JPH1060455A - 炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents
炭化水素油の水素化処理方法Info
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- JPH1060455A JPH1060455A JP8241236A JP24123696A JPH1060455A JP H1060455 A JPH1060455 A JP H1060455A JP 8241236 A JP8241236 A JP 8241236A JP 24123696 A JP24123696 A JP 24123696A JP H1060455 A JPH1060455 A JP H1060455A
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Abstract
化処理を行う際、切り換えた炭化水素油に対して最適な
条件で水素化処理を行う方法を提供する。 【解決手段】 本水素化処理方法は、硫黄含有率が既知
の任意の一の油種の炭化水素油に切り換えるに際し、一
の油種の炭化水素油に適用する反応温度、水素分圧、液
空間速度、水素/原料油比、fH2S 、及び、生成油の硫
黄含有率からなる水素化処理条件のうちのいずれかを除
いて他の全てを設定するステップと、基準原料油に適用
したそれぞれ既知の、反応温度、水素分圧、液空間速
度、水素/原料油比、fH2S 及び、生成油の硫黄含有率
の水素化処理条件に基づいて、特定した関係式に従い、
一の油種の炭化水素油に適用する上記除いた一の水素化
処理条件を算出するステップとを有し、除いた一の水素
化処理条件を上記算出した値に設定して、一の油種の炭
化水素油の水素化処理を行う。
Description
化処理方法に関し、更に詳細には、相互に性状の異なる
複数油種の炭化水素油を原料油とし、水素化処理触媒を
収容した反応器に、随時、原料油の油種を切り換えて通
油して、低い硫黄含有率の生成油を得る、炭化水素油の
水素化処理方法、及び、水素化処理条件を変更して同じ
炭化水素油を水素化処理する方法に関するものである。
る軽油は、原油の常圧蒸留により得られる特定の沸点範
囲の直留軽油留分、或いは重質油を分解して得られる分
解軽油留分等を水素化処理することにより、又は未水素
化処理軽油留分に水素化処理した軽油留分をブレンドす
ることにより製造されている。軽油留分を水素化処理す
る理由は、それにより、軽油留分の硫黄含有率を低下さ
せると共に併せてディーゼルエンジン用燃料等としての
性状、例えば色相、セタン価等を改善するためである。
油して水素化処理する場合、長期間にわたり原料油とし
て同じ性状の軽油留分を水素化処理装置に通油すること
は、現実には難しい。それは、第1には、常圧蒸留装置
にて原油を分留して直留軽油留分を得る原油の常圧蒸留
工程において、常圧蒸留装置に導入する原油が、長期間
にわたり、必ずしも同じ油田から採油した原油とは限ら
ず、寧ろ、一般には、種々の油田から得た性状の異なる
原油を短期間づつ導入して運転するため、得た直留軽油
留分の性状が変動するからである。第2には、原料油と
して水素化処理装置に導入する軽油留分が必ずしも直留
軽油留分とは限らず、種々の軽油留分、例えば種々の性
状の重質油を分解して得た接触分解軽油、熱分解軽油等
であるからである。そこで、軽油留分の水素化処理で
は、一般には、このような相互に性状の異なる複数油種
の軽油留分を原料油とし、水素化処理触媒を収容した反
応器に、随時、原料油の油種を切り換えて通油して水素
化処理を行い、硫黄含有率の低い生成油を得ている。な
お、本明細書で、随時とは、「生産計画に応じて適宜
に、」とか「原料油の貯蔵量に必要に応じて適宜に、」
位の意味である。
条件は、原料油の性状によって、著しく異なる。例え
ば、反応温度を例にして説明すると、原料油の硫黄含有
率が高い場合、硫黄含有率の低い生成油を得るためには
反応温度を上げる必要がある。しかし、反応温度を上げ
過ぎると、生成油の色相が悪化し、ガス成分が増大して
軽油留分の収率が低下するという問題がある。逆に、原
料油の硫黄含有率が低い場合には反応温度を下げる必要
があるが、下げ過ぎると、生成油の硫黄含有率が高くな
る。更には、原料油の硫黄含有率及び生成油の硫黄含有
率が同じであっても、原料油の沸点範囲が高い方に広い
場合には、沸点範囲が低い方に広い場合より、反応温度
を上げる必要がある。一つの水素化処理装置に相互に異
なる種々の油種の原料油を切り換えて通油し、所定の硫
黄含有率の生成油を得るためには、その原料油の水素化
処理条件を最適な条件に設定することが必要である。さ
もないと、上述のように、却って、生成油の性状が悪く
なったり、また生成油の収率が低下したりするからであ
る。
に、水素化処理条件は原料油の性状によって著しく異な
るので、水素化処理条件を原料油に最適な条件に設定す
ることは、技術的に難しい作業であって、経験を必要と
している。更に言えば、原料油の油種に応じて水素化処
理条件を最適な値に演繹的にないしは論理的に設定する
手法が未だ確立されていないために、従来は、原料油の
切り換えに際し、水素化処理装置の担当技術者が、切り
換える原料油に対する水素化処理条件を徐々に変更し、
得られた生成油の性状を実測しながら設定を行ってい
た。そのために、原料油の切り換え時には、生成油の性
状が変動して、製品仕様を満足しない生成油が多量に流
出し、製品収率が低下するという問題があった。
場合であっても、水素化処理条件の一部を変更すること
がしばしば必要になる。例えば、水素ガス源を変更した
ために水素分圧が多少変わったり、或いは軽油留分の導
入量を増減したりすることもある。更には、生成油の硫
黄含有率を変更する場合もある。水素化処理条件を変更
する際にも、他の水素化処理条件を最適な条件に設定す
る必要がある。しかし、従来は、原料油の切り換えの場
合と同様に、水素化処理装置の担当技術者が、切り換え
に際し、条件を徐々に変更し、得られた生成油の性状を
実測しながら水素化処理条件を設定していたために、原
料油の切り換えと同じ問題があった。
的は、第1には、油種を切り換えて通油する炭化水素油
の水素化処理において、炭化水素油の油種を切り換える
際、最適な水素化処理条件で切り換えた炭化水素油を水
素化処理する方法を提供することであり、第2には同じ
油種の炭化水素油の水素化処理において、水素化処理条
件の一つを変更する際、他の水素化処理条件を最適な条
件に設定して水素化処理を行う方法を提供することであ
る。
的を達成するために、アレニウスの式、即ちk=A exp
〔−E/(RT)〕に基づいて運転データを整理するこ
とに着目し、研究と実験を重ねた結果、以下に上げる数
7から数9及び式(1)から式(4)に規定する実験式
を確立し、本発明を完成するに到った。なお、アレニウ
スの式において、kは反応速度定数、Aは頻度因子、E
は活性化エネルギー、Rは気体定数及びTは絶対温度を
言う。
ために、本発明に係る炭化水素油の水素化脱硫処理方法
(以下、第1発明方法と言う)は、相互に性状の異なる
複数油種の炭化水素油を原料油とし、水素化処理触媒を
収容した反応器に、随時、原料油の油種を切り換えて通
油して、低い硫黄含有率の生成油を得る、炭化水素油の
水素化処理方法において、水素化処理条件として、反応
温度が300〜400℃の範囲、水素分圧が2.5〜1
0MPaの範囲、反応器の液空間速度が0.5〜5hr
-1の範囲、水素/原料油比(L/L)が100〜700
の範囲にあって、硫黄含有率及び式(2)又は式(3)
のいずれかにより算出したfFEEDが既知の任意の一の油
種の炭化水素油に切り換えるに際し、一の油種の炭化水
素油に適用する反応温度、水素分圧、液空間速度、水素
/原料油比、fH2S 、及び、生成油の硫黄含有率からな
る水素化処理条件のうちのいずれかを除いて他の全てを
設定するステップと、硫黄含有率及び式(2)又は式
(3)のいずれかにより算出したfFEEDが既知の基準原
料油に適用したそれぞれ既知の、反応温度、水素分圧、
液空間速度、水素/原料油比、fH2S 及び、生成油の硫
黄含有率の水素化処理条件に基づいて、以下の数7から
数9及び式(1)にそれぞれ規定する関係式に従い、一
の油種の炭化水素油に適用する上記除いた一の水素化処
理条件を算出するステップを有し、除いた一の水素化処
理条件を上記算出した値に設定して、一の油種の炭化水
素油の水素化処理を行うことを特徴としている。
化処理条件 をそれぞれ意味する。
化脱硫処理方法(以下、第2発明方法と言う)は、第1
発明の炭化水素油の水素化処理方法において、式(2)
又は(3)に代えて、式(4)により基準原料油及び任
意の一の油種の炭化水素油のfFEEDを算出することを特
徴としている。ここで、fFEEDは、式(4)で規定され
る原料油の性状による係数であって、 fFEED=exp(2.1465−0.00226 ×D50−0.234 ×10-4×BT −0.336 ×10-4×DBT −1.65×10-4×C5-DBT −11.1×10-4×4-MDBT−3.94×10-4×4,6-DMDBT) 式(4) 式(4)中、 BT :原料油中のC2-DBT(DBTはシ゛ヘ゛ンソ゛チオフェン の略記、以下、同じ) 〜 C8-DBTに由来する硫黄含有率 DBT :原料油中のDBT〜C5-DBTに由来する硫黄含有率 (4-MDBT 、4,6-DMDBTは除く) C5-DBT :原料油中のC5-DBTより重質な硫黄化合物に由来する硫黄含有率 4-MDBT :原料油中の4-メチルシ゛ヘ゛ンソ゛チオフェンに由来する硫黄含有率 4,6-DMDBT :原料油中の4,6-シ゛メチルシ゛ヘ゛ンソ゛チオフェンに由来する硫黄含有率 であり、単位はそれぞれ質量ppmである。
化脱硫処理方法(以下、第3発明方法と言う)は、水素
化処理触媒の存在下で水素化処理を施して、低い硫黄含
有率の生成油を得る炭化水素油の水素化処理方法におい
て、水素化処理条件として、反応温度が300〜400
℃の範囲、水素分圧が2.5〜10MPaの範囲、反応
器の液空間速度が0.5〜5hr-1の範囲、水素/原料
油比(L/L)が100〜700の範囲にあって、炭化
水素油の水素化処理条件のいずれか一つを上記範囲内で
変更するに際し、変更する一つの水素化処理条件以外の
反応温度、水素分圧、液空間速度、水素/原料油比、f
H2S 、及び、生成油の硫黄含有率からなる水素化処理条
件のうちのいずれかを除いて他の全てを設定するステッ
プと、変更前のそれぞれ既知の、反応温度、水素分圧、
液空間速度、水素/原料油比、fH2S 及び、生成油の硫
黄含有率の水素化処理条件に基づいて、以下の数10か
ら数12及び式(1)にそれぞれ規定する関係式に従
い、一の油種の炭化水素油に適用する上記除いた一の水
素化処理条件を算出するステップを有し、除いた一の水
素化処理条件を上記算出した値に設定して、一の油種の
炭化水素油の水素化処理を行うことを特徴としている。
範囲が160〜400℃で、原油を常圧蒸留して得た直
留軽油、重質油をそれぞれ接触分解、熱分解、水素化処
理、及び脱硫処理し、次いで分留して得た、接触分解軽
油、熱分解軽油、水素化処理軽油、脱硫処理軽油、更に
はそれらの混合物を包含するものである。また、本発明
で言う生成油とは、硫黄分0.2質量%以下の生成油を
指す。本発明方法の数1、数4、数7及び数10で使用
するR(活性化エネルギー)は、反応メカニズム及び反
応温度に依存する定数であって、軽油留分の水素化処理
の場合、20,000〜40,000cal /mol の範囲
にある。実用的には、30,000cal /mol 、即ち1
25,000J /molで良い。
出器付きガスクロマトグラフ(Hewlett Packard 5921A
)により求めた。硫黄化合物のピークの帰属は、T.KAB
E、SEKIYU GAKKAISHI VOL.36(NO.6),467-471(1993) に
記載の方法により行った。また、D50は、50容量%留
出温度を表し、JIS K2254に準拠した方法によ
り求める。更に、原料油中には数十種類の硫黄化合物が
含まれるため、式(4)を適用してfFEEDを求める場合
には、次のように5種類に分類した。 BT ;C2 −ベンゾチオフェン〜C8 −ベンゾチオフェン DBT ;ジベンゾチオフェン〜C5 −ジベンゾチオフェン (4−MDBT、4,6−DMDBTは除く) C5 −DBT ;C5 −ベンゾチオフェンより重質の硫黄化合物 4−MDBT ;4−メチルジベンゾチオフェン 4,6−DMDBT;4,6−ジメチルジベンゾチオフェン
限定されるものではなく、通常の水素化処理触媒であれ
ば使用できる。触媒の担体として、種々のものが使用で
き、例えばシリカ、アルミナ、ボリア、マグネシア、チ
タニア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリ
カ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリア、
シリカ−チタニア、シリカ−ボリア、アルミナ−ジルコ
ニア、アルミナ−チタニア、アルミナ−ボリア、アルミ
ナ−クロミア、チタニア−ジルコニア、シリカ−アルミ
ナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−
アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア−ジルコニ
アなど、又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらの無機酸化物のうち、好ましいものとしては、ア
ルミナ、シリカ−アルミナ、アルミナ−チタニア、アル
ミナ−ボリア、アルミナ−ジルコニアが挙げられ、特に
好ましくは、アルミナが挙げられる。これらの無機酸化
物は、1種単体で用いてもよいし、2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。
は、元素周期律表第6族金属及び第8族金属の中から選
ばれる少なくとも1種類以上の金属を含むもので、好ま
しくはモリブデン、タングステン、コバルト及びニッケ
ルの金属及びそれを含む化合物である。これらの金属成
分は、金属状態又は金属酸化物、金属硫化物の何れの形
態でも有効であり、また、イオン交換などにより金属成
分が触媒担体と結合した形態で存在してもよい。この金
属成分の含有量は、触媒基準かつ酸化物換算で、約10
〜25質量%の範囲内にあることが必要である。金属含
有量が10質量%より少ないと、活性点として働く金属
の絶対量が少ないために、脱硫活性を始めてとする水素
化処理活性(以下、簡単に水素化処理活性と言う)が発
現せず、逆に担持される金属の含有量が25質量%より
多すぎると、金属の凝集が起こり活性点の数が減少し、
その結果、水素化処理活性が却って低下するからであ
る。更に、必要に応じて、元素周期律表第6族金属及び
第8族金属からなる活性金属に加えて、リン、ホウ素、
亜鉛、ジルコニア等を含ませることができる。本発明方
法を適用するに当たり、触媒層の形態には制約はなく、
例えば固定床、移動床、流動床等の触媒層の反応器に適
用できる。
条件として、水素分圧が2.5〜10MPa、好ましく
は3〜7MPaの範囲であり、温度が300〜400
℃、好ましくは320〜380℃の範囲であり、液空間
速度が0.5〜5hr-1、好ましくは0.7〜2hr-1
の範囲であり、水素/原料油比が100〜700L/
L、好ましくは150〜400L/Lの範囲である。
媒の水素化処理活性が低下すると共に生成油の色相も悪
化し、逆に10MPaを超えると、設備の耐圧が高くな
って、設備費が嵩み、また動力費も高くなって、不経済
になる。反応温度が300℃未満であると、触媒の脱硫
活性が低く、400℃を超えると、脱硫活性が飽和する
ために温度を上げても脱硫効果が向上しないばかりでな
く、生成油の色相が悪化し、しかも設備費と運転費が嵩
む。液空間速度が5hr-1を超えると、触媒と原料油の
接触時間が短くなりすぎ、脱硫反応が十分行われないた
めに生成油の残留硫黄分が多くなり、0.5hr-1未満
では必要以上に接触時間が長くなりすぎ、処理効率が低
下する。水素/原料油比が100L/L未満であると、
十分に脱硫反応が進まず、逆に700L/Lを超える
と、過剰の水素を消費することになるので、処理コスト
が増大し不経済である。
油種の炭化水素油を原料油とし、水素化処理触媒を収容
した反応器に、随時、原料油の油種を切り換えて通油し
て、低い硫黄含有率の生成油を得る、炭化水素油の水素
化処理において、任意の一の油種の炭化水素油に切り換
えるに際し、切り換えられる炭化水素油に最適の水素化
処理条件を特定した実験式により演繹的に算出する。基
準原料油及び任意の一の油種の炭化水素油のfFEEDを算
出する際に、式(2)は、原料油の硫黄含有率が1.1
質量%より低い場合に適用し、式(3)は原料油の硫黄
含有率が1.1質量%又はそれ以上の場合に適用する。
第2発明は、基準原料油及び任意の一の油種の炭化水素
油のfFEEDを算出する際に、第1発明で使用する式
(2)又は式(3)に代えて、原料油の硫黄含有率とは
無関係に、式(4)を使用する。第1及び第2発明方法
を適用することにより、水素化処理条件を演繹的に算出
できるので、原料油切替え時の不合格製品の量を低減し
て、経済的かつ効率的に低硫黄含有率で色相等の品質良
好な生成油を製造できる。
原料油として水素化処理している過程で水素化処理条件
を再設定する必要が生じた場合、例えば反応温度、水素
分圧、液空間速度、水素/原料油比、fH2S 、及び、生
成油の硫黄含有率からなる水素化処理条件のうちのいず
れかを特定の値に変更する必要が生じた場合、その水素
化処理条件をその値に変更し、かつ変更した水素化処理
条件以外の水素化処理の一つを除いて再設定し、例えば
変更前と同じ値に再設定し、除いた一つの水素化処理条
件を特定した実験式により演繹的に算出する。本発明方
法を適用することにより、除いた一つの水素化処理条件
を演繹的に算出できるので、水素化処理条件の変更時の
不合格製品の量を低減して、経済的かつ効率的に低硫黄
含有率で色相等の品質良好な生成油を製造できる。
を参照して、本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説
明する。本発明方法の実施装置の例 実施装置の例として、図1に模式的に示すような商業生
産用の既知の固定床方式高圧流通式反応装置10を挙げ
ることができる。反応装置10では、原料油の導入ライ
ンで原料油と水素含有ガスとを混合して混合流体を形成
し、熱交換器12で生成油と熱交換して混合流体を予熱
し、更に加熱装置14で混合流体を所定温度に加熱し
て、反応器16の上部に導入する。反応器16は、触媒
としてCo−Mo/Al2 O3 (CoO:MoO3 =
5:20質量%)の既知の脱硫触媒を充填した固定床触
媒層を有する。反応器16内で原料油に水素化処理を施
し、反応器16の下部から生成油とガスとの混合生成物
を流出させ、熱交換器12で降温し、更に冷却器18で
冷却した後、気液分離器20で生成油とガスとに分離す
る。分離されたガスは圧縮器22で圧縮された後、補給
用の水素含有ガスと共に再び原料油に混合され、一方、
生成油は次の処理工程に送出される。
法を実施して、その結果を解析し、本発明方法を評価し
た。実施に供した原料軽油は、常圧蒸留装置から得た直
留軽油であって、その性状は表1に示す通りである。ま
た、式(3)によりパラメータfFEEDを算出する際に使
用する原料油A〜Dの硫黄化合物の組成及び含有率(質
量ppm )は、表2に示す通りであった。
法の実施例であって、実施例1の水素化処理条件を表3
のように設定した。実施例1では、先ず、基準原料油と
して原料油Cを選択し、反応装置10に導入し、反応器
16の反応温度をステップ昇温し、生成油の硫黄含有率
が0.1質量%になるように反応温度を調節した。その
結果、表4に示す実測温度、333.9℃で生成油の硫
黄含有率を0.1質量%にすることができた。
施番号1では、原料油の油種を原料油Aに切り換えた。
切り換えに当たっては、原料油Aの水素化処理条件のう
ち反応温度を除く水素化処理条件は、全て原料油Cの水
素化処理条件と同じ値に設定し、かつ表1の原料油硫黄
含有率及び50%留出温度から原料油CのfFEEDを式
(3)で算出した。そして、表3及び表4に示す原料油
Cの水素化処理条件と、表1の原料油硫黄含有率及び5
0%留出温度から算出したfFEEDとを基準原料油の水素
化処理条件とし、設定した原料油Aの水素化処理条件に
基づいて、前述した数7から数9並びに式(1)及び式
(3)の関係に従い、表4の予測温度の欄に示すよう
に、原料油Aに対する反応温度T1 を342.9℃と算
出した。そして、反応器16の温度を342.9℃に調
整した上で原料油Aの水素化処理を行った。得た生成油
の硫黄含有率が0.1質量%より僅かに小さかったの
で、次いで生成油の硫黄含有率が0.1質量%になるよ
うに反応器16での温度を調整した。その結果、33
9.0℃で生成油の硫黄含有率を0.1質量%にするこ
とができた。この温度は、表4で実測温度の欄に記載さ
れている。
いで3では、それぞれ原料油B、原料油Dを原料油と
し、反応温度以外は同じ条件で、数7から数9並びに式
(1)及び式(3)の関係に従い、予測温度を求めた。
次いで、求めた予測温度になるように反応温度を調整し
て通油し、更に生成油の硫黄含有率が0.1質量%にな
るような実測温度を求めた。
番号4から6では、原料油Bを原料油とし、実施番号2
に比べて、水素分圧、液空間速度及び水素/原料油比
(L/L比)のいずれかを変更し、そして前述の数10
から数12に従って予測温度を求めた。次いで、求めた
予測温度になるように反応温度を調整して通油し、更に
生成油の硫黄含有率が0.1質量%になるような実測温
度を求めた。第3発明方法の実施例として、更に、実施
番号7及び8では、原料油Dを原料油とし、実施番号3
に比べて、水素分圧、液空間速度及び水素/原料油比
(L/L比)のいずれかを変更し、そして前述の数10
から数12に従って予測温度を求めた。次いで、求めた
予測温度になるように反応温度を調整して通油し、更に
生成油の硫黄含有率が0.1質量%になるような実測温
度を求めた。
は、表4の最右欄に示すように、±10℃程度であっ
て、第1発明方法及び第2発明方法による予測温度が、
実際の反応温度と良く一致しており、第1発明方法及び
第3発明方法の効果が著しいことを実証している。
ある。実施例2では、実施例1の式(3)に代えて式
(4)を使用してfFEEDを算出したことを除いて、実施
例1と同様の実施装置を使用し、実施例1と同様にて第
2発明及び第3発明を実施した。基準の実施番号及び1
から10の実施番号で設定した水素化処理条件と求めた
予測温度及び実測温度は、表5に記載の通りである。
尚、式(3)のfFEEDを求めるに当たり、原料油中の硫
黄化合物の組成及び含有率は、表2に基づいている。実
施に際しては、第2発明方法の実施例として、実施番号
1から3では、実施例1と同様に原料油Cの水素化処理
条件を基準反応条件とし、原料油の油種を変更して、実
測温度を求めた。
方法の実施例として、原料油Bを原料油とし、実施番号
2に比べて、水素分圧、液空間速度及び水素/原料油比
(L/L比)のいずれかを変更して予測温度を求めて通
油し、次いで、それぞれの場合の実測温度を求めた。更
に、実施番号7及び8では、原料油Dを原料油とし、第
3発明方法の実施例として、実施番号3に比べて、水素
分圧、液空間速度及び水素/原料油比(L/L比)のい
ずれかを変更して予測温度を求めて通油し、次いで、そ
れぞれの場合の実測温度を求めた。
が、表5の最右欄に示すように、±5℃程度であって、
数4から数6並びに式(3)の関係に従って求めた予測
温度が、実際の反応温度と良く一致していることを実証
している。
油種の炭化水素油に切り換えるに際し、切り換えられた
炭化水素油に最適な水素化処理条件を、特定した範囲内
で特定した関係式により、演繹的に算出し、その水素化
処理条件で水素化処理を行うことができる。本発明方法
を適用することにより、原料油切替え時の不合格製品の
量を低減して、経済的かつ効率的に低い硫黄含有率で色
相等の品質良好な軽油留分を製造することができる。ま
た、同じ油種の原料油の水素化処理条件を変更するに際
し、最適の水素化処理条件を、特定した範囲内で特定し
た関係式により、演繹的に算出することができる。
トである。
Claims (3)
- 【請求項1】 相互に性状の異なる複数油種の炭化水素
油を原料油とし、水素化処理触媒を収容した反応器に、
随時、原料油の油種を切り換えて通油して、低い硫黄含
有率の生成油を得る、炭化水素油の水素化処理方法にお
いて、 水素化処理条件として、反応温度が300〜400℃の
範囲、水素分圧が2.5〜10MPaの範囲、反応器の
液空間速度が0.5〜5hr-1の範囲、水素/原料油比
(L/L)が100〜700の範囲にあって、硫黄含有
率及び式(2)又は式(3)のいずれかにより算出した
fFEEDが既知の任意の一の油種の炭化水素油に切り換え
るに際し、 一の油種の炭化水素油に適用する反応温度、水素分圧、
液空間速度、水素/原料油比、fH2S 、及び、生成油の
硫黄含有率からなる水素化処理条件のうちのいずれかを
除いて他の全てを設定するステップと、 硫黄含有率及び式(2)又は式(3)のいずれかにより
算出したfFEEDが既知の基準原料油に適用したそれぞれ
既知の、反応温度、水素分圧、液空間速度、水素/原料
油比、fH2S 及び、生成油の硫黄含有率の水素化処理条
件に基づいて、以下の数1から数3及び式(1)にそれ
ぞれ規定する関係式に従い、一の油種の炭化水素油に適
用する上記除いた一の水素化処理条件を算出するステッ
プとを有し、 除いた一の水素化処理条件を上記算出した値に設定し
て、一の油種の炭化水素油の水素化処理を行うことを特
徴とする炭化水素油の水素化処理方法。 【数1】 【数2】 【数3】 ここで、数1から数3の式中、 T :温度(K) R :気体定数=8.313(J/mol/K) E :活性化エネルギー=125,000 (J/mol) k :反応速度定数 Sp :生成油硫黄含有率(質量%) Sf :原料油硫黄含有率(質量%) LHSV :液空間速度(h-1) PH2 :水素分圧(MPa) H2 /oil :水素/原料油比(L/L) fH2S :fH2S =1 /(1+0.06×C) 式(1) で規定されるガス中のH2 S濃度による係数 C はH2 S濃度(mol%)である。 fFEED :式(2)、又は式(3)で規定される原料油の性状による係数 Sf <1.1質量%において、 fFEED=exp(1.29−1.22×Sf ) 式(2) Sf ≧1.1質量%において、 fFEED=exp(7.11−0.18×Sf −0.023 ×D50) 式(3) 式(3)中、D50は原料油の50容量%留出温度(℃)である。 数1から数3の式中 添え字 0:基準原料油の既知の水素化処理条件 添え字 1:任意の一の油種の炭化水素油に適用する水素
化処理条件 をそれぞれ意味する。 - 【請求項2】 請求項1に記載の炭化水素油の水素化処
理方法において、式(2)又は(3)に代えて、式
(4)により基準原料油及び任意の一の油種の炭化水素
油のfFEEDを算出することを特徴とする炭化水素油の水
素化処理方法。ここで、fFEEDは、式(4)で規定され
る原料油の性状による係数であって、 fFEED=exp(2.1465−0.00226 ×D50−0.234 ×10-4×BT −0.336 ×10-4×DBT −1.65×10-4×C5-DBT −11.1×10-4×4-MDBT−3.94×10-4×4,6-DMDBT) 式(4) 式(4)中、 BT :原料油中のC2-DBT(DBTはシ゛ヘ゛ンソ゛チオフェン の略記、以下、同じ) 〜 C8-DBTに由来する硫黄含有率 DBT :原料油中のDBT〜C5-シ゛ヘ゛ンソ゛チオフェンに由来する硫黄含有率 (4-MDBT 、4,6-DMDBTは除く) C5-DBT :原料油中のC5-DBTより重質な硫黄化合物に由来する硫黄含有率 4-MDBT :原料油中の4-メチルシ゛ヘ゛ンソ゛チオフェンに由来する硫黄含有率 4,6-DMDBT :原料油中の4,6-シ゛メチルシ゛ヘ゛ンソ゛チオフェンに由来する硫黄含有率 であり、単位はそれぞれ質量ppmである。 - 【請求項3】 水素化処理触媒の存在下で水素化処理を
施して、低い硫黄含有率の生成油を得る炭化水素油の水
素化処理方法において、 水素化処理条件として、反応温度が300〜400℃の
範囲、水素分圧が2.5〜10MPaの範囲、反応器の
液空間速度が0.5〜5hr-1の範囲、水素/原料油比
(L/L)が100〜700の範囲にあって、炭化水素
油の水素化処理条件を上記範囲内で再設定するに際し、 反応温度、水素分圧、液空間速度、水素/原料油比、f
H2S 、及び、生成油の硫黄含有率からなる水素化処理条
件のうちのいずれかを除いて他の全てを設定するステッ
プと、 変更前のそれぞれ既知の、反応温度、水素分圧、液空間
速度、水素/原料油比、fH2S 及び、生成油の硫黄含有
率の水素化処理条件に基づいて、以下の数4から数6及
び式(1)にそれぞれ規定する関係式に従い、一の油種
の炭化水素油に適用する上記除いた一の水素化処理条件
を算出するステップとを有し、 除いた一の水素化処理条件を上記算出した値に設定し
て、一の油種の炭化水素油の水素化処理を行うことを特
徴とする炭化水素油の水素化処理方法。 【数4】 【数5】 【数6】 ここで、数4から数6の式中、 T :温度(K) R :気体定数=8.313(J/mol/K) E :活性化エネルギー=125,000 (J/mol) k :反応速度定数 Sp :生成油硫黄含有率(質量%) Sf :原料油硫黄含有率(質量%) LHSV :液空間速度(h-1) PH2 :水素分圧(MPa) H2 /oil :水素/原料油比(L/L) fH2S :fH2S =1 /(1+0.06×C) 式(1) で規定されるガス中のH2 S濃度による係数 C :H2 S濃度(mol%) 数4から数6の式中 添え字 0:変更前の既知の水素化処理条件 添え字 1:変更する水素化処理条件 をそれぞれ意味する。
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JP24123696A JP3473812B2 (ja) | 1996-08-23 | 1996-08-23 | 炭化水素油の水素化処理方法 |
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JP2014074090A (ja) * | 2012-10-02 | 2014-04-24 | Jx Nippon Oil & Energy Corp | 炭化水素油の水素化処理方法及び潤滑油用基油の製造方法 |
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1996
- 1996-08-23 JP JP24123696A patent/JP3473812B2/ja not_active Expired - Fee Related
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