JPH11177110A - 太陽電池モジュール及びその製造方法 - Google Patents

太陽電池モジュール及びその製造方法

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JPH11177110A
JPH11177110A JP9340965A JP34096597A JPH11177110A JP H11177110 A JPH11177110 A JP H11177110A JP 9340965 A JP9340965 A JP 9340965A JP 34096597 A JP34096597 A JP 34096597A JP H11177110 A JPH11177110 A JP H11177110A
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solar cell
cell module
decorative tape
polymer resin
organic polymer
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JP9340965A
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English (en)
Inventor
Ayako Komori
綾子 小森
Takahiro Mori
隆弘 森
Satoshi Yamada
聡 山田
Hidenori Shiozuka
秀則 塩塚
Ichiro Kataoka
一郎 片岡
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光起電力素子に実装される金属部材に接する
透明有機高分子樹脂の劣化を防ぎ、難燃性、実装部材上
の耐スクラッチ性、各部材の充填性にすぐれ、繊維状無
機化合物の浮き出しがない高信頼性太陽電池モジュール
を提供する。 【解決手段】 光起電力素子101の少なくとも光受光
面側が透明有機高分子樹脂103で被覆されている太陽
電池モジュールにおいて、少なくとも光起電力素子10
1上の金属部材よりなる凸部111と、透明有機高分子
樹脂103との間に、着色樹脂フィルム106の両側に
有機高分子樹脂層107を設けた化粧テープ105を有
する太陽電池モジュール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池モジュー
ル及びその製造方法に係り、特に光受光面側をそれに接
する透明有機高分子樹脂で被覆された太陽電池モジュー
ルの光起電力素子実装部材上の被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する意識の高まりが
世界的に広がりを見せている。中でも、CO2排出に伴
う地球の温暖化現象に対する危惧感は深刻で、クリーン
なエネルギーヘの希求はますます強まってきている。太
陽電池は現在のところ、その安全性と扱いやすさから、
クリーンなエネルギー源として期待のもてるものだとい
うことができる。
【0003】太陽電池には様々な形態がある。代表的な
ものとしては、 (1)結晶シリコン太陽電池 (2)多結晶シリコン太陽電池 (3)アモルファスシリコン太陽電池 (4)銅インジウムセレナイド太陽電池 (5)化合物半導体太陽電池 などがある。この中で、薄膜結晶シリコン太陽電池、化
合物半導体太陽電池及びアモルファスシリコン太陽電池
は比較的低コストで大面積化が可能なため、最近では各
方面で活発に研究開発が進められている。
【0004】更に、これらの太陽電池の中でも、導電性
金属基板上にシリコンを堆積し、その上に透明導電層を
形成したアモルファスシリコン太陽電池を代表とする薄
膜太陽電池は、軽量でかつ耐衝撃性、フレキシブル性に
富んでいるので、将来のモジュール形態として有望視さ
れている。
【0005】導電性金属基板上に半導体層を有した薄膜
太陽電池は、ガラス基板上にシリコンを堆積する場合と
異なり、光入射側表面を透明な被覆材で覆い、太陽電池
を保護する必要がある。
【0006】図5はこのような従来の太陽電池モジュー
ルを示す概略断面図である。図5に於いて、503は表
面透明樹脂フィルム、502は透明有機高分子樹脂、5
01は光起電力素子、504は絶縁体層として硬質フィ
ルム、505は補強板である。より具体的には、表面透
明樹脂フィルム503はETFE(エチレン−テトラフ
ルオロエチレン共重合体)フィルム、PVF(ポリフッ
化ビニル)フィルム等のフッ素樹脂フィルムであり、透
明有機高分子樹脂502はEVA(エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体)、ブチラール樹脂等であり、硬質フィルム
504はポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロ
ンフィルム、アルミラミネートテドラーフィルムをはじ
めとする種々の有機樹脂硬質フィルムである。その他図
示していないが、集電電極は、金、銀、半田、導電性ペ
ースト等であり、端子および金属箔には、銅、銀、半田
メッキ銅、銀メッキ銅、錫メッキ銅などが用いられる。
【0007】この例において透明有機高分子樹脂502
は、光起電力素子501と表面透明樹脂フィルム503
及び硬質フィルム504、硬質フィルム504と光起電
力素子501の裏側の接着剤としての役割と、実装部材
の凹凸を埋め、外部からの引っかき、衝撃から太陽電池
を保護する充填材の役割をはたしている。
【0008】前述のように、最表面の表面透明樹脂フィ
ルム503としてはエチレン−テトラフルオロエチレン
共重合体フィルム、ポリフッ化ビニルフィルム等のフッ
素樹脂フィルムやフッ素樹脂塗料等を用いた透明なフッ
化物重合体薄膜が用いられた。フッ化物重合体は耐候性
・撥水性に富んでおり、樹脂の劣化による黄変・白濁あ
るいは表面の汚れによる光透過率の減少に起因する太陽
電池モジュールの変換効率の低下を少なくすることがで
き、さらにアモルファスシリコンのフレキシブル性を十
分にいかした、柔軟性をもった太陽電池モジュールとす
ることができる。
【0009】さらに、その内側の充填材としての透明有
機高分子樹脂502には、エチレン−酢酸ビニル共重合
体(EVA)、シリコン樹脂などの種々の透明有機高分
子樹脂が用いられてきた。一般的には、安価であり内部
の光起電力素子501を保護するための充填材として大
量に用いることができ、耐熱性および耐候性に優れた透
明有機高分子樹脂として知られているEVAを用いるこ
とが多い。
【0010】また、光起電力素子501上には一般的に
発電した電力を効率よく取り出すための実装部材が設け
られており、透明有機高分子樹脂502はこれらの実装
部材を封止し外部からの衝撃から守るという効果も持っ
ている。
【0011】更に、表面透明フィルム503としてフッ
化物重合体薄膜等の樹脂フィルムを用いた場合、ガラス
を用いた太陽電池モジュールに比べ、耐スクラッチ性が
低下するため、充填材として用いられる透明有機高分子
樹脂502中に、ガラス繊維不織布などの繊維状無機化
合物を含浸させ表面被覆材として用いることが多い。こ
うすることによって、少量の透明有機高分子樹脂502
により高い耐スクラッチ性が得られる。燃焼エネルギー
が大きく、非常に燃えやすい透明有機高分子樹脂502
の使用量を少なくすることはすなわち太陽電池モジュー
ルの難燃化につながる。さらに、繊維状無機化合物は太
陽電池モジュール作成時の脱気性の向上にも大きな働き
をしており、屋根設置タイプ、屋根材一体タイプなどの
大型モジュールにおいては特に重要な役割をもつ。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の構
成においては、光起電力素子501表面は、実装部材上
も発電領域上も全て同じ被覆構成で被覆されていた。こ
の従来構成による問題点としては以下のようなことがあ
げられる。 1.実装部材に使用する金属の変色・腐食。 2.実装部材上およびその周辺の透明有機高分子樹脂の
劣化・変色。 3.実装部材上のガラス繊維の浮き出し。 4.実装部材上の耐スクラッチ性の低下。
【0013】問題点1及び2は、透明有機高分子樹脂5
02と接している金属表面が銅であり、透明有機高分子
樹脂502がEVAである時に特に著しい。この部分に
光や熱、水分といった環境因子が複合的に加味されたと
き上記の現象が加速的に生じる。これは、光・熱・水分
などの環境因子および銅の触媒作用によりEVAの劣化
の加速、EVAの分解生成物である酢酸による銅の腐
食、あるいはそれらの相乗作用によるものと考えられ
る。このような問題により、銅箔上のEVAさらには銅
箔周辺のEVAの変色が引き起こされるため、発電領域
において光起電力素子501に到達する光量が減少し、
太陽電池の発電効率を低下させることになる。
【0014】これらを解決する方法としては、材料の変
更および環境因子のいずれかの遮断があげられる。材料
の変更としては、透明有機高分子樹脂502としてEV
A以外の充填材を使えば良い。例えば、シリコン樹脂や
フッ素樹脂など耐候性に優れた樹脂が挙げられるが、こ
れらの樹脂は非常に高価であり実際の製品に取り入れる
ことは難しい。また環境因子のいずれかひとつを削除す
れば、各々の劣化・変色は非常に軽減されるが、現実に
は、太陽電池モジュールとは屋外で長期に使用する物で
あるため熱・水分を遮断することは非常に難しい。
【0015】次に、問題点3であるが、光起電力素子5
01の実装部材部分は発電領域に対して凸になってい
る。被覆する際には、これらの凹凸を吸収し、平滑にす
る方向に充填材は流動するため、凸部である実装部材上
の透明有機高分子樹脂502の厚みは薄くなる。前述の
ように、表面被覆材として、耐スクラッチ性の確保およ
び作成時の脱気性の向上という点から繊維状無機化合物
を用いているが、透明有機高分子樹脂502の厚みが薄
いということは、繊維状無機化合物を充填する透明有機
高分子樹脂502の量が少ないということである。これ
により、長期屋外暴露、耐候性試験、耐熱性試験などの
環境試験により繊維状無機化合物が浮き出すという問題
が発生する。繊維状無機化合物が浮き出している部分
は、透明有機高分子樹脂502と繊維状無機化合物およ
び光起電力素子501が接していないため、これらの界
面で接着力は低下し、外部からの湿度の影響を受けやす
くなる。長期屋外使用される太陽電池モジュールにとっ
てはこれらの欠陥は致命的なものである。
【0016】これを解決するためには、透明有機高分子
樹脂502の量を増加すれば良いのだが、特にEVAは
非常に燃焼エネルギーが高く燃えやすいため、その量を
増加することは、難燃性を低下させることにつながり安
全性の点で問題が残る。さらにコスト的にも高価格とな
り低コスト下への動きに反する。
【0017】問題点4についても、前記した理由より実
装部材上の透明有機高分子樹脂502の厚みが薄くなる
ため耐スクラッチ性を確保できない。特に、この部分は
凸になるために外部からの衝撃・荷重を受けやすいため
このことは大きな問題となる。
【0018】上記のような問題を解決する方法として、
金属部材と透明有機高分子樹脂502の間に別材料から
なる樹脂フィルムを挿入し、直接金属部材と透明有機高
分子樹脂502を接触しないような方法があげられる。
この樹脂フィルムとしては安価で耐スクラッチ性にも優
れるポリエチレンテレフタレートフィルム等が望まし
い。しかし、この場合実装部材の凹凸を透明有機高分子
樹脂502で充填することができなくなり、フィルムと
実装部材の間に空隙ができる。長期屋外使用などにより
水分の侵入、剥離等が発生する確率が高く長期信頼性に
劣る。また、この方法においては、実装部材上の繊維状
無機化合物の浮き出しという問題は依然解決されないま
まである。
【0019】加えて、太陽電池モジュールの大型化が進
むにつれて、太陽電池モジュール作成時に十分な脱気が
できず充填不良・気泡残りなどが発生するという問題が
発生している。
【0020】本発明は前記太陽電池モジュールの欠点を
解決するために、光起電力素子に実装される金属部材に
接する透明有機高分子樹脂の劣化を防ぎ、長期屋外使用
に際しても変色・劣化などによる変換効率の低下がない
こと、さらに太陽電池モジュールが難燃性であること・
実装部材上の耐スクラッチ性を確保すること・各部材の
充填性にすぐれること・繊維状無機化合物の浮き出しが
ないこと、これらを全てを満足した高信頼性太陽電池モ
ジュールを作成すること、さらに大型太陽電池モジュー
ルにおいても上記の信頼性を低下させることないことを
目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者等は鋭意研究開
発を重ねた結果、光起電力素子上の金属部材よりなる凸
部と、透明有機高分子樹脂との間に、着色樹脂フィルム
の両側に有機高分子樹脂層を設けた化粧テープを配置す
ることにより上記課題を解決できることを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0022】すなわち、本発明は光起電力素子の少なく
とも光受光面側が透明有機高分子樹脂で被覆されている
太陽電池モジュールにおいて、少なくとも光起電力素子
上の金属部材よりなる凸部と、透明有機高分子樹脂との
間に、着色樹脂フィルムの両側に有機高分子樹脂層を設
けた化粧テープを有することを特徴とする太陽電池モジ
ュールである。
【0023】
【作用】本発明によれば以下の効果が期待できる。
【0024】(1)難燃性を確保しつつ、長期屋外使用
において繊維状無機化合物の浮き出しのない太陽電池モ
ジュールとすることができる。すなわち、凸部となる金
属部材上のみの透明有機高分子樹脂量を確保できるた
め、また金属部材上のみ樹脂量を増加させるため難燃性
も確保できる。
【0025】(2)金属部材上の耐スクラッチ性を確保
できる。すなわち、実装部材上と有機高分子樹脂間に別
部材の着色樹脂フィルムを設けることにより非常に高い
耐スクラッチ性を確保できる。
【0026】(3)金属部材の凹凸を充填できる。すな
わち、金属部材と着色樹脂フィルムの間に有機高分子樹
脂層を設けることにより金属部材による実装部の凹凸を
十分に吸収し充填することができる。
【0027】前記金属部材の少なくとも表面が銅以外の
金属よりなることにより(4)金属部材の腐食・酸化を
さらに防ぐことができる。すなわち、化粧テープの有機
高分子樹脂層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を使
用した際にも金属部材の腐食・酸化をさらに防ぐことが
できる。
【0028】前記化粧テープと前記金属部材の間に別材
料からなる接着剤層を設けることにより、(5)金属部
材と化粧テープのずれを防止できる。すなわち、金属部
材上に化粧テープを接着剤により固定した後、その上に
被覆材層を形成できるため、金属部材と化粧テープのア
ライメントずれを起こすことなく確実に化粧テープを金
属部材上に設けておくことができる。
【0029】さらに、前記化粧テープが太陽電池モジュ
ール端部に露出せず、かつ化粧テープの端部が、モジュ
ール端部から100mm以下の位置に存在することによ
り、(6)長期使用に渡り、外部からの水の侵入、剥離
をなくすことができる。すなわち、着色樹脂フィルムと
有機高分子樹脂層の界面はもっとも接着力の弱い界面で
あり、その程度は外部に露出しているとさらに低下が著
しいため、化粧テープ端部をモジュール端部に露出させ
ないことにより接着力の低下を抑制することができる。
(7)大型太陽電池モジュールの作成の際にも、脱気性
の優れたモジュールとすることができる。すなわち、モ
ジュール内部に充填不良・残留気泡等のない太陽電池モ
ジュールとすることができる。
【0030】前記化粧テープの着色樹脂フィルムの全光
線透過率が400nm〜800nmの全波長領域におい
て5%以下であることにより、(8)金属部材の有機高
分子樹脂による腐食、有機高分子樹脂の劣化を防ぐこと
ができる。また、着色樹脂フィルム自身の光による劣化
を防止できる。すなわち、着色樹脂フィルム内部に光が
到達しないため金属部材と有機高分子樹脂との相乗効果
を抑制することができる。また、金属部材を隠すことが
できるため美観に優れたモジュールとすることができ
る。
【0031】前記着色樹脂フィルムの融点が封止工程の
最高温度以上、好ましくは160℃以上の硬質高分子フ
ィルムであることにより(9)太陽電池モジュール作成
時の熱履歴に耐えうる樹脂フィルムとなる。すなわち、
モジュール作成時に着色樹脂フィルムが流動し、光起電
力素子上に流れ出して変換効率の低下をきたすことなく
太陽電池モジュールを作成できる。
【0032】前記着色樹脂フィルムの厚さが30μm〜
200μmであることにより(10)耐スクラッチ性を
確保でき、安全性の高い太陽電池モジュールとすること
ができる。
【0033】前記化粧テープの有機高分子樹脂層および
前記被覆材としての透明有機高分子樹脂がエチレン酢酸
ビニル−共重合体であることにより、(11)従来から
の太陽電池モジュールの被覆材として、最も用いられて
いる樹脂であり、現在の被覆材構成を大きく変更するこ
となく太陽電池モジュールを作成することができる。
【0034】前記化粧テープの有機高分子樹脂層の片側
あたりの厚さが50μm〜600μmであることによ
り、(12)金属部の凹凸を充填することができ、同時
に太陽電池モジュールとしての難燃性を確保し、長期使
用に際し繊維状無機化合物の浮き出しを抑制した、高信
頼性の太陽電池モジュールを低コストで作成することが
できる。
【0035】前記太陽電池モジュールの受光面側最表面
に表面透明樹脂フィルムを設けることにより、(13)
長期屋外暴露の際の外部からの汚れを防止し、太陽電池
モジュールの変換効率の低下を少なくすることができ
る。
【0036】前記最表面透明樹脂フィルム層が透明なフ
ッ化物重合体フィルムであるにより、(14)耐候性・
防汚性に優れた被覆となる。すなわち、充填材の透明有
機高分子樹脂と相まって、フッ化物重合体の有する耐候
性が期待でき、さらにフッ化物重合体の撥水性により表
面の汚れを軽減できる。
【0037】前記フッ化物重合体フィルムが、エチレン
−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)である
ことによって、(15)エチレン−テトラフルオロエチ
レン共重合体が有する耐候性・透明性・機械的強度をい
かした被覆材となる。
【0038】
【発明の実施の形態】太陽電池モジュールの構成 図1は本発明の太陽電池モジュールの一例を示す概略構
成図である。
【0039】図1に於いて、101は光起電力素子、1
02は繊維状無機化合物、103は充填材としての透明
有機高分子樹脂、104は最表面に位置する表面透明樹
脂フィルム、105は着色樹脂フイルム106、有機高
分子樹脂層107よりなる化粧テープ、108は裏面接
着層、109は絶縁層としての硬質フィルム、110は
補強板である。
【0040】また、光起電力素子101上には、プラス
側出力端子111が設けられ、非受光面側にはマイナス
出力端子112が設けられている。化粧テープl05は
接着剤層113によってプラス側出力端子111に固定
される。外部からの光は、表面被覆材を透過して、光起
電力素子101に到達し、生じた起電力は出力端子(不
図示)より外部に取り出される。
【0041】[光起電力素子101]光起電力素子10
1としては、1)結晶シリコン太陽電池、2)多結晶シ
リコン太陽電池、3)アモルファスシリコン太陽電池、
4)銅インジウムセレナイド太陽電池、5)化合物半導
体太陽電池など従来公知な素子を目的に応じて種々選択
して用いて良い。
【0042】ここではその一例として導電性基体上に光
変換部材としての半導体光活性層と透明導電層が形成さ
れたものについて説明する。概略構成を図2に示すが、
図2(a)は光起電力素子の平面図、図2(b)はその
集電電極を省いた状態で示したA−A′断面図、図2
(c)はそのB−B′断面図である。図2に於いて20
1は導電性基体、202は裏面反射層、203は半導体
光活性層、204は透明導電層、205は集電電極、2
06aはプラス側出力端子、206bはマイナス側出力
端子、そして207は絶縁テープである。
【0043】導電性基体201は光起電力素子の基体に
なると同時に、下部電極の役割も果たす。材料として
は、シリコン、タンタル、モリブデン、タングステン、
ステンレス、アルミニウム、銅、チタン、カーボンシー
ト、鉛メッキ鋼板、導電層が形成してある樹脂フィルム
やセラミックスなどがある。
【0044】上記導電性基体201上には裏面反射層2
02として、金属層、あるいは金属酸化物層、あるいは
金属層と金属酸化物層を形成しても良い。金属層には、
例えば、Ti,Cr,Mo,W,Al,Ag,Ni,な
どが用いられ、金属酸化物層には、例えば、Zno,T
iO2,SnO2などが用いられる。上記金属層及び金属
酸化物層の形成方法としては、抵抗加熱蒸着法、電子ビ
ーム蒸着法、スパッタリング法などがある。
【0045】半導体光活性層203は光電変換を行う部
分である。具体的な材料としては、pn接合型多結晶シ
リコン、pin接合型アモルファスシリコン、あるいは
CulnSe2,CuInS2,GaAs,CdS/Cu
2S,CdS/CdTe,CdS/InP,CdTe/
Cu2Teをはじめとする化合物半導体などが挙げられ
る。半導体光活性層203の形成方法としては、多結晶
シリコンの場合は溶融シリコンのシート化か非晶質シリ
コンの熱処理、アモルファスシリコンの場合はシランガ
スなどを原料とするプラズマCVD、化合物半導体の場
合はイオンプレーティング、イオンビームデポジショ
ン、真空蒸着法、スパッタ法、電析法などがある。
【0046】透明導電層204は光起電力素子の上部電
極の役目を果たしている。用いる材料としては、例え
ば、In23,SnO2,In23−SnO2(IT
O),ZnO,TiO2,Cd2SnO4,高濃度不純物
ドープした結晶性半導体層などがある。形成方法として
は抵抗加熱蒸着、スパッタ法、スプレー法、CVD法、
不純物拡散法などがある。
【0047】透明導電層204の上には電流を効率よく
集電するために、格子状の集電電極205(グリッド)
を設けてもよい。集電電極205の具体的な材料として
は、例えば、Ti,Cr,Mo,W,Al,Ag,N
i,Cu,Sn、あるいは銀ペーストをはじめとする導
電性ペーストなどが挙げられる。集電電極205の形成
方法としては、マスクパターンを用いたスパッタリン
グ、抵抗加熱、CVD法や、全面に金属膜を蒸着した後
で不必要な部分をエッチングで取り除きパターニングす
る方法、光CVDにより直接グリッド電極パターンを形
成する方法、グリッド電極パターンのネガパターンのマ
スクを形成した後にメッキする方法、導電性ペーストを
印刷する方法などがある。導電性ペーストは、通常微粉
末状の銀、金、銅、ニッケル、カーボンなどをバインダ
ーポリマーに分散させたものが用いられる。バインダー
ポリマーとしては、例えば、ポリエステル、エポキシ、
アクリル、アルキド、ポリビニルアセテート、ゴム、ウ
レタン、フェノールなどの樹脂が挙げられる。
【0048】起電力を取り出すために出力端子206
a,206bを導電性基体201と集電電極205に取
り付ける。出力端子206a,206bには、通常の金
属部材、すなわち表面もしくは全体が銅、銀、半田、ニ
ッケル、亜鉛、錫などの金属部材が用いられるが、化粧
テープの有機高分子樹脂層としてEVAを用いる場合に
は少なくとも表面が銅以外の金属であることが好まし
い。導電性基体201へは銅タブ等の金属体をスポット
溶接や半田で接合する方法が取られ、集電電極205へ
は金属体を導電性ペーストや半田によって電気的に接続
する方法が取られる。
【0049】絶縁テープ207は、プラス側の出力端子
206aの下側に、導電性基体201とプラス側出力端
子206aを絶縁するために貼りつける。出力端子上で
半田付け作業を行なうことも考えられるため、絶縁テー
プ207には、耐熱性も要求される。使用される材料と
しては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、シ
リコン、ガラスクロス等の単体のテープあるいはこれら
のうちの2種類以上を貼り合わせたテープを使用する。
【0050】上記の手法で作成した光起電力素子101
は、所望する電圧あるいは電流に応じて直列か並列に接
続される。また、これとは別に絶縁化した基板上に光起
電力素子を集積化して所望の電圧あるいは電流を得るこ
ともできる。
【0051】上記の様な、出力端子206a,206b
としての金属部材は、発電領域外である導電性基体20
1の両端部に取り付けることが一般的である。さらに、
これらを直列化および並列化する際には、これら出力端
子を構成する金属部材に、直列部材あるいは並列部材
を、半田付け等で接続する。
【0052】[被覆材]次に、本発明に用いられる被覆
材の構成について詳しく説明する。
【0053】(化粧テープ105)初めに、化粧テープ
105について説明する。
【0054】化粧テープ105は、プラス側出力端子1
11上に設けられる。
【0055】プラス側出力端子111は光起電力素子1
01の受光面側に凸になって設けられている。そのた
め、この部分を被覆する被覆材の厚みも非常に薄くな
る。また、凸部分であるため非常に外部からの衝撃・荷
重を受けやすい場所であり、耐スクラッチ性を確保でき
ない。
【0056】本発明で用いる化粧テープ105として
は、着色樹脂フィルム106の両側に有機高分子樹脂層
107をあらかじめ積層したストリップを使用する。
【0057】着色樹脂フィルム106を使用することに
より、上記問題は解決される。
【0058】また、着色樹脂フィルム106の非受光面
側に有機高分子樹脂層107をあらかじめ積層している
ため、着色樹脂フィルム106により透明有機高分子樹
脂103が実装部材の凹凸に流れるのが阻止されること
がなく、凹凸を充填することができる。すなわち、着色
樹脂フィルム106と実装部材の間に、長期屋外使用中
に水分などの侵入がおこり安全性・変換効率の低下を促
す空隙ができることがない。
【0059】更に、着色樹脂フィルム106の非受光面
側にも有機高分子樹脂層107をあらかじめ積層してい
るため、初期には充填されていた繊維状無機化合物10
2が、長期屋外使用中に浮き出してくるという問題がな
い。
【0060】化粧テープ105の長さは、モジュールの
端部に露出せずかつモジュール端部から100mm以下
であることが望ましい。
【0061】モジュール端部に露出すると、着色樹脂フ
ィルム106と有機高分子樹脂層107の界面はもっと
も接着力の弱い界面であるため、その部分から剥離・浸
水しやすく、長期屋外使用への信頼性が得られにくい傾
向がある。
【0062】また、モジュール端部から化粧テープ10
5端部までの距離が100mmより大きいと、太陽電池
モジュール作成時の脱気性が低下する傾向があり、特に
大型太陽電池モジュールの場合は著しい充填不良及び残
留気泡が発生する傾向がある。これは、化粧テープ10
5をモジュール端部付近まで延長することにより透明有
機高分子樹脂103と補強板110の間に段差をつく
り、密着することを防止するため、脱気の流路を確保す
ることができるからである。このような段差を作成する
ための別部材を用意しても良いが、これはさらに生産時
の工程を増加させることになる。従って、化粧テープ1
05を延長することにより、工程数を増加することなく
上記の効果が得られる。
【0063】以下、化粧テープ105の各層について詳
しく説明する。
【0064】<着色樹脂フィルム106>着色樹脂フィ
ルム106としては、全光線透過率が400nmから8
00nmの全波長領域において5%以下であることが望
ましい。これによって、外部からの光を遮断できるた
め、樹脂の劣化を大幅に抑制することができる。
【0065】また、着色樹脂フィルム106は、補強版
110の少なくとも一部と同色系であることが好まし
い。例えば、黒色系硬質高分子フィルム等であることが
好ましい。
【0066】具体的には、ポリエチレンテレフタラート
(PET)、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル等の硬
質高分子フィルムが望ましく、融点が封止工程の最高温
度以上、具体的には160℃以上である硬質高分子フィ
ルムより好ましい。
【0067】そして、着色樹脂フィルム106の厚さ
は、30μm〜200μmが望ましい。30μm以上で
あれば実装部材上を十分に保護することができ、200
μm以下であれば応力が大きくなり、温湿度サイクルな
どを繰り返すうちにその部分から剥れが生じやすくなる
という問題がなく好ましい。
【0068】<有機高分子樹脂層107>有機高分子樹
脂層107としては、後述する透明有機高分子樹脂10
3と同様の樹脂を使用することができ、透明有機高分子
樹脂103と同一の樹脂を用いることが好ましく、EV
Aを用いることがより好ましい。
【0069】有機高分子樹脂層107の片側あたりの厚
みは50μm〜600μmがのぞましい。50μm以上
であれば、実装部材の凹凸を十分に充填でき、また繊維
状無機化合物の浮き出しを抑えることが十分にでき好ま
しい。また、600μm以下上であれば、化粧テープ1
05の部分だけが大きくでっぱり太陽電池モジュールの
美観性に劣るという問題、及び有機高分子樹脂量が多く
なり太陽電池モジュールとしての燃焼エネルギーが高く
なるという問題がなく好ましい。
【0070】(接着剤層113)化粧テープ105とプ
ラス側出力端子111の間に接着剤層を設けることによ
り、プラス側出力端子111上に化粧テープ105を接
着剤層113により固定した後、その上に被覆材層を形
成できるため、プラス側出力端子111と化粧テープ1
05のアライメントずれを起こすことなく確実に化粧テ
ープ105を配置することができ好ましい。
【0071】接着剤層113としては、化粧テープ10
5の有機高分子樹脂層107と異なる樹脂よりなること
が好ましく、具体的にはシリコン系粘着剤、アクリル系
粘着剤、特殊合成ゴム系接着剤等が挙げられる。
【0072】また、接着剤層113の厚みは、特に限定
されないが、25μm〜250μmであることが好まし
い。
【0073】(表面被覆材)次に本発明に用いられる表
面被覆材材料について詳しく説明する <透明有機高分子樹脂103>透明有機高分子樹脂10
3は、光起電力素子101の凹凸を樹脂で被覆し、素子
を温度変化、湿度、衝撃などの過酷な外部環境から守り
かつ表面フィルムと素子との接着を確保するために必要
である。したがって、耐候性、接着性、充填性、耐熱
性、耐寒性、耐衝撃性が要求される。
【0074】これらの要求を満たす樹脂としてはエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリ
ル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸
エチル共重合体(EEA)、ポリビニルブチラール樹脂
などのポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、シリコー
ン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
【0075】なかでも、EVAは太陽電池用途としてバ
ランスのとれた物性を有しており、好んで用いられる。
ただ、そのままでは熱変形温度が低いために容易に高温
使用下で変形やクリープを呈するので、架橋して耐熱性
を高めておくことが望ましい。EVAの場合は有機過酸
化物で架橋するのが一般的である。有機過酸化物による
架橋は有機過酸化物から発生する遊離ラジカルが樹脂中
の水素やハロゲン原子を引き抜いてC−C結合を形成す
ることによって行われる。有機過酸化物の活性化方法に
は、熱分解、レドックス分解およびイオン分解が知られ
ている。一般には熱分解法が好んで行われている。
【0076】有機過酸化物の化学構造の具体例として
は、ヒドロペルオキシド、ジアルキル(アリル)ペルオ
キシド、ジアシルペルオキシド、ペルオキシケタール、
ペルオキシエステル、ペルオキシカルボネートおよびケ
トンペルオキシドなどが挙げられる。なお、有機過酸化
物の添加量は有機高分子樹脂100重量部に対して0.
5〜5重量部である。
【0077】上記有機過酸化物を充填材に併用し、真空
下で加圧加熱しながら架橋および熱圧着を行うことが可
能である。加熱温度ならびに時間は各々の有機過酸化物
の熱分解温度特性で決定することができる。一般には熱
分解が90%より好ましくは95%以上進行する温度と
時間をもって加熱加圧を終了する。充填材樹脂の架橋を
確かめるにはゲル分率を測定すれば良く、高温下での充
填材樹脂の変形を防ぐためにはゲル分率が70wt%以
上となるように架橋することが望ましい。
【0078】上記架橋反応を効率良く行うためには、架
橋助剤と呼ばれるトリアリルイソシアヌレート(TAI
C)を用いることも可能である。一般には樹脂100重
量部に対して1〜5重量部の添加量である。
【0079】本発明に用いられる材料は耐候性において
優れたものであるが、更なる耐候性の改良、あるいは、
下層の保護のために、紫外線吸収剤を併用することもで
きる。紫外線吸収剤としては、公知の化合物が用いられ
るが、太陽電池モジュールの使用環境を考慮して低揮発
性の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。具体的には
サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール
系、シアノアクリレート系の各種有機化合物を挙げるこ
とができる。
【0080】紫外線吸収剤の他に光安定化剤も同時に添
加すれば、光に対してより安定なとなる。代表的な光安
定化剤はヒンダードアミン系光安定化剤である。ヒンダ
ードアミン系光安定化剤は紫外線吸収剤のようには紫外
線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによっ
て著しい相乗効果を示す。もちろんヒンダードアミン系
以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色
している場合が多く本発明のには望ましくない。
【0081】上記紫外線吸収剤および光安定化剤の添加
量は、充填材樹脂に対してそれぞれ0.1〜1.0wt
%、0.05〜1.0wt%が望ましい。
【0082】さらに、耐熱性・熱加工性改善のために酸
化防止剤を添加することも可能である。酸化防止剤の化
学構造としてはモノフェノール系、ビスフェノール系、
高分子型フェノール系、硫黄系、燐酸系がある。酸化防
止剤の添加量は充填材樹脂に対して0.05〜1.0w
t%であることが好ましい。
【0083】より厳しい環境下で太陽電池モジュールの
使用が想定される場合には充填材と光起電力素子101
あるいは表面透明樹脂フィルム104との接着力を向上
することが好ましい。さらに、表面被覆材として繊維状
無機化合物102を使用する場合には、これとの接着力
を向上させる必要がある。そのためには、シランカップ
リング処理が有効であり、シランカップリング剤の具体
例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス
(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシ
シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(ア
ミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0084】添加量は、充填材樹脂100重量部に対し
て0.1〜3重量部が好ましく、0.25〜1重量部が
より好ましい。
【0085】一方、光起電力素子101に到達する光量
の減少をなるべく抑えるために、表面は透明でなくては
ならず、具体的には光透過率が400nm以上800n
m以下の可視光波長領域において80%以上であること
が望ましく、90%以上であることがより望ましい。ま
た、大気からの光の入射を容易にするために、摂氏25
度における屈折率が1.1から2.0であることが好ま
しく、1.1から1.6であることがより好ましい。
【0086】上記添加剤を配合したEVAをシート状に
成型した太陽電池用のEVAシートが上市されている。
例えば、ハイシート工業(株)製のソーラーEVAや
(株)ブリヂストン製のEVASAFE・WGシリーズ
やSPRINGBORN・LABORATORIES・
INC.製のPHOTOCAPなどである。これらを光
起電力素子101と表面部材との間に挿入し加熱圧着す
ることにより容易に太陽電池モジュールを作製できる。
【0087】<繊維状無機化合物102>本発明で用い
られる繊維状無機化合物102は、透明有機高分子樹脂
103の量を減少させて、耐スクラッチ性を確保しつつ
難燃性材料とするために必要である。さらに、屋根や壁
設置タイプの大型の太陽電池モジュールでは、ラミネー
ション時の、モジュール内部の脱気を十分に行なうため
にも非常に有効である。使用する繊維状無機化合物とし
ては、ガラス繊維不織布を用いるのが一般的である。さ
らに、繊維状無機化合物と充填材の密着力を向上させる
ために繊維状無機化合物の表面にシランカップリング処
理することが望ましい。
【0088】<表面透明樹脂フィルム104>本発明で
用いられる表面透明樹脂フィルム104は太陽電池モジ
ュールの最表層に位置するため透明性、耐候性、耐汚染
性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋
外暴露における長期信頼性を確保するための性能が必要
である。本発明に好適に用いられる材料としては白板強
化ガラス、フッ素樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム
などがある。白板強化ガラスは透明性が高く、衝撃にも
強くて割れにくいため太陽電池モジュールの表面部材と
して広く用いられている。
【0089】しかし、最近ではモジュールに軽量性、フ
レキシブル性が求められる場合も多く、そのような場合
には樹脂フィルムが表面部材として用いられる。なかで
もフッ素樹脂フィルムは耐候性、耐汚染性に優れている
ため好んで用いられる。具体的にはポリフッ化ビニリデ
ン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂あるは四フッ化エチレン
−エチレン共重合体などがある。耐候性の観点ではポリ
フッ化ビニリデン樹脂が優れているが、耐候性および機
械的強度の両立と透明性ではエチレン−テトラフルオロ
エチレン共重合体が優れている。
【0090】表面透明樹脂フィルム104の厚さは機械
的強度の確保のためにある程度厚くなければならず、ま
たコストの観点からはあまり厚すぎるのにも問題があ
る。具体的には、20〜200マイクロメートルが好ま
しく、より好適には30〜100マイクロメートルであ
る。
【0091】なお、前記との接着性の改良のために、コ
ロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、UV照射、電子
線照射、火炎処理等の表面処理を樹脂フィルムの片面に
行うことが望ましい。この中でもコロナ放電処理は処理
速度が速く比較的簡易な装置で接着力の大きな向上が図
れるので好適に用いられる。
【0092】(裏面被覆材)次に本発明に用いられる裏
面被覆材材料について詳しく説明する <硬質フィルム109>硬質フィルム109は光起電力
素子101の導電性基体と外部との電気的絶縁を保つた
めに必要である。材料としては、導電性基体と充分な電
気絶縁性を確保でき、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、
熱収縮に耐えられる、柔軟性を兼ね備えた材料が好まし
い。好適に用いられるフィルムとしては、ナイロン、ポ
リエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0093】<補強板110>補強板110は、太陽電
池モジュールの機械的強度を増すため、あるいは温度変
化による反り、歪みを防止するのに必要である。具体的
には、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化
プラスチック)板が好ましい。特に、鋼板を用いたもの
は、折り曲げ加工等の加工性に優れ従来行なっているよ
うなフレーム付け無しで製品化することができる。屋根
や壁材として一体化された太陽電池モジュールとして使
用可能になり、コストダウンおよび製造工程の簡略化と
いう意味でも非常に有効である。さらに、補強板110
として有機高分子樹脂で塗装された鋼板を用いることに
より耐候性、防錆性に優れた高信頼性の太陽電池モジュ
ールを得ることができる。
【0094】<裏面接着層108>非受光面側に使用す
る裏面接着層108としては、受光面側に用いられもの
と同様の透明有機高分子樹脂であってもよい。しかし、
非受光面側に使用される裏面接着層に必要とされる性能
としては、受光面側に必要とされる光や熱等により着色
しないことよりも、光や熱、屋外での使用、温湿度サイ
クル試験などにおいて光起電力素子101と硬質フィル
ム109および補強板110との接着力が低下しないこ
とである。補強板110として、耐候性、防錆性に優れ
た表面が有機高分子で被覆された塗装亜鉛鋼坂などを用
いた場合等は、特に接着力が弱く、長期信頼性に大きな
問題がある。従って、有機高分子樹脂すなわちエチレン
−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル
酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エ
チル共重合体(EEA)、ポリエチレン、ブチラール樹
脂などのポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、シリコ
ーン樹脂、柔軟性を有するエポキシ接着剤の表面に、接
着力強化のために以下の材料をコーティングあるいは貼
り合わせることが望ましい。
【0095】材料としては、接着剤すなわちエチレン−
酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸
メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチ
ル共重合体(EEA)、ブチラール樹脂などのポリオレ
フィン系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などに、
粘着性付与樹脂すなわちタッキファイヤー、クマロンイ
ンデン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、ポリ
ペンテン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ポリ
ブテン、ロジン、ロジンペンタエリスリトールエステ
ル、ロジングリセリンエステル、水素添加ロジン、水素
添加ロジンメチルエステル、水素添加ロジンペンタエリ
スリトールエステル、水素添加ロジントリエチレングリ
コールエステル、重合ロジンエステル、脂肪族石油樹
脂、脂肪環石油樹脂、合成ポリテルテン、ペンタジエン
樹脂、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン系樹脂、テ
ルペン−フェノール樹脂等を混合したものが好ましい。
【0096】さらに、工程の簡略化のために、硬質フィ
ルム109の両側に、上記のような裏面接着層108を
あらかじめ一体積層した材料を用いても良い。
【0097】太陽電池モジュールの製造方法 以上述べた光起電力素子101、繊維状無機化合物10
2、透明有機高分子樹脂103、表面透明樹脂フィルム
104、化粧テープ105、接着剤層113、裏面接着
層108、硬質フィルム109、補強板110を用いて
太陽電池モジュールとする方法を次に説明する。
【0098】光起電力素子受光面を被覆するには、シー
ト状に成型した透明有機高分子樹脂103を作製しこれ
を素子の表裏に加熱圧着する方法が一般的である。太陽
電池モジュールの被覆構成は、図1に示されるような構
成である。すなわち、光起電力素子101、繊維状無機
化合物102、透明有機高分子樹脂103、表面透明樹
脂フィルム104、裏面接着層108、硬質フィルム1
09、裏面接着層108、補強板110を図1の順、あ
るいは逆の順で積層し、加熱圧着されている。また、プ
ラス側出力端子111上には接着剤層113により化粧
テープ105を積層、固定する。しかし、少量の充填材
により光起電力素子101を被覆する為にも、表面透明
樹脂フィルム104を上にした図1の順で積層すること
がより好適である。
【0099】なお、圧着時の加熱温度及び加熱時間は架
橋反応が十分に進行する温度・時間をもって決定する。
【0100】加熱圧着の方法としては従来公知である2
重真空排気方式、1重真空排気方式、ロールラミネーシ
ョンなどを種々選択して用いることができる。なかで
も、1重真空排気方式による加熱圧着は、低コストな装
置で、簡易に太陽電池モジュールを作成することができ
るため好ましい方法である。
【0101】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0102】尚、実施例で作製した太陽電池モジュール
について、下記項目の評価を行った。結果を表1に示
す。
【0103】(1)初期外観 太陽電池モジュールの初期外観を目視により評価した。
評価結果は、以下のような基準で表1に示す。 ○:外観上の欠陥が全くない場合。 △:外観上の欠陥が多少あるが実使用上さしつかえない
場合。 ×:脱気不良、モジュールの湾曲等外観上の欠陥が非常
に大きい場合。
【0104】(2)高温高湿度試験 折り曲げ加工した太陽電池モジュールを、85度/85
%(相対湿度)下に、1000時間および3000時間
投入した後、太陽電池モジュールを取り出し、外観上の
変化を目視により行なった。
【0105】さらに、取り出してから2時間後の漏れ電
流を測定した。漏れ電流の測定は、dry・hi−po
tおよびwet・hi−potの両方を行なった。 dry・hi−pot:素子と補強材との間に、220
0Vの電圧を印加した時の漏れ電流を測定。 wet・hi−pot:太陽電池モジュールを伝導度3
000Ω・cmの電界溶液に浸して、素子と溶液の間に
2200Vの電圧を印加した時の漏れ電流を測定。
【0106】外観上の変化に対しては、以下のような基
準で評価した。 ○:外観上の欠陥が全くない場合。 △:外観上の欠陥が多少あるが実使用上さしつかえない
場合。 ×:剥離、変色、モジュールの湾曲等外観上の欠陥が非
常に大きい場合。
【0107】漏れ電流に対しては、以下のような基準で
評価した。 ◎:漏れ電流が0μA以上1μA未満。 ○:漏れ電流が1μA以上50μA未満。 ×:漏れ電流が50μA以上。
【0108】(3)温湿度サイクル −40℃/1時間、85℃/85%RH/20時間の温
湿度サイクル試験を100サイクル行い、試験後の太陽
電池モジュールの外観上の変化を観察した。さらに、取
り出してから2時間後の漏れ電流を測定した。漏れ電流
の測定は、dry・hi−potおよびwet・hi−
potの両方を行なった。 dry・hi−pot:素子と補強材との間に、220
0Vの電圧を印加した時の漏れ電流を測定。 wet・hi−pot:太陽電池モジュールを伝導度3
000Ω・cmの電界溶液に浸して、素子と溶液の間に
2200Vの電圧を印加した時の漏れ電流を測定。
【0109】外観上の変化に対しては、以下のような基
準で評価した。 ○:外観上の欠陥が全くない場合。 △:外観上の欠陥が多少あるが実使用上さしつかえない
場合。 ×:剥離、変色、モジュールの湾曲等外観上の欠陥が非
常に大きい場合。
【0110】漏れ電流に対しては、以下のような基準で
評価した。 ◎:漏れ電流が0μA以上1μA未満。 ○:漏れ電流が1μA以上50μA未満。 ×:漏れ電流が50μA以上。
【0111】(4)耐候性 超エネルギー照射試験機(スガ試験機社製)に太陽電池
モジュールを投入し、メタルハライドランプによる5時
間の紫外線の照射(強度:100mw/cm2@300
nm−400nm、雰囲気:ブラックパネル温度70度
/湿度70%RH)と1時間の結露(温度30度/湿度
96%RH)を繰り返すデューサイクル試験を行ない、
2000時間後の外観上の変化を観察した。 ○:外観上の欠陥が全くない場合。 △:外観上の欠陥が多少あるが実使用上さしつかえない
場合。 ×:剥離、変色、モジュールの湾曲等外観上の欠陥が非
常に大きい場合。
【0112】(実施例1) 〔光起電力素子〕まず、アモルファスシリコン(a−S
i)太陽電池(光起電力素子)を製作する。作製手順を
図2を用いて説明する。
【0113】洗浄した導電性基体201としてのステン
レス基板上に、スパッタ法で裏面反射層202としてA
l層(膜厚5000Å)とZnO層(膜厚5000Å)
を順次形成する。
【0114】ついで、プラズマCVD法により、SiH
4とPH3とH2の混合ガスからn型a−Si層を、Si
4とH2の混合ガスからi型a−Si層を、SiH4
BF3とH2の混合ガスからp型微結晶μc−Si層を形
成し、n層膜厚150Å/i層膜厚4000Å/p層膜
厚100Å/n層膜厚100Å/i層膜厚800Å/p
層膜厚100Åの層構成のタンデム型a−Si光電変換
半導体層203を形成した。
【0115】次に、透明導電層204として、In23
薄膜(膜厚700Å)を、O2雰囲気下でInを抵抗加
熱法で蒸着する事によって形成した。さらに、集電電極
205としてグリッド電極を両面銀メッキ銅タブにより
形成し、最後にマイナス側出力端子206bとして銅タ
ブを導電性基体201にステンレス半田207を用いて
取り付け、プラス側出力端子206aとしては錫箔のテ
ープを導電性接着剤207にて集電電極205に取り付
け出力端子とし、光起電力素子を得た。
【0116】〔セルブロック〕上記素子を直列に接続し
て太陽電池セルブロックを作製する方法を図3を用いて
説明する。
【0117】各素子301を並べた後、隣り合う素子の
一方の素子のプラス側端子305aと他方の素子のマイ
ナス側端子305bとを銅タブ306で半田308を用
いて接続する。これにより10個の素子を直列化した外
形寸法350mm×2400mmの太陽電池セルブロッ
クを得た。この際、一番端の素子の出力端子に接続した
銅タブは裏面に回して後に述べる裏面被覆層の穴から出
力を取り出せるようにした。
【0118】〔モジュール化〕上記素子を被覆して太陽
電池モジュールを作製する方法を図4を用いて説明す
る。
【0119】図4(a)に示すように、セルブロック4
01のプラス側出力端子411に接着剤層413を貼り
付ける。
【0120】図4(b)に示すように、接着剤層付きセ
ルブロック401、繊維状無機化合物402、透明有機
高分子樹脂403、表面透明樹脂フィルム404、繊維
状無機化合物406、裏面一体積層フィルム407、補
強板408を積層することによりモジュールを作成し
た。
【0121】尚、化粧テープ405は、幅13mmのも
のを用意し、図4(c)に示すように、プラス側出力端
子411の上に沿わせる様に積層し、接着剤層413に
より固定する。
【0122】この積層体を一重真空室方式のラミネート
装置のプレート上に表面透明フィルム404側を上にし
て置き、シリコンラバーシートを重ねた。次いで、穴の
空いたパイプを通して、真空ポンプを用いて排気し、ラ
バーをプレートに吸着させた。この時の排気速度は、7
6Torr/sec.とし、内部の真空度5Torrで
30分間排気した。このプレートを、あらかじめ160
度雰囲気とした熱風オーブンの中に投入し、プレート温
度を140度以上の温度で、15分間保持することによ
りEVAの溶融と架橋反応を行った。その後、プレート
をオーブンより取り出し、ファンで風を送りプレートを
40度程度にまで冷却してから排気を止め太陽電池モジ
ュールを取り出した。
【0123】取り出し後、補強板408より大きい被覆
材は、補強板408の端部に合わせてカットし、さら
に、補強板408の長辺側端部を折り曲げ加工した。
【0124】出力端子はあらかじめ光起電力素子裏面に
まわしておき、ラミネート後、補強板408に予め開け
ておいた端子取り出し口から出力が取り出せるようにし
た。
【0125】(繊維状無機化合物402)目付量80g
/m2、厚さ400μm、結着剤アクリル樹脂4.0%
含有、線径10μmのガラス繊維不織布を用意した。
【0126】(繊維状無機化合物406)目付量20g
/m2、厚さ100μm、結着剤アクリル樹脂4.0%
含有、線径10μmのガラス繊維不織布を用意した。
【0127】(透明有機高分子樹脂403)透明有機高
分子樹脂としてエチレン−酢酸ビニル(酢酸ビニル33
重量%、メルトフローレート30)100重量部と架橋
剤としてt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
トを1.5重量部、UV吸収剤として2−ヒドロキシ−
4−n−オクトキシベンゾフェノンを0.3重量部、酸
化防止剤としてトリス(モノ−ノニルフェニル)フォス
ファイトを0.2重量部、光安定化剤としてビス(2,
2,6,6,−テトラメチル−4−ピベリジル)セパケ
ートを0.1重量部を混合し、460μm厚みのシート
を用意した。
【0128】(表面透明樹脂フィルム404)表面透明
樹脂フィルム404として、無延伸のエチレン−テトラ
フルオロエチレンフィルム(厚さ50μm)を用意し
た。透明有機高分子樹脂403との接着面には、あらか
じめプラズマ処理を施した。
【0129】(裏面一体積層フィルム407)裏面一体
積層フィルム407として、接着層として、エチレン−
アクリル酸エチル共重合体)(EEA)(厚さ200μ
m)とポリエチレン(PE)樹脂(厚さ25μm)、絶
縁フィルム2軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(PET)(厚さ50μm)を、EEA/PE/P
ET/PE/EEAの順で一体積層し総厚さ500μm
とした一体積層フィルムを用意した。
【0130】(補強板408)補強板408としては、
ガルバリウム鋼鈑(アルミニウム55%、亜鉛43.4
%、シリコン1.6%が一体となったアルミ・亜鉛合金
メッキ鋼鈑)に一方にはポリエステル系塗料を、もう一
方にはガラス繊維を添加したポリエステル系塗料をコー
トした鋼鈑を用意した。厚みは、400μmの鋼鈑とし
た。
【0131】(化粧テープ405)化粧テープとして
は、着色樹脂フィルムとしてのポリエチレンテレフタレ
ート(PET)フィルム(厚さ50μm、黒色、400
nm〜800nmの全波長領域における全光線透過率が
2.5%、融点263℃)の両側に、有機高分子樹脂層
としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(厚さ460μ
m)を一体積層したEVA/PET/EVAのフィルム
を用意した。
【0132】(接着剤層413)接着剤層としては、ア
クリル系糊(支持体なし、厚み50μm)を用意した。
【0133】(大きさ)繊維状無機化合物402、40
6は、セルブロック401よりも各辺5mm大きい物を
用意した。裏面一体積層フィルムは、セルブロックより
も各辺11mm大きいものを用意した。
【0134】補強板408は、セルブロック401より
も各辺100mm大きいものを用意した。
【0135】透明有機高分子樹脂403および表面透明
樹脂フィルム404は、セルブロック401よりも各辺
110mm大きいものを用意した。
【0136】化粧テープ405は、13mm幅でセルブ
ロック401から各辺80mm大きい物、即ち化粧テー
プ405の端部が太陽電池モジュール端部から20mm
に位置するものを用意した。
【0137】(実施例2)実施例1において、プラス側
出力端子411として銅タブを使用した以外は同様にし
て太陽電池モジュールを作成した。
【0138】(実施例3)実施例1において、あらかじ
めプラス側出力端子411上に化粧テープ405を固定
するための接着剤層413を使用しなかった以外は同様
にして太陽電池モジュールを作成した。
【0139】(実施例4)実施例1において、化粧テー
プ405に使用する着色樹脂フィルムを白色PETフィ
ルム(400nm〜800nmの全波長領域における全
光線透過率が15.8%、融点263℃)にした以外は
同様にして太陽電池モジュールを作成した。
【0140】(実施例5)実施例1において、化粧テー
プ405に使用する有機高分子樹脂層としてエチレン−
アクリル酸エチル共重合体(EEA)とした以外は同様
にして太陽電池モジュールを作成した。
【0141】(比較例1)実施例1において、化粧テー
プ405として受光面側にのみ有機高分子樹脂層を一体
積層したEVA/PETを使用した以外は同様にして太
陽電池モジュールを作成した。
【0142】(比較例2)実施例1において、化粧テー
プ405としてプラス側出力端子411側にのみ有機高
分子樹脂層を一体積層したPET/EVAを使用した以
外は同様にして太陽電池モジュールを作成した。
【0143】(比較例3)実施例1において、化粧テー
プ405として有機高分子樹脂層を持たない着色樹脂フ
ィルムのみの黒色ポリエチレンテレフタレートフィルム
を使用したこと以外は同様にして太陽電池モジュールを
作成した。
【0144】(比較例4)実施例1において、化粧テー
プ405の着色樹脂フィルムを無色透明なPETフィル
ム(400nm〜800nmの全波長領域における全光
線透過率が88.5%、融点263℃)にした以外は同
様にして太陽電池モジュールを作成した。
【0145】(比較例5)実施例1において化粧テープ
405を使用しなかったこと以外は同様にして太陽電池
モジュールを作成した。
【0146】
【表1】
【0147】表1から明らかなように、実施例の太陽電
池モジュールは、初期外観に優れた太陽電池モジュール
となった。また、高温高湿度環境、温湿度サイクル試験
および耐候性試験後にも剥離、気泡など外観上の変化は
全くなく良好であり、ほとんどのモジュールで漏れ電流
もいずれも1μA以下であり電気絶縁性は確保できた。
【0148】実施例3においても、接着剤層413によ
る化粧テープ405の仮固定を行なわなかったために若
干化粧テープ405がプラス側出力端子411上からず
れる物があったが、特性には問題はなく、長期使用に際
しても問題はない。
【0149】実施例4においても、化粧テープ405の
着色樹脂フィルムとして白いPETフィルムを使用した
ため黒いPETフィルムと比較して隠蔽力が小さいため
若干プラス側出力端子411の存在が外観上認識でき
る。しかし、耐候性試験後にも剥離その他の実使用にお
いて問題となるような欠陥はなく良好なモジュールあ
る。
【0150】これにより、実施例に示した全てのモジュ
ールにおいて、長期の使用に際して高い信頼性が確保で
きると考えられる。
【0151】これに対し、着色樹脂フィルムの両側に有
機高分子樹脂層を設けた化粧テープを使用しなかった比
較例では、高温高湿度試験、温湿度サイクル試験および
耐候性試験後に繊維状無機化合物の浮き出し、フィルム
からの剥離などの不良が発生した。
【0152】比較例1、3の様に着色樹脂フィルムのプ
ラス側出力端子411側に有機高分子樹脂層を介在させ
なかった太陽電池モジュールにおいては、環境試験を繰
り返したところ剥離が生じた。また、この隙間に水分な
どが侵入し電気絶縁性を低下させた。
【0153】比較例2、3の様に着色樹脂フィルムの受
光面側に有機高分子樹脂層を介在させなかった太陽電池
モジュールにおいては、プラス側出力端子411上に繊
維状無機化合物の浮き上がりが発生した。その程度は特
に耐候性試験後に著しかった。
【0154】比較例4に示した着色樹脂フィルムのかわ
りに透明なPETフィルムを用いた太陽電池モジュール
では、有機高分子樹脂層とプラス側出力端子411の金
属部材がふれ合っているところに太陽光があたるため腐
食が大きかった。
【0155】化粧テープを使用しなかった比較例5で
は、初期の脱気がうまくいかず充填不良となった。さら
に、表1には示していないが、外部からの引っかき等に
よる傷にも弱いことが確認されている。
【0156】
【発明の効果】本発明によれば、光起電力素子に実装さ
れる金属部材に接する透明有機高分子樹脂の劣化を防
ぎ、長期屋外使用に際しても変色、劣化などによる変換
効率の低下がなく、耐スクラッチ性を確保したモジュー
ルとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの一例を示す概略
構成図である。
【図2】本発明で使用する光起電力素子の一例を示す概
略断面図である。
【図3】光起電力素子を直列化した状態を示す概略断面
図である。
【図4】実施例1の太陽電池モジュールを示す図であ
る。
【図5】従来の太陽電池モジュールを示す概略断面図で
ある。
【符号の説明】
101、301、501 光起電力素子 102、402、406 繊維状無機化合物 103、403、502 透明有機高分子樹脂 104、404、503 表面透明樹脂フィルム 105、405 化粧テープ 106 着色樹脂フィルム 107 有機高分子樹脂層 108 裏面接着層 109、504 硬質フィルム 110、408、505 補強板 111、206a、305a、411 プラス側出力端
子 112、206b、305b、412 マイナス側出力
端子 113、413 接着剤層 201 導電性基体 202 裏面反射層 203 半導体光活性層 204 透明導電層 205 集電電極 207 絶縁テープ 306 銅タブ 307 絶縁テープ 308 半田 401 セルブロック 407 裏面一体積層フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塩塚 秀則 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 片岡 一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光起電力素子の少なくとも光受光面側が
    透明有機高分子樹脂で被覆されている太陽電池モジュー
    ルにおいて、少なくとも光起電力素子上の金属部材より
    なる凸部と、透明有機高分子樹脂との間に、着色樹脂フ
    ィルムの両側に有機高分子樹脂層を設けた化粧テープを
    有することを特徴とする太陽電池モジュール。
  2. 【請求項2】 凸部が、光起電力素子の出力端子である
    ことを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
  3. 【請求項3】 出力端子が、プラス側出力端子であるこ
    とを特徴とする請求項2記載の太陽電池モジュール。
  4. 【請求項4】 金属部材の少なくとも表面が銅以外の金
    属よりなることを特徴とする請求項1〜3記載の太陽電
    池モジュール。
  5. 【請求項5】 化粧テープと凸部の間に接着剤層を有す
    ることを特徴とする請求項1〜4記載の太陽電池モジュ
    ール。
  6. 【請求項6】 化粧テープの端部が、太陽電池モジュー
    ル端部から露出せず、かつ太陽電池モジュール端部から
    100mm以下に位置することを特徴とする請求項1〜
    5記載の太陽電池モジュール。
  7. 【請求項7】 化粧テープの着色樹脂フィルムの全光線
    透過率が、400nm〜800nmの全波長領域におい
    て5%以下であることを特徴とする請求項1〜6記載の
    太陽電池モジュール。
  8. 【請求項8】 化粧テープの着色樹脂フィルムが、融点
    が封止工程の最高温度以上である硬質高分子フィルムで
    あることを特徴とする請求項1〜7記載の太陽電池モジ
    ュール。
  9. 【請求項9】 化粧テープの着色樹脂フィルムが、被積
    層体の少なくとも一部と同色系であることを特徴とする
    請求項1〜8記載の太陽電池モジュール。
  10. 【請求項10】 化粧テープの着色樹脂フィルムの厚さ
    が30μm〜200μmであることを特徴とする請求項
    1〜9記載の太陽電池モジュール。
  11. 【請求項11】 化粧テープの有機高分子樹脂層が、透
    明有機高分子樹脂と同一樹脂よりなることを特徴とする
    請求項1〜10記載の太陽電池モジュール。
  12. 【請求項12】 化粧テープの有機高分子樹脂層がエチ
    レン−酢酸ビニル共重合体よりなることを特徴とする請
    求項11記載の太陽電池モジュール。
  13. 【請求項13】 化粧テープの有機高分子樹脂層の片側
    あたりの厚さが50μm〜600μmであることを特徴
    とする請求項1〜12記載の太陽電池モジュール。
  14. 【請求項14】 1重真空排気方式により貼り合わせ製
    造されることを特徴とする請求項1〜13記載の太陽電
    池モジュール。
  15. 【請求項15】 光起電力素子の少なくとも光受光面側
    が透明有機高分子樹脂で被覆されている太陽電池モジュ
    ールの製造方法において、少なくとも光起電力素子上の
    金属部材よりなる凸部と、透明有機高分子樹脂との間
    に、着色樹脂フィルムの両側に有機高分子樹脂層を設け
    た化粧テープを配置する工程を有することを特徴とする
    太陽電池モジュールの製造方法。
  16. 【請求項16】 凸部が、光起電力素子の出力端子であ
    ることを特徴とする請求項15記載の太陽電池モジュー
    ルの製造方法。
  17. 【請求項17】 出力端子が、プラス側出力端子である
    ことを特徴とする請求項16記載の太陽電池モジュール
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 金属部材の少なくとも表面が銅以外の
    金属よりなることを特徴とする請求項15〜17記載の
    太陽電池モジュールの製造方法。
  19. 【請求項19】 化粧テープと凸部の間に接着剤層を設
    けること特徴とする請求項15〜18記載の太陽電池モ
    ジュールの製造方法。
  20. 【請求項20】 化粧テープの端部を、太陽電池モジュ
    ール端部から露出せず、かつ太陽電池モジュール端部か
    ら100mm以下に配置すること特徴とする請求項15
    〜19記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  21. 【請求項21】 化粧テープの着色樹脂フィルムの全光
    線透過率が、400nm〜800nmの全波長領域にお
    いて5%以下であることを特徴とする請求項15〜20
    記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  22. 【請求項22】 化粧テープの着色樹脂フィルムが、融
    点が封止工程の最高温度以上である硬質高分子フィルム
    であることを特徴とする請求項15〜21記載の太陽電
    池モジュールの製造方法。
  23. 【請求項23】 化粧テープの着色樹脂フィルムが、被
    積層体の少なくとも一部と同色系であることを特徴とす
    る請求項15〜22記載の太陽電池モジュールの製造方
    法。
  24. 【請求項24】 化粧テープの着色樹脂フィルムの厚さ
    が30μm〜200μmであることを特徴とする請求項
    15〜23記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  25. 【請求項25】 化粧テープの有機高分子樹脂層が、透
    明有機高分子樹脂と同一樹脂よりなることを特徴とする
    請求項15〜24記載の太陽電池モジュールの製造方
    法。
  26. 【請求項26】 化粧テープの有機高分子樹脂層がエチ
    レン−酢酸ビニル共重合体よりなることを特徴とする請
    求項25記載の太陽電池モジュールの製造方法。
  27. 【請求項27】 化粧テープの有機高分子樹脂層の片側
    あたりの厚さが50μm〜600μmであることを特徴
    とする請求項15〜26記載の太陽電池モジュールの製
    造方法。
  28. 【請求項28】 1重真空排気方式により貼り合わせ製
    造することを特徴とする請求項15〜27記載の太陽電
    池モジュールの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009116638A1 (ja) * 2008-03-21 2009-09-24 株式会社ブリヂストン 一対の封止膜、及びこれを用いた太陽電池
JP2011146433A (ja) * 2010-01-12 2011-07-28 Toyota Motor Corp 太陽電池モジュール
JP4846567B2 (ja) * 2004-03-23 2011-12-28 株式会社ブリヂストン シート状接着剤及びそれを用いた積層体
JP2021064671A (ja) * 2019-10-11 2021-04-22 京セラ株式会社 太陽電池モジュール

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