JP3651510B2 - 酸素吸収シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸素吸収シートに関する。さらに詳しくは、樹脂劣化に起因する臭気の発生の少ない、食品用途に適した酸素吸収シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
主として食品の保存に際して酸素が好まれないような場合に、酸素の除去を目的として酸素吸収剤を用いることは広く行われている。酸素吸収剤の形態としては、粉末状脱酸素剤を通気性の小袋に充填したものが従来は一般的であった。この方法によれば、対象とする食品等の容量に合わせて脱酸素剤の量を自由にコントロールできる点は有利であるが、反面、(1)粉体の密封が完全でないと粉体が外部に漏れ出す危険性がある、(2)通気性の素材面に面した脱酸素剤のみが先に反応・硬化し、内部における酸素吸収が阻害されるために、脱酸素剤の量から考えた吸収効率が悪い、(3)小袋は通常、食品と一緒に包装されていることが多く、誤食の危険性があるなどの問題点が存在する。かかる問題点を解決するために、例えば特開昭55−44344号公報に示されるように、活性酸化鉄からなる脱酸素剤をポリエチレン等の熱可塑性樹脂とブレンドしシート状に加工した酸素吸収シートが提案されている。この方法によれば、上記に示した問題点は概ね解決するものの、該脱酸素剤は樹脂に完全に包埋されているため、酸素吸収速度が遅いという問題がある。
これを解決したものに、熱可塑性樹脂と脱酸素剤との組成物からなるシートを延伸して酸素吸収性能の良好な酸素吸収シートを得る技術が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熱可塑性樹脂と脱酸素剤を混合しシートを成形する技術に於いては、脱酸素剤を樹脂に混合し成形する際に一部樹脂の熱劣化に起因すると考えられる臭気が発生する恐れがある。加工時に臭気が発生した場合には、シート中に発生した異臭成分が内包されるため食品用途等においては問題となる。
本発明の目的は、臭気の発生の少ない酸素吸収シートを開発することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂の粉末を用いることによって臭気の少ない酸素吸収シートが得られることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は平均粒径が100μm〜3mmである熱可塑性樹脂の粉末15〜70重量%と、平均粒径が10〜300μmである酸素吸収剤30〜85重量%とを加熱混合して得られた、熱可塑性樹脂の粉末粒子の表面の酸素吸収剤が付着した形態の粉体混合物を、厚さ10μm〜5mmにシート成形してなる酸素吸収シートを提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の特徴は、熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを加熱下で同時撹拌混合して得られた、熱可塑性樹脂の粉末粒子の表面の酸素吸収剤が付着した形態の粉体混合物を用いてシートを成形する点にある。一般的に酸素吸収剤は、特に鉄粉のような金属系のものの場合には、樹脂との混練時に酸化劣化の触媒としての作用をもたらす場合があり、その作用は樹脂が融点以上の高温であって混練機内のようにせん断力が加わっている場合に特に顕著となる。この点から考えると、従来公知の、異方向あるいは同方向二軸混練機や、バンバリーあるいはニーダー混練機などを用いてシート成形用のコンパウンドを作製することは、劣化を低減しその結果臭気を抑える目的にはそぐわない。
一方、樹脂劣化を抑えるために、シート成形前にはコンパウンドを作製せず、シート成形用押出機に直接樹脂と酸素吸収剤を投入する方法によれば、樹脂劣化の観点からは確かに樹脂に加わる熱履歴が一段階分減少するために有利であるが、一般的にはこのような方法をとった場合、樹脂組成物中の酸素吸収剤の含有量がシート各部で異なる分散不良の現象が発生し、その後の延伸工程等に悪影響を及ぼしたり、また酸素吸収性能にばらつきがでたりするために実際的ではない。
【0006】
ところが本発明によれば、シート成形には、熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを加熱下で同時撹拌混合して得た粉体混合物を用いるが、樹脂と酸素吸収剤の撹拌混合は樹脂の融点以下の温度で行われるために樹脂の劣化はほとんど進行せず、前述の混練機を使用した場合に比べ、劣化の低減とその結果としての臭気抑制において格段に優れている。
また加熱下で撹拌混合を行うため、得られる粉体混合物は、樹脂と酸素吸収剤とを単に混合したものと違い、樹脂粒子の表面に酸素吸収剤が付着した形態となっており、このために分散不良などの現象は見られず、加工性も良好でシートにおける酸素吸収性能のばらつきもない。このように本発明によれば、シート成形の前段階ですでに臭気低減と良好な分散性のための方策がなされているのである。
【0007】
本発明において熱可塑性樹脂の粉末と酸素吸収剤との撹拌混合は、実質的に脱酸素下で行なうことが好ましい。これは、酸素吸収剤の脱酸素反応を防止する目的のみならず、樹脂の酸化劣化を抑制する意味においても重要である。
脱酸素状況を実現するためには、混合機内部を真空状態に近づける方法でも良く、また窒素などの不活性ガスで混合機内部を置換する方法によっても良い。
本発明において熱可塑性樹脂の粉末と酸素吸収剤とを同時撹拌混合する際の温度は、該熱可塑性樹脂の軟化点や融点、あるいは粉体流動性の温度変化等を総合的に勘案して決定することができるが、一般的には該熱可塑性樹脂の融点以下であり、より好ましくは、融点より約50℃低い温度から融点以下迄の範囲である。融点より約50℃低い温度よりも低い温度で混合した場合は、熱可塑性樹脂の表面が軟化しないため酸素吸収剤が付着せず、後段階で樹脂と酸素吸収剤が分級しその結果分散性不良につながるために好ましくない。また融点より高い温度で混合した場合には、混合中に樹脂の融解が過度に進行して樹脂が互着し粉体状態を保てなくなり、その後の押出工程において均一押出性が低下するために好ましくない。
【0008】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂および酸素吸収剤それぞれの粒径は、まず樹脂と酸素吸収剤との付着性が良好になるように決定されるのが好ましい。本発明に於いては、熱可塑性樹脂の粒子の表面に酸素吸収剤粒子が付着した形態となることが、その逆の場合に比べより強固な付着性が得られるために好ましい。この点からは、酸素吸収剤の粒径は、樹脂の粒径よりも小さいことが好ましく、例えば樹脂の粒径の1/3以下のように樹脂粒子に対しかなり小さいことがより好ましい。樹脂および酸素吸収剤の粒径は、上記に述べた関係を満たすよう、適宜勘案して決めることができる。
樹脂の平均粒径については、100μm〜3mmであることが好ましい。平均粒径が100μmより小さい場合には、撹拌混合を行う際に粉体としての流動性が悪化し、結果として均一に酸素吸収剤が付着した混合品を得ることができない。また3mmより大きい場合には、酸素吸収剤が付着するべき有効比表面積が低下し、所要量の酸素吸収剤を付着することができなくなる恐れがある。
酸素吸収剤については、前述の通り樹脂粒径との関係においてその粒径が決定されるが、樹脂の場合と同じく、流動性の面からは、あまりに微細なものは好ましくなく、また付着面積と重量との関係において付着性を良好に保つためには粒子のあまりに大きいものも好ましくない。この点から、好ましい酸素吸収剤の平均粒径は約10〜300μmである。
【0009】
本発明の酸素吸収シートにおける樹脂と酸素吸収剤の割合は、シート全体における樹脂の分率が15〜70重量%とするのが好ましく、25〜50重量%とするのがより好ましい。樹脂の分率が15重量%未満であると、シートとしての形態を適切に保つことができなくなり、延伸の工程に不都合が生じたりあるいは酸素吸収剤をシート中に適切に保持できず酸素吸収剤が外部に漏れ出したりするために好ましくない。一方樹脂の分率が70重量%を超える場合には、該酸素吸収剤の含量が低下するため、所望の酸素吸収性能を得るためにはシート量を多くすることが必要となり好ましくない。
また、延伸の点でも、樹脂の分率が大きすぎる場合には、延伸による多孔質化が起こらず高度の酸素吸収性能を確保することができなくなり好ましくない。この点からも、樹脂の分率は前述の範囲であることが望ましい。
【0010】
本発明における、シートの厚さは用途目的により様々であるが、一般的には10μm〜5mmであることが好ましい。10μm未満の場合は所要の酸素吸収性能を得るために非常に大面積のシートを用いることが必要であり不都合である。一方、5mmを超える場合には、シート加工時の制約面から実際的でない。延伸工程においても、延伸前のシートの厚みが5mmを超える場合は、シートの均一な予熱が難しく均一な延伸ができなかったり、延伸応力が非常に大きくなり通常の装置では延伸が不可能であったりするので好ましくない。
【0011】
またシートの加工温度については、使用する熱可塑性樹脂の適切加工温度を基に決定すればよいが、樹脂劣化に起因するシートの臭気を低減するという本発明の趣旨からは、可能な限り低温で加工することが望ましく、またいわゆるベント加工のように溶融樹脂中の揮発成分を除去するような加工方法をとることが望ましい。
【0012】
本発明で用いる酸素吸収剤としては鉄粉または鉄粉と電解質からなるものが好ましいが、鉄粉と電解質からなるものがより好ましい。鉄粉の粒径は先に述べた酸素吸収剤と略同様であり、10〜300μm程度のものが好ましい。鉄粉の比表面積は、酸素吸収に寄与すべき有効表面積の観点から500cm2 /g 以上であることが好ましく、2000cm2 /g 以上であることがさらに好ましい。従って、鉄粉の形状としては、微粒子が凝集しており見かけ上多孔質体であることが好ましい。電解質は鉄粉の酸素吸収速度を促進するものであり、例えばハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩または水酸化物等である。これらの塩類のなかで好ましいものはハロゲン化物であり、さらに好ましくはCaCl2 、NaCl、MgCl2 等である。電解質は前記鉄粉の表面に付着またはコーティングして使用するのがより好ましいが、鉄粉との単なるブレンドで使用することも可能である。また、電解質の添加量は、鉄粉に対して0. 1〜10重量%が好ましいが、鉄粉の表面に付着またはコーティングしたタイプの場合は、0. 1〜5重量%の添加量が最も実際的である。なお添加量が10重量%を超えても、その酸素吸収促進効果の向上はほとんど認められない上に電解質が過剰に吸湿しシート表面がべとついたりするため実際的でない。一方、0. 1重量%未満の場合には酸素吸収促進効果は期待できないので好ましくない。本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、高圧法で得られる分岐低密度ポリエチレン、エチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体、高密度ポリエチレン、エチレンおよび/またはブテン−1とプロピレンとのランダムおよびブロック共重合体、プロピレン系の単独重合体あるいはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体、酢酸ビニルおよび/または(メタ)アクリル酸エステルとエチレンとの共重合体、エチレンとアクリル酸との共重合体の金属塩などのポリオレフィン系樹脂や、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などを例示することができ、これらから選ばれる1種または2種以上の混合物も使用できる。
【0013】
本発明の目的である樹脂劣化の防止/臭気低減の観点からは、当然樹脂自身が劣化を受けにくいものがより好ましく、一般的には、直鎖骨格で分岐の少ないもの、劣化を受け易い官能基が少ないもの等が有利であると考えられ、特に好適な熱可塑性樹脂は、密度0.945g/cm3 以上の高密度ポリエチレンである。
かかる高密度ポリエチレンは、分子鎖中の短鎖分岐が可能な限り少ないものが好ましい。分岐の多いものは劣化の観点から好ましくなく本発明の目的に沿うことが難しい。分岐の多少を密度を指標として判断するならば、本発明に好適な高密度ポリエチレンは密度0. 945g/cm3 以上のものであり、さらに好ましくは0. 95g/cm3 以上のものである。また、線状高密度ポリエチレンは重合方法によってその分子鎖中に含まれる二重結合の数に違いがみられるが、この二重結合は樹脂劣化の際の活性点として作用するため、二重結合の数はできるだけ少ない方が望ましい。この観点からは、所謂フィリップス法によるものよりも、チーグラー法によるものが望ましい。また、重合プロセスの違いによって線状高密度ポリエチレン中に含まれる低分子成分の量に差異がみられるのはよく知られているところであるが、この低分子成分は直接に臭気の原因となり、また高分子成分に比べ劣化を受け易いことから、本発明の目的からは低分子成分ができるだけ除去されるようなプロセスによるものを用いることが望ましい。一例を挙げると、スラリー重合法のように重合で発生した低分子成分が液相中に溶解除去されるようなプロセスによるものが望ましい。
【0014】
本発明においては、溶融成形して得られたシートをそのまま酸素吸収シートとして用いてもよいが、より好ましくは特定条件で延伸して用いられる。延伸を施すことにより、熱可塑性樹脂に小さな空隙(ミクロボイド)が多数発生し、シートが多孔質化する。
延伸シートにおいては酸素吸収剤はミクロボイドを通じて外部雰囲気と接触しており雰囲気中の酸素を効果的に吸収することができるために、高度の酸素吸収性能が得られる。本発明において、シート成形後のシートを延伸する場合、延伸倍率については、所要の酸素吸収性能と加工性、あるいは延伸後のシートの力学的物性などを適宜勘案して決めることができる。またシートの延伸温度については、熱可塑性樹脂の延伸応力と開孔性とを総合的に勘案して決定することができるが、一般的には熱可塑性樹脂の融点より5℃程度以下の温度を設定すればよい。本発明の酸素吸収シートには、実質上本発明の効果を損なわない範囲において酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤あるいは滑剤などの添加剤を配合することができる。これらの添加剤は、予め熱可塑性樹脂に溶融混合されていてもよく、また熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを同時撹拌混合する際に混合してもよい。また他の如何なる添加方法も可能である。
【0015】
本発明の酸素吸収シートを製造する方法は例えば次の通りであるが、本発明の趣旨を損なわない範囲で他の方法も用い得る。
まず、熱可塑性樹脂と酸素吸収剤とを、ヘンシェルミキサーあるいはスーパーミキサーのような高速回転の可能な粉体混合機に入れ、ジャケット温度を上昇させつつ回転させて加熱撹拌混合を行なう。この際、酸素吸収剤の失活を防止するため、混合槽内部を窒素ガスなどで置換する。このようにして、所定の温度に到達するまで撹拌した粉体を取り出し、望ましくは単軸の押出機に導入する。この際もホッパーはガス置換をすることが望ましい。熱可塑性樹脂と酸素吸収剤との分散性はすでに得られているために、押出機では混練の必要はそれほど必要なく、樹脂劣化を防ぐ観点からはせん断力の余り加わらないスクリュー構成を装備した押出機を用いることが好ましい。押出機には通常のダイスを装着しておきシートを成形する。シートを延伸する場合、延伸は一軸または二軸で行なう。一軸延伸の場合は通常ロール延伸が好ましい。また、延伸は一段でも二段でも可能であり、二軸延伸の場合は同時二軸での延伸でもよいし、縦方向の延伸を行なった後に横方向を延伸する逐次二軸延伸でもよい。
このように酸素吸収シートの製造は、延伸をする場合、粉体の混合工程、シート化工程および延伸工程の3工程からなるが、このうちシート化工程および延伸工程は連続的に行なうこともできる。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性樹脂の粉末と酸素吸収剤とを実質的に脱酸素下で加熱撹拌混合して得られた、熱可塑性樹脂の粉末粒子の表面の酸素吸収剤が付着した形態の粉体混合物を用いてシートを成形することによって、加工時の樹脂劣化を可能な限り防止しその後の臭気発生を低減せしめ、同時に酸素吸収性能その他の性状は良好である酸素吸収シートを得ることができる。このような効果は、熱可塑性樹脂の粉末と酸素吸収剤の粉末とが極めて均一に分散混合されかつ樹脂の熱劣化はほとんど進行していないような粉体混合物を作製し、これを用いてシートを構成するという技術に基づくものである。
本発明によって得られる酸素吸収シートは、その臭気が極めて低いという特性を生かして種々の食品分野等に好適に用いられ、特に従来の酸素吸収シートでは使用が難しかった、香味を大切にする食品に対しても用いることができる。本発明による酸素吸収シートは、適当な包装材で包装の上、食品包装内に設置するような使用方法で用いられるのは勿論、直接袋や容器などの食品包装体として使用してもよい。このような場合、酸素吸収シート単独で包装体を構成してもよいが、各種樹脂と積層の上、包装体を構成するのがより好ましい。さらに好ましくは、外界からの酸素の侵入を遮断し包装体内の酸素濃度を非常に低く維持するために、いわゆるガスバリア性の樹脂を容器の外側に積層して包装体を構成するのがよい。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってより詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れない範囲で他の実施態様も可能である。
実施例および比較例に示した物性の測定方法は以下の通りである。
〔酸素吸収速度〕:空気200ccに対し、酸素吸収シートを酸素吸収剤が0.968g 含まれるようにサンプリングし密閉容器に存在させ、吸収酸素量の時間に対するプロットから酸素吸収速度を求めた。ここで密閉容器とは、目盛つきのガラス製の円筒容器を水面に立てたもので酸素が吸収されると減少した容積が水によって占有される仕組みとなっている。
〔シート臭気〕:酸素吸収シートを酸素吸収剤が14g 含まれるようにサンプリングし500ccの密閉容器に水2ccを含ませた脱脂綿とともに封入した。これを60℃で1時間加熱した後30分放冷し、容器内部の臭気を官能試験にて評価した。〔密度〕:樹脂の密度はJIS K7112に準拠して水中置換法により23℃で測定した。
〔メルトフローレート〕:JIS K7210に準拠して測定した。ポリエチレンについては190℃で、ポリプロピレンについては230℃で測定を行なった。
〔比表面積〕:窒素ガス吸着法により、B.E.T.近似式を用いて比表面積を決定した。
〔平均粒径〕:堀場製作所製レーザー光散乱/回折式粒度分布計LA−910によって、メタノールを分散媒としフローセルを用いて測定した。平均粒径は粒子体積平均とした。
【0018】
〔実施例1〕
熱可塑性樹脂の粉末として旭化成(株)製の高密度ポリエチレン(マイクロサンテックL50−P、密度0.959g/cm3 、メルトフローレート5.2g/10min.、平均粒径393μm)を3.6Kgと、電解質として塩化カルシウムが鉄粉に対して2.0重量%表面に付着した鉄粉(比表面積2500cm2 /g 、平均粒径105μm)を酸素吸収剤として8.4Kgとを同時に三井鉱山(株)製のヘンシェルミキサー(容量20L )に投入し、ミキサー羽根の周速が15m/sec.となる回転数で回転撹拌した。同時にジャケットに蒸気を導入し加熱を開始した。混合物の温度が125℃になったところで加熱を終了し水冷に切り替えた。70℃まで冷却したのち回転を停止し、混合物を取り出した。ミキサー回転中は常に窒素を10L/min.でミキサー内に流した。この混合物を、(株)アイ・ケー・ジー製の40mmφ単軸押出機(ベント装置使用)に供給し、幅200mmのTダイを通して温度170℃にて成形し、厚さ1mmのシートを得た。なおシート加工中は、常にホッパー内に窒素を流入させて鉄粉の失活を防止した。このようにして得られた酸素吸収シートの性状、性能その他を第1表にまとめて示す。表からわかる通り、シート臭気の非常に良好なシートが得られた。
【0019】
〔実施例2〕
実施例1の方法と同様に作製したシートを、日本製鋼(株)製のロール延伸機によって125℃でMD一軸方向に7.0倍に延伸し、延伸酸素吸収シートを得た。このようにして得られた酸素吸収シートの性状、性能その他を第1表にまとめて示す。表からわかる通り、酸素吸収性能、シート臭気とも非常に良好なシートが得られた。
【0020】
〔実施例3および4〕
実施例2で用いた高密度ポリエチレンと鉄粉の混合比を第1表に示したように変化させた以外は実施例2と全く同様にして酸素吸収シートを得た。このようにして得られた酸素吸収シートの性状、性能その他を第1表にまとめて示す。表からわかる通り、酸素吸収性能、シート臭気とも非常に良好なシートが得られた。
【0021】
〔実施例5〕
実施例2で用いた鉄粉の粒径を平均粒径43μm (比表面積5000cm2 /g)のものにした以外は実施例2と全く同様にして酸素吸収シートを得た。このようにして得られた酸素吸収シートの性状、性能その他を第1表にまとめて示す。表からわかる通り、酸素吸収性能、シート臭気とも非常に良好なシートが得られた。
【0022】
〔実施例6および7〕
実施例2における延伸倍率を第1表に示したように変化させた以外は実施例2と全く同様にして酸素吸収シートを得た。このようにして得られた酸素吸収シートの性状、性能その他を第1表にまとめて示す。表からわかる通り、酸素吸収性能、シート臭気とも非常に良好なシートが得られた。
【0023】
〔実施例8〕
実施例2で用いた高密度ポリエチレンにかえて、住友化学工業(株)製のポリプロピレン(ノーブレンRS160B、エチレン含有量が4.6重量%であるプロピレン−エチレンランダム共重合体、メルトフローレート1.2g/10min.、平均粒径487μm)を用い、粉体混合物の撹拌を134℃まで行なうこと、およびシート化を200℃で、延伸を130℃で行なうこと以外は実施例2と全く同様にして酸素吸収シートを作成した。このようにして得られた酸素吸収シートの性状、性能その他を第1表にまとめて示す。表からわかる通り、シート臭気については実施例2よりやや劣る結果となっているものの、酸素吸収性能等は非常に良好なシートが得られた。
【0024】
〔比較例1〕
実施例1で使用した高密度ポリエチレンと酸素吸収剤を、ミキサーに投入するものの加熱はせず約3分間撹拌するのみである以外は実施例1と全く同様にシートを作製した。この方法では、シート化工程において原料中の樹脂/鉄粉の偏析に起因すると推定される押出変動が生じ厚み精度の悪いシートしか得られなかった。
【0025】
〔比較例2〕
実施例2で使用した高密度ポリエチレンと酸素吸収剤を、ミキサーに投入するものの加熱はせず約3分間撹拌するのみである以外は実施例2と全く同様にシートを作製した。この方法では、厚み変動の大きい劣悪なシートしか得られなかったために、延伸時に、厚みの薄い部分に延伸時の応力が集中して破断が頻繁に発生し安定的に延伸シートを得ることができなかった。
【0026】
〔比較例3〕
実施例1で使用した高密度ポリエチレンと酸素吸収剤を、その組成比を保って、同方向二軸混練機に供給し混練を行なった。混練は170℃で行ない、得られた樹脂組成物はペレタイザーによってペレットとした。このペレットを用いて、後は実施例1に示したようにシート成形を行ない酸素吸収シートを得た。この方法では、安定的にシートは得られるものの、シート臭気は同じ組成からなる実施例1の場合に比べ劣る結果となった。
【0027】
〔比較例4〕
実施例2で使用した高密度ポリエチレンと酸素吸収剤を、その組成比を保って、同方向二軸混練機に供給し混練を行なった。混練は170℃で行ない、得られた樹脂組成物はペレタイザーによってペレットとした。このペレットを用いて、後は実施例2に示したようにシート成形と延伸を行ない酸素吸収シートを得た。この方法では、安定的にシートは得られ、また、酸素吸収性能は良好であるものの、シート臭気は同じ組成からなる実施例2の場合に比べ劣る結果となった。
【表1】
Figure 0003651510
*1)HDPE:旭化成(株)製高密度ポリエチレン(マイクロサンテックL-50P)
PP : 住友化学工業(株)製ポリプロピレン( ノーブレンRS160B)
*2)シート臭気は以下の評価段階で表示した。
レベル5:臭気なし
レベル4:わすかに樹脂由来の臭気が感じられる。
レベル3:樹脂由来の臭気が感じられる。
レベル2:樹脂由来の臭気が強く感じ感じられる。

Claims (6)

  1. 平均粒径が100μm〜3mmである熱可塑性樹脂の粉末15〜75重量%と、平均粒径が10〜300μmである酸素吸収剤30〜85重量%とを加熱混合して得られた、熱可塑性樹脂の粉末粒子の表面に酸素吸収剤が付着した形態の粉体混合物を、厚さ10μm〜5mmにシート成形してなる酸素吸収シート。
  2. 平均粒径が100μm〜3mmである熱可塑性樹脂の粉末15〜75重量%と、平均粒径が10〜300μmである酸素吸収剤30〜85重量%とを加熱混合して得られた、熱可塑性樹脂の粉末粒子の表面に酸素吸収剤が付着した形態の粉体混合物を、厚さ10μm〜5mmにシート成形した後、更にそのシートを少なくとも一軸方向に延伸してなる酸素吸収シート。
  3. 窒素ガス下、熱可塑性樹脂の融点より50℃低い温度から融点以下迄の範囲の温度で加熱混合して得られた粉体混合物を用いる請求項1または2記載の酸素吸収シート。
  4. 酸素吸収剤が、比表面積500cm/g以上である微粒子凝集鉄粉であり、さらにその表面には鉄粉の重量に対し0.1〜10重量%の電解質が付着またはコーティングされていることを特徴とする請求項1、2または3記載の酸素吸収シート。
  5. 熱可塑性樹脂が、密度0.945g/cm以上の高密度ポリエチレンである請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の酸素吸収シート。
  6. 平均粒径が100μm〜3mmである熱可塑性樹脂の粉末15〜70重量%と平均粒径が10〜300μmである酸素吸収剤30〜85重量%とを熱可塑性樹脂の融点より50℃低い温度から融点以下迄の範囲の温度で加熱混合して熱可塑性樹脂の粉末粒子の表面に酸素吸収剤が付着した形態の粉体混合物を得、次いでシート成形する酸素吸収シートの製造方法。
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