JP2002146365A - 脱硫軽油の製造方法および脱硫軽油 - Google Patents

脱硫軽油の製造方法および脱硫軽油

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JP2002146365A
JP2002146365A JP2000345666A JP2000345666A JP2002146365A JP 2002146365 A JP2002146365 A JP 2002146365A JP 2000345666 A JP2000345666 A JP 2000345666A JP 2000345666 A JP2000345666 A JP 2000345666A JP 2002146365 A JP2002146365 A JP 2002146365A
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Shizuka Kato
藤 静 香 加
Koji Yamagami
上 浩 司 山
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Kashima Oil Co Ltd
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Kashima Oil Co Ltd
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Liquid Carbonaceous Fuels (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 大幅な設備の変更を行うことなく、充分に硫
黄含有量が低減され、自動車用燃料油等の用途に好適に
使用できる高品質の脱硫軽油を、容易かつ経済的に増産
して製造しうる、脱硫軽油の製造方法を提供する。 【解決手段】 原油を常圧蒸留して得られる直留軽油留
分99〜40容量%と、直脱軽質軽油留分1〜60容量
%とを含有する原料油を、水素化脱硫し、硫黄含有量が
50質量ppm以下である軽油を得ることを特徴とする
脱硫軽油の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、脱硫軽油の製造方法およ
び脱硫軽油に関する。詳しくは、本発明は、原油を常圧
蒸留して得られる直留軽油留分と、直脱軽質軽油留分お
よび/または間脱軽質軽油留分とを含有する原料油を脱
硫することにより、硫黄含有量が少ない脱硫軽油を製造
する、脱硫軽油の製造方法および該方法により得られる
脱硫軽油に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】軽油は、ディーゼル機関などの燃
料油として広く用いられており、通常、原油を常圧蒸留
して得られる軽油留分である直留軽油留分を水素化脱硫
し、直留軽油留分中に含まれる硫黄分を除去することに
より製造されている。近年、ディーゼル車から排出され
る排気ガス浄化対策の一環として、軽油の硫黄含有量規
格を現行の500質量ppm以下から50質量ppm以
下までさらに低減、強化することが計画されている。
【0003】直留軽油留分の硫黄含有量を低減する方法
としては、軽油水素化脱硫装置の反応温度の上昇、液空
間速度(LHSV)の低下、水素分圧の上昇、触媒の改
良などが種々検討されている。反応温度については、反
応温度を上げれば生成油中の硫黄含有量が低減するが、
反応温度を上げれば触媒の寿命短縮や生成油の着色の問
題が発生することが報告されている。また、LHSVに
関しては、LHSVを下げれば生成油中の硫黄含有量が
低減するが、反応塔を増設して触媒量を増量するか、あ
るいは通油量を少なくする必要がある。水素分圧につい
ては、水素分圧が高いほど水素化脱硫反応に有利であ
り、また触媒寿命の点からも有効であるが、耐圧性能、
コンプレッサーなど装置全体に及ぶ設備改造が必要にな
る場合がある。触媒については、担体調製技術、活性金
属の種類、担持量などを改良して、触媒活性を向上する
試みが種々報告されている。
【0004】このように、現在、硫黄含有量が50質量
ppm以下の脱硫軽油の製造方法が種々検討され、水素
化脱硫プロセスと触媒の改良が行われている。一方、近
年、自動車燃料油の需要が相対的に増大する傾向にあ
り、原油からより多くの軽油を製造することが求められ
ている。そして、軽油の生産面のアンバランスを解消す
ることを目的として、従来から直留軽油留分を補う種々
の原料油が提案されており、直留軽油留分以外の軽油留
分を用いて、硫黄含有量が50質量ppm以下の脱硫軽
油を製造することについての研究も開始されている。
【0005】たとえば、特開平11−189776号公
報には、脱硫原料油として接触分解装置の分解軽油また
は分解軽油とほかの炭化水素油とのブレンド油を用いる
ことが開示されている。しかしながら、分解軽油または
分解軽油ブレンド油は、多量の芳香族分を含むため、セ
タン指数の低下や排ガス中のパティキュレートの増加を
招くという問題があるため、白金、パラジウムおよびハ
ロゲンを含有させた特殊な水素化処理触媒を用いて、芳
香族分を低下させる必要がある。周知の如く芳香族分を
低下させる水素化処理触媒は耐硫黄性が乏しいので、分
解軽油を大量に配合するときには、水素化脱硫工程の後
段に、水素化処理工程を設ける必要があり、既存の設備
による処理はできず、大幅な設備改造が必要となるとい
う問題がある。
【0006】また特開2000−204380号公報に
は、原油を通常よりも低温で常圧蒸留し、常圧蒸留装置
から得られる軽油留分を含む重質油を減圧蒸留して得ら
れる減圧軽油と、他の軽油留分とを混合して減圧軽油脱
硫装置で脱硫し、さらに蒸留して得られる軽質脱硫軽油
留分を、直留軽油留分とともに再度脱硫する方法が開示
されている。しかしながら、この方法によれば、常圧蒸
留温度を低くすることにより、減圧蒸留の処理油量が多
くなって、減圧蒸留装置や減圧軽油脱硫装置の装置能力
を圧迫するため、設備改造が必要となるなどの弊害があ
り、工業的に実施するためには多くの問題がある。
【0007】このため、原油からより多くの軽油を製造
しうる、工業的に容易に実施可能な脱硫軽油の製造方法
の確立が強く求められていた。本発明者は、このような
状況に鑑みて鋭意研究したところ、軽油留分の水素化脱
硫プロセスや触媒が同様であるとき、脱硫反応速度が大
きく脱硫反応性に優れた原料軽油留分を用いた場合に、
硫黄含有量の低い軽油が得られること、原料油相互の相
対的な脱硫反応性の順位は、水素化脱硫プロセスや触媒
を変更しても変わらないこと、ならびに、通常軽油原料
として用いられる直留軽油留分と同等の脱硫反応性を有
するものは、好適な脱硫軽油原料油となることを見出し
た。なお、脱硫反応性は、LHSV、脱硫率およびアレ
ニウスプロット法における活性化エネルギーと頻度因子
から算出される脱硫反応速度定数(脱硫反応速度)で比
較評価することができる。
【0008】そして本発明者は、直留軽油留分と、直脱
軽質軽油留分および/または間脱軽質軽油留分とを特定
量で含有する原料油を水素化脱硫した場合には、直留軽
油留分を水素化脱硫する場合と比肩する脱硫反応性を示
し、好適な脱硫軽油を製造しうることを見出し本発明を
完成するに至った。
【0009】
【発明の目的】本発明は、原油からより多くの脱硫軽油
を製造でき、直留軽油留分を水素化脱硫する従来の設備
を用いて大幅な設備変更をすることなく工業的に容易に
実施可能であり、直留軽油留分のみを水素化脱硫して得
られる脱硫軽油に比肩する、硫黄含有量が少なく、セタ
ン指数などにも優れた高品質の脱硫軽油を得ることがで
きる、脱硫軽油の製造方法および高品質の脱硫軽油を提
供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】本発明の脱硫軽油の製造方法は、原油を
常圧蒸留して得られる直留軽油留分99〜40容量%
と、直脱軽質軽油留分1〜60容量%とを含有する原料
油を、水素化脱硫し、硫黄含有量が50質量ppm以下
である軽油を得ることを特徴としている。
【0011】また、本発明の脱硫軽油の製造方法は、原
油を常圧蒸留して得られる直留軽油留分99〜30容量
%と、間脱軽質軽油留分1〜70容量%とを含有する原
料油を、水素化脱硫し、硫黄含有量が50質量ppm以
下である軽油を得ることを特徴としている。
【0012】さらに、本発明の脱硫軽油の製造方法は、
原油を常圧蒸留して得られる直留軽油留分99〜40容
量%と、直脱軽質軽油留分および間脱軽質軽油留分の合
計1〜60容量%とを含有する原料油を、水素化脱硫
し、硫黄含有量が50質量ppm以下である軽油を得る
ことを特徴としている。
【0013】このような本発明の脱硫軽油の製造方法に
おいて、直脱軽質軽油留分の90容量%留出温度は、3
20〜360℃の範囲であることも好ましい。本発明の
脱硫軽油は、上記本発明の脱硫軽油の製造方法により製
造され、硫黄含有量が50質量ppm以下であることを
特徴としている。また、本発明の脱硫軽油は、原油を常
圧蒸留して得られる直留軽油留分と、直脱軽質軽油留分
および/または間脱軽質軽油留分とを含有する原料油を
水素化脱硫して得られる脱硫軽油であって、硫黄含有量
が50質量ppm以下でありセタン指数が50以上であ
り、ASTM色が1.0以下であり、芳香族分が35容
量%以下であり、かつ3環以上の芳香族分が1.0容量
%以下であることを特徴としている。
【0014】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明の脱硫軽油の製造方法で用いる原料油
は、原油を常圧蒸留して得られる直留軽油留分(以下、
直留軽油留分ともいう)と、直脱軽質軽油留分および/
または間脱軽質軽油留分とを含有する。
【0015】本発明で用いる直留軽油留分は、原油を常
圧蒸留して得られる留出分中の軽油留分である。原油の
常圧蒸留は、通常、加熱炉と精留塔とからなる常圧蒸留
装置を用い、原油からLPG、ナフサ、灯油、軽油、常
圧蒸留残渣油などの各留分に分離することにより行う。
本発明では、たとえば、密度(15℃)が0.81〜
0.87g/cm3、蒸留性状(常圧法、初留点〜終
点)が170〜400℃、好ましくは170〜380
℃、さらに好ましくは170〜360℃、硫黄含有量が
0.8〜1.5質量%、動粘度(30℃)が3.5〜
6.5mm2/s程度の性状の直留軽油留分を用いるこ
とができる。
【0016】本発明で用いることのできる直脱軽質軽油
留分は、原油を常圧蒸留した残渣分である常圧蒸留残渣
油あるいは常圧蒸留残渣油を減圧蒸留した残渣分である
減圧蒸留残渣油を、重油直接脱硫装置で水素化脱硫して
得られた処理油の軽質軽油留分である。本発明で用いる
直脱軽質軽油留分としては、このうち、常圧蒸留残渣油
を重油直接脱硫装置で水素化脱硫して得られた処理油の
軽質軽油留分であるのが好ましい。
【0017】ここで、重油直接脱硫装置とは、原油の常
圧蒸留装置から得られる常圧蒸留残渣油あるいは常圧蒸
留残渣油を減圧蒸留して得られる減圧蒸留残渣油を水素
化脱硫して、低硫黄重油を製造する装置であり、重油直
接脱硫の方法としては、具体的には、たとえば石油精製
技術便覧(産業図書)に記載されているRCDユニボン
(UOP)、RDSハイドロトリーティング(CRC)
などのプロセスが挙げられる。
【0018】本発明では、たとえば、密度(15℃)が
0.81〜0.88g/cm3、蒸留性状(常圧法、初
留点〜終点)が170〜400℃、好ましくは170〜
380℃、硫黄含有量が0.03〜0.2質量%、動粘
度(30℃)が3.6〜8.2mm2/s程度である直
脱軽質軽油留分を用いることができる。また、本発明で
用いる直脱軽質軽油留分は、90容量%留出温度が、比
較的低い方が良く、通常320〜360℃、好ましくは
325〜355℃、さらに好ましくは330〜350℃
程度であるのが望ましい。90容量%留出温度が360
℃より低い場合には、後段の水素化脱硫における脱硫反
応速度が大きくなり、脱硫反応性に優れるため好まし
い。一方直脱軽質軽油留分の90容量%留出温度が、3
20℃を下回る場合は、脱硫反応性は向上するものの充
分な量の直脱軽質軽油留分が得られにくいため、320
℃以上であるのが好ましい。
【0019】本発明で用いることのできる間脱軽質軽油
留分は、原油を常圧蒸留した残渣分である常圧蒸留残渣
油を減圧蒸留し、減圧蒸留の留出分である減圧軽油を水
素化脱硫した処理油の軽質軽油留分である。このような
間脱軽質軽油留分は、重油間接脱硫装置から得ることが
できる。ここで、重油間接脱硫装置とは、常圧蒸留残渣
油を減圧蒸留する減圧蒸留装置から得られる留出分であ
る減圧軽油を水素化脱硫し、必要に応じて減圧残油と混
合して低硫黄化する装置であり、重油間接脱硫の方法と
しては、具体的には、たとえば石油精製技術便覧(産業
図書)に記載されている、UOPハイドロトリーティン
グ(UOP)、VGOハイドロトリーティング(CR
C)などのプロセスが挙げられる。
【0020】本発明では、たとえば、密度(15℃)が
0.81〜0.88g/cm3、蒸留性状(常圧法、初
留点〜終点)が160〜400℃、好ましくは160〜
380℃、硫黄含有量が0.02〜0.2質量%、動粘
度(30℃)が2.8〜5.4mm2/s程度である間
脱軽質軽油留分を用いることができる。また、本発明で
用いる間脱軽質軽油留分は、90容量%留出温度が、比
較的低い方が良く、通常300〜345℃、好ましくは
305〜340℃、さらに好ましくは310〜335℃
程度であるのが望ましい。間脱軽質軽油留分の90容量
%留出温度が345℃以下であると、後段の水素化脱硫
において充分な脱硫反応性を示すため好ましく、また、
90容量%留出温度が300℃以上であると、充分な量
の間脱軽質軽油留分が得られるため好ましい。
【0021】本発明の脱硫軽油の製造方法では、上述し
た直留軽油留分と、直脱軽質軽油留分および/または間
脱軽質軽油留分とを配合して原料油を調製する。本発明
で用いる原料油が、直留軽油留分と、直脱軽質軽油留分
とを含有する場合には、原料油全量を100容量%とし
た場合に、原料油は、通常、直留軽油留分99〜40容
量%と、直脱軽質軽油留分1〜60容量%とを含有し、
好ましくは、直留軽油留分97〜45容量%と、直脱軽
質軽油留分3〜55容量%とを含有し、より好ましく
は、直留軽油留分95〜50容量%と、直脱軽質軽油留
分5〜50容量%とを含有する。
【0022】直脱軽質軽油留分は、直留軽油留分と比較
して、やや色相安定性およびセタン指数が低く、原料油
全量中における含有量が60容量%を超えると、得られ
る脱硫軽油の硫黄含有量が50質量ppm以下であって
も、色相安定性やセタン指数が充分でない場合があるた
め、60容量%以下であるのが好ましい。また、原料油
全量中における直脱軽質軽油留分の含有量が1容量%を
下回る場合には、増産効果が充分でないため、1容量%
以上であるのが望ましい。
【0023】また、本発明で用いる原料油が、直留軽油
留分と、間脱軽質軽油留分とを含有する場合には、原料
油全量を100容量%とした場合に、原料油は、通常、
直留軽油留分99〜30容量%と、間脱軽質軽油留分1
〜70容量%とを含有し、好ましくは、直留軽油留分8
0〜35容量%と、間脱軽質軽油留分20〜65容量%
とを含有し、より好ましくは、直留軽油留分65〜40
容量%と、間脱軽質軽油留分35〜60容量%とを含有
する。
【0024】間脱軽質軽油留分は、セタン指数が比較的
低いものの、直脱軽質軽油留分に比較して色相が良好で
あるため、直脱軽質軽油留分よりも多い配合量とするこ
とができるが、原料油全量中における含有量が70容量
%を超えると、得られる脱硫軽油の硫黄含有量が50質
量ppm以下であっても、セタン指数が充分でない場合
があるため、70容量%以下であるのが好ましい。ま
た、間脱軽質軽油留分の含有量が1容量%を下回る場合
には、増産効果が充分でないため、1容量%以上である
のが望ましい。
【0025】またさらに、本発明で用いる原料油が、直
留軽油留分と、直脱軽質軽油留分と、間脱軽質軽油留分
とを含有する場合には、原料油全量を100容量%とし
た場合に、原料油は、通常、直留軽油留分99〜40容
量%と、直脱軽質軽油留分および間脱軽質軽油留分の合
計1〜60容量%とを含有し、好ましくは、直留軽油留
分97〜45容量%と、直脱軽質軽油留分および間脱軽
質軽油留分の合計3〜55容量%とを含有し、より好ま
しくは、直留軽油留分95〜50容量%と、直脱軽質軽
油留分および間脱軽質軽油留分の合計5〜50容量%と
を含有する。
【0026】原料油が直脱軽質軽油留分と間脱軽質軽油
留分との両方を含有する場合、両者は任意の比率とする
ことができる。本発明で用いられるこれらの原料油は、
直留軽油留分と、直脱軽質軽油留分および/または間脱
軽質軽油留分とを、原料油全量中の含有量が前述した量
となる割合で配合することにより調製することができ
る。これらの原料油を調製する際、直留軽油留分と、直
脱軽質軽油留分および/または間脱軽質軽油留分との配
合は、どのような装置あるいは方法により行ってもよ
く、特に限定されるものではない。
【0027】これらの原料油は、直留軽油留分と、直脱
軽質軽油留分および/または間脱軽質軽油留分のみを配
合してなるのが特に好ましいが、所望により、本発明の
目的をそこなわない範囲で、その他の灯軽油留分を含有
していてもよい。本発明において、原料油に含有するこ
とのできるその他の留分としては、直留灯油、直留重質
軽油、分解軽油、脱ろう軽油、熱分解軽油などが挙げら
れる。ただし、分解軽油を使用する場合には、芳香族分
などの影響を回避するために、含有量は、原料油全量を
100容量%とした場合に20容量%以下、好ましくは
10容量%以下とするのが望ましい。
【0028】このような本発明で用いる原料油は、いず
れも直留軽油を単独で水素化脱硫する場合に比肩する優
れた脱硫反応性を示すため、高度に脱硫した軽油を好適
に製造することができる。本発明の脱硫軽油の製造方法
では、上述のような原料油を、水素化脱硫する。前述の
ように、水素化脱硫のプロセス、装置、触媒、条件等を
変更した場合であっても、原料油の相対的な脱硫反応性
は変化しないため、本発明では、これらを限定するもの
ではなく、脱硫処理後の軽油留分中の硫黄含有量が50
質量ppm以下となる水素化脱硫条件を適宜採用して行
うことができる。
【0029】原料油の水素化脱硫は、具体的には、通常
直留軽油留分のみを水素化脱硫する場合と同様の、水素
化脱硫装置および条件により行うことができ、たとえ
ば、固定床を採用し原料油が該固定床を下方に通過する
ようにして、おおむね、反応温度300〜400℃、L
HSV1.0〜7.0hr-1、水素分圧4〜10MP
a、水素/オイル比100〜500Nm3/m3程度の条
件で行うことができる。水素化脱硫は、単独の反応器で
行ってもよく、また、連続した2以上の反応器を使用し
て行ってもよい。水素化脱硫触媒としては、通常、周期
律表第VI金属と周期律表第VIII族金属を活性金属とし
て、アルミナ、シリカアルミナ、アルミナボリアなどの
無機酸化物担体上に担持したものを用いることができ、
これに白金族触媒を組み合わせて使用することもでき
る。
【0030】本発明では、このような脱硫軽油の製造方
法により、硫黄含有量が50質量ppm以下、好ましく
は40質量ppm以下の脱硫軽油を得ることができる。
本発明の脱硫軽油の製造方法により得られる軽油は、硫
黄含有量が50質量ppm以下であることの他は、特に
制約されるものではないが、本発明によれば、通常、セ
タン指数が50以上、好ましくは52以上、ASTM色
が1.0以下、好ましくは0.5以下、芳香族分が35
容量%以下、3環以上の芳香族分が1.0容量%以下で
ある、諸性状に優れた高品質の脱硫軽油を得ることがで
きる。
【0031】また、このような本発明の脱硫軽油の製造
方法によれば、直留軽油留分のみを水素化脱硫して脱硫
軽油を生産する場合と比較し、大幅な設備変更を行うこ
となく経済的に多くの脱硫軽油を製造することができ
る。本発明の脱硫軽油は、上述した本発明の脱硫軽油の
製造方法により、好適に製造することができ、硫黄含有
量が50質量ppm以下、好ましくは40質量ppm以
下である。
【0032】また、本発明の脱硫軽油は、原油を常圧蒸
留して得られる直留軽油留分と、直脱軽質軽油留分およ
び/または間脱軽質軽油留分とを含有する原料油を水素
化脱硫して得られる脱硫軽油であって、硫黄含有量が5
0質量ppm以下、好ましくは40質量ppm以下であ
り、セタン指数が50以上、好ましくは52以上であ
り、ASTM色が1.0以下、好ましくは0.5以下で
あり、芳香族分が35容量%以下であり、かつ3環以上
の芳香族分が1.0容量%以下である。
【0033】このような本発明の脱硫軽油は、上述の性
状を満たすものであれば、原油を常圧蒸留して得られる
直留軽油留分と、直脱軽質軽油留分および/または間脱
軽質軽油留分とを含有する原料油の、直留軽油留分と、
直脱軽質軽油留分および/または間脱軽質軽油留分との
含有量を特に限定するものではないが、原料油が、直留
軽油留分と、直脱軽質軽油留分とを含有するものである
場合には、原料油全量を100容量%とした場合に、直
留軽油留分99〜40容量%と、直脱軽質軽油留分1〜
60容量%とを含有するのが望ましく、原料油が、直留
軽油留分と、間脱軽質軽油留分とを含有するものである
場合には、原料油全量を100容量%とした場合に、直
留軽油留分99〜30容量%と、間脱軽質軽油留分1〜
70容量%とを含有するのが望ましく、さらに、原料油
が、直留軽油留分と、直脱軽質軽油留分と、間脱軽質軽
油留分とを含有するものである場合には、原料油全量を
100容量%とした場合に、直留軽油留分99〜40容
量%と、直脱軽質軽油留分および間脱軽質軽油留分の合
計1〜60容量%とを含有するのが望ましい。
【0034】このような本発明の脱硫軽油は、硫黄含有
量が充分に低く、色相、セタン指数などの諸性状にも優
れており、自動車用燃料油として好適に用いることがで
きる。上述した本発明の脱硫軽油の製造方法により得ら
れる脱硫軽油、および本発明の脱硫軽油には、硫黄含有
量が50質量ppm以下である限りにおいて、脱硫灯
油、水素化分解灯油、水素化分解軽油、脱ろう脱硫軽油
などの鉱油留分を配合することもできる。さらに、必要
に応じて公知の軽油添加剤を配合することもでき、たと
えば、低温流動性向上剤、潤滑性向上剤、セタン価向上
剤、防錆剤、消泡剤、帯電防止剤、酸化防止剤、金属不
活性剤、氷結防止剤、腐食防止剤、標識物質、微生物殺
菌剤、助燃剤、着色剤などを配合することができる。添
加剤の配合量は、添加剤総量で脱硫軽油に対して0.5
質量%以下、好ましくは0.3質量%以下である。
【0035】また、本発明の脱硫軽油の製造方法により
得られる脱硫軽油、および本発明の脱硫軽油は、特に限
定されるものではないが、自動車用燃料油として、引火
点45℃以上、90容量%留出温度が360℃以下、動
粘度(30℃)が1.7mm 2/s以上であることが好
ましい。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、従来の直留軽油留分の
みを水素化脱硫して脱硫軽油を製造する場合と比較し
て、大幅な設備の変更を行うことなく、充分に硫黄含有
量が低減され、自動車用燃料油等の用途に好適に使用で
きる高品質の脱硫軽油を、容易かつ経済的に増産して製
造しうる、脱硫軽油の製造方法を提供することができ
る。
【0037】また、本発明によれば、直留軽油留分のみ
を原料とする場合よりも大幅に増産されて経済的に製造
され、充分に硫黄含有量が低く、諸性状に優れ高品質で
あり、自動車用燃料油等の用途に好適に使用することが
できる脱硫軽油を提供することができる。
【0038】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。なお、実施例および比較例において、各
性状はそれぞれ以下の方法により測定・評価した。
【0039】密度(15℃): JIS K 2249「原油及び
石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」
の振動式密度試験方法により測定した。 硫黄含有量:JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試
験方法」の微量電量滴定式酸化法により測定した。 動粘度(30℃):JIS K 2283「原油及び石油製品−動
粘度試験方法及び粘度指数算出方法」の動粘度試験方法
により測定した。
【0040】初留点、90容量%留出温度および終点:
JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」の常圧法蒸留
試験方法により測定した。 セタン指数:JIS K 2280「石油製品―燃料油―オクタン
価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」の
4変数方程式を用いたセタン指数の算出方法により求め
た。
【0041】芳香族分:JPI-5S-49-97「石油製品−炭化
水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」によ
り測定した。 ASTM色:JIS K 2580「石油製品−色試験方法」の参
考1「石油製品の色試験方法(刺激値換算法)」により
求めた。
【0042】
【参考例1】表2に示す性状であって、初留点221.
0℃、終点355.0℃である直留軽油留分を原料油と
し、固定床流通式高圧反応装置を用いて水素化脱硫を行
い、脱硫軽油を製造した。原料油の水素化脱硫には、触
媒として、γ−アルミナを担体とし、コバルト−モリブ
デンを活性金属として担持したものを使用した。また触
媒の前処理は、公知の方法によって、硫化水素/水素混
合ガス流通下において、圧力(水素分圧)3.5MP
a、ステップ昇温100℃/250℃/320℃にて実
施した。
【0043】また、原料油の水素化脱硫は、反応温度3
60℃、LHSV2.0hr-1、水素分圧5.5MP
a、水素/オイル比270Nm3/m3の条件で行った。
得られた脱硫軽油の性状を表2に示す。
【0044】
【実施例1〜4、比較例1】参考例1で用いた直留軽油
留分と、表1に示す性状の各原料油基油とを、表2に示
す割合で配合したものを原料油とし、参考例1と同様に
して水素化脱硫を行い、脱硫軽油を製造した。なお、実
施例1においては、水素化脱硫して得られた軽油に対
し、インフィニアムジャパン(株)製低温流動性向上剤
(パラフロー240)300質量ppmおよびインフィニ
アムジャパン(株)製潤滑性向上剤(パラダイン655)
100質量ppmをそれぞれ配合した。また、実施例3
においては、水素化脱硫して得られた軽油に対し、イン
フィニアムジャパン(株)製潤滑性向上剤(パラダイン
655)100質量ppmを配合した。
【0045】なお、実施例4で用いた直脱軽質軽油留分
(2)としては、実施例3で用いた直脱軽質軽油留分
(1)を蒸留して後留部を除去したものを使用した。原
料油および得られた脱硫軽油の性状を、それぞれ表2に
示す。以上の結果より、直留軽油留分と、直脱軽質軽油
留分および/または間脱軽質軽油留分を特定量含有する
原料油を用いた実施例1〜4では、いずれも得られた脱
硫軽油の性状が、直留軽油留分のみを原料油として用い
た参考例1と比較して遜色なく良好であることがわかっ
た。一方、直留軽油留分と、分解軽油とを含有する原料
油を用いた比較例1では、経済的な通常の脱硫条件によ
っては、得られた脱硫軽油の脱硫が不十分であり、セタ
ン指数が低く、芳香族分が多く、色相に劣る軽油しか得
られないことがわかった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原油を常圧蒸留して得られる直留軽油留分
    99〜40容量%と、 直脱軽質軽油留分1〜60容量%とを含有する原料油
    を、水素化脱硫し、硫黄含有量が50質量ppm以下で
    ある軽油を得ることを特徴とする脱硫軽油の製造方法。
  2. 【請求項2】原油を常圧蒸留して得られる直留軽油留分
    99〜30容量%と、 間脱軽質軽油留分1〜70容量%とを含有する原料油
    を、水素化脱硫し、硫黄含有量が50質量ppm以下で
    ある軽油を得ることを特徴とする脱硫軽油の製造方法。
  3. 【請求項3】原油を常圧蒸留して得られる直留軽油留分
    99〜40容量%と、 直脱軽質軽油留分および間脱軽質軽油留分の合計1〜6
    0容量%とを含有する原料油を、水素化脱硫し、硫黄含
    有量が50質量ppm以下である軽油を得ることを特徴
    とする脱硫軽油の製造方法。
  4. 【請求項4】直脱軽質軽油留分の90容量%留出温度が
    320〜360℃の範囲である、請求項1または3のい
    ずれかに記載の脱硫軽油の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の脱硫軽油
    の製造方法により製造され、硫黄含有量が50質量pp
    m以下であることを特徴とする脱硫軽油。
  6. 【請求項6】原油を常圧蒸留して得られる直留軽油留分
    と、 直脱軽質軽油留分および/または間脱軽質軽油留分とを
    含有する原料油を、水素化脱硫して得られる脱硫軽油で
    あって、 硫黄含有量が50質量ppm以下であり、 セタン指数が50以上であり、 ASTM色が1.0以下であり、 芳香族分が35容量%以下であり、かつ3環以上の芳香
    族分が1.0容量%以下であることを特徴とする脱硫軽
    油。
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