JPH1054464A - 非接触形メカニカルシール - Google Patents

非接触形メカニカルシール

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JPH1054464A
JPH1054464A JP21169796A JP21169796A JPH1054464A JP H1054464 A JPH1054464 A JP H1054464A JP 21169796 A JP21169796 A JP 21169796A JP 21169796 A JP21169796 A JP 21169796A JP H1054464 A JPH1054464 A JP H1054464A
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sealing ring
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stationary sealing
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Toshihiko Fuse
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静止側密封端面の平滑性及び回転側密封端面
に対する同心性,平行性,追従性を適正に維持し得て、
良好且つ安定したシール機能を発揮しうる非接触形メカ
ニカルシールを提供する。 【解決手段】 静止密封環4と保持環5とを、二次シー
ル部材6を介して、径方向において相対位置不変に保持
させると共に軸線方向において非接触のシール状態に保
持される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばタービン,
ブロワ,遠心圧縮機等の主として気体(窒素,アルゴ
ン,水素,天然ガス,空気等)を扱う回転機器において
好適に使用される非接触形メカニカルシールに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の非接触形メカニカルシー
ルとしては、図6に示す如く、シールケース1を貫通す
る回転軸2に固定された回転密封環3と、シールケース
1にOリング8を介して軸線方向移動可能に且つ径方向
変位不能に保持された保持環4と、保持環4に接触した
状態で、シールケース1に軸線方向移動可能に嵌合保持
された静止密封環5と、静止密封環5を保持環4を介し
て回転密封環方向へと押圧附勢するスプリング7と、保
持環4に形成した環状溝14´に係合保持されて、静止
密封環5と保持環4との接触面間を二次シールする合成
ゴム製のOリング6´と、を具備し、両密封環3,5の
対向端面たる密封端面(以下、回転密封環3の密封端面
を「回転側密封端面」といい、静止密封環5の密封端面
を「静止側密封端面」という)3a,5a間を、回転側
密封端面3aに形成した動圧発生溝3bにより動圧を発
生させることによって、流体膜を介在させた非接触状態
に保持して、その流体膜形成部分において高圧流体領域
Hと低圧流体領域(大気領域)Lとをシールしうるよう
に構成されたもの(以下「従来シール」という)がよく
知られている。
【0003】ところで、非接触形メカニカルシールで
は、シール機能上、静止密封環5の回転密封環3に対す
る追従性及び同心性を確保しておく必要がある。つま
り、静止密封環5を、軸線方向に移動可能で且つ径方向
に変位不能に保持させておく必要がある。一方、従来シ
ールにあって、静止密封環5は、回転密封環3や保持環
4のように回転軸2やシールケース1に保持されておら
ず、軸線方向において保持環4に押圧接触されているに
すぎない。したがって、静止密封環5の径方向変位を阻
止するための何らかの手段が必要である。
【0004】そこで、従来シールでは、図6に示す如
く、静止密封環5を、シールケース1の円形内周面1a
に、これと静止密封環5の外周面5bとの間に流体の通
過を許容する極く微小な環状の流体通路10´が形成さ
れるスキマばめ程度の寸法公差をもって、Oリング等を
介することなく直接的に嵌合保持させている。すなわ
ち、静止密封環5をスキマばめ程度の寸法公差をもって
シールケース1に嵌合保持させておくことにより、静止
密封環5の軸線方向移動を妨げることなく、その径方向
変位を確実に阻止することができ、追従性及び同心性を
確保するようにしているのである。また、静止密封環5
の同心性確保(径方向変位阻止)及び追従性確保の点か
らは、シールケース1の内周面1aと静止密封環5の外
周面5bとの間に流体通路10´が全く形成されないよ
うにすることも可能であるが、このようにすると、静止
密封環5の背面側空間(保持環4及び静止密封環5とシ
ールケース1とで囲繞された空間)12が、保持環4と
静止密封環5との間がOリング6´で二次シールされて
いること等とも相俟って、密閉空間となり、当然に静止
密封環5の追従機能が阻害されることになる。このた
め、静止密封環5の径方向変位を阻止しつつ、静止密封
環5の背面側空間12の密閉化を回避すべく、シールケ
ース1と静止密封環5とをスキマばめ程度の寸法公差を
もって嵌合させ、両者1,5間に静止密封環5の径方向
変位を阻止するも流体の通過はこれを許容する微小な流
体通路10´が形成されるようにしているのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来シールで
は、保持環4がスプリング7及び流体圧力(保持環4の
背面に作用する背圧)によって静止密封環5に強く押圧
されていること、及び静止密封環5がシールケース1に
径方向変位不能に嵌合保持されていることから、熱歪み
や圧力歪みの影響等により、静止側密封端面5aの平滑
性や回転側密封端面3aに対する同心性,追従性,平行
性が損なわれ易く、密封端面3a,5a間に発生する動
圧が不均一となったり、極端な場合には、動圧発生不良
や密封端面3a,5aの局部的接触といった不測の事態
を生じて、長期に亘って良好なシール機能を発揮し得な
いといった問題があった。
【0006】すなわち、回転密封環3,保持環4,静止
密封環5は、その機能の違いから、夫々、熱膨張係数,
ヤング率の異なる異質材で構成されている。例えば、回
転密封環3はWC,SiC等の超硬質材で、静止密封環
5はカーボン等の比較的軟質材やSiC等のセラミック
ス材で、保持環4はSUS304,Ti等の金属材で構
成されている。一方、回転密封環3,保持環4,静止密
封環5には運転に伴う発熱や機器のシステム圧によって
熱歪みや圧力歪みが生じるが、これらの歪み量や歪み状
態は、構成材質の違いから顕著に異なることになる。特
に、構成材質上、保持環4の歪み量は密封環3,5に比
して極めて大きい。
【0007】したがって、このように歪み量や歪み状態
が大きく異なる静止密封環5と保持環4との接触部分に
おいては、上記した如くスプリング7及び流体圧力によ
って強く接触されていることから、それらの歪みが相互
に干渉することになる。このため、静止密封環5につい
ては、保持環4の歪みの影響を強く受けて、それ自身の
歪みとは全く異なる歪み状態を呈することなる。その結
果、静止側密封端面5aの平滑性が損なわれたり、静止
密封環5が歪みにより傾いて、回転側密封端面3aに対
する同心性や平行性が損なわれる虞れがあり、良好なシ
ール機能を発揮し得ない。かかる問題は、高負荷条件下
ではより顕著となる。特に、密封環径が大きなもので
は、同心性の確保はシール性能上重要であり、密封端面
3a,5aの同心性が僅かでも損なわれると、つまり静
止側密封端面5aが回転側密封端面3aに対して僅かで
も芯ずれを生じると、シール性能が大幅に低下する虞れ
がある。すなわち、密封端面3a,5aの径方向幅(密
封端面3a,5aが重合する環状領域の径方向幅である
シール面幅)は、密封環径に比例して大きくならず、密
封環径に拘わらず略一定であり、密封環径が大きくなる
に従い密封環径に対するシール面幅の比率は小さくな
る。けだし、シール面幅を密封環径に比例して大きくす
ると、密封環径の大きなものでは、静止密封環5aの傾
きが極く僅かであっても密封端面3a,5aが接触する
ことになるからである。したがって、密封環径が大きな
場合には、芯ずれが極く僅かであっても、つまり密封環
径が小さな場合には許容できる程度の芯ずれであって
も、シール性能に与える影響が極めて大きくなり、シー
ル性能が大幅に低下する虞れがある。
【0008】しかも、従来シールにあっては、静止密封
環5がシールケース1に嵌合されていて、静止密封環5
の外周面5bとシールケース1の内周面1aとの間には
僅かな環状隙間たる流体通路10´が存在するにすぎな
いことから、静止密封環5が歪みにより傾くと、両面1
a,5bが接触して、その接触抵抗により静止密封環5
の追従性が損なわれる虞れがある。
【0009】また、流体通路10´が微小であり静止密
封環5とシールケース1とが密着状態に近い状態にある
ため、静止密封環5が傾かないときにも、静止密封環5
の下面がその自重によりシールケース1の内周面1aに
接触することになり、その接触抵抗により静止密封環5
の追従性が損なわれる虞れがある。このことは、静止密
封環5が大径のものとなる程、つまり静止密封環5の重
量が大きくなる程、顕著となる。
【0010】さらに、流体通路10´が微小なものであ
ることから、流体通路10´に塵埃等の異物が侵入して
堆積し易く、かかる異物の詰まりにより静止密封環5の
追従性が損なわれる虞れがある。
【0011】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
で、上記した問題を生じることなく、静止側密封端面の
平滑性及び回転側密封端面に対する同心性,平行性,追
従性を適正に確保,維持し得て、良好且つ安定したシー
ル機能を発揮しうる非接触形メカニカルシールを提供す
ることを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転軸に固定
された回転密封環と、シールケースに軸線方向移動可能
に且つ径方向変位不能に保持された保持環と、シールケ
ースと保持環との間に介装されたスプリングと、このス
プリングにより保持環を介して回転密封環へと押圧附勢
された静止密封環とを具備して、両密封環の対向端面間
に動圧を発生させるように構成された非接触形メカニカ
ルシールにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、静
止密封環と保持環との間に、該両環を軸線方向において
シールされた非接触状態に保持する環状の二次シール部
材を介在させ、且つ保持環にこの二次シール部材を径方
向の少なくとも一方に変位不能に係止する環状の第1係
止部を形成すると共に静止密封環に該二次シール部材を
径方向の少なくとも他方に変位不能に係止する環状の第
2係止部を形成して、静止密封環と保持環との径方向に
おける相対位置を、二次シール部材を介して、一定に保
持させるようにすることを提案するものである。
【0013】かかる構成の非接触形メカニカルシールに
あっては、静止密封環と保持環とが軸線方向において直
接的には接触しておらず、二次シール部材を介して相互
に押圧し合う状態に保持されているから、その押圧部分
においては両環の熱歪み,圧力歪みが相互に干渉するこ
とがなく、静止密封環の歪み分布が保持環の歪みによる
影響を受けるようなことがない。
【0014】また、二次シール部材が、第1係止部によ
り保持環に対して少なくとも径方向の一方(例えば内径
方向)に変位不能に係止されていると共に、第2係止部
により静止密封環に対して少なくとも径方向の他方(例
えば外径方向)に変位不能に係止されていることから、
静止密封環と保持環とは、二次シール部材を介して、径
方向において相対変位不能の関係に保持されることにな
る。したがって、保持環がシールケースに径方向変位不
能に保持されていることから、静止密封環は回転密封環
に対して芯ずれを生じることがない。しかも、静止密封
環が、二次シール部材及び保持環を介して、シールケー
スに間接的に径方向変位不能に保持されているから、従
来シールにおける如く、静止密封環をシールケースの内
周面に直接的に嵌合保持させた場合と異なって、シール
ケースの内周面と静止密封環の外周面との間に十分な大
きさの流体通路を形成しておくことができる。したがっ
て、仮に、静止密封環が歪みにより傾くようなことがあ
ったとしても、静止密封環がシールケースに干渉したり
することがなく、また、流体通路に塵埃等の異物が詰ま
ったりすることもない。
【0015】したがって、静止側密封端面の平滑性及び
回転側密封端面に対する同心性,平行性,追従性が損な
われたりすることがなく、長期に亘って良好且つ安定し
たシール機能が発揮される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
〜図5に基づいて具体的に説明する。
【0017】本発明に係る非接触形メカニカルシール
は、図1及び図2に示す如く、シールケース1を貫通す
る回転軸2に固定された回転密封環3と、シールケース
1に軸線方向移動可能に且つ径方向変位不能に保持され
た保持環4と、回転密封環3と保持環4との間に配し
て、回転軸2に遊嵌された静止密封環5と、保持環4と
静止密封環5との間に介装された円環状の二次シール部
材6と、静止密封環5を保持環4及び二次シール部材6
を介して回転密封環方向へと押圧附勢するスプリング7
と、を具備する。
【0018】シールケース1は、図1及び図2に示す如
く、円形の内周面1aを有すると共に、高圧流体領域
(例えば、タービン等の機内である高圧ガス領域)Hと
低圧流体領域(例えば、タービン等の機外である大気領
域)Lとを区画する円環状のリテーナ壁1bを有するも
のである。回転軸2は、リテーナ壁1bを同心状に貫通
している。
【0019】回転密封環3はWC,SiC等の超硬質材
で構成されたもので、図1及び図2に示す如く、回転軸
2に固定されており、その密封端面3aにはL字状,ス
パイラル状等の適宜形状をなす動圧発生溝3bが形成さ
れている。この動圧発生溝3bの作用により、両密封環
3,5の相対回転に伴い動圧を発生せしめて、密封端面
3a,5a間を流体膜を介在形成させた非接触状態に保
持する。この流体膜の形成部分において、高圧流体領域
Hと低圧流体領域Lとの間をシールする。
【0020】保持環4はSUS304,Ti等の金属材
で構成されたもので、図1及び図2に示す如く、円筒状
の被保持部4aと円環状の押圧部4bとを備えた断面L
字形状に成形されている。この保持環4は、被保持部4
aをリテーナ壁1bの内周部にOリング8を介して嵌挿
保持させることによって、シールケース1に、これとの
間を二次シールさせた状態で、軸線方向移動可能に且つ
径方向変位不能に保持されている。また、保持環4は、
これに植設せる回り止めピン9をリテーナ壁1bに係合
させておくことにより、シールケース1に対して相対回
転不能とされている。なお、Oリング8の材質は、温度
条件等に応じたものを適宜に選定しておくことが好まし
く、この例では合成ゴム製のOリング8を使用してい
る。
【0021】スプリング7は、図1及び図2に示す如
く、シールケース1のリテーナ壁1bと保持環4の押圧
部4bとの間に介装されており、直接的には保持環4を
軸線方向において回転密封環方向へと押圧附勢する。
【0022】静止密封環5はカーボン等の硬質材やSi
C等のセラミックス材で構成されたもので、図1及び図
2に示す如く、その外周面5bとシールケース1の内周
面1aとの間に十分な大きさの環状の流体通路10を有
した状態で、回転軸2に遊嵌されている。この流体通路
10の大きさは任意であるが、必要以上に大きくする必
要はなく、一般には、冒頭で述べた如く、静止密封環5
が傾いたときにその外周面5bがシールケース1の内周
面1aに接触したり、両面1a,5b間に塵埃等の異物
が詰まったりする等の問題が生じたりすることがない程
度に、設定される。この例では、流体通路10の径方向
幅つまり両面1a,5b間の径方向間隔が0.5〜1.
0mm程度となるように設定されている。また、静止密
封環5の後面部には、保持環4の前面部に突設した回り
止めピン11が係合されていて、両環4,5を相対回転
不能に且つ軸線方向に相対変位可能に連結してある。こ
のように、静止密封環5は、保持環4を介して、シール
ケース1に軸線方向移動可能に且つ回転不能に保持され
ている。なお、回り止めピン9,11は共通のものとす
ることもできる。例えば、回り止めピン9を延長して、
その延長端を静止密封環5に係合させておく。
【0023】二次シール部材6は、図1及び図2に示す
如く、保持環4に形成した第1係止部14に径方向の少
なくとも一方(つまり、内径方向又は外径方向)に相対
変位不能に係止されると共に静止密封環5に形成した第
2係止部15に径方向の少なくとも他方(第1係止部1
4による係止方向とは逆の外径方向又は内径方向)に係
止された状態で、両環4,5間に介装されている。この
例では、二次シール部材6として、断面中実円形の合成
ゴム製リングつまり合成ゴム製のOリングを使用してい
る。そして、第1及び第2係止部14,15を断面矩形
状の環状溝に構成して、二次シール部材6の両側端部
を、図2に示す如く、夫々、環状溝たる第1及び第2係
止部14,15に嵌合保持させることにより、二次シー
ル部材6が保持環4及び静止密封環5の何れに対しても
内径方向及び外径方向の両方向に相対変位不能に係止さ
れるように工夫してある。第1及び第2係止部14,1
5は、保持環4及び静止密封環5と同心状をなす環状溝
であり、その溝深さ,溝幅,溝径を同一としたものであ
る。各係止部14,15の溝深さ,溝幅は、二次シール
部材6が適度に圧縮された状態で係合保持され且つ保持
環4と静止密封環5とが二次シール部材6により軸線方
向において適当なクリアランス13を有する非接触状態
で二次シールされることを条件として、Oリングである
二次シール部材6の断面径寸法に応じて適宜に設定され
ている。
【0024】以上のように構成された非接触形メカニカ
ルシールにあっては、静止密封環5と保持環4とが直接
的には接触しておらず、合成ゴム製のOリングである二
次シール部材6を介して相互に押圧し合う状態に保持さ
れているから、その押圧部分においては各環4,5の熱
歪み,圧力歪みが二次シール部材6により吸収されて相
互に干渉することがなく、静止密封環5の歪み分布が保
持環4の歪みによる影響を受けるようなことがない。な
お、静止密封環5と保持環4との間は二次シール部材6
により良好に二次シールされることになり、またスプリ
ング7による押圧力は保持環4から二次シール部材6を
介して静止密封環5に与えられることから、静止密封環
5の回転密封環方向への押圧力は適正に維持され、両環
4,5間を非接触としておくことによってはシール機能
に何らの悪影響も及ぼさない。
【0025】また、二次シール部材6は、第1及び第2
係止部14,15により、保持環4及び静止密封環5の
何れに対しても内径方向及び外径方向に相対変位不能に
係止されているから、径方向における両環4,5の相対
位置は、二次シール部材6を介して、一定に保持される
ことになる。すなわち、径方向において、静止密封環5
は、二次シール部材6を介して、保持環4に相対変位不
能に保持されることになり、保持環4と同心状に保持さ
れることになる。一方、保持環5は、Oリング8を介し
て、シールケース1に径方向変位不能に保持されてい
る。
【0026】したがって、保持環4が回転密封環3と同
心状にシールケース1に保持されている限り、静止密封
環5は回転密封環3に対して芯ずれを生じることがな
く、静止側密封端面5aの回転側密封端面3aに対する
同心性,平行性が圧力変化等によって損なわれることが
ない。
【0027】しかも、静止密封環5が、二次シール部材
6及び保持環4を介して、シールケース1に間接的に径
方向変位不能に保持されているから、従来シールにおけ
る如く、静止密封環5をシールケース1の内周面1aに
直接的に嵌合保持させた場合と異なって、シールケース
1の内周面1aと静止密封環5の外周面5bとの間に十
分な大きさの流体通路10を形成しておくことができ
る。このため、仮に、静止密封環5が歪みにより傾いた
場合にも、静止密封環4がシールケース1に干渉するよ
うなことがなく、また流体通路10に異物が詰まったり
するようなこともなく、静止密封環5の追従性を損なう
ような事態を招来することがない。
【0028】したがって、高負荷条件下(例えば、高
圧,高速,高温の条件下)においても、従来シールの如
く、静止側密封端面5aの平滑性及び回転側密封端面3
aに対する同心性,平行性,追従性が損なわれたりする
ことがなく、長期に亘って良好且つ安定したシール機能
が発揮される。
【0029】なお、本発明に係る非接触形メカニカルシ
ールは上記した実施の形態に限定されるものではなく、
本発明の基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改
良,変更することができる。
【0030】例えば、第1及び第2係止部14,15
は、二次シール部材6を保持環4及び静止密封環5の一
方に対して少なくとも内径方向に相対変位不能に係止す
ることができ且つその他方に対して少なくとも外径方向
に相対変位不能に係止することができる限りにおいて、
その形状は任意であり、図3〜図5に例示する如く構成
することもできる。勿論、第1及び第2係止部14,1
5の形状は、二次シール部材7の形状、特に断面形状に
応じたものとしておくことが好ましい。
【0031】すなわち、図3(A)〜(E)に示すもの
では、各係止部14,15を、図2に示すものと同様
に、二次シール部材6を内径方向及び外径方向の何れに
も相対変位不能に係止する形状としてある。図3(A)
に示すものでは、第1係止部14を環状のアリ溝に構成
すると共に、第2係止部15を断面矩形状の環状溝とし
てある。このように、第1係止部14をアリ溝構造のも
のとしておくと、二次シール部材6を第1係止部14に
強力に保持させておくことができ、二次シール部材6が
第1係止部14から不測に脱落(飛び出し)するような
ことがない。したがって、第2係止部15については、
二次シール部材6の径方向変位を阻止する形状のものと
しておけばよく、二次シール部材6をさほど強力に保持
させる形状のものとしておく必要がない。このため、第
2係止部15の溝深さは、図2に示す各係止部14,1
5の溝深さよりも浅く設定してある。同様に、同図
(B)〜(D)に示すものでは、第1係止部14を環状
アリ溝に構成して、二次シール部材6を脱落不能に強力
に嵌合保持させると共に、第2係止部15を、二次シー
ル部材6をさほど強力に保持しないが、その径方向変位
は阻止しうる形状のものとしている。すなわち、第2係
止部15は、同図(B)に示すものでは、二次シール部
材6の断面径に略一致する円弧状の溝底を有する浅い環
状溝とされており、同図(C)のものでは、二次シール
部材6の断面径よりやや大きな円弧状の溝底を有する浅
い環状溝とされており、同図(D)のものでは、断面三
角状の浅い環状溝とされている。なお、上記した第1係
止部14のアリ溝構造にあっては、図3に示す如く、外
径側のみをテーパ面とする他、内径側のみをテーパ面と
しても、内径側及び外径側の双方をテーパ面としても何
れでもよい。また、同図(E)に示すものでは、第1係
止部14を深い断面略円弧状の環状溝として、二次シー
ル部材6を脱落不能に強力に嵌合保持させると共に、第
2係止部15を同図(B)に示すものと同様の浅い断面
略円弧状の環状溝としている。
【0032】また、図4(A)(B)に示すものでは、
第1係止部14を、図3に示すものと同様に環状アリ溝
として、二次シール部材6を脱落不能に強力に嵌合保持
させると共に、第2係止部15を、二次シール部材6を
内径方向(図4(A))又は外径方向(同図(B))に
のみ変位不能に係止する環状段部としてある。このよう
に第2係止部15を環状溝ではなく環状段部として、静
止密封環5の背面部において第2係止部15より内径側
又は外径側の部分5c,5dを切欠しておくと、圧力歪
又は熱歪による静止密封環5の傾き中心の位置を変更し
て、静止側密封環5の断面に作用する圧力歪又は熱歪に
よるねじりモーメントを小さくすることができ、静止側
密封端面5aの歪量を可及的に小さくすることができ
る。なお、静止側密封端面5aの歪量を可及的に小さく
する上で、何れの部分5c,5dを切欠すればよいか
は、静止密封環径の大きさ等の条件に応じて決定され
る。
【0033】また、図5に示すものでは、第1係止部1
4を、二次シール部材6を内径方向にのみ変位不能に係
止する環状段部とすると共に、第2係止部15を、二次
シール部材6を外径方向にのみ変位不能に係止する環状
段部としている。この場合、二次シール6は、径方向及
び軸線方向の何れにも適度に挟圧された状態で、保持環
4と静止密封環5との間に介在される。勿論、第1係止
部14を、二次シール部材6を外径方向にのみ変位不能
に係止する環状段部とし、第2係止部15を、二次シー
ル部材6を内径方向にのみ変位不能に係止する環状段部
としておくことも可能である。このように、二次シール
部材6を一方の係止部で内径方向変位不能に係止させ且
つ他方の係止部で外径方向変位不能に係止させておくだ
けでも、保持環4と静止密封環5との径方向相対位置は
二次シール部材6を介して一定に保持されることにな
り、静止密封環5の回転密封環3に対する同心性は、図
2〜図4に示すものと同様に、適正に確保,維持される
ことになる。
【0034】また、第1及び第2係止部14,15の何
れか一方については、二次シール部材7の材質やシール
条件等にもよるが、二次シール部材6を離脱不能に固着
(例えば、接着剤による固着や焼嵌めによる固着)する
ようなものとしてもよい。
【0035】また、上記した例においては、二次シール
部材7として合成ゴム製のOリングを使用したが、この
二次シール部材7の材質はシール条件等に応じて適宜に
選定することができる。例えば、二次シール部材7の構
成材としては、一般に、耐熱性を考慮して、180℃以
下の温度条件下では合成ゴム材を、200℃以下の温度
条件下では弗素系ゴム材やポリテトラフルオロエチレン
等の樹脂と金属との複合材(例えば、断面凹形の樹脂リ
ングの内周をこれに嵌合させたスプリング(帯板を螺旋
状に巻いて環状としたもの)により補強した二次シール
部材)を、400℃以下の温度条件下では可撓性膨張黒
鉛を主成分とする材料を、800℃以下の温度条件下で
は硬質カーボン材を、800℃以上の温度条件下ではス
テンレス鋼,アルミニウム,銅等の金属材等を選定する
ことができる。また、二次シール部材7の形状も、Oリ
ングのような断面が中実円形のものに限定されず、断面
中空円形,断面中空方形,断面中実方形,断面凹形(上
記した如く内周をスプリングで補強したもの)のもの
等、任意に設定することができる。但し、二次シール部
材7は、保持環4と静止密封環5との間を良好に二次シ
ールしうるものであることは勿論、両環4,5間におけ
る歪み干渉を回避するに十分な弾性(保持環歪みを吸収
しうるに十分な弾性)を有するものに構成しておくこと
が好ましい。かかる二次シール部材7に必要とされる弾
性は、構成材自身の弾性による他、シール部材7の形状
を工夫する(例えば、断面形状を弾性変形し易い中空形
状とする)ことによっても確保することができる。
【0036】また、二次シール部材6の径方向設置位置
や保持環4と静止密封環5との間のクリアランス13
は、各密封要素の形状や流体圧力等の条件に応じて適宜
に設定される。特に、二次シール部材6の径によって決
定される径方向設置位置は、静止密封環5についての保
持環歪みの吸収機能や保持環4を介しての回転密封環3
への押圧機能を考慮して、適宜に設定される。また、密
封端面3a,5a間に動圧を発生させるための手段も任
意であり、例えば、動圧発生溝3bを静止側密封端面5
aに形成するようにしてもよい。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から容易に理解されるよう
に、本発明の非接触形メカニカルシールにあっては、シ
ールケースに軸線方向移動可能に且つ径方向変位不能に
保持された保持環と静止密封環との径方向における相対
位置を、両環間を二次シールする二次シール部材を介し
て、一定に保持させるようにしているから、従来シール
における如く静止密封環をシールケースに直接的に保持
させずとも、静止密封環の固定密封環に対する同心性を
確保し得て、静止密封環の芯ずれを確実に防止すること
ができる。しかも、従来シールと異なって、静止密封環
をシールケースに直接的に保持させておらず、静止密封
環の外周側に十分な大きさの流体通路を形成,確保する
ことができるから、流体通路が小さいことに起因する追
従不良の問題はこれが全く生じず、静止密封環の適正な
追従性を確保,維持することができる。また、静止密封
環と保持環とが二次シール部材を介して非接触状態に保
持されているから、両環の歪みが相互に干渉することが
なく、静止側密封端面の平滑性や回転側密封端面に対す
る平行性が損なわれるようなことがない。
【0038】したがって、本発明の非接触形メカニカル
シールによれば、静止側密封端面の平滑性及び回転側密
封端面に対する同心性,平行性,追従性を適正に確保,
維持することができ、高負荷条件下においても、長期に
亘って良好且つ安定したシール機能を発揮させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非接触形メカニカルシールを示す
半截の縦断側面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す詳細図である。
【図3】第1及び第2係止部の変形例を示す要部の縦断
側面図である。
【図4】第1及び第2係止部の他の変形例を示す要部の
縦断側面図である。
【図5】第1及び第2係止部の更に他の変形例を示す要
部の縦断側面図である。
【図6】従来シールを示す半截の縦断側面図である。
【符号の説明】
1…シールケース、1a…シールケースの内周面、1b
…リテーナ壁、2…回転軸、3…回転密封環、3a…回
転側密封端面(回転密封環の密封端面)、4…保持環、
5…静止密封環、5a…静止側密封端面(静止密封環の
密封端面)、5b…静止密封環の外周面、6…二次シー
ル部材、7…スプリング、8…Oリング、10…流体通
路、13…保持環と静止密封環との間のクリアランス、
14…第1係止部、15…第2係止部。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に固定された回転密封環と、シー
    ルケースに軸線方向移動可能に且つ径方向変位不能に保
    持された保持環と、シールケースと保持環との間に介装
    されたスプリングと、このスプリングにより保持環を介
    して回転密封環へと押圧附勢された静止密封環とを具備
    して、両密封環の対向端面間に動圧を発生させるように
    構成された非接触形メカニカルシールにおいて、 静止密封環と保持環との間に、該両環を軸線方向におい
    てシールされた非接触状態に保持する環状の二次シール
    部材を介在させ、且つ保持環にこの二次シール部材を径
    方向の少なくとも一方に変位不能に係止する環状の第1
    係止部を形成すると共に静止密封環に該二次シール部材
    を径方向の少なくとも他方に変位不能に係止する環状の
    第2係止部を形成して、静止密封環と保持環との径方向
    における相対位置を、二次シール部材を介して、一定に
    保持させるように構成したことを特徴とする非接触形メ
    カニカルシール。
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