JP2003238970A - 低硫黄ガソリン基材の製造方法 - Google Patents

低硫黄ガソリン基材の製造方法

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JP2003238970A
JP2003238970A JP2002248656A JP2002248656A JP2003238970A JP 2003238970 A JP2003238970 A JP 2003238970A JP 2002248656 A JP2002248656 A JP 2002248656A JP 2002248656 A JP2002248656 A JP 2002248656A JP 2003238970 A JP2003238970 A JP 2003238970A
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sulfur
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JP2002248656A
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Hideyuki Hara
英之 原
Tsunehiro Fujikata
恒博 藤方
Shigeari Kagami
成存 各務
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動接触分解(FCC)プロセス、あるいは
直接脱硫プロセスとFCCプロセスとの組合わせによ
り、低硫黄ガソリン基材を効率よく、工業的に有利に製
造する方法を提供すること。 【解決手段】 FCCプロセスにより、硫黄分含有量5
0質量ppm以下のガソリン基材を製造する方法であっ
て、FCC装置に供給する原料油として、硫黄分含有量
が0.2質量%以下のものを用いる低硫黄ガソリン基材
の製造方法、及び直接脱硫プロセス及びFCCプロセス
を順次施して、硫黄分含有量50質量ppm以下のガソ
リン基材を製造する方法であって、直接脱硫装置に供給
する原料油として、アスファルテン含有量が3質量%以
下のものを用いる低硫黄ガソリン基材の製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低硫黄ガソリン基
材の製造方法、及びその方法で得られたガソリン基材を
含むガソリンに関する。さらに詳しくは、本発明は、流
動接触分解(以下、FCCと略記することがある。)プ
ロセス、あるいは直接脱硫プロセスとFCCプロセスと
の組合せにより、低硫黄ガソリン基材を効率よく製造す
る方法、並びにこの方法で得られたガソリン基材を含む
低硫黄ガソリンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、ガソリンは、接触分解ガソリン、
改質ガソリン、アルキレート、直留ガソリン(主にライ
トナフサ)などのガソリン基材を配合して製造される
が、低コストでガソリンを生産するために、比較的付加
価値の低い原油中の重質留分を水素化分解又は流動接触
分解等で分解して、軽質化し、ガソリン基材として使用
することが行われている。しかしながら、近年、環境問
題に対応するために、全世界的にガソリン中の硫黄分が
規制されるようになってきた。日本においても、200
5年にはガソリン中の硫黄分量が50質量ppm以下に
規制され、その後、硫黄分規制が10質量ppm以下に
なることが予想されている。このような状況下で、重質
留分を流動接触分解したガソリン基材等を使用すると、
硫黄含有量が高くなる傾向にあるため、環境に対する負
荷を低減し、かつ付加価値の比較的低い重質分を利用し
たガソリン基材の製造方法が望まれていた。かかる状況
下、低硫黄ガソリン基材等の高付加価値製品を製造する
ためには、直接脱硫装置等の脱硫条件を厳しくする必要
があり、触媒寿命が低減するという問題があった。
【0003】また、原油には種々の種類のものがあり、
例えば軽質分と重質分の量比、硫黄やメタルの含有量等
は原油ごとに異なる。従って、重質分を分解して軽質分
を得るにあたっては、原油ごとに処理条件を変える必要
があり、安定して分解ガソリン等を製造するには、多く
の知識と技術を要するのが現状である。一方、ガソリン
中の硫黄含有量を低下させる方法としては、接触分解装
置から製造される分解ガソリンを脱硫する方法が考えら
れる。すなわち、硫黄含有量50質量ppm程度の分解
ガソリンを水素化処理することで、硫黄含有量を15〜
25質量ppm程度まで減少させる方法である。しかし
ながら、分解ガソリンのオクタン価は通常92程度であ
るが、水素化処理装置で処理することで、脱硫反応と同
時に分解ガソリン中に含まれるオレフィンの水素化反応
が起こり、オクタン価が85程度まで低下するという問
題があった。このオクタン価の低下をカバーするために
は、例えば異性化装置により、オクタン価の低いノルマ
ルパラフィンをイソパラフィンに転換する等の後処理を
行う必要があり、ガソリン製造コストが高くなるという
問題があった。
【0004】こうした状況下、重質留分である減圧蒸留
残渣油を溶剤脱れきし、その脱れき油を水素化処理した
後、軽油留分と混合して流動接触分解装置にて処理する
残渣油の接触分解方法が特開昭60−31594に開示
されているが、硫黄量を低減するという課題については
考慮されていず、むしろ流動接触分解装置での分解性能
に重点をおき、脱れき油中の4環以上の多環芳香族化合
物及び極性化合物の含有量を制御することを特徴とする
ものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、付加価値の低い重質留分を利用し、FCCプ
ロセス、あるいは直接脱硫プロセスとFCCプロセスと
の組合せにより、ガソリン基材を製造するに際し、硫黄
分含有量を効率よく低減させ、かつ高オクタン価を維持
したガソリン基材を、低コストで工業的に有利に製造す
る方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、FCC装置に
供給する原料油の硫黄分含有量をある値以下に規定する
ことにより、所望の低硫黄ガソリン基材が効率よく得ら
れ、その目的を達成し得ること、あるいは直接脱硫装置
に供給する原料油のアスファルテン含有量及び該アスフ
ァルテン中の硫黄分含有量を、それぞれある値以下に規
定することにより、直接脱硫触媒の寿命を延ばすことが
でき、直接脱硫装置での長期運転が可能となり、かつ所
望の低硫黄ガソリン基材が効率よく得られ、その目的を
達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基
づいて完成したものである。
【0007】すなわち、本発明は、(1)流動接触分解
プロセスにより、硫黄分含有量50質量ppm以下のガ
ソリン基材を製造する方法であって、流動接触分解装置
に供給する原料油として、硫黄分含有量が0.2質量%
以下であるものを用いることを特徴とする低硫黄ガソリ
ン基材の製造方法(以下、製造方法I−1と称す。)、
(2)流動接触分解プロセスにより、硫黄分含有量50
質量ppm以下のガソリン基材を製造する方法であっ
て、流動接触分解装置に供給する原料油として、それに
含まれる減圧蒸留残渣油に相当する留分中の硫黄分含有
量が、原料油全量に基づき、0.15質量%以下である
ものを用いることを特徴とする低硫黄ガソリン基材の製
造方法(以下、製造方法I−2と称す。)、(3)ガソ
リン基材中の硫黄分含有量が15質量ppm以下である
上記(1)又は(2)に記載の低硫黄ガソリン基材の製
造方法、(4)流動接触分解装置に供給する原料油が、
常圧蒸留残渣油を脱硫して得られた直接脱硫油、常圧蒸
留残渣油を減圧蒸留して得られる減圧留出油を脱硫して
得られた間接脱硫油、減圧蒸留残渣油を脱れき処理して
得られた脱れき油及び該脱れき油を水素化脱硫処理した
脱れき脱硫油から選ばれる少なくとも1種を含むもので
ある上記(1)、(2)又は(3)に記載の低硫黄ガソ
リン基材の製造方法、(5)直接脱硫プロセス及び流動
接触分解プロセスを順次施して、硫黄分含有量50質量
ppm以下のガソリン基材を製造する方法であって、直
接脱硫装置に供給する原料油として、アスファルテン含
有量が3質量%以下であるものを用いることを特徴とす
る低硫黄ガソリン基材の製造方法(以下、製造方法II−
1と称す。)、(6)直接脱硫プロセス及び流動接触分
解プロセスを順次施して、硫黄分含有量50質量ppm
以下のガソリン基材を製造する方法であって、直接脱硫
装置に供給する原料油として、それに含まれるアスファ
ルテン中の硫黄分含有量が原料油に対して0.2質量%
以下であるものを用いることを特徴とする低硫黄ガソリ
ン基材の製造方法(以下、製造方法II−2と称す。)、
(7)直接脱硫装置に供給する原料油が、減圧蒸留残渣
油を脱れき処理して得られた脱れき油を含むものである
上記(5)又は(6)に記載の低硫黄ガソリン基材の製
造方法、(8)ガソリン基材中の硫黄分含有量が15質
量ppm以下である上記(5)、(6)又は(7)に記
載の低硫黄ガソリン基材の製造方法、(9)前記ガソリ
ン基材のリサーチ法オクタン価(RON)が92以上で
ある上記(1)〜(8)のいずれかに記載の低硫黄ガソ
リン基材の製造方法、(10)上記(1)〜(9)のい
ずれかに記載の方法によって製造された低硫黄ガソリン
基材を含むことを特徴とするガソリン、(11)硫黄分
含有量が10質量ppm以下である上記(10)記載の
ガソリン、を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の低硫黄ガソリン
基材の製造方法を実施するための一例の工程概略図であ
る。まず、常圧蒸留装置(TOP)1で得られた重質軽
油(HGO)は、間接脱硫装置(VH)4又は直接脱硫
装置(RH)5に供給され、それぞれ水素化脱硫処理さ
れる。一方、常圧蒸留装置1で得られた常圧残渣油(R
C)は、直接脱硫装置(RH)5に供給されて水素化脱
硫処理されるか、減圧蒸留装置(VAC)2に供給され
減圧蒸留処理されるか、あるいはFCC装置6に直接供
給されて接触分解処理される。減圧蒸留装置2で得られ
た重質減圧軽油(HVGO)は、間接脱硫装置4又は直
接脱硫装置5に供給されて水素化脱硫処理される。一
方、減圧蒸留装置2で得られた減圧蒸留残渣油(VR)
は、直接脱硫装置5に供給されて水素化脱硫処理される
か、あるいは脱れき装置(SDA)3に供給されて脱れ
き処理され、脱れき油(DAO)となる。この脱れき油
は、直接にFCC装置6に供給されて接触分解処理され
るか、あるいは間接脱硫装置4又は直接脱硫装置5に供
給されて水素化脱硫処理される。間接脱硫装置4で得ら
れた間接脱硫重質軽油(VHHGO)及び直接脱硫装置
5で得られた脱硫重質油(DSRC)は、それぞれFC
C装置6に供給されて接触分解処理される。なお、本発
明におけるFCC装置は、重油流動接触分解装置(RF
CC)をも包含する。
【0009】ここで、減圧蒸留残渣油とは、原油の常圧
蒸留装置で得られる残油を、さらに減圧下にて蒸留した
残渣油であり、通常動粘度が100〜2800mm
s(100℃)である重質油を主成分とする留分であ
る。減圧蒸留装置は、通常減圧度を1〜7kPaに制御
し、原料油を370〜420℃に昇温して、沸点差で各
留分を分留する。また、この減圧蒸留残渣油の脱れき処
理とは、アスファルト分を除くことをいい、一般には溶
剤を用いて抽出する方法が用いられる。溶剤として、プ
ロパン、ブタン、ペンタン等の炭化水素系溶剤を使用す
ることが好ましく、特に取り扱いやすさを考慮するとブ
タン、ペンタン又はこれらの混合物が好ましい。また、
溶剤脱れきの温度としては100〜180℃、圧力とし
ては0.5〜5MPaの範囲が好ましく、溶剤と減圧蒸
留残渣油の仕込み比としては、2〜10(質量比)の範
囲が好ましい。前記直接脱硫装置とは、常圧蒸留残渣油
(RC)、常圧で得られる重質軽油(HGO)、重質減
圧軽油(HVGO)、減圧蒸留残渣油(VR)及び脱れ
き油(DAO)などの原料油を、触媒の存在下、高温・
高圧下で水素化脱硫処理する装置をいう。使用する触媒
としては、通常使用される水素化脱硫触媒であれば特に
限定されず、Co−Mo系触媒、Ni−Mo系触媒、N
i−W系触媒、Ni−Co−Mo系触媒等が挙げられ
る。
【0010】反応条件としては、反応温度300〜45
0℃、反応圧力10〜20MPa、水素/油比200〜
2000NL/L、液空間速度(LHSV)0.1〜5
hr −1の範囲が好ましい。さらに前記FCCとは、炭
化水素油を流動する触媒と高温で接触させ、分解する装
置で、高オクタン価ガソリン、軽油留分等を得る装置を
いう。ここで使用する触媒としては、通常FCC触媒と
して使用されるものであればよく、特に限定されない
が、一般的にSiO−Alやゼオライト等の固
体酸触媒が使用される。反応条件としては、反応温度4
50〜550℃、常圧〜0.5MPa、接触時間0.1
〜2秒、触媒/油比3〜10kg/kgの範囲が好まし
い。尚、FCC装置では、流動する触媒が反応塔から連
続的に抜き出され、再生塔にて空気燃焼により再生され
るが、再生条件としては、再生温度550〜850℃、
再生圧力は常圧〜0.5MPaの範囲が好ましい。
【0011】本発明の低硫黄ガソリン基材の製造方法
は、大きく分けて製造方法I及び製造方法IIの2つの態
様があり、そして、製造方法I及び製造方法IIには、そ
れぞれ製造方法I−1と製造方法I−2及び製造方法II
−1と製造方法II−2の態様があるが、本発明の低硫黄
ガソリン基材の製造方法はこれらの態様に限定されるも
のではない。まず、製造方法Iについて説明する。本発
明の製造方法Iは、FCCプロセスにより、硫黄分含有
量50質量ppm以下、好ましくは15質量ppm以下
のガソリン基材を製造する方法である。この場合、FC
C装置に供給する原料油は、前記の図1で示されるよう
に間接脱硫装置にて水素化脱硫処理された間接脱硫重質
軽油(VHHGO)、直接脱硫装置にて水素化脱硫処理
された脱硫重質油(DSRC)、常圧残渣油(RC)、
脱れき油(DAO)などである。
【0012】製造方法I−1においては、前記FCC装
置に供給する原料油として、硫黄分含有量が0.2質量
%以下、好ましくは0.1質量%以下のものが用いられ
る。この硫黄分含有量が0.2質量%を超えると硫黄分
含有量が50質量ppm以下のガソリン基材を得ること
が困難となる。また、製造方法I−2においては、FC
C装置に供給する原料油として、その中に含まれる減圧
蒸留残渣油(VR)に相当する留分中の硫黄分含有量
が、原料油全量に基づき0.15質量%以下、好ましく
は0.1質量%以下であるものが用いられる。この硫黄
分含有量が0.15質量%を超えると硫黄分含有量が5
0質量ppm以下のガソリン基材を得ることが困難とな
る。
【0013】本発明の製造方法Iにおいて、FCC装置
に供給する原料油としては、減圧蒸留残渣油(VR)を
脱れき処理して得られた脱れき油(DAO)及び/又は
その水素化脱硫処理油を含むものを用いることが好まし
い。なお、脱れき油の水素化脱硫処理は、間接脱硫装置
及び直接脱硫装置のいずれを用いてもよい。また、原料
油として、前記の脱硫重質油(DSRC)を含むものを
用いる場合には、その原油種及び脱硫率によって適当な
添加量は異なり、例えばアラビアンライトを原料油とし
た脱硫重質油の場合は、常圧蒸留残渣油に由来する脱硫
重質油中の硫黄含有量が0.24質量%程度であれば、
前記脱れき油を水素化脱硫処理した処理油75〜100
容量%に対して、0〜25容量%の範囲が好ましく、そ
の硫黄含有量が0.1質量%程度であれば、脱れき油を
水素化脱硫処理した処理油0〜100容量%に対して、
常圧蒸留残渣油に由来する脱硫重質油を0〜100容量
%の範囲で混合することができる。また、アラビアンヘ
ビーを原料油とした脱硫重質油の場合は、前記脱れき油
を水素化脱硫処理した処理油90〜100容量%に対し
て、常圧蒸留残渣油に由来する脱硫重質油0〜10容量
%程度混合することが好ましい。
【0014】本発明の製造方法Iにおいては、前記した
ような性状を有する原料油をFCC装置に供給し、接触
分解処理することにより、硫黄分含有量が50質量pp
m以下、好ましくは15質量ppm以下のガソリン基材
を効率よく、低コストで得ることができる。
【0015】次に、製造方法IIについて説明する。本発
明の製造方法IIは、直接脱硫プロセス及びFCCプロセ
スを順次施して、硫黄分含有量50質量ppm以下、好
ましくは15質量ppm以下のガソリン基材を製造する
方法である。この場合、直接脱硫装置に供給する原料油
は、前記の図1で示されるように、常圧蒸留による重質
軽油(HGO)、常圧蒸留残渣油(RC)、重質減圧軽
油(HVGO)、減圧蒸留残渣油(VR)及び脱れき油
(DAO)などである。製造方法II−1においては、前
記の直接脱硫装置に供給する原料油として、アスファル
テン含有量が3質量%以下、好ましくは1.5質量%以
下のものが用いられる。このアスファルテン含有量が3
質量%を超えると直接脱硫触媒の劣化が、コークの析出
により著しくなり、直接脱硫装置の長期間の運転が不可
能となる。
【0016】また、製造方法II−2においては、直接脱
硫装置に供給される原料油に含まれるアスファルテン中
の硫黄分含有量は原料油全量に基づき0.2質量%以
下、好ましくは0.1質量%以下である。この硫黄分含
有量が0.2質量%を超えると直接脱硫触媒のコーク析
出に起因する劣化が著しくなり、直接脱硫装置(RH)
の長期間の運転が不可能になる場合がある。また、コー
ク析出を抑制して長期間の運転を実施しようとすると脱
硫率が不十分となり、次いで実施されるFCCプロセス
において、硫黄分含有量が50質量ppm以下のガソリ
ン基材を得ることが困難となる。本発明の製造方法IIに
おいては、直接脱硫装置に供給する原料油として、減圧
蒸留残渣油を脱れき処理して得られた脱れき油(DA
O)を含むものを用いることが好ましい。
【0017】上記脱れき油と混合することのできる他の
留分としては、脱れき油を製造する原油種に応じて、種
々のものを適宜混合することができる。例えば、原油種
としてアラビアンライトを使用した場合には、脱れき油
30〜100容量%にアラビアンライト原油の常圧蒸留
残渣油0〜70容量%を混合する態様、さらには上記混
合油0〜100容量%に対して、減圧軽油留分0〜10
0容量%を混合する態様が好ましい。本発明の製造方法
IIでは、原料油が上記脱れき油及び/又は他の留分との
混合等によって、低アスファルテン、低硫黄、低メタル
の原料油となり、直接脱硫装置の原料油として好適なも
のとなるため、本発明の目的を達成することができるの
である。
【0018】本発明の製造方法IIにおいては、前記した
ような性状を有する原料油を直接脱硫装置に供給して水
素化脱硫処理を行い、さらにFCC装置で接触分解処理
することにより、硫黄分含有量が50質量ppm以下、
好ましくは15質量ppm以下のガソリン基材を効率よ
く、低コストで得ることができる。また、直接脱硫装置
において、触媒の劣化を抑制することができ、該装置の
長期間の運転が可能となる。また、本発明の製造方法
I、IIによれば、得られるガソリン基材のオクタン価は
一般にリサーチ法オクタン価で92以上であり、該基材
を使用することによって高オクタン価でかつ低硫黄なガ
ソリンを製造することができる。特に好適な実施様態に
おいては、ガソリン中の硫黄含有量を10質量ppm以
下とすることができる。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、原料油、直接脱硫処理により
得られた脱硫重質油及びFCCガソリン中の各成分の含
有量は以下に示す方法に従って測定した。 (1)原料油、脱硫重質油 硫黄分:JIS K2541に準拠して測定した。 VR留分中の硫黄分:JIS K2541に準拠して
測定した。 窒素分:JIS K2609に準拠して測定した。 メタル分:石油学会法JPI−5S−62に準拠して
測定した。 残留炭素分:JIS K2270に準拠して測定し
た。 アスファルテン分:石油学会法JPI−5S−22に
準拠して測定した。 アスファルテン中の硫黄分:JIS K2541に準
拠して測定した。 (2)FCCガソリン 硫黄分:JIS K2541に準拠して測定した。
【0020】実施例1〜4及び比較例1〜4 第1表に示す性状を有する各種の原料油を、V含有量2
800質量ppm、Ni含有量1400質量ppm及び
比表面積95m/gのFCC触媒を充填したFCC装
置に供給し、反応温度525℃、反応圧力0.14MP
a・G、原料供給温度180℃、再生塔温度730℃、
触媒/オイル質量比7.0、転化率63質量%の条件で
接触分解処理を行った。結果を第1表に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】〔注〕 DSRC:脱硫重質油 VHHGO:間接脱硫重質軽油 DSDAO:脱硫脱れき油 QTL:カタールランド原油 AH:アラビアンヘビー原油 AL:アラビアンライト原油 LCO:接触分解軽質軽油 CLO:接触分解残渣油 第1表から分かるように、実施例1〜4はいずれもFC
Cガソリン中の硫黄分は15質量ppm以下である。
【0024】実施例5〜11及び比較例5〜8 第2表に示す性状を有する各種の原料油を、水素分圧1
2.7MPa、液空間速度0.22hr-1、水素/原料
油モル比770の条件で、触媒として市販のNi−Mo
系触媒と同等の性能をもつ自社開発触媒を使用して水素
化脱硫処理を行い、第2表に示す性状の脱硫重質油(D
SRC)を得た。また、その運転期間を第2表に示す。
次に、上記で得られた各脱硫重質油(DSRC)をV含
有量2800質量ppm、Ni含有量1400質量pp
m及び比表面積95m/gのFCC触媒を充填したF
CC装置に供給し、反応温度525℃、反応圧力0.1
4MPa・G、原料供給温度180℃、再生塔温度73
0℃、触媒/オイル質量比7.0、転化率63質量%の
条件で接触分解処理を行った。第2表に、得られたFC
Cガソリン中の硫黄分含有量を示すと共に、一部のFC
Cガソリンについてはリサーチ法オクタン価RON(J
IS K2280に準拠して測定)を示す。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】〔注〕 DAO:脱れき油 RC:常圧残渣油 HVGO:重質減圧軽油 AXL:アラビアンエキストラライト原油
【0029】第2表から分かるように、実施例において
は、FCC分解ガソリン中の硫黄分含有量は15質量p
pm以下で、かつ直接脱硫装置の運転期間は410日以
上である。一方、比較例5は、アスファルテン含有量と
アスファルテン中の硫黄分含有量が規定値より多いため
に、硫黄分15質量ppmのFCCガソリンが得られる
直接脱硫装置の運転期間は30日と短い。比較例6は、
アスファルテン含有量とアスファルテン中の硫黄分含有
量が規定値より多いため、直接脱硫装置を330日間運
転させた場合、FCCガソリン中の硫黄分含有量は60
質量ppmと高い。比較例7は、アスファルテン含有量
とアスファルテン中の硫黄分含有量が規定値より多いた
めに、硫黄分20質量ppmのFCCガソリンが得られ
る直接脱硫装置の運転期間は26日と短い。比較例8
は、アスファルテン含有量とアスファルテン中の硫黄分
含有量が規定値より多いため、直接脱硫装置を330日
間運転させた場合、FCCガソリン中の硫黄分含有量は
120質量ppmと高い。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法によれば、付加価値の低い
重質留分を利用し、FCCプロセス、あるいは直接脱硫
プロセスとFCCプロセスとの組合わせにより、ガソリ
ン基材を製造するに際し、硫黄分含有量を効率よく低減
させ、かつ高オクタン価を維持したガソリン基材を、低
コストで工業的に有利に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低硫黄ガソリン基材の製造方法を実施
するための一例の工程概略図である。
【符号の説明】
1.常圧蒸留装置 2.減圧蒸留装置 3.脱れき装置 4.間接脱硫装置 5.直接脱硫装置 6.流動接触分解装置

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動接触分解プロセスにより、硫黄分含
    有量50質量ppm以下のガソリン基材を製造する方法
    であって、流動接触分解装置に供給する原料油として、
    硫黄分含有量が0.2質量%以下であるものを用いるこ
    とを特徴とする低硫黄ガソリン基材の製造方法。
  2. 【請求項2】 流動接触分解プロセスにより、硫黄分含
    有量50質量ppm以下のガソリン基材を製造する方法
    であって、流動接触分解装置に供給する原料油として、
    それに含まれる減圧蒸留残渣油に相当する留分中の硫黄
    分含有量が、原料油全量に基づき、0.15質量%以下
    であるものを用いることを特徴とする低硫黄ガソリン基
    材の製造方法。
  3. 【請求項3】 ガソリン基材中の硫黄分含有量が15質
    量ppm以下である請求項1又は2に記載の低硫黄ガソ
    リン基材の製造方法。
  4. 【請求項4】 流動接触分解装置に供給する原料油が、
    常圧蒸留残渣油を脱硫して得られた直接脱硫油、常圧蒸
    留残渣油を減圧蒸留して得られる減圧留出油を脱硫して
    得られた間接脱硫油、減圧蒸留残渣油を脱れき処理して
    得られた脱れき油及び該脱れき油を水素化脱硫処理した
    脱れき脱硫油から選ばれる少なくとも1種を含むもので
    ある請求項1、2又は3に記載の低硫黄ガソリン基材の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 直接脱硫プロセス及び流動接触分解プロ
    セスを順次施して、硫黄分含有量50質量ppm以下の
    ガソリン基材を製造する方法であって、直接脱硫装置に
    供給する原料油として、アスファルテン含有量が3質量
    %以下であるものを用いることを特徴とする低硫黄ガソ
    リン基材の製造方法。
  6. 【請求項6】 直接脱硫プロセス及び流動接触分解プロ
    セスを順次施して、硫黄分含有量50質量ppm以下の
    ガソリン基材を製造する方法であって、直接脱硫装置に
    供給する原料油として、それに含まれるアスファルテン
    中の硫黄分含有量が原料油全量に基づき、0.2質量%
    以下であるものを用いることを特徴とする低硫黄ガソリ
    ン基材の製造方法。
  7. 【請求項7】 直接脱硫装置に供給する原料油が、減圧
    蒸留残渣油を脱れき処理して得られた脱れき油を含むも
    のである請求項5又は6に記載の低硫黄ガソリン基材の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 ガソリン基材中の硫黄分含有量が15質
    量ppm以下である請求項5、6又は7に記載の低硫黄
    ガソリン基材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ガソリン基材のリサーチ法オクタン
    価(RON)が92以上である請求項1〜8のいずれか
    に記載の低硫黄ガソリン基材の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の方法
    によって製造された低硫黄ガソリン基材を含むことを特
    徴とするガソリン。
  11. 【請求項11】 硫黄分含有量が10質量ppm以下で
    ある請求項10記載のガソリン。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005068415A (ja) * 2003-08-05 2005-03-17 Japan Energy Corp 接触分解ガソリン基材の製造方法およびそれを用いた無鉛ガソリン組成物
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WO2019106921A1 (ja) * 2017-11-29 2019-06-06 Jxtgエネルギー株式会社 炭化水素油の製造方法

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