JPH0576390A - 光学活性なカルボン酸の製造方法 - Google Patents

光学活性なカルボン酸の製造方法

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JPH0576390A
JPH0576390A JP22856091A JP22856091A JPH0576390A JP H0576390 A JPH0576390 A JP H0576390A JP 22856091 A JP22856091 A JP 22856091A JP 22856091 A JP22856091 A JP 22856091A JP H0576390 A JPH0576390 A JP H0576390A
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nitrile
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Kazumasa Otsubo
一政 大坪
Keizo Yamamoto
敬三 山本
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 医薬、農薬あるいはその製造中間体として有
用な光学活性なカルボン酸を微生物によって製造するこ
とを目的とする。 【構成】 ラセミの2−(4’−イソブチルフェニル)
プロピオニトリルに界面活性剤存在下にアシネトバクタ
ー属等の微生物を作用させて、S−(+)−イブプロフ
ェンを製造する。 【効果】 高光学純度の光学活性カルボン酸を効率よく
製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学活性なカルボン酸
の製造方法に関する。本発明の方法で得られる光学活性
体は、光学活性医薬品の製造原料、除草剤および殺虫剤
などの農薬およびその原料、超誘電特性を有する化合物
の原料、さらには光学分割剤として有用な化合物であ
る。
【0002】
【従来の技術】ラセミ体のニトリルまたはアミドから光
学活性のカルボン酸を製造する技術としては、α−置換
のニトリルまたはアミドからのα−置換のカルボン酸の
製造についてはかなり知られている(特開平2−841
98、特表昭63−500004、特開昭60−188
355等)。また、βあるいはγ置換の光学活性カルボ
ン酸を生化学的作用によって製造する方法はほとんど知
られておらず、わずかにカルニチン、4−クロロ−3−
ヒドロキシ酪酸を製造する方法が知られているのみであ
る(特開平1−148192、特開昭61−17378
9)。
【0003】上記従来技術に関しては、そのほとんどが
水や緩衝液などの水性媒体中で反応を行うものである。
また、反応を水溶性の有機溶媒を含んだ水性媒体中で行
ってもよいとの記載が特表昭63−500004号にな
されているが、これは単に基質の濃度を高める効果のみ
をもたらした。また、有機溶媒を用いた場合、微生物菌
体から酵素を溶出させてしまい、酵素失活に至ることも
しばしばみられる。一方、酵素反応媒体中に界面活性剤
を添加する例としては、ニトリルにニトリルヒドラター
ゼを作用させてアミドを得る技術が挙げられる(特開平
2−291283、特開平2−167090)。しか
し、これらは、酵素の失活を抑制したり、基質の溶解度
を高める効果のみをもたらした。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、医薬等の工
業用原料として有用な光学活性なカルボン酸を、対応す
るラセミ体のニトリルまたはアミドから、微生物または
その調製物の作用により、高収率で高光学純度を維持す
る製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため、特異的に光学活性なカルボン酸を生
成することのできる微生物の探索を進めた結果、前記化
1式で示されるラセミ体のニトリルまたはラセミ体のア
ミドを、前記化2式で示される光学活性カルボン酸に変
換する能力をもつ微生物を見出した。そこで、反応条件
を検討したところ、水やリン酸緩衝液などの水性媒体中
で行う場合と比較して、界面活性剤を添加した反応系で
行うと、反応速度が高まるだけでなく、光学純度も著し
く上昇することも見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、化1式で示されるラ
セミ体のニトリルまたはアミドに、アルカリゲネス属、
シュウドモナス属、ロドシュウドモナス属、コリネバク
テリウム属、アシネトバクター属、バチルス属、マイコ
バクテリウム属、ロドコッカス属、ノカルディア属、ア
ルスロバクター属、モラキセラ属、クレブシエラ属、ア
クレモニウム属またはキャンディダ属に属する微生物ま
たはその調製物を作用させる時に、反応媒体中に界面活
性剤を存在させて、化2式で示される光学活性なカルボ
ン酸を取得することを特徴とする光学活性なカルボン酸
の製造方法である。
【0007】化1式において、Xはニトリル基またはア
ミド基である。また、化1式および化2式において、R
1 およびR2 はそれぞれ任意に、ハロゲン、ヒドロキシ
基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリール
オキシ基、シクロアルキル基、複素環基を表わす。ただ
し、R1 とR2 は同一の基であることはない。
【0008】さらに詳しく説明すると、R1 とR2 で表
わすハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、ヨ
ウ素、臭素が挙げられる。アルキル基、アルコキシ基と
しては、炭素数1〜8のものが好ましく、炭素数1〜3
のものが特に好ましい。アリール基、アリールオキシ基
としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェニル
オキシ基、ナフチルオキシ基などが挙げられる。シクロ
アルキル基としては、炭素数3〜8のものが好ましく、
特に炭素数3〜6のものが好ましい。複素環基として
は、異種原子として、窒素、酸素、硫黄の少なくも1種
を1個〜3個含み、3〜15個の炭素から構成される複
素環からなるものが好ましい。このような複素環として
は、例えば、チオフェン、インドール等が挙げられる。
【0009】上述のアリール基、アリールオキシ基、ア
ルキル基、アルコシキ基、シクロアルキル基、複素環基
の炭素および窒素に結合している水素は、各種の置換基
によって置換されていてもよい。かかる置換基として
は、例えば、フッ素、塩素、ヨウ素、臭素などのハロゲ
ン、ヒドロキシ基、チオール基、ニトロ基、アミノ基、
フェニル基やナフチル基のようなアリール基、フェニル
オキシ基やナフチルオキシ基のようなアリールオキシ
基、異種原子として窒素、酸素、硫黄の少なくとも1種
を1個〜3個含み、3〜15個の炭素から構成される複
素環基、および炭素数が1〜8のアルコキシ基、炭素数
1〜10のアシル基などが挙げられる。これらの置換基
中の炭素および窒素に結合した水素が、さらに上述の置
換基で置換されていてもよい。nは0〜3の整数であ
る。
【0010】R1 、R2 のどちらか一方が立体障害の大
きな基の場合、光学純度の極めて高い生成物を取得でき
るので好ましい。
【0011】本発明の製造方法により得ることのできる
化2式の化合物の代表例を示す。イブプロフェン、ナプ
ロキセン、プラノプロフェン、フルルビプロフェン、ケ
トプロフェン、フェノプロフェン、チアプロフェン酸、
ロキソプロフェン、スプロフェン、インドプロフェン、
アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ミロプロフ
ェン、フルノキサプロフェン、α−フェニルプロピオン
酸、2−フェニル酪酸、2−クロロプロピオン酸、4−
クロロ−α−(1−メチルエチル)フェニル酢酸、2−
ブロモプロピオン酸、β−フェニル乳酸、2−メチル酪
酸、マンデル酸、3−クロロ−2−メチルプロピオン
酸、2,3−ジブロモプロピオン酸、3−トリフルオロ
−2−メチルプロピオン酸、2−フェノキシプロピオン
酸、2−ハイドロキシ−4−フェニル酪酸、2−(2−
メチル−4−クロロフェノキシ)プロピオン酸、2−
(2,4−ジクロロフェノキシ)プロピオン酸、3−ハ
イドロキシ−3−フェニルプロピオン酸、3−フェニル
酪酸、5−フェニルヘキサン酸のRまたはS体、もしく
は(+)または(−)体。
【0012】本発明における原料化合物である化1式で
示される化合物は、公知の方法で製造することができる
〔例えば、特開昭51−70744、特開昭51−12
2036、米国特許4186270、Synthesis,8,645,
(1986)、特開昭55−36499〕。
【0013】本発明に用いられる微生物としては、アル
カリゲネス属、シュードモナス属、ロドシュードモナス
属、コリネバクテリウム属、アシネトバクター属、バチ
ルス属、マイコバクテリウム属、ロドコッカス属、ノカ
ルディア属、アルスロバクター属、モラキセラ属、クレ
ブシエラ属、アクレモニウム属、キャンディダ属に属す
る微生物の中ら選ばれた微生物である。具体的には、以
下の微生物を使用することができる。アルカリゲネス
フェカリス ATCC 8750、シュードモナス フ
ルオレッセンス NRRL B−981(IFO 39
25)、シュードモナスフルオレッセンス IFO 3
081(IFOとはINSTITUTE FOR FERMENTATION,OSAKA
を示す)、ロドシュードモナス スフェロイデス AT
CC 11167、コリネバクテリウム ニトリロフィ
ラス ATCC 21419、コリネバクテリウム エ
スピーKO−2−4(FERM BP−2353)、ア
シネトバクター エスピー AK 226(FERM
BP−2451)、バチルス サブチリス CN5(F
ERM BP−2354)、マイコバクテリウムエスピ
ー AC 777(FERM BP−2352)、ロド
コッカス エスピー AK 32(FERM BP−1
046)、シュードモナス ベシキュラリス ATCC
11426、キャンディダ トロピカリス ATCC
20311、ノカルディア グロベルラATCC 2
1505、アルスロバクターエスピー A7(微工研菌
寄 第8927号)、モラキセラ エスピー D12t
(微工研菌寄 第8933号)、クレブシエラ エスピ
ー D5B(微工研菌寄 第8932号)、アクレモニ
ウムエスピー D9K(微工研菌寄 第8930号)。
これらの菌株は、いずれも特開平2−84198、特開
昭63−209592に記載されている。
【0014】本発明における反応方法は、微生物または
その調製物と化1式で示されるラセミ体のニトリルやア
ミドを接触することにより行なわれる。微生物またはそ
の調製物とは、具体的には前記微生物を培養した培養
物、そこから集めた菌体または菌体処理物(例えば、菌
体の破砕物または菌体より分離抽出した酵素)、さらに
は、菌体または菌体処理物を適当な方法により固定化し
たものを示す。
【0015】本発明で使用される微生物の培養は、公知
の方法に準じて行なうことができる。使用する培地は、
一般微生物の栄養源として公知のものが利用でき、グル
コース、グリセリン、エタノール、シュークロース、デ
キストリン、酢酸、オレイン酸エチル等の炭素源、硫酸
アンモニウム、塩化アンモニウム、アンモニウム等の窒
素源、酵母エキス、麦芽エキス、ペプトン、肉エキス等
の有機栄養源、リン酸、マグネシウム、カリウム、鉄、
コバルト、マンガン、ランタン等の無機栄養源を適宜組
み合わせて使用できる。また、微生物の本発明における
反応活性を上昇させる物質として、イソブチロニトリル
等のシアノ化合物、カプロラクタム等のアミド化合物を
添加してもよい。
【0016】培地のpHは5〜10の範囲で選べばよ
く、培養温度は18〜50℃、好ましくは25〜40℃
である。培養日数は1〜10日の範囲で活性が最大にな
るまで培養すればよい。
【0017】本発明における反応条件を次に説明する。
本発明で使用する界面活性剤は、酵素を阻害、失活させ
ないものが望ましく、具体的には、アミート105(花
王(株))、エマルゲン320P(花王(株))、リパ
ールOCJ(ライオン(株))、Tween80 , Tween20,ニ
ッコールBL−9EX(和光純薬(株))、CHAP
S、n−オクチル−グルコシド、MEGA−10、ホス
ファチジルコリン、卵黄製レシチン、大豆製レシチン等
が挙げられる。これらの界面活性剤の使用量は、基質の
種類や反応媒体の種類により変わるが、通常は反応系に
対して0.01〜10重量%程度、特に望ましくは0.
1〜2%である。
【0018】界面活性剤を添加する反応媒体は、水、緩
衝液または培養液などの水性媒体、水性媒体とジメチル
スルホキシド、メタノール等の水溶性有機溶媒との混合
媒体、さらには、水性媒体と水不溶性有機溶媒とからな
る二相系媒体が使用できる。反応媒体中へは、化1式で
示されるラセミ体を粉末または液状のままで、あるいは
適当な溶媒に溶かして添加する。界面活性剤の添加は、
基質を添加する前後どちらでもさしつかえない。
【0019】化1式で示されるラセミ体の添加濃度は
0.01〜70重量%程度、好ましくは0.1〜40重
量%であり、反応媒体中に完全に溶解しなくてもよい。
反応に菌体を使用する場合の菌体の濃度は、通常0.0
5〜20重量%の範囲でよい。反応温度は5〜80℃、
好ましくは15〜60℃、反応pHは4〜11、好まし
くは6〜10である。反応は通常1〜100時間の範囲
である。消費される化1式で示されるラセミ体は、連続
的にまたは間歇的に補充して、反応液中の濃度が上記の
範囲内に維持されるように添加してもよい。反応は、生
成する光学活性カルボン酸の光学純度が低下しない範囲
で止めればよい。
【0020】本発明における目的生成物の回収は、次の
ようにして行なわれる。反応終了液より菌体等の不溶物
を除去した後、pHを弱アルカリ、好ましくは8.5〜
12とし、ベンゼン、ジエチルエーテル、クロロホル
ム、ヘキサン、酢酸エチル等の溶媒により、未反応の化
1式で示される化合物を抽出除去し、次に、pHを酸
性、好ましくは1.0〜2.0とし、上記溶媒で抽出す
ることにより、目的生成物を回収する。さらに、目的物
の精製は、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィ
ーにて適当な溶媒、例えば、ヘキサン、ジエチルエーテ
ル、クロロホルム、メタノール等の混合液にて溶出され
ることにより行なわれる。
【0021】本発明における反応機構は、ニトリル、ア
ミドをカルボン酸に変換する酵素であるアミダーゼ、ニ
トリルヒドラターゼもしくはニトリラーゼが、ラセミ体
のニトリルまたはアミドの一方の異性体にのみ選択的に
作用すること、すなわち、該酵素による反応速度が光学
異性体によって大きく異なることに基づくと考えられ
る。また、反応系に界面活性剤を加えることによって、
さらに選択性を高めることができる。したがって、本発
明によって光学活性なカルボン酸を作ると、未反応物質
または反応中間物質として光学活性なニトリルもしくは
アミドが残存または生成される。そして、これらを公知
の方法で回収することができる。回収したニトリルもし
くはアミドは、医薬品等として有用な種々の光学活性の
化合物に誘導できる。また、これらのニトリル、アミド
は、例えば、アンモニアのようなアルカリを用いた反応
により容易にラセミ化でき、ラセミ体のニトリルまたは
アミドとして、本発明の原料として用いることができ
る。したがって、工業的な実施においては、光学活性な
カルボン酸のみの製造を目的とするならば、高収率で目
的の光学活性カルボン酸の製造を行なうことができる。
【0022】
【実施例】次に、実施例により本発明をより詳細に説明
する。ただしこれらの実施例は、本発明の範囲を限定す
るものではない。
【0023】実施例1 S−(+)−イブプロフェンの製造 酢酸アンモニウム1.0%、酵母エキス0.5%、ポリ
ペプトン0.5%、リン酸1カリウム0.2%、硫酸マ
グネシウム0.02%、塩化ナトリウム0.1%、塩化
ランタン0.05%を含み、pHを7.5とした殺菌培
地100mlに、予め同培地で培養したアシネトバクタ
ー エスピー AK 226を1%植菌し、32℃で2
4時間培養した。培養終了後、遠心分離により集菌し、
これを水道水100mlの入った三角フラスコ中に懸濁
させた後、エマルゲン320Pを1g添加し、30分攪
拌した後、2−(4’−イソブチルフェニル)プロピオ
ニトリル10gを加え、25℃で激しく振盪しながら反
応させた。20時間後に反応を終了し、遠心分離により
菌体を除去した後、その上清液をpH10.0に調整
し、クロロホルム150mlを添加して未反応の2−
(4’−イソブチルフェニル)プロピオニトリルを抽出
除去した。水槽のpHを1.5に塩酸にて調整した後、
クロロホルム150mlを加えて目的物を抽出した。こ
れを減圧濃縮した後、シリカゲルカラムにより精製した
ところ、3.1gのS−(+)−イブプロフェンを得
た。
【0024】
【数1】 比旋光度より求めた光学純度は99.6%であった。
【0025】なお、本物質は高速液体クロマトグラフィ
ーにて単一であり、IR、NMRスペクトルも構造を指
示した。さらに、以下の条件の高速液体クロマトグラフ
ィーによって求めた光学純度も上記と一致した。
【0026】カラム:CHIRAL AGP(ダイセル
化学工業(株)) 溶媒 :35mM KH2 PO4 (pH5.5)5%メ
タノール 流速 :0.6ml/min 検出 :205nm
【0027】実施例2 S−(+)−3−フェニル酪酸の製造 グルコース1%、酵母エキス0.5%、ペプトン0.5
%、リン酸1カリウム0.12%、リン酸2カリウム
0.08%、硫酸マグネシウム0.02%、硫酸第1鉄
0.003%、塩化ナトリウム0.1%、イソブチロニ
トリル0.1%を含み、pHを7.2にした殺菌培地2
00mlに、予め同培地で培養したマイコバクテリウム
エスピー AC777を2%植菌し、32℃で40時
間培養した。培養後、遠心分離にて菌体を集め、これを
0.1Mリン酸バッファー100mlに懸濁させた後、
Tween 80を1g添加し、さらに2gの3−フェニルブ
チロニトリルを加え、32℃で30時間反応させた。反
応終了後、遠心分離により菌体を除去した後、その上清
液のpHを9.5に調整し、クロロホルム80mlを添
加して未反応の3−フェニルブチロニトリルを抽出除去
した。水槽のpHを1.5に調整した後、クロロホルム
70mlを添加して目的物を抽出した。これを減圧濃縮
した後、シリカゲルカラムにより精製したところ、S−
(+)−3−フェニル酪酸920mgを得た。
【0028】
【数2】 融点:46〜47℃ 比旋光度より光学純度99%e.e.であった。本物質
は高速液体クロマトグラフィーにて単一であった。
【0029】実施例3 ナプロキセンの製造 実施例2と同様の殺菌培地100mlに、予め同培地で
培養したコリネバクテリウム エスピー KO−2−4
を1%植菌し、32℃で24時間培養した。培養終了
後、遠心分離により集菌し、これを水道水100mlの
入った三角フラスコ中に懸濁させた後、リパールOCJ
0.5gを添加した。その後、2−(6’−メトキシ
−2’−ナフチル)プロピオニトリル5g加え、32℃
で10時間反応させた。反応終了液の液体クロマトグラ
フィーによる分析を行なったところ、2.3gのナプロ
キセン(S−(+)−2(6’−メトキシ−2’−ナフ
チル)プロピオン酸)が生成していた。以下、実施例1
と同様の方法で精製を行ない、2.0gのナプロキセン
を得た。
【0030】
【数3】 融点153〜154℃
【0031】さらに、以下の条件の高速液体クロマトグ
ラフィーによって求めた光学純度は99%e.e.であ
った。
【0032】カラム:SUMICHIRAL OA−2
500S、5μm、4mm id×25cm 溶媒 :0.02M酢酸アンモニウム−メタノール溶液 流速 :1.0ml/min 検出 :254nm
【0033】実施例4 実施例1と同様に殺菌培地500mlに、予め同培地で
培養したアシネトバクターエスピー AK 226を1
%植菌し、32℃で24時間培養した。遠心分離で菌体
を集め、これを0.05Mリン酸バッファー50mlを
含む三角フラスコに懸濁させた後、各種の界面活性剤を
1%添加した。次いで、2−(4−イソブチルフェニ
ル)プロピオニトリル5gを添加し、32℃で15時間
反応させ界面活性剤の効果を検討した。対照として、界
面活性剤無添加系(0.01M リン酸緩衝液)を用いた。S
−(+)−イブプロフェンの生成率と光学純度を表1に
示す。表1に示すように界面活性剤を添加することによ
って、生成率、光学純度が上昇した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】本願発明を利用することにより、各種の
光学活性なカルボン酸を光学不活性な物質を原料とし
て、微生物を用いて常温常圧の反応条件下で製造するこ
とができるため、経済上非常に有利である。さらに、本
発明によれば、光学純度が80%以上、カルボン酸の種
類によっては99%e.e.以上というきわめて高純度
の光学活性カルボン酸を収率よく得ることができる。本
発明は、詳細に、かつ、特にその具体化においては実施
例を以て述べてきたが、本発明の精神と範囲から外れる
ことがないならば、本発明の中で各種の変化や変更がで
きることは、この技術分野のものには明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:39) (C12P 41/00 C12R 1:01) (C12P 41/00 C12R 1:15) (C12P 41/00 C12R 1:125) (C12P 41/00 C12R 1:365) (C12P 41/00 C12R 1:06) (C12P 41/00 C12R 1:22) (C12P 41/00 C12R 1:645) (C12P 41/00 C12R 1:74)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1式で示されるラセミ体のニトリ
    ルまたはアミドに、アルカリゲネス属、シュウドモナス
    属、ロドシュウドモナス属、コリネバクテリウム属、ア
    シネトバクター属、バチルス属、マイコバクテリウム
    属、ロドコッカス属、ノカルディア属、アルスロバクタ
    ー属、モラキセラ属、クレブシエラ属、アクレモニウム
    属またはキャンディダ属に属する微生物またはその調製
    物を作用させ、下記化2式で示される光学活性なカルボ
    ン酸を取得する際に、反応媒体中に界面活性剤を存在さ
    せることを特徴とする光学活性なカルボン酸の製造方
    法。 【化1】 (式中、R1 およびR2 はハロゲン原子、ヒドロキシ
    基、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換
    のアルコキシ基、置換または無置換のアリール基、置換
    または無置換のアリールオキシ基、置換または無置換の
    シクロアルキル基、置換または無置換の複素環基を表
    す。ただし、R1 とR2 は同一になることはない。そし
    て、Xはニトリル基またはアミド基を表し、nは0から
    3の整数を表す。) 【化2】 (式中、R1 、R2 およびnは上記と同一である。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001299377A (ja) * 2000-04-28 2001-10-30 Asahi Kasei Corp グリシンの微生物学的な製造法
KR100421581B1 (ko) * 1996-04-30 2004-07-09 미쯔비시 레이온 가부시끼가이샤 광학활성아미노폴리카복실산의제조방법

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