JP2000198990A - 軽油留分の水素化処理方法 - Google Patents

軽油留分の水素化処理方法

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JP2000198990A
JP2000198990A JP11000762A JP76299A JP2000198990A JP 2000198990 A JP2000198990 A JP 2000198990A JP 11000762 A JP11000762 A JP 11000762A JP 76299 A JP76299 A JP 76299A JP 2000198990 A JP2000198990 A JP 2000198990A
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oil fraction
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Mitsuru Yoshida
充 由田
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 低硫黄、低多環芳香族分の高品質の軽油を効
率よく製造する軽油留分の水素化処理方法の提供。 【解決手段】 水素化処理触媒の存在下で軽油留分にそ
れより高沸点の炭化水素油を希釈剤として混合し、水素
化処理するか、又は、該水素化処理生成物を気液分離
し、得られた気相流体をさらに水素化改質することによ
り、硫黄分50wtppm以下でかつ多環芳香族分1v
ol%以下の軽油を製造することができる。水素化処理
は水素化脱窒素、水素化分解、核水添、水素化脱硫から
選択され、水素化処理触媒としては非晶質無機酸化物担
体に周期律表第6、8、9および10族金属を担持した
触媒やゼオライト含有触媒から選択される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽油留分の水素化
処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】都市部で大気環境汚染が深刻化するな
か、我が国では1997年よりディーゼル軽油中の硫黄
含有量の規制値は2000 ppm以下から500ppm以下に引き下
げられた。一方、欧州では2005年から50ppm まで低減
することが決定し、その過程では、2環以上の多環芳香
族分を1重量%以下にする厳しい規制案も議論された。
我が国でも近い将来欧州なみの軽油品質が要求されるこ
とは確実であろう。石油業界では、これらの規制に質的
にも量的にも十分に対応できる技術を確立することが緊
急かつ重大な問題となっている。
【0003】その対応としては各種の方法があるが、水
素化処理触媒の開発がまず考えられる。このような観点
から軽油の低硫黄化を達成するための触媒についての詳
しい総説が報告されている(磯田他;ECO INDU
STRY,3(10),p18(1998))。これに
よれば、 (1)軽油の深度脱硫において、難脱硫性硫黄化合物
(4-メチルジベンゾチオフェンなど)の残存が障害とな
る。 (2)これを解決する方法として、4,6-ジメチルジベン
ゾチオフェンのメチル基を転位あるいは脱離するために
は、固体酸性を有するゼオライト触媒を組み合せる事が
有効である。 とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは従来の軽
油脱硫触媒、固体酸性を有するY型ゼオライト触媒及び
分解性を有するアルミナーボリア触媒を用いて、種々の
条件下で軽油留分の水素化処理を検討した結果、詳細は
後述するように、以下の知見を得た。 (1)軽油水素化反応条件(300〜350℃、30〜
50kg/cm2、LHSV1〜4毎時)では何れの触媒及び
組合せにおいても、硫黄分を50ppm 以下にすることは
困難である。 (2)マイルド水素化分解装置条件(360〜430
℃、70〜100kg/cm2、LHSV1〜3毎時)では、
分解性を有する触媒においては反応温度を高くすると硫
黄分を50ppm 以下にすることができるが、2環以上の
多環芳香族分を1wt% 以下にすることが出来ないばかり
か、軽油留分が分解して収率が低下する。 (3)水素化分解装置条件(360〜430℃、100
〜200kg/cm2、LHSV0.1 〜1毎時)では、どの触
媒でも、反応温度を高温にすると硫黄分を50ppm 以下
にすることができるものの、高温下で生成する軽油留分
は、多環芳香族が多く、また分解による軽油収率の低下
が顕著である。
【0005】この様に、欧州なみの軽油の品質規制に対
し、既存の精製方法では硫黄分、多環芳香族分の規制を
満たし、かつセタン指数、色相等の従来からの品質を満
足させることは極めて困難である。以上の状況下におい
て、本発明は、軽油留分中の難脱硫性硫黄化合物(4-メ
チルジベンゾチオフェンなど)までも脱硫し、非常に低
硫黄で多環芳香族が少ない軽油を効率よく製造する方法
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、鋭意研究の結果、水素化処理触媒の存
在下で軽油留分を水素化処理するにあたり、軽油留分を
該軽油留分より高沸点の炭化水素油により希釈して行う
ことにより上記課題を解決できることを見い出し、この
知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の要旨は下記のとおりで
ある。 (1) 水素化処理触媒の存在下で軽油留分を水素化処
理するにあたり、軽油留分を該軽油留分より高沸点の炭
化水素油(以下、希釈剤という)により希釈して行う軽
油留分の水素化処理方法。 (2) 軽油留分の沸点範囲が実質的に170〜380
℃の範囲にあり、希釈剤の沸点範囲が370℃以下の留
分が50%以下である(1)記載の軽油留分の水素化処
理方法。
【0008】(3) 希釈剤のアスファルテン分が1w
t%未満であり、水素化処理が水素化脱窒素、水素化分
解、核水添および水素化脱硫から選ばれる少なくとも1
種の処理工程を含む(1)または(2)記載の軽油留分
の水素化処理方法。 (4) 希釈剤のアスファルテン分が1wt%以上であ
り、水素化処理が水素化脱金属、水素化分解、核水添お
よび水素化脱硫から選ばれる少なくとも1種の処理工程
を含む(1)または(2)記載の軽油留分の水素化処理
方法。
【0009】(5) 反応温度360〜430℃の範
囲、反応圧力70〜200kg/cm2の範囲の反応条件で水
素化処理する(1)〜(5)のいずれかに記載の軽油留
分の水素化処理方法。 (6) (1)〜(5)のいずれかに記載の方法により
軽油留分を水素化処理し、次いで該水素化処理生成物を
気液分離し、得られた気相流体をさらに水素化改質する
軽油留分の水素化処理方法。
【0010】(7) 気液分離および気相流体の水素化
改質を、水素化処理の反応温度より0〜100℃低い温
度範囲で、かつ水素化処理の反応圧力より0〜50kg/c
m2低い圧力範囲で実施する(6)記載の軽油留分の水素
化処理方法。 (8) 水素化処理触媒として非晶質無機酸化物担体に
周期律表第6、8、9および10族金属から選ばれる少
なくとも1種を担持した触媒を用いる(1)〜(7)の
いずれかに記載の軽油留分の水素化処理方法。
【0011】(9) 水素化処理触媒としてゼオライト
含有触媒を用いる(1)〜(8)のいずれかに記載の軽
油留分の水素化処理方法。 (10) (1)〜(9)のいずれかに記載の軽油留分
の水素化処理方法により得られた硫黄分50wtppm
以下でかつ多環芳香族分1vol%以下の軽油。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、水素化処理触媒の存在
下で軽油留分を水素化処理するにあたり、軽油留分を該
軽油留分より高沸点の炭化水素油(希釈剤という)によ
り希釈して行うことを特徴としている。言い換えれば、
通常の軽油留分の水素化処理では製造することが容易で
なかった高品質の軽油を収率よく得ることができる軽油
留分の水素化処理方法である。
【0013】まず、図1に従って本発明の概略を説明す
る。原料軽油留分11を希釈剤12と混合し水素化処理
反応工程1に導入する。水素化処理反応工程1で水素化
処理された生成物14は蒸留塔2で蒸留し、ガス、ナフ
サ留分15と水素化処理軽油16および改質された希釈
剤17とに分離する。このようにすれば、図3に示す従
来の軽油の脱硫方法に比べ高品質の軽油を収率よく得る
ことができる。すなわち、従来の軽油の脱硫方法では硫
黄分50wtppm以下というような高品質の軽油を得
るためには原料軽油留分の分解による収率低下を来し、
効率的に高品質の軽油を得ることが出来なかったとこ
ろ、本発明では希釈剤の効果により、ほとんど収率低下
を来すことなく目的とする高品質の軽油を得ることが出
来る。
【0014】以下に、原料軽油留分、希釈剤、水素化処
理工程等につき説明する。 (1)原料油(軽油留分) 原料油は軽油留分であればどのようなものでもよいが、
沸点範囲は実質的に170〜380℃であることが好ま
しい。すなわち、蒸留範囲5%から95%の留分が17
0〜380℃の温度範囲内にあるものである。
【0015】 石油系原油の常圧蒸留によって得られ
る軽油留分(直留軽油)が好適であるが、流動接触分解
装置から得られる分解軽油、重質軽油や常圧残油等の水
素化分解によって得られる水素化分解軽油、残油の水素
化脱硫から副生する水素化脱硫分解軽油(分解脱硫軽
油)、及び減圧残油の熱分解装置から得られる熱分解軽
油等であってもよい。
【0016】 石油系原料油以外にも、石炭液化油、
タールサンド油、オイルサンド油、オイルシェール油、
オリノコタール等から得られる軽油留分であつても良
い。 (2) 希釈剤(軽油留分を希釈する軽油留分より高沸
点の炭化水素油) 希釈剤は原料油(軽油留分)より高沸点の炭化水素
油であれば良い。具体的には重質軽油、減圧軽油、常圧
残油、 減圧残油等である。希釈剤の沸点範囲は300℃
以上であることが好ましい。300℃より軽質なもので
は、軽油の過分解抑制効果が少ない。さらに、希釈剤は
370℃以下の留分が50vol%以下であることが好
ましい。沸点が370℃より高い留分は多いほうが希釈
剤としての効果がある。しかし、沸点が高ければ高いほ
どよいというわけではない。なお、希釈剤は蒸留により
留出しない残渣分をも含んだものでもよい。
【0017】 混合量としては原料である軽油留分1
00容量部に対し、10〜100容量部であることが好
ましい。混合量が10容量部未満であれば、軽油の過分
解抑制効果が薄くなる。また、軽油留分の過分解抑制の
観点からは混合量に上限は無いが、100容量部以上で
あれば通油する装置の蒸留塔での軽油留分と重質留分の
分離能力を越えることもあり、得られる軽油留分が少な
くなり効率的でなくなる。
【0018】混合通油する重質油に一定量のアスファル
テン分を含む場合と含まない場合とでは、水素化処理方
法を適宜変更することが好ましい。それ故、以後それぞ
れの場合について説明する。 (3) 希釈剤のアスファルテン分が1wt%未満であ
る場合の好ましい本発明の態様 混合通油する希釈剤が重質軽油や減圧軽油の様にア
スファルテン分を含まない(1重量%未満)場合には、
原料である軽油留分を前記(2)の希釈剤と混合し、加
圧、加熱し、水素化脱窒素工程、水素化分解工程、核水
添工程および水素化脱硫工程から選ばれる少なくとも1
種の工程からなる水素化処理を行なう。
【0019】 水素化脱窒素工程において使用される
触媒としては、通常、軽油等の水素化脱窒素処理に用い
られる触媒であれば特に限定はないが、アルミナ、シリ
カ、シリカーアルミナ又はセピオライト等の多孔性無機
酸化物、酸性担体、天然鉱物等に周期律表第5、6、8、9 及
び10族に属する金属の中から選ばれた少なくとも一種
を、触媒全量に基づき、酸化物として2〜20重量%程
度担持してなる平均細孔径60Å以上の触媒などが好ま
しい。市販の脱窒素触媒のいずれであってもよい。脱窒
素触媒はゼオライトを含んでなる触媒(ゼオライト触
媒)を用いる場合がある。ゼオライト触媒を用いる場合
は、これを保護するために前段触媒として上述のような
非晶質無機酸化物担体触媒を全触媒量に対して20〜8
0容量%充填するのが良い。
【0020】 水素化脱窒素工程の処理条件として
は、反応温度350〜430℃、水素分圧60〜100
kg/cm2、水素/油比200〜2000Nm3/kl 、LHSV(液時
空間速度(軽油留分と希釈剤の合計量を液量とする。以
下同じ))1〜10hr-1、好ましくは反応温度360
〜410℃、水素分圧70〜100kg/cm2、水素/油比
300〜800Nm3/kl、LHSV3〜5hr-1が好ましい。
反応温度、水素分圧、水素/油比は範囲を下回ると反応
効率が低下し、範囲を上回ると軽油の収率の低下や水素
のロスを来し、経済性が低下するためである。また、L
HSVは逆に範囲を下回ると反応設備を大きくせねばな
らず経済性が低下し、範囲を上回ると反応効率が低下す
る。
【0021】 水素化分解工程にて水素化処理する方
法もある。好ましくは、水素化脱窒素工程で処理された
軽油留分を引き続き水素化分解工程にて水素化処理す
る。水素化脱窒素工程での温度と水素圧はそのまま維持
しても良いし、所望により熱交換器等により加熱あるい
は水素クエンチガスにより冷却しても良い。 水素化分解工程に使用される触媒としては、通常、
軽油等の水素化分解処理に用いられる触媒であれば特に
限定はない。市販の水素化分解触媒であってもよい。ま
た、たとえば特開昭60-49131、特開昭61-24433、特開平
3-21484 等に開示されている技術によって造られたもの
を使用することも出来る。すなわち、鉄含有ゼオライト
20〜80重量%と無機酸化物80〜20重量%からな
る担体に、周期律表第6、8、9 及び10族に属する金属のう
ち選ばれた少なくとも一種を担持したものであって、周
期律表第6族に属する金属としてはタングステン、モリ
ブデンが好ましく、周期律表第7〜10族の金属はそれ
ぞれ一種用いてもよく、それぞれ複数種の金属を組合わ
せても良いが、特に水素化活性が高く、かつ劣化が少な
い点からNi−Mo,Co−Mo,Ni−W,Ni−C
o−Moの組合せが好適である。
【0022】また、特開平2―289419に開示され
ている技術によって造られた鉄含有ゼオライト10〜9
0重量%と無機酸化物90〜10重量からなる担体に周
期律表第6、8、9 及び10族に属する金属のうち選ばれた少
なくとも一種を担持したものも使用することが出来る。
この後者の水蒸気処理した鉄含有スチーミングゼオライ
トを鉄塩水溶液で処理して得られる鉄含有アルミノシリ
ケートを使用すると、軽油留分の改質効果が高く非常に
効果的である。
【0023】 この水素化分解工程における好ましい
反応条件はに示す水素化脱窒素触媒の範囲と同等であ
る。 所望により水素化脱窒素工程、水素化分解工程の代
わりにまたは同時に核水添および/または水素化脱硫工
程で水素化処理を行なってもよい。 この水素化脱硫工程に使用される触媒としては、通
常の重質油用の核水添または水素化脱硫触媒でよい、即
ちアルミナ、シリカ、ゼオライトあるいはこれらの混合
物の担体等に周期律表第5、6、8、9 及び10族に属する金属
の中から選ばれた少なくとも一種を、触媒全量に基づ
き、酸化物として3〜30重量%程度担持している平均
細孔径80Å以上の触媒などである。たとえば、特開平
7-305077、特開平5-98270 に開示される様なアルミナー
リン担体、アルミナーアルカリ土類金属担体化合物、ア
ルミナーチタニア担体、アルミナージルコニア担体、ア
ルミナーボリア担体等から選ばれる担体に周期律表第5、
6、8、9 及び10族に属する金属の中から選ばれた少なくと
も一種を担持してなる触媒であれば、軽油留分の改質効
果が高いために好適である。 核水添工程または水素化脱硫工程における処理条件
としては、反応温度360〜430℃、水素分圧60〜
100kg/ cm2 、水素/油比200〜2000Nm3/kl 、LH
SV(液時空間速度)1〜10 hr-1 、好ましくは反
応温度370〜410℃、水素分圧70〜100kg/c
m2、水素/油比300〜800Nm3/kl、LHSV2〜4hr
-1であることが望ましい。反応温度、水素分圧、水素/
油比は範囲を下回ると反応効率が低下し、範囲を上回る
と水素化脱窒素同様経済性が低下するためである。ま
た、LHSVは逆に範囲を下回ると経済性が低下し、範
囲を上回ると反応効率が低下する。
【0024】(4) 希釈剤がアスファルテン分を1%
以上含む場合の本発明の好ましい態様 希釈剤が常圧残油や減圧残油の様にアスファルテン
分を含む(1重量%以上)場合には、原料である軽油留
分と前記(2)の重質油を混合し、加圧、加熱し、水素
化脱金属工程、水素化分解工程、核水添および水素化脱
硫工程から選ばれる少なくとも1種の工程からなる水素
化処理を行なう。
【0025】 水素化脱金属工程において使用される
触媒としては、通常、水素化脱金属処理に用いられる触
媒であれば特に限定はない。市販の水素化脱金属触媒で
あってもよい。また、たとえばアルミナ、シリカ、シリ
カーアルミナ又はセピオライト等の多孔性無機酸化物、
酸性担体、天然鉱物等に周期律表第5、6、8、9 及び10族に
属する金属の中から選ばれた少なくとも一種を、触媒全
量に基づき、酸化物として3〜30重量%程度担持して
なる平均細孔径100Å以上の触媒でもよい。
【0026】脱金属触媒は主に同時に使用する後段の触
媒のメタル劣化を緩和するために、全触媒に対して10
〜60容量%充填するのが良い。 水素化脱金属工程の処理条件としては、反応温度3
50〜430℃、水素分圧100〜200kg/cm2、水素
/油比200〜2000Nm3/kl 、LHSV(液時空間速度)0.
1 〜10 hr-1、好ましは反応温度360〜 410
℃、水素分圧120〜160kg/cm2、水素/油比500
〜1000Nm3/kl、LHSV 0.3〜2hr-1である。反応温
度、水素分圧、水素/油比は範囲を下回ると反応効率が
低下し、範囲を上回ると経済性が低下するためである。
また、LHSVは逆に範囲を下回ると経済性が低下し、
範囲を上回ると反応効率が低下する。
【0027】 水素化分解工程の好ましい態様として
は、水素化脱金属工程で処理された軽油留分を引き続き
水素化分解工程にて水素化処理する。水素化脱金属工程
での温度と水素圧はそのまま維持しても良いし、所望に
より熱交換器により加熱あるいは水素クエンチガスによ
り冷却しても良い。 水素化分解工程に使用される触媒としては、通常、
水素化脱金属処理に用いられる触媒であれば特に限定は
ない。市販の水素化脱金属触媒であってもよい。また、
たとえば特開昭60-49131、特開昭61-24433、特開平3-21
484 等に開示されている技術によって造られたものを使
用することも出来る。すなわち、鉄含有ゼオライト20
〜80重量%と無機酸化物80〜20重量%からなる担
体に、周期律表第6、8、9 及び10族に属する金属のうち選
ばれた少なくとも一種を担持したものであって、周期律
表第6族に属する金属としてはタングステン、モリブデ
ンが好ましく、周期律表第7〜10族の金属はそれぞれ
一種用いてもよく、それぞれ複数種の金属を組合わせて
も良いが、特に水素化活性が高く、かつ劣化が少ない点
からNi−Mo,Co−Mo,Ni−W,Ni−Co−
Moの組合せが好適である。また、特開平2―2894
19に開示されている技術によって造られた鉄含有ゼオ
ライト10〜90重量%と無機酸化物90〜10重量か
らなる担体に周期律表第6、8、9 及び10族に属する金属の
うち選ばれた少 なくとも一種を担持したものも使用す
ることが出来る。この後者の水蒸気処理した鉄含有スチ
ーミングゼオライトを鉄塩水溶液で処理して得られる鉄
含有アルミノシリケートを使用すると、軽油留分の改質
効果が高く非常に効果的である。
【0028】 この水素化分解工程における好ましい
反応条件はに示す水素化脱金属触媒の範囲と同等であ
る。 所望により水素化分解工程の代わりに核水添工程ま
たは水素化脱硫工程で水素化処理を行なってもよい。 この核水添工程または水素化脱硫工程に使用される
触媒としては、通常の重質油用の核水添触媒または水素
化脱硫触媒でよい、即ちアルミナ、シリカ、ゼオライト
あるいはこれらの混合物の担体等に周期律表第5、6、8、9
及び10族に属する金属の中から選ばれた少なくとも一種
を、触媒全量に基づき、酸化物として3〜30重量%程
度担持している平均細孔径80Å以上の触媒などである
が、特開平7-305077、特開平5-98270 に開示される様な
アルミナーリン担体、アルミナーアルカリ土類金属担体
化合物、アルミナーチタニア担体、アルミナージルコニ
ア担体、アルミナーボリア担体等から選ばれる担体に周
期律表第5、6、8、9 及び10族に属する金属の中から選ばれ
た少なくとも一種を担持してなる触媒であれば、軽油留
分の改質効果が高いために好適である。
【0029】 核水添工程または水素化脱硫工程にお
ける処理条件としては、反応温度360〜430℃、水
素分圧100〜200kg/cm2、水素/油比200〜200
0Nm3/kl 、LHSV(液時空間速度)0.1〜10hr-1、好
ましは反応温度360〜410℃、水素分圧120〜1
60kg/cm2、水素/油比500〜1000Nm3/kl、LHSV
0.2〜2hr-1である。反応温度、水素分圧、水素/油
比は範囲を下回ると反応効率が低下し、範囲を上回ると
経済性が低下するためである。また、LHSVは逆に範
囲を下回ると経済性が低下し、範囲を上回ると反応効率
が低下する。
【0030】(5)気液分離工程 前記(3)または(4)記載の方法により水素化処
理された生成油は、熱交換器等により所望の温度にした
のち、気液分離槽へ導入する。気液分離槽は一塔〜複数
塔からなる。気液分離工程の気液分離槽は重油直接脱硫
装置や重油間接脱硫装置の高圧高温気液分離槽と同様の
構造で良いが、後段に水素化改質工程を設ける場合(図
2参照)には、水素化改質の反応効率を維持するため
に、気液分離槽で分離される気相流体に重質油が混入し
ないような措置、例えば気液分離槽の塔径を十分大きく
とる。あるいは、気液分離槽内部に十分な量のミストセ
パレーターを配置する等を講ずる方が良い。
【0031】 後段に水素化改質工程を設ける場合
(図2参照)には、気液分離工程における分離条件とし
ては分離温度を前段の水素化処理工程出口の温度に対し
0〜100℃低い温度が好ましい。100℃を越えて温
度を低下させると、後段の気相水素化改質工程に供する
灯軽油留分の割合が半分以下となり効率的でない。ま
た、分離温度を水素化処理工程出口の温度より高くする
ためには加熱のための設備例えば加熱炉が必要となるた
め装置建設費が増大する。分離圧力を水素化処理工程出
口の圧力に対し0〜50kg/cm2低くすることが好まし
い。50kg/cm2よりも低下させると、水素分圧の低下に
より後段の水素化改質での反応効率が低下するばかり
か、後段の水素化改質工程に供される気相流体に重質油
が混入しやすくなる。この場合の基準としては、気相流
体中に混入する400℃以上の留分の割合を気相流体全
量に対して3重量%以下に維持することが好適である。
また、分離圧力を水素化脱硫工程出口の圧力以上にする
ためには昇圧のための設備例えばコンプレッサーが必要
となるため装置建設費が増大する。
【0032】(6)水素化改質工程 前記(3)または(4)記載の水素化処理された軽
油留分は高い品質であるが、原料である軽油留分が非常
に高い多環芳香族濃度であったり、製品軽油中の芳香族
分が極めて低い製品を製造する必要がある場合等には、
前記(5)記載の気液分離槽出口の気相流体を次いで水
素化改質する。水素化改質工程は一塔から複数塔の反応
塔からなり、通常は、気液分離槽に引き続き加熱や昇温
の設備なしに反応を行なわせることができる。この工程
における反応塔型式は、通常の固定床でよい。希釈剤が
アスファルテン分を含む場合でも含まない場合でも水素
化改工程を設けてよいが、希釈剤がアスファルテン分を
含む場合にこの工程を設けると水素分圧が高いためより
好適である。
【0033】 この水素化改質工程に使用される触媒
としては、通常の中間留分用の水素化触媒でよい。市販
の中間留分用の水素化触媒が使用できる。また、アルミ
ナ、シリカ、ゼオライトあるいはこれらも混合物の担体
等に周期律表第5、6、8、9 及び10族に属する金属の中から
選ばれた少なくとも一種を、触媒全量に基づき、酸化物
として3〜30重量%程度担持し、平均細孔径80Å以
上の触媒などでもよい。また、特開平7-305077、特開平
5-98270 に開示される様なアルミナーリン担体、アルミ
ナーアルカリ土類金属担体化合物、アルミナーチタニア
担体、アルミナージルコニア担体、アルミナーボリア担
体等から選ばれる担体に周期律表第5、6、8、9 及び10族に
属する金属の中から選ばれた少なくとも一種を担持して
なる触媒であれば、軽油留分の水素化改質効果が高いた
めに好適である。
【0034】 この水素化改質工程における処理条件
としては、通常、前項の気液分離工程に引き続き加熱や
昇温の設備なしに反応を行なわせるため、前記気液分離
工程での分離温度と分離圧力とほぼ同等が好ましい。即
ち、反応温度300〜400℃、反応圧力80〜180
kg/cm2の範囲で良いが、前段の水素化処理工程出口の温
度と圧力を後段の水素化改質に有効に活用するために
は、反応温度は水素化処理工程出口の温度に対し−10
0〜0℃とし、反応圧力は水素化処理工程出口の圧力に
対し−50〜0kg/cm2の範囲が好適である。また、水素
分圧は70〜150kg/cm2、水素/油比は500 〜2000N
m3/kl 、LHSV(液時空間速度)は0.5〜10hr-1
好ましい。
【0035】反応温度、水素分圧、水素/油比は範囲を
下回ると反応効率が低下し、範囲を上回ると経済性が低
下するためである。また、LHSVは逆に範囲を下回る
と経済性が低下し、範囲を上回ると反応効率が低下す
る。 (7)分離工程 (3)または(4)記載の水素化処理工程で処理された
油または(6)記載の水素化改質工程で水素化処理され
た油は、常法に従って分離工程に導入され、複数の分離
槽で処理することによって気体部分と液体部分に分離さ
れる。このうち、気体部分は、硫化水素、アンモニア等
を除去後必要に応じメタン等の不純物を除去する水素純
度向上の処理等を行なった後に、新しい供給水素ガスと
一緒になった後に、水素化処理反応工程に再循環され
る。
【0036】(8) 蒸留工程 分離工程で得られた液体部分は、蒸留工程に導入され、
常法に従って各製品に分留される。この時の蒸留条件と
しては、例えば、常圧蒸留においてはナフサ留分を20
〜171℃、軽油留分を180〜343℃、343℃以
上を脱硫残油とすることによりナフサ、軽油及び脱硫残
油に分留することが出来る。また常圧残油は引き続き減
圧蒸留して減圧軽油と減圧残油等に分留しても良い。
【0037】(9) 希釈剤のリサイクル処理 上記(8)の蒸留工程で得られた改質された希釈剤はそ
の一部または全部を加圧、加熱して(3)または(4)
記載の水素化処理工程へリサイクルすることも出来る。
この効果としては、希釈剤を完全に軽質な留分に変換す
ることが出来る。
【0038】(10) 反応塔の型式 本発明における、水素化処理における反応装置の型式は
特に制限がなく、例えば、固定床、移動床、流動床、沸
騰床、スラリー床等を採用出来る。気相水素化改質処理
においても反応装置の型式には特に制限はないが、気相
反応であるため、安価な固定床が好適である。
【0039】以上の方法により、本発明の軽油留分の水
素化処理方法は好適に実施できる。この方法を実施する
ことにより下記のような高品質の軽油が製造できる。 硫黄分含有量50ppm以下という極めて硫黄含有
量が低く、多環芳香族が1vol%以下の高品質な軽油
を収率が低下することなく得ることが出来る。 分解軽油を原料として上記水素化処理後、気液分離
槽にて気液分離してその気相成分を引き続き水素化処理
することにより、硫黄分含有量50ppm以下という極
めて硫黄含有量が低く、多環芳香族が1vol%以下の
高品質な軽油を収率が低下することなく得ることが出来
る。
【0040】 さらに、希釈剤として混合通油した重
質留分は、その硫黄分、金属分等が低下し、一部は水素
化分解もされ軽油として利用できる。 本発明の方法を既設の石油精製プラントにて行なう
事により、新たな精製設備を建設する、あるいは大きな
設備の改造を行なうことなく西暦2005年の欧州品質
規制をクリアーした軽油を製造できる。
【0041】
【実施例】原料油として、アラビアンライト直留軽油、
減圧軽油留分を流動接触分解して得た分解軽油および常
圧残油を直接脱硫して得た副生軽油(分解脱硫軽油)を
用いた。表1に原料油の性状を示す。
【0042】
【表1】
【0043】表2に希釈剤として用いたアラビアンライ
ト重質軽油、アラビアンライト常圧残油およびアラビア
ンライト減圧軽油の性状を示す。
【0044】
【表2】
【0045】表3に反応に使用した触媒A〜触媒Fの性
状等を示す。
【0046】
【表3】
【0047】〔実施例1〕表3に示す水素化脱窒素触媒
Dと水素化分解触媒Cをそれぞれ50容量%づつ蒸留側
からこの順序で300mlの固定床流通式反応管に充填
して反応を行なった。原料油としては、表1に示すアラ
ビアンライト直留軽油と表2に示すアラビアンライト重
質軽油およびアラビアンライト減圧軽油を所定量混合し
て供給し、水素分圧90kg/cm2、水素/油比500Nm3/
kl、反応温度は380℃にして、LHSV3毎時で通油
した。反応開始後、1000〜2000時間において得
られた生成油を15段蒸留装置によってLPG+ナフサ
留分(C3〜171℃)、軽油留分(171〜343
℃)および脱硫残油(343℃以上)へ蒸留分離して各
留分の性状を分析した。各留分の得率と性状を表4−
1、表4−2に示す。硫黄分50wtppm程度の高品
質な軽油留分を過分解することなく得ることができる。
【0048】〔実施例2〕表3に示す水素化脱硫触媒E
を300mlの固定床流通式反応管に充填して反応を行
なった。原料油としては、表1に示すアラビアンライト
直留軽油と表2に示すアラビアンライト重質軽油および
アラビアンライト減圧軽油を所定量混合して供給し、水
素分圧90kg/cm2、水素/油比500Nm3/kl、反応温度
は380℃にして、LHSV3毎時で通油した。反応開
始後、1000〜2000時間において得られた生成油
を15段蒸留装置によってLPG+ナフサ留分(C3〜
171℃)、軽油留分(171〜343℃)および脱硫
残油(343℃以上)へ蒸留分離して各留分の性状を分
析した。各留分の得率と性状を表4−1、表4−2に示
す。硫黄分50wtppm程度の高品質な軽油留分を過
分解することなく得ることができる。
【0049】〔実施例3〕表3に示す水素化脱金属触媒
Aを28容量%、水素化分解触媒Bを33容量%、この
順序で300mlの固定床流通式反応管に充填し、水素
化脱硫触媒Eを39容量%同じく300mlの反応管に
充填してこの順序で直列に連結して反応を行なった。原
料油としては、表1に示すアラビアンライト直留軽油と
表2に示すアラビアンライト常圧残油を所定量混合して
供給し、水素分圧140kg/cm2、水素/油比900Nm3/
kl、反応温度は触媒Aが380℃、触媒Bが400℃、
触媒Eが360℃にして、LHSV0.4毎時で通油し
た。反応開始後、1000〜2000時間において得ら
れた生成油を15段蒸留装置によってLPG+ナフサ留
分(C3〜171℃)、軽油留分(171〜343℃)
および脱硫残油(343℃以上)へ蒸留分離して各留分
の性状を分析した。各留分の得率と性状を表5−1,表
5−2,表5−3に示す。 硫黄分50wtppm程度
の高品質な軽油留分を過分解することなく得ることがで
きる。
【0050】〔実施例4〕表3に示す水素化脱金属触媒
Aを28容量%、水素化脱硫Eを72容量%、この順序
で300mlの固定床流通式反応管に充填し、反応を行
なった。原料油としては、表1に示すアラビアンライト
直留軽油と表2に示すアラビアンライト常圧残油を所定
量混合して供給し、水素分圧140kg/cm2 、水素/油
比900Nm3/kl、反応温度は触媒Aが380℃、触媒B
が400℃、触媒Cが360℃のして、LHSV0.4
毎時で通油した。反応開始後、1000〜2000時間
において得られた生成油を15段蒸留装置によってLP
G+ナフサ留分(C3〜171℃)、軽油留分(171
〜343℃)および脱硫残油(343℃以上)へ蒸留分
離して各留分の性状を分析した。各留分の得率と性状を
表5−1,表5−2,表5−3に示す。硫黄分50wt
ppm程度の高品質な軽油留分を過分解することなく得
ることができる。
【0051】〔実施例5〕実施例3と同じ触媒系を同様
に充填して反応を行なった。原料油としては、表1に示
す分解脱硫軽油と表2に示すアラビアンライト常圧残油
を所定量混合して供給し、水素分圧120kg/cm2、水素
/油比900Nm3/kl、反応温度は触媒Aが380℃、触
媒Bが400℃、触媒Cが360℃のして、LHSV
1.0毎時で通油した。反応開始後、2000〜300
0時間において得られた生成油を15段蒸留装置によっ
てLPG+ナフサ留分(C3〜171℃)、軽油留分
(171〜343℃)および脱硫残油(343℃以上)
へ蒸留分離して各留分の性状を分析した。各留分の得率
と性状を表6−1,表6−2,表6−3に示す。硫黄分
50wtppm以下の高品質な軽油留分を過分解するこ
となく得ることができる。
【0052】〔実施例6〕実施例3と同じ触媒系を同様
に充填して反応を行なった。原料油としては、表1に示
す分解軽油と表2に示すアラビアンライト常圧残油を所
定量混合して供給し、水素分圧120kg/cm2、水素/油
比900Nm3/kl、反応温度は触媒Aが380℃、触媒B
が400℃、触媒Cが360℃のして、LHSV1.0
毎時で通油した。3000時間〜4000時間において
得られた生成油Aを、回分型の蒸留装置によってナフ
サ、軽油、 減圧軽油の各留分に分離し、SimSci社
のプロセスシミュレータ( 製品名:PRO/ IIVe
r.5)を用いた連続気液分離断熱計算によって、34
0℃、全圧135kg/cm2 における気相の組成計算結果
に基づき気液分離槽の気相流体の組成と同じ組成の水素
化原料油を調製した。この水素化改質原料油の組成を表
7に示す。表3に示す水素化触媒Fを30mlの反応管
に充填し、表7に示す水素化改質原料油を水素分圧10
5kg/cm2、水素/ 油比700Nm3/kl、反応温度340
℃、LHSV 3.0 毎時で通油した。通油時間1000
〜1500時間における、生成油Bから水素化改質原料
油を調製した際の残油、即ち気液分離槽の液相流体と所
定の割合で混合して、生成油Cを得た。得られた生成油
Cを15段蒸留装置によってLPG+ナフサ留分(C3
〜171℃)、軽油留分(171〜343℃)および脱
硫残油(343℃以上)へ蒸留分離して各留分の性状を
分析した。各留分の得率と性状を表6−1,表6−2,
表6−3に示す。硫黄分50wtppm以下の高品質な
軽油留分を過分解することなく得ることができる。
【0053】〔比較例1〕実施例1と同一の触媒系にア
ラビアンライト直留軽油のみを実施例1と同一の反応条
件で通油した。この時得られた生成油を実施例1と同様
に蒸留分離して各留分の品質を分析した。この時の各留
分の得率と性状を表4−1、表4−2に示す。 軽油留
分は硫黄分50wtppm程度であるが、その殆どがナ
フサより軽い留分へ分解してしまう。 〔比較例2〕実施例2と同一の触媒系にアラビアンライ
ト直留軽油のみを実施例2と同一の反応条件で通油し
た。この時得られた生成油を実施例2と同様に蒸留分離
して各留分の品質を分析した。この時の各留分の得率と
性状を表4−1、表4−2に示す。 軽油留分は硫黄分
50ppm 程度であるが、その殆どがナフサより軽い留分
へ分解してしまう。
【0054】〔比較例3〕実施例3と同一の触媒系にア
ラビアンライト直留軽油のみを実施例3と同一の反応条
件で通油した。この時得られた生成油を実施例3と同様
に蒸留分離して各留分の品質を分析した。この時の各留
分の得率と性状を表5−1,表5−2,表5−3に示
す。軽油留分は硫黄分50wtppm程度であるが、そ
の殆どがナフサより軽い留分へ分解してしまう。 〔比較例4〕実施例4と同一の触媒系にアラビアンライ
ト直留軽油のみを実施例4と同一の反応条件で通油し
た。この時得られた生成油を実施例4と同様に蒸留分離
して各留分の品質を分析した。この時の各留分の得率と
性状を表5−1,表5−2,表5−3に示す。軽油留分
は硫黄分50wtppm程度であるが、その殆どがナフ
サより軽い留分へ分解してしまう。
【0055】〔比較例5〕実施例5と同一の触媒系に分
解脱硫軽油のみを実施例5と同一の反応条件で通油し
た。この時得られた生成油を実施例5と同様に蒸留分離
して各留分の品質を分析した。この時の各留分の得率と
性状を表5−1,表5−2,表5−3に示す。軽油留分
は硫黄分50wtppm以下であるが、その殆どがナフ
サより軽い留分へ分解してしまう。 〔比較例6〕実施例6と同一の触媒系に分解軽油のみを
実施例6の生成油Aを得る時と同一の反応条件で通油し
た。この時得られた生成油を実施例6と同様に蒸留分離
して各留分の品質を分析した。この時の各留分の得率と
性状を表6−1,表6−2,表6−3に示す。
【0056】〔比較例7〕図3に示す従来法による軽油
の水素化を行なった。即ち、表3に示す水素化脱硫触媒
Eを300mlの反応管に充填して反応を行なった。原
料油としては、表1に示すアラビアンライト直留軽油を
供給し、水素分圧60kg/cm2、水素/油比400Nm3/k
l、反応温度は340℃にして、LHSV3毎時で通油
した。反応開始後、1000〜2000時間において得
られた生成油を15段蒸留装置によってLPG+ナフサ
留分(C3〜171℃)、軽油留分(171〜343
℃)へ蒸留分離して各留分の性状を分析した。各留分の
得率と性状を表6−1、表6−2に示す。硫黄分、多環
芳香族とも、欧州2005年の規制に比べ約5〜6倍程
度多い。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【表12】
【0065】
【発明の効果】 硫黄分含有量50ppm以下という
極めて硫黄含有量が低く、多環芳香族が1vol%以下
の高品質な軽油を収率を低下させることなく得ることが
出来る。 分解軽油を原料としても上記水素化処理後、気液分
離槽にて気液分離してその気相成分を引き続き水素化処
理することにより、硫黄分含有量50ppm以下という
極めて硫黄含有量が低く、多環芳香族が1vol%以下
の高品質な軽油を収率を低下させることなく得ることが
出来る。
【0066】 さらに、希釈剤として混合通油した重
質留分は、その硫黄分、金属分等が低下し、一部は水素
化分解もされ軽油として利用することができる。 本発明の方法を既設の石油精製プラントを利用して
実施する事により、新たな精製設備を建設する、あるい
は大きな設備の改造を行なうことなく西暦2005年の
欧州品質規制をクリアーした軽油を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本的な態様の軽油留分の水素化処
理方法の工程概略図。
【図2】 本発明の水素化改質工程を含む態様の軽油留
分の水素化処理方法の工程概略図。
【図3】 従来の軽油の水素化処理の工程概略図。
【符号の説明】
1 :水素化処理反応工程 2 :蒸留工程 3 :気液分離工程 4 :気相流体の水素化改質工程 11 :原料軽油留分 12 :希釈剤 13 :混合原料油 14 :水素化処理反応生成物 15 :ガス、ナフサ留分 16 :軽油 17 :改質された希釈剤 18 :気相流体 19 :液相流体 20 :気相流体の水素化改質生成物 21 :液相流体と気相流体の水素化改質生成物の混合
流体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10L 1/04 C10L 1/04 1/08 1/08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素化処理触媒の存在下で軽油留分を水
    素化処理するにあたり、軽油留分を該軽油留分より高沸
    点の炭化水素油(以下、希釈剤という)により希釈して
    行う軽油留分の水素化処理方法。
  2. 【請求項2】 軽油留分の沸点範囲が実質的に170〜
    380℃の範囲にあり、希釈剤の沸点範囲が370℃以
    下の留分が50%以下である請求項1記載の軽油留分の
    水素化処理方法。
  3. 【請求項3】 希釈剤のアスファルテン分が1wt%未
    満であり、水素化処理が水素化脱窒素、水素化分解、核
    水添および水素化脱硫から選ばれる少なくとも1種の処
    理工程を含む請求項1または2記載の軽油留分の水素化
    処理方法。
  4. 【請求項4】 希釈剤のアスファルテン分が1wt%以
    上であり、水素化処理が水素化脱金属、水素化分解、核
    水添および水素化脱硫から選ばれる少なくとも1種の処
    理工程を含む請求項1または2記載の軽油留分の水素化
    処理方法。
  5. 【請求項5】 反応温度360〜430℃の範囲、反応
    圧力70〜200kg/cm2の範囲の反応条件で水素化処理
    する請求項1〜5のいずれかに記載の軽油留分の水素化
    処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法に
    より軽油留分を水素化処理し、次いで該水素化処理生成
    物を気液分離し、得られた気相流体をさらに水素化改質
    する軽油留分の水素化処理方法。
  7. 【請求項7】 気液分離および気相流体の水素化改質
    を、水素化処理の反応温度より0〜100℃低い温度範
    囲で、かつ水素化処理の反応圧力より0〜50kg/cm2
    い圧力範囲で実施する請求項6記載の軽油留分の水素化
    処理方法。
  8. 【請求項8】 水素化処理触媒として非晶質無機酸化物
    担体に周期律表第6、8、9および10族金属から選ば
    れる少なくとも1種を担持した触媒を用いる請求項1〜
    7のいずれかに記載の軽油留分の水素化処理方法。
  9. 【請求項9】 水素化処理触媒としてゼオライト含有触
    媒を用いる請求項1〜8のいずれかに記載の軽油留分の
    水素化処理方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の軽油
    留分の水素化処理方法により得られた硫黄分50wtp
    pm以下でかつ多環芳香族分1vol%以下の軽油。
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