JPH10504823A - 創傷治癒における瘢痕形成を減少させる方法 - Google Patents

創傷治癒における瘢痕形成を減少させる方法

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Abstract

(57)【要約】 瘢痕形成を抑制する方法であって、式(I)[式中、R1およびR3は独立して水素、−CH3、(a)、または(b)(ここで、Arは置換されていることのあるフェニルである)であり;R2はピロリジノ、ヘキサメチレンイミノ、およびピペリジノよりなる群から選択される]を有する化合物または薬学上許容され得るそれらの塩もしくは溶媒和物の有効量を、そのような抑制を必要とするヒトに投与することからなる方法。

Description

【発明の詳細な説明】 創傷治癒における瘢痕形成を減少させる方法 瘢痕は、損傷部位での、線維成分、大部分は、コラーゲンおよびフィブロネク チンといったようなマトリックス産物の異常沈着として定義することができる。 この線維組織の沈着が、正常な皮膚と比べて、極端に多い。この沈着の結果は、 顆粒状面または「塊状(lumpiness)」であり、人々は、通常、これを瘢痕組織と して認識するであろう。正常な皮膚と比べての、その視覚的相違に加えて、瘢痕 組織はまた、その生物医学的性質でも正常な皮膚とは異なる。瘢痕組織は、他の 非常に線維性の組織と同様に、あまり柔軟ではなく、また通常、引張強さも弱い 。この柔軟性および弱さの損失は、通常、組織の機能喪失をもたらす。例えば、 手、とりわけ関節付近の瘢痕形成(scarring)は、搬痕が形成された(scarred)皮 膚が関節の動きに合わせて伸縮することができないことから、制限された動きを もたらすことが多い。同様に、瘢痕が形成された心臓弁は、あまり強くなく、ま たその引張強さの減少による不全症の傾向が強いであろう。(さらなる論議に関 しては、Andrew's Diseases of the Skin、Domonkos,A.N.ら、W.B.Sau nders Co.、1982、18−19頁を参照。) 創傷または外傷の治癒の続発症としての瘢痕組織の生成は周知であり、またし ばしば、治癒過程の避けることができない結果であると考えられている。多くの 場合には、治癒過程の間に形成される瘢痕組織は、医学的にも、または社会的に も、大いに懸念される問題ではない。しかし、瘢痕組織の生成が、個人に対して 医学的および社会的に重要である場合がたくさんある。患者に対する初期(initi ating)外傷が、顔、腕または頚といったような、公衆の面前にさらされる身体の 領域を伴う場合、瘢痕形成は、患者に対して永続する生理的および社会的係わり 合いを有し得る。幾つかの外傷性事象により、顔を醜くする瘢痕の生理的衝撃は 、何人かの人々を、醜さの重篤性および個人の生理的体質(makeup)により、荒廃 させ得るか、または少なくとも、不快にさせ得る。ある場合には、醜くする瘢痕 は、 それと関連した社会的恥辱だけでなく、人の容姿が重要な特性となる場合におけ る経済的損失をも有し得る。しばしば、容姿上、瘢痕組織を取り除くための再建 手術を行うことが必要である、または望ましいことが多い。この手術の必要性は 、経済的要因、さらにはまた、患者が我慢しなければならない痛み、および苦し みの面から、多くの犠牲を伴うプロセスである。再建手術の必要性を取り除くで あろう、利用可能な処置があるなら、大きな利点であろう。 加えて、外傷の治癒過程からの瘢痕組織の形成が、瘢痕形成の可能性のある見 苦しさは別として、医学的影響を有する場合がある。これらの場合には、瘢痕組 織の形成が、その正常な役割を果たすための、組織の正常な生理的機能を阻害し 得る。そのような一例は、重篤な熱傷の場合に見られるような、広範囲にわたる 瘢痕形成の場合であろう。生き残って、広範囲にわたる熱傷から回復した患者、 または手もしくは顔といったような重要な領域に熱傷を負った患者は、冒された 領域の正常な動き、および機能を取り戻そうとする、それらの能力が大いに減少 した瘢痕組織を有することが多い。そのような場合は、患者が冒された領域の機 能を取り戻すことを可能にする反復手術を必要とすることが多く、また多くの場 合、この再建手術は、ほんの一部に有効であり、永久的な身体障害が幾分ある患 者を後に残す。そのような組織機能の喪失はまた、外傷が内部にある場合にも見 ることができる。内部外傷の原因は、刺創のような外因に源を発するか、または 心臓、血管、神経、または筋肉手術のような、有益な外科手術の介入の、不注意 の結果であろう。原因に関係なく、内部瘢痕組織の形成は、正常な機能を損ない 得る。正常な治癒過程の間に瘢痕組織の形成を減少させる薬剤を有することが、 大きな医学的利点であろう。 今のところ、ヒトにおいて瘢痕組織の形成を減少させるのに有効であることが 示されている全身性(systemic)薬剤はない。外科手術の技術および特殊な創傷包 帯は、多くの場合の瘢痕形成を部分的に上手く減少させている。しかし、これら の技術は、損害が、熱傷のような広範囲にわたるか、または内部に位置すること により非実用的である場合には、実用的ではないかもしれない。 正常な創傷治癒に相反して瘢痕形成をもたらす病態は、十分理解されていない ;しかし、炎症細胞の数、種類、および滞在期間と、瘢痕組織の形成との間には 関連があるらしい。炎症細胞、とりわけマクロファージの多量流入は、瘢痕組織 の形成を促進するらしい。外傷部位で産生されるサイトカインは、炎症細胞の流 入を制御し、また従って、瘢痕形成の可能性を制御する因子として関係している 。特に、Shahら、Lancet、1992;339:213−214による文献での 最近の報告は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)を、瘢痕形成の実 験用動物モデルの瘢痕形成を悪化させる鍵となるサイトカインであると示唆して いる。 TGF−βは、ファミリーのメンバーがアミノ酸相同性を共有する、および/ または同様の生理的作用を有することを意味するアイソフォームと呼ばれること が多い、ペプチドの包括的なファミリーにあてはまるペプチド増殖因子である。 創傷治癒の対象物として特に重要なものは、以下のものである:TGF−β1、 2、および3。TGF−βファミリーのペプチドのさらなる論議に関して、その 主題は、Roberts A.B.およびSporn M.B.、「The Transforming Growth Factor−βS」、SpornおよびRoberts編;「Peptide Growth Factors and Their Receptors I」、Berlin、Springer Verlag、1990、419− 472でレビューされている。加えて、創傷治癒におけるTGF−β、Ferguson (同書)中の参照文献は、密接な関係がある。 ごく最近では、TGF−βの異なったアイソフォームが、瘢痕形成に対して異 なった効果を有するということが文献で報告されている。TGF−β1は瘢痕組 織の形成を悪化させるらしいということが実験用動物瘢痕モデルで実証されてい る。しかし、TGF−β3は瘢痕形成から皮膚を保護して、創傷の正常な治癒を 可能にするということが示された。このTGF−β3の作用に関して提唱された 機構は、創傷部位でのマクロファージおよび単球浸潤の減少であった。Ferguso n,M.W.、「Wound Healing、Scarring、TGF−βアンタゴニストおよびア イソフォーム」、Abst.NIHTGF−β Symposia、Bethesda MD、19 95年3月3日。 本発明は、瘢痕形成を抑制する方法であって、式I: [式中、 2はピロリジノ、ヘキサメチレンイミノ、およびピペリジノよりなる群から 選択される] で示される化合物並びに薬学上許容され得るそれらの塩および溶媒和物の有効量 を、そのような抑制を必要とするヒトに投与することからなる方法を提供する。 本発明は、選択された2−フェニル−3−アロイルベンゾチオフェン(ベンゾ チオフェン)群、つまり式Iで示される群が、瘢痕形成を抑制するのに有用であ るという発見に関する。具体的には、その方法は、瘢痕を最小とするのに、また は肥厚性瘢痕の形成を防ぐのに十分な期間、式Iで示される化合物の有効量を創 傷部位に投与することからなる。 本発明により提供される治療的および予防的処置は、とりわけ創傷治癒におい て瘢痕形成を抑制するのに有効である、式Iで示される化合物または薬学上許容 され得るそれらの塩もしくは溶媒和物のある用量を、そのような抑制を必要とす るヒトに投与することにより行う。 「抑制」という用語には、その一般に容認される意味が含まれ、これには、進 行、重篤度または結果として生ずる症状を、妨害すること、予防すること、制限 すること、および遅くすること、最小とすること、阻止すること、または回復さ せることが含まれる。このように、本発明の方法には、適切な医学治療的投与お よび/または予防的投与の両方が含まれる。 ラロキシフェンは、本発明の好ましい化合物であり、また式Iで示され、R1 およびR3が水素であり、およびR2が1−ピペリジニルである化合物の塩酸塩で ある。 通例、式Iで示される化合物の少なくとも1つを、一般的な賦形剤、希釈剤も しくは担体と配合し、また圧縮して錠剤とするか、または経口投与に便利なエリ キシル剤もしくは溶液剤として製剤化するか、または筋肉内もしくは静脈内経路 で投与する。本化合物は、経皮投与することができ、また徐放性投与形態等とし て製剤化してもよい。 本発明の方法に使用する化合物は、米国特許第4,133,814号、同第4, 418,068号および同第4,380,635号に詳述されているような、確立 された手順に従って製造することができる[これらの米国特許に記載されている 内容は全て、本発明の一部をなす]。通例、その製法は、6−ヒドロキシル基お よび2−(4−ヒドロキシフェニル)基を有するベンゾ[b]チオフェンで開始され る。その出発化合物を保護し、アシル化し、脱保護して、式Iで示される化合物 を形成する。そのような化合物の製造例は、先に論じた米国特許に与えられてい る。「置換されていることのあるフェニル」という用語には、フェニル、および C1−C6アルキル、C1−C4アルコキシ、ヒドロキシ、ニトロ、クロロ、フルオ ロまたはトリ(クロロもしくはフルオロ)メチルで一または二置換されているフェ ニルが含まれる。 本発明の方法で使用する化合物は、広範囲にわたる種々の有機および無機酸並 びに塩基と共に、薬学上許容され得る酸および塩基付加塩を形成し、また製薬化 学において使用されることの多い生理学的に許容され得る塩が含まれる。そのよ うな塩もまた本発明の一部である。そのような塩を形成するのに使用される典型 的な無機酸には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、次リ ン酸等が含まれる。脂肪族モノおよびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、 ヒドロキシアルカン酸およびヒドロキシアルカン二酸、芳香族酸、脂肪族および 芳香族スルホン酸といったような有機酸から誘導される塩をまた使用することも できる。従って、そのような薬学上許容され得る塩には、酢酸塩、フェニル酢酸 塩、トリフルオロ酢酸塩、アクリル酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、クロ ロ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸 塩、メチル安息香酸塩、o−アセトキシ安息香酸塩、ナフタレン−2−安息香酸 塩、臭化物、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、ブチン−1 ,4−二酸塩、ヘキシン−1,4−二酸塩、カプリン酸塩、カプリル酸塩、塩化物 、桂皮酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘプタン酸塩 、馬尿酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、マ ロン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、ニコチン酸塩、イソニコチン酸塩、硝酸 塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リ ン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、プロピオール酸塩、プロピオン酸 塩、フェニルプロピオン酸塩、サリチル酸塩、セバシン酸塩、コハク酸塩、スベ リン酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、ピロ硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、スルホン酸 塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−ブロモフェニルスルホン酸塩、クロロベンゼン スルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、メタ ンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸 塩、p-トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酒石酸塩等が含まれる。 好ましい塩は塩酸塩である。 薬学上許容され得る酸付加塩は、一般的に、式Iで示される化合物を当モル量 または過剰量の酸と反応させることにより形成される。反応物は、通例、ジエチ ルエーテルまたはベンゼンといったような相互溶剤中で一緒にする。塩は、通常 、約1時間ないし10日以内に溶液から沈殿析出し、濾過により分離することが できるか、または従来の方法により溶媒をストリッピングして取り除くことがで き る。 塩の形成に一般に使用される塩基には、水酸化アンモニウム並びにアルカリお よびアルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、さらにはまた第一級、第二級および第 三級脂肪族アミン、脂肪族ジアミンが含まれる。付加塩の製造において特に有用 な塩基には、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、メチルアミン、ジエチルアミ ン、エチレンジアミンおよびシクロヘキシルアミンが含まれる。 薬学上許容され得る塩は、通例、それらが誘導される化合物に比べて高い溶解 性を有し、また従って、液体またはエマルジョンとして製剤化しやすい。 当業界で知られている手順により、医薬品製剤を製造することができる。例え ば、本化合物は、一般的な賦形剤、希釈剤または担体と配合して、錠剤、カプセ ル剤、軟膏剤(ointments)、軟膏剤(salves)、クリーム剤、懸濁液剤、粉末剤等 に成形することができる。そのような製剤に適当な賦形剤、希釈剤および担体の 例には、以下のものが含まれる:デンプン、糖、マンニトール、およびケイ素誘 導体といったような充填剤および増量剤;カルボキシメチルセルロースおよび他 のセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、およびポリビニルピロリドンと いったような結合剤;グリセロールといったような湿潤剤;炭酸カルシウムおよ び重炭酸ナトリウムといったような崩壊剤;パラフィンといったような溶解遅延 剤;第四級アンモニウム化合物といったような吸収促進剤;セチルアルコール、 グリセロールモノステアレートといったような界面活性剤;カオリンおよびベン トナイトといったような吸着担体;並びにタルク、ステアリン酸カルシウムおよ びマグネシウム、および固形ポリエチルグリコールといったような滑沢剤。 本化合物はまた、経口投与に便利なエリキシル剤または溶液剤として、あるい は非経口投与(例えば、筋肉内、皮下または静脈内経路)に適当な溶液剤として 製剤化することもできる。加えて、本化合物は、徐放性投与形態等としての製剤 化に十分適している。その製剤は、場合によっては一定時間にわたり、好ましく は腸管の特定部分またはその部分においてのみ活性成分を放出するよう、構成す ることができる。例えば、高分子物質またはワックスから、コーティング、エン ベロープおよび保護マトリックスを施すのがよい。 局所投与の場合には、領域に対する直接適用に関して技術上知られているよう に、本化合物を製剤化するのがよい。この目的のための従来の形態には、軟膏剤 、ローション剤、パスタ剤、ゼリー剤、スプレー剤、およびエアゾール剤が含ま れる。局所製剤中に存在する本発明の化合物の重量パーセントは、種々の因子に 依存するが、通例、製剤の全重量の0.5%〜95%、また典型的には1〜25 重量%であろう。 組成物は、水性または無水の溶液剤もしくは分散剤の形態、あるいはまたエマ ルション剤または懸濁液剤の形態をとることができる。 これらの組成物は、先行技術において周知である薬学上許容され得るビヒクル およびアジュバントを含み得る。例えば、生理学的観点から許容され得、水の他 に、アセトン、エタノール、イソプロピルアルコールといったような有機溶媒、 「Dowanol」という商品名で販売されている製品、ポリグリコールおよびポリエ チレングリコールといったようなグリコールエーテル、短鎖の酸のC1−C4アル キルエステル、好ましくは乳酸エチルまたはイソプロピル、「Miglyol」という 商品名で市販されている製品のような脂肪酸トリグリセリド、ミリスチン酸イソ プロピル、動物油、鉱油および植物油並びにポリシロキサンから選択される1ま たはそれ以上の有機溶媒を用いて、溶液剤を製造することが可能である。 該組成物はまた、セルロースおよび/またはセルロース誘導体といったような 増粘剤も含み得る。該組成物はまた、キサンタンガム、グアーもしくはキャロブ (carob)ガムまたはアラビアゴムといったようなガム、あるいはまたポリエチレ ングリコール、ベントナイトおよびモンモリロナイト等も含み得る。 これらの組成物はまた、レチン酸誘導体のような他の活性物質、抗菌物質、お よび抗炎症剤も組み合わせて含み得る。そのような物質の例には、過酸化ベンゾ イル、テトラサイクリン、エリスロマイシン、ミノサイクリン、クリンダマイシ ン、アンピシリン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ビタミンA、お よびイソトレチノインが含まれる。 もし必要ならば、抗酸化剤、界面活性剤、他の防腐剤、皮膜形成剤、表皮剥離 剤またはコメド溶解剤、香料および着色料から選択されるアジュバントを加える ことが可能である。例えば、抗酸化剤のうち、t−ブチルヒドロキノン、ブチル 化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンおよびα−トコフェロー ル並びにその誘導体を挙げることができる。 主として局所適用のために製造されるガレン製薬形態は、クリーム剤、乳剤、 ゲル剤、分散剤またはミクロエマルション剤、大部分もしくは一部分を濃縮した ローション剤、含浸パッド、軟膏剤またはスティック剤の形態、あるいはまたス プレーもしくは泡状の、あるいはまたケーキ石鹸状のエアゾール製剤の形態をと る。 式Iで示される化合物の許容され得る用量を投与して、瘢痕形成を抑制する方 法は、創傷の位置および瘢痕形成の範囲に依存する。特に、化合物を単独で、ま たは薬学上許容され得るビヒクルと組み合わせて、創傷部位の表面に局所適用す ることができる;化合物を創傷部位に注入することができる;または、化合物を 放出制御ポリマー中に導入して、処置すべき領域に外科手術により移植すること ができる。外科手術による移植は、肝硬変および狭窄性心外膜炎といったような 疾患を処置するのに有利である。このことは、患者に悪影響を与えることなく、 または過剰量の薬物を循環系に放出することなく、本化合物が所望の部位に局在 化するのを可能とする。 本発明によれば、瘢痕形成を抑制するのに必要とされる、式Iで示される化合 物の個々の経口用量は、病態の重篤度、投与経路、および関連要因に依存し、こ れらは担当医師により決定されるであろう。通例、容認される一日の有効経口用 量は、約0.1〜約1000mg/日、さらに一般的には約50〜約200mg/日 であろう。そのような投薬量を毎日1回〜約3回、必要ならばそれ以上の回数で 、十分な期間、そのような抑制を必要とする対象者に投与して、瘢痕形成を有効 に抑制するであろう。 ピペリジノ環のような塩基性基を有する医薬品を投与する際はいつもそうであ るように、通常、式Iで示される化合物を酸付加塩の形態で投与するのが好まし い。そのような目的には、以下の形態を利用することができる。 製剤例 以下の製剤例において、「活性成分」とは、式Iで示される化合物を意味するc 製剤例1 :ゼラチンカプセル剤 以下の成分を用いて、ゼラチン硬カプセル剤を製造する。 各成分を混合し、No.45メッシュU.S.の篩にかけて、ゼラチン硬カプセルに 充填する。 製造されたラロキシフェンのカプセル製剤の具体例には、以下に示すものが含 まれる。製剤例2 :ラロキシフェンカプセル剤 製剤例3:ラロキシフェンカプセル剤 製剤例4:ラロキシフェンカプセル剤 製剤例5:ラロキシフェンカプセル剤 上記の特定の製剤は、与えられた穏当な変化に応じて変更してよい。 以下の成分を用いて、錠剤を製造する。製剤例6 :錠剤 各成分を混合し、圧縮して錠剤を成形する。 あるいはまた、活性成分を各々0.1−1000mg含む錠剤を、以下のように して製造する。製剤例7 :錠剤 活性成分、デンプン、およびセルロースをNo.45メッシュU.S.の篩にかけて 、完全に混合する。その結果得られた粉末とポリビニルピロリドン溶液とを混合 した後、これをNo.14メッシュU.S.の篩にかける。このようにして製造した 顆粒を50℃〜60℃で乾燥し、No.18メッシュU.S.の篩にかける。次いで 、あらかじめNo.60メッシュU.S.の篩にかけておいたカルボキシメチルデン プンナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、およびタルクを顆粒に加え、混合 した後、これを打錠機で圧縮して、錠剤を得る。 5ml用量につき、活性成分を各々0.1−1000mg含む懸濁液剤を、以下の ようにして製造する。製剤例8 :懸濁液剤 活性成分をNo.45メッシュU.S.の篩にかけ、カルボキシメチルセルロースナ トリウムおよびシロップと混合して、滑らかなペーストとする。安息香酸溶液、 香料、および着色料を少量の水で希釈して、撹拌しながら加える。次いで、十分 に水を加え、所望の容量とする。 以下の組成物を製造する。製剤例9 製剤例10 以下の組成物を製造する。 製剤例11 以下の組成物を製造する。 製剤例12 以下の組成物を製造する。 製剤例9−12は、ゲル剤の形態をとる。製剤例13 以下の組成物を製造する。 製剤例14 以下の組成物を製造する。 製剤例15 以下の組成物を製造する。 製剤例16 以下の組成物を製造する。 製剤例13、14、15、および16は、ローション剤の形態をとる。製剤例17 以下の組成物を製造する。 〈製剤例18〉 以下の組成物を製造する。 製剤例17および18は、スティック剤の形態をとる。 アッセイ アッセイ1 Shahら、「Control of Scarring in Adult Wounds by Neutralizing A ntibody to Transforming Growth Factor β」、The Lancet、339、1 992年1月25日により報告された成体のラットを使用する。5〜50匹の成 体の雄のSprague Dawleyラット(200−250g)をハロタン、亜酸化窒素 、および酸素吸入で麻酔する。正中線から等距離にあって、3つの肢に隣接した 背側皮膚に対して、長さ10mmおよび皮筋層の深さまでの切開を3つ行う。最大 量の肉芽組織および瘢痕形成を生ずるという第二の目的によって、創傷を縫合し ないまま放っておく。各々のラットにおいて、1つの創傷(対照)は操作せず、1 つ(偽の対照)は関係ない抗体(ウサギ IgG)を注入して、1つ(正の対照)は式 Iで示される化合物を注入する。0−2日目に、リン酸塩で緩衝化した生理食塩 水中の100μlの注入物を各々の創傷に毎日導入した。創傷の尾端から0.5c m離れた1つの入口点を通し、各々の創縁の長さに沿って、流体を浸潤させた。 創傷後、7、14、28、42、70および168日目に各々、少なくとも5匹 のラットを過用量のクロロホルムにより死亡させる。組織学/免疫細胞化学およ びテンシオメトリーまたは生化学分析のために、創傷を二等分する。各々の染色 処置のために、各々の創傷の至る所でランダムに選択された位置から得られる切 片を分析する。 テンシオメトリーに関して、1またはそれ以上のダンベル形をなすストリップ (strips)を、中心(創傷)で幅0.3cmおよび長さ3.0cmのテンプレートと共に 、各々の創傷の長軸に対して垂直に切断する。創傷および周囲の正常な皮膚を、 下にある筋肉および脂肪から離して顕微解剖する。そのストリップを全ての創傷 における同一部位から切断する。500Nのロードセルを用いるRDP Howden 引張試験装置において、各々のストリップを直ちに、20mm/分の割合で停止す るまで伸長する。創傷の厚さをマイクロメーターで測定する。 生化学分析の場合は、個々の創傷または正常な皮膚の試料を、下にある脂肪お よび筋肉から離して注意深く顕微解剖し、迅速に凍結して、凍結乾燥させる。乾 燥させた試料の重さを量り、ヒドロキシプロリン含量を測定して、これがヒドロ キシプロリンを16.6%含むと仮定することにより、コラーゲンの量を計算す る。アッセイ2 5〜50人の患者を臨床試験のために選ぶ。患者は、小さな破傷または創傷を 患っているが、その他の点では健常である。これらの疾患の特異的および主観的 性質から、その試験には、プラセボ対照グループが存在する、すなわち、患者を 2つのグループに分け、一方のグループには、式1で示される化合物を活性物質 として投与して、他方には、プラセボを投与する。試験グループの患者には、経 口経路により、1日当たり50−200mgの薬物を投与する。この治療を1−3 カ月間続ける。両方のグループにおける症状の数および重篤度に関して正確に記 録し続け、試験が終了した時点で、これらの結果を比較する。結果を各々のグル ープのメンバー間でも共に比較して、各々の患者に関する結果もまた、研究を開 始する前に各々の患者から報告された症状と比較する。アッセイ3 5〜50人の患者を臨床試験のために選ぶ。患者は、約6週間経てば外科手術 を受ける予定である。これらの疾患の特異的および主観的性質から、その試験に は、プラセボ対照グループが存在する、すなわち、患者を2つのグループに分け 、一方のグループには、式1で示される化合物を活性物質として投与して、他方 には、プラセボを投与するが、手術の約6週間前に投与を開始する。試験グルー プの患者には、経口経路により、1日当たり50−200mgの薬物を投与する。 この治療を2−4カ月間続ける。両方のグループにおける症状の数および重篤度 に関して正確に記録し続け、試験が終了した時点で、これらの結果を比較する。 結果を各々のグループのメンバー間でも共に比較して、各々の患者に関する結果 もまた、研究を開始する前に各々の患者から報告された症状と比較する。 式Iで示される化合物の有用性は、それらが上記アッセイの少なくとも1つに おいて有するプラスの効果により示される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M K,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO ,RU,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM, TT,UA,UG,US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.瘢痕形成を抑制する方法であって、式: [式中、 2はピロリジノ、ヘキサメチレンイミノ、およびピペリジノよりなる群から 選択される] を有する化合物または薬学上許容され得るそれらの塩もしくは溶媒和物の有効量 を、そのような抑制を必要とするヒトに投与することからなる方法。 2.該化合物がそれらの塩酸塩である、請求項1に記載の方法。 3.該化合物が またはその塩酸塩である、請求項1に記載の方法。
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