JPH10507631A - 4−メチルチオブチロニトリルの酵素による加水分解 - Google Patents
4−メチルチオブチロニトリルの酵素による加水分解Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、アルカリゲネス・フェカリス、ロドコッカス・エスピー HT29-7又はゴルドナ・テルレのニトリル分解酵素を使用する、4-メチルチオブチロニトリルの、ラセミ体4-メチルチオ酪酸への酵素による加水分解の新規な方法に関する。
Description
【発明の詳細な説明】
4−メチルチオブチロニトリルの酵素による加水分解
本発明はニトリル基をカルボキシル基に加水分解するための触媒としての、ニ
トリル分解酵素の使用に関する。本発明はより詳細には、アルカリゲネス(Alca
ligenes)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属又はゴルドナ(Gorodona)属の、
そしてより詳細にはATCC 8750として出願されたアルカリゲネス・フェカリス(A
lcaligens faecalis)、FERM BP-3857として寄託されたロドコッカス・エスピー
(Phodococcus sp.)HT29-7又はFERM BP-4535として寄託されたゴルドナ・テル
レ(Gordona terrae)MA-1の微生物のニトリル分解酵素から選ばれる、ニトリル
分解酵素の使用に関する。
アルカリゲネス・フェカリスのニトリル分解酵素は例えば、両者ともアサヒ・
カンパニーに属する、それぞれ欧州特許第348,901号及び特開平3-224 496号公報
に公開された欧州及び日本特許明細書に記載されている。これらの特許において
、そしてより具体的には該欧州特許において、ニトリル分解酵素がラセミ体ニト
リルから光学活性の酸を生成するために使用されている。好ましい出発ニトリル
はα−置換体であって、好ましくは1から3個の炭素原子を含有するアルキル鎖
又は芳香族基を含有する。前記の欧州特許明細書の実施例11は、アルカリゲネ
ス・フェカリスによるラセミ体マンデロニトリルの加水分解につき記載している
;R-(-)-マンデル酸は91%のエナンチオマー過剰率で得られる。ニットー・ケ
ミカル社からの、欧州特許第486,289号及びその等価物の米国特許第5,326,702号
明細書は、亜硫酸塩の存在下においてマンデロニト
リルを加水分解するためのアルカリゲネス・エスピー BC35-2(FERM No.11265
又はFERM-BP-3318)の使用につき記載している;この場合、マンデル酸は約98
%のエナンチオマー過剰率で得られる。
アサヒ・カンパニーからの特開平4-341 185号公報はまた、それらのラセミ体
ニトリルから光学的に純粋な化合物の製造の問題を解決するために、アルカリゲ
ネス・フェカリス ATCC 8750からのニトリル分解酵素の製造及び使用につき記載
している。前記の日本特許明細書中に記載のエナンチオ選択性ニトリル分解酵素
は、より好ましくは、下記の一般式(I)の2-ヒドロキシニトリルを、下記の式
(II):
[式中、Rは場合によっては置換されているアリール基又は場合によっては置
換されている複素環基を表す]
の2-ヒドロキシカルボン酸に加水分解させることができる。当該特許明細書中で
は、前記のニトリル分解酵素によるマンデル酸のニトリルの加水分解は、R-(-)-
マンデル酸の100%エナンチオマー過剰率をもたらすことができると記載され
ている。実施例5において、前記のニトリル分解酵素は、バレロニトリル、アク
リロニトリル、2-ハロプロピオニトリル及びクロロアセトニトリルのような脂肪
族ニトリルを加水分解させるために使用することができることが記載されている
。不斉中心をもつ脂肪族ニトリルにおけるこの加水分解のエナンチオ選択性に関
しては何
も具体的に記載されていない。
前記の文献はまたアルカリゲネス・フェカリスのニトリル分解酵素が6.5と
8.0の間のpHにおいて至適活性をもち;前記の酵素の作用温度は当該文献に
よると常に45℃未満でなければならないことを記載している。
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリルを加水分解するために使用する際
に、アルカリゲネス・フェカリス ATCC 8750の前記の酵素は、光学的純度の観点
から、全く選択性なしにこの加水分解を実施したことは極めて驚くべきことに思
われる。この酵素は前記のニトリルを加水分解して、どちらの異性体が優勢とい
うことはなく、2種の酸のラセミ混合物を生成する。
FERM BP-3857として出願されたロドコッカス・エスピー HT 29-7のニトリル分
解酵素は例えば、両者ともニットー社に属する、それぞれ欧州特許第610,049号
及び米国特許第5,296,373号として公開された欧州及び米国特許明細書中に記載
されている。
これらの特許明細書において、そして特に当該米国特許明細書において、ニト
リル分解酵素は、フェニル基をもつラセミ体ニトリルから光学活性の酸を生成す
るために使用されている。出発ニトリルはすべて芳香族基を含有する;これは本
質的にマンデロニトリル又はその芳香族環上で置換されているその誘導体、の加
水分解を伴う。前記の米国特許明細書の実施例1はロドコッカス・エスピー HT
29-7によるラセミ体マンデロニトリルの加水分解につき記載している;R-(-)-マ
ンデル酸は100%のエナンチオマー過剰率で得られる。実施例2は、環上で置
換されたマンデロニトリル誘導体の加水分解につき記載している;マンデル酸誘
導体のエナンチオマー過剰率はまた100%でありそしてこれは、加水分解がベ
ンズアルデヒドニトリルにつき実施される場合にも同様である。
ニットー・ケミカル社からの欧州特許第610 049号明細書は、そのγ−位が芳
香族環で置換されたα−ヒドロキシニトリルを、光学活性のフェニル基で置換さ
れたα−ヒドロキシカルボン酸に加水分解させるための、ロドコッカス・エスピ
ー HT 29-7(FERM BP-3857)、アルカリゲネス・エスピー BC35-2(FERM BP-331
8)又はブレビバクテリウム・アセチリクム(Brevibacterium acetylicum)IAM
1790の使用につき記載している。ロドコッカス・エスピー HT 29-7により得られ
た酸は常に、その出発ニトリル、及びリン酸(約8.2にpHを調整)の存在も
しくは不在に応じて、種々のエナンチオマー過剰率を有する。
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリルを加水分解させるために使用され
た場合、ロドコッカス・エスピー HT 29-7(FERM BP-3318)の前記の酵素が、この
加水分解を全くエナンチオ選択性なしで実施したことは極めて驚くべきことに思
われる。この酵素は前記のニトリルを加水分解して、どちらの異性体をも優勢に
することなく、2種の酸のラセミ混合物を生成する。
FERM BP-4535として出願されたゴルドナ・テルレ(Gordona terrae)MA-1のニ
トリル分解酵素は、欧州特許第0,610,048号明細書において、γ−フェニル基及
びα−ヒドロキシ基をもつニトリルを、対応する光学活性の酸に加水分解するこ
とを記載している。そのエナンチオマー過剰率はすべての実施例において92と
100%の間にある。
FERM BP-4535として出願されたゴルドナ・テルレ MA-1の前記の酵素は、4-メ
チルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリルを加水分解させるために使
用される場合、この加水分解をエナンチオ選択性なしに実施したことは極めて驚
くべきことに思われる。この酵素は前記のニトリルを加水分解させ、どちらの異
性体をも優勢にすることなく、2種の酸のラセミ混合物を生成する。
従って本発明は、次の微生物:ATCC 8750として寄託されたアルカリゲネス・
フェカリス、FERM BP-3857として寄託されたロドコッカス・エスピー HT 29-7又
はFERM BP-4535として寄託されたゴルドナ・テルレ MA-1、のうちの1種類のニ
トリル分解酵素による、ラセミ体のα−置換4-メチルチオブチロニトリルの加水
分解による、ラセミ体のα−置換4−メチルチオ酪酸の製造方法に関する。
本発明の方法により、微生物をそのまま又は当該技術分野の専門家には周知の
支持体で固定化して使用することができる。
更に、酵素をコードする遺伝情報は親の微生物(アルカリゲネス・フェカリス
ATCC 8750、等のような)から枯草菌(Bacillus subtilis)のような微生物に
移すことができる。
本発明の方法の一つの変法は、微生物の代わりに、相当量のその遊離もしくは
固定化酵素(この酵素は全体的に又は部分的に精製されている)を使用すること
からなる。
α−置換された4-メチルチオブチロニトリルの中で、ラセミ体メチオニンのヒ
ドロキシ誘導体を製造することを可能にする、4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチ
ロニトリルを使用することが好ましい。メチオニン誘導体のこの製造方法は、そ
の廃棄が、環境保護の圧力のために、果てしなく増大する問題を引き起こす、大
量の無機の副生成物の生成を回避することを可能にする。
本発明に関しては、これらの酵素は4と11の間のpH領域でニトリル分解酵
素活性を、そして5と9の間のpHで至適活性をもつ。それらの至適な作用温度
は30と60℃の間である;しかし30と50℃の間の温度を使用することが好
ましい。
10 mmol/lと400 mmol/lの間の、そして好ましくは50 mmol/lと200
mmol/lの間の、出発溶液中のニトリルの濃度で作用させることが好ましい。得ら
れた酸のアンモニウム塩の濃度は、それが2 mol/l未満であり、そして好ましく
は0.1 mol/lと1.5 mol/lの間にある場合には、酵素の活性に殆ど影響を与
えない。
本発明は以下の実施例の補助により、より詳細に記載され、それは本発明を限
定すると考えられるべきではない。
実施例1
微生物のアルカリゲネス・フェカリス ATCC 8750を下記の培地中で培養する:
酢酸アンモニウム 10 g/l
酵母抽出物 5 g/l
ペプトン 5 g/l
KH2PO4 5 g/l
MgSO4・7H2O 0.2 g/l
FeSO4・7H2O 30 mg/l
NaCl 1 g/l
ベンゾニトリル 0.5 g/l
pH 7.2
培養は培地600 ml含有の2リットル用円錐形フラスコ中で30℃
で実施される。全体の混合物を3時間、150回転/分で撹拌する。細胞ペレッ
トを回収し、9 g/lのNaCl溶液で洗浄し次いで凍結させる。
ブチロニトリルを加水分解させる実施条件:
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリル 50 mM
細胞 5 mg/ml
リン酸塩バッファー 200 mM
温度 30 ℃
期間 4 時間
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリルの加水分解の速度論の研究により
、1時間当たり及び乾燥細胞1 mg当たりのメチオニンのヒドロキシ誘導体2.
8 μmolの直線的生成が示される。生成された酸のエナンチオマー過剰率は液体
クロマトグラフィーにより測定された;それは80%の酸の収率に対して0%に
等しい。
実施例2
酵素の安定性を、遊離細胞を用いて180時間にわたり、メチオニンのヒドロ
キシ誘導体生成の速度論により評価した。
実施条件は下記である:
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリル 100 mM
細胞 10 mg/ml
リン酸塩バッファー300 mM 5 ml
温度 25 ℃
分離後、ニトリル100 mmolの添加によりニトリルを連続的に添加する。対応
する酸の生成は表Iに示す。
初回の活性は2 μmol/h・乾燥細胞1mgである。この実施例は高濃度の酸の存在
にもかかわらず(メチオニンのヒドロキシ誘導体0.9モル)酵素の安定性を証
明している。
実施例3
基質の量及び生成された酸の量の関数としての酵素の安定性もまた下記の条件
下で測定された:
基質量の関数としての酵素の安定性
ニトリル 結果の表を参照のこと
細胞 10 mg/ml
リン酸塩バッファー
pH7.0 5 ml
温度 25 ℃
期間 1 時間ニトリル濃度(mM)
活性(μmol/h・細胞1mg)
50 2
100 2
150 2
200 2
500 0
生成された酸の量の関数としての酵素の安定性
実施条件:
ニトリル 50 mM
細胞 2.5 mg/ml
リン酸塩バッファー100 mM、
pH7.0 1 ml
温度 30 ℃
期間 2 時間酸濃度(mM)
活性(μmol/h・細胞1mg)
0 3.2
100 4.5
200 3.8
300 4.1
400 4
500 4
600 3.4
700 2.8
実施例4
ニトリル分解酵素の精製
アルカリゲネス・フェカリスの細胞を実施例1に記載の培地中、30
℃で24時間培養する。
培養物を遠心分離後、ペレットをpH7.5のバッファー[トリスHCl25
mM、グリセロール10%(w/v)]に取り込む。細胞の懸濁液を超音波処理
し、次いで粗抽出物を得るために遠心分離する。次いで粗抽出物を30%の飽和
度まで硫酸アンモニウムで処理する。得られた沈澱物をpH7.5のバッファー
中に再懸濁させ、次いで同じバッファー2リットルに対して一夜透析する。
次いで得られた溶液をpH7.5バッファーで前以て平衡化させておいたQ Se
pharose Fast Flow HR 26/10(R)陰イオン交換カラムに充填させる。次いでその
活性画分を0から1 M勾配のNaClで溶出させる。
次いで活性画分を、pH7.5バッファーで前以て平衡化させておいたMono Q
HR 5/5(R)の陰イオン-交換カラムに充填させる。ニトリル分解酵素を0から1
M勾配のNaClを使用して溶出させる。
最後に活性を含む画分を合わせ、次いで硫酸アンモニウム1 Mを添加する。こ
の溶液を、(NH4)2SO41 Mを添加した、pH7.5バッファーで前以て平
衡化させておいた、Pheny1 Sepharose HR 5/5(R)の疎水反応カラムに充填させる
。次いで活性画分を硫酸アンモニウム1から0 M勾配で溶出させる。
蛋白質の分子量をゲル濾過により測定する。それは約260 kDaである。43
kDaの単一のバンドがSDS-PAGE(純度95%)上に認められる。
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリルの、メチオニンのヒドロキシ誘導
体への、アルカリゲネス・フェカリスのニトリル分解酵素による加水分解の速度
論は直線的である。
実施例5 pHの影響
実施条件:
ニトリル 50 mM
蛋白質 50 μg/ml
pH4から5の酢酸塩バッファー100 mM
pH6から7のリン酸塩バッファー100 mM 1 ml
pH8から9のトリス−HCIバッファー100 mM
pH10から11の硼酸塩バッファー100 mM
温度 30 ℃
期間 1から2時間pH
活性(μmol/h・蛋白質1mg)
4 0
5 42
6 232
7 272
8 405
9 412
10 158
11 0
実施例6 温度の影響
実施条件:
ニトリル 50 mM
蛋白質 50 μg/ml
pH7.0のリン酸塩バッファー100 mM
温度変化 4℃から60℃
期間 1時間
酵素の至適作用温度は50℃である。温度(℃)
活性(μmol/h・蛋白質lmg)
4 45
10 67
20 140
30 272
40 419
50 570
60 333
マンデロニトリルとの比較実験
実施条件:
マンデロニトリル 7 mM
蛋白質 5 μg/ml
リン酸塩バッファー100 mM、pH7.0 1 ml
温度 30℃
従って精製されたニトリル分解酵素はマンデロニトリルに対してエナンチオ選
択性であるが4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリルに対してはエナンチオ
選択性でない。
実施例7
ロドコッカス HT 29-7 FERM BP-3857による、4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロ
ニトリルの加水分解
微生物のロドコッカス・エスピー HT 29-7 FERM BP-3857を以下の培地中で培
養する:
グリセロール 20 g/l
酵母抽出物(DIFCO) 3 g/l
KH2PO4 1 g/l
Na2HPO4・12H2O 4.4 g/l
Na2SO4 2.8 g/l
MgCl2・6H2O 0.85 g/l
CaCl2・2H2O 0.05 g/l
MnSO4・H2O 0.033 g/l
FeSO4・7H2O 0.013 g/l
ZnSO4・7H2O 0.005 g/l
ベンゾニトリル 0.5 g/l
pH 7.5
培養は培地600 ml含有の2リットル用円錐形フラスコ中で30℃
で実施する。全体の混合物を140時間150回転/分で撹拌する。細胞ペレッ
トを回収し、9 g/lのNaCl溶液で洗浄し次いで凍結させる。加水分解に対す
るpHの影響:
実施条件:
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリル 100 mM
660 nmにおる光学濃度 15
pH4から5の酢酸塩バッファー100 mM
pH6.0から7.0のリン酸塩バッファー100 mM 1 ml
pH8.0から9.0のトリス-HClバッファー100 mM
pH10.0から11.0の硼酸塩バッファー100 mM
温度 30 ℃
期間 10時間pH
酸の収率
4 0%
5 100%
6 100%
7 100%
8 100%
9 100%
10 20%
11 0%
実施例8 基質の濃度の影響
基質の量の関数としての酵素の安定性もまた、下記の条件下で測定した:
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリル 結果の表を参照
のこと
660 nmにおける光学濃度 20
リン酸塩バッファー300 mM、pH7.0 5 ml
温度 30 ℃
期間 2時間ニトリル濃度(mM)
酸の収率
50 90%
100 44%
200 22%
300 10%
400 0%
500 0%
実施例9 生成された酸の量の関数としての酵素の安定性
実施条件:
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリル 100 mM
660 nmにおける光学濃度 15
リン酸塩バッファー100 mM、pH7.0 1 ml
温度 30℃
期間 6時間酸濃度(mM)
酸の収率
0 100%
200 100%
400 100%
600 100%
800 100%
1000 100%
実施例10 エナンチオマー過剰率
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリル 140 mM
660 nmにおける光学濃度 14
リン酸塩バッファー100 mM、pH7.0 1 ml
温度 20℃
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリルの加水分解の速度論の研究により
、乾燥細胞1 mg当たり1時間当たりのメチオニンのヒドロキシ誘導体の直線的
生成が示される。生成された酸のエナンチオマー過剰率は液体クロマトグラフィ
ーにより測定された;それは15%から100%にわたる酸の収率に対して0%
に等しい。
実施例11 温度の影響
実施条件:
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリル 100 mM
660 nmにおける光学濃度 15
リン酸塩バッファー100 mM、pH7.0 1 ml
温度 表を参照
期間 6時間T(℃)
酸の収率
10 70%
20 100%
30 100%
40 100%
50 31%
60 15%
実施例12 4-メチルチオ-2-アミノブチロニトリルの加水分解
実施条件:
4-メチルチオ-2-ヒドロキシブチロニトリル 23 mM
660 nmにおける光学濃度 15
リン酸塩バッファー100 mM、pH7.0 1 ml
温度 30℃
実施例13
ゴルドナ・テルレ MA-1(FERM BP-4535)に使用された培養条件は下記である:
グリセロール 10 g/l
酵母抽出物 0.4 g/l
KH2PO4 6.8 g/l
Na2HPO4・12H2O 7.1 g/l
Na2SO4 2.8 g/l
MgCl2・6H2O 0.4 g/l
CaCl2・2H2O 40 mg/l
MnSO4・H2O 4 mg/ml
FeCl3 0.6 mg/l
ZnSO4 0.3 mg/l
ベンゾニトリル 0.5 g/l
pH 7.2
酵素の活性
培養した細胞を次に洗浄し次いで活性を測定するためにヒドロキシメチルチオ
ブチロニトリルと混合する。
実施条件:
[ニトリル]=23 mM;
[細胞]=6.8 g/l;
リン酸塩バッファー100 mM、pH7.0;
35℃
ヒドロキシメチルチオブチロニトリルの加水分解の速度論は直線的である。初
期率は13 mmol/h・乾燥細胞1gにおいて測定する。
実施例14 ニトリル分解酵素活性に対するAMTPのシアノヒドリン濃度の影響
ニトリル分解酵素活性に対するヒドロキシメチルチオブチロニトリルの初期濃
度の影響を測定し、その結果を下表に示す。
実施条件:
[細胞]=5.1 g/l;
リン酸塩バッファー100 mM、pH 7.0;
35℃
0.5、1、2及び3時間にわたり速度論を研究する。ニトリル濃度(mM)
活性(mmol/h・乾燥細胞1g)
50 14
100 13
200 15
300 0
400 0
200 mMまで、活性は基質の濃度によりほとんど変化しない。
実施例15 ニトリル分解酵素活性に対するメチオニンのヒドロキシ誘導体の濃
度の影響
このテストにおいて、我々はニトリル分解酵素活性に対する4-ヒドロキシ-2-
メチルチオブタン酸アンモニウムの濃度の影響を研究した。
実施条件:
[細胞]=5 g/l;
[ニトリル]=100 mM;
リン酸塩バッファー100 mM、H7.0;
35℃
カルボン酸アンモニウムの濃度は0と1.5 Mの間で変化する。酸濃度(mol/l)
活性(μmol/h・乾燥細胞1mg)
0 9.4
0.5 14
1 19
1.5 15
4-ヒドロキシ-2-メチルチオブタン酸アンモニウムの濃度はゴルドナ・テルレ
HT29-7株の初期の活性を全く変化させない。
実施例16 pH及び温度の影響。
実施条件:
[ニトリル]=100 mM;
[細胞]=7.5 g/l;
酢酸塩バッファー100 mM、pH4から5;
リン酸塩バッファー100 mM、pH6から7;
トリス−HClバッファー100 mM、pH8から9;
硼酸塩バッファー100 mM、pH10から11;3
35℃;1、2、4及び6時間にわたる速度論pH
活性(mmol/h・乾燥細胞1g)
4 0.6
5 2.5
6 7.8
7 9.6
8 15.3
9 18
10 5.7
11 11
最適なpHは我々の実施条件下で約8−9である。
ゴルドナ・テルレ MA-1のニトリル分解酵素活性に対する温度の影響。
実施条件:
[ニトリル]=100 mM;
[細胞]=7.5 g/l;
リン酸塩バッファー100 m、pH 7.0;
1時間にわたる速度論。T(℃)
活性(mmol/h・乾燥細胞1g)
10 0.6
20 2.3
30 3.2
40 3.4
50 3.5
60 1.9
最適な温度は約40−50℃である。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1996年8月30日
【補正内容】
請求の範囲
1. ラセミ体のα−置換4-メチルチオブチロニトリルをアルカリゲネス・フェ
カリス(Alcaligenes faecalis)ATCC-8750、ロドコッカス・エスピー(Rhodoco
ccus sp.)HT 29-7 FERM BP-3857 又はゴルドナ・テルレ(Gordona terrae)FER
M BP-4535 のニトリル分解酵素から選ばれたニトリル分解酵素により加水分解さ
せることを特徴とする、ラセミ体のα−置換4-メチルチオ酪酸の製造方法。
2. 前記ラセミ体α−置換4-メチルチオブチロニトリルが4-メチルチオ-2-ヒ
ドロキシブチロニトリルであることを特徴とする、第1項記載の方法。
3. 培地のpHが4と11の間にありそして好ましくは5と9の間にあること
を特徴とする、第1項記載の方法。
4. 加水分解温度が30℃と60℃の間にありそして好ましくは30℃と50
℃の間にあることを特徴とする、第1項記載の方法。
5. 出発溶液中のα−置換4-メチルチオブチロニトリルの濃度が10mmol/lと
400 mmol/lの間にありそして好ましくは50 mmol/lと200 mmol/lの間に
あることを特徴とする、第1項記載の方法。
6. 溶液中のα−置換4-メチルチオ酪酸の濃度が10 mmol/lと2000 mmol
/lの間にありそして好ましくは100 mmol/lと1500 mmol/lの間にあること
を特徴とする、第1項記載の方法。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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G,SI,SK,TJ,TM,TT,UA,US,UZ
,VN
(72)発明者 ラルジヨ, デニ
フランス・エフ−69440タリユエール・ル
ートデユバタール・レジダンスレコト(番
地なし)
(72)発明者 アリアグノ, アンドレ
フランス・エフ−69340フランシユビル・
アレーデジヤルダン−デ−エスペリド11
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. ラセミ体のα−置換4-メチルチオブチロニトリルをアルカリゲネス・フェ カリス(Alcaligenes faecalis)、ロドコッカス・エスピー(Rhodococcus sp. )HT 29-7又はゴルドナ・テルレ(Gordona terrae)のニトリル分解酵素から選 ばれたニトリル分解酵素により加水分解させることを特徴とする、ラセミ体のα −置換4-メチルチオ酪酸の製造方法。 2. 前記ラセミ体α−置換4-メチルチオブチロニトリルが4-メチルチオ-2-ヒ ドロキシブチロニトリルであることを特徴とする、第1項記載の方法。 3. 培地のpHが4と11の間にありそして好ましくは5と9の間にあること を特徴とする、第1項記載の方法。 4. 加水分解温度が30℃と60℃の間にありそして好ましくは30℃と50 ℃の間にあることを特徴とする、第1項記載の方法。 5. 出発溶液中のα−置換4-メチルチオブチロニトリルの濃度が10 mmol/l と400 mmol/lの間にありそして好ましくは50 mmol/lと200 mmol/lの間 にあることを特徴とする、第1項記載の方法。 6. 溶液中のα−置換4-メチルチオ酪酸の濃度が10 mmol/lと2000 mmol /lの間にありそして好ましくは100 mmol/lと1500 mmol/lの間にあること を特徴とする、第1項記載の方法。 7. アルカリゲネス属の微生物に属するニトリル分解酵素が使用されることを 特徴とする、第1項記載の方法。 8. ロドコッカス属の微生物に属するニトリル分解酵素が使用されることを特 徴とする、第1項記載の方法。 9. ゴルドナ属の微生物に属するニトリル分解酵素が使用されること を特徴とする、第1項記載の方法。
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