JPH1047494A - 高圧用メカニカルシール - Google Patents

高圧用メカニカルシール

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JPH1047494A
JPH1047494A JP20505496A JP20505496A JPH1047494A JP H1047494 A JPH1047494 A JP H1047494A JP 20505496 A JP20505496 A JP 20505496A JP 20505496 A JP20505496 A JP 20505496A JP H1047494 A JPH1047494 A JP H1047494A
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Naoyuki Kitamura
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NIPPON JOHN KUREEN KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 プロセス流体を密封する二次シール構造を改
良して、シールリングがハミ出す可能性のある間隙を小
さくし、高圧下で長期間にわたって安定にプライマリー
リングの変動に追従して密封することが可能な構造と
し、特に高圧ガスシールとして優れた高圧用メカニカル
シールを提供する。 【解決手段】 プライマリーリング3の二次シール面1
2とディスク9の二次シール面14とを気密接触し、デ
ィスクの内外フランジ部13,15間に形成した環状溝
16内にシールリング6を装着し、プライマリーリング
をリテーナー4及びディスクより弾性係数及び熱膨張係
数が小さい素材で形成し、プライマリーリングの内周面
3Aとリテーナースリーブの外周面との間に逃がし間隙
18を、リテーナースリーブの外周面とディスクの内方
フランジ部の内周縁との間に逃がし間隙よりも狭い微小
間隙19を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧用メカニカル
シールに係わり、更に詳しくはガスタービンやブロア
ー、遠心コンプレッサ等の流体機器の軸封装置として、
特に高圧ガスシールとして使用する高圧用メカニカルシ
ールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、コンプレッサ等における回転軸と
ケーシング間を密封する非接触メカニカルシールは既に
提供されている。例えば、本出願人の先願に係る特開平
5−164249号公報には、回転軸に密封固定したメ
ーティングリングとシールハウジングに密封装着し且つ
押圧手段にて軸方向へ付勢したプライマリーリングとの
対面する各シール面の何れか一方のシール面に、相対的
回転方向に対して前進角を有する複数の螺旋溝を円周方
向に一定間隔で設けて封入流体をシール面間に圧送して
なる非接触メカニカルシールが提供されている。
【0003】そして、この非接触メカニカルシールは、
プライマリーリングとメーティングリングのシール面間
に中心に向かう動圧が発生し、この動圧により両シール
面間にミクロン単位のギャップを生じさせて非接触状態
を保持して高周速回転を可能にしたものである。
【0004】ここで、前記プライマリーリングは、回転
軸の軸振れや軸方向の変移に起因するメーティングリン
グの微少変移に追従し、またシール面間の動圧によるギ
ャップ形成のために、リテーナースリーブに対して軸方
向に変移可能となすとともに、その間を密封する必要が
ある。そのため、前述の公報記載のものは、リテーナー
スリーブの外周面とプライマリーリングの内周面間に、
二次シールとしてゴム製のOリングを介在させているの
である。
【0005】図5は二次シールとしてOリングを用いた
従来例を示すものである。プライマリーリング100
は、リテーナー101を介してケーシングに軸方向にの
み可動となして装着され、ディスク102とスプリング
103からなる押圧手段にて図示しないメーティングリ
ング側に弾性付勢している。前記プライマリーリング1
00の円筒状内周面100Aの半径方向内方にリテーナ
ースリーブ104の円筒状外周面104A(シールバラ
ンス径)が延びており、前記ディスク102の半径方向
内周部にOリング105を保持する環状段部106が形
成され、該環状段部106にOリング105が装着され
た状態では、Oリング105はディスク102の押圧側
よりも軸方向へ突出し且つ半径方向内方へ突出し、それ
ぞれプライマリーリング100の端面100Bの半径方
向内周部とリテーナースリーブ104の円筒状外周面1
04Aに接触して両者間を密封している。
【0006】ここで、前記プライマリーリング100は
カーボンで作製され、またリテーナー101(リテーナ
ースリーブ104)とディスク102はステンレス鋼で
作製されており、カーボンの弾性係数及び熱膨張係数が
ステンレス鋼より小さいことからプライマリーリング1
00の円筒状内周面100Aとリテーナースリーブ10
4の円筒状外周面104Aとの間に十分な間隙dを設け
ておく必要がある。例えば、プライマリーリング100
の円筒状内周面100Aは高圧のプロセス流体によって
内径が小さくなる(図5(b) の2点鎖線を参照)ので、
その間隙は小さくなる。従って、プライマリーリング1
00やリテーナースリーブ104の圧力や温度による径
変化を見越して、両部材が接触しないように間隙dを大
きく設定している。しかし、間隙dが大きくなると、O
リング105がこの間隙dに、ハミ出すことから一定の
制限があり、そのためメカニカルシールとしての耐圧限
度はこの間隙dの限度に依存していた。つまり、この構
造のメカニカルシールは高圧用には不向きである。
【0007】一方、前述のようにプライマリーリングが
圧力によって縮んでも、その二次シール部の隙間が変化
しないように、端面シール構造をプライマリーリングの
背面に設け、その部分に高圧時の信頼性が高い樹脂シー
ルを設けた二次シール構造(図6参照)も提案されてい
る。即ち、プライマリーリング200の半径方向端面2
00Aと、該プライマリーリング200を弾性付勢する
押圧部材201(前記ディスク102に相当する要素)
の押圧面201Aを面接合可能とするとともに、該押圧
面201Aに形成した環状のシール溝201Bに断面略
U字形の樹脂シール202を装着して前記端面200A
に圧接し、プライマリーリング200と押圧部材201
との間の密封を行い、また押圧部材201に一体形成し
たスリーブ部203の円筒状外周面203Aをリテーナ
ー204の円筒状内周面204Aの半径方向内方に微小
間隙を設けて位置させるとともに、前記内周面204A
に形成した環状のシール溝204Bに断面略U字形の樹
脂シール205を装着して前記外周面203Aに圧接
し、押圧部材201とリテーナー204との間の密封を
行う構造のものである。ここで、前記プライマリーリン
グ200と押圧部材201とに半径方向の変位差が生じ
た場合には、前記樹脂シール202が端面200Aを摺
動して吸収し、またプライマリーリング200が軸方向
に変動した場合には、前記樹脂シール205が外周面2
03Aを摺動して追従するのである。
【0008】図6に示した構造の場合、部品点数が多く
なる欠点があり、また前記押圧部材201は小さな断面
積で全圧力を受ける構造であるので、スリーブ部203
の厚みを十分に確保する必要があり、寸法が大きくなる
傾向があった。また、従動する部品の全質量が大きくな
り、振動等の速い動きに対する従動機能が劣る傾向があ
った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が前述
の状況に鑑み、解決しようとするところは、高圧用メカ
ニカルシールにおけるプライマリーリングとリテーナー
との間でプロセス流体を密封する二次シール構造を改良
して、高圧下でシールリングがハミ出す可能性のある間
隙を小さくすることができるとともに、その間隙が圧力
や温度の負荷で変化し難く、高圧下で長期間にわたって
安定にプライマリーリングの変動に追従して密封するこ
とが可能な構造とし、特に高圧ガスシールとして優れた
高圧用メカニカルシールを提供する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題解
決のために、回転軸に密封固定したメーティングリング
の一次シール面と、ケーシングにリテーナーを介して軸
方向にのみ可動となして密封装着し且つリテーナーに設
けたディスクとスプリングからなる押圧手段にて前記メ
ーティングリング側へ付勢したプライマリーリングの一
次シール面とを、接触又は非接触の状態で回転密封する
メカニカルシールにおいて、前記プライマリーリングの
一次シール面とは反対側の半径方向端面であって内周側
縁部に形成した二次シール面と前記ディスクの押圧面側
の内方フランジ部に形成した二次シール面とを気密接触
するとともに、該ディスクの内周部であって内方フラン
ジ部と外方フランジ部間に形成した半径方向内方へ開放
した環状溝内にシールリングを装着して前記ディスクと
リテーナースリーブの円筒状外周面との間を摺動可能に
密封し、前記プライマリーリングを前記リテーナー及び
ディスクより弾性係数及び熱膨張係数が小さい素材で形
成し且つ前記リテーナーとディスクとを弾性係数及び熱
膨張係数が一致又は近似した素材で形成し、プライマリ
ーリングの円筒状内周面とその半径方向内方に位置する
リテーナースリーブの円筒状外周面との間に、該プライ
マリーリングとリテーナースリーブの圧力及び温度によ
る径変化差を許容する逃がし間隙を形成するとともに、
リテーナースリーブの円筒状外周面とディスクの内方フ
ランジ部の内周縁との間に、前記逃がし間隙よりも狭い
微小間隙を形成してなる高圧用メカニカルシールを構成
した。
【0011】このような構成の高圧用メカニカルシール
は、高圧下でプライマリーリングの半径が小さくなって
も、プライマリーリングの円筒状内周面とリテーナース
リーブの円筒状外周面との間にその径変化差を吸収し得
る十分な逃がし間隙を形成していることから、両部材が
接触する恐れがなく、またリテーナースリーブとディス
クとは圧力、温度の負荷によって略同様な径変化を生じ
るので、リテーナースリーブの円筒状外周面とディスク
の内方フランジ部の内周縁との間に、高圧下でのシール
リングのハミ出しを規制することができる程度の微小間
隙を形成しても、両部材が接触する恐れや両部材間の間
隔が開いてシールリングがハミ出す恐れが全くなく、従
って高圧のプロセス流体の密封に適したものである。
【0012】ここで、前記プライマリーリングの素材を
カーボンとし、前記リテーナー及びディスクの素材をス
テンレス鋼としてなることが好ましい。カーボン素材
は、熱に対する変形が少なく且つ低摩擦性を有すること
から、高速に回転する回転軸とケーシング間において、
高温のプロセス流体を密封するのに適しており、またス
テンレス鋼素材は、加工の容易性と圧力に対する変形が
小さいので好ましいものである。
【0013】また、前記シールリングとして、高圧プロ
セス流体側に開放した凹溝内に予圧スプリングを内蔵し
た樹脂シールを用いる。即ち、低摩擦性に優れた樹脂シ
ールを用いることによって、樹脂シールとリテーナース
リーブの円筒状外周面との摺動摩擦抵抗が少なくなっ
て、プライマリーリングの軸方向への変動に対して優れ
た追従性を確保できる。そのため、樹脂シールを用いた
場合の本発明は、プロセス流体がガスの場合に特に有効
である。つまり、プロセス流体がガスの場合には、樹脂
シールとリテーナースリーブとの接触部がドライコンタ
クトであるため、液体の場合に比べて摺動摩擦抵抗は高
くなり、更にメーティングリングとプライマリーリング
の両シール面間が非接触シールである場合には、回転に
伴って発生する動圧が液体の場合に比べて小さいので、
プライマリーリングの良好な追従性を確保するにはその
動作を阻害する抵抗を小さくする必要があるからであ
る。
【0014】更に、前記ディスク及びプライマリーリン
グの一方の二次シール面であって半径方向外方の一部分
に、高圧プロセス流体が侵入可能な複数の溝を円周方向
に沿って隔設してなることがより好ましい。二次シール
面に前記溝を形成することにより、この溝内にプロセス
流体が侵入し、その流体圧力が二次シール面の接触面に
侵入し、摩擦抵抗を小さくする作用をなすことから、カ
ーボン製プライマリーリングが高圧下で径方向に縮んだ
り、減圧下で径方向に大きくなったりする時のディスク
との相対変位による滑りが円滑になり、プロセス流体が
ガスの場合にドライコンタクトであるため特に有効であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】次に添付図面に示した実施形態に
基づき更に本発明の詳細を説明する。図1は本発明の高
圧用メカニカルシールの要部を示し、図2は本発明の主
要部である二次シール構造の拡大断面図を示し、図中1
は回転軸、2はメーティングリング、3はプライマリー
リング、4はリテーナー、5は押圧手段、6はシールリ
ングをそれぞれ示している。
【0016】本発明の高圧用メカニカルシールは、回転
軸1に密封固定したメーティングリング2の一次シール
面7と、ケーシング8にリテーナー4を介して軸方向に
のみ可動となして密封装着し且つリテーナー4に設けた
ディスク9とスプリング10からなる押圧手段5にて前
記メーティングリング2側へ付勢したプライマリーリン
グ3の一次シール面11とを、接触又は非接触の状態で
回転密封するメカニカルシールにおいて、前記プライマ
リーリング3の一次シール面11とは反対側の半径方向
端面であって内周側縁部に形成した二次シール面12と
前記ディスク9の押圧面側の内方フランジ部13に形成
した二次シール面14とを気密接触するとともに、該デ
ィスク9の内周部であって内方フランジ部13と外方フ
ランジ部15間に形成した半径方向内方へ開放した環状
溝16内にシールリング6を装着して前記ディスク9と
リテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aとの間を
摺動可能に密封し、前記プライマリーリング3を前記リ
テーナー4及びディスク9より弾性係数及び熱膨張係数
が小さい素材で形成し且つ前記リテーナー4とディスク
9とを弾性係数及び熱膨張係数が一致又は近似した素材
で形成し、プライマリーリング3の円筒状内周面3Aと
その半径方向内方に位置するリテーナースリーブ17の
円筒状外周面17Aとの間に、該プライマリーリング3
とリテーナースリーブ17の圧力及び温度による径変化
差を許容する逃がし間隙18を形成するとともに、リテ
ーナースリーブ17の円筒状外周面17Aとディスク9
の内方フランジ部13の内周縁との間に、前記逃がし間
隙18よりも狭い微小間隙19を形成してなることを要
旨としている。
【0017】更に詳しくは、前記プライマリーリング3
は、少なくとも前記ディスク9と接触する端面の半径方
向内方部分に他の外方部分よりも軸方向に突出した二次
シール面12を形成するとともに、ケーシング8に密封
固定したリテーナー4の外筒部20の内面に軸方向に形
成したスプライン溝21に、スライド係合して非回転且
つ軸方向可動とするために、その外周部に回転規制部2
2を突設している。
【0018】また、前記リテーナー4は、リテーナース
リーブ17と外筒部20との間に凹所を形成して、該凹
所内にプライマリーリング3の一部を収容した状態で、
該凹所の一部に形成した係合孔23に前記スプリング1
0の一端を受け入れるとともに、前記ディスク9の外周
部に形成した係合凹所24にスプリング10の他端を受
け入れて、ディスク9を介してプライマリーリング3を
メーティングリング2側に押圧する等、プライマリーリ
ング3を可動可能に支持する機能と、プライマリーリン
グ3とケーシング8間における二次シールの機能を果た
すものである。そして、リテーナー4の半径方向内周部
であってメーティングリング2側へ軸方向に延びたリテ
ーナースリーブ17は、プライマリーリング3の半径方
向内方へ位置し、プライマリーリング3との間に該プラ
イマリーリング3の軸方向移動を許容するクリアランス
を設けている。
【0019】前記ディスク9は、外周部に複数の前記係
合凹所24,…を一定間隔で円周方向に設けるととも
に、その内方に半径方向内方へ延びた内方フランジ部1
3と外方フランジ部15を形成し、その間の円筒壁面2
5とで前記環状溝16を形成している。前記内方フラン
ジ部13の内周縁は、外方フランジ部15よりも半径方
向内方に延びているとともに、前記プライマリーリング
3の円筒状内周面3Aの内径よりも半径を小さく設定
し、リテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aとの
間に微小間隙19を形成している。前記リテーナー4と
ディスク9とは、弾性係数及び熱膨張係数が一致又は近
似した素材で形成するため、圧力や温度が変化しても前
記微小間隙19の変化は極僅かであるので、この微小間
隙19は、製造上の寸法誤差を許容し得る程度に小さく
できる。
【0020】前記シールリング6には、本発明では予圧
スプリングを内蔵した樹脂シールを用いている。この樹
脂シール6は、基端部6Aから半径方向内外に分岐した
一対のリップ部6B,6Bを有し、両リップ部6B,6
Bの間の凹溝内に予圧スプリング6Cを嵌合した構造の
ものである。そして、この樹脂シール6は、前記ディス
ク9の環状溝16内に装着され、その装着された状態で
は、外方のリップ部6Bは前記円筒壁面25に圧接する
とともに、内方のリップ部6Bは前記リテーナースリー
ブ17の円筒状外周面17Aに圧接し、予圧スプリング
6Cによって緊迫され、また両リップ部6B,6Bは、
プロセス流体側に向いて基端部6Aが内方フランジ部1
3に当接している。ここで、前記基端部6Aは、半径方
向端面を有して、該端面がプロセス流体の圧力によって
内方フランジ部13の内面に密接する構造が好ましい。
【0021】ここで、予圧スプリングを内蔵した樹脂シ
ール6の特徴と利点を簡単に説明する。 優れた耐薬品、耐食性能(ゴムOリングより遙に広い
範囲の薬品や溶剤に耐えられる。) 高圧からの耐急減圧(ゴムOリングに起こる急減圧破
損がない。) 高圧下の耐ハミ出し性能(ゴムOリングより大きいハ
ミ出し限度の特性をもっている。) 優れた耐熱性能(一般のゴムOリングより高い耐熱限
度特性を持っている。) 優れた耐低温性能(広い使用温度範囲で、ゴムOリン
グより低温度まで耐えられる。) 優れた耐候性:長期保管寿命(長期保管しても材質劣
化がほとんど皆無である。) 摩擦力安定性(ゴムOリングでの長期間使用時の密着
面状態変化に伴う摩擦変化が起こり難く、可動部にて摩
擦力が安定で、ガス・シールの性能をより安定化させ
る。)
【0022】そして、前記メーティングリング2とプラ
イマリーリング3の各一次シール面7,11の何れか一
方に、図例ではメーティングリング2の一次シール面7
に相対的回転方向に対して前進角を有する複数の螺旋溝
26を円周方向に一定間隔で設けてプロセス流体を一次
シール面7,11間に圧送し、両シール面7,11間を
非接触状態で密封するようにすれば、高速回転用、ガス
シール用として適している。
【0023】このように本発明は、前記プライマリーリ
ング3の二次シール面12と前記ディスク9の二次シー
ル面14とを密接するとともに、該ディスク9の環状溝
16に装着した樹脂シール6を前記リテーナースリーブ
17の円筒状外周面17Aに摺接させる構造とし、しか
も前記プライマリーリング3を前記リテーナー4及びデ
ィスク9より弾性係数及び熱膨張係数が小さい素材で形
成し且つ前記リテーナー4とディスク9とを弾性係数及
び熱膨張係数が一致又は近似した素材で形成したことに
より、前記プライマリーリング3の円筒状内周面3Aと
リテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aとの間に
比較的大きな逃がし間隙18を形成することができるの
で、両部材間の圧力による半径方向の変形量差を吸収す
ることができるとともに、ディスク9の内方フランジ部
13の内周縁とリテーナースリーブ17の円筒状外周面
17Aとの間に、シールリング(樹脂シール)6の圧力
変形によってハミ出すことがないような微小間隙19を
形成することが可能となったのである。
【0024】次に、本発明の代表的実施形態として図1
に示した高圧ガスシール用非接触メカニカルシールを簡
単に説明するが、液体シール用でも同様である。図1
は、非接触メカニカルシールMの要部の構造を示し、流
体機器の密封容器であるケーシング8と、該ケーシング
8の開放端を貫通する回転軸1との間に設けている。こ
こで、図中Aは大気圧(低圧)側、Bはプロセス(高
圧)側を示している。
【0025】本実施形態の非接触メカニカルシールは、
前記ケーシング8の回転軸1を貫通する開口部にリテー
ナー4を密封状態で固定し、回転軸1にはアセンブリス
リーブ27を外挿固定し、該アセンブリスリーブ27の
内方端外周に一体形成したフランジ28にメーティング
リング2を密封保持するとともに、その外方に固定スリ
ーブ29を密封外嵌し、フランジ28と固定スリーブ2
9とでメーティングリング2を挟み込んで固定してい
る。また、回転軸1とアセンブリスリーブ27との間、
アセンブリスリーブ27とメーティングリング2及び固
定スリーブ29との各間に、トレランスリング30,…
を介在させて、各部材の熱膨張率の差に起因するガタつ
きを防止するとともに、調心を行っている。そして、ケ
ーシング8とリテーナー4間の密封、アセンブリスリー
ブ27のフランジ28とメーティングリング2間の密
封、アセンブリスリーブ27と固定スリーブ29間の密
封には、Oリング31,…を用いて行っている。
【0026】本実施形態では、メーティングリング2と
プライマリーリング3の対が軸方向に一対あるシングル
型の非接触メカニカルシールを示したが、勿論メーティ
ングリング2とプライマリーリング3が二対のタンデム
型のものでも良く、更に両一次シール面7,11とが接
触して密封するものであっても良い。
【0027】そして、本実施形態では、前記プライマリ
ーリング3の素材をカーボンとし、前記リテーナー4及
びディスク9の素材をステンレス鋼としている。勿論、
前記プライマリーリング3の素材は、前記リテーナー4
及びディスク9より弾性係数や熱膨張係数が小さく、ま
た前記リテーナー4とディスク9の素材は、弾性係数及
び熱膨張係数が一致又は近似したものであれば、他の素
材を採用することができる。例えば、プライマリーリン
グ3とリテーナー4及びディスク9の素材の組合せとし
て、カーボンとステンレス鋼の他に、シリコンカーバイ
ドとインコネル、シリコンカーバイドとハステロイ、シ
リコナイズド・カーボンとインコネル、シリコナイズド
・カーボンとハステロイ等が挙げられる。ここで、シリ
コナイズド・カーボンとは、カーボンを溶融シリコンに
浸漬してカーボンの表面にシリコンカーバイドの合金を
形成したものである。次の表1に、代表的なカーボンと
ステンレス鋼の素材の熱膨張係数と弾性係数を示す。
尚、カーボン素材においては、材料メーカーによってそ
の特性はバラツキがあるため、その概略範囲を示してい
る。
【0028】
【表1】
【0029】次に、図3及び図4には、本発明の他の実
施形態を示し、前記ディスク9の二次シール面14であ
って半径方向外方の一部分に、高圧プロセス流体が侵入
可能な複数の溝32,…を円周方向に沿って隔設した例
を示している。尚、前記溝32は、プライマリーリング
3の二次シール面12であって半径方向外方の一部に形
成することも可能である。この二次シール面14に溝3
2,…を形成することにより、該溝32内にプロセス流
体が圧力によって侵入し、摺動摩擦抵抗を小さくするの
で、プライマリーリング3が高圧下で縮んだり、減圧下
で伸びたりする時の両二次シール面12,14間の滑り
を円滑にすることが可能である。
【0030】
【発明の効果】以上にしてなる本発明の高圧用メカニカ
ルシールによれば、高圧下でプライマリーリングの半径
が小さくなっても、プライマリーリングの円筒状内周面
とリテーナースリーブの円筒状外周面との間にその径変
化差を吸収し得る十分な逃がし間隙を形成していること
から、両部材が接触する恐れがなく、またリテーナース
リーブとディスクとは圧力、温度の負荷によって略同様
な径変化を生じるので、リテーナースリーブの円筒状外
周面とディスクの内方フランジ部の内周縁との間に、高
圧下でのシールリングのハミ出しを規制することができ
る程度の微小間隙を形成しても、両部材が接触する恐れ
や両部材間の間隔が開いてシールリングがハミ出す恐れ
が全くなく、従って高圧のプロセス流体の密封に適して
いる。
【0031】また、前記プライマリーリングの素材をカ
ーボンとし、前記リテーナー及びディスクの素材をステ
ンレス鋼とすると、カーボン素材は、熱に対する変形が
少なく且つ低摩擦性を有することから、高速に回転する
回転軸とケーシング間において、高温のプロセス流体を
密封するのに適しており、またステンレス鋼素材は、加
工の容易性と圧力に対する変形が小さいので高い精度で
作成できる。
【0032】更に、前記シールリングとして、高圧プロ
セス流体側に開放した凹溝内に予圧スプリングを内蔵し
た樹脂シールを用いると、樹脂シールとリテーナースリ
ーブの円筒状外周面との摺動摩擦抵抗が少なくなって、
プライマリーリングの軸方向への変動に対して優れた追
従性を確保できる。また、ゴムOリングが耐食限度が狭
い範囲であるのに対し、樹脂シールを用いることにより
高耐食性が得られる。更に、高圧からの脱圧でOリング
は破損するが、樹脂シールはそれに耐えられるので、高
圧ガス・シールとして特に優れている。
【0033】そして、前記ディスク及びプライマリーリ
ングの一方の二次シール面であって半径方向外方の一部
分に、高圧プロセス流体が侵入可能な複数の溝を円周方
向に沿って隔設すると、この溝内にプロセス流体が侵入
し、その流体圧力が二次シール面の接触面に侵入し、摩
擦抵抗を小さくする作用をなすことから、カーボン製プ
ライマリーリングが高圧下で径方向に縮んだり、減圧下
で径方向に大きくなったりする時のディスクとの相対変
位による滑りが円滑になり、特にプロセス流体がガスの
場合にはドライコンタクトであるため有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧用メカニカルシールの要部の省略
断面図である。
【図2】同じく主要部の拡大断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す部分断面図であ
る。
【図4】同じく二次シール面側から見たディスクの部分
平面図である。
【図5】従来例を示し、(a) は部分断面図、(b) はその
要部の拡大断面図である。
【図6】同じく他の従来例を示す要部の省略断面図であ
る。
【符号の説明】 1 回転軸 2 メーティングリング 3 プライマリーリング 3A 内周面 4 リテーナー 5 押圧手段 6 シールリング(樹脂シール) 6A 基端部 6B リップ部 6C 予圧スプリング 7 一次シール面 8 ケーシング 9 ディスク 10 スプリング 11 一次シール面 12 二次シール面 13 内方フランジ部 14 二次シール面 15 外方フランジ部 16 環状溝 17 リテーナースリーブ 17A 外周面 18 逃がし間隙 19 微小間隙 20 外筒部 21 スプライン溝 22 回転規制部 23 係合孔 24 係合凹所 25 円筒壁面 26 螺旋溝 27 アセンブリスリーブ 28 フランジ 29 固定スリーブ 30 トレランスリング 31 Oリング 32 溝

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に密封固定したメーティングリン
    グの一次シール面と、ケーシングにリテーナーを介して
    軸方向にのみ可動となして密封装着し且つリテーナーに
    設けたディスクとスプリングからなる押圧手段にて前記
    メーティングリング側へ付勢したプライマリーリングの
    一次シール面とを、接触又は非接触の状態で回転密封す
    るメカニカルシールにおいて、前記プライマリーリング
    の一次シール面とは反対側の半径方向端面であって内周
    側縁部に形成した二次シール面と前記ディスクの押圧面
    側の内方フランジ部に形成した二次シール面とを気密接
    触するとともに、該ディスクの内周部であって内方フラ
    ンジ部と外方フランジ部間に形成した半径方向内方へ開
    放した環状溝内にシールリングを装着して前記ディスク
    とリテーナースリーブの円筒状外周面との間を摺動可能
    に密封し、前記プライマリーリングを前記リテーナー及
    びディスクより弾性係数及び熱膨張係数が小さい素材で
    形成し且つ前記リテーナーとディスクとを弾性係数及び
    熱膨張係数が一致又は近似した素材で形成し、プライマ
    リーリングの円筒状内周面とその半径方向内方に位置す
    るリテーナースリーブの円筒状外周面との間に、該プラ
    イマリーリングとリテーナースリーブの圧力及び温度に
    よる径変化差を許容する逃がし間隙を形成するととも
    に、リテーナースリーブの円筒状外周面とディスクの内
    方フランジ部の内周縁との間に、前記逃がし間隙よりも
    狭い微小間隙を形成してなることを特徴とする高圧用メ
    カニカルシール。
  2. 【請求項2】 前記プライマリーリングの素材をカーボ
    ンとし、前記リテーナー及びディスクの素材をステンレ
    ス鋼としてなる請求項1記載の高圧用メカニカルシー
    ル。
  3. 【請求項3】 前記シールリングとして、高圧プロセス
    流体側に開放した凹溝内に予圧スプリングを内蔵した樹
    脂シールを用いてなる請求項1記載の高圧用メカニカル
    シール。
  4. 【請求項4】 前記ディスク及びプライマリーリングの
    一方の二次シール面であって半径方向外方の一部分に、
    高圧プロセス流体が侵入可能な複数の溝を円周方向に沿
    って隔設してなる請求項1又は2記載の高圧用メカニカ
    ルシール。
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