JP3710187B2 - 太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール Download PDF

Info

Publication number
JP3710187B2
JP3710187B2 JP01828396A JP1828396A JP3710187B2 JP 3710187 B2 JP3710187 B2 JP 3710187B2 JP 01828396 A JP01828396 A JP 01828396A JP 1828396 A JP1828396 A JP 1828396A JP 3710187 B2 JP3710187 B2 JP 3710187B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solar cell
cell module
resin
inorganic compound
fibrous inorganic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP01828396A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09191116A (ja
Inventor
綾子 小森
秀則 塩塚
隆弘 森
一郎 片岡
聡 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP01828396A priority Critical patent/JP3710187B2/ja
Priority to EP04076657A priority patent/EP1458035A3/en
Priority to US08/731,571 priority patent/US6331673B1/en
Priority to EP96307508A priority patent/EP0769818A3/en
Priority to CNB961124482A priority patent/CN1161844C/zh
Priority to KR1019960046518A priority patent/KR100264406B1/ko
Publication of JPH09191116A publication Critical patent/JPH09191116A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3710187B2 publication Critical patent/JP3710187B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B17/00Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres
    • B32B17/02Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres in the form of fibres or filaments
    • B32B17/04Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres in the form of fibres or filaments bonded with or embedded in a plastic substance
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B17/00Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres
    • B32B17/06Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material
    • B32B17/10Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin
    • B32B17/10005Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin laminated safety glass or glazing
    • B32B17/1055Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin laminated safety glass or glazing characterized by the resin layer, i.e. interlayer
    • B32B17/10788Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material of synthetic resin laminated safety glass or glazing characterized by the resin layer, i.e. interlayer containing ethylene vinylacetate

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、改善された太陽電池モジュール、詳細には、光起電力素子の少なくとも光入射側表面が、繊維状無機化合物を含有する透明な有機高分子樹脂により被覆されている太陽電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題に対する意識の高まりが、世界的に広がりを見せている。中でも、CO2排出に伴う地球の温暖化現象に対する危惧感は深刻で、クリーンなエネルギーへの希求はますます強まってきている。こうした情況のもとで太陽電池は、その安全性と扱いやすさから、クリーンなエネルギー源として期待されていいる。ところで、太陽電池には様々な形態がある。代表的なものとしては、結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、銅インジウムセレナイド太陽電池、化合物半導体太陽電池などがある。これらの中で、薄膜結晶シリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池およびアモルファスシリコン太陽電池は比較的低コストで大面積化が可能なため、各方面で活発に研究開発が進められている。
【0003】
これらの太陽電池の中でも、導体金属基板上にシリコンを堆積し、その上に透明導電層を形成したアモルファスシリコン太陽電池を代表とする薄膜太陽電池は、軽量でかつ耐衝撃性、フレキシブル性に富んでいるので、将来のモジュール形態として有望視されている。ただ、ガラス基板上にシリコンを堆積する場合と異なり、光入射側表面を透明な被覆材で覆い、太陽電池を保護する必要があるため、表面被覆材には以下のような事項が要求される。すなわち、太陽電池発電に利用される可視光線の光領域に対し良好な透明性を持つこと(透明性)、外部からの引っ掻き、衝撃などの応力から内部の光起電力素子を保護すること(耐スクラッチ性)、屋外設置環境において、光起電力素子を保護すると同時に、その被覆材自身も劣化が少ないこと(耐候性)、そして被覆材自身が燃えにくいこと(難燃性)が要求される。
【0004】
このような条件を満たす表面被覆層として、従来は、最表面被覆材にガラスやアクリル樹脂フィルム、四フッ化エチレン−エチレン共重合体フィルム、ポリフッ化ビニルフィルムなどのフッ素樹脂フィルムやフッ素樹脂塗料などを用いた透明なフッ化物重合体薄膜が用いられ、そしてその内側には充填材として、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの種々の透明有機高分子樹脂が用いられている。該充填材は、それが安価であるため内部の光起電力素子を保護するために大量に用いることができ、耐熱性、耐候性に優れた透明有機高分子樹脂として知られているEVAを用いることが多い。しかし、最表面被覆材としてガラスを用いた場合、ガラスは重く、柔軟性がなく、高コストであるため、特にアモルファスシリコン太陽電池の場合には、その特徴点である、軽量、可とう性、低コストといった利点をいかせなくなる。そのため、アモルファスシリコン太陽電池の場合には、最表面被覆材として、透明なフッ化物重合体薄膜が用いられることが多い。該フッ化物重合体薄膜は耐候性・撥水性に富んでおり、樹脂の劣化による黄変・白濁あるいは表面の汚れによる光透過率の減少に起因する太陽電池モジュールの変換効率の低下を少なくすることができ、さらに柔軟性をもった太陽電池モジュールとすることができる。
【0005】
しかしながら、最表面被覆材としてフッ化物重合体薄膜などの樹脂フィルムを用いる場合、ガラスを用いた太陽電池モジュールに比べ、耐スクラッチ性が低下するため充填材として用いられる有機高分子材料中に、ガラス繊維不織布などの繊維状無機化合物を含浸させ表面被覆材として用いられることが多い。このように、繊維状無機化合物を太陽電池モジュールの表面被覆材として使用した従来の例としては、例えば、U.S.Department of Energy,Annual Report“Investigation of Test Methods,Material Properties,and Processes for Solar Cell Encapsulants”(June 1979),page 10−1(以下、文献1という)および“Final Report on the Investigation of Proposed Process Sequence for the Array Automated Assembly task”(Aug.1980),page233(以下、文献2という)に開示されている。ただし、この場合の目的は耐スクラッチ性の向上とは異なり、太陽電池セルと表面被覆材としてのガラスの距離の確保、太陽電池セルと外部との絶縁抵抗の確保、そして真空引きプロセスでの排気流路の確保にある。この他、特開昭60−1875号公報(以下、文献3という)には、太陽電池貼り合わせ製造工程において、セルが移動し隣接するセル同士が接触あるいは、ストリングが移動し、最表面のガラスからはみ出してしまうという問題を解決するために、ガラス繊維を充填材に含浸させて用いることが開示されている。更に、特公昭62−33756号公報(以下、文献4という)には、太陽電池素子をガラス繊維強化プラスチック中に埋設してなる太陽電池装置が開示されている。図6は、こうした太陽電池モジュールの被覆構成を示す従来例である。図6において、603はフッ化物重合体薄膜層、602は透明有機高分子樹脂、601は光起電力素子である。より具体的には、フッ化物重合体薄膜層603はETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)フィルム、PVF(ポリフッ化ビニル)フィルムなどのフッ素樹脂フィルムであり、透明有機高分子樹脂602はEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、ブチラール樹脂などである。
【0006】
上述したように、アモルファスシリコン太陽電池などのいわゆる薄膜太陽電池の場合には、その特徴点である軽量、可とう性、低コストといった利点をいかすためには、最表面被覆材としては樹脂フィルムを用いることが望ましい。ところが、ガラスを用いた太陽電池モジュールに比べ、最表面に樹脂フィルム層を設けた太陽電池モジュールでは、外部からの引っ掻き、衝撃などの応力に弱いため、これらの外部の衝撃から光起電力素子を保護する(内部保護)ために、充填材として用いられる透明有機高分子樹脂中に、ガラス繊維不織布などの繊維状無機化合物を含浸させ補強効果を高め表面被覆材として用いられることが多い。従って、透明有機高分子樹脂量については、ガラス繊維不織布を含浸するのに十分な量が必要である。ところが、透明有機高分子樹脂量が多い場合、以下のような問題がある。すなわち、表面被覆材の光透過率の低下を促し、これが原因で太陽電池モジュールの変換効率の低下をきたす。そしてまた、充填材として主に用いる有機高分子樹脂は、燃焼エネルギーが高く、燃えやすいため、充填材を厚くすることは難燃性を低下させることになる。特に、太陽電池モジュールを屋根に設置したり、屋根一体型太陽電池モジュールとし屋根材として用いる場合には、日本においては、建設大臣より「不燃材」としての指定を受けなければならず、アメリカ合衆国内では、UL1703で規定される燃焼性試験でクラスAに合格しなければならない。
【0007】
以上述べたように、可能なかぎり少量の透明有機高分子樹脂でガラス繊維不織布を含浸し、耐スクラッチ性、難燃性、初期充填性および高い変換効率を確保することが望まれる。しかし、ガラス繊維不織布を含浸した太陽電池モジュールにおいては、高温での長期屋外使用に際して、表面被覆材が着色し、変換効率の低下をきたすという問題がある。これは、ガラス繊維不織布の結着剤として使用している合成樹脂が着色するためである。また、これらを確保した被覆材において、長期屋外使用に際しガラス繊維が浮き出し、表面被覆材が不透明になるため、光起電力素子への光透過率を低下させることになり変換効率が低下するという問題もある。このようなガラス繊維の浮き出しは、光起電力基板状上の実装部材の上等凹凸の大きなところで特に顕著に発生してくる。この原因としては、透明有機高分子樹脂層を減らすことにより樹脂中に含まれる架橋剤が外部に揮発しやすくなり、架橋率が低下するため、透明有機高分子樹脂の劣化が促進されやすくなることが考えられる。ガラス繊維不織布の浮き出している部分は、接着剤としての透明有機高分子樹脂と樹脂フィルム、および充填材としての透明有機高分子樹脂と光起電力素子が接していないため、それらの界面での接着力は低下する。すなわち、外部からの湿度の影響を受けやすく、さらにはその界面を通じて外部からの水分が浸入し太陽電池の特性を低下させるだけでなく、そうした浸入水分を介してリーク電流を生じるため、寿命20年といわれている太陽電池モジュールの長期使用に関する信頼性に問題がある。さらには、屋根材として太陽電池モジュールを使用するにあたっては、50年という非常に長期にわたって屋根としての信頼性を持たなければならず、さらに大きな問題となる。上述したように、文献1および文献2には、ガラス繊維不織布として、Craneglass230(Crane and Company)を用いることが開示されている。しかし、Craneglass230は、結着剤として酢酸ビニル樹脂を使用しており、またその含有量は10%以上であるため、高温状況下での着色が著しい。すなわち、太陽電池モジュールの変換効率を低下させることになる。
【0008】
また、上述した文献3には、最外層に透明カバーガラスを用いて、光起電力素子直上あるいは直下に長ガラス繊維のマットを2枚重ねたガラス繊維群を配置し、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)により光起電力素子を充填してなる太陽電池モジュールが開示されている。しかし、この場合、最表面被覆材としてガラスを用いており、アモルファスシリコンの太陽電池モジュールにおいてはその利点をいかすことができなくなる。さらに、上述した文献4には、末端部の少ないガラス繊維を光起電力素子の上下両面に2枚配置したあと、樹脂を流し込み、最外層に表面保護皮膜で覆った太陽電池モジュールが開示されている。しかし、この場合光起電力素子の上にはガラス繊維は1枚であり、耐スクラッチ性を向上させるためには充填材としての有機高分子樹脂量を増加させるかあるいは1枚の不織布を厚いものにしなくてはならない。有機高分子樹脂量の増加は、難燃性の確保を困難とし、厚い不織布の使用は長期屋外暴露においてガラス繊維の浮き出しの原因となる。また、該文献4には、長期信頼性の確保に関しては述べられておらず、長期屋外使用後のガラス繊維の浮き出しについては、解決を要する点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の太陽電池モジュールにおける上述した問題を解決し、長期の屋外使用にあっても信頼性の高い改善された太陽電池モジュールを提供することにある。本発明の他の目的は、耐スクラッチ性、難燃性、初期充填性を確保し、さらに約20年間にわたり太陽電池としての特性を低下させることなく確保でき、また約50年間の長期使用にわたり屋根材としての高信頼性が得られるような、長期屋外暴露での表面被覆材の着色およびガラス繊維の浮き出しがなく最表面樹脂フィルムと透明有機高分子樹脂との接着力を確保できる信頼性の高い太陽電池モジュールを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究開発を重ねた。その結果、以下のようにすることにより上記目的が達成できることが判明した。すなわち、光起電力素子の少なくとも光入射側表面が、最表面に透明樹脂フィルム層を設けた、繊維状無機化合物を有する透明有機高分子樹脂からなる被覆材により被覆されている太陽電池モジュールにおいて、前記繊維状無機化合物がアクリル樹脂により結合したガラス繊維不織布であり、前記繊維状無機化合物が前記有機高分子樹脂の直上および/あるいは直下に、連続する2層以上の層として存在し、前記繊維状無機化合物中のアクリル樹脂の含有率が2.0%乃至6.0%であり、前記繊維状無機化合物の厚みが50μm乃至200μmであり、前記透明有機高分子樹脂の厚みが200μm乃至800μmであり、前記被覆材における前記繊維状無機化合物に対する前記有機高分子樹脂の重量比が4乃至12であり、前記透明樹脂フィルム層が無延伸であることを特徴とする。
【0011】
【作用】
上述した構成を基本とする太陽電池モジュールは、以下に述べるような態様を包含し、顕著な効果を奏する。
(1)高温や長期屋外使用での変色の少ない、耐熱性および耐候性に優れた被覆材となる。すなわち光および熱による変色が少ないアクリル樹脂を結着剤として使用することにより、高温や屋外による長期使用に際しても変換効率の低下の少ない太陽電池モジュールとすることができる。
(2)前記繊維状無機化合物が、前記有機高分子樹脂の直上および/あるいは直下に、存在することによって、繊維状無機化合物の浮き出しがなくなり、最表面樹脂フィルムと透明有機高分子樹脂層、および透明有機高分子樹脂層と光起電力素子との接着力が確保できるため、長期間の使用にわたり被覆材の光透過率の低下がない高信頼性をもつ太陽電池モジュールとすることができる。また、高い耐スクラッチ性も確保できる。具体的には、例えば、1層の繊維状無機化合物を有する従来の構成より、充填材中の空気を十分に脱気でき初期脱気性に優れると共に、十分な脱気が行われているため長期使用に際しても、繊維状無機化合物の浮き出しが抑制される。また、2層以上の繊維状無機化合物を用いることにより、繊維状無機化合物が均一化される。
(3)繊維状無機化合物の厚みを50μm乃至200μmにすることにより、上記(2)の効果をさらに高めることができる。すなわち、繊維同士の結着剤として使用している合成樹脂のマイグレーションが抑えられ、繊維状無機化合物は安定な状態になる。
(4)繊維状無機化合物に対する透明有機高分子樹脂の重量比が4乃至12であることにより、少量の透明有機高分子樹脂により、耐スクラッチ性に優れた被覆材となる。すなわち、繊維状無機化合物により、透明有機高分子樹脂を補強することにより、耐スクラッチ性を確保したまま、透明有機高分子樹脂の厚さを減らすことができる。
【0012】
(5)前記繊維状無機化合物中のアクリル樹脂の含有率を2.0%乃至6.0%とすることにより、上記(1)および(2)の効果をさらに高めることができ、加えて繊維状無機化合物のけばだちを抑え取り扱いがしやすくなる。すなわち、繊維状無機化合物に対する合成樹脂の解重合を最低限に抑えることができる。
(6)最表面透明樹脂フィルム層の光起電力素子側のぬれ指数が40dyne乃至45dyneとすることにより、接着力の優れた長期信頼性の高い被覆材となる。すなわち、樹脂フィルムと透明有機高分子樹脂を適正化し、初期における樹脂フィルムと透明有機高分子樹脂との接着力を向上することはもちろん、長期屋外暴露後の接着力においても高い信頼性の持てる被覆材となる。
(7)前記樹脂フィルムがフッ化物重合体であることにより、耐候性に優れた被覆となる。すなわち、充填材の透明有機高分子樹脂と相まって、フッ化物重合体の有する耐候性が望ましく発揮される。
(8)前記フッ化物重合体を四フッ化エチレン−エチレン共重合体にすることによって、該四フッ化エチレン−エチレン共重合体が有する耐候性・透明性・機械的強度を生かした被覆材となる。
【0013】
(9)透明樹脂フィルムのASTM D−882試験法における引っ張り破断伸びが縦方向、横方向ともに200%乃至800%とすることにより、クラックのない最表面被覆材となるため、外部からの水の浸入を防ぎ、外部との電気絶縁性を確保できる。
(10)前記透明有機高分子樹脂をエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)とすることにより、従来からの太陽電池モジュールの被覆材の構成を大きく変更することなしに上述した効果を得ることができる。
11)透明有機高分子樹脂の厚みが200μm乃至800μmであることにより、難燃性に優れた被覆材となる。すなわち、燃焼エネルギーが高い有機高分子樹脂量を減少させることにより難燃性を確保できる。
【0014】
【実施態様例】
本発明を以下の実施態様例により説明する。図1は、本発明の太陽電池モジュールの一例の概略構成図である。図1において、101は光起電力素子、102は繊維状無機化合物、103は表面充填材としての透明有機高分子樹脂、104は最表面に位置する透明な樹脂フィルム、105は裏面の充填材、106は裏面絶縁フィルムである。外部からの光は、最表面のフィルム104から入射し、光起電力素子101に到達し、生じた起電力は出力端子(不図示)より外部に取り出される。本発明の太陽電池モジュールにおける光起電力素子101は、代表的には、導電性基体上に光変換部材としての半導体光活性層と透明導電層が形成されたものである。その一例としての概略構成図を図2に示す。図2において、201は導電性基体、202は裏面反射層、203は半導体光活性層、204は透明導電層、205は集電電極、206は出力端子である。
【0015】
導電性基体201は光起電力素子の基体になると同時に、下部電極の役割も果たす。材料としては、シリコン、タンタル、モリブデン、タングステン、ステンレス、アルミニウム、銅、チタン、カーボンシート、鉛メッキ鋼板、導電層が形成してある樹脂フィルムやセラミックスなどがある。該導電性基体201上には、裏面反射層202として、金属層、あるいは金属酸化物層、あるいは金属層と金属酸化物層を形成してもよい。該金属層には、例えは、Ti,Cr,Mo,W,Al,Ag,Niなどが用いられる。また該金属酸化物層には、例えば、ZnO,TiO2,SnO2などが用いられる。これらの金属層および金属酸化物層は、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法などにより形成できる。
半導体光活性層203は光電変換を行う部分で、具体的な材料としては、pn接合型多結晶シリコン、pin接合型アモルファスシリコン、あるいはCuInSe2,CuInS2,GaAs,CdS/Cu2S,CdS/CdTe,CdS/InP,CdTe/Cu2Teをはじめとする化合物半導体などが挙げられる。該半導体光活性層は公知の方法で形成できる。すなわち、多結晶シリコンの場合は溶融シリコンのシート化か非晶質シリコンの熱処理、アモルファスシリコンの場合はシランガスなどを原料とするプラズマCVD、化合物半導体の場合はイオンプレーティング、イオンビームデポジション、真空蒸着法、スパッタ法、電析法などにより形成できる。
【0016】
透明導電層204は太陽電池の上部電極の役目を果たしている。用いる材料としては、例えば、In23,SnO2,In23−SnO2(ITO),ZnO,TiO2,Cd2SnO4,高濃度不純物ドープした結晶性半導体層などがある。形成方法としては抵抗加熱蒸着、スパッタ法、スプレー法、CVD法、不純物拡散法などがある。該透明導電層の上には電流を効率よく集電するために、格子状の集電電極205(グリッド)を設けてもよい。集電電極205の具体的な材料としては、例えば、Ti,Cr,Mo,W,Al,Ag,Ni,Cu,Sn、あるいは銀ペーストをはじめとする導電性ペーストなどが挙げられる。集電電極205の形成方法としては、マスクパターンを用いたスパッタリング、抵抗加熱、CVD法や、全面に金属膜を蒸着した後で不必要な部分をエッチングで取り除きパターニングする方法、光CVDにより直接グリッド電極パターンを形成する方法、グリッド電極パターンのネガパターンのマスクを形成した後にメッキする方法、導電性ペーストを印刷する方法などがある。前記導電性ペーストとしては、通常微粉末状の銀、金、銅、ニッケル、カーボンなどをバインダーポリマーに分散させたものが用いられる。バインダーポリマーとしては、例えば、ポリエステル、エポキシ、アクリル、アルキド、ポリビニルアセテート、ゴム、ウレタン、フェノールなどの樹脂が挙げられる。
【0017】
起電力を取り出すために出力端子206を導電性基体と集電電極に取り付ける。導電性基体へは銅タブなどの金属体をスポット溶接や半田207で接合する方法がとられ、集電電極へは金属体を導電性ペーストや半田207によって電気的に接続する方法がとられる。なお集電電極205に取り付ける際、出力端子が導電性金属基板や半導体層と接触して短絡するのを防ぐために絶縁体208を設けることが望ましい。
上述したようにして形成される光起電力素子は、所望する電圧あるいは電流に応じて直列か並列に接続される。直列の場合は前記出力端子のプラス側とマイナス側を、並列の場合は同極性どうしを接続する。また、これとは別に絶縁化した基板上に光起電力素子を集積化して所望の電圧あるいは電流を得ることもできる。なお、出力端子や素子の接続に用いる金属部材の材質としては、高導電性、半田付け性、コストなどを考慮して、銅、銀、半田、ニッケル、亜鉛、錫の中から選択することが望ましい。
【0018】
本発明において用いられる最表面樹脂フィルム104、表面充填材103および繊維状無機化合物102について以下に説明する。
表面充填材103は光起電力素子の凹凸を樹脂で被覆し、素子を温度変化、湿度、衝撃などの過酷な外部環境から守りかつ表面フィルムと素子との接着を確保するために必要である。しかし、同時に難燃性も要求されることから、繊維状の無機化合物を含有することにより、充填材の量を減少させて、耐スクラッチ性を確保しつつ難燃性材料となるような表面充填材とすることが望ましい。ところが、透明有機高分子樹脂に対する繊維状無機化合物の含有率が高くなると、弊害として、長期屋外暴露において繊維状無機化合物と透明有機高分子樹脂の間で剥離が起こり、繊維状無機化合物の浮き出しが起こるという問題が起こる。すなわち、難燃性を確保するため、また光透過率を向上させ太陽電池モジュールの変換効率を向上させるためには、充填材の厚さは薄いほうがよく、機械的強度、光起電力素子の凹凸、長期屋外暴露における繊維状無機化合物の浮き出しのない高信頼性の被覆材とするためにはある程度厚くなければならない。具体的には、太陽電池モジュール中の透明有機高分子樹脂の厚みが200μm乃至800μmが好ましい。透明有機高分子樹脂の厚みが200μm以下であると、十分な耐スクラッチ性を得るための繊維状無機化合物を含有できず、800μm以上であると難燃性を確保することができない。
【0019】
繊維状無機化合物102の厚みは50μm乃至200μmが好ましく、繊維状無機化合物1層に対する有機高分子樹脂の重量比は15乃至30、さらには被覆材における繊維状無機化合物に対する有機高分子樹脂の重量比が4乃至12であることがより好ましい。繊維状無機化合物の厚みが50μm以下であると、繊維状無機化合物を製造する上で非常に難しくなり、また被覆材の補強効果を得るためには非常に多くの繊維状無機化合物を積層しなければならず、太陽電池モジュールを製造する場合工程が複雑化される。繊維状無機化合物の厚みが200μm以上であると、繊維状無機化合物中に接着剤として含まれるアクリル樹脂がマイグレーションし、安定した繊維状無機化合物が得られない。このことは、マイグレーションしたことによってアクリル樹脂の富になった部分では、長期屋外使用に際してアクリル樹脂の解重合がおこり、その部分には空隙が存在するため、外部からの湿度の影響を受けやすく、さらにはその界面を通じて外部からの水分が浸入し太陽電池の特性を低下させる。
使用する繊維状無機化合物としては、繊維径が4μm乃至15μmあるいはこれらの繊維状無機化合物を混在させた繊維状無機化合物であり、その繊維長は1mm乃至1000mmの短繊維であることが望ましい。なお、被覆材における繊維状無機化合物に対する有機高分子樹脂の重量比が4以下であると、充填材である透明有機高分子樹脂により繊維状無機化合物を十分に充填することができず、12以上であると補強効果が少なく、耐スクラッチ性を確保することができない。
【0020】
より厳しい環境下で太陽電池モジュールの使用が想定される場合には充填材と光起電力素子あるいは表面フィルムとの密着力を向上することが好ましい。シランカップリング剤や有機チタネート化合物を充填材に添加することで前記密着力を改善することが可能である。それらの添加量は、充填材樹脂100重量部に対して0.1乃至3重量部が好ましく、0.25乃至1重量部がより好ましい。さらに、繊維状無機化合物と充填材の密着力を向上させるために繊維状無機化合物の表面にシランカップリング処理することにより、繊維状無機化合物と充填材の密着力を向上し、長期使用における繊維状無機化合物の浮き出しを抑制することも可能である。前記シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロルシラン;ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン;ビニルトリエトキシシラン;ビニルトリメトキシシラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン;N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン;γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0021】
繊維状無機化合物としては、ガラス繊維不織布を用いるのが一般的である。一般的には、ガラス繊維を結合しガラス繊維不織布とするための結着剤として合成樹脂を用いる。具体的には、ガラス繊維不織布中の合成樹脂の含有率は2.0%乃至6.0%が好ましく、3.0%乃至4.5%がより好ましい。さらに、この合成樹脂としては、アクリル樹脂を用いることが好ましい。含有率が2.0%以下であると、ガラス繊維の結着が難しく、ガラス繊維不織布を製造する上で困難になる上、取り扱いにおいてもガラス繊維のけばだちが多く問題があり、含有率が6.0%以上であると、長期使用中に合成樹脂の解重合の割合が多くなり、その部分で発生する空隙も増加する。アクリル樹脂は、光および熱による変色が少ないため、これを結着剤として用いることは、すなわち、太陽電池モジュールの受光面側表面の変色を抑えることとなり、耐熱性、耐候性に優れた被覆材となる。
【0022】
充填材に要求される耐候性、接着性、充填性、耐熱性、耐寒性、耐衝撃などを満たす樹脂としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、ブチラール樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの中、EVAは、太陽電池用途としてバランスのとれた物性を有していて特に好ましい。ただ、そのままでは熱変形温度が低いために容易に高温使用下で変形やクリープを呈するので、架橋して耐熱性を高めておくことが望ましい。EVAの場合は有機過酸化物で架橋するのが一般的である。有機過酸化物による架橋は有機過酸化物から発生する遊離ラジカルが樹脂中の水素やハロゲン原子を引き抜いてC−C結合を形成することによって行われる。有機過酸化物の活性化方法には、熱分解、レドックス分解およびイオン分解が知られている。一般には熱分解法が好んで行われている。
【0023】
上記有機過酸化物としては、ヒドロペルオキシド系、ジアルキル(アリル)ペルオキシド系、ジアシルペルオキシド系、ペルオキシケタール系、ペルオキシエステル系、ペルオキシカルボネート系およびケトンペルオキシド系のものが挙げられる。
ヒドロペルオキシド系の具体例としては、t−ブチルペルオキシド;1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシド;p−メンタンヒドロペルオキシド;クメンヒドロペルオキシド;p−サイメンヒドロペルオキシド;ジイソプロピルベンゼンペルオキシド;2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジヒドロペルオキシド;シクロヘキサンペルオキシド;3,3,5−トリメチルヘキサノンペルオキシドなどである。ジアルキル(アリル)ペルオキシド系の具体例としては、ジ−t−ブチルペルオキシド;ジクミルペルオキシド;t−ブチルクミルペルオキシドなどである。
【0024】
ジアシルペルオキシド系の具体例としては、ジアセチルペルオキシド;ジプロピオニルペルオキシド;ジイソブチリルペルオキシド;ジオクタノイルペルオキシド;ジデカノイルペルオキシド;ジラウロイルペリオキシド;ビス(3,3,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド;m−トルイルペルオキシド;p−クロロベンゾイルペルオキシド;2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド;ペルオキシこはく酸などである。
【0025】
ペルオキシケタール系の具体例としては、2,2−ジ−t−ブチルペルオキシブタン;1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン;1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3;1,3−ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルペルオキシヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾイル)ヘキシン−3;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレートなどである。
【0026】
ペルオキシエステル系の具体例としては、t−ブチルペルオキシアセテート;t−ブチルペルオキシイソブチレート;t−ブチルペルオキシピバレート;t−ブチルペルオキシネオデカノエート;t−ブチルペルオキシ3,3,5−トリメチルヘサノエート;t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート;(1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ)2−エチルヘキサノエート;t−ブチルペルオキシラウレート;t−ブチルペルオキシベンゾエート;ジ(t−ブチルペルオキシ)アジペート;2,5−ジメチル2,5−ジ(ペルオキシ2−エチルヘキサノイル)ヘキサン;ジ(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート;t−ブチルペルオキシマレート;アセチルシクロヘキシルスルフォニルペルオキシドなどである。
【0027】
ペルオキシカルボナート系の具体例としては、t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート;ジ−n−プロピルペルオキシジカルボナート;ジ−sec−ブチルペルオキシジカルボナート;ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナート;ジ(2−エチルヘキシルペルオキシ)ジカルボナート;ジ(2−エトキシエチルペルオキシ)ジカルボナート;ジ(メトキシイドプロピルペルオキシ)カルボナート;ジ(3−メトキシブチルペルオキシ)ジカルボナート;ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシルペルオキシ)ジカルボナートなどである。
ケトンペルオキシド系の具体例としては、アセチルアセトンペルオキシド;メチルエチルケトンペルオキシド;メチルイソブチルケトンペルオキシド;ケトンペルオキシドなどがある。これらの他に、ビニルトリス(t−ブチルペルオキシ)シランも使用できる。
【0028】
該有機過酸化物の添加量は充填材樹脂100重量部に対して0.5乃至5重量部である。該有機過酸化物を充填材に併用し、加圧加熱しながら架橋および熱圧着を行うことが可能である。加熱温度ならびに時間は各々の有機過酸化物の熱分解温度特性で決定することができる。一般には熱分解が90%より好ましくは95%以上進行する温度と時間をもって加熱加圧を終了する。これによる充填材のゲル分率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。ゲル分率が80%以下であることは樹脂中の非結晶部分が多いということであり、すなわち樹脂の劣化が促進されることになる。前記架橋反応を効率よく行うためには、架橋助剤と呼ばれるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を用いることが望ましい。その添加量は、一般には充填材樹脂100重量部に対して1乃至5重量部である。
【0029】
本発明に用いられる充填材の材料は耐候性において優れたものであるが、更なる耐候性の改良、あるいは、充填材下層の保護のために、紫外線吸収剤を併用することもできる。その添加量は樹脂100重量部に対して0.1〜0.5重量部程度である。紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系の公知の化合物が使用できる。
サリチル酸系の具体例としては、フェニルサリシレート;p−tert−ブチルフェニルサリシレート;p−オクチルフェニルサリシレートなどである。
【0030】
ベンゾフェノン系の具体例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン;2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン;ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾフェノン)メタンなどである。
【0031】
ベンゾトリアゾール系の具体例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ・tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ・tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ・tert−アミルルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−{2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール;2,2−メチレンビス{4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール}などである。
シアノアクリレート系の具体例としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート;エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレートなどである。これらの紫外線吸収剤は、1種またはそれ以上添加することができる。
【0032】
上記紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する方法としてはヒンダードアミン系光安定化剤を使用することができる。ヒンダードアミン系光安定化剤は紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤を併用することによって著しい相乗効果を示す。その添加量は樹脂100重量部に対して0.1〜0.3重量部程度が一般的である。もちろんヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色している場合が多く本発明の充填材には望ましくない。該ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物;ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}];N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバレート;2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などを使用できる。
【0033】
なお、太陽電池モジュールの使用環境を考慮して低揮発性の紫外線吸収剤を用いることが好ましい。紫外線吸収剤の他に光安定化剤も同時に添加すれば、光に対してより安定な充填材となる。
さらに、耐熱性・熱加工性改善のために酸化防止剤を添加することも可能である。その添加量は樹脂100重量部に対して0.1〜1重量部が望ましい。そうした酸化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、燐酸系のものが使用できる。モノフェノール系の具体例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール;ブチル化ヒドロキシアニゾール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどである。
【0034】
ビスフェノール系の具体例としては、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2′−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4′−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ}5,5ウンデカンなどである。
【0035】
高分子フェノール系の具体例としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テトラキス−{メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン;ビス(3,3′−ビス−4′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル;1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン;トリフェノール(ビタミンE)などである。
【0036】
硫黄系の具体例としては、ジラウリルチオジプロピオネート;ジミリスチルチオジプロピオネート;ジステアリルチオプロピオネートなどである。
燐酸系の具体例としては、トリフェニルホスファイト;ジフェニルイソデシルホスファイト;フェニルジイソデシルホスファィト;4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト;サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト);トリス(モノおよびあるいはジフェニルホスファイト;ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド;10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド;10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン;サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト;サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファィト;2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどである。
【0037】
光起電力素子に到達する光量の減少をなるべく抑えるために、表面充填材は透明でなくてはならず、具体的には光透過率が400nm以上800nm以下の可視光波長領域において80%以上であることが望ましく、90%以上であることがより望ましい。また、大気からの光の入射を容易にするために、25℃における屈折率が1.1から2.0であることが好ましく、1.1から1.6であることがより好ましい。
本発明で用いられる表面樹脂フィルム104は太陽電池モジュールの最表層に位置するため耐候性、耐汚染性、機械強度をはじめとして、太陽電池モジュールの屋外暴露における長期信頼性を確保するための性能が必要である。本発明に用いられる樹脂フィルムとしてはフッ素樹脂、アクリル樹脂などがある。これらの中フッ素樹脂は、耐候性、耐汚染性に優れているため特に好ましい。該フッ素樹脂の具体例としては、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂あるいは四フッ化エチレン−エチレン共重合体などである。耐候性の観点ではポリフッ化ビニリデン樹脂が優れているが、耐候性および機械的強度の両立と透明性では四フッ化エチレン−エチレン共重合体が優れている。
【0038】
前記充填材との接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、UV照射、電子線照射、火炎処理などの表面処理を表面フィルムに行うことが望ましい。具体的には、光起電力素子側の、ぬれ指数が35dyneであることが好ましい。ぬれ指数が35dyne以下であると、樹脂フィルムと充填材との接着力が十分ではないため、充填材と樹脂フィルムの剥離がおこる。さらに、樹脂フィルムは、延伸処理されたフィルムはクラックを生じるため、延伸処理されていないフィルムを使用する。具体的には、ASTM D−882試験法における、引っ張り破断伸びが縦方向、横方向ともに200%乃至800%であることが好ましい。
【0039】
絶縁フィルム106は、光起電力素子101の導電性金属基板と外部との電気的絶縁を保つために必要である。材料としては、導電性金属基板と十分な電気絶縁性を確保でき、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、熱収縮に耐えられる、柔軟性を兼ね備えた材料が好ましい。好適に用いられる絶縁フィルムとしては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどが挙げられる。
裏面の充填材105は光起電力素子101と裏面の絶縁フィルム106との接着を図るためのものである。材料としては、導電性基板と十分な接着性を確保でき、しかも長期耐久性に優れ熱膨張、熱収縮に耐えられる、柔軟性を兼ね備えた材料が好ましい。好適に用いられる材料としては、EVA、ポリビニルブチラールなどのホットメルト材、両面テープ、柔軟性を有するエポキシ接着剤が挙げられる。また、表面の充填材103と同じ材料であることも多い。裏面の被覆フィルムの外側には、太陽電池モジュールの機械的強度を増すために、あるいは、温度変化による歪、ソリを防止するために、補強板を張り付けてもよい。例えば、鋼板、プラスチック板、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)板が好ましい。
【0040】
以上述べた光起電力素子、充填材、表面樹脂フィルム、裏面被覆材を用いて太陽電池モジュールを得るには、例えば次のような方法が採用できる。
光起電力素子受光面を被覆するには、シート状に成型した充填材103を作製しこれを素子の表裏に加熱圧着する方法が一般的である。太陽電池モジュールの被覆構成は、図1に示されるような構成である。すなわち、光起電力素子101、繊維状無機化合物102、充填材103、表面樹脂フィルム104、裏面充填材105、絶縁フィルム106が図の順、あるいは逆の順で積層し、加熱圧着されている。しかし、少量の充填材により光起電力素子を被覆するためにも、樹脂フィルムを上にした図の順で積層することがより好適である。また、連続する2層以上の繊維状無機化合物を充填材の直上および直下に設けることにより脱気性が向上し、難燃性、耐スクラッチ性、耐熱性、耐候性を備えた太陽電池モジュールとすることができる。具体的には、2層以上の繊維状無機化合物を用いることにより、1層の場合と比較し、高い脱気性を確保でき、さらに繊維状無機化合物を均一性の高い繊維状無機化合物とすることができるため、耐スクラッチ性も向上する。補強板を設けるときは接着剤を介して絶縁フィルムに重ねて圧着すればよく、これは前記工程と同時に行っても、工程後に行っても構わない。なお、圧着時の加熱温度および加熱時間は架橋反応が十分に進行する温度・時間をもって決定する。加熱圧着の方法としては従来公知である2重真空排気方式、1重真空排気方式、ロールラミネーションなどを種々選択して用いることができる。なかでも、1重真空排気方式による加熱圧着は、低コストな装置で、簡易に太陽電池モジュールを作製することができるため好ましい方法である。
【0041】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0042】
【実施例1】
【光起電力素子の作製】
図2に示す構成のアモルファスシリコン(a−Si)太陽電池(光起電力素子)を以下のようにして作製した。
洗浄したステンレス基板201上に、スパッタ法で裏面反射層202としてAl層(膜厚5000Å)とZnO層(膜厚5000Å)を順次形成した。ついで、プラズマCVD法により、SiH4とPH3とH2の混合ガスからn型a−Si層を、SiH4とH2の混合ガスからi型a−Si層を、SiH4とBF3とH2の混合ガスからp型微結晶μc−Si層を形成し、n層膜厚150Å/i層膜厚4000Å/p層膜厚100Å/n層膜厚100Å/i層膜厚800Å/p層膜厚100Åの層構成のタンデム型a−Si光電変換半導体層203を形成した。次に、透明導電層204として、In23薄膜(膜厚700Å)を、O2雰囲気下でInを抵抗加熱法で蒸着することによって形成した。さらに、集電用のグリッド電極205を銀ペーストのスクリーン印刷により形成した。ついで、マイナス側端子206aとして銅タブをステンレス基板に半田207を用いて取り付け、プラス側端子206bとしては錫箔のテープを半田207にて集電電極205に取り付けた。かくして複数の光起電力素子を得た。
【0043】
【セルブロックの作製】
上記で得た複数の光起電力素子を直列に接続して図3に示す構成の太陽電池セルブロックを作製した。
すなわち、該光起電力素子を並べた後、隣り合う素子の一方の素子のプラス側端子308と他方の素子のマイナス側端子309とを銅タブ307で半田を用いて接続した。これにより3個の素子を直列化した太陽電池セルブロックを得た。この際、一番端の素子の出力端子に接続した銅タブは裏面に回して後に述べる裏面被覆層の穴から出力を取り出せるようにした。
【0044】
【モジュール化】
上記で得たセルブロックの受光面側に、EVAシート403(スプリングボーンラボラトリーズ社製、商品名:PHOTOCAP A9918P*/200rms/936、厚さ460μm)とガラス繊維不織布(本州製紙社製、商品名:グラスパー GMC−00−020(B)、目付量20g/m2、厚さ100μm、結着剤アクリル樹脂4.0wt.%含有)402および無延伸のETFEフィルム404(デュポン社製、商品名:無延伸Tefzelフィルム、厚さ50ミクロン)、裏面被覆材として、絶縁フィルム405(デュポン社製、商品名:ダーテック、厚さ75μm)、接着剤として、表面被覆材に使用したものと同じEVAシート403、補強板として、黒色に塗装したガルバリウム鋼板406(亜鉛メッキ鋼板、厚さ0.27mm)を、ETFEフィルム404/ガラス繊維不織布402/ガラス繊維不織布402/EVA403/ガラス繊維不織布402/ガラス繊維不織布402/セルブロック401/EVA403/絶縁フィルム405/EVA403/補強板406をETFEフィルム404が上になるように順に重ね、1重真空排気ラミネート装置を用いて加圧脱気しながら、あらかじめ150℃雰囲気にしておいたオーブンの中に100分投入し、150℃で30分加熱することにより太陽電池モジュールを得た。なお、ここで用いたEVAシートは、EVA樹脂(酢酸ビニル含有率33%)100重量部に対して架橋剤1.5重量部、紫外線吸収剤0.3重量部、光安定化剤0.1重量部、酸化防止剤0.2重量部、シランカップリング剤1.0重量部を配合したものである。出力端子はあらかじめ光起電力素子裏面にまわしておき、ラミネート後、ガルバリウム鋼板に予め開けておいた端子取り出し口から出力が取り出せるようにした。かくして太陽電池モジュールを得た。
【0045】
【実施例2】
実施例1においてガラス繊維不織布をEVAシートの直下にのみ2枚積層した以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0046】
【実施例3】
実施例1においてEVAシートの厚みを600μmに変えた以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0047】
【実施例4】
実施例1においてガラス繊維不織布を直上および直下に3枚ずつ積層し、EVAシートの厚みを600μmに変えた以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0048】
【実施例5】
実施例1において裏面の絶縁フィルムをPETフィルム(厚さ50μm)に変えた以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0049】
参考例
実施例1において、使用するガラス繊維不織布をGMC−00−080(B)(目付量80g/m、厚み400μm)とし、ETFEフィルム/EVA/ガラス繊維不織布/セルブロック/EVA/絶縁フィルム/EVA/補強板を、ETFEフィルムが上になるように順に重ねたこと以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0050】
【比較例1】
実施例1においてガラス繊維不織布の結着剤としてポリビニルアセテートを用いたガラス不織布を用いた以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0051】
【比較例2】
実施例1において、ガラス繊維不織布を目付量5g/m2、厚み25μmとした以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0052】
【比較例3】
実施例1において、ガラス繊維不織布をGMC−00−080(B)(目付量80g/m2、厚み400μm)としたこと以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0053】
【比較例4】
実施例1において、ガラス繊維不織布の結着剤の含有量が15%のガラス繊維不織布を用いた以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0054】
【比較例5】
実施例1において表面樹脂フィルムを延伸ETFEフィルム厚み38μmに変えた以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0055】
【比較例6】
実施例1においてEVAシートの厚みを1000μmに変えた以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュールを作製した。
【0056】
【評価】
上記実施例1乃至5、上記参考例、および上記比較例1乃至6で得られた太陽電池モジュールのそれぞれについて、下記項目の評価を行った。得られた評価結果を表1にまとめて示す。
【0057】
(1)初期外観
太陽電池モジュールの初期外観を目視により評価した。評価結果は、以下の評価基準で表1に示す。すなわち、○:外観上の欠陥が全くない場合、△:外観上の欠陥が多少あるが実用上さしつかえない場合、×:脱気不良、モジュールの湾曲、など外観上の欠陥が非常に大きい場合。
【0058】
(2)耐スクラッチ性
図5に示すような方法で金属部材上のモジュール表面の最も凹凸の激しいと思われる部分を加重2ポンド、5ポンドで引っ掻き、引っ掻き後の表面被覆材が外部との絶縁性を保つことができるかどうかを評価した。判定は、モジュールを伝導度3000Ω・cmの電解質溶液に浸して、素子と溶液との間に2200ボルトの電圧を印加したときの漏れ電流が50μAを越えた場合を不合格とした。評価結果は、5ポンド合格:○、2ポンド合格:△、不合格を×の基準で表1に示す。
【0059】
(3)難燃性
太陽電池モジュールを水平に22度傾いたデッキ上に設置し、太陽電池モジュールの表面被覆材側に760±28℃のガスバーナーの炎を10分間あてる。炎の広がりがサンプル先端から6フィートを越えないものを合格とした。評価結果は、○:合格、×:不合格の基準で表1に示す。
【0060】
(4)高温高湿下での外観観察
太陽電池モジュールを85℃/85%(相対湿度)下に200時間保存の後、太陽電池モジュールを取り出し、外観上の変化を目視により行った。評価結果は、以下の基準で表1に示す。すなわち、○:外観上の変化が全くない場合、△:外観上の欠陥が多少あるが実用上さしつかえない場合、×:脱気不良、モジュールの湾曲、表面被覆材の変色など外観上の欠陥が非常に大きい場合。
【0061】
(5)耐候性
サンシャインウェザオメーターに太陽電池モジュールを投入し、キセノンランプによる光照射と降雨サイクルによって促進耐候性試験を行い、5000時間後、10000時間後の外観上の変化を観察した。結果は、○:外観上の変化が全くない場合、△:外観上の欠陥が多少あるが実用上さしつかえない場合、×:被覆材の著しい剥離、変色があり明らかに実用上さしつかえがある場合の基準で表1に示す。
【0062】
(6)耐光性
超エネルギー照射試験機(スガ試験機社製)に太陽電池モジュールを投入し、メタルハライドランプによる5時間の紫外線の照射[強度:100mW/cm2@300nm−400nm、雰囲気:ブラックパネル温度70℃/湿度70%RH]と1時間の結露[温度30℃/湿度96%RH]を繰り返すデューサイクル試験を行い、2000時間後の外観上の変化を観察した。結果は、○:外観上の変化が全くない場合、△:外観上の欠陥が多少あるが実用上さしつかえない場合、×:被覆材の著しい剥離、変色があり明らかに実用上さしつかえがある場合、の基準で表1に示す。
【0063】
(7)耐熱性
太陽電池モジュールを90℃の雰囲気中に3000時間放置し、外観上の変化を観察した。結果は、変化のないものを○とし、変色など変化のあるものを×とする基準で表1に示す。
【0064】
表1から明らかなように実施例の太陽電池モジュールは、いずれも実用上十分な耐スクラッチ性、難燃性、耐候性、耐光性および耐熱性が得られた。初期外観も充填不良などの欠陥もなくいずれも良好であった。また、高温高湿度試験や耐候性試験10000時間後も実用上欠陥となるような剥離やガラス繊維不織布の浮き出しもなく美観に優れたモジュールとすることができた。また、長期使用に関しても高い信頼性が確保できる。
これに対し、結着剤として、ポリビニルアセテートを用いたガラス織布を用いた比較例1では、耐熱試験後に被覆材が著しく変色し、明らかに太陽電池モジュールの変換効率の低下を促す結果になった。また、ガラス繊維不織布の量の少ない比較例2では、十分な耐スクラッチ性が確保できなかった。また、ガラス繊維不織布の量が少ないために、充填材としてのEVAの厚みが確保できず、耐候性試験、耐光性試験などのあとに、EVAのETFEが若干剥離した。逆に、ガラス繊維不織布の量の多い比較例3では、ガラス繊維不織布を十分に充填することができず、初期外観から欠陥の大きいものとなった。もちろん、耐候性、耐光性、耐熱性などについても、水分の浸入によるEVAシートの劣化の促進も起こり十分な信頼性は得られない。
【0065】
比較例4では、ガラス繊維不織布の結着剤の含有量が15%のガラス繊維不織布を使用しているため、高温高湿試験、耐候性試験、耐光性試験、耐熱性試験の全ての試験において、表面被覆材への着色がみられ、太陽電池モジュールの変換効率の低下を促す結果となった。最表面のETFEフィルムとして、延伸処理されたフィルムを使用した比較例5においては、初期外観からETFEフィルムにクラックが確認され、これにより、水分の浸入を受けやすく、耐候性10000時間において著しくガラス繊維不織布の浮き出しを生じた。また、表面充填材のEVAシートの厚みが1000μmと厚い比較例6では、初期外観は良好なものが得られたが、EVAの量が多いため燃焼性が確保できない。さらに、耐熱性試験後の変色も確認された。
【0066】
【表1】
Figure 0003710187
【0067】
【発明の効果】
本発明によれば、光起電力素子の少なくとも光入射側表面が、最表面に透明樹脂フィルム層を設けた、繊維状無機化合物を有する透明有機高分子樹脂からなる被覆材により被覆されている太陽電池モジュールにおいて、前記繊維状無機化合物がアクリル樹脂により結合したガラス繊維不織布であることにより、従来問題になっていた耐スクラッチ性と難燃性を両立することができ、耐熱性、耐候性、耐光性に優れた長期の屋外暴露においてガラス繊維不織布の浮き出しなど外観上の変化なく信頼性の高い太陽電池モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの概略構成図である。
【図2】図1の太陽電池モジュールで使用する、光起電力素子の基本構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明における直列化したモジュールの断面図である。
【図4】本発明における太陽電池モジュールの概略断面図である。
【図5】耐スクラッチ試験を表わす模式図である。
【図6】従来の太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
101,301,401,601 光起電力素子
103 表面充填材
302,403,602 充填材
102,402 ガラス繊維不織布
104,303,404,603 表面樹脂フィルム
105 裏面充填材
106,304,405,604 絶縁フィルム
406 補強材
201 導電性基板
202 裏面反射層
203 半導体光活性層
204 透明導電層
205,305a 集電電極(プラス側)
305b 集電電極(マイナス側)
206a 出力端子(プラス側端子)
206b 出力端子(マイナス側端子)
207,308 半田
208,307 絶縁テープ
306 銅タブ
501 太陽電池モジュール表面
502 刃

Claims (1)

  1. 光起電力素子の少なくとも光入射側表面が、最表面に透明樹脂フィルム層を設けた、繊維状無機化合物を有する透明有機高分子樹脂からなる被覆材により被覆されている太陽電池モジュールにおいて、前記繊維状無機化合物がアクリル樹脂により結合したガラス繊維不織布であり、前記繊維状無機化合物が前記有機高分子樹脂の直上および/あるいは直下に、連続する2層以上の層として存在し、前記繊維状無機化合物中のアクリル樹脂の含有率が2.0%乃至6.0%であり、前記繊維状無機化合物の厚みが50μm乃至200μmであり、前記透明有機高分子樹脂の厚みが200μm乃至800μmであり、前記被覆材における前記繊維状無機化合物に対する前記有機高分子樹脂の重量比が4乃至12であり、前記透明樹脂フィルム層が無延伸であることを特徴とする太陽電池モジュール。
JP01828396A 1995-10-17 1996-01-10 太陽電池モジュール Expired - Fee Related JP3710187B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01828396A JP3710187B2 (ja) 1996-01-10 1996-01-10 太陽電池モジュール
EP04076657A EP1458035A3 (en) 1995-10-17 1996-10-16 Solar cell module having a surface side covering material with a specific nonwoven glass fiber member
US08/731,571 US6331673B1 (en) 1995-10-17 1996-10-16 Solar cell module having a surface side covering material with a specific nonwoven glass fiber member
EP96307508A EP0769818A3 (en) 1995-10-17 1996-10-16 Solar cell module having a surface side covering material with a specific nonwoven glass fiber member
CNB961124482A CN1161844C (zh) 1995-10-17 1996-10-17 非纺玻璃纤维部件的表面侧覆盖材料的太阳能电池组件
KR1019960046518A KR100264406B1 (ko) 1995-10-17 1996-10-17 특수 부직 유리 섬유 부재를 가진 표면 피복재를 갖는 태양전지 모듈

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01828396A JP3710187B2 (ja) 1996-01-10 1996-01-10 太陽電池モジュール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09191116A JPH09191116A (ja) 1997-07-22
JP3710187B2 true JP3710187B2 (ja) 2005-10-26

Family

ID=11967315

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP01828396A Expired - Fee Related JP3710187B2 (ja) 1995-10-17 1996-01-10 太陽電池モジュール

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3710187B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001009959A1 (en) * 1999-07-29 2001-02-08 Matsushita Battery Industrial Co., Ltd. Solar cell module
EP2093804A1 (en) * 2008-02-19 2009-08-26 Helianthos B.V. Solar cell system with encapsulant
JP2011201928A (ja) * 2008-07-29 2011-10-13 Bridgestone Corp 太陽電池用封止膜、及びこれを用いた太陽電池
JP2016025274A (ja) * 2014-07-23 2016-02-08 三菱化学株式会社 太陽電池モジュール一体型膜体

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09191116A (ja) 1997-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3267452B2 (ja) 光電変換装置及び太陽電池モジュール
JP3825843B2 (ja) 太陽電池モジュール
KR100264231B1 (ko) 자외선 흡수제가 분산된 불소수지로 이루어진 표면 보호 부재를 갖는 태양 전지 모듈
US6331673B1 (en) Solar cell module having a surface side covering material with a specific nonwoven glass fiber member
KR100288861B1 (ko) 내습성및투명성이우수한특수표면피복재를갖는태양전지모듈
US6307145B1 (en) Solar cell module
US5660646A (en) Solar battery module
JP4336442B2 (ja) 太陽電池モジュール
JP3222361B2 (ja) 太陽電池モジュールの製造方法及び太陽電池モジュール
US5660645A (en) Solar cell module
JPH07302926A (ja) 太陽電池モジュール
JPH07302925A (ja) 太陽電池モジュール及びその製造方法
JP2001077390A (ja) 太陽電池モジュール
JPH1187744A (ja) 太陽電池モジュールの製造方法
JP3710187B2 (ja) 太陽電池モジュール
JPH0964391A (ja) 太陽電池モジュール
JPH11214734A (ja) 太陽電池モジュールおよびその製造方法およびその施工方法および太陽電池発電システム
JPH09199740A (ja) 太陽電池モジュール
JPH11177110A (ja) 太陽電池モジュール及びその製造方法
JPH1027920A (ja) 太陽電池モジュール
JPH1197727A (ja) 太陽電池モジュールおよびその製造方法
JPH1187755A (ja) 太陽電池モジュール及びその製造方法
JPH0955525A (ja) 太陽電池モジュール
JPH09191115A (ja) 太陽電池モジュール
JP2000114568A (ja) 太陽電池モジュールおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20040305

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050426

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050809

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080819

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090819

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees