【発明の詳細な説明】
乗り物操縦用のモーター駆動式システム
本発明は、操縦制御装置(steering control device)〔例えば、輪形ハンド
ル(steering-wheel)〕と操縦装置(steering device)〔例えば、ステアリン
グボックス(steering-box)〕とが、操縦者が操縦制御装置に与える運動(move
ment)とは大きさ(amplitude)の異なる運動を操縦装置に伝達するのに適合し
たモーター駆動式装置(motorized device)を介して連結されており、その運動
の大きさの変化量が、さまざまなパラメータに応じて可変である、ことを特徴と
する乗り物操縦用のモーター駆動式システムに関する。
操縦制御装置を介して乗り物が操縦され、また、このモーター駆動式装置が作
動しているときには、このモーター駆動式装置は、操縦者が操縦制御装置に与え
る運動に関し、操縦装置に伝達される運動を拡大(amplify)することができる
。この場合、操縦者が操縦制御装置を動かす際、モーター駆動式装置がない場合
に受けたであろう負荷と同等の負荷を受けるが、操縦制御装置に与える運動が、
モーター駆動式装置がない場合よりも小さくて済むので、特に、乗り物を小さな
回転半径で動かす際に、操縦が容易になる。
さらに、このモーター駆動式装置は、適切に制御すると、操縦者が操縦制御装
置に与える運動に関して、操縦装置に伝達される運動の大きさを減少させること
もでき、これによっ
て、操縦者の動作(pilot's action)が操縦装置に与える影響が減少する。
本出願人は、現在の技術水準に関する自らの知見に基づいて、本発明の優れた
効果を達成できる装置は、従来、市販も特許出願もされていないことを確信する
。
パワーステアリング(power steering)として知られる、操縦作業(steering
work)を減少させるのに適合した装置は、電気的なものも含めて、数多くある
が、これらの装置は、操縦者が与える操縦運動(steering movement)をその入
口と出口の間で変化させずに、操縦者が操縦制御装置にかける力(force)やト
ルク(torque)を増幅することを特徴としている。この目的のため、あらゆる公
知のパワーステアリングでは、操縦動作(steering action)は、その乗り物の
フレーム(vehicle frame)と操縦装置の間に設けられたアクチュエーター(act
uator)(作動器)によって増大する。これは、アクチュエーターが電気的、油
圧式あるいは他のいずれの方式であっても同様である。このタイプの電気的なパ
ワーステアリングは、例えば、次に挙げる企業によってすでに特許が取得されて
いる。
ADWEST ENGINEERING LTD.(WO 9212037など),ALFRED TEVES GMBH(WO 921464
0,WO 9212885など),DR.ING.H.C.F.PORSCHE AG (EP 0447626など),本田
技研工業株式会社(HONDA GIKEN KOGYO KABUSHIKI KAISHA)(EP 0590576など)
,
コシオ セイコウ カンパニー(KOSHIO SEIKO CO.) (EP 0611691,EP 0350
817,EP 0460406,EP 0572961,EP 0566168, EP 0556869,EP 0556870,EP 055
4703,EP 0531870,EP 0536590,EP 0535422,EP 0611691,EP 0599260など),
LUCAS INDUSTRIES (EP 0403234など),MAN NUTZFAHRZEUGE AG(EP 0580997な
ど),三菱電機株式会社(MITSUBISHI DENKI KABUSHIKI KAISHA)(EP 0360469
,EP 0360470,EP 0351087,EP 0361726,EP 0513941,EP 0567991など),三菱
自動車工業株式会社(MITSUBISHI JIDOSHA KOGYO KABUSHIKI KAISHA)(EP 0440
365など),日本電装(NIPPONDENSO CO.)(EP 0460582など),REGIE NATIONAL
DES USINE RENAULT S.A.(EP 0478437など),ROBERT BOSCH GMBH(EP 048015
9, EP 0501017,EP 0545034,EP 0525574など),SEXTANT AVIONIQUE(EP 0522
924など),STEERING DEVELOPMENT LTD.(EP 0165758),TEXAS INSTRUMENTS IN
CORPORATED(EP 0481568など),THE RAYMOND CO.(EP 0490673,EP 0596167な
ど),トヨタ自動車株式会社(TOYOTA JIDOSHA KABUSHIKI KAISHA)(EP 053196
2など),VALEO ELECTRONIQUE(EP0461037など),VALEO SYSTEMES D'ESSUYAGE
(EP 0491601など),VOLKSWAGEN AG(EP 0591653など),ZF FRIEDRICHSHAFEN
AG (WO 9314966,WO 9312965など)。
これに対して、本発明のシステムにおいては、従来のパワーステアリングのよ
うに、操縦装置の回転方向に沿って力を
増幅するのではなく、回転角度を拡大することにより操縦者の操縦作業が軽減さ
れる。この目的のために、操縦カラム(steering column)は連続的ではない。
即ち、駆動力を備えているか否かに関わらず、公知の操縦システムにおいては、
操縦制御装置と操縦装置の間は直接的に連結されているが、本発明のシステムに
おいては、操縦制御装置と操縦装置の間は直接的には連結されていない。本発明
のシステムにおいては、操縦制御装置と操縦装置の間にモーター駆動式装置が介
在することにより、回転角度の拡大や減少が可能になり、これにより、従来の操
縦システム内でギヤダウン(gearing−down)によって生み出される操縦角度(s
teering angle)とは異なる操縦角度を得ることができる。しかしながら、本発
明の操縦システムを、公知のパワーステアリングと連結・併用することも可能で
あり、これにより、両者の利点を同時に得ることができる。
本発明の1つの目的は、操縦制御装置に与えられた運動が操縦装置に伝えられ
る際に、その運動の大きさ(amplitude of the movement)を適切に修正するこ
とにより、乗り物の操縦を手助けすることにある。
本発明の他の1つの目的は、望ましくない操縦を防ぐために、操縦装置への操
縦動作を制御することにある。
本発明の他の1つの目的は、遠隔操作による操縦制御を容易にすることにある
。
本発明の他の1つの目的は、モーター駆動式装置とその制御ユニットが故障し
た場合には、従来の機械式システムと同じ信頼性を維持できる操縦システムをも
って、上記のすべてを達成することにある。
本発明の他の1つの目的は、従来の操縦システムを有する既存の乗り物の操縦
装置の構造や配置に僅かな変更を加えるだけで、上記のすべてを達成することに
ある。
本発明の他の1つの目的は、上記のすべてを極めて低いコストで実現すること
にある。
本発明のモーター駆動式装置の働きにより、操縦制御装置を動かすのに要する
力は、モーター駆動式装置がない場合と同等だが、操縦制御装置に与える運動の
大きさは、モーター駆動式装置がない場合よりも小さくて済む。これにより、従
来の高度にギヤダウンされた操縦装置に匹敵する操縦制御精度を保持したまま、
例えば、釣鐘(cloche)型、ハンドルバー(handlebar)型、操縦桿(joystick
)型の操縦制御装置のような、非常に小さな回転運動(very small global move
ment)を特徴とする操縦制御装置を介して操縦することが可能になる。
従って、本発明の操縦システムは、駐車の際や曲がりくねった道を走行する際
の輪形ハンドル(steering-wheel)の回転のように、操縦制御装置に大きな動き
を要するあらゆる操縦操作において、特に有用である。さらに、本発明の操縦シ
ステムは、例えば、何らかの筋疾患に冒されていたり、又は片方の腕が使えない
などの、上肢の機能が乏しい人々でも、従来の輸形ハンドルや舵輸で操縦できる
ようにするという目的に、特に有効である。実際に、これらの人々は、手や手首
には輪形ハンドルを握るのに十分な力を持っているのに、肩には、小さな回転弧
(small arc of rotation)以上に輪形ハンドルを回すのに足りるだけ腕を動か
すのに十分な力がないのである。
また、操縦制御装置が操縦装置に伝える運動の大きさを適切に変更することが
できるので、状況によっては、操縦者の操縦動作を拡大することもできるし、ま
た、変更を加えずに伝えたり、あるいは減少させて伝えたり、さらには、操縦制
御装置を操縦装置から完全に分離(complete uncoupling)することも可能であ
る。これにより、必要に応じて、操縦装置の制御を操縦者から切り離し、自動制
御装置に移すことも可能である。
モーター駆動式装置が故障した場合の操縦システムの信頼性を確実にするため
には、不可逆性のモーター駆動式装置(irreversible motorized device)を用
いるか、又は、操縦制御装置と操縦装置にそれぞれ連結されているモーター駆動
式装置の2つの部分を、互いに一体化するのに適合した単純なロッキング装置(
locking device)を設ければよい。
本発明による操縦システムの上記及びその他の諸目的、諸
利益ならびに諸特徴は、以下に添付の図面に参照して行なういくつかの好ましい
実施態様の詳細な説明から当業者に明らかになるが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。
添付の図面において:
図1は、第1の態様の概略図であり、モーター駆動式装置(motorized device
)が、輪形ハンドル(steering-wheel)の形態をとった操縦制御装置(control
device)と、ステアリングボックス (steering-box)の形態をとった操縦装置
(steering device)の間に設置されている。
図2は、図1の態様に類似した第2の態様の概略図であり、モーター駆動式装
置は、所定の状況下で、操縦制御装置と操縦装置にそれぞれ連結されたモーター
駆動式装置の2つの部分を、互いに一体化させるのに適合したロッキング装置(
locking device)を備えている。
図3は、図2の態様に類似した第3の態様の概略図であり、輪形ハンドル(st
eering-wheel)用の角度位置(angular position)検出器、車輪(wheel)用の
角度位置検出器、及び、操縦制御装置の動きを止めるのに適合したロッキング装
置を備えている。
図4は、第4の態様の概略図であり、モーター駆動式装置がステアリングボッ
クスに内蔵されている。
図5は、図3の第3の態様に類似した第5の態様の概略図
であり、操縦制御装置はハンドルバー(handlebar)の形をしており、操縦装置
は運動を制御方向舵(control rudder)に伝える。
図6は、上述の図4の態様に類似した第6の態様の概略図であり、操縦制御装
置が釣鐘(クローシュ)(cloche)型をしており、モーター駆動式装置は線状の
アクチュエーター(actuator)の形態をとっており、運動を制御方向舵に伝える
。
図7は、図1に示される装置の作動を説明するブロック図であり、操縦者が、
制御ユニット(control unit)を介して、モーター駆動式装置を直接的に制御す
ることを想定している。
図8は、図3から図6に示される装置の作動を説明したブロック図であり、モ
ーター駆動式装置が、位置検出器により検出される値に従って、制御ユニットに
より制御されることを想定している。
図9は、図8に類似したブロック図であり、モーター駆動式装置が、位置検出
器、及び、その他の検出器により検出される値に従って、制御ユニットにより制
御されることを想定している。このブロック図においては又、操縦制御機能を補
助的な操縦桿(joystick)に移すことによって、操縦制御を遠隔操作により行う
ことができ、操縦桿は、操縦制御装置を操縦装置につなぐ運動学的な鎖(kinema
tic chain)から、機械的に分離されている。
図10は、可逆性のモーター駆動式装置(reversible motorized device)の
1つの実施態様の長手方向の断面図である。
図1における本発明のシステムは、輪形ハンドルの形態をした操縦制御装置(
1)をステアリングボックスの形態をした操縦装置(3)に連結するモーター駆
動式装置(2)を包含し、このモーター駆動式装置(2)は、不可逆性タイプで
ある。即ち、このモーター駆動式装置(2)が作動していないときには、操縦者
の操縦動作は、ステアリングボックス(3)に直接に伝えられる。モーター駆動
式装置(2)は、例えば、輪形ハンドル(1)上、又は、乗り物のフレーム(ve
hicle's frame)上に設けられた押しボタン(pushbuttons)を介して操縦者が作
動を開始できる。このシステムのこの開回路型(open−loop type)の簡単な操
作は、対応する図7のブロック図に示されている。モーター駆動式装置(2)が
制御ユニットを介して作動されると、例えば、回転(rotation)などの運動を生
み、この運動を介して、モーター駆動式装置(2)は、操縦装置(3)に働きか
け、同時に、操縦者も輪形ハンドル(1)に運動を与えている。このようにして
、乗り物の小さな転回半径での操縦又は方向転換(例えば、駐車する際や都会を
走行する際にしばしば行なう)が、操縦制御装置(1)の小さな動きにより達成
でき、これによって、上述の利点が達成される。
図2は、図1の実施態様に類似した本発明の1つの実施態
様を示しているが、図1の実施態様との違いは、可逆的なモーター駆動式装置(
2)を想定し、モーター駆動式装置(2)の入口と出口を一体化させるのに適合
したロッキング装置(locking device)(4)を備えているという点である。そ
れによって、特定の状況下〔例えば、操縦制御装置(1)を小さな回転角度で動
かす操縦をする場合や、モーター駆動式装置(2)が故障した場合〕においては
、操縦を、従来の操縦システムにおいて通常行なうように、操縦者の直接の操縦
動作によって行なうことができる。
図3〜6及びそれに対応する図8〜9は、図1〜2及び図7の実施態様に類似
しているが、モーター駆動式装置(2)の上流側に設置された少なくとも1つの
位置検出器(position sensor)(5)、及び、所望により、下流側に設置され
た少なくとも1つの位置検出器(position sensor)(6)をさらに有する、本
発明の1つの実施態様を示す。例えば、図8のブロック図に一般化して表されて
いる、本発明のシステムの特定の、かつ本発明を限定するものではない作動方式
(way of operation)においては、位置検出器(5)によって検出される輪形ハ
ンドルの回転角度(angle of rotation)が所定の限度を超えたとき、あるいは
、輪形ハンドルの回転速度(velocity of rotation)が所定の限度を超えたとき
、又はその両方の条件が満たされたとき、モーター駆動式装置(2)は初めて作
動する。それゆえ、制御ユニットには、輪
形ハンドルの回転をギヤダウン(gearing down)および/またはギヤアップ(ge
aring up)するための、例えば、2乗法則や指数法則などのような種々の異なる
法則をプログラムすることができる。モーター駆動式装置(2)の操縦装置(3
)への影響は、選択した法則と回転量に左右され、場合によっては、輪形ハンド
ルを手で動かさずに操縦するようにすることもできる。
本発明のシステムの他の1つの応用においては、操縦制御を操縦者から切り離
すことができ、操縦制御を、位置、速度、加速度などの検出器から送られてくる
信号に基づいて操縦制御をすることができる制御ユニットに移すことができる(
図9)。これは、乗り物の路面保持状況(road holding conditions)に対する
操縦者の動作が適切でないときや、乗り物の受動的誘導(passive guide)を行
なう場合に、特に有用である。従って、このシステムは、逆戻り(about−faces
)などを防ぐ補助的な安全装置として働く。
他の1つの実施態様においては、本発明のシステムは、操縦制御装置(1)の
動きを止めるのに適合したロッキング装置(7)を有し、これにより、遠隔操縦
制御が可能になる。この遠隔操縦制御機能の概略は、図9のブロック図の中の下
の列に示されているが、操縦と機械操作を同時に行わなくてはならない場合に特
に有用である。さらにこの遠隔操縦制御よって、肢体の機能(limb functionali
ty)が機械的な操縦
には不十分な人々でも操縦することができるようになる。操縦者が遠隔制御装置
(例えば、操縦桿)で直接に操縦するときには、ロッキング装置(7)は、輪形
ハンドルの動きに対して反発する運動を加える必要がある。
図5及び図6は、制御方向舵を動かすのに適合した本発明のシステムの1つの
実施態様を示している。図5において、操縦者は、モーター駆動式制御装置(2
)の上流側に設置されたハンドルバー (handlebar)(1)を介して、方向を
制御する。図6では、ハンドルバーが、モーター式駆動装置(2)に対して好ま
しい梃子比率で作用する釣鐘型操縦制御装置(クローシュ)(cloche)(1)に
置き換えられている。図6のモーター駆動式装置(2)は、線形アクチュエータ
ー(linear actuator)の形態をとり、釣鐘型操縦制御装置(クローシュ)(clo
che)(1)と制御方向舵(9)の間に設置された機械装置の運動を拡大する。
図10は、モーター駆動式装置(2)の1つの実施態様を示しており、このモ
ーター駆動式装置(2)は、ステッパーモーター(10)、電磁制動機(11)
、及び、周転円型の可逆性減速歯車(epicyclical reversible reduction gear
)(12)を有している。モーター駆動式装置(2)の上流側に設置された第1
の位置検出器(13)によって輪形ハンドルの位置を検出する一方で、モーター
駆動式装置(2)の下流側に設置された第2の位置検出器(14)によって操縦
装
置の位置を検出する。第1の位置検出器(13)は、はめ歯ベルト(cog belt)
(16)によってハンドルのシャフト(15)に連結されたハンドルの回転検出
用レゾルバー(rotating resolver)の形態を取っている。第2の位置検出器(
14)が、操縦装置に連結したシャフト(19)に固定されたねじボルト(18
)によって動かされる溝付きフランジ(threaded flange)(17)によって作
動する線形運動検出器(linear transducer)の形態を取っているので、装置の
かさばり(bulkiness)を減らすことができる。
電磁制動機(11)を設ける目的は、動力の供給がないとき、即ち、装置が作
動していないときや、故障したときに、モーター(10)と減速歯車(12)を
一体化し、これにより、ハンドルと操縦装置の間の直接的な連結を回復させるこ
とにある。高慣性系の小さな運動(small movements of high−inertia systems
)に有用な高トルク特性(high torque features)を有するので、ステッパーモ
ーターの使用が望ましい。
遠隔制御装置(例えば、操縦桿)を用いる場合には、輪形ハンドルは固定され
、操縦桿は位置検出器(13)の入口に直接的に連結されているので、操縦桿の
位置が、位置検出器(13)によって検出される。
これらの実施例はいずれも共通の特徴を備えている。即ち、操縦者のより小さ
な動きによる操縦を可能にすることによっ
て、本発明におけるモーター駆動式装置(2)がない場合に必要とされるよりも
少ない仕事量での操縦を可能にするという主な目的を達成するため、本発明のシ
ステムは、操縦制御装置(1)によって操縦装置(3)に伝えられる運動の大き
さのみを変化させる。
尚、これらの実施例は、操縦制御装置(1)、モーター駆動式装置(2)、操
縦装置(3)、及び、方向を与える装置(8)又は装置(9)の実施態様とは無
関係に、本発明の主題であるモーター駆動式操縦システムの作動原理を述べる目
的のためのみに説明したものである。
実際、このモーター駆動式操縦システムは、電気式、油圧式、空気式、熱化学
式や、その他のいかなる種類のエネルギーで作動するモーター又は回転式や線形
の作動装置を用いても実施できることや、自動車両の従来のステアリングボック
ス (steering-box)とは異なる操縦機構を用いても実施できることや、自動車
両の車輪とは異なる方向装置(directing devices)、即ち、船又は航空機の制
御方向舵(control rudder)、例えば、ランナー(runners)や、ヘリコプター
の回転翼を制御するための装置などを用いても実施できること、はいずれも容易
に理解することができる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年2月10日
【補正内容】
増幅するのではなく、回転角度を拡大することにより操縦者の操縦作業が軽減さ
れる。この目的のために、操縦カラム(steering column)は連続的ではない。
即ち、駆動力を備えているか否かに関わらず、公知の操縦システムにおいては、
操縦制御装置と操縦装置の間は直接的に連結されているが、本発明のシステムに
おいては、操縦制御装置と操縦装置の間は直接的には連結されていない。本発明
のシステムにおいては、操縦制御装置と操縦装置の間にモーター駆動式装置が介
在することにより、回転角度の拡大や減少が可能になり、これにより、従来の操
縦システム内でギヤダウン(gearing−down)によって生み出される操縦角度(s
teering angle)とは異なる操縦角度を得ることができる。しかしながら、本発
明の操縦システムを、公知のパワーステアリングと連結・併用することも可能で
あり、これにより、両者の利点を同時に得ることができる。
GB-A-2275032においては、操縦カラム(steering column)が入力シャフト(i
nput shaft)と出力シャフト(output shaft)に分かれており、これらのシャフ
トの間に、自動ロック(self-locking)式の電気モーターの形をとったモーター
駆動式ドライブ装置(motorized drive)が設置された、乗り物操縦システム(v
ehicle steering system)用の制御装置(control appliance)が開示されてい
る。しかし、このシステムは、操縦される前輪(front steered wheels)への
自動的介入(automatic intervention)により生じる操縦者の苛立ちをできる限
り防止しながら、最高水準の安全性への要求を満足することを目的とした自動操
縦制御システム(automatic steering control system)であり、この自動的介
入は、適切なセンサーにより検出された特定の走行条件(driving conditions)
(例えば、横風)に対して操縦を補正することを意図している。この種の働きは
、ハンドルに及ぼす補正の影響を最小限にするように試みつつ、センサーからの
入力信号(input signals)が自動的介入が必要であることを知らせるときにだ
け、システムが作動することを意味する。これは、システムの作動がハンドルの
動きを介した操縦者からの入力によってのみ決定される本発明のシステムの働き
とは、全く正反対である。それゆえ、このような自動制御システムが、操縦者の
操縦行為を助けることを目的としているのではなく、むしろ、操縦者の操縦行為
に重なる(superimposed)場合のある自律操縦機能(autonomous steering acti
on)を提供することを目的としていることは明らかである。
本発明の1つの目的は、操縦制御装置に与えられた運動が操縦装置に伝えられ
る際に、その運動の大きさ(amplitude of the movement)を適切に修正するこ
とにより、乗り物の操縦を手助けすることにある。
本発明の他の1つの目的は、望ましくない操縦を防ぐために、操縦装置への操
縦動作を制御することにある。
本発明の他の1つの目的は、遠隔操作による操縦制御を容易にすることにある。
ステムは、例えば、何らかの筋疾患に冒されていたり、又は片方の腕が使えない
などの、上肢の機能が乏しい人々でも、従来の輪形ハンドルや舵輪で操縦できる
ようにするという目的に、特に有効である。実際に、これらの人々は、手や手首
には輪形ハンドルを握るのに十分な力を持っているのに、肩には、小さな回転弧
(small arc of rotation)以上に輪形ハンドルを回すのに足りるだけ腕を動か
すのに十分な力がないのである。
また、操縦制御装置が操縦装置に伝える運動の大きさを適切に変更することが
できるので、状況によっては、操縦者の操縦動作を拡大することもできるし、ま
た、変更を加えずに伝えたり、あるいは減少させて伝えることもできる。
モーター駆動式装置が故障した場合の操縦システムの信頼性を確実にするため
には、不可逆性のモーター駆動式装置(irreversible motorized device)を用
いるか、又は、操縦制御装置と操縦装置にそれぞれ連結されているモーター駆動
式装置の2つの部分を、互いに一体化するのに適合した単純なロッキング装置(
locking device)を設ければよい。
本発明による操縦システムの上記及びその他の諸目的、諸
形ハンドルの回転をギヤダウン(gearing down)および/またはギヤアップ(ge
aring up)するための、例えば、2乗法則や指数法則などのような種々の異なる
法則をプログラムすることができる。モーター駆動式装置(2)の操縦装置(3
)への影響は、選択した法則と回転量に左右され、場合によっては、輪形ハンド
ルを手で動かさずに操縦するようにすることもできる。
本発明のシステムの他の1つの応用においては、操縦制御ユニットは、位置、
速度、及び加速度など(図9)の検出器からの信号に応じて、即ち、特定の走行
条件に応じて、予め設定された操縦の拡大率を限定することができる。これは、
乗り物の路面保持状況(road holding conditions)に対する操縦者の動作が適
切でないときに、特に有用である。従って、このシステムは、逆戻り(about−f
aces)などを防ぐ補助的な安全装置として働く。
他の1つの実施態様においては、本発明のシステムは、操縦制御装置(1)の
動きを止めるのに適合したロッキング装置(7)を有し、これにより、遠隔操縦
制御が可能になる。この遠隔操縦制御機能の概略は、図9のブロック図の中の下
の列に示されているが、操縦と機械操作を同時に行わなくてはならない場合に特
に有用である。さらにこの遠隔操縦制御よって、肢体の機能(limb functionali
ty)が機械的な操縦
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
B62D 137:00
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,C
A,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI
,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,
KR,KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,M
G,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO
,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,
TT,UA,UG,US,UZ,VN
【要約の続き】
えば、駐車の際の操縦操作)をする場合や、また、手や
手首にはハンドルを握るのに十分な力があるのに、肩に
は、小さな回転弧以上にハンドルを回すのに足りるだけ
腕を動かすのに十分な力がないような、上肢の機能が乏
しい人々が、従来のハンドルで操縦できるようにするた
めに、特に有効である。