JPH10510307A - 表面処理組成物 - Google Patents

表面処理組成物

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JPH10510307A JP8517414A JP51741496A JPH10510307A JP H10510307 A JPH10510307 A JP H10510307A JP 8517414 A JP8517414 A JP 8517414A JP 51741496 A JP51741496 A JP 51741496A JP H10510307 A JPH10510307 A JP H10510307A
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    • C09D183/02Polysilicates
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Abstract

(57)【要約】 金属、特にアルミニウムの表面処理用水性組成物で、テトラアルキルシリケート又はそのモノマー状またはオリゴマー状加水分解生成物と、水和酸化物ゾル、例えば、シリカゾルとを水性媒体中に分散させてなる。この組成物は前処理用膜として塗布され、次に適用されるペイント、ラッカー、接着剤の接着性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】 表面処理組成物 本発明は、表面処理に用いる水性組成物に関する。表面処理のひとつの目的は 、ペイント、ラッカー、ワニス、接着剤などの塗膜の密着力を向上させることに ある。本発明は、固体表面への塗布に関するものであるが、金属、特にアルミニ ウムに対して有用な方法を提供する。 ポリジエトキシシロキサンは、金属の注型用金型の耐熱性のバインダーや、亜 鉛を高濃度に含むプライマー用のバインダーとして使われている。ポリジエトキ シシロキサンは、テトラエチルシリケートを加水分解することにより得られ、4 0%加水分解されたものは、“エチルシリケート40”又は“シリケート40” として知られている製品である。これは、テトラエチルシリケートとポリジエト キシシロキサンオリゴマーからなる混合物である。これらは、通常有機媒体に溶 かして溶液の状態で用いられるため、火災の危険が必ず伴うのが現状である。 WO92/15650(アルキャン)には、金属、特にアルミニウム表面処理 に用いる水性組成物について記載されている。この組成物はテトラアルキルシリ ケート又はテトラアルキルシリケートのモノマー状あるいはオリゴマー状の加水 分解生成物、そして溶融により得られるシリカのように直径が100nm以下の 無機のパッセンジャー・パウダー(客粉)からなり、流動性を持った水性媒体内 で、これらがディスパージョンの状態で存在する。その組成物は、前処理用の塗 膜として用いることにより、次に適用されるペイント、ラッカー、接着剤との密 着性を向上させることが可能である。シリケート成分とパッセンジャー・パウダ ーからなる非水溶液である中間製品は、塗料とするに必要な程度に水を加え、希 釈される。上記無機成分の性質が重要であり、他の無機成分と置き換えることに より、特性向上が可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。特に 、保存時の安定性向上が期待できる。 本発明は、テトラアルキルシリケート又はそのモノマー状又はオリゴマー状の 加水分解生成物(組成物中の非揮発性成分の40〜90重量%)と、 水和酸化物ゾル(酸化物として塗料中の非揮発性成分の10〜60重量%)と からなり、 選択的に、表面湿潤剤、マーカー物質、脱泡剤、分散安定化剤、腐食抑制剤、 およびまたは水分存在下で加水分解生成物の連鎖反応や架橋反応を促進する触媒 を含み、 液状水性媒体に分散させてなる塗料組成物を提供する。 この塗料組成物は、金属の固体表面の前処理に適している。金属の例としては 、鋼、チタン、銅、亜鉛があり、特にアルミニウムに適している。ここでいう金 属は、純粋な金属とその合金を含む。 本組成物は、次に適用されるペイント、ワニス、ラッカー、接着剤との密着力 を高めることにより、前処理した表面の密着特性を向上させる。ここで、密着特 性は潤滑剤の存在の有無には影響されない。本発明の前処理により、その上に塗 布される塗膜との初期密着性、または密着性の長期安定性、または両者いずれも 向上させることができる。たとえは、その上に接着剤を塗布した場合においては 、本発明の特徴は、初期に高い密着力を与えるということではなく、腐食性の環 境でも密着力が低下しにくいという点にある。 テトラアルキルシリケート(又はテトラアルコキシシラン)は、次の反応式に 示すように速やかに加水分解されてシリカを与える。 Si(OR)4→Si(OR)3−O−Si(OR)3→ Si(OR)2O→Si(OH)2O→SiO2 これらの化学式の中でRはエチルであることが好ましい。加水分解されないテ トラアルキルエステルも、本発明に用いることができるが、部分加水分解生成物 を用いることが望ましい。この成分は、組成物の非揮発性成分の中で40〜90 重量%、好ましくは50〜80重量%含まれる。 加水分解が進むと、テトラアルキルシリケート溶液の粘度が高くなり、最後に はゲル化して使用できなくなる。本発明の組成物中のオリゴマー状部分加水分解 生成物は、実際の使用には問題ない安定性を有する。 水和酸化物ゾルは150nm以下の大きさの一次粒子又はその一次粒子の集合 体からなる安定な水溶液のコロイド状のディスパージョンである。コロイドの基 本単位の特性により、ゾルはA,B,Cの3つのタイプに分類される。 タイプAのゾルは、無機のポリマーを構成する多核イオンからなり、モノマー 状カチオンの加水分解と重合により形成される。多核カチオンの分子量は加水分 解の程度に依存するが、これらのゾルのアニオン/金属の比は通常、1:1であ る。重合体は、光を十分に散乱するほど大きくはないため、ゾルとそれから得ら れるゲルは光学的に透明である。ゲルの密度は高く、空隙は少ない。そしてX線 の回折パターンは、とてもブロードなバンドを示している。J.D.F.Ramsayの“多 核イオン水溶液、水そして水溶液の中性子散乱および光散乱に関する研究”207 〜218、1986(G.W.Neilson,J.E.Enderby編:Bristol.Adam Hilger)。タイプA のゾルは、この論文に記載されている多核のイオンより形成される。多核イオン には、Al(III),Fe(III),Zr(IV),Th(IV)が含まれ、たとえば : Al134(OH)24(H2O)12 7+ がある。 タイプBのゾルは、一定の決まった形、たとえば球状、棒状、板状からなり、 無定形又は微結晶性である。ゾルは、塩の加水分解を長時間行うことにより得ら れ、アニオン/金属比は0.3:1と低い。ゾルは、得られたばかりの沈澱を解 凝固することによっても調製できる。コロイドは凝集しておらず、ゾルそしてそ れから得られるゲルはいずれも透明である。タイプBのゾルは、コロイド状シリ カとAl(III),Zr(IV),Ce(IV),T:(IV),Fe(III)を含む。 タイプBのAl(III)ゾルの調製は、GB1,174,648に記載されている 。タイプBのCeゾルの場合は、GB1,342,893に記載されている。タイ プBのAlゾルは、市販品があり入手可能である。 タイプCのゾルの基本コロイド単位は凝集体である。それらは、結晶性であり 、水を除去して得られるゲルの密度は低い。これらのゾルは、光を散乱するため 不透明である。気相法、たとえばフレーム(火炎)加水分解により調製される超 微粉を用いて得られるゾルは、このカテゴリーに分類される。 タイプAとBのゾルは、脱水されると酸化物の理論値の45%以上の密度を有 するゲルを与える。タイプCのゾルから得られるゲルは多孔性であり、酸化物の 理論値の45%以下の密度である。 本発明に用いられる無機系のゾルは、水和酸化物ゾルである。すなわちタイプ AとタイプBのゾルである(タイプCのゾルではない)。たとえば、ジルコニア ゾル、セリアゾル、チタニアゾル、ハフニアゾル、アルミナゾル、オキシ水酸化 鉄があり、特にコロイド状シリカ、シリカゲルが良い。 水和酸化物ゾルは、水性組成物の保存時の安定性を向上させ、乾燥後の不溶性 マトリックスを生成させるのに有効である。水和酸化物ゾルは、塗料組成物の非 揮発性成分中、酸化物換算で(金属酸化物又は好ましくはシリカ)、10〜60 重量%、特に20〜50重量%存在することが好ましい。 水性媒体としては、補助溶媒を用いることが望ましい。補助溶媒は、塗布する 表面の乾燥を防ぐだけでなく、水性ディスパージョンの分散状態を安定化させる 。補助溶媒に用いる溶媒は、少なくとも水に一部可溶であり、好ましくは揮発性 で極性を有する有機溶媒が良い。 例えば、モノおよび多価のアルコールとエーテルが良い。使用する時、補助溶 媒は、全水性媒体の体積の内、0.1〜40体積%、好ましくは1〜20体積% 用いるのが良い。 腐食抑制剤も組成物に含まれる。例えば、ジルコニアルミネート、クロメート 又は有機金属クロム(III)化合物を金属用塗料に使われているのと同等の量を 加えることができる。 組成物には、水分存在下で加水分解生成物の連鎖および架橋反応を促進させる 触媒も含まれる。触媒は、テトラアルキルシリケートを短時間で加水分解させる のに十分な量を用いる。ミネラルと硝酸や酢酸のような有機酸、又はアミンのよ うな塩基を触媒として用いることができる。遊離した塩基は、塗料の安定性を低 下させるため好ましくない。他の触媒としては、酸や塩基の塩や錯体などの潜触 媒がある。これらは、分解する時に中性でなくなる。分解すると酸性になる潜触 媒の例としては酢酸アンモニウムがある。潜在的であり、分解する時、塩基を活 性化するようなものを触媒として用いることができる。このようなブロックド触 媒としては、チタン酸塩のアミンキレートがある。これは、Tilcom AT31という 名前で販売されており、I構造を有すると考えられ、アミンでキレート化される ことにより、その塩基性は低下する。チタン酸アミンを酢酸で中和していくと、 一層塩基性は低下する。 酸で解凝固したゾル、たとえば硝酸で解凝固した酸化ジルコニウムも使うこと ができる。 触媒は、本発明の組成物には基本的に必要ではなく、加えない方が好ましい。 好ましくはないが、触媒を含まない組成物を表面に塗布し、加水分解とポリシロ キサンの連鎖を促進させるため、後で加えることは可能である。 組成物には、濃度20g/lまでの範囲で過酸化水素を加えることができる。 これは、酸触媒を用いる時に有用である。 水は、接着剤の結合に対して悪影響を及ぼす。吸湿性、または保湿性がある成 分は、塗布時に水分を吸収、保持するため、塗料組成物には加えない方が好まし い。本発明におけるような前処理に一般に用いられる添加剤も、適切な量であれ ば本発明においても用いることができる。そのような添加剤としては、表面湿潤 剤、マーカー物質、脱泡剤そして分散安定化剤があげられる。 他の添加剤としては、シランとオルガノシロキサン(Si−C結合を含み、こ の点がテトラアルキルシリケートと異なる)がある。表面塗膜の存在や厚さを教 えてくれるマーカー物質は、ポリブチルチタネートである。 水溶液にポリブチルチタネートを加えると、チタン酸の加水分解が急速に進み 、 水和した酸化チタンが生成する。通常、大きな沈澱が生成するため、ロール塗布 には向いていない。 しかし、配合物に含まれているテトラアルキルシリケートに対し、10又は2 0重量%のポリブチルチタネートを添加することは可能である。 コイル被覆に適した安定な塗布液が得られる。この塗布液を得るには、塗布液 の配合を終わるまでに所望量のポリブチルチタネートをテトラアルキルシリケー トに加えれば良い。 粒径が100nm以下の一次粒子からなるパッセンジャー・パウダーは、塗料 組成物の中に含まれる可能性があり、好ましくない。パッセンジャー・パウダー は、配合物のゲル化や固化をたびたびもたらし、沈澱の生成が起きるだけでなく 、一次粒子は凝集し、塊を生成させる。パッセンジャー・パウダーは、本発明の 塗膜のマトリックス形成剤や塗膜の形状制御の目的に使うべきではない。しかし 、二次的な目的でマーカーとして、組成物中の非揮発性成分の20、好ましくは 10%以下の範囲で使うことができる。 塗料組成物のpHは、好ましくは0から12である。酸触媒が存在すると、1 から4、特に1.3〜3.0の範囲であり、酸触媒が存在しないと5から12、 特に7〜11の範囲である。pHが高すぎると、エマルジョンは不安定となり、 組成物の保存時の安定性が低下する。もし、pHが低すぎると、塗布面を化学的 に腐食させるかもしれない。好ましくは、シリカゾルをアルカリで安定化させる ことである。それは同時にテトラアルキルシリケートの加水分解に対する安定性 も増加させる。 テトラアルキルシリケートとそれらの部分加水分解生成物は、それ自身が安定 ではないため、極性があり揮発性で水と混和する有機溶媒に溶かして溶液とした り、ディスパージョンの形で市販されている。本発明の塗料組成物を調製する場 合、最初の簡単な方法としては水酸化物を分散させることである。例えば、シリ ケート成分の中のシリカゾル、これは高剪断力をもつスターラーで容易に分散さ せることができる。補助溶媒を使う場合も、この段階で添加することができる。 本発明の塗料組成物は、高濃度に調製されているため、実際に使う濃度にまで 水性媒体を加えて希釈する必要がある。水性媒体は、水であり、必要に応じて所 望量の触媒や過酸化水素を加える。 他の添加剤は、入手時の濃度のものを用いることができる。補助溶媒もこの系 に用いることができる。水性の塗料組成物は、月単位のかなり長い保存安定性を 有する。溶液の安定性が向上すると、コンシステンシーも向上する。本発明の塗 料組成物は、WO92/15650の組成物よりも、工業スケールで容易に調製 することができる。 水性の組成物で表面を処理される金属の成型品は、基材に応じ、常法により洗 浄する。例えば、アルミニウムでは酸やアルカリによる洗浄処理を行う。この場 合、アイシーアイが販売しているRidolene 124/120E又はRidolene 336を用いる ことができる。 組成物は、ロール塗り、ハケ塗り、スプレー塗りのような通常用いられる方法 により金属表面に塗布される。例えば、アルミニウム板では、ロール塗りが最も 適している。配合物は、用いる塗布方法に応じて使い易い濃度に希釈されなくて はいけない。塗布後、通常、表面の塗膜は乾燥される。 乾燥濃度は、室温から400℃、好ましくは50〜200℃である。アルミニ ウム基板を用いる場合、好ましい乾燥温度は100〜150℃の範囲である。 成型品の表面の塗膜の厚さは、0.005〜0.7μm、特に0.01〜0. 5μmが好ましい。浸漬処理以外で、厚い塗膜を十分に付与することは困難であ る。実際には、塗膜の重さを測ることがよく行われる。塗膜の重さは、塗布表面 1cm2当たり、20〜500mg、特に50〜200mgが好ましい。本発明 は、ペイント、ラッカー、ワニス、接着剤などの有機塗膜の存在する表面につい ても、適用できる可能性が考えられる。接着剤で結合させたアルミニウム成型品 を構造部材として使うことに関心が増している。 別の見方によれば、本発明は、記載の表面コーティングにより処理された、潤 滑剤を有する金属の成型品をも提供する。ここで、潤滑剤は、表面コーティング の上に塗るプレス用潤滑剤をさす。潤滑剤と一緒に使っても問題ない接着剤が販 売されており、入手可能である。本発明は、接着剤で固められた金属成型品の構 造部材をも提供する。その技術については、異なる表面コーティングであるが、 米国特許5,139,888に記載がある。 金属成型品の形状は、本発明においては重要ではないが、接着剤で結合させ一 定の形状を付与するのに便利な金属シートや金属片がよい。 次に、本発明の塗料組成物に使用できる市販の薬剤を列記する。 シリコーンを20パーセント、エチルアルコールを1パーセント程度含む混合物 である。 エチルシリケートを含むハイブリッドバインダーである。 Syton X30は、モンサント社の製品の商標であり、微細なシリカ粒子の水性デ ィスパージョンである。比重1.2、pH10.25、30重量%のシリカを含 む。Sytonsは、不透明で乳白色のタイプBのゾルであり、SiO2の比表面積は 250m2/g、そしてpHは9.9である。 Ludoxは、デュポン社のシリカゾルの一連の製品の商標であり、比表面積が1 40〜360m2/gのSiO2粒子を30〜50重量%含む。これらもまたタイ プBのゾルである(Ludox AMはpH8.8、Ludox LSはpH8.1)。 ByK−346はByK−Chemie社の製品の商標である。ジメチルポリシロ キサンで変成したポリエーテルの溶液であり、固形分濃度は46%、表面湿潤剤 としての効果がある。 Aerosil380は、デグサ社製品の商標であり、無機のパッセンジャー・パウ ダーとして使われる溶融シリカである。 実施例1 3つの代表的な処方例を以下に列記する(配合は重量部で示した)。 Aは、WO92/15650に記載されている溶融シリカを用いる処方、Bは 本発明のコロイド状シリカを用いる処方、Cはシリカを用いない処方である。 A.溶融シリカを用いる処方 Silester OS 375.8 Aerosil 380 179.7 プロパン−1,2−ジオール 242.4 水 1212.1 合計 2000 B.コロイド状シリカを用いる処方 Silester OS 315.5 Syton X30 427.5 プロパン−1,2−ジオール 203.6 ByK 346 15.3 水 1038.1 合計 2000 pH 9.9 C.シリカを用いない前処理処方 Silester XAR 330 ジプロピレングリコール 700 モノメチルエーテル 上記溶液の安定性は以下の通りである。 安定性は、新たに調製した溶液を、室温(約20℃)で室内に放置して評価し た。 溶融シリカを用いる処方A:2日以内に堅いゲルができる。 コロイド状シリカを用いる処方B:6カ月以上 変化せず、使用可能な状態を維持している。 安定性に問題があり、処方Cは、水をベースとする処理には適用できなかった 。 実施例2 実施例1の3つの処方の評価実験を行った。アルミニウム合金の試料は、Rid olene 124/120Eにまず60℃で1分浸漬し、そして100℃で3分乾燥 することにより洗浄した。A,B,Cの処方の組成物を、ロール塗りにより試料 に塗布し、その後試料を130℃で3分間乾燥した。潤滑剤を加える場合は、上 記のように前処理した試料に引き続き、潤滑剤を塗布した。接着剤は、前処理し た試料に塗布した後、それらをはり合わせた。接着剤の硬化条件は、145℃/ 15分、そして、その後180℃/15分である。中性塩による噴霧試験には、 2mm厚の5754−HO合金を20mm×10mmの巾で重ね合わせたものを 試料として用いた。接着剤層の厚みは0.2mmである。接合部に水分が侵入し 易くし、加速試験を行う目的で、硬化後、接合部の中心を横切るように4mmの 径の穴をドリルで3つあけた。一定時間5%塩化ナトリウム溶液を噴霧すること を繰り返しながら、接合部の暴露テストを43℃、高湿度の条件で行った。8週 間と20週間後、それぞれ3つの接合試料を取り出した。それぞれの接合部の残 留強度を測定し、未暴露の試料と比較した。結果を次の表1に示す。 処方Bは、処方Aと同等の十分満足すべき性能を有しており、処方Cよりもは るかに優れた性能を有する。 加圧、加湿試験は、6個の接合試料のストリングに、適性な荷重(たとえば、 5MPa、これは破壊荷重の20%にあたる)を、加圧容器の中の圧縮バネによ り加えることにより行った。次に、接合試料を、加圧/加湿用キャビネットに入 れ、一定の負荷をかけながら、100%の湿度で42〜48℃の間で周期的に温 度を変化させた。最初の接合試料が破断するまでの日数を記録した。そして、そ の接合試料を除き、かわりに固体のアルミニウム試験片を入れ、再度負荷をかけ た。これをストリングの3つの接合試料が破断するまで繰り返した。100日あ るいは100日以内の結果しか得られない場合には、その系は不良と見なした。 6つの系の結果を表2に示す。4つの系は、破断することなく、500日以上存 在し、新しい処方が優れた性能を与えることがわかった。 C+潤滑剤とC潤滑剤なしの系は、いずれも約80日で破断した。 実施例3から6 本発明に基づく塗料組成物の処方をさらに4種類、表3に示す。 実施例3から6に記載の配合物は、そのまま用いることができ、希釈する必要 はない。 実施例3、4、5は、一連のプロピレングリコールエーテル類が、本処方に適 用可能であることを示すものである。実施例5は、モノプロピレングリコールモ ノメチルエーテルを用いる点が標準の処方とは異なる。実施例4は、ジプロピレ ングリコールモノメチルエーテル、実施例3は、トリプロピレングリコールモノ メチルエーテルを用いている。これら3つの配合物はすべて、保存時の安定性が 良好であり、ロール塗りによりアルミニウムシートへの塗布も容易である。実施 例4と5は、標準的な乾燥条件である130℃/3分という条件で乾燥した。ト リプロピレングリコールモノメチルエーテルは、沸点が242.4℃と高く、実 施例3では今回の条件では乾燥はできなかった。実施例5は、ポリブチルチタネ ートを用いた処方である。実施例5も、保存時の安定性に優れ、塗布も可能であ る。 実施例3と4は、保存時の安定性と塗布性だけを評価するために調製した。実 施例5と6の性能データを表4に示す。 実施例7から9 シリカを用いない実施例の処方を表5に示す。 単位は重量部である。 Bacote20は、マグネシウムエレクトロン社のジルコニアゾルである。これ は10%硝酸ジルコニア水和物を加え変成したものである。 ポリブチルチタネートは、BTPタイオキサイド社のチタニアゾルである。 Aluminium Cは、デグサ社のアルミナゾルである。 初期の結合強度は、実施例について調べた。チタニアとアルミナの前処理は、 酸性pHで行った。すべての配合物は安定であるが、少し粘度が増加し、沈殿が できた。時々それらを振ると、均一に分散した状態になる。 実施例10 工業化試験 スケールアップ、塗布そして前処理の性能を評価するため、プラントレベルで の試験を行った。実施例1のBと同等の処方の前処理液を米国の製品を用いて調 製した。 処方: Dynasil 40は、平均分子量が610である。 試験は、巾1700mmで厚さ2mmのアルミニウムコイル(AA5754) を用い、製造ラインを使って行った。 前処理液を巻上げロールおよび塗りロールに塗ると、濡れが非常に良かった( 現行の製品の場合、ロールのコンディショニングが必要である)。 シートへの塗布は非常に均一に行われ、適正な前処理コート重量(50〜10 0mg/m2)が得られた。後の洗浄も非常に簡単であった。本発明の前処理液 に対する現場の作業者の評判も現行の製品に比べ良好であった。 本試験で得られた材料の性能データを表6に示す。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年2月28日 【補正内容】 請求の範囲 1. テトラアルキルシリケート又はそのモノマー状又はオリゴマー状の加水分 解生成物:組成物中の非揮発性成分の40〜90重量%と、 水和酸化物ゾル:酸化物として組成物中の非揮発性成分の10〜60重量%と からなり、 選択的に、表面湿潤剤、マーカー物質、脱泡剤、分散安定化剤、腐食抑制剤、 およびまたは水分存在下で加水分解生成物の連鎖反応や架橋反応を促進する触媒 を含み、水を必須成分とし、少なくとも部分的に水と混和可能な極性有機液体を 1〜40体積%含む液状の水性媒体に分散させてなる塗料組成物。 2. 上記オリゴマー状の加水分解生成物がポリシロキサンである請求項1に記 載の塗料組成物。 3. テトラアルキルシリケート又はそのモノマー状又はオリゴマー状の部分加 水分解生成物がテトラエチルシリケートである請求項1ないし2のいずれか1つ に記載の塗料組成物。 4. 水和酸化物のゾルがシリカゲルである請求項1ないし3のいずれか1つに 記載の塗料組成物。 5. 請求項1ないし4に記載の塗料組成物を成型品の表面に塗布し、該塗膜を 乾燥することからなる金属の成型品の前処理方法。 6. 請求項5の方法により表面に塗膜が作製された金属成型品。 7. 表面の塗膜の中に潤滑剤が含まれている請求項6に記載の金属成型品。 8. 表面塗膜の上に有機膜が存在する請求項6に記載の金属成型品。 9. 上記有機膜がペイントラッカー又はワニスである請求項8に記載の金属の 成型品。 10. 表面塗膜の上に接着剤が存在する請求項6又は7に記載の金属成型品。 11. 接着剤で固定される請求項10に記載の金属成型品構造。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. テトラアルキルシリケート又はそのモノマー状又はオリゴマー状の加水分 解生成物:組成物中の非揮発性成分の40〜90重量%と、 水和酸化物ゾル:酸化物として組成物中の非揮発性成分の10〜60重量%と からなり、 選択的に、表面湿潤剤、マーカー物質、脱泡剤、分散安定化剤、腐食抑制剤、 およびまたは水分存在下で加水分解生成物の連鎖反応や架橋反応を促進する触媒 を含み、液状の水性媒体に分散させてなる塗料組成物。 2. 上記オリゴマー状の加水分解生成物がポリジアルキルシロキサンである請 求項1に記載の塗料組成物。 3. テトラアルキルシリケート又はそのモノマー状又はオリゴマー状の部分加 水分解生成物がテトラアルキルシリケートである請求項1又は2に記載の塗料組 成物。 4. 上記水性媒体が水を必須成分とし、水に一部可溶な極性を有する有機溶媒 を0.1〜40体積%含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の塗料組成物 。 5. 水和酸化物のゾルがシリカゲルである請求項1ないし4のいずれか1つに 記載の塗料組成物。 6. 請求項1ないし5に記載の塗料組成物を成型品の表面に塗布し、該塗膜を 乾燥することからなる金属の成型品の前処理方法。 7. 請求項6の方法により表面に塗膜が作製された金属成型品。 8. 表面の塗膜の中に潤滑剤が含まれている請求項7に記載の金属成型品。 9. 表面塗膜の上に有機膜が存在する請求項7に記載の金属成型品。 10. 上記有機膜がペイントラッカー又はワニスである請求項9に記載の金属 の成型品。 11. 表面塗膜の上に接着剤が存在する請求項7又は8に記載の金属成型品。 12. 接着剤で固定される請求項11に記載の金属成型品構造。
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