られるように
分割されている。このことにより被加工面の品質が改善
され、切削チップのチップ厚を過度に減じることなく、
小さな直径を有するフライス工具の形状が可能になる。
【0024】切削チップと切削工具とは、切削チップに
作用する軸方向力を吸収するための形状結合的に作用す
る手段を備えていると有利である。この手段は、支持面
の領域に設けられた切欠きおよび突起として形成されて
いてよい。しかしながら特に簡単かつ信頼性の高い1構
成では、切削チップのコーナ領域に支持面が配置されて
おり、この支持面には、チップ座の対応支持面が対応し
ている。この支持面は、切れ刃に対して小さな間隔を置
いて終わっている。この切れ刃はコーナ領域において、
小さな曲率半径を備えた丸み部分として形成されていて
よい。支持面と切れ刃との間の間隔により、より大きな
軸方向力を切削チップのコーナ領域を介して導出するこ
とができ、この場合、切れ刃を損傷することはない。
【0025】切削工具の有利な構成によれば、それぞれ
のチップ座に対応するチップルーム(切りくず室)は、
切削チップの切れ刃の輪郭に適合されている。それぞれ
のチップ座に保持された切削チップは、端面側の平面図
においては、それぞれ観察者から遠ざかって延びる直線
として生じるのに対し、切れ刃を半径方向で見た場合に
は、切れ刃の円弧状の輪郭が得られる。このことは、各
切削チップの切削作用する、つまり半径方向外側に位置
する切れ刃に対しても、切削作用をしない、つまり半径
方向内側に位置する切れ刃に対しても当てはまる。フラ
イス工具に形成されたチップ座は、各切削チップの逃げ
面および切れ刃のための支持面ならびに保護面を有して
いる。これらの支持面ならびに保護面は切削チップ輪郭
に従って形成されている。保護面は切れ刃を超えて突出
して斜め面取りされている。これにより、切りくずが切
削作用をしない切れ刃を損傷することはなくなる。これ
によりこの切削作用をしない切れ刃が保護される。
【0026】
【発明の実施の形態】次に本発明を、図面に示した実施
の形態について説明する。
【0027】図1には、倣いフライスとして形成された
フライス工具1が示されている。このフライス工具のほ
ぼ円筒形の工具本体2の一方の端部3は丸く面取りされ
て形成されている。これに対して、その対向して位置す
る端部4は、適宜のチャックに固定するためのシャンク
として形成されている。僅かに変更を加えた形で図2
(a)に示したフライス工具1も、工具本体2の端面
側、即ち端部3に形成された2つのチップ座6,7を有
している。これらのチップ座にはそれぞれ1つの切削チ
ップ8,9が保持されている。チップ座6は、工具本体
2の長手方向中心軸線と合致する、フライス工具1が使
用中に回転する中心となる回転軸線11にまで延びてい
るのに対して、チップ座7は回転軸線11からある程度
の間隔を置いて終わっている。
【0028】切削チップ8,9は同一の構造を有してお
り、図4および図5から判るように、異なる構成を有す
る各2つの切れ刃14,15を備えている(切削チップ
8,9が完全に互いに合致しているので、以下では切削
チップ8について説明する。両切削チップ8,9が示さ
れている図面には、切削チップ8,9の同一のエッジお
よび面を区別するために、符号a,bが付されてい
る)。
【0029】図4に簡単に示した切削チップ8は、板形
の基体16を備えた2つのコーナを有する切削チップで
ある。ほぼ真ん中には、基体16を貫通する取付け穴1
7が設けられている。この取付け穴には、例えば図2
(a)に示された、チップ座6に配置されためねじ18
が対応している。取付け穴17に対して非対称的に形成
された切れ刃14,15は、切削チップ8の両コーナ2
1,22で互いに接し、その場所で比較的小さな曲率半
径Rを有するように移行し合う。この曲率半径Rは1m
mよりも小さくてよい。切削チップ8の非対称的な形状
により、コーナ21,22は、一般に取付け穴17の中
心点を貫通しない1直線を規定する。さらにコーナ2
1,22は、取付け穴17から異なる距離で離れてい
る。
【0030】上から見て、切れ刃14は、ほぼ直線的に
形成された延伸区分23と円弧状区分24とを有してい
る。切れ刃15もやはりほぼ直線的に形成された延伸区
分25と円弧状区分26とに分けられる。切れ刃14,
15のほぼ直線的に形成された延伸区分23,25は、
僅かに湾曲した楕円円弧、直線、多角形輪郭またはこれ
に類似のものとして形成されていてよい。延伸区分2
3,25が少なくとも2つの直線部分から形成されてい
る場合には、これらの直線部分は互いに、例えば2〜5
°の角度で続いている。ある程度の湾曲が移行領域にお
いて可能である。
【0031】両切れ刃14,15において、直線的な延
伸区分23,25は円弧状区分24,26に屈曲なしに
移行している。しかしながら両切れ刃14,15の直線
的な延伸区分23,25は異なる長さを有しており、互
いに例えば11°の鋭角αを成している。延伸区分23
は延伸区分25よりも短いのに対し、円弧状区分24は
円弧状区分26よりも長い。これに基づき、円弧状区分
24の湾曲中心点を中心とする中心角は、円弧状区分2
6の中心角よりも大きな角度を規定している。円弧状区
分24,26の曲率半径は互いにほぼ合致しているが、
しかし、僅かな差が必要となってもよい。これにより組
み付け位置に応じて合致した面を規定することができ
る。図1から判るように、円弧状区分24,26はフラ
イス工具1の側面図においては互いに補足し合って1つ
の半円を形成している。この半円は場合によっては回転
軸線11において中断される。
【0032】図5から判るように、切削チップ8は、ほ
ぼ平らな基底面28を有している。この基底面は、図2
(a)から明らかな、各チップ座6のやはり平らな底面
29に対応している。切れ刃14;15と基底面28と
の間に形成された逃げ面31,32は少なくとも1つ、
有利には複数の面に分けられている。このように形成さ
れた個々の平らな面31−1〜31−6,32−1〜3
2−6の、基底面に対する傾斜は図4から明らかであ
る。この場合逃げ面31,32は、各切れ刃14,15
から大きく隔たった面31−1,31−3,32−4,
31−6,32−6が、切れ刃14,15寄りに配置さ
れた面よりも大きく傾斜するように分割されている。特
に、切れ刃14,15の延伸区分23,25に続く面3
1−2,32−3は平らに形成されていて、基底面28
またはすくい面34に対してほぼ平行な1平面内で測定
して、互いに約11°の鋭角αを成している。
【0033】さらに、コーナ21,22に形成された、
有利には平らな面31−6,32−6は、切削チップ8
を軸方向に支持するための支持面として役立つ。
【0034】切削チップ8の上面に配置されたすくい面
34は、切削チップ8の側面図から明らかなように切れ
刃14,15が湾曲していることにより反りを有してい
る。取付け穴17の周囲には、隆起区分が設けられてい
る。この隆起区分は平らな面を備えた取付け穴17を取
り囲んでいる。
【0035】切削チップ8に対応するチップ座6は別個
に図2(a)から明らかである。基底面29に続いて支
持面36,37,38が設けられている。これらの支持
面は、切削作用しない切れ刃15に続いて設けられた逃
げ面32の傾斜に応じて傾斜して分割されている。これ
に相応して、図2(a)では見ることのできないチップ
座7の支持面が切削チップ9の逃げ面31に基づき形成
されている。この場合部分的に平らに形成された、両チ
ップ座6,7の支持面38は、工具本体2の回転軸線1
1または長手方向中心軸線に対して横方向に方向付けら
れており、切削チップ8,9の面31−6,32−6の
支持に役立ち、ひいては、切削チップ8,9に作用する
軸方向力を吸収するために役立つ。両チップ座6,7
は、0°の軸方向角度(すなわち軸方向と平行)と、約
−5°の半径方向に対する角度とを有するように形成さ
れている。
【0036】図2においては省略したが、しかし図1か
ら明らかなように、チップ座6,7はそれぞれ1つのチ
ップ列に所属している。各チップ列は、直線的に形成さ
れた切れ刃46,47を備えた周面切削チップとしての
方形のスローアウェイチップ43,44を収容するため
の少なくともそれぞれ1つの別のチップ座41,42を
有している。チップ座6,7と同様に、チップ座41,
42も軸方向に互いにずらされているので、一方のチッ
プ列の切れ刃14a,46は、他方のチップ列の切れ刃
15b,47とオーバラップしている。フライス工具1
のボール状の端部3の領域において、回転軸線11にす
ぐに続く、周壁領域内に移行するまでの領域(5ミリメ
ータよりも大きい)を除いて刃数はz=2である。この
回転軸線11に直ぐに続く領域においてのみ刃数はz=
1である。周壁領域においては、スローアウェイチップ
43,44および切削チップ8,9は互い違いに配置さ
れているので、全体的に見て少なくとも1つの完全な刃
が規定される。
【0037】図1は切削チップ8,9およびスローアウ
ェイチップ43,44を1長手方向平面内に投影して示
しているのに対し、切削チップ8,9およびスローアウ
ェイチップ43,44の構造、ひいてはチップ座6,
7,41,42の構成が図3(a)〜図3(c)から明
らかである。図3(b)に示したように、切削チップ
8,9は、互いに半径方向に対向して配置されている。
切れ刃14a(切削チップ8)の円弧状区分24aは見
る者から遠ざかる1直線を形成している。この直線は回
転軸線11と交差し、この回転軸線から遠ざかる方向に
延びている。切れ刃15bの円弧状区分26bもやは
り、中央から離れるにつれて見る者から遠ざかる1直線
上に位置している。この直線は投影図においては1半径
方向線と合致する。しかしながら図3(a)に示した側
面図においては、切削チップ9の切れ刃15bは湾曲し
ているように見える。この場合、切れ刃15bは負から
正の軸角度に移行している。切れ刃15bの延長上に
は、スローアウェイチップ44の切れ刃47が、工具本
体2の端部3とは隔たった、切れ刃15bの端部におけ
るのとほぼ同一の軸角度を有して配置されている。
【0038】これに相応して、切削チップ8の側面図が
図3(c)が示されている。ここでもやはり円弧状に延
びる切れ刃14aが、工具本体2の端部3から出発し
て、負から正の軸角度に変化している。続くスローアウ
ェイチップ43の切れ刃46が、切れ刃14aの延長上
に位置している。
【0039】使用中、フライス工具1の工具本体2は、
全体的に2つの異なるタイプのスローアウェイチップ、
つまり互いに同一の切削チップ8,9と、やはり互いに
同一のスローアウェイチップ43,44を備えている。
スローアウェイチップ43,44は真正な反転チップ(W
endeplatten)、即ち切れ刃の摩耗時にそれぞれのチップ
座41,42において反転することができる切削チップ
であるのに対し、切削チップ8,9はこのような場合に
は置き換えられる。すなわちこれらの切削チップは反転
時に付加的にその位置を交換する。工具本体2がその丸
く面取りされた端部3の領域で統一性を有する切削チッ
プを備えていることにより、同一の製造からこれらの切
削チップ8,9を得ることができる。これにより、特に
チャージ間に発生する製造誤差がフライス工具1の精度
に作用することはなく、後加工動作を十分に省くことが
できる。特に、切れ刃14,15を研削する必要はな
い。
【0040】図2(b)からは別の実施例が明らかであ
る。この実施例の場合、支持面として役立つ面31−
6,32−6の代わりに、またはこれらを補足して、そ
れぞれのチップ座6,7に軸方向力を吸収するための形
状結合的な固着手段が形成されている。この固着手段
は、図2(b)に示した実施例の場合、チップ座6の底
面29を超えて突出する、工具本体2と一体的に形成さ
れた突起51である。この突起には、切削チップ8の基
底面28に設けられた図示していない対応切欠きが対応
する。切削チップ8の取付け穴17に対して対称的に、
別のこのような切欠きが設けられている。この切欠きは
チップ座7の図示していない対応突起と協働する。
【0041】図2(c)から判るように、底面29に一
体的に形成された突起51の代わりに、めねじ18に隣
り合って底面29を超えて突出するピン52が設けられ
ていてもよい。
【0042】フライス工具のチップルーム(切りくず
室)53が図6に示したように形成されていると、フラ
イス工具1がさらに改善される。チップ座6の、回転軸
線11に対して平行に向けられた平らな底面29に対し
て、支持面36,37ならびに場合によっては支持面3
8の上縁部54が、切削作用しない、すなわち回転軸線
11に向けられた、切削チップ8の切れ刃15に従って
形成されている。これにより、切れ刃15はチップ座6
において、流出する切りくずに対して保護される。切り
くずは切れ刃15とチップルームのその他の壁との間に
引掛かることはない。チップ座7はこれに対応して形成
されている。
【0043】特に倣いフライスとして働くフライス工具
1は、その丸く面取りされた端部に、互いに直径方向に
対向して位置する2つのチップ座を有している。これら
のチップ座は非対称的な切削チップ8,9を収容するた
めに配置されている。互いに完全に合致する切削チップ
8,9は2つのコーナを有する切削チップ14,15で
あり、それぞれ2つの切れ刃14,15を有している。
第1の切れ刃14は、長めの円弧状区分24と、短めの
延伸区分23とを有している。これに対して、第2の切
れ刃15は、短めの円弧状区分26と、長めの延伸区分
25とを有している。第1の切れ刃14は、当該切削チ
ップ8が一方のチップ座6に、当該切れ刃が切削作用す
る位置に位置するように組み付けられる場合、この第1
の切れ刃14が円筒体に移行する前記球面に設けられる
ように成形される。逆にこの切削チップ8が他方のチッ
プ座7に組み付けられる場合、他方の切れ刃15が円筒
体に移行する前記球面に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】端面領域において非対称的な切削チップを備え
た倣いフライスを、切れ刃を1長手方向中央平面内に投
影させた状態で示す概略図である。
【図2】図1のフライス工具を、コーナ側に配置された
支持面を介して切削チップが軸方向に支持された状態で
示す概略的な斜視図(a)と、図1および図2(a)に
示したフライス工具の変化実施例をそれぞれ示す図
(b)(c)である。。
【図3】図1のフライス工具を、切削チップの組み付け
状態で概略的に示す側面図(a)(c)と端面図(b)
である。
【図4】端面側のチップ座のための切削チップを示す平
面図およびその6個所の部分断面図である。
【図5】図4の切削チップを示す平面図およびその4方
向から見た側面図である。
【図6】図1および図2のフライス工具を、そのチップ
ルームの形状が切削チップの形状に適合された状態で示
す概略的な側面図である。
【符号の説明】
1 フライス工具、 2 工具本体、 3,4 端部、
6,7 チップ座、8,9 切削チップ、 11 回
転軸線、 14,15 切れ刃、 16 基体、 17
取付け穴、 18 めねじ、 21,22 コーナ、
23,25延伸区分、 24,26 円弧状区分、
28 基底面、 29 底面、 31,32 逃げ面、
34 すくい面、 36,37,38 支持面、 4
1,42 チップ座、 43,44 スローアウェイチ
ップ、 46,47 切れ刃、 51 突起、 52
ピン、 53 チップルーム、 54 上縁部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヴォルフガング フェチュ ドイツ連邦共和国 ランゲンディンゲン ハイムガルテンシュトラーセ 4 (72)発明者 ズィークフリート ボーネト ドイツ連邦共和国 メッシンゲン グスタ フ−ヴェルナー−シュトラーセ 48

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切削チップ(8)であって、2つのコー
    ナを有する輪郭を備えた板状の基体(16)が一体的に
    形成されており、該基体が、ほぼ平らな基底面(28)
    と、対向側に形成されたすくい面(34)とを有してお
    り、この基底面とすくい面とが側方の逃げ面(31,3
    2)と一緒に第1および第2の切れ刃(14,15)を
    規定しており、該切れ刃が、2つのコーナ領域(21,
    22)を互いに結合する直線の両側に配置されており、
    各切れ刃(14,15)が少なくとも1つの円弧状区分
    (24,26)と、該円弧状区分に続いて設けられた別
    の区分(23,25)とを有している形式のものにおい
    て、 (イ)第1の切れ刃(14)の円弧状区分(24)と、
    第2の切れ刃(15)の円弧状区分(26)とが、異な
    る長さを有しており、 (ロ)逃げ面(31,32)が、前記別の区分(23,
    25)に隣接する各1つの領域(31−2,32−3)
    を有しており、該領域が、基底面(28)とほぼ平行な
    1平面内で互いにゼロとは異なる鋭角(α)を成してい
    ることを特徴とする、切削チップ。
  2. 【請求項2】 切れ刃(14,15)の円弧状区分(2
    4,26)と、該円弧状区分に続いて設けられた別の区
    分(23,25)とが無段階的に互いに移行し合ってい
    る、請求項1記載の切削チップ。
  3. 【請求項3】 第1の切れ刃(14)の円弧状区分(2
    4)が、湾曲中心点を中心にして第1の角度範囲にわた
    って延びており、第2の切れ刃(15)の円弧状区分
    (26)が湾曲中心点を中心にして第2の角度範囲にわ
    たって延びており、両角度範囲が異なる大きさを有して
    いる、請求項1記載の切削チップ。
  4. 【請求項4】 第1および第2の切れ刃(14,15)
    が両コーナ領域(21,22)においてそれぞれ互いに
    結合されている、請求項1記載の切削チップ。
  5. 【請求項5】 第1および第2の切れ刃(14,15)
    がコーナ領域(21,22)においてそれぞれ円弧状に
    丸み(R)を持って互いに結合されている、請求項4記
    載の切削チップ。
  6. 【請求項6】 第1の切れ刃の別の区分(23)と、第
    2の切れ刃(15)の別の区分(25)とが延伸して構
    成されている、請求項1記載の切削チップ。
  7. 【請求項7】 第1の切れ刃(14)の延伸区分(2
    3)が、第2の切れ刃(15)の延伸区分(25)の長
    さとは異なる長さを有している、請求項6記載の切削チ
    ップ。
  8. 【請求項8】 第1および第2の切れ刃の前記別の区分
    (23,25)が、少なくとも1つのほぼ直線的に形成
    された区分を有している、請求項6記載の切削チップ。
  9. 【請求項9】 第1および第2の切れ刃の前記別の区分
    (23,25)が、無段階的に互いに結合されたそれぞ
    れ少なくとも2つの直線区分を有している、請求項8記
    載の切削チップ。
  10. 【請求項10】 延伸区分(23,25)が、その長さ
    にわたって互いにゼロとは異なるほぼ一定の鋭角(α)
    を成している、請求項6記載の切削チップ。
  11. 【請求項11】 延伸区分(23,25)が互いに成す
    前記角度(α)が、5°〜20°の範囲内で形成されて
    いる、請求項1または6記載の切削チップ。
  12. 【請求項12】 切削チップ(8)が、フライス工具
    (1)のチップ座(6)に固定するための貫通穴(1
    7)を有しており、すくい面(34)には、貫通穴(1
    7)の領域に平らな面区分が形成されている、請求項1
    記載の切削チップ。
  13. 【請求項13】 切れ刃(14,15)に続いて設けら
    れた逃げ面(31,32)が複数の逃げ面領域(31−
    1〜31−6,32−1〜32−6)に分割されてお
    り、該逃げ面領域が異なる逃げ角を規定している、請求
    項1記載の切削チップ。
  14. 【請求項14】 コーナ領域(21,22)には、結合
    直線に対してほぼ横方向に向けられた支持面(31−
    6,32−6)が形成されており、該支持面が、切削チ
    ップ(8)に作用する軸方向推動力をチップ座(6)の
    対応支持面(38)に導出するのに役立つ、請求項1記
    載の切削チップ。
  15. 【請求項15】 コーナ領域(21,22)に配置され
    た支持面(31−6,32−6)が、切れ刃(14,1
    5)から所定の間隔を置いて形成されている、請求項1
    4記載の切削チップ。
  16. 【請求項16】 基体(16)の基底面(28)に、工
    具本体(2)のチップ座(6)に形成された突起(5
    1,52)を収容するための少なくとも1つの切欠きが
    設けられている、請求項1記載の切削チップ。
  17. 【請求項17】 フライス工具(1)であって、使用中
    に長手方向軸線(11)を中心にして回転させようとす
    る工具本体(2)が設けられており、該工具本体が端面
    側の端部(3)に、少なくとも第1および第2のチップ
    座(6,7)を有している形式のものにおいて、 (イ)両チップ座(6,7)が、それぞれ請求項1から
    16までのいずれか1項記載の切削チップ(8,9)を
    収容するために配置されており、 (ロ)第1のチップ座(6)が、該チップ座に保持され
    た切削チップ(8)の第1の切れ刃(14)が切削作用
    するように構成されており、 (ハ)第2のチップ座(7)が、該チップ座に保持され
    た切削チップ(9)の第2の切れ刃(15)が切削作用
    するように構成されていることを特徴とする、フライス
    工具。
  18. 【請求項18】 第1のチップ座(6)の切削チップ
    (8)が、長手方向軸線(11)を中心としたフライス
    工具(1)の回転時に、第1の切れ刃(14)で回転形
    状を規定するようになっており、該回転形状が少なくと
    も一部の領域で、第2のチップ座(7)に保持された切
    削チップ(9)の第2の切れ刃(15)によって形成さ
    れた回転形状と合致している、請求項17記載のフライ
    ス工具。
  19. 【請求項19】 切削チップ(8,9)の長めの円弧状
    の切れ刃区分(24)が、フライス工具(1)の回転軸
    線と合致する長手方向軸線(11)に少なくとも達する
    のに対し、他方の切削チップ(9)の切れ刃(15)
    が、回転軸線(11)に対して所定の間隔を置いて終わ
    るように、チップ座(6,7)が構成されている、請求
    項17記載のフライス工具。
  20. 【請求項20】 切削チップ(8,9)の両切れ刃(1
    4,15)によって規定された刃数が、回転軸線(1
    1)にすぐ続いて設けられた領域と、周面切削チップへ
    の移行領域とを除いて2である、請求項17記載のフラ
    イス工具。
  21. 【請求項21】 チップ座(6)に、切削チップ(8)
    に加えられる軸方向力を形状結合的に吸収するための突
    起(51)が形成されている、請求項17記載のフライ
    ス工具。
  22. 【請求項22】 チップ座(6)に、請求項14記載の
    切削チップ(8)の支持面(31−6,32−6)を支
    持するための支持面(38)が形成されている、請求項
    17記載のフライス工具。
  23. 【請求項23】 チップ座(6)が、切削チップ(8)
    を側方で支持するために支持面(36,37)を有して
    おり、該支持面のチップルーム側の上縁部(54)が、
    チップ座(6)に保持された切削チップ(8)の切削作
    用をしない切れ刃(15)とほぼ合致している、請求項
    17記載のフライス工具。
  24. 【請求項24】 両チップ座(6,7)に続いて、直線
    的な切れ刃(46,47)を備えた各1つのスローアウ
    ェイチップ(43,44)を収容するための少なくとも
    各1つの別のチップ座(41,42)が設けられてい
    る、請求項17記載のフライス工具。
  25. 【請求項25】 前記別のチップ座(41,42)が軸
    方向に互いにずらされている、請求項24記載のフライ
    ス工具。
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