JP2843973B2 - 非接触形メカニカルシール - Google Patents

非接触形メカニカルシール

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JP2843973B2
JP2843973B2 JP7140948A JP14094895A JP2843973B2 JP 2843973 B2 JP2843973 B2 JP 2843973B2 JP 7140948 A JP7140948 A JP 7140948A JP 14094895 A JP14094895 A JP 14094895A JP 2843973 B2 JP2843973 B2 JP 2843973B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばタービン,ブロ
ワ,遠心圧縮機等の主として気体(窒素,アルゴン,水
素,天然ガス,空気等)を扱う回転機器において好適に
使用される非接触形メカニカルシールに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の非接触形メカニカルシー
ルとしては、図7及び図8に示す如く、回転軸2に固定
された回転密封環3と、回転軸2に遊嵌されており、シ
ールケース1にケース側Oリング7を介して二次シール
された状態で軸線方向移動自在に挿通保持された筒状の
被保持部5aとその前端部に形成された環状の押圧部5
bとからなる断面L字形の保持環5と、シールケース1
と保持環5の押圧部5bとの間に介装されたスプリング
6と、回転密封環3と保持環5との間に配して回転軸2
に遊嵌されており、スプリング6により保持環5を介し
て回転密封環3へと押圧附勢された静止密封環4と、押
圧部5bの前面に形成した断面矩形状又は蟻溝形状の環
状溝11に保持されており、該押圧部5bの前面5dと
静止密封環4の背面4dとの間を二次シールされた非接
触状態に保持する保持環側Oリング10と、を具備し
て、回転密封環3と静止密封環4との対向端面である密
封端面3a,4aにおいて、その相対回転作用及び一方
の密封端面3aに形成した動圧発生溝3bの作用によ
り、密封端面3a,4aを非接触状態に保持させつつ、
密封端面3a,4aの外周側領域である被密封流体領域
Hと内周側領域である非密封流体領域Lとをシールさせ
るように構成されたもの(以下「従来シール」という)
がよく知られている。
【0003】ところで、回転密封環3、静止密封環4及
び保持環5は、その機能の違いから、夫々、熱膨張係
数,ヤング率の異なる異質材で構成されている。例え
ば、回転密封環3はWC,SiC等の超硬質材で、静止
密封環4は回転密封環3の構成材に比して軟質のカーボ
ン等で、保持環5はSUS304,Ti等の金属材で構
成されている。一方、回転密封環3、静止密封環4及び
保持環5には運転に伴う発熱や機器のシステム圧によっ
て熱歪みや圧力歪み(以下「歪み」というときは、これ
らの歪みをいうものとする)が生じるが、これらの歪み
量や歪み状態は同一ではなく、構成材質の違いから相異
する。特に、構成材質上、保持環5の歪み量は回転密封
環3及び静止密封環4のそれに比して極めて大きい。
【0004】したがって、静止密封環4と保持環5とが
嵌合等により一体化されている伝統的な非接触形メカニ
カルシールでは、両環4,5の接触部分においてそれら
の歪みが相互に干渉することになり、その結果、静止密
封環4については、保持環5の歪みの影響を強く受け
て、それ自身の歪みとは全く異なる歪み状態を呈するこ
となる。このため、静止側密封端面4aの平滑度や回転
側密封端面3aに対する同心度,平行度が損なわれて、
密封端面3a,4a間に発生する動圧が不均一となった
り、極端な場合には、動圧発生不良や密封端面3a,4
aの局部的接触といった不測の事態を生じて、長期に亘
って良好なシール機能を発揮し得ないといった問題が生
じる。特に、かかる問題は高圧,高速条件下において顕
著に生じ、かかるシール条件下での使用をより困難とす
る。
【0005】そこで、従来シールでは、図7及び図8に
示す如く、保持環側Oリング10の一部を環状溝11か
ら突出させることによって、静止密封環4の背面4dと
保持環5の前面5dとの間に微小なクリアランス12が
形成されるように構成し、静止密封環4が保持環5の歪
みによる悪影響を受けることがないように図っている。
すなわち、静止密封環4と保持環5とが保持環側Oリン
グ10を介して間接的に接触しているのみであるから、
圧力変動,温度変化等により両環4,5に異なる歪みが
生じた場合にも、それらの歪みは保持環側Oリング10
の弾性変形により吸収されて相互に干渉せず、静止密封
環4が保持環5の歪みによる悪影響を受けることがな
い。なお、保持環側Oリング10は、一般に、非圧縮性
且つ高摩擦性を有するゴム等で構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来シールで
は、伝統的な非接触形メカニカルシールのように静止密
封環4と保持環5とが一体化されていないために、両環
4,5が相対的に偏心した状態で組み込まれる虞れがあ
る。ところで、静止密封環4と保持環5との間に介装さ
れた保持環側Oリング10は上記した如く高摩擦材で構
成されていて、両環4,5と保持環側Oリング10との
接触箇所においては滑りが生じ難いことから、一旦、両
環4,5が相対的に偏心した位置関係で組み込まれる
と、その位置関係の変動は保持環側Oリング10の弾性
変形により許容されるにすぎない。一方、保持環側Oリ
ング10が静止密封環4と保持環5とに滑りを生じない
状態で接触していること及び保持環側Oリング10が上
記した如く非圧縮性材で構成されていることから、保持
環側Oリング10の弾性変形限度量は極めて小さい。し
たがって、組み込み時における両環4,5の相対偏心量
が大きい場合には、これを保持環側Oリング10の弾性
変形により吸収することができず、つまり両環4,5が
適正な位置関係に修正されることがなく、静止密封環4
の密封端面4aが回転密封環3の密封端面3aに対して
大きく傾いた状態で運転されることになり、密封環3,
4による良好なシール機能を発揮し得ないといった問題
が生じる。極端な場合には、両密封端面4a,5aが局
部的に接触して異常発熱し、静止密封環4と保持環5と
の歪み干渉を保持環側Oリング10により防止するよう
にした意義が消失するばかりか、回転密封環3に比して
軟質である静止密封環4が破損する虞れがある。
【0007】また、上記した如く、静止密封環4に対し
て保持環5の歪みが大きいことから、流体温度等のシー
ル条件によっては、静止密封環5と保持環側Oリング1
0との接触箇所が内径方向に大きく相対変位する場合が
ある。かかる場合、従来シールでは、保持環側Oリング
10の内径方向への変位を阻止する手段が何ら設けられ
ていないため、機器の振動等とも相俟って、保持環側O
リング10が環状溝11から内径方向に飛び出したり、
極端な場合には、環状溝11から脱落する虞れがある。
また、流体の性状や温度等のシール条件によっては、保
持環側Oリング10が流体との接触により劣化して、そ
の弾性が低下し、保持環側Oリング10が両環4,5の
相対変位に追従変形できない虞れがある。さらに、機器
の振動や圧力変動等によって、保持環側Oリング10の
保持環5による静止密封環4への押圧力つまり両環4,
5による保持環側Oリング10の挟圧力が低下する虞れ
がある。したがって、これらのことから、保持環側Oリ
ング10による二次シール機能を長期に亘って良好に発
揮,維持させることができないといった問題がある。
た、従来シールでは、図8に示す如く、環状溝11が、
内径壁面13が軸線に平行な平面である断面矩形状のも
の(同図(A))又は内径壁面13が溝奥側に漸次小径
となる蟻溝形状のもの(同図(B)参照)であったた
め、静止密封環4及び保持環5の歪みを保持環側Oリン
グ10の弾性変形によって吸収できない場合があり、こ
れらの歪みの相互干渉を完全に排除することができない
でいた。 すなわち、静止密封環4の背面4dにおける保
持環側Oリング10の接触箇所(以下「第1接触箇所」
という)C 1 と保持環5における保持環側Oリング10
の接触箇所つまり環状溝11の底壁面15における保持
環側Oリング10の接触箇所(以下「第2接触箇所」と
いう)C 2 とは、両環4,5に歪みが生じた場合、それ
らの歪み量が上記した如く大きく異なることから、径方
向に相対変位することになる。一方、保持環側Oリング
10は、それがゴム等の高摩擦係数材で構成されている
こと及び静止密封環4の背面4dと環状溝11の底壁面
15との間に挟圧されていることから、両接触箇所
1 ,C 2 においては滑りが生じ難く、接触箇所C 1
2 の相対変位に伴って変形されることになる。したが
って、図 8に鎖線で示す如く、第1接触箇所C 1 が第2
接触箇所C 2 に対して内径方向に相対変位した場合、第
1接触箇所C 1 の変位に伴ってこれに接触している保持
環側Oリング部分が内径方向へと弾性変形しようとする
が、環状溝11内の保持環側Oリング部分(以下「溝内
部分」という)10aの内径方向への変形は環状溝11
の内径側壁面13により阻止されていることから、かか
る保持環側Oリング10の変形は、それがゴム等の非圧
縮性材で構成されていることとも相俟って、環状溝11
から僅かに突出している保持環側Oリング部分(以下
「溝外部分」という)10bが弾性変形できる範囲にお
いて許容されるにすぎない。しかし、この溝外部分10
bは極く小さなものであるから、保持環側Oリング10
が第1接触箇所C 1 の変位に追従して変形できる範囲
(以下「追従変形限度」という)は極く僅かである。し
たがって、両環4,5の歪みによる接触箇所C 1 ,C 2
の相対変位量が保持環側Oリング10の追従変形限度を
越える場合があり、かかる場合には、両環4,5の歪み
が溝外部分10bの変形によっては吸収されず、相互に
干渉する虞れがある。なお、保持環側Oリング10の環
状溝11からの突出量を大きくして、追従変形限度を大
きくしておくことも考えられるが、このようにすること
は、振動や圧力変動等により保持環側Oリング10が環
状溝11から飛び出して脱落する虞れがあり、両環4,
5間の二次シール機能上からも到底採用できない。
【0008】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
で、シール条件に拘わらず、密封環によるシール機能及
び保持環側Oリングによる二次シール機能を長期に亘っ
て良好に発揮,維持させうる非接触形メカニカルシール
を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転軸に固
定された回転密封環と、シールケースにケース側O
リングを介して二次シールされた状態で軸線方向移動
可能に保持された筒状の被保持部5aとその前端部に形
成された環状の押圧部5bとを有する保持環と、保持
を介して回転密封環へと押圧附勢された静止密封
と、前記押圧部5bの前面5dに形成した環状溝
に保持されており、環状溝11から若干突出した状態
でその底壁面15と静止密封環4の背面4dとに挟圧さ
せることにより、当該両面4d,15間を二次シールさ
れた非接触状態に保持する保持環側Oリング10と、を
具備して、回転密封環と静止密封環との対向端面で
ある密封端面3a,4aを非接触状態で相対回転させる
ことにより、密封端面3a,4aの外周側領域である被
密封流体領域と内周側領域である非密封流体領域
をシールさせるように構成された非接触形メカニカルシ
ールにおいて、上記の目的を達成すべく、特に、前記環
状溝11の内径側壁面13における溝奥側部分13bを
溝口側部分13aより大径として、Oリング10を、環
状溝11の外径側壁面14及び溝口側部分13aに非接
触の状態で、内径側壁面13に支持し、前記押圧部5b
の前面5dに、前記溝口側部分13aの端部に連なり且
静止密封環の内周部に形成した環状凹部4cに若干
の径方向隙間を有して遊嵌状に突入する環状のOリング
保持部5cを突設すると共に、前記溝口側部分13aの
端部径dが前記被保持部5aの外径Dに対してD+0.
5mm≦d≦D+4.0mmとなるように構成しておく
ことを提案するものである。
【0010】
【作用】Oリング保持部5cは、静止密封環の内周部
に形成した環状凹部4cに若干の径方向隙間を有して遊
嵌状に突入されていて、静止密封環と保持環との径
方向位置関係が大きく変動しないようになっているか
ら、仮令、静止密封環と保持環とが相対的に偏心し
た位置関係で組み込まれたとしても、両環4,5の相対
偏心量は極く僅かである。したがって、かかる両環4,
の相対偏心は保持環側Oリング10の弾性変形により
充分に吸収され得て、静止密封環の密封端面4aが回
転密封環の密封端面3aに対して大きく傾むた状態で
運転されることがなく、密封環3,4によるシール機能
が低下したり、両密封端面3a,4aが局部的に接触し
たりすることがない。
【0011】ところで、保持環5には被密封流体領域H
の流体圧が等分布をなして作用し、その結果、保持環5
の前面5dには、これを静止密封環4から引き離そうと
する押圧力が作用し、保持環5の背面には、これを静止
密封環4へと押し付けようとする押圧力が作用する。そ
して、前面5dに作用する押圧力は、保持環5の外径と
保持環側Oリング10による二次シール箇所(つまり保
持環側Oリング10と静止密封環4ないし保持環5とが
接触する環状領域)の直径(以下「第1シール径」とい
う)とで特定される受圧面積によって決定され、背面に
作用する押圧力は、保持環5の外径とケース側Oリング
7による二次シール箇所(つまりケース側Oリング7と
保持環5の被保持部5aとが接触する環状領域)の直径
(以下「第2シール径」という)とで特定される受圧面
積によって決定されるから、両押圧力の大小関係は第1
シール径と第2シール径の大小関係に反比例することに
なる。一方、第2シール径は常に一定であり、被保持部
5aの外径Dに一致することになるが、第1シール径は
静止密封環4と保持環5との相対変位等による保持環側
Oリング10の変形,変位によって変動する。しかし、
かかる変形,変位は、後述する如く、Oリング保持部5
cにより環状溝11内の範囲に規制されることから、第
1シール径は、Oリング保持部5cが連なる溝口側部分
13aの端部径(以下「溝口内径」という)dよりも小
さくなることはない。換言すれば、第1シール径が溝口
内径dに一致するときに、保持環5の前面5dにおける
流体圧の受圧面積が最大となり、前面5dに作用する押
圧力が最大となるのである。 したがって、上記した如
く、溝口内径dを被保持部5aの外径Dよりも所定量大
きく(D+0.5mm≦d≦D+4.0mm)設計して
おくと、第1シール径の変動に拘わらず、常に、保持環
5の前面5dに作用する押圧力が背面に作用する押圧力
よりも小さくなり、保持環5が静止密封環4へと押し付
けられることになる。その結果、保持環側Oリング10
が常に静止密封環4と保持環5との間に挟圧された状態
に維持されることになり、Oリング保持部5cによる作
用とも相俟って、保持環側Oリング10による二次シー
ル機能が良好に発揮,維持されることになる。
【0012】而して、溝口内径dをD+0.5mm≦d
≦D+4.0mmの範囲で設定しておく理由は、次の通
りである。すなわち、d<D+0.5mmであると、保
持環の前面5dに作用する押圧力と背面に作用する押
圧力との差がさほど顕著とならず、シール条件によって
は、保持環の静止密封環への押し付け力つまり保持
環側Oリング10の両環4,5による挟圧力が不十分と
なり、良好な二次シールを機能を発揮できない場合が生
じる。一方、静止密封環の背面4dには、流体圧が等
分布をなして作用することによる押圧力(静止密封環
を回転密封環へと押し付ける力)が作用するが、この押
圧力の大きさは第1シール径つまり溝口内径dによって
決定されることから、d>D+4.0mmとすると、静
止密封環の背面4dに作用する押圧力が、両密封環
3,4間に発生する動圧により静止密封環を回転密封
から離間させるようとする押圧力に比して必要以上
に小さくなり、両押圧力のバランスが崩れて、その押圧
力差によるモーメントにより静止密封環の捩じり歪み
が大きくなって、両密封端面の局部的接触が生じる虞れ
がある。さらに、保持環の前面5dに作用する押圧力
と背面に作用する押圧力との差つまり保持環の静止密
封環への押し付け力が、シール条件によっては過大と
なり、保持環側Oリング10が必要以上に挟圧されて、
二次シール機能はもとより、静止密封環と保持環
の相対変位に伴う追従性が悪くなる虞れがある。したが
って、保持環側Oリング10の挟圧力を適正に保持し、
静止密封環に作用する押圧力をバランスさせるために
は、溝口内径dをD+0.5mm≦d≦D+4.0mm
の範囲でシール条件等に応じて適当に定めておくことが
必要となる。また、保持環側Oリング10が、環状溝1
1の内径側壁面13においては、溝口側部分13aに非
接触の状態で支持されているから、溝外部分10b(環
状溝11から突出する保持環側Oリング部分)のみなら
ず、溝内部分10a(環状溝11内の保持環側Oリング
部分)における溝口側部分13aに対応する部分(以下
「見掛け上の溝外部分」という)10´bも内径方向へ
の変形が可能である。すなわち、静止密封環4の背面4
dにおける保持環側Oリング10の接触箇所である第1
接触箇所C 1 が、保持環5における保持環側Oリング1
0の接触箇所つ まり環状溝11の底壁面15における保
持環側Oリング10の接触箇所である第2接触箇所C 2
に対して、内径方向に大きく相対変位したときにおいて
は、溝外部分10b及びこれに連なる見掛け上の溝外部
分10´bが第1接触箇所C 1 の変位に追従して変形す
ることになり、保持環側Oリング10の追従変形限度
(保持環側Oリング10が第1接触箇所C 1 の変位に追
従して変形できる範囲)が図8(A)(B)に示す環状
溝形態をとる場合に比して大幅に大きくなる。換言すれ
ば、保持環側Oリング10の内径側壁面13による支持
形態上、環状溝11の内径側壁面13が実質的に溝奥部
分13bのみによって構成されることになり、内径側壁
面13によっては実質的に変形を規制されない変形自在
部分が、環状溝11から突出する溝外部分10bとこれ
に連なる溝内部分10aの一部である見掛け上の溝外部
分10´bとで構成されることになる。したがって、変
形自在部分10b,10´bが従来シールにおけるより
も大きくなり、保持環側Oリング10の内径方向への変
形が容易となる。このため、両環4,5の歪みにより、
第1接触箇所C 1 が第2接触箇所C 2 に対して内径方向
に大きく相対変位して、溝外部分10bの変形によって
はかかる相対変位を吸収し得ない場合にも、図3に鎖線
図示する如く、変形自在部分10b,10´bが第1接
触箇所C 1 の変位に追従して容易に弾性変形することが
でき、その結果、両環4,5の歪みが変形自在部分10
´a,10bの変形により吸収されて相互に干渉するこ
とがなく、静止密封環4が保持環5の歪みにより悪影響
を受けることがない。 一方、このように変形自在部分1
0b,10´bが大きいと、接触箇所C 1 ,C 2 の相対
変位に容易に追従できる反面、変形自在部分10b,1
0´bが内径方向に必要以上に変形して、機器の振動等
による影響と相俟って、保持環側Oリング10が環状溝
11から内径方向に飛び出して脱落する虞れがある。し
かし、変形自在部分10b,10´bの内径方向への変
形や変位は、溝口側部分13aに連なって静止密封環4
の環状凹部4cへと突入する保持環側Oリング保持部5
cによって、一定範囲内に規制されることから、上記し
たような虞れはない。すなわち、変形自在部分10b,
10´bを大きくすることによる弊害が、保持環側Oリ
ング保持部5cによって確実に排除されるのである。し
かも、保持環側Oリング保持部5cは溝口側部分13a
に連なっているから、変形自在部分10b ,10´bの
内径方向への変形や変位は環状溝11の溝口に対応する
範囲内に規制されることから、変形自在部分10b,1
0´bの一部(主として見掛け上の溝外部分)の環状溝
11内への復帰も容易となる。したがって、静止密封環
4と保持環5とが歪みや振動等の影響により相対運動し
た場合にも、保持環側Oリング10がこれに良好に追従
変形し得て、保持環側Oリング10による二次シール機
能が良好に発揮,維持される。そして、かかる二次シー
ル機能は、上述した如く溝口内径dをD+0.5mm≦
d≦D+4.0mmの範囲に設定して、静止密封環4と
保持環5とが接近方向に押圧状態となるようにしておく
ことによって、更に良好に発揮されることになることは
いうまでもない。
【0013】
【実施例】以下、本発明の構成を図1〜図4に示す実施
例に基づいて具体的に説明する。
【0014】この実施例の非接触形メカニカルシール
は、図1に示す如く、シールケース1と、シールケース
1を洞貫するタービン軸等の回転軸2に固定された円環
状の回転密封環3と、回転密封環3に軸線方向において
直対向する円環状の静止密封環4と、静止密封環4の背
面側においてシールケース1に保持された保持環5と、
シールケース1と保持環5との間に介装された複数のコ
イル状のスプリング6(一のみ図示)と、を具備する。
【0015】シールケース1は、図1に示す如く、円筒
状のガイド部1a及び円環状のリテーナ部1bとを有す
る。回転軸2は、ガイド部1a及びリテーナ部1bを同
心状に貫通する。
【0016】回転密封環3はWC,SiC等の超硬質材
で構成されたもので、図1及び図2に示す如く、静止密
封環4に軸線方向において対向する端面3aには、被密
封流体領域Hに臨む外周部へと開口するスパイラル状等
の適宜形状をなす動圧発生溝3bが形成されている。こ
の動圧発生溝3bの作用により、両密封環3,4の相対
回転に伴い動圧を発生せしめて、両密封環3,4の対向
端面たる密封端面3a,4a間を、流体膜を介在形成さ
せた非接触状態に保持する。而して、この流体膜の形成
部分において、密封端面3a,4aの外周側領域である
被密封流体領域(例えば、タービン等の機内である高圧
ガス領域)Hとその内周側領域である非密封流体領域
(例えば、タービン等の機外である大気領域)Lとの間
をシールするようになっている。
【0017】静止密封環4は回転密封環3の構成材より
比較的軟質のカーボン等で構成されたもので、図1及び
図2に示す如く、シールケース1のガイド部1aに極く
微小な隙間を有する状態で軸線方向移動自在に内嵌保持
されている。すなわち、静止密封環4の背面側における
外周部分及び内周部分には密封端面4aの外径及び内径
より大径とした環状凸部4b及び環状凹部4cが形成さ
れていて、環状凸部4bを、例えばJIS−B0401
にいうすき間ばめ程度の寸法公差をもってガイド部1a
に嵌合させることによって、環状凸部4bの外周面とガ
イド部1aの内周面との間に、静止密封環4の径方向変
位を可及的に阻止するも、その軸線方向移動並びに流体
の通過を許容する、極く微小な隙間が形成されるように
構成されている。なお、この隙間は静止密封環4の径や
シール条件等に応じて適宜に設定されるが、一般には、
環状凸部4bの外径寸法とガイド部1aの内径寸法との
差を10〜100μm程度としておくことが好ましい。
【0018】保持環5はSUS304,Ti等の金属材
で構成されたもので、図1及び図2に示す如く、円筒状
の被保持部5aとその前端に形成された円環状の押圧部
5bとを備えた断面L字形状に成形されている。この保
持環5は、図2に示す如く、被保持部5aをシールケー
ス1のリテーナ部1bの内周部にゴム製のケース側Oリ
ング7を介して嵌挿保持させることによって、シールケ
ース1に、これとの間を二次シールさせた状態で、軸線
方向移動可能に保持されている。
【0019】なお、静止密封環4は、図2に示す如く、
これに保持環5の押圧部5bに植設せる適当数の回り止
めピン(一のみ図示)8を突入係合させておくことによ
り、保持環5に対して相対回転不能とされている。ま
た、保持環5は、図2に示す如く、これに植設せる適当
数の回り止めピン(一のみ図示)9をシールケース1の
リテーナ部1bに突入係合させておくことにより、シー
ルケース1に対して相対回転不能とされている。これら
の回り止めピン8,9は共通のものとしてもよい。例え
ば、一方の回り止めピン8を廃して、他方の回り止めピ
ン9を保持環5に貫通状に支持させて、その両端部をリ
テーナ部1b及び静止密封環4に突入係合させておくよ
うにしてもよい。
【0020】各スプリング6は、図1及び図2に示す如
く、シールケース1のリテーナ部1bと保持環5の押圧
部5bとの間に介装されており、保持環5を軸線方向に
おいて回転密封環3に向かう方向に押圧附勢する。
【0021】而して、静止密封環4と保持環5との間
は、図1〜図3に示す如く、両環4,5の軸線方向にお
ける対向端面4d,5d間に保持環側Oリング10を介
在させることによって、二次シールされた非接触状態に
保持されている。すなわち、保持環5の前面つまり押圧
部5bの前面5dに同心の環状溝11を形成し、この環
状溝11にゴム製の保持環側Oリング10を若干突出さ
せた状態で嵌合保持させることによって、静止密封環4
を、スプリング6による附勢作用と相俟って、保持環5
との間に適当なクリアランス12を有したシール状態
で、回転密封環3へと押圧させるべく附勢保持せしめて
いる。なお、保持環側Oリング10は、環状溝11の外
径側壁面14に非接触の状態で保持されている。さら
に、環状溝11の内径側壁面13を、溝奥側部分13b
が溝口側部分13aより大径となるようにして、保持環
側Oリング10を溝口側部分13aに非接触の状態で内
径側壁面13に支持させてある。すなわち、図3に示す
如く、環状溝11の内径側壁面13を溝口方向に漸次縮
径する傾斜面として、保持環側Oリング10の溝内部分
10aを、溝口側部分13aから離間した状態で、溝奥
側部分13bに支持させるように構成してある。
【0022】また、押圧部5bの前面5dには、図2及
び図3に示す如く、環状溝11の溝口側部分13aの端
に連なって静止密封環4の環状凹部4cに若干の径方
向隙間Sを有して遊嵌状に突入する円環状のOリング保
持部5cが突設されていて、保持環側Oリング10が
口側部分13aの端部径たる溝口内径dつまりOリング
保持部5cの外径以上に内径方向に変形,変位するのを
阻止すべく図っている。なお、この径方向隙間隙間S
は、両部4c,5cが両環4,5の歪みによっては干渉
しない範囲で可及的に小さく設定しておくことが好まし
く、一般には、両部4c,5cが同心状態にあるときに
おいてS=0.3〜0.5mmとなるように設定してお
くことが好ましい。
【0023】また、環状溝11の内径は、従来シールを
含む公知の非接触形メカニカルシールにおける同様
に、静止密封環4の前面及び背面に作用する圧力関係が
両密封端面3a,4aを非接触状態に保持するような関
係となることを条件として設定されるが、本発明に係る
非接触形メカニカルシールでは、更に、溝口内径dを
持環5の被保持部5aの外径Dに対してD+0.5mm
≦d≦D+4.0mmとなるように設定してある。
【0024】すなわち、静止密封環4の前面及び背面に
は、図4(A)に示す如き圧力分布をなす動圧及び静圧
による押圧力F1 ,F2 が作用するが、押圧力F1 は、
静止密封環4の密封端面4aに作用するものであって、
密封端面3a,4a間に発生する動圧によるものであ
り、押圧力F2 は、静止密封環4の背面における被密封
流体領域Hに臨む環状領域、つまり密封端面4aの外周
面に対応する箇所から保持環側Oリング10による二次
シール箇所に至る環状領域に等分布をなして作用する被
密封流体領域Hの流体圧力によるものである。なお、静
止密封環4の外径は密封端面4aの外径より大きくなっ
ているため、その外周側の環状凸部4bの前面及び背面
にも押圧力F´1 ,F´2 が作用するが、これらの押圧
力F´1 ,F´2 は方向反対にして大きさ同一のもので
あって相殺されることから、静止密封環4には押圧力F
1 ,F2 のみが作用するものとする。そして、押圧力F
2 は、密封端面4aの外径と保持環側Oリング10によ
る二次シール箇所の直径である第1シール径d0 とによ
って特定される受圧面積によって決定されるものであ
る。また、保持環側Oリング10による二次シール箇所
は、保持環側Oリング10の変形,変位により変動する
が、その内径方向への変動は上記した如くOリング保持
部5cの作用により規制されることから、第1シール径
0 Oリング保持部5cが連なる溝口側部分13aの
端部径たる溝口内径dより小さくなることはなく、d0
≧dの範囲で変動することになる。したがって、押圧力
2 は、第1シール径d0 を変動範囲の下限値としたと
き、つまりd0 =dとしたときに最大となり、かかる最
大となったときの押圧力F2 が動圧による押圧力F1
り小さくなっておれば、両密封端面3a,4a間は常に
非接触状態に保持されることになる。すなわち、両密封
端面3a,4a間が非接触状態に保持されることは、非
接触形メカニカルシールにおいて必須の条件であるか
ら、第1シール径d0 の下限値に相当する溝口内径d
は、当該非接触形メカニカルシールにおける一般的設計
事項として、当然に、F1 >F2 となるように設計され
るのであり、本発明に係る非接触形メカニカルシールに
おいても、そのように設計される。一方、このような条
件(F1 >F2 )を満足する範囲内において、溝口内径
dをケース側Oリング7による二次シール箇所の直径で
ある第2シール径つまり被保持部5aの外径Dに比して
一定範囲で大きくしておくことは充分に可能である。そ
こで、本発明に係る非接触形メカニカルシールにあって
は、溝口内径dを上記した如く0.5〜4.0mmの範
囲内で被保持部5aの外径Dより大きくなるように設定
してあるのである。
【0025】
【0026】以上のように構成された非接触形メカニカ
ルシールにあっては、Oリング保持部5cが、静止密封
環4の内周部に形成した環状凹部4cに若干の径方向隙
間Sを有して遊嵌状に突入されていて、静止密封環4と
保持環5との径方向位置関係が大きく変動しないように
なっているから、仮令、両環4,5が相対的に偏心した
位置関係で組み込まれたとしても、両環4,5の相対偏
心量は極く僅かである。したがって、かかる両環4,5
の相対偏心は保持環側Oリング10の弾性変形により充
分に吸収され得て、静止密封環4の密封端面4aが回転
密封環3の密封端面3aに対して大きく傾いた状態で運
転されることがなく、密封環3,4によるシール機能が
低下したり、両密封端面3a,4aが局部的に接触した
りすることがない。
【0027】また、静止密封環4と保持環5との相対変
位や振動等による保持環側Oリング10の内径方向への
変位,変形は、Oリング保持部5cによって一定範囲内
に規制される。したがって、Oリング保持部5cが環状
溝11の内径側壁面13に連なっていることから、保持
環側Oリング10は環状溝11から内径方向に飛び出し
たり、脱落したりすることがない。
【0028】また、保持環5の前面及び背面には、被密
封流体領域Hの流体圧力Pによる押圧力F3 ,F4 が作
用するが、図4(B)に示す如く、押圧力F3 は、保持
環5の前面における被密封流体領域Hに臨む環状領域、
つまり押圧部5bの外周箇所から保持環側Oリング10
による二次シール箇所に至る環状領域に等分布をなして
作用する流体圧力Pによるものであり、押圧力F4 は、
保持環5の背面における被密封流体領域Hに臨む環状領
域、つまり押圧部5bの外周箇所からケース側Oリング
7による二次シール箇所に至る環状領域に等分布をなし
て作用する流体圧力Pによるものである。そして、押圧
力F3 は、第1シール径d0 と押圧部5bの外径D1
で特定される受圧面積によって与えられ、F3 =Pπ
((D1 2 −(d0 2 )/4となる。また、押圧力
4 は、被押圧部5aの外径である第2シール径Dと押
圧部5bの外径D1 とで特定される受圧面積によって与
えられ、F4 =Pπ((D1 2 −(D)2 )/4とな
る。一方、第1シール径d0は保持環側Oリング10の
変形,変位によって変動するが、上記した如く溝口内径
dよりも小さくなることはない。このようにd0 ≧dで
あり、上記した如くd>Dであるから、第1シール径d
0 が変動した場合にも、常に、F3 <F4 となり、これ
らの押圧力差(F4 −F3 )により保持環5は静止密封
環4へと押し付けられることになる。したがって、上記
した如く静止密封環4の前面及び背面に作用する押圧力
1 ,F2 が当然のこととしてF1 >F2 の関係にある
こととも相俟って、静止密封環4と保持環5とは常に押
し合う状態に保持される。その結果、保持環側Oリング
10は、常に、両環4,5間に挟圧される状態に保持さ
れることから、保持環側Oリング10の劣化や機器の振
動等が生じた場合にも、両環4,5間を良好に二次シー
ルする。そして、D+0.5mm≦d≦D+4.0mm
としておくことにより、静止密封環4への押し付け力
(F4 −F3 )が、シール条件(保持環側Oリング10
の性状変化や圧力変動等)に拘わらず、保持環側Oリン
グ10を適正に挟圧しうるに必要且つ充分な大きさに維
持させておくことができ、保持環側Oリング10による
両環4,5間の二次機能及び両環4,5の相対変位に対
する追従機能が良好に発揮されることになる。また、静
止密封環4の前面及び背面に作用する押圧力F1 ,F2
が、F1 >F2 の条件を満足しつつ、バランスされ、そ
の押圧力差(F1 −F2 )によるモーメントにより静止
密封環4の捩じり歪みが大きくなって両密封端面3a,
4aの局部的接触が生じるような虞れもない。
【0029】これらのことから、保持環側Oリング10
による二次シール機能及び密封環3,4によるシール機
能が良好に発揮されて、両環4,5の組み込み形態やシ
ール条件に拘わらず、長期に亘って被密封流体領域Hと
非密封流体領域Lとのシールを良好に行うことができ
る。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】また、保持環側Oリング10が、環状溝1
1の内径側壁面13においては、溝口側部分13aに非
接触の状態で支持されているから、溝外部分10bのみ
ならず、溝内部分10aにおける溝口側部分13aに対
応する部分(以下「見掛け上の溝外部分」という)10
´bも内径方向への変形が可能である。すなわち、静止
密封環4の背面4dにおける保持環側Oリング10の接
触箇所である第1接触箇所C1 が、保持環5における保
持環側Oリング10の接触箇所つまり環状溝11の底壁
面15における保持環側Oリング10の接触箇所である
第2接触箇所C2 に対して、内径方向に大きく相対変位
したときにおいては、溝外部分10b及びこれに連なる
見掛け上の溝外部分10´bが第1接触箇所C1 の変位
に追従して変形することになり、保持環側Oリング10
の追従変形限度が図8(A)(B)に示す環状溝形態を
とる場合に比して大幅に大きくなる。換言すれば、保
環側Oリング10の内径側壁面13による支持形態上、
環状溝11の内径側壁面13が実質的に溝奥部分13b
のみによって構成されることになり、内径側壁面13に
よっては実質的に変形を規制されない変形自在部分が、
環状溝11から突出する溝外部分10bとこれに連なる
溝内部分10aの一部である見掛け上の溝外部分10´
bとで構成されることになる。したがって、変形自在部
分10b,10´bが従来シールにおけるよりも大きく
なり、保持環側Oリング10の内径方向への変形が容易
となる。このため、両環4,5の歪みにより、第1接触
箇所C1 が第2接触箇所C2 に対して内径方向に大きく
相対変位して、溝外部分10bの変形によってはかかる
相対変位を吸収し得ない場合にも、図3に鎖線図示する
如く、変形自在部分10b,10´bが第1接触箇所C
1 の変位に追従して容易に弾性変形することができ、そ
の結果、両環4,5の歪みが変形自在部分10´a,1
0bの変形により吸収されて相互に干渉することがな
く、静止密封環4が保持環5の歪みにより悪影響を受け
ることがない。
【0034】一方、このように変形自在部分10b,1
0´bが大きいと、接触箇所C1 ,C2 の相対変位に容
易に追従できる反面、変形自在部分10b,10´bが
内径方向に必要以上に変形して、機器の振動等による影
響と相俟って、保持環側Oリング10が環状溝11から
内径方向に飛び出して脱落する虞れがある。しかし、変
形自在部分10b,10´bの内径方向への変形や変位
は、溝口側部分13aに連なって静止密封環4の環状凹
部4cへと突入する保持環側Oリング保持部5cによっ
て、一定範囲内に規制されることから、上記したような
虞れはない。すなわち、変形自在部分10b,10´b
を大きくすることによる弊害が、保持環側Oリング保持
部5cによって確実に排除されるのである。しかも、保
持環側Oリング保持部5cは溝口側部分13aに連なっ
ているから、変形自在部分10b,10´bの内径方向
への変形や変位は環状溝11の溝口に対応する範囲内に
規制されることから、変形自在部分10b,10´bの
一部(主として見掛け上の溝外部分)の環状溝11内へ
の復帰も容易となる。したがって、静止密封環4と保持
環5とが歪みや振動等の影響により相対運動した場合に
、保持環側Oリング10がこれに良好に追従変形し得
、保持環側Oリング10による二次シール機能が良好
に発揮,維持される。そして、かかる二次シール機能
は、溝口内径dを上記した範囲(D+0.5mm≦d≦
D+4.0mm)で適宜に設定して、静止密封環4と保
持環5とが接近方向に押圧状態となるようにしておくこ
とによって、更に良好に発揮されることになることはい
うまでもない。
【0035】なお、本発明に係る非接触形メカニカルシ
ールは上記実施例に限定されるものではなく、本発明の
基本原理を逸脱しない範囲において適宜に改良,変更す
ることができる。例えば、静止密封環4と保持環5との
歪み干渉をより確実に回避するための環状溝11の内径
側壁面13の形状は、保持環側Oリング10が溝口側部
分13aに非接触の状態で支持させるものである限り、
図5に例示する如く任意である。すなわち、図5(A)
に示すものでは、内径側壁面13を溝口方向に漸次縮径
する円弧面として、保持環側Oリング10を溝口側部分
13aに非接触の状態で溝奥側部分13bに支持させる
ようにしてある。また、同図(B)又は(C)に示すも
のでは、内径側壁面13を階段状として、保持環側Oリ
ング10を小径の溝口側部分13aから離した状態で大
径の溝奥側部分13bに支持させるようにしてある。
【0036】また、図6に示す如く、シールケース1
に、リテーナ部1bから保持環5を貫通して静止密封環
4の内周部へと延びる円筒状のガイド部1cを形成し
て、静止密封環4をガイド部1cに外嵌させることによ
って、静止密封環4をシールケース1に軸線方向移動可
能に且つ径方向変位不能に内嵌保持させておくようにし
てもよい。この場合においても、すき間ばめ程度の寸法
公差(JIS−B0401)をもって静止密封環4をガ
イド部1cに嵌合させておき、静止密封環4の内周面と
ガイド部1cの外周面との間には、静止密封環4の径方
向変位を阻止するも、その軸線方向移動並びに流体の通
過を許容する、極く微小な隙間が形成されるようにして
おく。この隙間は、上記実施例におけると同様に、静止
密封環4の径やシール条件等に応じて適宜に設定され、
一般に、静止密封環4の内径寸法とガイド部1cの外径
寸法との差を10〜100μm程度としておくことが好
ましい。勿論、両密封端面3a,4a間に動圧を発生さ
せるための手段も任意である。すなわち、動圧発生溝3
aの形状やこれを形成する密封端面3a,4aの選択も
任意である。
【0037】
【発明の効果】以上の説明から容易に理解されるよう
に、本発明の非接触形メカニカルシールは、静止密封環
と保持環との組み込み時の形態や保持環側Oリング
10の性状変化等のシール条件に拘わらず、密封環3,
によるシール機能及び保持環側Oリング10による二
次シール機能を良好に発揮,維持させることができ、長
期に亘って被密封流体領域と非密封流体領域とのシ
ールを良好に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非接触形メカニカルシールの一実
施例を示す半截の縦断側面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す縦断側面図である。
【図3】図2の要部を拡大して示す縦断側面図である。
【図4】静止密封環及び保持環に作用する圧力分布図で
ある。
【図5】環状溝の変形例を示す図3相当の縦断側面図で
ある。
【図6】他の実施例を示す図1相当の縦断側面図であ
る。
【図7】従来シールを示す図1相当の縦断側面図であ
る。
【図8】図7の要部を拡大して示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1…シールケース、2…回転軸、3…回転密封環、3
a,4a…密封端面、3b…動圧発生溝、4…静止密封
環、4c…環状凹部、4d…静止密封環の背面、5…保
持環、5a…保持環の被保持部、5b…保持環の押圧
部、5c…保持環のOリング保持部、5d…押圧部の前
面、6…スプリング、7…ケース側Oリング、10…保
持環側Oリング、11…環状溝、13…環状溝の内径側
壁面、13a…内径側壁面の溝口側部分、13b…内径
側壁面の溝奥側部分、14…環状溝の外径側壁面、15
…環状溝の底壁面、d…溝口内径(溝口側部分の端部
)、D…被保持部の外径、H…被密封流体領域、L…
非密封流体領域。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16J 15/34 F16J 15/06 F16J 15/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸(2)に固定された回転密封環
    (3)と、シールケース(1)にケース側Oリング
    (7)を介して二次シールされた状態で軸線方向移動可
    能に保持された筒状の被保持部(5a)とその前端部に
    形成された環状の押圧部(5b)とを有する保持環
    (5)と、保持環(5)を介して回転密封環(3)へと
    押圧附勢された静止密封環(4)と、前記押圧部(5
    b)の前面(5d)に形成した環状溝(11)に保持さ
    れており、環状溝(11)から若干突出した状態でその
    底壁面(15)と静止密封環(4)の背面(4d)とに
    挟圧させることにより、当該両面(4d,15)間を二
    次シールされた非接触状態に保持する保持環側Oリング
    (10)と、を具備して、回転密封環(3)と静止密封
    (4)との対向端面である密封端面(3a,4a)
    非接触状態で相対回転させることにより、密封端面(3
    a,4a)の外周側領域である被密封流体領域(H)
    内周側領域である非密封流体領域(L)とをシールさせ
    るように構成された非接触形メカニカルシールにおい
    て、前記環状溝(11)の内径側壁面(13)における溝奥
    側部分(13b)を溝口側部分(13a)より大径とし
    て、Oリング(10)を、環状溝(11)の外径側壁面
    (14)及び溝口側部分(13a)に非接触の状態で、
    内径側壁面(13)に支持し、 前記押圧部(5b)の前面(5d)に、前記溝口側部分
    (13a)の端部に連なり且つ静止密封環(4)の内周
    部に形成した環状凹部(4c)に若干の径方向隙間を有
    して遊嵌状に突入する環状のOリング保持部(5c)
    突設すると共に、 前記溝口側部分(13a)の端部径dが前記被保持部
    (5a)の外径Dに対してD+0.5mm≦d≦D+
    4.0mmとなるように構成したことを特徴とする非接
    触形メカニカルシール。
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