JPH105584A - 酸素吸収シートおよびその製造法 - Google Patents

酸素吸収シートおよびその製造法

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JPH105584A
JPH105584A JP8161544A JP16154496A JPH105584A JP H105584 A JPH105584 A JP H105584A JP 8161544 A JP8161544 A JP 8161544A JP 16154496 A JP16154496 A JP 16154496A JP H105584 A JPH105584 A JP H105584A
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oxygen
sheet
thermoplastic resin
screw
twin
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JP8161544A
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Tadatoshi Ogawa
忠俊 小川
Takeshi Yamada
武 山田
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】臭気の発生の少ない酸素吸収シートを提供する
こと。 【解決手段】熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを溶融混合し
て押出加工するに際し、かみ合い型スクリューを装備し
た異方向二軸押出機を用いて押出シート成形してなる酸
素吸収シートおよびその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酸素吸収シートに関
する。さらに詳しくは、樹脂劣化に起因する臭気の発生
の少ない、食品用途に適した酸素吸収シートおよびその
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】主として食品の保存に際しては、品質保
持のため脱酸素状態が必要であり、脱酸素を目的として
酸素吸収剤が広く用いられている。従来、かかる酸素吸
収剤の形態としては、粉末状脱酸素剤を通気性の小袋に
充填したものが一般的であった。この方法によれば、対
象とする食品等の容量に合わせて脱酸素剤の量を自由に
コントロールできる点は有利であるが、反面、(1)粉
体の密封が完全でないと粉体が外部に漏れ出す危険性が
ある、(2)通気性の素材面に面した脱酸素剤のみが先
に反応・硬化し、内部の脱酸素剤が有効に反応せず、脱
酸素剤の量の割りには吸収効率が悪い、(3)小袋は通
常、食品と一緒に包装されていることが多く、誤食の危
険性があるなどの問題点を有する。かかる問題点を解決
するために、例えば特開昭55−44344号公報に示
されるように、活性酸化鉄からなる脱酸素剤をポリエチ
レン等の熱可塑性樹脂とブレンドしシート状に加工した
酸素吸収シートが提案されている。この方法によれば、
上記に示した問題点はあらかた解決するものの、該脱酸
素剤は樹脂に完全に包埋されているため、酸素吸収速度
が遅いという問題がある。これを解決したものに、熱可
塑性樹脂と脱酸素剤との組成物からなるシートを延伸し
て酸素吸収性能の良好な酸素吸収シートを得る技術が提
案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱可塑
性樹脂と酸素吸収剤とを混合しシートを成形する技術に
おいては、脱酸素剤を樹脂に混合し成形する際に一部樹
脂の熱劣化に起因すると考えられる臭気が発生する恐れ
がある。加工時に臭気が発生した場合には、シート中に
発生した異臭成分が内包されるため食品用途等において
は問題となる。本発明の目的は、臭気の発生の少ない酸
素吸収シートを開発することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂と
酸素吸収剤とを溶融混合し押出シート化するに際し、か
み合い型スクリューを装備した異方向二軸押出機を用い
てシート成形することによって臭気の少ない酸素吸収シ
ートが得られることを見い出し本発明に至った。すなわ
ち、本発明は熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを溶融混合し
て押出加工するに際し、かみ合い型スクリューを装備し
た異方向二軸押出機(以下、「本発明かみ合い型押出
機」と称する場合がある。)を用いて押出シート成形し
てなる酸素吸収シートおよびその製造法を提供するもの
である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の最大の特徴はシート成形
の際の押出加工において、かみ合い型スクリューを装備
した異方向二軸押出機を用いる点にある。一般的に酸素
吸収剤、特に鉄粉のような金属系のものの場合には、樹
脂との混練時に酸化劣化の触媒としての作用をもたらす
場合があり、その作用は樹脂が融点以上の高温であって
混練機内のようにせん断力が加わっている場合にとくに
顕著となる。本発明の特徴であるかみ合い型スクリュー
を装備した異方向二軸押出機を用いるならば、樹脂に作
用するせん断力が非常に小さく、樹脂組成物は押出機前
方にただ溶融搬送されるのみであるために、樹脂は劣化
が少なく結果として組成物の臭気は非常に低減されたも
のとなるのである。また、本発明の効果のもう一つは、
安定的な押出が可能である点である。
【0006】上述の、樹脂にかかるせん断力を低減して
樹脂劣化を抑制するという観点からは、単軸押出機を用
いてもその目的は達成しうる。ところが、樹脂と酸素吸
収剤とを複合させたような材料の場合、単軸押出機を用
いて押出シートを作製しようとすると、いわゆる押出変
動と呼ばれる、吐出量が経時で変動する現象が発生す
る。これは、酸素吸収剤の樹脂中濃度が微小に変動し、
それを起点として樹脂圧力が変動して発生するものと考
えられるが、単軸押出機ではこのような原因を除去する
のは難しい。また、単軸押出機へ投入前に、樹脂と酸素
吸収剤との複合コンパウンドを同方向二軸混練機や、バ
ンバリーあるいはニーダー混練機などを用いて作製すれ
ば安定的な押出は可能となるが、上述したような臭気発
生の問題があるため好ましくない。また、シート成形時
に同方向二軸押出機で直接押出する方法についても、同
じく臭気発生の問題があるため好ましくない。
【0007】上述したように本発明かみ合い型押出機を
用いることによって初めて、臭気発生の問題がなくかつ
安定的な押出が可能となるのである。本発明において、
本発明かみ合い型押出機は、押出機内でせん断力をかけ
ないで材料を前方に搬送する性能に優れている。これ
は、スクリューが異方向回転であり、またスクリューの
溝がかみ合っているために材料がスクリュー溝に入りこ
んだ形で搬送されるためである。せん断力が小さいとい
う直接的な効果に加え、せん断力が加わらないために樹
脂自身のせん断発熱が小さく低温で押出が可能になって
いるという点からも樹脂劣化を抑えるためには好都合で
ある。また、かみ合ったスクリューで前方搬送を行うた
め、材料の定量搬送性に優れ、圧力変動が少なくその結
果安定な押出が可能になる。さらには、溶融材料はスク
リュー溝に全充填されて搬送されるのではなく、スクリ
ュー壁面に張り付いた形で移動していくために、材料表
面積が大きく、ベント機構を備えた押出機の場合、揮発
成分の除去効果にすぐれている。本発明で用いられる本
発明かみ合い型押出機については、スクリューが円錐状
となっている、いわゆる斜行二軸型であるものが上述の
ような特徴がより発揮されるので好ましい。
【0008】本発明において、樹脂の酸化劣化を抑制す
るとともに酸素吸収剤の失活を防止するために、本発明
かみ合い型押出機の材料投入口部の不活性ガスによる置
換を実施することが好ましい。また、臭気として感じら
れる成分はそのほとんどが気化しやすいものであり、高
温時に減圧することでのちに揮発しうる成分を除去して
おくことで臭気の低減に効果的であるので、前述したよ
うにいわゆるベント機構を用いて溶融状態の樹脂組成物
から揮発成分を減圧除去することが望ましい。
【0009】本発明において、熱可塑性樹脂と酸素吸収
剤は、所望の混合比率となるようにそれぞれ単独にスク
リューフィーダー、コイルフィーダーなどの定量供給機
を用いて直接本発明かみ合い型押出機の材料投入口に投
入する。この場合、好ましくは熱可塑性樹脂が粉末であ
って、また熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを予め加熱混合
しておいた形態の混合物を定量供給するのがよい。予め
加熱混合しておくことによって、樹脂粉末に酸素吸収剤
粉末が付着した形となっているので樹脂と酸素吸収剤と
の混合分散性が良好であり、組成物中で酸素吸収剤の濃
度のばらつきがなくなりその後の押出延伸工程にさらに
好ましい影響が発現する。
【0010】本発明の酸素吸収シートにおける樹脂と酸
素吸収剤の割合は、加工性、酸素吸収性等の点から、全
体における樹脂の分率が10〜90重量%とするのが好
ましく、20〜50重量%とするのがより好ましい。酸
素吸収シートの加工温度については、使用する熱可塑性
樹脂の適切な加工温度を基に決定すればよいが、樹脂劣
化に起因するシートの臭気を低減するという本発明の目
的からは、押出時のスクリュートルクや樹脂圧力、また
はシート成形性などの要素を総合的に勘案の上、可能な
限り低温で加工することが望ましい。
【0011】本発明で用いる酸素吸収剤としては鉄粉ま
たは鉄粉と電解質からなるものが好ましいが、鉄粉と電
解質からなるものがより好ましい。鉄粉の粒径は、粒子
の樹脂との分散混合性、シートの加工性等から通常、1
0〜300μm程度のものが好ましい。また、鉄粉の比
表面積は、酸素吸収に寄与すべき有効表面積の観点から
1000cm2 /g以上であることが好ましく、200
0cm2 /g以上であることがさらに好ましい。従って
鉄粉の形状としては、微粒子が凝集しているような形状
のものが好ましい。電解質は鉄粉の酸素吸収速度を促進
するものであり、例えばハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩
または水酸化物等である。これらの塩類のなかで好まし
いのはハロゲン化物であり、さらに好ましくはCaCl2
NaCl、MgCl2 等である。電解質は前記鉄粉の表面に付着
またはコーティングして使用するのがより好ましいが、
鉄粉との単なるブレンドで使用することも可能である。
また、電解質の添加量は、電界質の効果等から通常、鉄
粉に対して0. 1〜10重量%が好ましいが、鉄粉の表
面に付着またはコーティングしたタイプの場合は、0.
1〜5重量%の添加量が最も実際的である。
【0012】本発明で使用される熱可塑性樹脂として
は、高圧法で得られる分岐低密度ポリエチレン、エチレ
ンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体、高
密度ポリエチレン、エチレンおよび/またはブテン−1
とプロピレンとのランダムおよびブロック共重合体、プ
ロピレン系の単独重合体あるいはプロピレンと他のオレ
フィンとの共重合体、酢酸ビニルおよび/または(メ
タ)アクリル酸エステルとエチレンとの共重合体、エチ
レンとアクリル酸との共重合体の金属塩などのポリオレ
フィン系樹脂や、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹
脂などを例示することができ、これらから選ばれる1種
または2種以上の混合物も可能である。本発明の目的で
ある樹脂劣化の防止およびそれによる臭気低減の観点か
らは、当然そのもの自身が劣化を受けにくいものが好ま
しく、一般的には、直鎖骨格で分岐の少ないもの、劣化
を受け易い官能基が少ないもの等が有利であると考えら
れ、特に好適な熱可塑性樹脂は、高密度ポリエチレンで
あり、その中でも分子鎖中の短鎖分岐が可能な限り少な
いものがより好ましい。分岐の少ないものが好ましい
が、分岐の多少を密度を指標として判断するならば、本
発明に好適な高密度ポリエチレンは密度0. 945g/
cm3 以上のものであり、さらに好ましくは0. 95g
/cm3 以上のものである。また、線状高密度ポリエチ
レンは重合方法によってその分子鎖中に含まれる二重結
合の数に違いがみられるが、この二重結合は樹脂劣化の
際の活性点として作用するため、二重結合の数はできる
だけ少ない方が望ましい。この観点からは、所謂フィリ
ップス法によるものよりも、チーグラー法によるものが
望ましい。また、重合プロセスの違いによって線状高密
度ポリエチレン中に含まれる低分子成分の量に差異がみ
られるのはよく知られているところであるが、この低分
子成分は直接に臭気の原因となり、また高分子成分に比
べ劣化を受け易いことから、本発明の目的からは低分子
成分ができるだけ除去されるようなプロセスによるもの
を用いることが望ましい。一例を挙げると、スラリー重
合法のように重合で発生した低分子成分が液相中に溶解
除去されるようなプロセスによるものが望ましい。
【0013】本発明においては、溶融成形して得られた
シートをそのまま酸素吸収シートとして用いてもよい
が、より好ましくは延伸して用いられる。延伸を施すこ
とにより、熱可塑性樹脂に小さな空隙(ミクロボイド)
が多数発生し、シートが多孔質化する。延伸シートにお
いては酸素吸収剤はミクロボイドを通じて外部雰囲気と
接触しており雰囲気中の酸素を効果的に吸収することが
できるために、高度の酸素吸収性能が得られる。本発明
において、シート成形後のシートを延伸する場合、延伸
倍率については、所要の酸素吸収性能と加工性、あるい
は延伸後のシートの力学的物性などを適宜勘案して決め
ることができが、通常、少なくとも一軸方向に2〜10
倍程度、好ましくは、5〜8倍程度である。またシート
の延伸温度については、熱可塑性樹脂の延伸応力と開孔
性とを総合的に勘案して決定することができ、一般的に
は融点より5℃程度以下の温度を設定すればよい。
【0014】本発明の酸素吸収シートには、実質上本発
明の効果を損なわない範囲において酸化防止剤、帯電防
止剤、分散剤あるいは滑剤などの添加剤を配合すること
ができる。これらの添加剤は、予め熱可塑性樹脂に混合
されていてもよく、また熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを
同時撹拌混合する際に混合してもよい。また他の添加方
法も可能である。
【0015】本発明の酸素吸収シートを製造する方法は
例えば次の通りであるが、本発明の目的を損なわない範
囲で他の方法も用い得る。まず、熱可塑性樹脂と酸素吸
収剤とを、例えばヘンシェルミキサーのような高速回転
の可能な粉体混合機に入れ、ジャケット温度を上昇させ
つつ回転させて加熱撹拌混合を行なう。この際、酸素吸
収剤の失活を防止するため、混合槽内部を窒素ガスなど
で置換する。このようにして、所定の温度に到達するま
で撹拌した粉体を取り出し、本発明かみ合い型押出機に
スクリューフィーダーを用いて定量供給する。押出機の
材料投入口には継続的に窒素ガス等の不活性ガスを流入
させガス置換を行なっておく。また押出機にはベント機
構を装備しておき溶融樹脂中の揮発成分を除去できるよ
うにしておく。押出機には通常のダイスを装着しておき
シートを成形する。シートを延伸する場合、延伸は一軸
または二軸で行なう。一軸延伸の場合は通常ロール延伸
が好ましい。また、延伸は一段でも二段でも可能であ
り、二軸延伸の場合は同時二軸での延伸でもよいし、縦
方向の延伸を行なった後に横方向を延伸する逐次二軸延
伸でもよい。このように本酸素吸収シートの製造は、延
伸をする場合、粉体混合品の製造工程、シート化工程お
よび延伸工程の3工程からなるが、このうちシート化工
程および延伸工程は連続的に行なうこともできる。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、かみ合い型スクリュー
を装備した異方向二軸押出機によって熱可塑性樹脂と酸
素吸収剤とを溶融混合押出することで、加工時の樹脂劣
化を可能な限り防止しその後の臭気発生を低減せしめ、
同時に酸素吸収性能その他の性状は良好である酸素吸収
シートを得ることができる。また、本発明によって得ら
れる酸素吸収シートは、その臭気が極めて低いという特
性を生かして種々の食品分野等に好適に用いられ、特に
従来の酸素吸収シートでは使用が難しかった、香味を大
切にする食品に対しても用いることができる。本発明に
よる酸素吸収シートは、適当な包装材で包装の上、食品
包装内に設置するような使用方法で用いられるのは勿
論、直接に袋や容器などの食品包装体として使用しても
よい。このような場合、酸素吸収シート単独で包装体を
構成してもよいが、各種樹脂と積層の上、包装体を構成
するのがより好ましい。さらに好ましくは、外界からの
酸素の侵入を遮断し包装体内の酸素濃度を非常に低く維
持するために、いわゆるガスバリア性の樹脂を容器の外
側に積層して包装体を構成するのがよい。
【0017】
【実施例】以下、実施例によって発明を詳細に説明する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。実
施例および比較例に示した物性の測定方法は以下の通り
である。 〔酸素吸収速度〕:空気200ccに対し、酸素吸収シー
トを酸素吸収剤が0.5g 含まれるようにサンプリング
し密閉容器に存在させ、吸収酸素量の時間に対するプロ
ットから酸素吸収速度を求めた。ここで密閉容器とは、
目盛つきのガラス製の円筒容器を水面に立てたもので酸
素が吸収されると減少した容積が水によって占有される
仕組みとなっている。 〔シート臭気〕:酸素吸収シートを酸素吸収剤が28g
含まれるようにサンプリングし500ccの密閉容器に水
4ccを含ませた脱脂綿とともに封入した。これを60℃
で1時間加熱した後30分放冷し、容器内部の臭気を官
能にて評価した。官能評価を下記基準で表した。 レベル4:ほとんど臭気なし。 レベル3:わずかに樹脂由来の臭気あり。 レベル2:樹脂由来の臭気が感じられる。 レベル1:樹脂由来の臭気が強く感じられる。 〔密度〕:樹脂の密度はJIS K7112に準拠して
水中置換法により23℃で測定した。 〔メルトフローレート〕:JIS K7210に準拠し
て測定した。ポリエチレンについては190℃で、ポリ
プロピレンについては230℃で測定を行なった。 〔比表面積〕:窒素ガス吸着法により、B.E.T.近
似式を用いて比表面積を決定した。 〔平均粒径〕:堀場製作所製レーザー光散乱/回折式粒
度分布計LA−910によって、メタノールを分散媒と
しフローセルを用いて測定した。平均粒径は粒子体積平
均とした。
【0018】(実施例1)熱可塑性樹脂として旭化成
(株)製の高密度ポリエチレン(マイクロサンテックL
50−P、密度0.959g/cm3 、メルトフローレ
ート5.2g/10min.、平均粒径393μm)を90kg
と、電解質として塩化カルシウムが鉄粉に対して2.0
重量%表面に付着した鉄粉(比表面積2500cm2
g、平均粒径105μm)を酸素吸収剤として210k
gとを、同時に三井鉱山(株)製のヘンシェルミキサー
(容量500L)に投入し、ミキサー羽根の周速が先端
部において15m/sec.となる回転数で回転撹拌した。同
時にジャケットに蒸気を導入し加熱を開始した。混合物
の温度が125℃になったところで加熱を終了し、容量
1000Lの冷却ミキサーに移送して冷却を開始した。
材料温度が70℃になるまで冷却したのち回転を停止
し、混合物を取り出した。ミキサー回転中は常に窒素を
50L/min.でミキサー内に流した。この混合物を、東芝
機械(株)製の、かみ合い型スクリューを装備した異方
向斜行二軸押出機(TEC−67)に定量フィーダーを
用いて供給し、幅600mmのTダイを通して温度145
℃にて成形し、厚さ1.25mmのシートを得た。なおシ
ート加工中は、常にホッパー内に窒素を流入させて鉄粉
の失活を防止した。また押出機にはベント装置を装備し
て、溶融樹脂の揮発成分を除去することとした。このよ
うにして得られた酸素吸収シートの性状、性能その他を
第1、2表にまとめて示す。表からわかる通り、シート
臭気の非常に良好なシートが得られた。
【0019】(実施例2)実施例1で用いた樹脂および
鉄粉を予め加熱混合することはせずに、それぞれ定量フ
ィーダーを用いて、かみ合い型スクリューを装備した異
方向斜行二軸押出機(TEC−67)に供給すること以
外は実施例1と同様にして酸素吸収シートを作製した。
得られた酸素吸収シートの性状、性能その他を第1、2
表にまとめて示す。この方法では、実施例1の場合に比
べ分散性の低下に起因する押出時の圧力変動が若干生じ
シートの厚みが不安定となったものの、酸素吸収性能、
シート臭気は良好であった。
【0020】(実施例3)実施例1の方法と同様に作製
したシートを幅200mmにスリットし、日本製鋼(株)
製のロール延伸機によって125℃でMD一軸方向に7
倍に延伸して多孔質化酸素吸収シートを得た。このよう
にして得られた酸素吸収シートの性状、性能その他を第
1、2表にまとめて示す。表からわかる通り、酸素吸収
性能、シート臭気とも非常に良好なシートが得られた。
【0021】(実施例4および5)実施例3において、
高密度ポリエチレンと鉄粉の混合比を第1表に示したよ
うに変更させた以外は実施例3と全く同様にして酸素吸
収シートを得た。このようにして得られた酸素吸収シー
トの性状、性能その他を第1、2表にまとめて示す。表
からわかる通り、酸素吸収性能、シート臭気とも非常に
良好なシートが得られた。
【0022】(実施例6)実施例3において鉄粉の粒径
を平均粒径40μm(比表面積3000cm2 /g)の
ものにした以外は実施例3と全く同様にして酸素吸収シ
ートを得た。このようにして得られた酸素吸収シートの
性状、性能その他を第1、2表にまとめて示す。表から
わかる通り、酸素吸収性能、シート臭気とも非常に良好
なシートが得られた。
【0023】(実施例7)実施例3において高密度ポリ
エチレンにかえて、住友化学工業(株)製のポリプロピ
レン(ノーブレンRS160B、エチレン含有量が4.
6重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合
体、メルトフローレート1.2g/10min.、平均粒径4
87μm)を用い、粉体混合物の撹拌を134℃まで行
なうこと、およびシート化を200℃で、延伸を130
℃で行なうこと以外は実施例3と全く同様に酸素吸収シ
ートを作製した。このようにして得られた酸素吸収シー
トの性状、性能その他を第1、2表にまとめて示す。表
からわかる通り、シート臭気、酸素吸収性能等は非常に
良好なシートが得られた。
【0024】(比較例1)実施例1で使用した高密度ポ
リエチレンと鉄粉を、その組成比は保って、スクリュー
がかみ合い型である同方向二軸混練押出機にスクリュー
フィーダーを用いて供給し、シート化を180℃で行う
以外は、実施例1に示したように行ない酸素吸収シート
を得た。このようにして得られた酸素吸収シートの性
状、性能その他を第3、4表にまとめて示す。この方法
では、安定的にシートは得られるものの、シート臭気は
同じ組成からなる実施例1の場合に比べ劣る結果となっ
た。
【0025】(比較例2)実施例3で使用した高密度ポ
リエチレンと鉄粉を、その組成比は保って、スクリュー
がかみ合い型である同方向二軸混練押出機にスクリュー
フィーダーを用いて供給し、シート化を180℃で行う
以外は実施例3に示したように酸素吸収シートを得た。
この方法では、安定的にシートは得られ、また酸素吸収
性能は良好であるものの、シート臭気は同じ組成からな
る実施例3の場合に比べ劣る結果となった。
【0026】(比較例3)実施例3において、押出シー
ト成形を東芝機械(株)製の単軸押出機(SE−90)
を用いて行ない、シート化を180℃で行う以外は実施
例3と同様にして酸素吸収シートを得た。この方法で
は、吐出量を増大させていくと樹脂圧の変動が過大なも
のとなり、吐出量の変動に伴うシート厚みの大幅な変動
が生じ、また樹脂圧が上昇した際に、揮発成分を吸引す
るベント孔に樹脂がつまりベント機構が働かなくなるな
どの不都合が生じた。また延伸する際にも、シート厚み
の不均一性のために薄い部分に延伸応力が集中し破断が
おこるなど、延伸工程でも不都合が生じた。
【0027】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを溶融混合し
    て押出加工するに際し、かみ合い型スクリューを装備し
    た異方向二軸押出機を用いて押出シート成形してなるこ
    とを特徴とする酸素吸収シート。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを溶融混合し
    て押出加工するに際し、かみ合い型スクリューを装備し
    た異方向二軸押出機を用いて押出シート成形したシート
    を、さらに少なくとも一軸方向に延伸してなることを特
    徴とする酸素吸収シート。
  3. 【請求項3】かみ合い型スクリューを装備した異方向二
    軸押出機が、斜行二軸型である請求項1または2記載の
    酸素吸収シート。
  4. 【請求項4】熱可塑性樹脂の含有量が10〜90重量%
    であり、酸素吸収剤の含有量が90〜10重量%である
    請求項1、2または3記載の酸素吸収シート。
  5. 【請求項5】押出機への材料投入部の雰囲気を不活性ガ
    スで置換し、かつ溶融混合中に減圧脱気することを特徴
    とする請求項1から4のいずれか1項に記載の酸素吸収
    シート。
  6. 【請求項6】熱可塑性樹脂および酸素吸収剤が粉体であ
    り、予めそれらが加熱混合されていることを特徴とする
    請求項1から5のいずれか1項に記載の酸素吸収シー
    ト。
  7. 【請求項7】酸素吸収剤が鉄粉または鉄粉と電解質であ
    ることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記
    載の酸素吸収シート。
  8. 【請求項8】酸素吸収剤が、平均粒径が10〜300μ
    m であって比表面積が1000cm 2 /g 以上である微
    粒子凝集鉄粉であり、さらにその表面には鉄粉の重量に
    対し0.1〜10重量%の割合で電解質が付着またはコ
    ーティングされていることを特徴とする請求項1から6
    のいずれか1項に記載の酸素吸収シート。
  9. 【請求項9】熱可塑性樹脂が密度0.945g/cm3
    上の高密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項
    1から8のいずれか1項に記載の酸素吸収シート。
  10. 【請求項10】熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを溶融混合
    して押出加工するに際し、かみ合い型スクリューを装備
    した異方向二軸押出機を用いて押出シート成形してなる
    ことを特徴とする酸素吸収シートの製造法。
  11. 【請求項11】熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを溶融混合
    して押出加工するに際し、かみ合い型スクリューを装備
    した異方向二軸押出機を用いて押出シート成形したシー
    トを、さらに少なくとも一軸方向に延伸してなることを
    特徴とする酸素吸収シートの製造法。
  12. 【請求項12】かみ合い型スクリューを装備した異方向
    二軸押出機が、斜行二軸型である請求項10または11
    記載の酸素吸収シートの製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001009273A (ja) * 1999-07-01 2001-01-16 Ajinomoto Co Inc 鉄系酸素吸収性樹脂組成物及びそれを用いた包装材料・容器
JP2008073628A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Asahi Kasei Chemicals Corp 酸素吸収組成物及びその製造方法

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