JP3903499B2 - 高圧用メカニカルシール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧用メカニカルシールに係わり、更に詳しくはガスタービンやブロアー、遠心コンプレッサ等の流体機器の軸封装置として、特に高圧ガスシールとして使用する高圧用メカニカルシールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンプレッサ等における回転軸とケーシング間を密封する非接触メカニカルシールは既に提供されている。例えば、本出願人の先願に係る特開平5−164249号公報には、回転軸に密封固定したメーティングリングとシールハウジングに密封装着し且つ押圧手段にて軸方向へ付勢したプライマリーリングとの対面する各シール面の何れか一方のシール面に、相対的回転方向に対して前進角を有する複数の螺旋溝を円周方向に一定間隔で設けて封入流体をシール面間に圧送してなる非接触メカニカルシールが提供されている。
【0003】
そして、この非接触メカニカルシールは、プライマリーリングとメーティングリングのシール面間に中心に向かう動圧が発生し、この動圧により両シール面間にミクロン単位のギャップを生じさせて非接触状態を保持して高周速回転を可能にしたものである。
【0004】
ここで、前記プライマリーリングは、回転軸の軸振れや軸方向の変移に起因するメーティングリングの微少変移に追従し、またシール面間の動圧によるギャップ形成のために、リテーナースリーブに対して軸方向に変移可能となすとともに、その間を密封する必要がある。そのため、前述の公報記載のものは、リテーナースリーブの外周面とプライマリーリングの内周面間に、二次シールとしてゴム製のOリングを介在させているのである。
【0005】
図5は二次シールとしてOリングを用いた従来例を示すものである。プライマリーリング100は、リテーナー101を介してケーシングに軸方向にのみ可動となして装着され、ディスク102とスプリング103からなる押圧手段にて図示しないメーティングリング側に弾性付勢している。前記プライマリーリング100の円筒状内周面100Aの半径方向内方にリテーナースリーブ104の円筒状外周面104A(シールバランス径)が延びており、前記ディスク102の半径方向内周部にOリング105を保持する環状段部106が形成され、該環状段部106にOリング105が装着された状態では、Oリング105はディスク102の押圧側よりも軸方向へ突出し且つ半径方向内方へ突出し、それぞれプライマリーリング100の端面100Bの半径方向内周部とリテーナースリーブ104の円筒状外周面104Aに接触して両者間を密封している。
【0006】
ここで、前記プライマリーリング100はカーボンで作製され、またリテーナー101(リテーナースリーブ104)とディスク102はステンレス鋼で作製されており、カーボンの弾性係数及び熱膨張係数がステンレス鋼より小さいことからプライマリーリング100の円筒状内周面100Aとリテーナースリーブ104の円筒状外周面104Aとの間に十分な間隙dを設けておく必要がある。例えば、プライマリーリング100の円筒状内周面100Aは高圧のプロセス流体によって内径が小さくなる(図5(b) の2点鎖線を参照)ので、その間隙は小さくなる。従って、プライマリーリング100やリテーナースリーブ104の圧力や温度による径変化を見越して、両部材が接触しないように間隙dを大きく設定している。しかし、間隙dが大きくなると、Oリング105がこの間隙dに、ハミ出すことから一定の制限があり、そのためメカニカルシールとしての耐圧限度はこの間隙dの限度に依存していた。つまり、この構造のメカニカルシールは高圧用には不向きである。
【0007】
一方、前述のようにプライマリーリングが圧力によって縮んでも、その二次シール部の隙間が変化しないように、端面シール構造をプライマリーリングの背面に設け、その部分に高圧時の信頼性が高い樹脂シールを設けた二次シール構造(図6参照)も提案されている。即ち、プライマリーリング200の半径方向端面200Aと、該プライマリーリング200を弾性付勢する押圧部材201(前記ディスク102に相当する要素)の押圧面201Aを面接合可能とするとともに、該押圧面201Aに形成した環状のシール溝201Bに断面略U字形の樹脂シール202を装着して前記端面200Aに圧接し、プライマリーリング200と押圧部材201との間の密封を行い、また押圧部材201に一体形成したスリーブ部203の円筒状外周面203Aをリテーナー204の円筒状内周面204Aの半径方向内方に微小間隙を設けて位置させるとともに、前記内周面204Aに形成した環状のシール溝204Bに断面略U字形の樹脂シール205を装着して前記外周面203Aに圧接し、押圧部材201とリテーナー204との間の密封を行う構造のものである。ここで、前記プライマリーリング200と押圧部材201とに半径方向の変位差が生じた場合には、前記樹脂シール202が端面200Aを摺動して吸収し、またプライマリーリング200が軸方向に変動した場合には、前記樹脂シール205が外周面203Aを摺動して追従するのである。
【0008】
図6に示した構造の場合、部品点数が多くなる欠点があり、また前記押圧部材201は小さな断面積で全圧力を受ける構造であるので、スリーブ部203の厚みを十分に確保する必要があり、寸法が大きくなる傾向があった。また、従動する部品の全質量が大きくなり、振動等の速い動きに対する従動機能が劣る傾向があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、高圧用メカニカルシールにおけるプライマリーリングとリテーナーとの間でプロセス流体を密封する二次シール構造を改良して、高圧下でシールリングがハミ出す可能性のある間隙を小さくすることができるとともに、その間隙が圧力や温度の負荷で変化し難く、高圧下で長期間にわたって安定にプライマリーリングの変動に追従して密封することが可能な構造とし、特に高圧ガスシールとして優れた高圧用メカニカルシールを提供する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題解決のために、回転軸に密封固定したメーティングリングの一次シール面と、ケーシングにリテーナーを介して軸方向にのみ可動となして密封装着し且つリテーナーに設けたディスクとスプリングからなる押圧手段にて前記メーティングリング側へ付勢したプライマリーリングの一次シール面とを、接触又は非接触の状態で回転密封するメカニカルシールにおいて、前記プライマリーリングの一次シール面とは反対側の半径方向端面であって内周側縁部に形成した二次シール面と前記ディスクの押圧面側の内方フランジ部に形成した二次シール面とを気密接触するとともに、該ディスクの内周部であって半径方向内方へ延びた前記内方フランジ部と外方フランジ部との間に形成した半径方向内方へ開放した環状溝内にシールリングを装着して前記ディスクと、前記リテーナーの半径方向内周部であってメーティングリング側へ軸方向に延びたリテーナースリーブの円筒状外周面との間を摺動可能に密封し、前記プライマリーリングを前記リテーナー及びディスクより弾性係数及び熱膨張係数が小さい素材で形成し且つ前記リテーナーとディスクとを弾性係数及び熱膨張係数が一致又は近似した素材で形成し、プライマリーリングの円筒状内周面とその半径方向内方に位置するリテーナースリーブの円筒状外周面との間に、該プライマリーリングとリテーナースリーブの圧力及び温度による径変化差を許容する逃がし間隙を形成するとともに、リテーナースリーブの円筒状外周面とディスクの内方フランジ部の内周縁との間に、前記逃がし間隙よりも狭い微小間隙を形成してなる高圧用メカニカルシールを構成した。
【0011】
このような構成の高圧用メカニカルシールは、高圧下でプライマリーリングの半径が小さくなっても、プライマリーリングの円筒状内周面とリテーナースリーブの円筒状外周面との間にその径変化差を吸収し得る十分な逃がし間隙を形成していることから、両部材が接触する恐れがなく、またリテーナースリーブとディスクとは圧力、温度の負荷によって略同様な径変化を生じるので、リテーナースリーブの円筒状外周面とディスクの内方フランジ部の内周縁との間に、高圧下でのシールリングのハミ出しを規制することができる程度の微小間隙を形成しても、両部材が接触する恐れや両部材間の間隔が開いてシールリングがハミ出す恐れが全くなく、従って高圧のプロセス流体の密封に適したものである。
【0012】
ここで、前記プライマリーリングの素材をカーボンとし、前記リテーナー及びディスクの素材をステンレス鋼としてなることが好ましい。カーボン素材は、熱に対する変形が少なく且つ低摩擦性を有することから、高速に回転する回転軸とケーシング間において、高温のプロセス流体を密封するのに適しており、またステンレス鋼素材は、加工の容易性と圧力に対する変形が小さいので好ましいものである。
【0013】
また、前記シールリングとして、高圧プロセス流体側に開放した凹溝内に予圧スプリングを内蔵した樹脂シールを用いる。即ち、低摩擦性に優れた樹脂シールを用いることによって、樹脂シールとリテーナースリーブの円筒状外周面との摺動摩擦抵抗が少なくなって、プライマリーリングの軸方向への変動に対して優れた追従性を確保できる。そのため、樹脂シールを用いた場合の本発明は、プロセス流体がガスの場合に特に有効である。つまり、プロセス流体がガスの場合には、樹脂シールとリテーナースリーブとの接触部がドライコンタクトであるため、液体の場合に比べて摺動摩擦抵抗は高くなり、更にメーティングリングとプライマリーリングの両シール面間が非接触シールである場合には、回転に伴って発生する動圧が液体の場合に比べて小さいので、プライマリーリングの良好な追従性を確保するにはその動作を阻害する抵抗を小さくする必要があるからである。
【0014】
更に、前記ディスク及びプライマリーリングの一方の二次シール面であって半径方向外方の一部分に、高圧プロセス流体が侵入可能な複数の溝を円周方向に沿って隔設してなることがより好ましい。二次シール面に前記溝を形成することにより、この溝内にプロセス流体が侵入し、その流体圧力が二次シール面の接触面に侵入し、摩擦抵抗を小さくする作用をなすことから、カーボン製プライマリーリングが高圧下で径方向に縮んだり、減圧下で径方向に大きくなったりする時のディスクとの相対変位による滑りが円滑になり、プロセス流体がガスの場合にドライコンタクトであるため特に有効である。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に添付図面に示した実施形態に基づき更に本発明の詳細を説明する。図1は本発明の高圧用メカニカルシールの要部を示し、図2は本発明の主要部である二次シール構造の拡大断面図を示し、図中1は回転軸、2はメーティングリング、3はプライマリーリング、4はリテーナー、5は押圧手段、6はシールリングをそれぞれ示している。
【0016】
本発明の高圧用メカニカルシールは、回転軸1に密封固定したメーティングリング2の一次シール面7と、ケーシング8にリテーナー4を介して軸方向にのみ可動となして密封装着し且つリテーナー4に設けたディスク9とスプリング10からなる押圧手段5にて前記メーティングリング2側へ付勢したプライマリーリング3の一次シール面11とを、接触又は非接触の状態で回転密封するメカニカルシールにおいて、前記プライマリーリング3の一次シール面11とは反対側の半径方向端面であって内周側縁部に形成した二次シール面12と前記ディスク9の押圧面側の内方フランジ部13に形成した二次シール面14とを気密接触するとともに、該ディスク9の内周部であって内方フランジ部13と外方フランジ部15間に形成した半径方向内方へ開放した環状溝16内にシールリング6を装着して前記ディスク9とリテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aとの間を摺動可能に密封し、前記プライマリーリング3を前記リテーナー4及びディスク9より弾性係数及び熱膨張係数が小さい素材で形成し且つ前記リテーナー4とディスク9とを弾性係数及び熱膨張係数が一致又は近似した素材で形成し、プライマリーリング3の円筒状内周面3Aとその半径方向内方に位置するリテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aとの間に、該プライマリーリング3とリテーナースリーブ17の圧力及び温度による径変化差を許容する逃がし間隙18を形成するとともに、リテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aとディスク9の内方フランジ部13の内周縁との間に、前記逃がし間隙18よりも狭い微小間隙19を形成してなることを要旨としている。
【0017】
更に詳しくは、前記プライマリーリング3は、少なくとも前記ディスク9と接触する端面の半径方向内方部分に他の外方部分よりも軸方向に突出した二次シール面12を形成するとともに、ケーシング8に密封固定したリテーナー4の外筒部20の内面に軸方向に形成したスプライン溝21に、スライド係合して非回転且つ軸方向可動とするために、その外周部に回転規制部22を突設している。
【0018】
また、前記リテーナー4は、リテーナースリーブ17と外筒部20との間に凹所を形成して、該凹所内にプライマリーリング3の一部を収容した状態で、該凹所の一部に形成した係合孔23に前記スプリング10の一端を受け入れるとともに、前記ディスク9の外周部に形成した係合凹所24にスプリング10の他端を受け入れて、ディスク9を介してプライマリーリング3をメーティングリング2側に押圧する等、プライマリーリング3を可動可能に支持する機能と、プライマリーリング3とケーシング8間における二次シールの機能を果たすものである。そして、リテーナー4の半径方向内周部であってメーティングリング2側へ軸方向に延びたリテーナースリーブ17は、プライマリーリング3の半径方向内方へ位置し、プライマリーリング3との間に該プライマリーリング3の軸方向移動を許容するクリアランスを設けている。
【0019】
前記ディスク9は、外周部に複数の前記係合凹所24,…を一定間隔で円周方向に設けるとともに、その内方に半径方向内方へ延びた内方フランジ部13と外方フランジ部15を形成し、その間の円筒壁面25とで前記環状溝16を形成している。前記内方フランジ部13の内周縁は、外方フランジ部15よりも半径方向内方に延びているとともに、前記プライマリーリング3の円筒状内周面3Aの内径よりも半径を小さく設定し、リテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aとの間に微小間隙19を形成している。前記リテーナー4とディスク9とは、弾性係数及び熱膨張係数が一致又は近似した素材で形成するため、圧力や温度が変化しても前記微小間隙19の変化は極僅かであるので、この微小間隙19は、製造上の寸法誤差を許容し得る程度に小さくできる。
【0020】
前記シールリング6には、本発明では予圧スプリングを内蔵した樹脂シールを用いている。この樹脂シール6は、基端部6Aから半径方向内外に分岐した一対のリップ部6B,6Bを有し、両リップ部6B,6Bの間の凹溝内に予圧スプリング6Cを嵌合した構造のものである。そして、この樹脂シール6は、前記ディスク9の環状溝16内に装着され、その装着された状態では、外方のリップ部6Bは前記円筒壁面25に圧接するとともに、内方のリップ部6Bは前記リテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aに圧接し、予圧スプリング6Cによって緊迫され、また両リップ部6B,6Bは、プロセス流体側に向いて基端部6Aが内方フランジ部13に当接している。ここで、前記基端部6Aは、半径方向端面を有して、該端面がプロセス流体の圧力によって内方フランジ部13の内面に密接する構造が好ましい。
【0021】
ここで、予圧スプリングを内蔵した樹脂シール6の特徴と利点を簡単に説明する。
▲1▼優れた耐薬品、耐食性能(ゴムOリングより遙に広い範囲の薬品や溶剤に耐えられる。)
▲2▼高圧からの耐急減圧(ゴムOリングに起こる急減圧破損がない。)
▲3▼高圧下の耐ハミ出し性能(ゴムOリングより大きいハミ出し限度の特性をもっている。)
▲4▼優れた耐熱性能(一般のゴムOリングより高い耐熱限度特性を持っている。)
▲5▼優れた耐低温性能(広い使用温度範囲で、ゴムOリングより低温度まで耐えられる。)
▲6▼優れた耐候性:長期保管寿命(長期保管しても材質劣化がほとんど皆無である。)
▲7▼摩擦力安定性(ゴムOリングでの長期間使用時の密着面状態変化に伴う摩擦変化が起こり難く、可動部にて摩擦力が安定で、ガス・シールの性能をより安定化させる。)
【0022】
そして、前記メーティングリング2とプライマリーリング3の各一次シール面7,11の何れか一方に、図例ではメーティングリング2の一次シール面7に相対的回転方向に対して前進角を有する複数の螺旋溝26を円周方向に一定間隔で設けてプロセス流体を一次シール面7,11間に圧送し、両シール面7,11間を非接触状態で密封するようにすれば、高速回転用、ガスシール用として適している。
【0023】
このように本発明は、前記プライマリーリング3の二次シール面12と前記ディスク9の二次シール面14とを密接するとともに、該ディスク9の環状溝16に装着した樹脂シール6を前記リテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aに摺接させる構造とし、しかも前記プライマリーリング3を前記リテーナー4及びディスク9より弾性係数及び熱膨張係数が小さい素材で形成し且つ前記リテーナー4とディスク9とを弾性係数及び熱膨張係数が一致又は近似した素材で形成したことにより、前記プライマリーリング3の円筒状内周面3Aとリテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aとの間に比較的大きな逃がし間隙18を形成することができるので、両部材間の圧力による半径方向の変形量差を吸収することができるとともに、ディスク9の内方フランジ部13の内周縁とリテーナースリーブ17の円筒状外周面17Aとの間に、シールリング(樹脂シール)6の圧力変形によってハミ出すことがないような微小間隙19を形成することが可能となったのである。
【0024】
次に、本発明の代表的実施形態として図1に示した高圧ガスシール用非接触メカニカルシールを簡単に説明するが、液体シール用でも同様である。図1は、非接触メカニカルシールMの要部の構造を示し、流体機器の密封容器であるケーシング8と、該ケーシング8の開放端を貫通する回転軸1との間に設けている。ここで、図中Aは大気圧(低圧)側、Bはプロセス(高圧)側を示している。
【0025】
本実施形態の非接触メカニカルシールは、前記ケーシング8の回転軸1を貫通する開口部にリテーナー4を密封状態で固定し、回転軸1にはアセンブリスリーブ27を外挿固定し、該アセンブリスリーブ27の内方端外周に一体形成したフランジ28にメーティングリング2を密封保持するとともに、その外方に固定スリーブ29を密封外嵌し、フランジ28と固定スリーブ29とでメーティングリング2を挟み込んで固定している。また、回転軸1とアセンブリスリーブ27との間、アセンブリスリーブ27とメーティングリング2及び固定スリーブ29との各間に、トレランスリング30,…を介在させて、各部材の熱膨張率の差に起因するガタつきを防止するとともに、調心を行っている。そして、ケーシング8とリテーナー4間の密封、アセンブリスリーブ27のフランジ28とメーティングリング2間の密封、アセンブリスリーブ27と固定スリーブ29間の密封には、Oリング31,…を用いて行っている。
【0026】
本実施形態では、メーティングリング2とプライマリーリング3の対が軸方向に一対あるシングル型の非接触メカニカルシールを示したが、勿論メーティングリング2とプライマリーリング3が二対のタンデム型のものでも良く、更に両一次シール面7,11とが接触して密封するものであっても良い。
【0027】
そして、本実施形態では、前記プライマリーリング3の素材をカーボンとし、前記リテーナー4及びディスク9の素材をステンレス鋼としている。勿論、前記プライマリーリング3の素材は、前記リテーナー4及びディスク9より弾性係数や熱膨張係数が小さく、また前記リテーナー4とディスク9の素材は、弾性係数及び熱膨張係数が一致又は近似したものであれば、他の素材を採用することができる。例えば、プライマリーリング3とリテーナー4及びディスク9の素材の組合せとして、カーボンとステンレス鋼の他に、シリコンカーバイドとインコネル、シリコンカーバイドとハステロイ、シリコナイズド・カーボンとインコネル、シリコナイズド・カーボンとハステロイ等が挙げられる。ここで、シリコナイズド・カーボンとは、カーボンを溶融シリコンに浸漬してカーボンの表面にシリコンカーバイドの合金を形成したものである。次の表1に、代表的なカーボンとステンレス鋼の素材の熱膨張係数と弾性係数を示す。尚、カーボン素材においては、材料メーカーによってその特性はバラツキがあるため、その概略範囲を示している。
【0028】
【表1】
Figure 0003903499
【0029】
次に、図3及び図4には、本発明の他の実施形態を示し、前記ディスク9の二次シール面14であって半径方向外方の一部分に、高圧プロセス流体が侵入可能な複数の溝32,…を円周方向に沿って隔設した例を示している。尚、前記溝32は、プライマリーリング3の二次シール面12であって半径方向外方の一部に形成することも可能である。この二次シール面14に溝32,…を形成することにより、該溝32内にプロセス流体が圧力によって侵入し、摺動摩擦抵抗を小さくするので、プライマリーリング3が高圧下で縮んだり、減圧下で伸びたりする時の両二次シール面12,14間の滑りを円滑にすることが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上にしてなる本発明の高圧用メカニカルシールによれば、高圧下でプライマリーリングの半径が小さくなっても、プライマリーリングの円筒状内周面とリテーナースリーブの円筒状外周面との間にその径変化差を吸収し得る十分な逃がし間隙を形成していることから、両部材が接触する恐れがなく、またリテーナースリーブとディスクとは圧力、温度の負荷によって略同様な径変化を生じるので、リテーナースリーブの円筒状外周面とディスクの内方フランジ部の内周縁との間に、高圧下でのシールリングのハミ出しを規制することができる程度の微小間隙を形成しても、両部材が接触する恐れや両部材間の間隔が開いてシールリングがハミ出す恐れが全くなく、従って高圧のプロセス流体の密封に適している。
【0031】
また、前記プライマリーリングの素材をカーボンとし、前記リテーナー及びディスクの素材をステンレス鋼とすると、カーボン素材は、熱に対する変形が少なく且つ低摩擦性を有することから、高速に回転する回転軸とケーシング間において、高温のプロセス流体を密封するのに適しており、またステンレス鋼素材は、加工の容易性と圧力に対する変形が小さいので高い精度で作成できる。
【0032】
更に、前記シールリングとして、高圧プロセス流体側に開放した凹溝内に予圧スプリングを内蔵した樹脂シールを用いると、樹脂シールとリテーナースリーブの円筒状外周面との摺動摩擦抵抗が少なくなって、プライマリーリングの軸方向への変動に対して優れた追従性を確保できる。また、ゴムOリングが耐食限度が狭い範囲であるのに対し、樹脂シールを用いることにより高耐食性が得られる。更に、高圧からの脱圧でOリングは破損するが、樹脂シールはそれに耐えられるので、高圧ガス・シールとして特に優れている。
【0033】
そして、前記ディスク及びプライマリーリングの一方の二次シール面であって半径方向外方の一部分に、高圧プロセス流体が侵入可能な複数の溝を円周方向に沿って隔設すると、この溝内にプロセス流体が侵入し、その流体圧力が二次シール面の接触面に侵入し、摩擦抵抗を小さくする作用をなすことから、カーボン製プライマリーリングが高圧下で径方向に縮んだり、減圧下で径方向に大きくなったりする時のディスクとの相対変位による滑りが円滑になり、特にプロセス流体がガスの場合にはドライコンタクトであるため有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧用メカニカルシールの要部の省略断面図である。
【図2】同じく主要部の拡大断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す部分断面図である。
【図4】同じく二次シール面側から見たディスクの部分平面図である。
【図5】従来例を示し、(a) は部分断面図、(b) はその要部の拡大断面図である。
【図6】同じく他の従来例を示す要部の省略断面図である。
【符号の説明】
1 回転軸 2 メーティングリング
3 プライマリーリング 3A 内周面
4 リテーナー 5 押圧手段
6 シールリング(樹脂シール)
6A 基端部 6B リップ部
6C 予圧スプリング
7 一次シール面 8 ケーシング
9 ディスク 10 スプリング
11 一次シール面 12 二次シール面
13 内方フランジ部 14 二次シール面
15 外方フランジ部 16 環状溝
17 リテーナースリーブ 17A 外周面
18 逃がし間隙 19 微小間隙
20 外筒部 21 スプライン溝
22 回転規制部 23 係合孔
24 係合凹所 25 円筒壁面
26 螺旋溝 27 アセンブリスリーブ
28 フランジ 29 固定スリーブ
30 トレランスリング 31 Oリング
32 溝

Claims (4)

  1. 回転軸に密封固定したメーティングリングの一次シール面と、ケーシングにリテーナーを介して軸方向にのみ可動となして密封装着し且つリテーナーに設けたディスクとスプリングからなる押圧手段にて前記メーティングリング側へ付勢したプライマリーリングの一次シール面とを、接触又は非接触の状態で回転密封するメカニカルシールにおいて、前記プライマリーリングの一次シール面とは反対側の半径方向端面であって内周側縁部に形成した二次シール面と前記ディスクの押圧面側の内方フランジ部に形成した二次シール面とを気密接触するとともに、該ディスクの内周部であって半径方向内方へ延びた前記内方フランジ部と外方フランジ部との間に形成した半径方向内方へ開放した環状溝内にシールリングを装着して前記ディスクと、前記リテーナーの半径方向内周部であってメーティングリング側へ軸方向に延びたリテーナースリーブの円筒状外周面との間を摺動可能に密封し、前記プライマリーリングを前記リテーナー及びディスクより弾性係数及び熱膨張係数が小さい素材で形成し且つ前記リテーナーとディスクとを弾性係数及び熱膨張係数が一致又は近似した素材で形成し、プライマリーリングの円筒状内周面とその半径方向内方に位置するリテーナースリーブの円筒状外周面との間に、該プライマリーリングとリテーナースリーブの圧力及び温度による径変化差を許容する逃がし間隙を形成するとともに、リテーナースリーブの円筒状外周面とディスクの内方フランジ部の内周縁との間に、前記逃がし間隙よりも狭い微小間隙を形成してなることを特徴とする高圧用メカニカルシール。
  2. 前記プライマリーリングの素材をカーボンとし、前記リテーナー及びディスクの素材をステンレス鋼としてなる請求項1記載の高圧用メカニカルシール。
  3. 前記シールリングとして、高圧プロセス流体側に開放した凹溝内に予圧スプリングを内蔵した樹脂シールを用いてなる請求項1記載の高圧用メカニカルシール。
  4. 前記ディスク及びプライマリーリングの一方の二次シール面であって半径方向外方の一部分に、高圧プロセス流体が侵入可能な複数の溝を円周方向に沿って隔設してなる請求項1又は2記載の高圧用メカニカルシール。
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