JP2016166633A - 非接触式ガスシール - Google Patents

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Abstract

【課題】回転環の部位間の温度差に起因して当該回転環に生じる熱歪を防止又は抑制することができる非接触式ガスシールを提供する。
【解決手段】回転軸2に設けられた回転環3と、回転環と軸方向に対向して配設された静止環10と、回転環と静止環との対面するシール面3a,10a間を狭める方向に回転環及び静止環のうちの一方を他方側に押す閉力発生手段と、シール面間にガスを供給してシール面間を広げる開力発生手段と、を備え、シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシール。回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されている。回転環における静止環と対面するシール面にダイヤモンド膜d1が形成されており、且つ、回転環の外周面3b又は内周面、及び、回転環におけるシール面と反対側の面である背面3cに、シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜d2,d3が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は非接触式ガスシールに関する。さらに詳しくは、例えば各種産業用ポンプ、撹拌機、コンプレッサ、ブロワ等の被軸封機器における回転軸とケーシングとの間をガスを用いてシールする非接触式ガスシールに関する。
コンプレッサ等の被軸封装置の回転軸とケーシングとの間に設けられ、流体をシールする非接触式ガスシールとして、ガスの静圧を利用する静圧型ガスシール(例えば、特許文献1参照)と、ガスの動圧を利用する動圧型ガスシール(例えば、特許文献2参照)とがある。
特許文献1記載のガスシールでは、図10に示されるように、非軸封装置の回転軸101に環状の回転密封環102が外嵌して取り付けられており、また、ハウジング103には、シールケース104を介して環状の静止密封環105が取り付けられている。回転密封環102と静止密封環105とは軸方向に対向して配置されており、当該回転密封環102と静止密封環105との対向する面をそれぞれシール面102a及びシール面105aとしている。
静止密封環105における前記シール面105aと反対側の面には、当該静止密封環105を回転密封環102に向かう方向に押すスプリング106が配設されている。また、静止密封環105には、その外周面105bからシール面105aに通じるガス路107が形成されている。外部から窒素ガス等のバリアガスGが、前記ガス路107を介してシール面105aに供給される。
ガス路107を介してシール面105aに供給されたバリアガスGは、シール面102aとシール面105aとの間の隙間から径方向内側及び径方向外側に向かって流れる。このときに前記隙間に発生するガス圧が、静止密封環105を開方向(図10において左方向)に押す力として作用し、このガス圧と、スプリング106の付勢力とがつり合う位置で当該静止密封環105が保持される。したがって、回転密封環102と静止密封環105とは非接触状態となり、シール面102aとシール面105aとの間を満たすバリアガスGによって、機内側Aにある流体が、その反対側である機外側Bの空間へと漏れるのを防止している。
国際公開第00/75540号公報 特開平10−54464号公報
前述した非接触式ガスシールは、被軸封装置が定常運転をしている間は良好なシール性を得ることができるが、流体の圧力や温度の変動、及び、非軸封装置の回転数の変動等によって、回転環のシール面が静止環のシール面と接触すると、当該回転環のシール面に摩擦熱が発生し、このシール面と、回転環の他の部位、特に当該回転環から離れている背面(シール面と反対側の面)との間で温度差が生じ、この温度差に起因して前記回転環に熱歪が発生する虞がある。
また、非接触式ガスシールでは、被軸封装置の運転中はガスの静圧又は動圧によりシール面間に隙間が形成されるが、被軸封装置の停止時にはガスが供給されないことからシール面同士が接触した状態にある。このため、被軸封装置の運転開始時にはシール面同士が接触した状態で運転される時間帯が存在することから、回転環のシール面に摩擦熱が発生する。そして、この場合も、前記と同様にシール面と、回転環の他の部位、特に背面との間で温度差が生じ、この温度差に起因して前記回転環に熱歪が発生する虞がある。
また、動圧型の非接触式ガスシールのなかには、環状の回転環の軸方向の両側面がシール面とされている、いわゆるダブル式のガスシールがある。かかるダブル式のガスシールでは、回転環の各シール面に対向して静止環が配設されており、各静止環はバネ等の閉力発生手段によって回転環側に押されている。このようなダブル式のガスシールにおいて、機内側の圧力が大気側の圧力に比べて高い場合、機内側の静止環を押す閉力は大気側に比べて大きくなるように設定される。したがって、シール面にガスの動圧による開力が作用するものの、機内側のシール面の方が大気側のシール面よりも接触する可能性が高い。
さらに、流体温度に関し、通常、この種の非接触式ガスシールでは、機内側は5〜80度程度の温度範囲で使用される。この場合、大気側の温度を25度程度と仮定すると、機内流体の温度の方が高いケースが多く、その結果、高温の密封流体に接触する機内側シール面の温度が、大気側シール面の温度よりも高くなるケースが多い。
このため、ダブル式のガスシールでは、回転環の機内側のシール面の温度が大気側のシール面の温度よりも高くなり、当該回転環に熱歪が発生する虞がある。
回転環に熱歪が発生すると、当該回転環のシール面と静止環のシール面との平行性を保つことができなくなり、異常摩耗や流体漏れに繋がる虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、回転環の部位間の温度差に起因して当該回転環に生じる熱歪を防止又は抑制することができる非接触式ガスシールを提供することを目的としている。
(1)本発明の第1の観点に係る非接触式ガスシール(以下、単に「ガスシール」ともいう)は、回転軸に設けられた回転環と、前記回転環と軸方向に対向して配設された静止環と、前記回転環と静止環との対面するシール面間を狭める方向に当該回転環及び静止環のうちの一方を他方側に押す閉力発生手段と、前記シール面間にガスを供給して当該シール面間を広げる開力発生手段と、を備え、前記シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシールであって、
前記回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されており、
前記回転環における前記静止環と対面するシール面にダイヤモンド膜が形成されており、且つ、
前記回転環の外周面又は内周面、及び、前記回転環における前記シール面と反対側の面である背面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている。
本発明の第1の観点に係るガスシールでは、回転環の外周面又は内周面、及び、当該回転環における前記シール面と反対側の面である背面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている。ダイヤモンド膜は1000〜2000W/m・kという大きな熱伝導率を有している。このため、回転環の摺動面であるシール面で発生した摩擦熱を速やかに当該回転環の外周面又は内周面に形成されたダイヤモンド膜を経由して回転環の背面に形成されたダイヤモンド膜に伝えることができる。これにより、回転環のシール面と背面との間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環のシール面と、静止環のシール面との平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
(2)本発明の第2の観点に係る非接触式ガスシール(以下、単に「ガスシール」ともいう)は、回転軸に設けられた回転環と、前記回転環と軸方向に対向して配設された静止環と、前記回転環と静止環との対面するシール面間を狭める方向に当該回転環及び静止環のうちの一方を他方側に押す閉力発生手段と、前記シール面間にガスを供給して当該シール面間を広げる開力発生手段と、を備え、前記シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシールであって、
前記回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されており、
前記回転環における前記静止環と対面するシール面にダイヤモンド膜が形成されており、且つ、
前記回転環の外周面及び内周面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている。
本発明の第2の観点に係るガスシールでは、回転環の外周面及び内周面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている。ダイヤモンド膜は1000〜2000W/m・kという大きな熱伝導率を有している。このため、回転環の摺動面であるシール面で発生した摩擦熱を速やかに当該回転環の外周面及び内周面に形成されたダイヤモンド膜を経由して回転環の内周側及び外周側に伝えることができる。これにより、回転環のシール面と外周面と内周面の各々の間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環のシール面と、静止環のシール面との平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
(3)本発明の第3の観点に係るガスシールは、回転軸に設けられた回転環と、前記回転環と軸方向に対向して配設された静止環と、前記回転環と静止環との対面するシール面間を狭める方向に当該回転環及び静止環のうちの一方を他方側に押す閉力発生手段と、前記回転環のシール面に形成されており、当該回転環の回転により前記シール面間を広げる動圧を発生させる動圧発生手段と、を備え、前記シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシールであって、
前記回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されており、
前記回転環における前記静止環と対面するシール面にダイヤモンド膜が形成されており、且つ、
前記回転環の外周面又は内周面、及び、前記回転環における前記シール面と反対側の面である背面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている。
本発明の第3の観点に係るガスシールでは、回転環の外周面又は内周面、及び、当該回転環における前記シール面と反対側の面である背面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている。ダイヤモンド膜は1000〜2000W/m・kという大きな熱伝導率を有している。このため、回転環の摺動面であるシール面で発生した摩擦熱を速やかに当該回転環の外周面又は内周面に形成されたダイヤモンド膜を経由して回転環の背面に形成されたダイヤモンド膜に伝えることができる。これにより、回転環のシール面と背面との間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環のシール面と、静止環のシール面との平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
(4)本発明の第4の観点に係るガスシールは、回転軸に設けられた回転環と、前記回転環と軸方向に対向して配設された静止環と、前記回転環と静止環との対面するシール面間を狭める方向に当該回転環及び静止環のうちの一方を他方側に押す閉力発生手段と、前記回転環のシール面に形成されており、当該回転環の回転により前記シール面間を広げる動圧を発生させる動圧発生手段と、を備え、前記シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシールであって、
前記回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されており、
前記回転環における前記静止環と対面するシール面にダイヤモンド膜が形成されており、且つ、
前記回転環の外周面及び内周面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている。
本発明の第4の観点に係るガスシールでは、回転環の外周面及び内周面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている。ダイヤモンド膜は1000〜2000W/m・kという大きな熱伝導率を有している。このため、回転環の摺動面であるシール面で発生した摩擦熱を速やかに当該回転環の外周面及び内周面に形成されたダイヤモンド膜を経由して回転環の内周側及び外周側に伝えることができる。これにより、回転環のシール面と外周面と内周面の各々の間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環のシール面と、静止環のシール面との平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
(5)本発明の第5の観点に係るガスシールは、回転軸に設けられた回転環と、前記回転環の軸方向両側面とそれぞれ対向して配設された第1及び第2静止環と、前記回転環と両静止環との対面するシール面間を狭める方向に当該両静止環を回転環側に押す閉力発生手段と、前記回転環の両シール面に形成されており、当該回転環の回転により前記シール面間を広げる動圧を発生させる動圧発生手段と、を備え、前記シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシールであって、
前記回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されており、
前記回転環における前記静止環と対面する両シール面にダイヤモンド膜が形成されており、且つ、
前記回転環の外周面又は内周面に、前記両シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている。
本発明の第5の観点に係るガスシールでは、回転環の両側面のシール面にダイヤモンド膜が形成されるとともに、当該回転環の外周面又は内周面に、前記両シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている。ダイヤモンド膜は1000〜2000W/m・kという大きな熱伝導率を有している。このため、回転環の機内側のシール面の熱を速やかに当該回転環の外周面又は内周面に形成されたダイヤモンド膜を経由して当該回転環の大気側のシール面に形成されたダイヤモンド膜に伝えることができる。これにより、回転環の機内側のシール面と大気側のシール面の間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環のシール面と、静止環のシール面との平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
(6)前記(1)〜(5)のガスシールにおいて、前記ダイヤモンド膜の熱伝導率を1000〜2000W/m・kとすることができる。
本発明のガスシールによれば、回転環の部位間の温度差に起因して当該回転環に生じる熱歪を防止又は抑制することができる。
本発明のガスシールの第1実施形態の縦断面説明図である。 図1に示されるガスシールの変形例の要部拡大説明図である。 図1に示されるガスシールの他の変形例の要部拡大説明図である。 本発明のガスシールの第2実施形態の縦断面説明図である。 図4示されるガスシールの変形例の要部拡大説明図である。 図4示されるガスシールの他の変形例の要部拡大説明図である。 本発明のガスシールの第3実施形態の縦断面説明図である。 図7に示されるガスシールの変形例の要部拡大説明図である。 本発明のガスシールの第4実施形態の縦断面説明図である。 従来のガスシールの一例の縦断面説明図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のガスシールの実施の形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスシールG1の縦断面説明図である。なお、図1及び後出する図2〜7においては、分かりやすくするために、ダイヤモンド膜の膜厚を誇張して描いている。
本実施形態に係るガスシールG1は、各種産業用ポンプ、撹拌機、コンプレッサ、ブロワ等の被軸封機器に用いることができ、当該被軸封機器のケーシング1と、このケーシング1に挿入される回転軸2との間に配設されている。ガスシールG1は、後述するシール面間を挟んで、軸方向一方側の機内側(第1空間)Aと軸方向他端側の機外側(第2空間)Bとを仕切り、機内側に存在する流体が機外側に漏れるのを防止する。
図1に示されるガスシールG1は、回転側ユニットとして、回転軸に取り付けられた環状の回転環3と、回転軸2に外嵌して固定されているストッパーリング4と、このストッパーリング4に固定され前記回転軸2に外嵌している、フランジ5a付のスリーブ5とを備えている。回転環3はスリーブ5に外嵌しており、当該スリーブ5のフランジ5aとストッパーリング4とに挟まれて回転軸2に固定された状態にある。これにより、回転環3は回転軸2と一体回転可能にされている。回転環3は、SiCの焼結体で作製されており、この焼結体は、例えばSiCの常温焼結又は反応焼結により得ることができる。また、回転環3は超硬合金(WC)で作製してもよい。
スリーブ5とストッパーリング4はボルト6により固定されており、ストッパーリング4は、セットスクリュー7により回転軸2に固定されている。
回転環3とスリーブ5との間には機内側Aと機外側Bとの間をシールするOリング8が介在している。また、回転軸2とスリーブ5との間には、機内側Aと機外側Bとの間をシールするOリング9が介在している。このため、回転環4と回転軸2と間で、機内側Aの流体が機外側Bに漏れない。
ガスシールG1は、静止側ユニットとして、回転環3と軸方向に対向する環状の静止環10と、この静止環10をケーシング1に取り付けるための環状のシールケース11と、静止環10を回転環3に向かって押圧する、閉力発生手段であるスプリング12とを備えている。
シールケース11は、第1ケース13と第2ケース14とで構成されており、両ケース13、14は、ボルト15によってケーシング1に固定されている。第1ケース13には、後述するガスを供給するために径方向に貫通するガス供給孔16が形成されている。第2ケース14は、第1ケース13をケーシング1との間で挟む円環状の部材である。第2ケース14は、静止環10と軸方向について対向する壁部17と、この壁部17の径方向内側において軸方向(機内側Aの方向)に延びる円筒部18とを有している。円筒部18の内周面と、静止環10の外周面との間にOリング19が介在している。
静止環10は、第1ケース13の径方向内側であって、第2ケース14と回転環3との間で挟まれる位置に配設されている。第1ケース13の内周面と静止環10の外周面との間には、前記ガス供給孔16の開口16aを軸方向に挟んで両側にOリング20、21が配設されている。これらOリング20、21間において、第1ケース13の内周面と静止環10の外周面との間に、ガス供給孔16を通じて供給されたガスが流入する環状の空間S1が形成されている。
静止環10の機外側Bには、軸方向に凹んでいる穴22が周方向に等間隔で複数形成されている。各穴22内に、スプリング12が配設されている。スプリング12の一端は穴22の底面に、他端が第2ケース14の壁部17の機内側Aの壁面17aに当接している。スプリング12の弾性復元力により、静止環10を回転環3へ向かう軸方向に押すことができる。
静止環10は、その内外周面において、前記Oリングと、前記Oリング20、21とのよって径方向について支持されている。そして、静止環10は、前記スプリング12の弾性力に抗して軸方向に移動可能である。
静止環10には、周方向について等間隔でガス孔23が複数形成されている。複数のガス孔23は、それぞれ環状の空間S1と、静止環10の機内側Aの端面であるシール面10aとを連通している。静止環10のシール面10aには、溝24が形成されており、この溝24において、前記ガス孔23は開口している。また、ガス孔23内には、ガスの通過面積(流量)を絞るオリフィス25が配設されている。本実施形態では、前記ガス孔23、溝24及びオリフィス25が、シール面間にガスを供給して当該シール面間を広げる開力発生手段を構成している。
本実施形態では、シールケース11の前記ガス供給孔16から環状の空間S1へ窒素ガスが供給される。環状の空間S1に供給されたガスは、各ガス孔23へ流入し、これらガス孔23を通じて溝24に供給される。溝24に供給されたガスはバリアガスと呼ばれ、溝24で発生するバリアガスの圧力(静圧)が、機内側Aに充填されている流体による圧力と重畳される。その結果、静止環10は、スプリング12の弾性力と機外側Bの流体(例えば、大気)による圧力との合力に抗して、機外側Bへと移動し、当該静止環10のシール面10aが、これに対面する回転環3の端面であるシール面3aから離間する。これにより、溝24に供給されたバリアガスは、両シール面3a、10a間の隙間、すなわちシール面隙間を通じて、径方向内側及び径方向外側へ流出する流れが生じる。
そして、シール面隙間におけるバリアガスのガス圧(静圧)と機内側Aの流体による圧力との合力と、スプリング12の弾性力と機外側Bの流体による圧力との合力とが拮抗する位置まで静止環10が機外側Bへ移動した後に、当該位置で保持される。そして、シール面隙間に充填するバリアガスによって、静止環10と回転環3とが非接触であるシール状態が得られ、この状態が保持されたまま、回転軸2及び回転環3が回転する。
また、本実施形態では、静止側ユニットと回転側ユニットとの間にラビリンスシール部26が設けられている。第1ケース13の機内側Aの内周面には、凹凸が軸方向に連続する凹凸部27が形成されている。この凹凸部27と、回転環3及びフランジ5aの外周面とが、隙間を有して径方向について対向しており、当該凹凸部27及び外周面によりラビリンスシール部26が構成されている。
本実施形態では、回転環3のシール面3a、外周面3b、及び、当該回転環3における前記シール面3aと反対側の面である背面3cにダイヤモンド膜d1,d2,d3がそれぞれ形成されている。ダイヤモンド膜d1,d2,d3は、互いに連続するように形成されている。ダイヤモンド膜は1000〜2000W/m・kという大きな熱伝導率を有している。このため、回転環3の摺動面であるシール面3aで発生した摩擦熱を速やかに当該回転環3の外周面3bに形成されたダイヤモンド膜d2を経由して回転環3の背面3cに形成されたダイヤモンド膜d3に伝えることができる。これにより、回転環3の軸方向両側面であるシール面3aと背面3cとの間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環3に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環3のシール面3aと、静止環10のシール面10aとの平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
ダイヤモンド膜は、例えばマイクロ波CVD法、熱フィラメントCVD法等の一般的な製造技術を用いて作製することができる。また、ダイヤモンド膜の厚さは、本発明において特に限定されるものではないが、通常、3〜20μm、好ましくは3〜10μmである。回転環5のシール面5aで発生した摩擦熱が当該回転環5の母材であるSiC焼結体に移動する前に外周面5bのダイヤモンド膜d2に移動させるという観点からは、3μm以上の厚さであることが望ましい。また、ダイヤモンド膜が厚くなる程膜の表面粗度も大きくなり、精密な機械部品であるメカニカルシールのシール面として使用するのが困難になるのに加えてダイヤモンド膜の残留応力を極力小さくするという観点からは、10μm以下であることが望ましい。
ダイヤモンド膜d1とダイヤモンド膜d2、d3とは同じ厚さであってもよいが、互いに異なる厚さであってもよい。回転環3のシール面3aで発生した摩擦熱を速やかに外周面3bのダイヤモンド膜d2に移動させるという観点からは、外周面3bのダイヤモンド膜d2の膜厚がシール面3aのダイヤモンド膜d1の膜厚以上であることが望ましい。
図2は、図1に示される第1実施形態の変形例の要部拡大説明図である。この変形例は、回転環3の外周面3bに代えて当該回転環3の内周面3dにダイヤモンド膜d4が形成されている点が第1実施形態に係るガスシールG1と異なっている。したがって、第1実施形態と共通する構成要素には同一の参照符号を付し、簡単のため、それらについての説明は省略する。
この変形例では、回転環3のシール面3a、内周面3d、及び、当該回転環3における前記シール面3aと反対側の面である背面3cにダイヤモンド膜d1,d4,d3がそれぞれ形成されている。ダイヤモンド膜d1,d4,d3は、互いに連続するように形成されている。回転環3の摺動面であるシール面3aで発生した摩擦熱は速やかに当該回転環3の内周面3dに形成されたダイヤモンド膜d4を経由して回転環3の背面3cに形成されたダイヤモンド膜d3に伝えることができる。これにより、回転環3の軸方向両側面であるシール面3aと背面3cとの間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環3に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環3のシール面3aと、静止環10のシール面10aとの平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
図3は、図1に示される第1実施形態の他の変形例の要部拡大説明図である。この変形例は、回転環3の背面3cを除く当該回転環3の外周面3b及び内周面3dにダイヤモンド膜d2、d4が形成されている点が第1実施形態に係るガスシールG1と異なっている。したがって、第1実施形態と共通する構成要素には同一の参照符号を付し、簡単のため、それらについての説明は省略する。
この変形例では、回転環3のシール面3a、外周面3b及び内周面3dにダイヤモンド膜d1,d2,d4がそれぞれ形成されている。ダイヤモンド膜d1,d2,d4は、互いに連続するように形成されている。回転環3の摺動面であるシール面3aで発生した摩擦熱は速やかに当該回転環3の外周面3b及び内周面3dに形成されたダイヤモンド膜d2、d4を経由して回転環3の内周側及び外周側に伝えることができる。これにより、回転環3のシール面3aと外周面3bと内周面3dの各々の間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環3に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環3のシール面3aと、静止環10のシール面10aとの平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態に係るガスシールG2の縦断面説明図である。前述した第1実施形態に係るガスシールG1ではガスの静圧を利用してシール面隙間を広げているのに対し、第2実施形態に係るガスシールG2ではガスの動圧を利用してシール面隙間を広げている。このため、本実施形態では、ガスの供給及び動圧の発生に関与する回転環31、静止環32及び第1ケース33の構成が、図1に示される第1実施形態に係るガスシールG2と異なっている。したがって、共通する構成要素には同一の参照符号を付し、簡単のため、それらについての説明は省略する。
回転環31における、静止環32のシール面32aと軸方向で対向するシール面31aには、当該回転環31の外周面31bに開口する動圧発生溝34が形成されている。前記動圧発生溝34に流入するガスが回転環31の回転時に発生する動圧によって両シール面31a、32aを互いに離間させる力(開力)が生じる。
第1ケース33には、ガスを供給するために径方向に貫通するガス供給孔35が形成されている。ガス供給孔35を通じて供給されたガスは、第1ケース31の内周面、回転環31の外周面及び静止環32の外周面により画定される環状の空間S2に流入し、さらに前記動圧発生溝34に流入する。
本実施形態においても前記第1実施形態と同様に、回転環31のシール面31a、外周面31b、及び、当該回転環31における前記シール面31aと反対側の面である背面31cにダイヤモンド膜d1,d2,d3がそれぞれ形成されている。ダイヤモンド膜d1,d2,d3は、互いに連続するように形成されている。ダイヤモンド膜は1000〜2000W/m・kという大きな熱伝導率を有している。このため、回転環31の摺動面であるシール面31aで発生した摩擦熱を速やかに当該回転環31の外周面31bに形成されたダイヤモンド膜d2を経由して回転環31の背面31cに形成されたダイヤモンド膜d3に伝えることができる。これにより、回転環31の軸方向両側面であるシール面31aと背面31cとの間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環31に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環31のシール面31aと、静止環32のシール面32aとの平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
図5は、図4に示される第2実施形態の変形例の要部拡大説明図である。この変形例は、回転環31の外周面31bに代えて当該回転環31の内周面31dにダイヤモンド膜d4が形成されている点が第2実施形態に係るガスシールG2と異なっている。したがって、第2実施形態と共通する構成要素には同一の参照符号を付し、簡単のため、それらについての説明は省略する。
この変形例では、回転環31のシール面31a、内周面31d、及び、当該回転環31における前記シール面31aと反対側の面である背面31cにダイヤモンド膜d1,d4,d3がそれぞれ形成されている。ダイヤモンド膜d1,d4,d3は、互いに連続するように形成されている。回転環31の摺動面であるシール面31aで発生した摩擦熱は速やかに当該回転環31の内周面31dに形成されたダイヤモンド膜d4を経由して回転環31の背面31cに形成されたダイヤモンド膜d3に伝えることができる。これにより、回転環31の軸方向両側面であるシール面31aと背面31cとの間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環31に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環31のシール面31aと、静止環32のシール面32aとの平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
図6は、図4に示される第2実施形態の他の変形例の要部拡大説明図である。この変形例は、回転環31の背面31cを除く当該回転環31の外周面31b及び内周面31dにダイヤモンド膜d2、d4が形成されている点が第2実施形態に係るガスシールG2と異なっている。したがって、第2実施形態と共通する構成要素には同一の参照符号を付し、簡単のため、それらについての説明は省略する。
この変形例では、回転環31のシール面31a、外周面31b及び内周面31d、にダイヤモンド膜d1,d2,d4がそれぞれ形成されている。ダイヤモンド膜d1,d2,d4は、互いに連続するように形成されている。回転環31の摺動面であるシール面31aで発生した摩擦熱は速やかに当該回転環31の外周面31b及び内周面31dに形成されたダイヤモンド膜d2、d4を経由して回転環31の外周側及び内周側に伝えることができる。これにより、回転環31のシール面31aと外周面と内周面の各々の間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環31に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環31のシール面31aと、静止環32のシール面32aとの平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
〔第3実施形態〕
図7は、本発明の第3実施形態に係るガスシールG3の縦断面説明図である。本実施形態に係るガスシールG3は、ガスの動圧を利用してシール面隙間を広げている点では前記第2実施形態に係るガスシールG2と同じであるが、回転環41の両側面がシール面41a、41cとされている点が当該ガスシールG2と異なっている。このため、ガスシールG3では、そのシール面同士が対向している一対の静止環42、43が配設されている。
図7に示されるガスシールG3は、回転側ユニットとして、回転軸に取り付けられた環状の回転環41と、回転軸44に外嵌して固定されているストッパーリング45と、このストッパーリング45に固定され前記回転軸44に外嵌しているスリーブ46とを備えている。回転環41はスリーブ46に外嵌しており、当該回転環41の内周面に形成された凹所47に、スリーブ46の外周面に形成された穴に圧入されたピン48の頭部が突出している。これにより、回転環41の回り止めの役割を果たしている。回転環41は回転軸44と一体回転可能にされている。回転環41は、SiCの焼結体で作製されており、この焼結体は、例えばSiCの常温焼結又は反応焼結により得ることができる。また、回転環41は、超硬合金(WC)で作製してもよい。
スリーブ46とストッパーリング45はボルト49により固定されており、ストッパーリング45は、セットスクリュー50により回転軸44に固定されている。
回転軸44とスリーブ46との間には、機内側Aと機外側Bとの間をシールするOリング50が介在している。このため、回転軸44とスリーブ46との間で、機内側Aの流体が機外側Bに漏れない。
ガスシールG3は、静止側ユニットとして、回転環41と軸方向に対向する一対の環状の静止環42,43と、これら静止環42,43をケーシング52に取り付けるための環状のシールケース53及びシールフランジ54と、静止環42、43を回転環41に向かって押圧する、閉力発生手段であるスプリング55,56とを備えている。
シールフランジ54はボルト57によりシールケース53に固定されており、また、シールフランジ54及びシールケース53は、ボルト58によってケーシング52に固定されている。シールケース53には、後述するガスを供給するために径方向に貫通するガス供給孔59が形成されている。
機外側Bの静止環42は、シールフランジ54と回転環41との間に配設されており、機内側Aの静止環43は、当該回転環41とシールケース53との間に配設されている。両静止環42、43及び回転環41の外周面と、前記シールフランジ54及びシールケース53の内周面とで画定される環状の空間S3に前記ガス供給孔59が開口している。
回転環41の両側面、すなわち、一方の静止環42のシール面42aと軸方向で対向するシール面41aと、他方の静止環43のシール面43aと軸方向で対向するシール面41cには、当該回転環41の外周面41bに開口する動圧発生溝60a,60bがそれぞれ形成されている。ガス供給孔59を通じて供給されたガスは、環状の空間S3に流入し、さらに前記動圧発生溝60a,60bに流入する。動圧発生溝60a,60bに流入するガスが回転環41の回転時に発生する動圧によってシール面41aとシール面42a、及び、シール面41cとシール面43aを互いに離間させる力(開力)が生じる。
本実施形態では、回転環41のシール面41a、外周面41b及びシール面41cにダイヤモンド膜d1,d2,d3がそれぞれ形成されている。ダイヤモンド膜d1,d2,d3は、互いに連続するように形成されている。ダイヤモンド膜は1000〜2000W/m・kという大きな熱伝導率を有している。
図7に示されるようなダブル式のガスシールG3では、機内側Aの圧力が機外側Bの圧力に比べて高い場合、機内側Aの静止環43を押圧する閉力は機外側Bに比べて大きくなるように設定されるので、シール面にガスの動圧による開力が作用するものの、機内側Aのシール面の方が機外側Bのシール面よりも接触する可能性が高い。
さらに、流体温度に関し、通常、この種の非接触式ガスシールでは、機内側Aは5〜80度程度の温度範囲で使用されるが、この場合、大気側の温度を25度程度と仮定すると、機内流体の温度の方が高いケースが多く、その結果、高温の密封流体に接触する機内側Aのシール面の温度が、機外側Bのシール面の温度よりも高くなるケースが多い。
このように、ダブル式のガスシールでは、回転環41の機内側Aのシール面41cの温度が機外側Bのシール面41aの温度よりも高くなり、当該回転環41に熱歪が発生する虞があるが、本実施形態では、前記のようなダイヤモンド膜を形成しているので、回転環41の機内側Aのシール面41cの熱を速やかに当該回転環41の外周面41bに形成されたダイヤモンド膜d2を経由して当該回転環41の機外側のシール面41aに形成されたダイヤモンド膜d3に伝えることができる。これにより、回転環41の機内側Aのシール面41cと機外側Bのシール面41aの間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環41に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環41のシール面41a,41cと、静止環のシール面42a、43aとの平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
図8は、図7に示される第3実施形態の変形例の要部拡大説明図である。この変形例は、回転環41の外周面41bに代えて当該回転環41の内周面41dにダイヤモンド膜d4が形成されている点が第3実施形態に係るガスシールG3と異なっている。したがって、第3実施形態と共通する構成要素には同一の参照符号を付し、簡単のため、それらについての説明は省略する。
この変形例では、回転環41の両シール面41a、41c及び内周面41dにダイヤモンド膜d1,d3,d4がそれぞれ形成されている。ダイヤモンド膜d1,d3,d4は、互いに連続するように形成されている。回転環41の摺動面のうち、より高温になる可能性が高い機内側のシール面41cで発生した摩擦熱は速やかに当該回転環41の内周面41dに形成されたダイヤモンド膜d4を経由して回転環41の機外側Bのシール面41aに形成されたダイヤモンド膜d1に伝えることができる。これにより、回転環41の軸方向両側面であるシール面41aとシール面41cとの間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環41に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環41のシール面41a,41cと、静止環のシール面42a、43aとの平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
〔第4実施形態〕
図9は、本発明の第4実施形態に係るガスシールG4の縦断面説明図である。本実施形態に係るガスシールG4は、ガスの静圧を利用してシール面隙間を広げている点では、図1に示される第1実施形態に係るガスシールG1と同じであるが、当該ガスシールG1では、静止環及び回転環のうちの一方である静止環がスプリングにより他方の回転環側に押圧されているのに対し、本実施形態に係るガスシールG4では、静止環及び回転環のうちの一方である回転環がスプリングにより他方の静止環側に押圧されている点が異なっている。
ガスシールG4では、ケーシング71と、このケーシング71に挿入される回転軸72との間で、軸方向一方側(機内側A)に存在する流体をシールする。ガスシールG4は、回転軸72に取り付けられる環状の回転環73と、この回転環73と軸方向に対向する環状の静止環74と、この静止環74をケーシング71に取り付けるための環状のシールケース75とを備えている。
また、ガスシールG4は、回転軸72に固定されるスリーブ76を備えており、当該スリーブ76と回転環73との間に閉力発生手段であるスプリング77が配設されている。スプリング77は、回転環72を静止環74へ向かう軸方向に押している。このように、第1の観点及び第2の観点に係る本発明では、静止環と回転環との対面するシール面間を狭める方向に弾性力を付与する閉力発生手段であるスプリングは、静止環及び回転環のうちの一方を他方側に弾性的に押すものであればよい。
静止環74には、当該静止環74と回転環73との対面するシール面74a、73a間にガスを供給するために当接静止環74のシール面74aで開口しているガス複数の孔78が周方向に沿って等間隔で形成されている。また、シールケース75には、ガス孔78にガスを供給するためのガス供給孔79が形成されている。ガス供給孔79は、静止環74とシールケース75との間に形成されている環状の空間S4と連続している。
本実施形態では、回転環73のシール面73a、外周面73b、及び、当該回転環73における前記シール面73aと反対側の面である背面73cにダイヤモンド膜d1,d2,d3がそれぞれ形成されている。ダイヤモンド膜d1,d2,d3は、互いに連続するように形成されている。ダイヤモンド膜は1000〜2000W/m・kという大きな熱伝導率を有している。このため、回転環73の摺動面であるシール面73aで発生した摩擦熱を速やかに当該回転環73の外周面73bに形成されたダイヤモンド膜d2を経由して回転環73の背面73cに形成されたダイヤモンド膜d3に伝えることができる。これにより、回転環73の軸方向両側面であるシール面73aと背面73cとの間の温度差を緩和し、前記温度差に起因する熱歪が回転環73に生じるのを防止又は抑制することができる。その結果、回転環73のシール面73aと、静止環74のシール面74aとの平行性を保つことができ、長期に亘り安定したシール性を発揮させることができる。
〔その他の変形例〕
なお、本発明のガスシールは前述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態では、静止環のシール面と回転環のシール面との間を狭める閉力を発生させる手段としてスプリングが用いられているが、例えば特開2014−173700号公報に開示されているように、静止環の背面側に密封された背圧室を形成するとともに当該静止環に背圧室に連通するガス導入路を形成し、このガス導入路を通じて背圧室に導入される機内側の高圧ガスの静圧により静止環を回転環側に押す構成とすることも可能である。
また、前述した、図4〜8に係る実施形態では、動圧発生溝にダイヤモンド膜を形成していないが、溝の内部までダイヤモンド膜を形成した回転環としても、図4〜8に係る実施形態と同一の作用及び効果を奏することができる。さらに、溝の内部までダイヤモンド膜を形成することで、ガスシールの回転環全体の温度分布をさらに均一にすることができ、シール面間隙間として数ミクロンを維持しつつ回転数が1〜2万rpmにも及ぶ液化ガス用コンプレッサ等の超高速回転機器に使用される精密ガスシールとして最適な効果を奏することができる。
1 :ケーシング
2 :回転軸
3 :回転環
3a:シール面
3b:外周面
3c:背面
4 :ストッパーリング
5 :スリーブ
5a:フランジ
6 :ボルト
6a:押圧面
7 : セットスクリュー
8 :Oリング
9 :Oリング
10 :静止環
10a:シール面
11 :シールケース
12 :スプリング
13 :第1ケース
14 :第2ケース
15 :ボルト
16 :ガス供給孔
16a:開口
17 :壁部
17a:壁面
18 :円筒部
19 :Oリング
20 :Oリング
21 :Oリング
22 :穴
23 :ガス孔
24 :溝
25 :オリフィス
26 :ラビリンスシール部
27 :凹凸部
31 :回転環
31a:シール面
31b:外周面
31c:背面
32 :静止環
33 :第1ケース
34 :動圧発生溝
35 :ガス供給孔
41 :回転環
42 :静止環
43 :静止環
44 :回転軸
45 :ストッパーリング
46 :スリーブ
47 :凹所
48 :ピン
49 :ボルト
50 :セットスクリュー
51 :Oリング
52 :ケーシング
53 :シールケース
54 :シールフランジ
55 :スプリング
56 :スプリング
57 :ボルト
58 :ボルト
59 :ガス供給孔
60a:動圧発生溝
60b:動圧発生溝
71 :ケーシング
72 :回転軸
73 :回転環
74 :静止環
75 :シールケース
76 :スリーブ
77 :スプリング
78 :ガス孔
79 :ガス供給路
G1:ガスシール
G2:ガスシール
G3:ガスシール
G4:ガスシール
S1:環状空間
S2:環状空間
S3:環状空間
S4:環状空間
d1:ダイヤモンド膜
d2:ダイヤモンド膜
d3:ダイヤモンド膜
d4:ダイヤモンド膜



Claims (6)

  1. 回転軸に設けられた回転環と、前記回転環と軸方向に対向して配設された静止環と、前記回転環と静止環との対面するシール面間を狭める方向に当該回転環及び静止環のうちの一方を他方側に押す閉力発生手段と、前記シール面間にガスを供給して当該シール面間を広げる開力発生手段と、を備え、前記シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシールであって、
    前記回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されており、
    前記回転環における前記静止環と対面するシール面にダイヤモンド膜が形成されており、且つ、
    前記回転環の外周面又は内周面、及び、前記回転環における前記シール面と反対側の面である背面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている、非接触式ガスシール。
  2. 回転軸に設けられた回転環と、前記回転環と軸方向に対向して配設された静止環と、前記回転環と静止環との対面するシール面間を狭める方向に当該回転環及び静止環のうちの一方を他方側に押す閉力発生手段と、前記シール面間にガスを供給して当該シール面間を広げる開力発生手段と、を備え、前記シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシールであって、
    前記回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されており、
    前記回転環における前記静止環と対面するシール面にダイヤモンド膜が形成されており、且つ、
    前記回転環の外周面及び内周面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている、非接触式ガスシール。
  3. 回転軸に設けられた回転環と、前記回転環と軸方向に対向して配設された静止環と、前記回転環と静止環との対面するシール面間を狭める方向に当該回転環及び静止環のうちの一方を他方側に押す閉力発生手段と、前記回転環のシール面に形成されており、当該回転環の回転により前記シール面間を広げる動圧を発生させる動圧発生手段と、を備え、前記シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシールであって、
    前記回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されており、
    前記回転環における前記静止環と対面するシール面にダイヤモンド膜が形成されており、且つ、
    前記回転環の外周面又は内周面、及び、前記回転環における前記シール面と反対側の面である背面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている、非接触式ガスシール。
  4. 回転軸に設けられた回転環と、前記回転環と軸方向に対向して配設された静止環と、前記回転環と静止環との対面するシール面間を狭める方向に当該回転環及び静止環のうちの一方を他方側に押す閉力発生手段と、前記回転環のシール面に形成されており、当該回転環の回転により前記シール面間を広げる動圧を発生させる動圧発生手段と、を備え、前記シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシールであって、
    前記回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されており、
    前記回転環における前記静止環と対面するシール面にダイヤモンド膜が形成されており、且つ、
    前記回転環の外周面及び内周面に、前記シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている、非接触式ガスシール。
  5. 回転軸に設けられた回転環と、前記回転環の軸方向両側面とそれぞれ対向して配設された第1及び第2静止環と、前記回転環と両静止環との対面するシール面間を狭める方向に当該両静止環を回転環側に押す閉力発生手段と、前記回転環の両シール面に形成されており、当該回転環の回転により前記シール面間を広げる動圧を発生させる動圧発生手段と、を備え、前記シール面間を挟んで軸方向一方側の第1空間と軸方向他方側の第2空間とを仕切る非接触式ガスシールであって、
    前記回転環は、SiCの焼結体又は超硬合金で作製されており、
    前記回転環における前記静止環と対面する両シール面にダイヤモンド膜が形成されており、且つ、
    前記回転環の外周面又は内周面に、前記両シール面のダイヤモンド膜と連続するダイヤモンド膜が形成されている、非接触式ガスシール。
  6. 前記ダイヤモンド膜の熱伝導率が1000〜2000W/m・kである、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の非接触式ガスシール。






















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