JPH1071332A - 水素化反応用触媒、その製造法、及び該触媒を用いたカルボン酸類の水素化反応方法 - Google Patents

水素化反応用触媒、その製造法、及び該触媒を用いたカルボン酸類の水素化反応方法

Info

Publication number
JPH1071332A
JPH1071332A JP8193583A JP19358396A JPH1071332A JP H1071332 A JPH1071332 A JP H1071332A JP 8193583 A JP8193583 A JP 8193583A JP 19358396 A JP19358396 A JP 19358396A JP H1071332 A JPH1071332 A JP H1071332A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
less
average value
hydrogenation
intensity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8193583A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3845904B2 (ja
Inventor
Haruhiko Kusaka
晴彦 日下
Hiroko Takahashi
裕子 高橋
Ichiro Yokotake
一郎 横竹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP19358396A priority Critical patent/JP3845904B2/ja
Publication of JPH1071332A publication Critical patent/JPH1071332A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3845904B2 publication Critical patent/JP3845904B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Furan Compounds (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】水素化反応用触媒及びその製造方法を提供し、
1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフラン
等の製造方法を提供する。 【解決手段】炭素質担体にRuとSn、さらに必要に応
じて周期律表の他の第8族金属から選ばれる元素を組み
合わせて担持した水素化反応用触媒であって、触媒の粒
子の最大断面積を与える断面の最長径を、計測間隔が3
μm、電子ビ−ム直径が2μmの条件でX線マイクロア
ナライザ−の線分析を行った場合の各測定点のRu強度
を、全測定点のRu強度の平均値で割った値の度数分布
をとった場合に、その平均値の50%未満の度数の占め
る割合が全体の35%未満であることを特徴とする水素
化反応用触媒を製造するにあたり、あらかじめ硝酸と接
触した炭素質担体を使用することを特徴とし、カルボン
酸類を水素及び該水素化反応用触媒と接触させることを
特徴とするカルボン酸類の水素化反応方法より成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の水素化反
応、脱水素化反応、特にエステル類、カルボン酸類の水
素化反応、並びにそれに用いる触媒及びその製造方法に
関するものである。さらに具体的には、無水マレイン
酸、マレイン酸、無水コハク酸、コハク酸、γ−ブチロ
ラクトン、又はこれらの混合物を原料とし、接触水素化
反応により1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒ
ドロフランを製造する方法に関する。1,4−ブタンジ
オールは、主にポリブチレンテレフタレートやポリウレ
タン等のプラスチック原料として使用されるほか、ピロ
リジン、アジピン酸等の製造中間体等としても使用され
ている。また、テトラヒドロフランは、沸点が低く優れ
た溶解力をもつため溶媒として使用されるほか、ポリテ
トラメチレンエーテルグリコール、テトラヒドロチオフ
ェン等の原料として使用されており、非常に有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】炭素質担体に金属を担持して得られる触
媒が、水素化能を有することは公知である。しかしなが
ら、通常、炭素質担体は担持する金属の原料となる多く
の金属化合物に対して強い吸着特性を有するので、通常
用いられる担持方法を採用すると担体の表層部を中心に
金属が吸着担持される傾向がある。このような触媒は、
担体内部が十分に利用されないため、反応活性が低くな
ることがある。
【0003】例えば、米国特許第5,149,680号
明細書、及び米国特許第4,659,686号明細書
に、活性炭に担持したパラジウム−レニウム触媒を用い
てマレイン酸水溶液からテトラヒドロフラン又はγ−ブ
チロラクトンを製造する方法が記載されているが、これ
らの明細書には、活性炭における各金属の担持位置に関
する記載はなく、触媒の反応効率も低い。また米国特許
第4,659,686号明細書に記載の方法では、反応
を行う際に150気圧以上の水素圧力が必要であるとい
う欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、担持
成分である金属の担持状態を最適化し、より高い反応活
性を示す炭素質担体を用いた水素化反応用触媒及びその
製造方法を提供することにある。また本発明は、従来、
触媒の反応性が低く、比較的高い水素圧の条件下、又は
低基質濃度の条件下で反応を行う必要があったマレイン
酸等のカルボン酸類の水素化反応を、より温和な条件で
効率よく行い、1,4−ブタンジオール及び/又はテト
ラヒドロフラン等を効果的に製造する等の水素化方法を
提供することをも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭素質担体に
RuとSn、又はこれらに必要に応じて周期律表の他の
VIII族金属から選ばれる元素を組み合わせて担持した水
素化反応用触媒であって、該触媒の粒子の最大断面積を
与える断面の最長径の線を、計測間隔が3μm、電子ビ
−ム直径が2μmの条件でX線マイクロアナライザ−の
線分析を行った場合の各測定点のRu強度を、全測定点
のRu強度の平均値で割った値の度数分布をとった場合
に、その平均値の50%未満の度数の占める割合が全体
の35%未満であることを特徴とする水素化反応用触媒
に関するものである。
【0006】更に本発明は、該水素化反応用触媒を製造
するにあたり、炭素質担体としてあらかじめ硝酸と接触
した炭素質担体を使用することを特徴とする水素化反応
用触媒の製造法に関するものである。また本発明は、カ
ルボン酸類を水素及び該水素化反応用触媒と接触させる
ことを特徴とするカルボン酸類の水素化反応方法に関す
る。
【0007】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明の水素化反応用触媒は、炭素質担体にRuとSn、
またはこれらに必要に応じて他の周期律表のVIII族金属
から選ばれる元素を組み合わせて担持した触媒である。
そして本発明の触媒は、担持した触媒成分が担体内部に
均一に担持されているという特徴を有する。このこと
は、EPMA(X線マイクロアナライザ−)の線分析に
より特徴づけられる。測定は、触媒の粒子の最大断面積
を与える面の最長径を与える線での線分析を以下のよう
なEPMAの測定条件で行うなお、この最大断面積を与
える面、及び最長径を与える線とは、電子顕微鏡で目視
によりその位置を決定したものである。
【0008】
【表1】 EPMA : JXA−8600M(商品名、日本電子(株)製品) 電子銃加速電圧 : 20kV 照射電流 : 2×10-8A 電子ビ−ム径 : 2μm 計測ステップ : 3μm 計測時間 : 1sec./point
【0009】上記の測定により、触媒の最長径を与える
断面における金属種毎に特性X線チャートを得る。得ら
れたチャ−トのピークの高さ(特性X線強度)は、その
測定点におけるその金属の担持量を表すものである。上
記条件で測定した線分析結果は、更にその担持状態を数
値化するために統計的な数値処理を行う。すなわち、各
金属別の線分析において、各測定点の強度を全測定点の
強度の平均値で割った値を求め、その数値を0.1間隔
で度数分布に作成する。これにより、平均強度に対して
何%の強度を持つ測定点が全測定点の何%存在するかが
判る。
【0010】本発明の触媒は、担持金属成分のうちRu
に関して、上記条件での線分析において、Ru平均強度
に対して50%未満の強度を持つ測定点が全測定点の3
5%未満である。さらには25%未満であることがより
好ましい。更に上記の条件に加え、Snに関して上記条
件での線分析において、Sn平均強度に対して30%未
満の強度を持つ測定点が全測定点の20%未満であるこ
とが好ましく、15%未満であることがより好ましい。
【0011】Ru、Snに加えて、第3の金属成分とし
て周期律表で他のVIII族金属から選ばれる金属元素を組
み合わせて担持したものが好ましい。この他のVIII族金
属としては、Pt又はRhが好ましく、これらを併用し
ても良い。更にPtが特に好ましい。このPtを添加し
た場合、Ptに関して上記条件での線分析において、P
t平均強度に対して50%未満の強度を持つ測定点が全
測定点の40%未満であることが好ましい。さらには3
0%未満であることがより好ましい。
【0012】このような均一に担持された触媒粒子は、
用いる全触媒粒子の中で少なくとも一部存在すれば、そ
の効果が得られる限りにおいて有効であり、通常10%
以上、中でも30%以上が該均一に担持された触媒粒子
であることが望ましい。本発明の触媒は、例えば以下の
方法で製造される。担体として使用される炭素質担体
は、活性炭、グラファイト、黒鉛等である。これら炭素
質担体の形状は、粉末状、顆粒状、成形品のいずれから
も選択でき、また操作性やろ過性の観点からその大きさ
が、平均粒径100μm以上を有するものが好ましい。
なお、この担体の形状とは、上記のような炭素質の物質
の一次粒子が凝集して形成された粒子のことを示す。
【0013】前記の炭素質担体は、金属化合物を担持す
る前にあらかじめ硝酸処理を行う。硝酸処理は通常硝酸
水溶液中で行う。その際の硝酸水溶液の濃度は、1wt
%以上75wt%以下、好ましくは5wt%以上60w
t%以下で行う。硝酸処理温度は、室温以上の任意の温
度で実施可能であるが、処理温度が高いほど処理時間を
短縮できるので、通常は50℃〜100℃の範囲で実施
される。
【0014】硝酸水溶液で処理する時間は、その温度に
もよるが、90℃前後の温度を掛けた場合には、1分間
から10時間、好ましくは10分間から5時間の範囲で
行うことができる。本発明の触媒の製造方法において
は、炭素質担体を硝酸で処理することにより前記のよう
なX線マイクロアナライザーによる線分析の結果に示さ
れる如く、担持成分が担体内部にまで均一に担持される
というものである。このように均一に担持できる理由に
ついての詳細は不明であるが、この硝酸処理により、炭
素質担体上に酸素官能基が付与されて酸素含有量が増加
すること、又は炭素質担体自体の表面構造が変化するこ
とにより、担体表面での金属化合物の吸着力が低下し、
金属化合物が内部まで浸透して担持されるようになるも
のと推測される。
【0015】次に、この硝酸処理した炭素質担体に、R
uとSn、又はこれらにさらに必要に応じて周期律表の
他のVIII族金属から選ばれる元素を担持する。この際、
これら各金属は、金属あるいは金属化合物でも良い。該
金属化合物の例としては、RuとSn、及び周期律表の
他のVIII族金属の硝酸、硫酸、塩酸等の鉱酸塩が一般的
に使用されるが、酢酸等の有機酸塩、水酸化物、酸化物
又は錯塩、さらにはカルボニル錯体やアセチルアセトナ
−ト塩に代表されるような有機金属化合物も使用するこ
とができる。
【0016】また、その担持方法にも特に制限はなく、
浸漬法、含浸法などの周知の方法が用いられる。浸漬法
や含浸法によるときは、原料となる金属化合物を溶媒に
溶解し、溶液として使用する。この時使用される溶媒
は、基本的に金属化合物に対して十分な溶解性が有れば
良く、特に制限は無い。また溶媒として水を用いた場合
には、金属化合物の溶解度を高めるために、塩酸や、硝
酸等の酸溶液とすることも可能である。具体的には、価
格的な視点から水もしくはメタノ−ルやエタノ−ル等の
アルコ−ル類が好適であり、必要に応じてこれらを混合
した混合溶媒でも良い。
【0017】担体に各担持成分を担持する順序について
は特に制限はなく、全ての担持成分を一度に同時に担持
しても、各成分を金属種毎に個別に担持しても、または
該複数成分のいくつかの金属種を組み合わせて複数回に
わたって担持しても良い。Ru及びSnの担持量(金属
として)はそれぞれ、担体に対して通常0.5〜50重
量%、好ましくは1〜20重量%である。また、必要に
応じて添加される周期律表の他のVIII族金属、特に水素
化活性の向上の点から好適なPt又はRhは、それぞれ
単独または合計で、Ruに対して0.01〜10重量倍
共存させるのが活性向上の観点から好ましい。
【0018】また、上記のように金属成分の溶液を浸漬
担持した後には乾燥を行う。尚、複数の担持成分を複数
回にわたって浸漬担持する場合にはその都度乾燥を行
う。その後、必要に応じて焼成、還元処理を行う。焼成
処理を行う場合には、通常100〜600℃の温度範囲
で行われる。また、還元処理を行う場合には、公知の液
相還元法、気相還元法が採用され、気相還元法の場合、
通常100〜500℃の温度範囲、好ましくは200〜
450℃の範囲で行われる。還元処理を行った後の触媒
の構造に関しては、その詳細は不明であるが、上のよう
な還元条件では、貴金属成分は実質的に全てが金属に還
元されると推定され、Snは、一部分が2価又は4価で
残存すると推定される。
【0019】また、上記のような本発明の触媒は、水素
化反応用触媒として好適に用いられ、例えば、オレフィ
ン、アルキン、カルボニル基、カルボキシル基、ニトリ
ル基等の官能基の水素化反応、還元アミノ化反応、水素
化分解反応に適している。中でも特に、カルボン酸類を
接触水素化する反応に好適に使用される。本発明におい
て、特に該カルボン酸類として、無水マレイン酸、マレ
イン酸、フマル酸、無水コハク酸、コハク酸のような、
炭素数4のジカルボン酸及びその無水物の他、γ−ブチ
ロラクトンのような炭素数4のカルボン酸の環状エステ
ル、又はこの混合物を原料として、接触水素化反応によ
り1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフラ
ンを製造する方法に好適である。
【0020】本発明によるこの炭素数4のカルボン酸類
の水素化反応においては、反応生成物の分析結果等から
みて、(無水)マレイン酸が水素添加されて、(無水)
コハク酸となり、次いで、γ−ブチロラクトンとなり、
更に最終生成物として、1,4−ブタンジオール及び/
又はテトラヒドロフランを生成する反応機構と推測され
る。従って、上記の化合物のいずれをも反応原料として
用いても1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒド
ロフランを製造することができるし、これらの2種以上
の混合物であっても同様である。
【0021】本発明方法によって、1,4−ブタンジオ
ール及び/又はテトラヒドロフランを製造するには、通
常、温度100〜350℃、好ましくは160〜300
℃、水素圧10〜300kg/cm2、好ましくは50
〜200kg/cm2の条件が採用される。回分反応の
場合には、使用される本発明の触媒の量は、無水マレイ
ン酸等の反応原料100重量部に対し、0.1〜100
重量部であることが望ましいが、反応温度又は反応圧力
等の諸条件に応じ、実用的な反応速度が得られる範囲内
で任意に選ぶことができる。
【0022】反応方式は、液相懸濁反応又は固定床反応
のいずれであってもよい。また反応は、無溶媒で行って
もよいし、必要に応じて、反応に悪影響を与えない種類
の溶媒を使用してもよい。この際使用できる溶媒として
は、特に制限されないが、具体的には、水;メタノー
ル、エタノール、オクタノール、ドデカノール等のアル
コール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラエ
チレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;そ
の他、ヘキサン、シクロヘキサン、デカリン等の炭化水
素類が挙げられる。
【0023】なお、反応で生成した1,4−ブタンジオ
ール及び/又はテトラヒドロフランは、蒸留等の公知の
方法により分離精製される。また、この分離精製後に残
る未反応原料又は反応中間体としてのγ−ブチロラクト
ン等は、反応原料として再使用することができる。
【0024】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例の記載に限定されるものではない、な
お、以下において「%」は「重量%」を示す。 実施例1 <炭素質担体の硝酸処理>200mlのなす型フラスコ
に活性炭(三菱化学(株)、商品名:CX−2)20g
と30%硝酸水溶液50gを入れ、ときどき攪拌しなが
ら95℃のオイルバスで3時間加熱処理した。冷却後、
蒸留水で洗浄し、80℃で5時間減圧乾燥した。
【0025】<触媒の調製>100mlのなす型フラス
コに、H2PtCl6・6H2O(キシダ化学(株)製
品)を0.96g、5N−HCl水溶液を6.71ml
入れて溶解した。この液にSnCl2・2H2O(キシダ
化学(株)製品)を1.01g入れて溶解し、溶解を確
認後、RuCl3・3H2O(NEケムキャット社製品)
を1.67g入れて完全に溶解させた。この金属化合物
の溶液に、上記のようにして硝酸処理した活性炭を9.
06g加え、よく振とうした。その後、回転減圧乾燥器
で60℃、25mmHg下で溶媒の水を除去した後、アルゴ
ン雰囲気下150℃で2時間焼成処理し、ついで水素雰
囲気下、450℃で2時間還元処理して、6.1重量%
Ru−3.4重量%Pt−5重量%Sn/活性炭の触媒
を調製した。
【0026】この触媒の粒子の最大断面積を与える断面
の最長径の線におけるEPMA(X線マイクロアナライ
ザ−)による線分析を、上記で得られた触媒の2つの粒
子N1,N2について行った。測定は、以下の条件で行
った。
【0027】
【表2】 EPMA : JXA−8600M(商品名、日本電子(株)製品) 電子銃加速電圧 : 20kV 照射電流 : 2×10-8A 電子ビ−ム径 : 2μm 計測ステップ : 3μm 計測時間 : 1sec./point
【0028】この結果を元に、各元素の測定点の強度を
その全測定点の強度の平均値で割った値の度数分布をと
った結果を図1(触媒粒子N1のRuに関する度数分布
を示したヒストグラム)、図2(触媒粒子N1のSnに
関する度数分布を示したヒストグラム)、図3(触媒粒
子N1のPtに関する度数分布を示したヒストグラ
ム)、図4(触媒粒子N2のRuに関する度数分布を示
したヒストグラム)、図5(触媒粒子N2のSnに関す
る度数分布を示したヒストグラム)、及び図6(触媒粒
子N2のPtに関する度数分布を示したヒストグラム)
に示した。その結果、Ruは平均値の50%未満の度数
の占める割合は全体の4.6%(N1)、及び5.2%
(N2)であり、Snは平均値の30%未満の度数の占
める割合は全体の3.2%(N1)、4.7%(N2)
であり、またPtは平均値の50%未満の度数の占める
割合は全体の5.3%(N1)、及び5.4%(N2)
であった。このようにEPMA強度の特に低い部分(平
均値に比べ、その量が大幅に少ない部分)はごく少な
く、各金属成分が担体内部まで均一に担持されているこ
とが判った。
【0029】<コハク酸の水素化反応>容量200mlの
オートクレーブに、水25g、コハク酸25gを仕込
み、更に上記方法で調製した触媒4.6gを仕込み、室
温下攪拌しつつ20kg/cm2の水素を圧入し、24
0℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度を240℃
に維持しつつ、水素を圧入して水素圧を70Kg/cm2
で高め、この圧力で2時間反応を行った。反応終了後、
反応液をデカンテ−ションにより触媒と分離し、残った
触媒は脱塩水により洗浄した。この触媒に、水25g、
コハク酸25gを仕込み、2回目の反応を全く同様の手
法により行った。このようにして、計4回の反応を繰り
返して行い、反応成績の変化を調べた。反応成績の評価
のうち、コハク酸の転化率は酸滴定により求め、反応生
成物についてはガスクロマトグラフィーで定量分析を行
った。その結果を後記表3に示した。
【0030】比較例1 硝酸処理を行わなかった以外は実施例1と同様の方法で
触媒を調製した。この触媒の2つの粒子S1、S2につ
いて、その粒子の中央部付近の断面の最長径の線におけ
るEPMA(X線マイクロアナライザ−)による線分析
を行った。この結果を元に、各元素の測定点の強度をそ
の全測定点の強度の平均値で割った値の度数分布をとっ
た結果を、図7(触媒粒子S1のRuに関する度数分布
を示したヒストグラム)、図8(触媒粒子S1のSnに
関する度数分布を示したヒストグラム)、図9(触媒粒
子S1のPtに関する度数分布を示したヒストグラ
ム)、図10(触媒粒子S2のRuに関する度数分布を
示したヒストグラム)、図11(触媒粒子S2のSnに
関する度数分布を示したヒストグラム)、及び図12
(触媒粒子S2のPtに関する度数分布を示したヒスト
グラム)に示した。その結果、Ruは平均値の50%未
満の度数の占める割合は全体の36.3%(S1)、及
び55.6%(S2)であり、Snは平均値の30%未
満の度数の占める割合は全体の20.2%(S1)、3
8.5%(S2)であり、またPtは平均値の50%未
満の度数の占める割合は全体の40.1%(S1)、及
び57.7%(S2)であった。このようにEPMA強
度の特に低い部分(平均値に比べ、その金属量が大幅に
少ない部分)が硝酸処理活性炭を用いた場合に比べ明ら
かに多く、各金属成分が担体内部まで均一に担持されて
いないことが判った。この触媒を用い、実施例1と同様
の手順でコハク酸の水素化反応を行った。反応生成物に
ついての分析結果を表3に示した。
【0031】
【表3】 上記表3中に示した略号は以下の意味である。 SA :コハク酸 THF:テトラヒドロフラン GBL:γ−ブチロラクトン BDO:1,4−ブタンジオール K(0-2hr):一次速度定数。反応終了後の反応生成物に含
まれるカルボニル基の減少量から算出した。実施例1、
比較例1共に、1回目の反応において生成物の量が少な
いのは、触媒上に生成物、もしくは原料の一部が吸着さ
れて検出できなかったためである。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法によれば、炭素質担体に主
金属としてRuとSn、さらに必要に応じて周期律表で
他のVIII族金属から選ばれる元素を担体内部まで均一に
担持した触媒を提供することができる。そして、この触
媒を使用することにより、無水マレイン酸、マレイン
酸、無水コハク酸、コハク酸、γ−ブチロラクトン、又
はこれらの混合物を原料とした接触水素化反応におい
て、比較的温和な反応条件下で、1,4−ブタンジオー
ル及び/又はテトラヒドロフランを高い効率、かつ高い
収率で製造することができ、その工業的利用価値は極め
て大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の触媒粒子N1のRnに関する度数分
布を示したヒストグラム
【図2】実施例1の触媒粒子N1のSnに関する度数分
布を示したヒストグラム
【図3】実施例1の触媒粒子N1のPtに関する度数分
布を示したヒストグラム
【図4】実施例1の触媒粒子N2のRuに関する度数分
布を示したヒストグラム
【図5】実施例1の触媒粒子N2のSnに関する度数分
布を示したヒストグラム
【図6】実施例1の触媒粒子N2のPtに関する度数分
布を示したヒストグラム
【図7】比較例1の触媒粒子S1のSnに関する度数分
布を示したヒストグラム
【図8】比較例1の触媒粒子S1のRuに関する度数分
布を示したヒストグラム
【図9】比較例1の触媒粒子S1のPtに関する度数分
布を示したヒストグラム
【図10】比較例1の触媒粒子S2のSnに関する度数
分布を示したヒストグラム
【図11】比較例1の触媒粒子S2のRuに関する度数
分布を示したヒストグラム
【図12】比較例1の触媒粒子S2のPtに関する度数
分布を示したヒストグラム

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素質担体にRuとSn、又はこれらに必
    要に応じて周期律表の他のVIII族金属から選ばれる元素
    を組み合わせて担持した水素化反応用触媒であって、該
    触媒の粒子の最大断面積を与える断面の最長径の線を、
    計測間隔が3μm、電子ビ−ム直径が2μmの条件でX
    線マイクロアナライザ−の線分析を行った場合の各測定
    点のRu強度を、全測定点のRu強度の平均値で割った
    値の度数分布をとった場合に、その平均値の50%未満
    の度数の占める割合が全体の35%未満であることを特
    徴とする水素化反応用触媒。
  2. 【請求項2】触媒の粒子の最大断面積を与える断面の最
    長径の線のX線マイクロアナライザ−の線分析を計測間
    隔が3μm、電子ビ−ム直径が2μmで行った場合の各
    測定点のSn強度を、全測定点のSn強度の平均値で割
    った値の度数分布をとった場合に、その平均値の30%
    未満の度数の占める割合が全体の20%未満であること
    を特徴とする請求項1に記載の水素化反応用触媒。
  3. 【請求項3】炭素質担体に担持する元素が、Ru、Sn
    及びPtであることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の水素化反応用触媒。
  4. 【請求項4】触媒の粒子の最大断面積を与える断面の最
    長径を、計測間隔が3μm、電子ビ−ム直径が2μmの
    条件でX線マイクロアナライザ−の線分析を行った場合
    の各測定点のPt強度を、全測定点のPt強度の平均値
    で割った値の度数分布をとった場合に、その平均値の5
    0%未満の度数の占める割合が全体の40%未満である
    ことを特徴とする請求項3に記載の水素化反応用触媒。
  5. 【請求項5】炭素質担体にRuとSn、又はこれらにに
    必要に応じて周期律表の他のVIII族金属から選ばれる元
    素を組み合わせて担持した水素化反応用触媒であって、
    該触媒の粒子の最大断面積を与える断面の最長径の線
    を、計測間隔が3μm、電子ビ−ム直径が2μmの条件
    でX線マイクロアナライザ−の線分析を行った場合の各
    測定点のRu強度を、全測定点のRu強度の平均値で割
    った値の度数分布をとった場合に、その平均値の50%
    未満の度数の占める割合が全体の35%未満であること
    を特徴とする水素化反応用触媒を製造するにあたり、炭
    素質担体としてあらかじめ硝酸と接触した炭素質担体を
    使用することを特徴とする水素化反応用触媒の製造法。
  6. 【請求項6】炭素質担体に、Ru、Sn、及びPtを担
    持することを特徴とする請求項5に記載の水素化反応用
    触媒の製造法。
  7. 【請求項7】カルボン酸類を水素及び触媒と接触させる
    ことにより水素化する方法において、該触媒として、水
    素化炭素質担体にRuとSn、又はこれらに必要に応じ
    て周期律表の他のVIII族金属から選ばれる元素を組み合
    わせて担持した水素化反応用触媒であって、該触媒の粒
    子の最大断面積を与える断面の最長径の線を、計測間隔
    が3μm、電子ビ−ム直径が2μmの条件でX線マイク
    ロアナライザ−の線分析を行った場合の各測定点のRu
    強度を、全測定点のRu強度の平均値で割った値の度数
    分布をとった場合に、その平均値の50%未満の度数の
    占める割合が全体の35%未満である水素化反応用触媒
    を用いることを特徴とするカルボン酸類の水素化反応方
    法。
  8. 【請求項8】カルボン酸類が、無水マレイン酸、マレイ
    ン酸、フマル酸、無水コハク酸、コハク酸、及びγ−ブ
    チロラクトンからなる群から選ばれたものであることを
    特徴とする請求項7に記載の水素化反応方法。
JP19358396A 1996-06-28 1996-07-23 水素化反応用触媒、その製造法、及び該触媒を用いたカルボン酸類の水素化反応方法 Expired - Lifetime JP3845904B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19358396A JP3845904B2 (ja) 1996-06-28 1996-07-23 水素化反応用触媒、その製造法、及び該触媒を用いたカルボン酸類の水素化反応方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8-169427 1996-06-28
JP16942796 1996-06-28
JP19358396A JP3845904B2 (ja) 1996-06-28 1996-07-23 水素化反応用触媒、その製造法、及び該触媒を用いたカルボン酸類の水素化反応方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1071332A true JPH1071332A (ja) 1998-03-17
JP3845904B2 JP3845904B2 (ja) 2006-11-15

Family

ID=26492763

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19358396A Expired - Lifetime JP3845904B2 (ja) 1996-06-28 1996-07-23 水素化反応用触媒、その製造法、及び該触媒を用いたカルボン酸類の水素化反応方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3845904B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018164193A1 (ja) 2017-03-08 2018-09-13 三菱ケミカル株式会社 カルボニル化合物の水素化触媒ならびにアルコールの製造方法
WO2019132537A1 (ko) * 2017-12-29 2019-07-04 한화케미칼 주식회사 고선택 전환이 가능한 탄소 기반의 귀금속-전이금속 촉매 및 이의 제조방법

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018164193A1 (ja) 2017-03-08 2018-09-13 三菱ケミカル株式会社 カルボニル化合物の水素化触媒ならびにアルコールの製造方法
WO2019132537A1 (ko) * 2017-12-29 2019-07-04 한화케미칼 주식회사 고선택 전환이 가능한 탄소 기반의 귀금속-전이금속 촉매 및 이의 제조방법
KR20190081123A (ko) * 2017-12-29 2019-07-09 한화케미칼 주식회사 고선택 전환이 가능한 탄소 기반의 귀금속-전이금속 촉매 및 이의 제조방법
JP2021509354A (ja) * 2017-12-29 2021-03-25 ハンファ ソリューションズ コーポレーション 高選択性の転化が可能な炭素ベースの貴金属−遷移金属触媒及びその製造方法。
US11517880B2 (en) 2017-12-29 2022-12-06 Hanwha Solutions Corporation Carbon-based noble metal-transition metal catalyst enabling high selective conversion and production method therefor

Also Published As

Publication number Publication date
JP3845904B2 (ja) 2006-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1109009C (zh) 脂族醇的制备方法
JPH06116182A (ja) 有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸エステルの水素化方法
CN1024666C (zh) γ-丁内酯催化氢化制备四氢呋喃和丁二醇的方法
CN86102452A (zh) 通过羧酸加氢制备醇
JP2007181829A (ja) マレイン酸を水素化して1,4−ブタンジオールとするための改善された触媒
IE44306B1 (en) Production of alcohols by catalytic hydrogenation of carboxyhlic acids,lactones or anhydrides
EP0659718A1 (en) Method for producing a cycloolefin
CN1723180A (zh) 1,6-己二醇的制备
JP3887845B2 (ja) 水素化反応用触媒、その製造法、及び該触媒を用いた水素化反応方法
US5969194A (en) Process for preparing 1, 6-hexanediol
CN1110472C (zh) 将马来酸氢化成1,4-丁二醇的改进方法
JPH1071332A (ja) 水素化反応用触媒、その製造法、及び該触媒を用いたカルボン酸類の水素化反応方法
EP0005467B1 (de) Verfahren zur Herstellung von Diestern von olefinisch ungesättigten 1,2- und/oder-1,4-Diolen
JP3704728B2 (ja) 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法
JP3744023B2 (ja) 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法
EP0033589A1 (en) Method of preparing a catalyst for synthesizing unsaturated esters
JPH07118187A (ja) 有機カルボン酸及び/又はカルボン酸エステルの水素化方法
JPH08217707A (ja) カルボン酸類の水素化方法
KR100758135B1 (ko) 말레산을 1,4-부탄디올로 수소화시키기 위한 촉매 및 이의 제조방법, 및 이의 사용방법
JP2001097904A (ja) 1,6−ヘキサンジオールの製造方法
JP2001011000A (ja) 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法
JP2002126524A (ja) 水素化反応用触媒及びそれを用いたアルコール類の製造方法
JPH1112207A (ja) 水性マレイン酸を水素化して1,4−ブタンジオールとするための改善された触媒
JPH0925253A (ja) カルボン酸類の水素化方法
JPH0959190A (ja) 1,4−ブタンジオール及び/又はテトラヒドロフランの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051025

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060801

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060814

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090901

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100901

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110901

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120901

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130901

Year of fee payment: 7

EXPY Cancellation because of completion of term