JP2696127B2 - 光学活性な2―ヒドロキシカルボン酸の製造法 - Google Patents

光学活性な2―ヒドロキシカルボン酸の製造法

Info

Publication number
JP2696127B2
JP2696127B2 JP2288442A JP28844290A JP2696127B2 JP 2696127 B2 JP2696127 B2 JP 2696127B2 JP 2288442 A JP2288442 A JP 2288442A JP 28844290 A JP28844290 A JP 28844290A JP 2696127 B2 JP2696127 B2 JP 2696127B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
formula
following general
represented
general formula
optically active
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2288442A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03277292A (ja
Inventor
敬三 山本
一政 大坪
Original Assignee
旭化成工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 旭化成工業株式会社 filed Critical 旭化成工業株式会社
Publication of JPH03277292A publication Critical patent/JPH03277292A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2696127B2 publication Critical patent/JP2696127B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸の製
造法に関するものである。
本発明の方法で得られる光学活性な2−ヒドロキシカ
ルボン酸は、抗生物質または交感神経作用薬等の医薬品
の原料、農薬の原料、超誘電特性を有する化合物の原
料、さらには光学分割剤として有用な化合物である。
(従来の技術) 光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸を製造する方法
としては、ラセミ体の分別結晶による光学分割法、クロ
マトグラフィーによる光学分割法、有機化学的な不斉合
成法等が知られているが、これらの方法は、操作が煩
雑、低収率、生成物の光学純度が低い等の欠点を有して
いる。
一方、微生物を用いる方法については、還元酵素を用
いる方法(特開昭63−32492)が知られているが、高価
な補酵素を必要とする欠点を有している。さらに、ニト
リルまたはアミドの加水分解作用を用いる方法(特開昭
61−88894および特公昭54−14668)が知られている。こ
れらは、ラセミ体のニトリルの一方の異性体に特異的に
作用させ、もう一方の光学異性体には作用させない方法
である。したがって、これらの方法では、高光学純度の
ものを目的とする場合、ラセミ体の原料に対する反応率
を50%以内(求められる酸の光学純度によっては、60%
以内)で止めてしまっていた。
(発明が解決しようとする課題) 上述の状況を鑑みて、本発明の課題は、工業用原料と
して有用な光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸を、対
応するラセミ体のニトリルまたは対応するアルデヒドと
青酸から、微生物またはその調製物の作用により、高光
学純度かつ高反応率で得ることにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記の課題を解決するため、微生物を
用いた光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸の製造法に
ついて鋭意検討した結果、式(I)で示されるラセミ体
の2−ヒドロキシニトリルを式(II)で示される光学活
性な2−ヒドロキシカルボン酸に変換する微生物を見出
した。さらに検討したところ当該微生物をn−ブチロニ
トリル、イソブチロニトリルまたはε−カプロラクタム
を含む培地であらかじめ培養して用いると反応活性が促
進されること、また、2−ヒドロキシニトリルが水性媒
体中で対応するアルデヒドを青酸との平衡状態にあるた
めに、原料に対する反応率を60%以上にしても光学純度
の高いものを製造することができることを見出し、本発
明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(I)で示されるラ
セミ体の2−ヒドロキシニトリルに、水性媒体中で、n
−ブチロニトリル、イソブチロニトリルまたはε−カプ
ロラクタムを含む培地で培養したアルカリゲネス属に属
する微生物またはその調製者を作用させ、下記一般式
(II)で示される光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸
を取得する際に、下記一般式(III)で示される化学平
衡反応により未反応で残る光学活性な2−ヒドロキシニ
トリルを自然ラセミ化させることにより、ラセミ体の原
料に対する反応率を60%以上で行うことを特徴とする光
学活性な2−ヒドロキシカルボン酸の製造法を提供する
ものである。
(式中、*Cは不斉炭素原子を示す。) (式中、*Cは不斉炭素原子を示す。) 上記(I)、(II)および(III)式において、Rは
置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複
素環基を表す。さらに詳しく説明すると、アリール基と
しては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。複素
環基としては、異種原子として、窒素、酸素、硫黄の少
なくとも1種を1ヶ以上含むものが好ましく、また、炭
素数として3〜13が好ましく、3〜6が更に好ましい。
また、置換基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜
3の低級アルキル基、フェニル基やナフチル基のような
アリール基、炭素数1〜6の低級アルコキシ基、ヒドロ
キシ基、チオール基、ニトロ基、アミノ基、またはフッ
素、塩素、ヨウ素、臭素等のハロゲン原子が好ましい。
本発明に用いられる微生物としては、アルカリゲネス
(Alcaligenes)属に属する微生物であり、具体的に
は、アルカリゲネス フェカリス(Alcaligenes faecal
is)ATCC8750を使用することができる。
本発明における反応方法は、微生物またはその調製物
と前記式(I)で示されるラセミ体のニトリルを水性媒
体中で接触することにより行われる。微生物またはその
調製物とは、具体的には、前記微生物を培養した培養
物、そこから集めた菌体または菌体処理物(例えば、菌
体の破砕物または菌体より分離抽出した酵素)、さらに
は、菌体または菌体処理物を適当な方法により担体に固
定化したものを示す。
本発明で使用される微生物の培養は、公知の方法に準
じて行うことができる。使用する培地は、一般微生物の
栄養源として公知のものが利用でき、グルコース、グリ
セリン、エタノール、シュークロース、グルタミン酸、
酢酸、クエン酸等の炭素源、硫酸アンモニウム、塩化ア
ンモニウム、アンモニア等の窒素源、酵母エキス、麦芽
エキス、ペプトン、肉エキス等の有機栄養源、リン酸、
マグネシウム、カリウム、鉄、マンガン、ランタン等の
無機栄養源を適宜組み合わせて使用できる。また、微生
物の本発明における反応活性を促進する物質として、n
−ブチロニトリルまたはイソブチロニトリルのシアノ化
合物あるいはε−カプロラクタムのアミド化合物単独ま
たは併用して添加すればよい。培地のpHは5〜10の範囲
で選べばよく、培養温度は18〜50℃、好ましくは25〜40
℃である。培養日数は0.5〜10日の範囲で活性が最大に
なるまで培養すればよい。
本発明における反応条件を次に説明する。本発明で用
いられる水性媒体は、水、緩衝液または培養液等の水性
媒体である。さらに、水性媒体と水溶性有機溶媒から成
る均一系混合媒体、または水性媒体と有機溶媒の二相系
も使用でき、これらの媒体も本発明でいう水性媒体の範
疇である。有機溶媒としては、反応は大きく阻害しない
濃度であればどのようなものでもよい。
水性媒体中へは、式(I)で示されるラセミ体を粉末
または液状のままで、あるいは上記の有機溶媒に溶かし
て添加する。式(I)で示されるラセミ体の添加濃度は
0.01〜70重量%程度、好ましくは0.1〜40重量%であ
り、水性溶媒中に完全溶解しなくてもよい。反応に菌体
を使用する場合の菌体の濃度は、通常0.05〜20重量%の
範囲でよい。反応温度は5〜80℃、好ましくは15〜60
℃、反応pHは4〜11、好ましくは6〜10である。反応は
通常1〜100時間の範囲である。消費される式(I)で
示されるラセミ体は、連続的にまたは間歇的に補充し
て、反応液中の濃度が上記の範囲内に維持されるように
添加してもよい。反応は、反応率60%以上になるまで十
分行ってよく、反応率60〜100%、好ましくは80〜100%
に達するまで行われる。
さらに、式(I)で示されるニトリルは、反応媒体中
では下記式(IV)の平衡状態にある。
よって、式(I)で示されるヒドロキシニトリルの代わ
りに(IV)に示されるアルデヒドと青酸(青酸ナトリウ
ムまたは青酸カリウム等の塩でもよい。)を、上述の反
応条件で反応させることができる。
本発明における目的生成物の回収は、次のようにして
行われる。反応終了液より菌体等の不溶物を除去した
後、pHを弱アルカリ、好ましくは8.5付近に調製した
後、n−ブタノール、ベンゼン、ジエチルエーテル、ク
ロロホルム等の溶媒により、不純物を抽出除去し、次
に、pHを酸性(2付近)とし、n−ブタノール、ベンゼ
ン、ジエチルエーテル、クロロホルム等の溶媒で抽出す
ることにより、目的生成物を回収する。さらに、目的物
の精製は、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィ
ーにて適当な溶媒、例えば、ヘキサン、ジエチルエーテ
ル、クロロホルム、メタノールの混合液にて溶出させる
か、または結晶として析出させることにより行われる。
本発明における反応機構は、ニトリルをカルボン酸に
変換する酵素であるニトリラーゼが、ラセミ体のニトリ
ルの一方の異性体に選択的に作用すること、すなわち、
該酵素による反応速度が光学異性体によって非常に大き
く異なることに基づくと考えられる。さらに、作用され
ず残存するもう一方のニトリルの異性体は、式(III)
で示されるような平衡反応により、自然にラセミ化さ
れ、式(I)で示されるラセミ体のニトリルとなり反応
はさらに進む。この結果、ラセミ体の原料に対する反応
率は、この自然のラセミ化のため、一般に50%(光学純
度100%を目的とする場合)しかいかない常識を打ちや
ぶり、50%を越えて反応させることができるものと考え
られる。
(実施例) 次に、実施例により本発明をより詳細に説明する。た
だし、これら実施例は、本発明の範囲を限定するもので
はない。
実施例1 R−(−)−マンデル酸の製造 酢酸アンモニウム1%、酵母エキス0.5%、ペプトン
0.5%、リン酸1カリウム0.12%、リン酸2カリウム0.0
8%、塩化ナトリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.02%、
硫酸第1鉄0.003%、n−ブチロニトリル0.1%を含み、
pHを7.2とした殺菌培地100mlに、あらかじめ同培地で培
養したアルカリゲネス フェカリス ATCC8750を4%植
菌した。これを18時間、32℃にて振盪培養した。培養終
了後、遠心分離で菌体(乾菌体990mg)を集め、0.01Mリ
ン酸バッファー(pH6.5)にて2回洗浄後、0.1Mリン酸
バッファー(pH8.0)160mlに懸濁した。この懸濁液100m
lにアンデロニトリル560mgを加えて、32℃で攪拌しなが
ら4時間反応させた。反応液より遠心分離にて菌体を除
去した。上清液のpHを8.5に調整した後、ジエチルエー
テル100mlを添加して、有機層を抽出除去した。水層のp
Hを1.5に調整した後、ジエチルエーテル100mlを加え
て、目的物の抽出を2回行った。抽出液を減圧乾燥させ
た後、70℃ベンゼン約30mlに溶かして室温放置したとこ
ろ、530mg(反応率82.8%)のR−(−)−マンデル酸
を得た。
▲〔α〕25 D▼−153°(C=1,H2O) 融点:130〜132℃ 比旋光度よりR体含量は100%e.e.であった。この試料
をJournal of Chromatography,216,406(1981)の方法
にしたがって、高速液体クロマトグラフィー分析を行っ
たところ、R体含量は99.99%e.e.以上であった。
実施例2 R−(−)−マンデル酸の製造 実施例1と同様にして得られたアルカリゲネス フェ
カリス ATCC8750の懸濁液10mlに、マンデロニトリルを4
2.1mMになるように添加し、反応経過をみた。反応0,5,
1,2,3時間後のマンデル酸の生成量は、それぞれ7.7,14.
6,31.2,38.3mMであった。3時間後に遠心分離にて菌体
を除去した後、実施例1と同様にしてR−(−)−マン
デル酸56mg(反応率87.5%)を得た。
▲〔α〕25 D▼−153°(C=1,H2O) 融点:131〜132℃ 比旋光度よりR体含量は100%e.e.であった。
実施例3 R−(−)−マンデル酸の製法 実施例1と同様にして得られたアルカリゲネス フェ
カリス ATCC8750の懸濁液10mlに、ベンズアルデヒドお
よびKCNを42.1mMになるように添加(ただし、pHは8.0に
調整)し、反応経過をみた。反応1,2,4,6時間後のマン
デル酸の生成量は、それぞれ8.1,15.9,27.4,38.2mMであ
った。6時間後に遠心分離にて菌体を除去した後、実施
例1と同様にしてR−(−)−マンデル酸51mg(反応率
79.7%)を得た。
▲〔α〕25 D▼−153°(C=1,H2O) 融点:130〜131℃ 比旋光度よりR体含量は100%e.e.であった。
実施例4 ATCC8750株の培養条件 実施例1で示した培地よりn−ブチロニトリルの代わ
りに各種誘導剤を添加した培地100mlに、実施例1と同
様にあらかじめ培養したアルカリゲネス フェカリス A
TCC8750を4%植菌した。これを18時間、32℃にて振盪
培養した。培養後の生育菌体量と、マンデロニトリルか
らR−(−)−マンデル酸の生成活性は、表1のように
なった。なお、活性は以下のようにして測定した。マン
デロニトリル7.8マイクロモルを0.1Mトリス塩酸バッフ
ァー(pH9.0)1mlに溶解させたものに、培養後遠心分離
で集菌した菌体を適当な濃度で添加し、30℃で30分間反
応させた後、生成されるR−(−)−マンデル酸を定量
した。定量は、高速液体カラムクロマトグラフィーによ
り行った。具体的には、ユニシルパック C18(ガスクロ
工業(株))のカラムで、0.1Mリン酸2アンモニウム
(pH5.0)とメタノールを8:2に混合した溶媒を1分間に
1mlずつ溶出させ、254nmで検出することにより行った。
活性は、1分間に1mgの乾燥菌体あたりに生成されるR
−(−)−マンデル酸(nmole)で示された。
その結果、表1に示すとおり、誘導剤としてはn−ブ
チロニトリル、イソブチロニトリル、ε−カプロラクタ
ムが単独または併用により好適なものであった。
実施例5 部分精製酵素でR−(−)−マンデル酸の製法 実施例1と同様に、アルカリゲネス フェカリス ATC
C8750を500ml培養した。集菌した菌体を、DTT(ジチオ
スレイトール)10mMを含む0.03Mリン酸カリウム緩衝液
(pH6.5)40mlに懸濁し、9KHzにおける超音波処理を7
分行い、菌体を破砕した。破砕菌体は15,000×g、20分
間の遠心分離で除去し、無細胞抽出液を得た。これを1m
M DTTを含む0.03Mリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)にて
透析した後、DEAE−セルロースのカラムを通過させ、0
〜0.5M塩化ナトリウムと1mM DTTを含む0.05Mリン酸カリ
ウム緩衝液(pH6.5)の直線的な濃度勾配で酵素(ニト
リラーゼ)を溶出させた。活性区分を集め、硫酸アンモ
ニウムを30%濃度になるように添加した後、15,000×
g、20分間の遠心分離にてニトリラーゼを沈澱させた。
沈澱物は、1mM DTTを含む0.05Mリン酸カリウム緩衝液
(pH6.5)2.5mlに懸濁し、同じ緩衝液に透析して、硫安
分画として部分精製できた。この精製過程を表2に示
す。なお、活性は実施例4における菌体を酵素に変え
て、同様にして測定した。活性の単位は、1分間に1μ
moleのR−(−)−マンデル酸を生成する酵素量で示さ
れる。
以上のようにして得られた酵素液5単位と、マンデロ
ニトリル56mgを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH8.
0)15mlとを混合し、32℃で6時間反応させた。実施例
1と同様にして生成物を精製し、R−(−)−マンデル
酸44mgを得た。高速液体クロマトグラフィー分析を行っ
たところ、R体含量は99.0%であった。
実施例6 R−(−)−マンデル酸の製法 実施例1と同様に、アルカリゲネス フェカリス ATC
C8750を100ml培養した。集菌した菌体を、0.1Mリン酸バ
ッファー(pH8.0)10mlに懸濁した後、ジメチルスルフ
ォキサイド3mlにマンデロニトリル560mgを溶解させた液
を加えて、32℃で攪拌しながら4時間反応させた。実施
例1と同様にして生成物を精製し、R−(−)−マンセ
ル酸515mgを得た。高速液体クロマトグラフィー分析を
行ったところ、R体含量は99.2%であった。
実施例7 R−(−)−4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸
の製造 実施例1と同様にして得られたアルカリゲネス フェ
カリス ATCC8750の懸濁液10mlに、バニリンおよびKCNを
20mMになるように添加(ただし、pHは8.0に調整)し、3
0℃で攪拌しながら5時間反応させた。反応液より遠心
分離にて菌体を除去した。上清液のpHを8.5に調整した
後、ジエチルエーテル10mlを添加して、有機層を抽出除
去した。水層のpHを1.5に調整した後、ジエチルエーテ
ル10mlを加えて、目的物の抽出を2回行った。抽出液を
減圧乾燥させた後、70℃ベンゼン約2mlに溶かして室温
放置したところ、34.8mg(反応収率88%)のR−(−)
−4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸を得た。
▲〔α〕22 D▼−130゜(C=1,H2O) 融点:152℃ 比旋光度よりR体含量は99.2%e.e.であった。
実施例8 (−)−2−チエニルグリコル酸の製造 実施例1と同様にして得られたアルカリゲネス フェ
カリス ATCC8750の懸濁液10mlに、2−チオフェングル
コロニトリル(α−ヒドロキシ−2−チオフェンアセト
ニトリル)を20mMになるように添加し、30℃で攪拌しな
がら15時間反応させた。反応液より遠心分離にて菌体を
除去した。上清液のpHを8.5に調整した後、ジエチルエ
ーテル10mlを添加して、有機層を抽出除去した。水層の
pHを1.5に調整した後、ジエチルエーテル10mlを加え
て、目的物の抽出を2回行った。抽出液を減圧乾燥させ
た後、ベンゼン約2mlに溶かして10℃にて放置したとこ
ろ、23.7mg(反応収率75%)の(−)−2−チエニルグ
リコル酸を得た。
▲〔α〕25 D▼−96.5゜(C=1,H2O) 融点:83℃ 比旋光度より(−)体含量は98.2%e.e.であった。
(発明の効果) 本発明を利用することにより、光学活性な2−ヒドロ
キシカルボン酸を、光学不活性な物質を原料として、微
生物を用いて常温常圧の反応条件下で製造することがで
きる。また、本発明によれば、原料に対する反応率を50
%以上で、かつ、高光学純度、例えば90%e.e.以上、好
ましくは98%e.e.以上の光学活性体を得ることができ
る。さらに、実際には100%近い反応率のため、原料の
回収および再利用の必要がない。以上の点は経済上非常
に有利である。
本発明は、詳細に、かつ、特にその具体化においては
実施例をもって述べてきたが、本発明の精神と範囲から
はずれることがないならば、本発明の中で各種の変化や
変更ができることは、この技術分野の者には明らかであ
ろう。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示されるラセミ体の2
    −ヒドロキシニトリルに、水性媒体中で、n−ブチロニ
    トリル、イソブチロニトリルまたはε−カプロラクタム
    を含む培地で培養したアルカリゲネス属に属し、下記一
    般式(I)で示されるラセミ体の2−ヒドロキシニトリ
    ルから下記一般式(II)で示される光学活性な2−ヒド
    ロキシカルボン酸に変換する能力を有する微生物または
    その調製物を作用させ、下記一般式(II)で示される光
    学活性な2−ヒドロキシカルボン酸を取得する際に、下
    記一般式(III)で示される化学平衡反応により未反応
    で残る光学活性な2−ヒドロキシニトリルを自然ラセミ
    化させることにより、ラセミ体の原料に対する反応率を
    60%以上で行うことを特徴とする光学活性な2−ヒドロ
    キシカルボン酸の製造法。 (式中、Rは置換または無置換のアリール基、置換また
    は無置換の複素環基を表す。) (式中、*Cは不斉炭素原子を示し、Rは上記と同一であ
    る。) (式中、*Cは不斉炭素原子を示し、Rは上記と同一であ
    る。)
  2. 【請求項2】下記一般式(III)で示されるアルデヒド
    と青酸またはそのアルカリ金属塩に、水性媒体中で、n
    −ブチロニトリル、イソブチロニトリルまたはε−カプ
    ロラクタムを含む培地で培養したアルカリゲネス属に属
    し、下記一般式(I)で示されるラセミ体の2−ヒドロ
    キシニトリルから下記一般式(II)で示される光学活性
    な2−ヒドロキシカルボン酸に変換する能力を有する微
    生物またはその調製物を作用させ、下記一般式(II)で
    示される光学活性な2−ヒドロキシカルボン酸を取得す
    る際に、下記一般式(III)で示される化学平衡反応に
    より未反応で残る光学活性な2−ヒドロキシニトリルを
    自然ラセミ化させることにより、ラセミ体の原料に対す
    る反応率を60%以上で行うことを特徴とする光学活性な
    2−ヒドロキシカルボン酸の製造法。 (式中、Rは置換または無置換のアリール基、置換また
    は無置換の複素環基を表す。) (式中、*Cは不斉炭素原子を示し、Rは上記と同一であ
    る。) (式中、*Cは不斉炭素原子を示し、Rは上記と同一であ
    る。)
JP2288442A 1990-03-22 1990-10-29 光学活性な2―ヒドロキシカルボン酸の製造法 Expired - Fee Related JP2696127B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2-69666 1990-03-22
JP6966690 1990-03-22

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03277292A JPH03277292A (ja) 1991-12-09
JP2696127B2 true JP2696127B2 (ja) 1998-01-14

Family

ID=13409387

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2288442A Expired - Fee Related JP2696127B2 (ja) 1990-03-22 1990-10-29 光学活性な2―ヒドロキシカルボン酸の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2696127B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE69131217T2 (de) * 1990-03-30 1999-09-23 Mitsubishi Rayon Co Verfahren zur Herstellung von R(-)Mandelsäure und deren Derivaten
JP2698936B2 (ja) * 1990-08-16 1998-01-19 日東化学工業株式会社 R(‐)―マンデル酸誘導体の製造法
JP3218133B2 (ja) * 1993-02-03 2001-10-15 三菱レイヨン株式会社 フェニル基を有する光学活性α−ヒドロキシカルボン酸の製造法
EP0773297B2 (en) 1995-11-10 2008-04-23 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Process for producing alpha-hydroxy acid or alpha-hydroxyamide by microorganism
KR100250830B1 (ko) * 1997-12-09 2000-04-01 성재갑 자가분해에 의해 폴리하이드록시알킨산으로부터 광학활성을 가진 단량체 하이드록시카르복실산의 제조방법

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0284198A (ja) * 1988-06-27 1990-03-26 Asahi Chem Ind Co Ltd 光学活性なα―置換有機酸の製造方法
JPH0499496A (ja) * 1990-08-16 1992-03-31 Nitto Chem Ind Co Ltd R(‐)―マンデル酸誘導体の製造法
JPH0499495A (ja) * 1990-08-16 1992-03-31 Nitto Chem Ind Co Ltd R(‐)―マンデル酸の製造法
JPH04218385A (ja) * 1990-03-30 1992-08-07 Nitto Chem Ind Co Ltd R(−)−マンデル酸の製造法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0284198A (ja) * 1988-06-27 1990-03-26 Asahi Chem Ind Co Ltd 光学活性なα―置換有機酸の製造方法
JPH04218385A (ja) * 1990-03-30 1992-08-07 Nitto Chem Ind Co Ltd R(−)−マンデル酸の製造法
JPH0499496A (ja) * 1990-08-16 1992-03-31 Nitto Chem Ind Co Ltd R(‐)―マンデル酸誘導体の製造法
JPH0499495A (ja) * 1990-08-16 1992-03-31 Nitto Chem Ind Co Ltd R(‐)―マンデル酸の製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03277292A (ja) 1991-12-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2623345B2 (ja) 光学活性なα―置換有機酸の製造方法
EP0449648B1 (en) Process for producing R(-)-mandelic acid and derivatives thereof
JP2676568B2 (ja) R(−)−マンデル酸およびその誘導体の製造法
FI95397B (fi) Menetelmä (S)-ketoprofeenin valmistamiseksi
JP2720140B2 (ja) フェニル基を有する光学活性α−ヒドロキシカルボン酸の製造法
JP2696127B2 (ja) 光学活性な2―ヒドロキシカルボン酸の製造法
JP2696424B2 (ja) R(‐)―マンデル酸の製造法
JP2698936B2 (ja) R(‐)―マンデル酸誘導体の製造法
JPH0527389B2 (ja)
JPS5922516B2 (ja) L−フエニルアラニンの製造法
JP3081649B2 (ja) S−(+)−マンデルアミドおよびその誘導体の製造法
JPS58201992A (ja) 微生物によるβ−置換プロピオン酸またはそのアミドの製造法
JP4309969B2 (ja) 新規酸化還元酵素及びそれを用いた3―(p―ヒドロキシフェニル)―2―プロペノール誘導体等の製造法
JP3715662B2 (ja) 光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルの製造方法
JP2004057014A (ja) 芳香族アミノ酸のラセミ化方法、芳香族アミノ酸の光学活性体の製造方法並びに芳香族アミノ酸のラセミ化活性を有する微生物および酵素
JPH04341195A (ja) 光学活性マンデル酸の製法
JPH0279996A (ja) 光学活性2―アリールオキシまたは2―アリールチオ飽和鎖状カルボン酸の製法
JP2674078B2 (ja) D−α−アミノ酸の製造法
JPH0576390A (ja) 光学活性なカルボン酸の製造方法
JPH04152895A (ja) 光学活性1,3―ブタンジオールの製法
JP2716477B2 (ja) S‐カルボキシメチル‐l‐システインの製造方法
JPH04144697A (ja) 光学活性カルボン酸、ニトリル、アミドの製造方法
EP1311700B1 (en) Production process of l-phenylalanine derivatives by microorganisms
WO2004063385A1 (ja) 光学活性α−メチルシステイン誘導体の製造方法
JP2003000294A (ja) 微生物によるl−フェニルアラニン誘導体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19970805

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees