JPH1056704A - 磁気浮上式鉄道用電車線の支持機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気浮上式鉄道における電車線と集電装置の
集電特性の改善を図るとともに作業工程数を大幅に低減
する。 【解決手段】 従来の軌道桁２に代えて、レール７を支
持するまくら木８によって電車線１を支持する。まくら
木８での支持の際、まくら木の所定箇所に支持金具を介
して電車線１を取り付ける。特に、電車線を所定範囲幅
で波形状に支持するようにすれば、ブラシ圧力と摺動面
の一層の安定化を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気浮上式鉄道に
おける電車線の支持機構に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】磁気浮上式鉄道において、車両に電気を
送るための電車線に対する支持は、従来、軌道桁に支持
金具を介して固定することでなされていた。具体的に図
７において説明すると、電車線１の取付は、桁２に埋め
込まれたインサート３に、ボルト５を用いて金具４を取
り付けて、当該金具４に開けられた丸長穴とボルト６と
によって、レール７からの位置や角度を調整して行われ
ていた。

【０００３】しかしながら、このような方法では、電車
線の取付寸法の精度が得られにくく、車両側に設けられ
た集電装置のブラシと電車線の摺動について、安定した
均一な摺動状態を得ることにかなりの作業工程数を伴わ
なければならなかった。

【０００４】本来、電車線の位置決めは、軌道がカーブ
を描く際に横断勾配を付ける等のレールの変移と同期を
とることが望まれるが、レールではなく、まくら木を介
してレールを支える軌道桁によって電車線を支持する従
来のやり方では精度的に限界があった。

【０００５】なお所謂モノレールにおいては、桁自身が
走行面を構成するために、桁が軌道線形に合わせて作ら
れており、電車線を直接桁に取り付けても位置調整作業
が少なく、また電車線を取り付ける場所は桁以外に存在
しないので、磁気浮上式鉄道のような問題は生じない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
技術では電車線と車両側の集電装置との間で安定した摺
動状態を得るために、施工および保守作業に大きな労力
を要していた。

【０００７】そこで本発明は、以上のような問題を全面
的に解決しようとするもので、磁気浮上式鉄道における
電車線と集電装置の集電特性の改善を図るとともに作業
工程数を大幅に低減することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】当該課題を解決するため
に、本発明にしたがい、従来の軌道桁に代えて、レール
を支持するまくら木によって電車線を支持する。まくら
木での支持の際、まくら木の所定箇所に支持金具を介し
て電車線を取り付ける。まくら木に支持固定させること
により、無調整で車両に直結している集電装置の摺動面
にいつも同じ状態、即ち、ブラシ圧力と摺動面を一定化
させて、摺動させることができるようになる。特に、電
車線を所定範囲幅で上下波形状に支持するようにすれ
ば、ブラシ圧力と摺動面の一層の安定化を図ることがで
きる。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の詳細を、図に示した実施
の形態に基づいて具体的に説明する。図１は本発明に従
って電車線をまくら木に支持固定する状態を断面で示す
ものであり、図２は図１に対応して桁乃至レールに沿っ
た側面からの様子を示すものである。これらの図に示さ
れるように、レール７はまくら木８に固定され、同様に
まくら木８は桁２に固定されている。

【００１０】電車線１は碍子を含めた支持金具９で絶縁
された上で、対をなすブラケット１０にボルト１１を用
いて組み付けられ、まくら木８にボルト１２で固定され
ている。対をなすブラケット１０同士は別のボルト１３
によって点対称に組み合わされる。これら電車線やブラ
ケットは各レールにそれぞれ属するように図１の断面に
おいて左右１組ずつあり、しかも左右対称に位置してい
る。ブラケット１０とまくら木８の間に絶縁材１４が挟
み込まれ、碍子とともに二重絶縁構造をなし、安全性が
高められている。

【００１１】電車線のレールまでの断面左右方向での幅
Ｗは常に一定に維持される必要があり、上下方向長さＨ
もまた同様である。しかし、車両側の集電装置１５の摺
動部１６の電車線１による摩耗量を均一にするため、図
３のように上下方向位置Ｈに±ｄ以内の長さを加えて、
図４に示されるように電車線１を上下方向に波形となる
ように設置する。

【００１２】ブラケット１０の構造は、図５に示される
ように、Ｌ型の鋼板１７の中心線に沿うように略三角形
のリブ１８が貼り付いてなる形状をとり、リブ１８で仕
切られた鋼板の平面部には丸穴１９と丸長穴２０が開け
られている。丸穴１９が開けられた底面側の面は、まく
ら木８か、碍子を含めた支持金具９に取り付けられる面
であり（図１参照）、丸長穴２０が開けられた垂直側の
面は、ブラケット１０同士を組み付けるために用いられ
る面であり、その丸長穴２０の寸法は電車線１を波形設
置するに必要な量ｄだけ丸穴１９より長くなっている。
丸長穴２０を設けた面の中央に開けられた別の小さな丸
穴２１は、ブラケット１０の位置決め終了後にボルト２
２を差し込こんでブラケット１０同士のずれ止めを行う
ために必要とされるねじ穴である。

【００１３】以上のような構成をとることによって、軌
道がカーブを描く際にカント角を所定にするために桁と
まくら木の間で横断面的に傾斜させても、図６に示され
るように、部品を増やすことなく、簡単で且つ正確にこ
の横断勾配に対応させることが可能となる。従来のよう
に軌道桁に電車線を支持する場合、部品数を増やす必要
があるだけでなく、その位置取り・位置決めも容易でな
かった。これに比べて格段の改善がなされることにな
る。

【００１４】

【発明の効果】以上の如く、本発明によれば、電車線１
の取付位置を、桁２からレール７と一体のまくら木８に
代えることにより、今までレール７から専用工具を使用
し実施していた位置調整作業が不要になる。また電車線
１の位置精度が向上するので、離線率が改善される。特
にブラケット１０に設けられた長穴を電車線波形に対応
するように寸法決めすることによって、ボルト１３が緩
み、ブラケット１０同士が上下にずれるような場合でも
車両の摺動部１６は電車線１からはずれることがなくな
り、安全な構造である。

【００１５】また本発明によれば、桁２側にインサート
を埋めておく必要がなく、桁２の作製における作業及び
管理項目を減らすことができる。なお、まくら木８側の
穴加工は工場生産において自動化等、省力化できるの
で、工程上問題にならない。部品種類が少なくてすみ、
小型軽量で取り扱いが容易となる。以上から、電車線の
設置工事及び保守作業を簡略化できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る磁気浮上案内部の概略的な標準断
面図である。

【図２】図１に対応する標準側面図である。

【図３】集電装置及び集電沓の詳細を示す概略断面図で
ある。

【図４】電車線を波形に設置する様子を示す概略図であ
る。

【図５】ブラケット部の詳細図で、（ａ）は側面図、
（ｂ）は正面図、（ｃ）は平面図である。

【図６】横断勾配時の断面図である。

【図７】従来の電車線取付を示す概略図である。

【符号の説明】

１ 電車線 ２ 軌道桁 ７ レール ８ まくら木 ９ 支持金具 １０ ブラケット

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レールを支持するまくら木によって電車
   線を支持することを特徴とする磁気浮上式鉄道用電車線
   の支持機構。
2. 【請求項２】 電車線を所定範囲幅で上下波形状に支持
   することを特徴とする請求項１に記載の支持機構。