JPH1056191A - 太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール

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JPH1056191A
JPH1056191A JP8224671A JP22467196A JPH1056191A JP H1056191 A JPH1056191 A JP H1056191A JP 8224671 A JP8224671 A JP 8224671A JP 22467196 A JP22467196 A JP 22467196A JP H1056191 A JPH1056191 A JP H1056191A
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JP
Japan
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solar cell
cell module
resin layer
module according
resin
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Withdrawn
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JP8224671A
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English (en)
Inventor
Hidenori Shiozuka
秀則 塩塚
Ichiro Kataoka
一郎 片岡
Takahiro Mori
隆弘 森
Ayako Komori
綾子 小森
Satoshi Yamada
聡 山田
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高湿下の長期使用においても、樹脂の黄
変による光透過性の低下による太陽電池モジュール特性
の劣化を抑制し、光起電力素子からの剥離のない表面被
覆材を提供する。 【解決手段】 光起電力素子101の光入射側に硬質透
明樹脂層102を設け、その上に透明な有機高分子樹脂
層103を積層した太陽電池モジュールにおいて、前記
硬質透明樹脂層102が、下記一般式(1) XSiYn3-n・・・(1) (式中、Xはグリシドキシプロピル基またはβ−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、Yはアルコキ
シ基、Rはアルキル基、nは1〜3を示す)で表される
化合物を添加した樹脂よりなる太陽電池モジュール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池モジュー
ルに関し、特に、少なくとも光起電力素子の光入射側面
に設けられた透明な硬質薄膜樹脂層と、その上に積層さ
れた透明な有機高分子樹脂層により被覆されている太陽
電池モジュールにおける表面被覆材に関する。
【0002】本発明において、表面とは光起電力素子の
光入射側面をいい、光起電力素子に関してその反対側面
を裏面と称する。
【0003】
【従来の技術】太陽電池の中でも、導体金属基板上にシ
リコンを堆積し、その上に透明導電層を形成したアモル
ファスシリコン太陽電池を代表とする薄膜太陽電池は、
軽量でかつ耐衝撃性、フレキシブル性に富んでいるの
で、将来のモジュール形態として有望視されている。た
だ、ガラス基板上にシリコンを堆積する場合と異なり、
表面被覆材を設け、太陽電池を保護する必要がある。
【0004】一般に、この表面被覆材として最表面にE
TFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)
フィルム、PVF(ポリフッ化ビニル)フィルム等のフ
ッ素樹脂フィルムやフッ素樹脂塗料等を用いた透明なフ
ッ化物重合体薄膜、その内側にはEVA(エチレン−酢
酸ビニル共重合体)、EEA(エチレン−アクリル酸エ
チル共重合体)、ブチラール樹脂等種々の熱可塑性透明
有機樹脂が用いられてきた。
【0005】フッ化物重合体は耐候性・撥水性に富んで
おり、樹脂の劣化による黄変・白濁あるいは表面の汚れ
による光透過率の減少に起因する太陽電池モジュールの
変換効率の低下を少なくすることができ、熱可塑性透明
樹脂は安価であり、内部の光起電力素子を保護するため
の被覆材として大量に用いることができる。
【0006】ところで、太陽電池モジュールの使用用途
の一つである屋根に設置する形態の場合、各国で規定さ
れた屋根材の規格に合格しなければならず、その一つに
は燃焼性試験がある。これに合格するには太陽電池モジ
ュールの被覆材の可燃性樹脂であるEVAの含有量を削
減しなければならない。しかし、EVA含有量を減らす
だけでは表面被覆材の光起電力素子保護能力も低くな
る。
【0007】上記問題を解決する手段の一つには、表面
被覆材中に難燃もしくは不燃性の硬質透明薄膜樹脂層を
設け、表面被覆材の光起電力素子保護能力を損なうこと
なくEVAの厚みを薄くすることにより太陽電池モジュ
ールの燃焼性を抑制させる方法があり、これにより、U
L1703に規定される燃焼試験でアメリカ合衆国内で
屋根材として採用されるクラスAに分類されることが可
能になる。
【0008】図4はこのような太陽電池モジュールの従
来例である。図4において、401はフッ化物重合体薄
膜層、402は熱可塑性透明有機樹脂層、403は硬質
透明薄膜樹脂層、404は光起電力素子、405はナイ
ロンフィルム、アルミラミネートテドラーフィルムをは
じめとする種々の有機樹脂フィルムよりなる絶縁体層で
ある。この例では、裏面にも表面の有機樹脂と同じもの
を用いている。
【0009】この例において、熱可塑性透明有機樹脂層
402は光起電力素子404とフッ化物重合体薄膜層4
01および絶縁体層405との接着剤としての役割を果
しており、硬質透明薄膜樹脂層403は太陽電池モジュ
ールと外部の電気絶縁性を保ち、熱可塑性透明有機樹脂
層402と共に外部からの引っかき、衝撃から太陽電池
を保護する充填材の役割を果している。
【0010】従来の硬質透明薄膜樹脂層403には、ア
クリル樹脂、フッ素樹脂などをイソシアネートにより架
橋した樹脂などを用いるが、架橋にイソシアネートを用
いる場合には樹脂に予めイソシアネートを混合する一液
型と硬質透明薄膜樹脂層403形成直前に混合する二液
型がある。
【0011】二液型は硬質薄膜樹脂層403形成直前に
混合するために装置が煩雑になり、混合後の樹脂のポッ
トライフも短くなるため、一般的には反応性の高いイソ
シアネート基をブロック剤によりマスクし、加熱により
ブロック剤を解離させ、イソシアネート基を再生し、反
応させるブロッキングイソシアネートを用いた一液型が
用いられている。この場合、マスクに用いられるブロッ
ク剤には、MEKオキシム、εカプロラクタムが汎用さ
れているが、MEKオキシムを使用した場合、硬質薄膜
樹脂層403加熱形成時に黄変が生ずるため、透明性が
求められる用途に使用される場合、εカプロラクタムが
用いられる。
【0012】このような硬質透明薄膜樹脂層403と熱
可塑性透明有機樹脂層402、例えばEVAを積層し、
表面被覆を構成しているような従来のモジュールでは、
以下のような欠点があった。
【0013】例えば、屋外に太陽電池モジュールが晒さ
れた場合、太陽光の直射により光起電力素子表面温度は
65℃以上の高温になり、長時間設置した場合、表面被
覆材が黄変する恐れがある。この問題はモジュール温度
がより高温となる屋根材一体の用途ではより顕著とな
る。これは架橋時に解離したブロッキング剤が揮発せ
ず、硬質透明薄膜樹脂層403中に残存しており、それ
らがEVAの架橋に用いられる過酸化物やEVAの架橋
時に発生する酸などと反応して黄変物質を生成し、光透
過率低下による太陽電池モジュールの特性を低下させる
ためである。
【0014】また、高温高湿環境下での長時間使用によ
る表面被覆材の光起電力素子からの剥離も太陽電池モジ
ュール特性の低下の原因であり、外観上も好ましくな
い。
【0015】一般的には樹脂の熱劣化、光劣化による黄
変抑制にはヒンダードフェノール系の一次酸化防止剤と
燐系、硫黄系二次酸化防止剤を併用して添加されるが十
分とはいえず、改良が望まれていた。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高温高湿環境
下での長期使用においても樹脂の黄変による光透過性の
低下による太陽電池モジュール特性の劣化を最小限に
し、光起電力素子から剥がれることのない表面被覆材を
提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために鋭意研究を重ねた結果、光起電力素子の光入
射側面に設けられる硬質透明樹脂層を形成する樹脂に特
定のエポキシ系シランカップリング剤を添加することに
より、硬質透明樹脂層などの表面被覆材が剥がれること
による太陽電池モジュール特性の低下を防止でき、さら
には高温使用時の黄変を防止できることを見いだし、本
発明に到達した。
【0018】すなわち、本発明は光起電力素子の光入射
側に硬質透明樹脂層を設け、その上に少なくとも一層の
透明な有機高分子樹脂層を積層した太陽電池モジュール
において、前記硬質透明樹脂層が、下記一般式(1) XSiYn3-n・・・(1) (式中、Xはグリシドキシプロピル基またはβ−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、Yはアルコキ
シ基、Rはアルキル基、nは1〜3を示す)で表される
化合物を添加した樹脂よりなることを特徴とする太陽電
池モジュールである。
【0019】
【発明の実施の形態】図1に本発明の太陽電池モジュー
ルの概略構成図の一例を示す。図1において、101は
光起電力素子、102は硬質透明樹脂層、103は透明
な有機高分子樹脂層、104は表面フィルム、105は
裏面充填材、106は裏面被覆フィルムである。外部か
らの光は表面フィルム104から入射し光起電力素子1
01に到達し、生じた起電力は出力端子(不図示)より
外部に取り出される。
【0020】本発明における光起電力素子101は、例
えば第一の電極としての導電性基体、光変換部材として
の半導体光活性層、第二の電極としての透明導電層を有
するものである。その一例としての概略構成図を図2に
示すが、この図において、201は導電性基体、202
は裏面反射層、203は半導体光活性層、204は透明
導電層、205は集電電極である。
【0021】導電性基体201は光起電力素子の基体に
なると同時に、下部電極の役割も果たす。材料として
は、例えばシリコン、タンタル、モリブデン、タングス
テン、ステンレス、アルミニウム、銅、チタン、カーボ
ンシート、鉛メッキ鋼板、導電層が形成してある樹脂フ
ィルムやセラミックスなどがある。
【0022】上記導電性基体201上には裏面反射層2
02として、金属層、あるいは金属酸化物層、あるいは
金属層と金属酸化物層を形成してもよい。金属層には、
例えば、Ti、Cr、Mo、Al、Ag、Niなどが用
いられ、金属酸化物層には、例えば、ZnO、Ti
2、SnO2などが用いられる。上記金属層および金属
酸化物層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビ
ーム蒸着法、スパッタリング法などがある。
【0023】半導体光活性層203は光電変換を行う部
分で、具体的な材料としては、例えばpn接合型多結晶
シリコン、pin接合型アモルファスシリコン、あるい
はCuInSe2、CuInS2、GaAs、CdS/C
2S、CdS/CdTe、CdS/InP、CdTe
/Cu2Teをはじめとする化合物半導体などが挙げら
れるが、非単結晶半導体が好ましく、これらのうちでも
アモルファスシリコンが好ましい。
【0024】半導体光活性層203の形成方法として
は、多結晶シリコンの場合は溶融シリコンのシート化か
非晶質シリコンの熱処理、アモルファスシリコンの場合
はシランガスなどを原料とするプラズマCVD、化合物
半導体の場合はイオンプレーテイング、イオンビームデ
ポジション、真空蒸着法、スパッタ法、電析法などがあ
る。
【0025】透明導電層204は光起電力素子の上部電
極の役目を果している。用いる材料としては、例えば、
In23、SnO2、In23−SnO2(ITO)、Z
nO、TiO2、Cd2SnO4、高濃度不純物ドープし
た結晶性半導体層などがある。形成方法としては抵抗加
熱蒸着、スパッタ法、スプレー法、CVD法、不純物拡
散法などがある。
【0026】ところで、透明導電層204まで形成した
光起電力素子は導電性基体201の非平滑性かつ/ある
いは半導体活性層203成膜時の不均一性により導電性
基体201と透明導電層204が部分的に短絡してお
り、出力電圧に比例して大きな漏れ電流が流れる。すな
わち、漏れ抵抗(シャント抵抗)が小さい状態にある。
【0027】そこで、これを修復するため、透明導電層
204を形成した後に欠陥除去処理を施す必要がある。
米国特許第4729970号明細書にはこのような欠陥
除去についての詳細が述べられている。この方法によっ
て、光起電力素子のシャント抵抗を1kΩ・cm2以上
500kΩ・cm2以下、望ましくは10kΩ・cm2
上500kΩ・cm2以下とする。
【0028】透明導電層204の上には電流を効率よく
集電するために、格子状の集電電極205(グリッド)
を設けてもよい。集電電極205の具体的な材料として
は、例えば、Ti、Cr、Mo、W、Al、Ag、N
i、Cu、Sn、あるいは銀ペーストをはじめとする導
電性ペーストなどが挙げられる。導電性ペーストは、通
常微粉末状の銀、金、銅、ニッケル、カーボンなどをバ
インダーポリマーに分散させたものが用いられる。バイ
ンダーポリマーとしては、例えば、ポリエステル、エポ
キシ、アクリル、アルキド、ポリビニルアセテート、ゴ
ム、ウレタン、フェノールなどの樹脂が挙げられる。
【0029】集電電極205の形成方法としては、マス
クパターンを用いたスパッタリング、抵抗加熱、CVD
法や、全面に金属膜を蒸着した後で不必要な部分をエッ
チングで取り除きパターニングする方法、光CVDによ
り直接グリッド電極パターンを形成する方法、グリッド
電極パターンのネガパターンのマスクを形成した後にメ
ッキする方法、導電性ペーストを印刷する方法、印刷し
た導電性ペーストに金属ワイヤーを半田で固定する方法
などがある。
【0030】最後に起電力を取り出すために出力端子2
06を導電性基体201と集電電極205に取付ける。
導電性基体201へは銅タブ等の金属体をスポット溶接
や半田で接合する方法が取られ、集電電極205へは金
属体を導電性ペーストや半田207によって電気的に接
続する方法が取られる。
【0031】上記の方法で作製した光起電力素子は、所
望する電圧あるいは電流に応じて直列か並列に接続され
る。また、絶縁化した基板上に光起電力素子を集積化し
て所望の電圧あるいは電流を得ることもできる。
【0032】次に、本発明の特徴である硬質透明樹脂層
102について詳しく説明する。
【0033】硬質透明樹脂層102は光起電力素子10
1の凹凸を被覆し、外部環境から光起電力素子101を
有機高分子樹脂層103と共に保護することはもちろん
のこと、光起電力素子101と外部との電気絶縁性を向
上させる役割を持っている。従って、後述する有機高分
子樹脂層103同様、高透明性の他に、耐候性、接着
性、耐熱性が要求される。
【0034】硬質透明樹脂層102は、下記一般式
(1) XSiYn3-n・・・(1) (式中、Xはグリシドキシプロピル基またはβ−(3,
4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、Yはアルコキ
シ基、Rはアルキル基、nは1〜3を示す)で表される
化合物を添加した樹脂よりなる。一般式(1)で表され
る化合物の添加量は、樹脂に対し0.1〜10重量%が
好ましい。
【0035】一般式(1)で表される化合物としては、
具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシランなどのエポキシ系シランカップリング剤が挙
げられるが、なかでもγ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシランは光起電力素子101の透明導電層204
との接着性はもとより、耐熱性、耐黄変性の向上効果が
大きく、好適に用いられる。
【0036】また、硬質透明樹脂層102は架橋された
樹脂を主成分とすることが好ましい。架橋剤としては、
ポットライフが十分長いこと、架橋反応が速やかで架橋
剤からの遊離物がないか、あるいは微量であることが好
ましい。かかる要求を満たすものとしては、イソシアネ
ートが挙げら、特にブロッキングイソシアネートが好ま
しい。
【0037】イソシアネートモノマーの化学構造では、
例えばトリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソ
シアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネー
ト、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサ
ン(H6XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネー
ト、m−イソプロペニル−α,αジメチルベンジルイソ
シアネート等があるが、優れた透明性が必要とされる用
途では難黄変型XDI、無黄変型(IPDI、H6XD
I、HDI)が好ましい。これらのうちでも、H6XD
I、HDIが特に好ましい。
【0038】上記イソシアネートモノマーは、一般には
イソシアネートプレポリマーとして用いられており、テ
トラメチレンプロパノール(TMP)のアダクト系、ビ
ュレット系、イソシアヌレート系、アルファネイト系に
大別される。耐候性、耐熱性が求められる用途の場合、
TMPアダクト、イソシアヌレートを用いるのが好まし
い。
【0039】また、イソシアネートのブロック剤として
は、アセト酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)
オキシムなどのオキシム類、εカプロラクタム等のラク
タム類、フェノール類、アルコール類などがあるが、塗
膜形成時や高温使用時での塗膜の黄変をなくすためには
εカプロラクタム、アルコールを用いるのが好ましく、
特にεカプロラクタムが好ましい。
【0040】硬質透明樹脂層102に好適に用いられる
樹脂としは、アクリル樹脂、アルコキシシラザンなどの
シリコン樹脂、フッ素樹脂を主成分とする樹脂が挙げら
れる。より好ましくはアクリル樹脂、アクリル樹脂と無
機ポリマーが架橋された樹脂である。無機ポリマーとし
ては特に限定されないが、例えば、シロキサン、シラザ
ンメタロシロキサン、メタロシラザン等の珪素化合物の
重合体及びこれらの混合物から選ばれる。
【0041】また、耐候性、表面硬度を向上させる目的
で無機酸化物粒子を硬質透明樹脂層中に含有させてもよ
い。無機酸化物粒子としては、400nm乃至1000
nmの波長域において実質的に透明になるような粒径の
粒子を選択することが望ましく、具体的には一次粒子の
平均径で5nm以上50nm以下であることが好まし
い。無機酸化物としては、耐候性に富む不活性で硬い材
料であることが望ましく、酸化珪素、酸化亜鉛、酸化
錫、酸化チタン、酸化アルミニウムを好適に用い得る。
【0042】さらに高温下での熱安定性を付与するため
に、酸化防止剤を少なくとも1種類樹脂に対して0.0
5〜1.0重量%添加してもよい。酸化防止剤の化学構
造としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、高
分子型フェノール系、硫黄系、燐酸系に大別される。
【0043】モノフェノール系では、例えば2,6−ジ
−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロ
キシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−
エチルフェノール等がある。
【0044】ビスフェノール系では、例えば2,2’−
メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチル
フェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチ
ル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チ
オビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノー
ル)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6
−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス{1,
1−ジメチル−2−〔β−(3−tert−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シエチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ}
5,5ウンデカン等が挙げられる。
【0045】高分子フェノール系としては、例えば1,
1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−
tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリ
メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキ
ス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブ
チル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メ
タン、ビス(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’
−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グ
リコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−
ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−
s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)ト
リオン、トリフェノール(ビタミンE)等が知られてい
る。
【0046】一方、硫黄系では、例えばジラウリルチオ
ジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネー
ト、ジステアリルチオプロピオネートなどがある。
【0047】燐酸系では、例えばトリフェニルホスファ
イト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジ
イソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス
−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−
トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタン
テトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス
(モノおよび/またはジフェニルホスファイト、ジイソ
デシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,1
0−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンス
レン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジ
ヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−
10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒ
ドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サ
イクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−
tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリッ
クネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert
−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビ
ス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホス
ファイト等がある。
【0048】表面充填材としての透明な有機高分子樹脂
層103は光起電力素子101を樹脂で被覆し、外部環
境から光起電力素子101を保護するために必要であ
る。また、表面フィルム104がある場合は表面フィル
ム104を光起電力素子101に接着する役割も果た
す。従って、高透明性の他に、耐候性、接着性、耐熱性
が要求される。
【0049】具体的には、例えばエチレン−酢酸ビニル
共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重
合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体
(EEA)、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体(E
BA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EM
M)、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体(EE
M)等の熱可塑性ポリオレフィン樹脂、ポリビニルブチ
ラール(PVB)、シリコンーン樹脂、エポキシ樹脂、
またはアクリル樹脂などが好適な材料として用いられ
る。これらの樹脂の中で、熱可塑性ポリオレフィン樹脂
が好ましく、入手の容易さと経済性の観点からみて好ま
しいのはEVAとEEAである。
【0050】これら有機高分子樹脂層103の樹脂は、
熱変形温度が低いために高温下での使用では変形やクリ
ープを起こすので耐熱性や接着性を向上させるために架
橋することが好ましい。架橋する方法としては、一般
に、イソシアネート、メラミン、有機過酸化物などを添
加し加熱する方法である。本発明に使用される架橋剤と
してはポットライフが十分長いこと、架橋時の架橋反応
が速やかなことのほかに、有機高分子樹脂層103上に
表面フィルム104が積層されるため、架橋剤からの遊
離物がないかあるいは微量であることが好ましい。
【0051】加えて、熱酸化防止剤や光安定性向上のた
めに、紫外線吸収剤や光酸化防止剤を添加することも可
能である。また、光起電力素子101と有機高分子樹脂
層103、有機高分子樹脂層103と表面フィルム10
4との密着力が不十分である場合にはシランカップリン
グ剤、チタネートカップリング剤を使用、併用すること
によりその密着性の改善を図ることができる。
【0052】透明な表面フィルム104は太陽電池モジ
ュールの最表層に位置するため耐候性、撥水性、耐汚染
性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋
外暴露における長期信頼性を確保するための性能が必要
である。
【0053】本発明に好適に用いられる材料としては四
フッ化エチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリ
フッ化ビニル樹脂(PVF)、ポリフッ化ビニリデン樹
脂(PVDF)、ポリ四フッ化エチレン樹脂(TF
E)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体
(FEP)、ポリ三塩化エチレン樹脂(CTFE)があ
る。耐候性の観点ではポリフッ化ビニリデン樹脂が優れ
ているが、耐候性および機械的強度の両立では四フッ化
エチレン−エチレン共重合体が優れている。
【0054】有機高分子樹脂層103の樹脂との接着性
の改良のために、コロナ放電、プラズマ処理を表面フィ
ルム104に行うことが望ましい。また、機械的強度向
上のために延伸処理が施してあるフィルムを用いること
も可能であり、さらにSiOx蒸着処理することでより
優れた耐候性を付与することも可能である。
【0055】尚、上記表面被覆構成の太陽電池モジュー
ルで光起電力素子101に到達する光量の減少をなるべ
く抑えるために、硬質透明樹脂層102、有機高分子樹
脂層103、表面フィルム104を積層した表面被覆の
光透過率は、400nm以上800nm以下の可視光波
長領域において80%以上であることが望ましく、90
%以上であることがより望ましい。また、大気からの光
の入射を容易にするために、屈折率が1.1から2.0
であることが好ましく、1.1から1.6であることが
より好ましい。
【0056】裏面充填材105は光起電力素子101と
裏面被覆フィルム106との接着を図るためのものであ
る。材料としては、導電性基体201と十分な接着性を
確保でき、しかも長期耐久性に優れ、熱膨張、熱収縮に
耐えられる、柔軟性を兼ね備えた材料が好ましい。好適
に用いられる材料としては、EVA、ポリビニルブチラ
ール等のホットメルト材、両面テープ、柔軟性を有する
エポキシ接着剤が挙げられる。また、有機高分子樹脂層
103と同じ材料であってもよい。
【0057】太陽電池モジュールが高温で使用される場
合、例えば屋根材一体型などでは高温下での接着を確実
にするために、架橋することがより好ましい。EVAな
どの架橋法としては、有機過酸化物を用いる方法が一般
的である。
【0058】裏面被覆フィルム106は光起電力素子1
01の導電性基体201と外部との電気的絶縁を保つた
めにも必要である。材料としては、導電性基体201と
十分な電気絶縁性を確保でき、しかも長期耐久性に優
れ、熱膨張、熱収縮に耐えられる、柔軟性を兼ね備えた
材料が好ましい。好適に用いられるフィルムとしては、
ナイロン、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0059】裏面被覆フィルム106の外側には、太陽
電池モジュールの機械的強度を増すために、あるいは、
温度変化による歪、ソリを防止するために、補強板を張
りつけてもよい。例えば、鋼板、プラスチック板、FR
P(ガラス繊維強化プラスチック)板が好ましい。
【0060】以下、本発明の太陽電池モジュールの製造
方法の一例を説明する。
【0061】光起電力素子101表面に硬質透明樹脂層
102を形成する方法としては、樹脂塗料をコーテイン
グする方法、例えば光起電力素子を樹脂塗料に浸け込む
方法、エアースプレーにて霧状にして塗布する方法、エ
アレススプレーにて液状で塗布する方法等が挙げられ、
いずれの場合も溶剤を蒸発させながら、または蒸発させ
てから樹脂を架橋する。または、粉体状の樹脂を光起電
力素子表面に均一に静電吸着後加熱し、架橋させる方法
もある。
【0062】有機高分子樹脂層103で光起電力素子1
01表面を被覆するには、溶剤に溶かした樹脂を塗布し
た後、溶剤を蒸発させる方法、粉体状の樹脂を光起電力
素子表面に均一に付着させ、加熱溶融する方法、加熱溶
融させた樹脂をスリットから光起電力素子上に押し出す
方法、加熱溶融させた樹脂をスリットから押し出しシー
トを作製し、これを光起電力素子上に加熱圧着する方法
などが挙げられる。
【0063】樹脂を溶剤に溶かす場合は、同時に、シラ
ンカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの種
々の添加剤を混合しておく。これを光起電力素子に塗布
して乾燥する。また粉体状樹脂を溶融する場合や樹脂を
溶融させて押し出す場合も予め添加剤を混入しておく必
要がある。
【0064】有機高分子樹脂層103が光起電力素子1
01上に形成した後、裏面に裏面充填材105、裏面被
覆フィルム106を、表面に表面フィルム104を重ね
加熱圧着することにより太陽電池モジュールを得る。補
強板を設けるときは接着剤を介して裏面被覆フィルム1
06に重ねて圧着すればよく、これは前記工程を同時に
行っても、工程後に行っても構わない。
【0065】尚、有機高分子樹脂層103がシート状に
成形されている場合は、光起電力素子101と表面フィ
ルム104の間に挿入して同様に加熱圧着して太陽電池
モジュールとすることができる。
【0066】加熱圧着の方法としては、従来公知である
真空ラミネーション、ロールラミネーションなどを種々
選択して用いることができる。
【0067】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
るが本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるもので
はない。
【0068】(実施例1) 〔光起電力素子〕モルファスシリコン(a−Si)光起
電力素子を製作する。作成手順を図2を用いて説明す
る。
【0069】洗浄した導電性基体201としてのステン
レス基板上に、スパッタ法で裏面反射層202としてA
l層(膜厚5000オングストローム)とZnO層(膜
厚5000オングストローム)を順次形成する。
【0070】ついで、プラズマCVD法により、SiH
4とPH3とH2の混合ガスからn型a−Si層を、Si
4とH2の混合ガスからi型a−Si層を、SiH4
BF3とH2の混合ガスからp型μc−Si層を形成し、
n層膜厚150オングストローム/i層膜厚4000オ
ングストローム/p層膜厚100オングストローム/n
層膜厚100オングストローム/i層膜厚800オング
ストローム/p層膜厚100オングストロームの層構成
のタンデム型a−Si光半導体活性層203を形成し
た。
【0071】次に、透明導電層204として、In23
薄膜(膜厚700オングストローム)を、O2雰囲気下
でInを抵抗加熱法で蒸着することによって形成した。
【0072】この後、光起電力素子の欠陥除去処理を行
う。すなわち、電導度が50乃至70mSとなるように
調製した塩化アルミニウムの水溶液中に、光起電力素子
と、光起電力素子の透明導電層204と対向するように
電極板を浸漬し、光起電力素子をアースとして電極板に
3.5ボルトの正電位を2秒間印加することにより、シ
ャントしている部分の透明導電層204を選択的に非活
性化した。この処理により、光起電力素子のシャント抵
抗は処理前1kΩ・cm2乃至10kΩ・cm2であった
のに対し、処理後は50kΩ・cm2乃至200kΩ・
cm2に改善された。
【0073】最後に、集電電極205としてのグリッド
電極を設ける。スクリーン印刷により形成された幅20
0ミクロンの銅ペーストのライン上に沿って直径100
ミクロンの銅線を布線し、その上にクリーム半田をのせ
た後、半田を溶融させることにより銅線を銅ペースト上
に固定し、集電電極205とした。マイナス側端子とし
て銅タブを導電性基体201にステンレス半田を用いて
取り付け、プラス側端子としては錫箔のテープを半田2
07にて集電電極205に取り付け、出力端子206と
し、光起電力素子を得た。
【0074】次に、太陽電池モジュールの作製方法を図
3を用いて説明する。
【0075】〔被覆材〕硬質透明樹脂層302として
は、有機溶剤にアクリル樹脂、無機ポリマーとεカプロ
ラクタムでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネ
ートを均一に溶解または分散させた樹脂塗料(昭和テク
ノコート製、商品名ファインハードN36−21F、樹
脂固形分30%)100重量部に、シランカップリング
剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、商品名SH
6040)2.8重量部添加した樹脂組成物をエアレス
スプレーにより光起電力素子301受光面に塗布し、加
熱により溶剤を蒸発させ、樹脂を架橋させた。
【0076】有機高分子樹脂層303としては、EVA
(酢酸ビニル含有量33重量%)100重量部に対し
て、架橋剤として、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(アトケム吉富社
製、商品名ルパゾール101)3重量部、シランカップ
リング剤としてγ−メタクリルオキシプロピルトリメト
キシシラン(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、
品番SZ6030)1.0重量部、紫外線吸収剤として
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン
(アメリカンサイアナミド社製、商品名サイアソーブU
V−531)0.3重量部、光安定化剤としてビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケート(チバガイギー社製、商品名チヌビン770)
0.1重量部、酸化防止剤としてトリス(モノ−ノニル
フェニル)フォスファイト(ユニロイヤル社製、商品名
ナウガードP)0.2重量部をそれぞれ添加したものを
加熱溶融させ、Tダイのスリットから押し出して成形し
た厚さ460ミクロンのシート状EVA(以下、EVA
シート、ハイシート工業社製、商品名ソーラーEVA)
を用いた。
【0077】表面フィルム304としては、有機高分子
樹脂層303との接着面をコロナ放電処理したETFE
フィルム(デユポン社製、商品名テフゼルT2フィル
ム、一軸延伸、厚さ30ミクロン)を、裏面被覆フィル
ム305としてはEVAシートを、裏面被覆フィルム3
06としてはポリエチレンテレフタレート(東レ社製、
厚さ50ミクロン)を用いた。
【0078】〔ラミネーション〕光起電力素子受光面の
硬質透明樹脂層に上記EVAシートと表面フィルムを、
裏側にEVAシートと裏面被覆フィルムを重ね、真空ラ
ミネート装置を用いて加圧脱気しながら150℃で30
分間加熱した。
【0079】以上の工程により、本発明を実施した太陽
電池モジュールを得た。
【0080】(実施例2)実施例1において、硬質透明
樹脂層に用いたヘキサメチレンジイソシアネートを1,
3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンに変え
た以外は全く同様にして太陽電池モジュールを作製し
た。
【0081】(実施例3)実施例1において、有機高分
子樹脂層として用いたEVAをEEAに変えた以外は全
く同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0082】(実施例4)実施例1において、硬質透明
樹脂層に用いたイソシアネートのブロック剤であるεカ
プロラクタムをMEKオキシムに変えた以外は全く同様
にして太陽電池モジュールを得た。
【0083】(比較例1)実施例1において、硬質透明
樹脂層に用いたγ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シランを添加しない以外は全く同様にして太陽電池モジ
ュールを得た。
【0084】(比較例2)実施例1において、硬質透明
樹脂層のかわりにEVA層460ミクロンを用いた以外
は全く同様にして太陽電池モジュールを得た。
【0085】(比較例3)実施例1において、硬質透明
樹脂層を用いない以外は全く同様にして太陽電池モジュ
ールを得た。
【0086】(評価方法)上記実施例および比較例で作
製した太陽電池モジュールについて以下の項目について
以下のとおり評価を行った。
【0087】(1)燃焼性 太陽電池モジュールを水平に22°傾いたデッキ上に設
置し、太陽電池モジュールの表面被覆材側に760±2
8℃のガスバーナー炎を10分間あて、次にように評価
した。 ○:炎の広がりがサンプル先端から6フィートを越えな
い場合。 ×:炎の広がりがサンプル先端から6フィートを越える
場合。
【0088】(2)耐熱性 太陽電池モジュールを150℃の雰囲気中に15時間放
置し、表面被覆材の光透過率の変化を観察し、次のよう
に評価した。 ◎:黄変しない場合。 ○:わずかに黄変するが実用上さしつかえない場合。 ×:黄変が著しく耐熱性に問題がある場合。
【0089】(3)接着性 JISK54008.5.2に準拠する方法により、硬
質透明樹脂層と光起電力素子の透明導電層との密着力を
次のように評価した。 ○:全く剥離がみられなかった場合。 ×:剥離が見られる場合。
【0090】(4)温度変化に対する耐久性 太陽電池モジュールを雰囲気温度−40度/2時間:雰
囲気温度85度、湿度85%/22時間からなる試験サ
イクルを20回繰り返した後、当該太陽電池モジュール
の外観を目視により評価した。試験結果は以下の評価基
準で示す。 ◎:外観の変化の全くない場合。 ○:外観の変化が多少あるが実用上さしつかえない場
合。 ×:外観上、信頼性を大きく損なう剥離、亀裂、着色が
見られる場合。
【0091】(5)耐候性 サンシャインウエザーメーターに太陽電池モジュールを
投入し、光照射および降雨サイクルにより5000時間
施す加速耐候性試験を行い、該太陽電池モジュールの外
観上の変化を評価した。外観上の変化の評価は目視で行
い、評価結果は以下の評価基準で示した。 ◎:外観に全く変化のない場合。 ○:外観上に多少の変化は見られるが実用上採用に値す
る程度である場合。 ×:剥離、亀裂、着色等が見られ採用に値しない場合。
【0092】(6)電気絶縁性 太陽電池モジュールを25℃の水道水に30日間浸漬し
た後、モジュールを伝導度3000Ω・cmの電解質溶
液に浸して、素子と溶液との間に2200ボルトの電圧
を印加したときの漏れ電流によって表面フィルムの電気
絶縁性を評価した。漏れ電流が50μAを越えた場合を
不合格とした。表には合格を○、不合格を×で示した。
【0093】以上の評価結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】表1から明らかなように、硬質透明樹脂層
の形成に用いた一般式(1)で表される化合物が、素子
表面の透明導電層と硬質透明樹脂層あるいは硬質透明樹
脂層とその上に積層された透明な有機高分子樹脂層との
密着性を向上させることはもちろんのこと、モジュール
高温使用時における表面被覆材の黄変を抑制する効果が
あった。
【0096】表面被覆材の黄変は、有機高分子樹脂層と
して用いたEVAが酸化劣化時に酢酸を遊離し、この遊
離酢酸により硬質透明樹脂層に残存するεカプロラクタ
ムと反応し黄変すると予想される。一般式(1)で表さ
れる化合物を添加した樹脂で硬質透明樹脂層を形成する
ことで発生した酸を捕捉することができるので黄変を抑
制できるものと考えられる。また、EVAのかわりにE
EAを用いた場合ではEEAの酸化分解反応では酸の発
生が起こらないため表面被覆材の黄変はさらに抑制され
る。
【0097】イソシアネートのブロック剤としてMEK
オキシムを用いた実施例4では、硬質透明樹脂層を加熱
形成中にMEKオキシムが分解し、反応性の高い窒素化
合物を生成するため、εカプロラクタムを使用した場合
よりも黄変しやすいが、一般式(1)で表される化合物
の黄変抑制効果により実用に耐えるものであった。
【0098】さらに、接着性、耐熱性の向上により、い
ずれの実施例も温度変化に対する耐久性試験、耐候性試
験において表面被覆材の剥離や着色などの外観上の変化
は認められなかった。また、電気絶縁性についても硬質
透明樹脂層の素子および透明な有機高分子樹脂層との接
着性向上により、表面被覆材中への水分の侵入が抑制さ
れ、高度な絶縁性を保つことができ、長期間安全に使用
できる太陽電池モジュールとすることができた。
【0099】
【発明の効果】本発明により以下の効果が得られる。
【0100】(1)硬質透明樹脂層の光起電力素子への
密着性が向上する。すなわち、高温高湿使用時に表面被
覆材が光起電力素子から剥がれることによる太陽電池モ
ジュール特性低下を防止できる。
【0101】(2)耐熱性に優れた被覆となる。すなわ
ち、高温使用時に表面被覆材に黄変が生じる問題を防止
できる。
【0102】(3)防湿性に優れた被覆となる。すなわ
ち、被覆材中に水分が侵入しにくく、湿度による太陽電
池特性の低下を抑制できる。
【0103】(4)電気絶縁性に優れた被覆となる。す
なわち、光起電力素子から発生した電流が外部へ漏れる
ことを防止し、湿潤環境下でも外部との電気絶縁性を保
つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの概略断面図の一
例である。
【図2】本発明の太陽電池モジュールで使用する、光起
電力素子の基本構成を示す概略断面図の一例である。
【図3】実施例1の太陽電池モジュールの概略断面図で
ある。
【図4】従来の太陽電池モジュールの一例を示す概略断
面図である。
【符号の説明】
101、301、404 光起電力素子 102、302、403 硬質透明樹脂層 103 有機高分子樹脂層 104、304、401 表面フィルム 105 裏面充填材 106、305、306 裏面被覆フィルム 201 導電性基体 202 裏面反射層 203 半導体光活性層 204 透明導電層 205 集電電極 206 出力端子 207 半田 303 充填材 401 フッ化物重合体薄膜層 402 熱可塑性透明有機樹脂 405 絶縁体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 33/00 C08L 33/00 101/00 101/00 (72)発明者 小森 綾子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 山田 聡 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光起電力素子の光入射側に硬質透明樹脂
    層を設け、その上に少なくとも一層の透明な有機高分子
    樹脂層を積層した太陽電池モジュールにおいて、前記硬
    質透明樹脂層が、下記一般式(1) XSiYn3-n・・・(1) (式中、Xはグリシドキシプロピル基またはβ−(3,
    4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、Yはアルコキ
    シ基、Rはアルキル基、nは1〜3を示す)で表される
    化合物を添加した樹脂よりなることを特徴とする太陽電
    池モジュール。
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)で表される化合物の添
    加量が樹脂に対し、0.1〜10重量%であることを特
    徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 【請求項3】 前記硬質透明樹脂層が架橋された樹脂を
    主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載
    の太陽電池モジュール。
  4. 【請求項4】 前記架橋された樹脂がイソシアネートに
    より架橋された樹脂であることを特徴とする請求項3に
    記載の太陽電池モジュール。
  5. 【請求項5】 前記イソシアネートのモノマー体がヘキ
    サメチレンジイソシアネートまたは1,3−ビス(イソ
    シアナトメチル)シクロヘキサンであることを特徴とす
    る請求項4に記載の太陽電池モジュール。
  6. 【請求項6】 前記イソシアネートがブロッキングイソ
    シアネートであることを特徴とする請求項4または5に
    記載の太陽電池モジュール。
  7. 【請求項7】 前記ブロッキングイソシアネートのブロ
    ック剤がε−カプロラクタムであることを特徴とする請
    求項6に記載の太陽電池モジュール。
  8. 【請求項8】 前記硬質透明樹脂層がアクリル樹脂を主
    成分とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の太陽電池モジュール。
  9. 【請求項9】 前記硬質透明樹脂層がアクリル樹脂と無
    機ポリマーを架橋してなる樹脂を主成分とすることを特
    徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の太陽電池
    モジュール。
  10. 【請求項10】 前記硬質透明樹脂層が無機酸化物粒子
    を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1
    項に記載の太陽電池モジュール。
  11. 【請求項11】 前記無機酸化物粒子の一次粒子の平均
    径が5nm以上50nm以下であることを特徴とする請
    求項10に記載の太陽電池モジュール。
  12. 【請求項12】 前記無機酸化物粒子が酸化珪素、酸化
    亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化アルミニウムのいずれ
    かから選択される無機酸化物の粒子であることを特徴と
    する請求項10または11に記載の太陽電池モジュー
    ル。
  13. 【請求項13】 前記有機高分子樹脂層が熱可塑性ポリ
    オレフィン樹脂から選択される樹脂であることを特徴と
    する請求項1〜12のいずれか1項に記載の太陽電池モ
    ジュール。
  14. 【請求項14】 前記有機高分子樹脂層がエチレン−酢
    酸ビニル共重合体(EVA)またはエチレン−アクリル
    酸エチル共重合体(EEA)から選択される樹脂である
    ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載
    の太陽電池モジュール。
  15. 【請求項15】 前記光起電力素子が第一の電極として
    の導電性基体、光変換部材としての半導体光活性層、第
    二の電極としての透明導電層を有することを特徴とする
    請求項1〜14のいずれか1項に記載の太陽電池モジュ
    ール。
  16. 【請求項16】 前記半導体光活性層が非単結晶半導体
    薄膜であることを特徴とする請求項15に記載の太陽電
    池モジュール。
  17. 【請求項17】 前記非単結晶半導体薄膜がアモルファ
    スシリコンであることを特徴とする請求項16に記載の
    太陽電池モジュール。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008091531A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Sanyo Electric Co Ltd 太陽電池モジュール
WO2010073932A1 (ja) * 2008-12-24 2010-07-01 富士電機システムズ株式会社 太陽電池モジュール
JP2011246582A (ja) * 2010-05-26 2011-12-08 Dic Corp 硬化性樹脂組成物、太陽電池用保護シート及び太陽電池モジュール
JP2012216677A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Dainippon Printing Co Ltd 易接着性裏面保護シート及びそれを用いた太陽電池モジュール

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