JPH10502389A - ポリマー粒子分散物を含有する化粧品用組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 組成物、特に、皮膚の手入れおよび／またはメークアップに使用される化粧品用、皮膚病用、洗浄用、または製薬用組成物を開示する。該組成物は、脂肪物質中へにポリマー粒子が分散した分散物を含有する成形製品またはコンパクトパウダーの形態であってよく。このような組成物に、上記分散物を使用することも開示する。

Description

【発明の詳細な説明】 ポリマー粒子分散物を含有する化粧品用組成物 本発明は、化粧品用、皮膚病用、製薬用または衛生用組成物、特に、成形製品 、コンパクトパウダー、または、化粧品的に許容可能な任意の他の形態をなし、 液状の脂肪物質中へのポリマー粒子の分散物を含有する、皮膚のメークアップお よび／または手入れ用の組成物、並びに、化粧品用組成物に、このような分散物 を使用することに関する。 リップベース、棒状口紅、またはファンデーションのような、メークアップま たは手入れ用製品として、皮膚または唇に適用されうる化粧品用または皮膚病用 組成物は、一般的に、脂肪物質類、例えば、ロウ、油、顔料、および／またはフ ィラー、あるいは添加剤を含有する。組成物中に存在するロウの量が多くなれば なるほど、この組成物のコンシステンシーは堅くなり、よって、棒状形態への使 用が許容されることは公知である。例えば、また、ブラシを使用して適用するこ とのできる、柔らかくペースト状の形態の組成物も知られている。一般的に、こ れらの組成物は、少量の、ロウおよびペースト状および／または油性型の脂肪物 質を含有している。適用に適切な粘度およびコンシステンシーの組成物を得るた めに、一般的に、多量のペースト状の脂肪物質が存在している。しかしながら、 これらの組成物は、ある種の移動能力、すなわち、皮膚、特に、唇のまわりのコ ジワに広がる傾向があり、美的に好ましくない影響を生じることが観察されてい る。この移動は、部分的に、油性またはペースト状の脂肪物質の存在により生じ るものである。よって、皮膚に適用後、経時的に、ほとんど移動のない組成物が 必要とされている。 本出願人は、全く驚くべきことに、化粧品用、皮膚病用、製薬用または衛生用 の組成物に、発明の分散物を使用すると、非常に良好な適用感があると同時に、 経時的にほとんど移動がなく、非常に良好な保持力のある皮膜を得ることが可能 であることを見いだした。このことは、特に、分散物のポリマーが、非皮膜形成 ポリマー、特に架橋したものである場合にしかりである。 さらに、発明の組成物には、カムフラージュにより、皮膚のコジワを首尾良く 緩和することができるものもあることが知見された。実際、女性、また男性でさ え、現在は可能な限り長く若く見えたいと願う傾向にあり、従って、特に、シワ およびコジワとして表れる、皮膚の加齢の徴候を緩和することが探究されている 。皮膚に作用する活性剤を含有する化粧品組成物で、前記シワおよびコジワを処 理する、例えば、保湿する、または細胞の再生を改善する、または皮膚組織を構 成するコラーゲンの合成を促進させることによって、コジワの出現に抗しようと することは普通のことである。他の可能性は、既に形成されているコジワをカム フラージュまたはマスキングする、例えば、ファンデーションや薄付きのクリー ムのようなメークアップ製品を使用することからなる。 しかしながら、本出願人は、驚くべきことに、また予期しないことに、皮膚に 適用される組成物に、液状の脂肪物質への界面安定化非皮膜形成ポリマー粒子の 分散物を使用すると、既に形成されているシワおよびコジワの「カムフラージュ 」を改善できることを見いだした。 この説明に限られるものではないが、組成物が適用されると、脂肪物質中の分 散物のポリマー粒子が皮膚のコジワに浸透し、よって、顔が静止しているときに それらをカムフラージュすることが考えられる。皮膚が変形した場合、例えば、 顔を動かしている間には、皮膜を形成しないポリマー粒子の分散物は、顔の動き に追従する。分散物の脂肪物質は、その機能は、特に、粒子同士を結合させるこ と、並びに、コジワの「縁（lips）」と称されているコジワの端部にそれらを結 合させることにあるが、顔を動かしてる間、コジワの縁とポリマー粒子との間の 付着および密着を確保し、顔が動いている時、前記コジワをある程度柔軟化させ る。 十分に皮膜形成をなすポリマーの油性分散物の使用は、粒子の癒着により得ら れた皮膜が、顔が動いている間に、所望の効果を得るために、十分に容易にすば やく変形することができないものであれば、不適切であることに留意すべきであ る。 さらに、非皮膜形成ポリマーの水性分散物の使用も不適切である。この場合は 、分散物に含有する水分の多くが、皮膚に吸収されることが観察されている、と いう理由によるものである。この結果、ポリマー粒子は、もはや、互いに、およ び／またはコジワの縁と結合しなくなり、よって、所望の効果を得ることは不可 能になる。 発明の分散物の場合、少量の脂肪物質は皮膚に吸収され得る。しかしながら、 分散物に残存している量は、良好な密着および付着性を得るのに十分であり、よ って、コジワの柔軟化に適切である。 さらに、本出願人は、驚くべきことに、また予期しないことに、眼用のメーク アップ用組成物に、球形の界面安定化ポリマー粒子の油性分散物を使用すると、 特に顕著にまつげを長くし被覆し、組成物に良好な水残存性を付与することが可 能になることを見いだした。 これらの組成物の目的は、まつげをおそらくはトリートメントおよび／または 保護しながら、それらを美しくし、着色し、長くし、および／または大きくする ことができる皮膜をまつげに配することにより、まつげを美しくすることにある 。 最後に、本出願人は、驚くべきことに、また予期しないことに、球形の界面安 定化ポリマー粒子の油性分散物を使用することで、多量の微粉状の化合物を含有 する組成物の圧密化を改善できることを見いだした。 実際、組成物、特に、圧密化して得られる、いわゆるコンパクトパウダーの形 態の、化粧品用、皮膚病用、製薬用または衛生用の組成物は公知である。これら は、一般的に、主として、固体状の粒子と脂肪結合剤からなる無水組成物で、圧 縮により成形される。特に、アイシャドウやメークアップルージュを挙げること ができる。しかしながら、最終組成物は、十分に均質で、手に取るのに良好な程 度に圧密化され、さらに、特に衝撃に起因する割れから保護されなければならな いので、このような組成物の開発には多くの問題がある。 発明の組成物の使用により、貯蔵において安定で、良好な密着性を有する、コ ンパクトパウダーの形態の組成物が得られうるので、圧密化された製品が容易に 砕けることを回避することが可能になる。 よって、発明の主題は、液状の脂肪物質中への界面安定化ポリマー粒子の分散 物を含有することを特徴とする、脂肪物質と微粉状の化合物を有する化粧品用組 成物にある。また、発明の主題は、化粧品的、皮膚科学的、衛生的または製薬的 に許容可能な液状の脂肪物質中への架橋界面安定化ポリマー粒子の分散物を含有 することを特徴とする、少なくとも１つのロウを含有する成形製品形態の組成物 にある。 さらに、発明の主題は、化粧品的、皮膚科学的、製薬的または衛生的に許容可 能な液状の脂肪物質中への界面安定化ポリマー粒子の分散物を含有することを特 徴とする、脂肪結合剤と微粉状の化合物を有するコンパクトパウダー形態の組成 物にある。 またさらに、発明の主題は、化粧品的、皮膚科学的、衛生的または製薬的に許 容可能な非揮発性で液状の脂肪物質中への非皮膜形成界面安定化ポリマー粒子の 分散物を含有することを特徴とする組成物であって、該分散物の固体含有量が少 なくとも１５重量％であるものにある。 発明の他の主題は、まつげの長さの増大性、および／または組成物の水残存性 を改良するために、液状の脂肪物質中への界面安定化ポリマー粒子の分散物を、 脂肪物質と微粉状の化合物を含有する眼のメークアップ用の化粧品用組成物に使 用することにある。 また、他の主題は、皮膚のコジワに組成物の成分が入り込むことを緩和するこ とを目的とし、および／または組成物の保持力を改善することを目的として、化 粧品的、皮膚科学的、製薬的または衛生的に許容可能な液状の脂肪物質中への非 皮膜形成界面安定化ポリマー粒子の分散物を、少なくとも１つのロウを含有する 成形製品形態の組成物に使用することにある。 さらに、他の主題は、組成物の圧密化を容易にすることを目的として、化粧品 的、皮膚科学的、製薬的または衛生的に許容可能な液状の脂肪物質中への界面安 定化ポリマー粒子の分散物を、脂肪結合剤と微粉状の化合物を含有するコンパク トパウダー形態の組成物に使用することにある。 またさらに、他の主題は、皮膚のシワおよび／またはコジワを緩和することを 目的として、化粧品的、皮膚科学的、衛生的または製薬的に許容可能な非揮発性 で液状の脂肪物質中への、非皮膜形成界面安定化ポリマー粒子の分散物を、化粧 品用、皮膚病用、製薬用または衛生用組成物に使用することであって、該分散物 の固体含有量が少なくとも１５重量％であるものにある。 発明の粒子分散物を使用する利点は、粒子が脂肪物質中で塊を形成することな く、初期の形態を維持していることであり、ナノメーターサイズの無機粒子の場 合にはなかったことである。 さらに、このような分散物の他の利点は、随意に、粒子の大きさを決定する、 並びに、合成中にそれらの粒径多分散性（size polydispersity）を変化させる ことが可能であることである。このように、皮膚に適用したとき、および組成物 中にあるときに、眼で見ることのできない非常に小さい粒子を得ることができる 。これは、粒子形態の顔料では、粒子の平均径を変化させることはできないので 、不可能である。 さらに、皮膚、半粘膜（semi-mucous）または粘膜に展伸される、発明の組成 物は、特に、皮膚への付着性および展伸性において有利であり、また、好ましい 、クリーミィーな感触を有することが知見されている。 このように、発明の組成物は、化粧品的および／または皮膚科学的に許容可能 な液状の脂肪物質中への、少なくとも１つの界面安定化ポリマーの略球形粒子の 分散物を含有する。 これらの分散物は、特に、脂肪物質に、ポリマーのナノ粒子が安定して分散し た形態でありうる。ナノ粒子は、好ましくは、５〜６００ｎｍの大きさであり、 ６００ｎｍを越えると、粒子の分散物の安定性が低下し得る。 本願で使用されるポリマーは、如何なる性質のものであっても良い。よって、 ラジカルポリマー、重縮合物または天然由来のポリマーでさえ使用することがで きる。ポリマーは、組成物に所望される二次的用途により、その特性に基づいて 、当業者により選択することができる。 よって、ポリマーは、皮膜を形成するもの、または皮膜を形成しないものであ ってよく；第２のケースにおいては、特に、架橋した形態のポリマーとすること ができる。 このように、好ましくは、室温以下の、低いガラス転移温度（Ｔｇ）を有する 、皮膜形成ポリマーを使用することができる。このようにして、支持体に適用し た場合に、皮膜を形成しうる分散物が得られるが、これは、従来の無機顔料の分 散物を使用した場合にはなかったものである。 また、架橋されていてもよく、油中に安定して分散するフィラーとして使用さ れうる、非皮膜形成ポリマーを使用することもできる。使用されるポリマーは、 皮膚に適用されたときの、皮膜の形成を防止するように、架橋されている。架橋 は、当業者に公知の任意の手段で行われてよい。架橋剤はラジカル重合において 公知の任意の架橋剤、特に、二または多官能架橋剤、例えば、エチレングリコー ルジメタクリラートまたはジビニルベンゼンから選択されたものであってよい。 本発明において使用可能なポリマーは、好ましくは、平均分子量が約２０００ 〜１０００００００で、ガラス転移温度が−１００℃〜３００℃のものである。 所望される用途において、ポリマーがあまりに高いＴｇを有している場合は、 使用される混合物のＴｇを低下させるために、可塑剤を組み合わせてもよい。可 塑剤は、適用される分野で通常使用されている可塑剤、特に、ポリマーの溶剤と なり得る化合物から選択することができる。 架橋していない皮膜形成ポリマーとしては、アクリルまたはビニルのラジカル コポリマーまたはホモポリマー、好ましくは、３０℃以下のガラス転移温度を有 するものを挙げることができる。 非皮膜形成ポリマーとしては、ビニルまたはアクリルのラジカルコポリマーま たはホモポリマーを挙げることができ、これらは、架橋されていてもよく、好ま しくは、Ｔｇが４０℃以上のもの、例えば、ポリメチルメタクリラート、ポリス チレン、またはポリ−tert−ブチル−アクリラートである。 ポリマー粒子が分散させられる液状の脂肪物質は、それらが均質で、安定した 混合物であり、意図する使用において融和性がある限りは、特に、炭素をベース としたもの、炭化水素、鉱物性、動物性、植物性または合成由来のフッ化および ／またはシリコーン油の単独物または混合物から選択される化粧品的または皮膚 科学的に許容可能な油からなるものであってよい。 液状の脂肪物質という用語は、室温で液体である任意の非水性媒体を指すもの と解される。 このようなものとしては、炭化水素油、例えば、流動パラフィンまたは流動ワ セリン；ミンク油、カメ油、大豆油、ペルヒドロスクワレン；アルモンド油；カ ロフィルム（calophyllum）油、ヤシ油、ブドウ種（grapeseed）油、ゴマ油、コ ーン油、菜種油、ヒマワリ油、綿油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリー ブ油または穀類胚芽（cereal germ）油；ラノリン酸、オレイン酸、ラウリル酸 、またはステアリン酸のエステル；脂肪エステル、例えば、ミリスチン酸イソプ ロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル 、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、２−エチルヘキシルパ ルミタート、２−ヘキシルデシルラウラート、２−オクチルデシルパルミタート 、２−オクチルドデシルミリスタートまたはラクタート、２−ジエチルヘキシル スクシンナート、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル またはジグリセリル；高級脂肪酸、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ アリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、またはイソステア リン酸；高級脂肪アルコール、例えば、セタノール（cetanol）、ステアリルア ルコール、またはオレイルアルコール、リノレイル（linoleyl）またはリノレニ ル（linolenyl）アルコール、イソステアリルアルコール、またはオクチルドデ カノール；シリコーン油、例えば、PDMS類、フェニル化されていてもよいもの、 例えば、フェニルトリメチコーン、または脂肪族および／または芳香族基で置換 されていてもよく、フッ化されていてもよく、または官能基、例えば、ヒドロキ シル基、チオールおよび／またはアミン基で置換されていてもよいもの；脂肪酸 、脂肪アルコール、またはポリオキシアルキレンで変性したポリシロキサン、フ ルオロシリコーン、およびペルフルオロ油を挙げることができる。また、揮発性 の油、例えば、シクロテトラジメチルシロキサン、シクロペンタジメチルシロキ サン、シクロヘキサジメチルシロキサン、およびメチルヘキシルジメチルシロキ サンまたはイソパラフィン、例えば「ISOPARs」、特に、イソドデカンを使用し てもよい。 発明の特定の一実施態様において、液状の脂肪物質は、 −ハンセンの溶解スペースによる包括的溶解パラメータが１７（ＭＰａ）^1/2未 満の非水性液状化合物、 −または、ハンセンの溶解スペースにより包括的である包括的溶解パラメータが ２０（ＭＰａ）^1/2以下のモノアルコール、 −または、それらの混合物、 からなるグループから選択される。 ハンセンの溶解スペースによる、包括的溶解パラメータδは、エリックエー． グラルケ（Eric A．Grulke）の「ポリマーハンドブック」第３版、ＶＩＩ章、５ １９−５５９頁の文献にて、次の関係： δ＝（ｄ_D ²＋ｄ_p ²＋ｄ_H ²）^1/2 ［上式中、 −ｄ_Dは、分子衝突中に誘発される双極子の形成により生じるロンドンの分散力 を特性付け、 −ｄ_pは、永久双極子間の相互作用のデバイ力を特性付け、 −ｄ_Hは、（水素結合、酸／塩基、供与体／受容体等の型の）相互作用の特定の 力を特性付ける］ と定義されている。 ハンセンによる３次元の溶解スペースにおける溶媒の定義は、シー．エム．ハ ンセン（C.M．Hansen）の「３次元の溶解パラメータ」J．Paint Technol．３９ 、１０５（１９６７）の文献に記載されている。 １７（ＭＰａ）^1/2以下の、ハンセンの溶解スペースによる包括的な溶解パラ メータを有する非水性の液状の脂肪物質としては、ポリオールの脂肪酸エステル 、特に、トリグリセリドから形成される植物性油、例えば、ヒマワリ油、ゴマ油 、または菜種油、または長鎖（すなわち、６〜２０の炭素原子を有する）のアル コールまたは酸から誘導されるエステル、特に、Ｒが、７〜１９の炭素原子を有 する高級脂肪酸残基を表し、Ｒ’が、３〜２０の炭素原子を有する炭化水素鎖を 表す、式ＲＣＯＯＲ’のエステル、例えば、パルミチン酸エステル、アジピン酸 エステル、および安息香酸エステル、特に、アジピン酸ジイソプロピルを挙げる ことができる。また、炭化水素、特に、流動パラフィン、流動ワセリン、または 水素化ポリイソブチレン、イソドデカン、または、「ISOPARs」、揮発性のイソ パラフィンを挙げることができる。また、シリコーン油、例えば、脂肪族および ／または芳香族基で置換されていてもよく、フッ化されていてもよく、または官 能基、例えば、ヒドロキシル基、チオールおよび／またはアミン基を有してもよ い、 ポリメチルフェニルシロキサン、およびポリジメチルシロキサン、揮発性のシリ コーン油、特に環式のものを挙げることができる。さらに、（ｉ）６を越える炭 素原子を有する、直鎖状、分枝状または環式のエステル、（ｉｉ）６を越える炭 素原子を有するエーテル、（ｉｉｉ）６を越える炭素原子を有するケトン：から 選択される、単一の溶媒、または溶媒の混合物を挙げることができる。２０（Ｍ Ｐａ）^1/2以下の、ハンセンの溶解スペースによる包括的な溶解パラメータを有 するモノアルコールという表現は、少なくとも６の炭素原子を有し、炭化水素鎖 が置換基を含有していない脂肪族脂肪モノアルコールを指すものであると解され る。発明のモノアルコールとしては、オレイルアルコール、デカノール、ドデカ ノール、オクタデカノール、およびリノレイルアルコールを挙げることができる 。 非水性媒体は、以下に示すように、安定剤の性質、および／またはポリマーを 構成するモノマーの性質に基づいて、当業者により選択される。 一般的に、発明の分散物は、実施例に示す、以下の方法により調製されうる。 重合は、分散物中でなされうる。すなわち、形成されたポリマーは沈殿し、こ のものは、安定剤で形成された粒子により保護されている。よって、最初のモノ マー並びにラジカル開始剤を含有する混合物が調製される。この混合物は、本明 細書の以下の記載において「合成溶媒」と称される溶媒に溶解される。 脂肪物質が、非揮発性の油である場合、重合は、無極性の有機溶媒（合成溶媒 ）中で行われ、続いて非揮発性の油（上記合成油との混和性を有するものでなけ ればならない）が添加され、合成溶媒が選択的に蒸留される。 このように、合成溶媒は、最初のモノマーおよびラジカル開始剤がそこで溶解 し、得られたポリマー粒子はそこに不溶であり、ポリマー粒子が形成されると、 そこに沈殿するように、選択される。 特に、合成溶媒は、アルカン類、例えば、ヘプタンまたはシクロヘキサンから 選択することができる。 選択される脂肪物質が揮発性の油である場合、重合は、合成溶媒としてまた作 用する該油中で直接行われる。また、モノマー、並びにラジカル開始剤はそこに 溶解するものでなければならず、得られたポリマーは、そこに不溶のものでなけ ればならない。 モノマーは、好ましくは、重合前の合成溶媒中に、５−２０重量％の割合で存 在している。モノマーは、全て、反応開始前に溶媒中に存在していてもよく、ま た、モノマーの一部が、重合反応進行中に添加されてもよい。 ラジカル開始剤は、特に、アゾビスイソブチロニトリル、または２−tert−ブ チルペルオキシエチルヘキサノアートであってよい。 ポリマー粒子が重合中に形成されると、連鎖状のポリマー、グラフトしたポリ マー、および／またはランダムポリマーの単独物または混合物でありうる安定剤 により、それらは、界面が安定したものとなる。 安定化は、任意の公知の手段、特に、重合中に連鎖状のポリマー、グラフトし たポリマー、および／またはランダムポリマーを直接添加することにより行われ うる。 また、安定剤は、好ましくは、重合前の混合物に存在する。しかしながら、特 に、モノマーが連続的に添加される場合、安定剤も連続的に添加することは可能 である。 安定剤は、最初のモノマー混合物に対し、２−３０重量％、好ましくは、５− ２０重量％使用される。 連鎖状ポリマーおよび／またはグラフトしたポリマーが、安定剤として使用さ れる場合、合成溶媒は、該安定化ポリマーの連鎖状部またはグラフト部の少なく とも一部が該溶媒に可溶であり、連鎖状部またはグラフト部の他の部分がそれに 不溶であるようなものから選択される。 前記安定化ポリマーの不溶性の部分は、重合中に形成されたポリマー粒子の表 面に吸着する。 重合中に使用される安定化ポリマーは、合成溶媒および脂肪物質に分散または 溶解するものでなければならない。 さらに、安定剤の不溶性のグラフト部または連鎖状部が、重合中に形成される ポリマーとある程度の親和力を有するものが、好ましく選択される。グラフトし たポリマーとしては、炭化水素鎖を有するグラフトしたシリコーンポリマー；シ リコーン鎖を有するグラフトした炭化水素ポリマー；例えば、ポリヒドロキシス テアリン酸型の可溶性のグラブト部と、ポリアクリル型の不溶性の骨格を有する グラフトしたコポリマーを挙げることができる。 少なくとも１つのポリオルガノシロキサン型のブロックと少なくとも１つのラ ジカルポリマーのブロックを含有する、連鎖状またはグラフトしたブロックコポ リマーとしては、特に、非水性媒体がシリコーンを含有する場合に使用されうる 、アクリル／シリコーン型のグラフトしたコポリマーを挙げることができる。 少なくとも１つのポリオルガノシロキサン型のブロックと少なくとも１つのポ リエーテルを含有する、連鎖状またはグラフトしたブロックコポリマーとしては 、ジメチコーンのコポリオール、例えば、ダウコーニング（Dow Corning）社か ら「ダウコーニング ３２２５Ｃ」の名称で販売されているもの、およびラウリ ルメチコーン、例えば、ダウコーニング社から「ダウコーニング Ｑ２−５２０ ０」の名称で販売されているものを使用してよい。 Ｃ₁−Ｃ₄のアルコールのアクリラートまたはメタクリラート、およびＣ₈−Ｃ_{3 0} のアルコールのアクリラートまたはメタクリラートのコポリマーとしては、メ タクリル酸ステアリル／メタクリル酸メチルのコポリマーを使用してよい。 水素化または非水素化ジエンの重合により生じる少なくとも１つのブロックと 少なくとも１つのビニルポリマーのブロックを含有する、連鎖状またはグラフト したブロックコポリマーとしては、連鎖状のコポリマー、特に、ポリスチレン／ コポリ（エチレン−ブチレン）型、またはシェルケミカル（Shell Chemical）社 から「ケラトン（Kraton）」の名称で販売されているような、ポリスチレン／コ ポリ（エチレン−プロピレン）型、またはＢＡＳＦ社から「ルビトール（Luvito l）ＨＳＢ」の名称で販売されているような、ポリスチレン／ポリブタジエン型 、またはポリスチレン／ポリイソプレン型の「ジブロック」または「トリブロッ ク」型のものを挙げることができる。 水素化または非水素化ジエンの重合により生じる少なくとも１つのブロックと 少なくとも１つのアクリルポリマーのブロックを含有する、連鎖状またはグラフ トしたブロックコポリマーとしては、二連または三連の、ポリイソブチレングラ フトを含有し、ポリ（メタクリル酸メチル）を含有する、ポリ（メタクリル酸メ チル）／ポリイソブチレンのコポリマー、またはグラフトしたコポリマーを挙げ ることができる。 水素化または非水素化ジエンの重合により生じる少なくとも１つのブロックと 少なくとも１つのポリエーテルのブロックを含有する、連鎖状またはグラフトし たブロックコポリマーとしては、二連または三連の、ポリオキシエチレン／ポリ ブタジエンまたはポリオキシエチレン／ポリイソブチレンのコポリマーを挙げる ことができる。 ランダムポリマーが安定剤として使用される場合、それは、考慮される合成溶 媒中に溶解させるのに十分な量の基を有するものから選択される。 よって、Ｃ₁−Ｃ₄のアルコールのアクリラートまたはメタクリラート、および Ｃ₈−Ｃ₃₀のアルコールのアクリラートまたはメタクリラートのコポリマーを使 用することができる。特に、メタクリル酸ステアリル／メタクリル酸メチルのコ ポリマーを挙げることができる。 合成溶媒が無極性である場合、安定剤として、好ましくは、粒子をほぼ完全に 被覆するポリマーが選択され、ついで、いくつかの安定化ポリマー鎖が重合によ り得られたポリマー粒子に吸着する。 この場合、より良好な界面活性を有するため、連鎖状のポリマーまたはグラフ トしたポリマーを安定剤として使用することが好ましい。これは、合成溶媒に不 溶の連鎖状部またはグラフト部が、粒子の表面の大部分を被覆するようになるか らである。 さらに、液状の脂肪物質が、少なくとも１つのシリコーン油を含有する場合、 安定剤は、好ましくは、少なくとも１つのポリオルガノシロキサン型のブロック および少なくとも１つのラジカルポリマーまたはポリエーテルまたはポリエステ ルのブロックを含有する、連鎖状またはグラフトしたブロックコポリマーからな るグループから選択される。液状の脂肪物質が、シリコーン油を含有しない場合 、安定剤は、好ましくは、 −（ａ）少なくとも１つのポリオルガノシロキサン型のブロックおよび少なくと も１つのラジカルポリマーまたはポリエーテルまたはポリエステルのブロックを 含有する、連鎖状またはグラフトしたブロックコポリマー、 −（ｂ）Ｃ₈−Ｃ₃₀のアルコールのメタクリラートまたはアクリラート、および Ｃ₁−Ｃ₄のアルコールのメタクリラートまたはアクリラートのコポリマー、 −（ｃ）水素化または非水素化ジエンの重合により生じる少なくとも１つのブロ ック、およびポリエステルまたはポリエーテルまたはビニルまたはアクリルポリ マーの少なくとも１つのブロック、またはそれらの混合物を含有する、連鎖状ま たはグラフトしたブロックコポリマー： からなるグループから選択される。 発明で得られた分散物は、組成物、特に、化粧品用、製薬用および／または衛 生用組成物、例えば、皮膚またはケラチン物質をメークアップする、または手入 れするための組成物、または髪用組成物、または日光組成物に使用されうる。 用途により、揮発性または非揮発性油への皮膜形成または非皮膜形成ポリマー 分散物の使用を選択することができる。 考慮される用途により、発明の組成物は、この分野に使用される通常の成分を 、所望の製薬の形態に適した量、含有することができる。 特に、組成物は、シリコーンをベースとした、または植物性、動物性、鉱物性 または合成由来の、ペースト状の脂肪物質、ロウ類、油類、および／またはガム 類から選択される付加的な脂肪物質、分散物以外の液状の脂肪物質、および／ま たは微粉状の化合物を含有してもよい。 しかしながら、特に、粒子の分散物に使用される油が、考慮される適用におい て十分な量であれば、他の脂肪物質を添加しないでおくことができる。 発明の組成物中に存在しうるロウとしては、炭化水素のロウ、例えば、ミツロ ウ；カルナウバロウ、キャンデリラロウ、オーリクリーロウ、モクロウ、コルク 繊維ロウ、またはサトウキビロウ；パラフィンロウ、褐炭ロウ；微晶（microcry stalline）ロウ；ラノリンロウ；モンタンロウ；オゾケライト；ポリエチレンロ ウ；フィッシャー−トロプシュの合成により得られるロウ；水素化された油、２ ５℃で固体のグリセリドおよび脂肪エステルを挙げることができる。また、シリ コーンロウを使用することもでき、このようなものとしては、ポリメチルシロキ サンのアルキル、アルコキシおよび／またはエステルを挙げることができる。ロ ウは、コロイド状のロウ粒子の安定した分散物の形態であってよく、公知の方法 、例えば、アカデミックプレス社から出版されている、エル．エム．プリンス（ L.M．Prince）の「マイクロエマルションの理論と実際」（1977）の21-32頁に 記載されている方法により調製されうる。 ロウは、特に、組成物がマスカラとして適用される場合は、該組成物に対して 、５−５０重量％の割合で存在する。 発明の組成物中に存在しうる油としては、炭化水素油、例えば、流動パラフィ ンまたは流動ワセリン；ペルヒドロスクワレン；アララ（arara）油；アルモン ド油；カロフィルム油、ヤシ油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油 または穀類胚芽油；ラノリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、またはステアリン酸 のエステル；アルコール、例えば、オレイルアルコール、リノレイルアルコール 、またはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、またはオクチルド デカノールを挙げることができる。また、シリコーン油、例えば、フェニル化さ れていてもよいPDMS類、例えば、フェニルトリメチコーンも挙げることができる 。さらに、揮発性の油、例えば、シクロテトラジメチルシロキサン、シクロペン タジメチルシロキサン、シクロヘキサジメチルシロキサン、メチルヘキシルジメ チルシロキサン、またはイソパラフィンを使用することもできる。 特に、組成物の適用を容易にするために、揮発性の脂肪物質を、それらに導入 してもよい。 発明の組成物がコンパクトパウダーとして適用される場合、通常、結合剤とし て呼称される脂肪相は、好ましくは組成物中に、２−２０重量％の割合で存在す る。 また、組成物は、化粧品用組成物に通常使用される、フィラーおよび／または 真珠光沢剤および／または顔料から選択される、微粉状の化合物を、例えば０− ９８重量％の割合で、さらに含有してもよい。顔料は、白色または有色で、無機 物および／または有機物であってよい。無機顔料としては、界面が処理されてい てもよい、二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、並びに、酸化 鉄または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水 和物（chromium hydrate）およびフェリックブルーを挙げることができる。 有機顔料としては、カーボンブラック、Ｄ＆Ｃ型の顔料、コチニールカルミン 、バリウム、ストロンチウム、カルシウムおよびアルミニウムをベースとしたレ ーキ類を挙げることができる。 真珠光沢剤は、白色の真珠光沢顔料、例えば、チタンまたはオキシ塩化ビスマ スで被覆されたマイカ、有色の真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄を有する雲母チタ ン、特に、フェリックブルーまたは酸化クロムを有する雲母チタン、上述した種 類の有機顔料を有する雲母チタン、およびオキシ塩化ビスマスをベースとした真 珠光沢顔料から選択されてよい。 フィラーは、無機物または合成物で、ラメラまたは球形であってよい。このよ うなものとしては、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロンパウダー、ポ リ−β−アラニンパウダーおよびポリエチレンパウダー、テフロン、ラウロイル リシン、デンプン、窒化ホウ素、テトラフルオロエチレンポリマーのパウダー、 中空のミクロスフェア、例えば、エクスパンセル（ノーベルインダストリー社） （Nobel Industrie）、ポリトラップ（polytrap）（ダウコーニング社）および シリコーン樹脂の微小ビーズ（microbead）［例えば、東芝のトスパール（Tospe arl）］、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびヒドロカーボナート、 ヒドロキシアパタイト、中空のシリカのミクロスフェア［マプレコス（Maprecos ）社のシリカビーズ］、ガラスまたはセラミックのマイクロカプセル；８〜２２ の炭素原子、好ましくは１２〜１８の炭素原子を含有する有機カルボン酸から誘 導される金属塩、例えば、ステアリン酸リチウム、マグネシウムまたは亜鉛、ラ ウリン酸亜鉛、およびミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。 また、組成物は、化粧品の分野で通常使用される任意の添加剤、例えば、増粘 剤、酸化防止剤、香料、防腐剤、化粧品用活性剤、保湿剤、ビタミン類、必須脂 肪酸、スフィンゴ脂質、サンスクリーン剤、界面活性剤、脂溶性のポリマー、例 えば、ポリアルキレン、特に、ポリブテン、ポリアクリラート、および脂肪物質 と融和性のあるシリコーンポリマーを含有してもよい。当業者であれば、考慮さ れる添加により、発明の組成物の有利な特性が、全くまたは実質的に悪影響を受 けないように留意して、添加可能な化合物、および／またはそれらの量を選択す ることは明らかである。 組成物の考慮される適用が、マスカラとして適用される場合、本発明の組成物 は、特に、溶媒とロウとの微小分散物（microdispersion）、溶液、または懸濁 液の形態、または無水の固体またはペーストの形態、または油性のゲルの形態で あ ってよい。実際、脂肪物質と界面安定化ポリマー粒子の分散物、および微粉状の 化合物、および脂肪物質を含有する、本発明の組成物を使用することにより、適 切に被覆されたまつげを得ることができ、該まつげは、結果として長くなり、水 中において良好な残存性を有する組成物を得ることができる。 発明の他の実施態様において、発明の組成物は、成形製品の形態で、化粧品的 、皮膚科学的、衛生的または製薬的に許容可能な液状の脂肪物質と、少なくとも １つのロウと、架橋した界面安定化ポリマー粒子との分散物を含有するものであ ってよい。組成物は、スティックまたはペンシル状の形態、または、２５℃で粘 性率が３−３０Ｐａ・ｓの柔軟なペースト状の形態であってもよい。それらは、 従来より共通した方法で調製された、成形製品の形態、または直接接触して、ま たはスポンジを使用して使うことのできる皿状（cupel）の形態であってもよい 。特に、それらは、成形ファンデーション、成形メークアップルージュまたはア イシャドウ、棒状口紅、または唇の手入れ用ベース、または手入れ用バルムとし て適用されることが見いだされている。 パウダー、特に、コンパクトパウダーの形態である場合、発明の組成物は、当 業者にとって通常の方法、特に、種々の成分を混合し、機械的に加圧して圧密化 することにより調製されてもよい。このようにして得られた組成物は、コンパク トパウダー状の外観、例えば、皿状、スティック状、または円柱状の形態、また は任意の他の複合形態を有するものである。本発明の組成物は、製薬用または衛 生用組成物、例えば、ボディパウダー、ベビーパウダー、または制汗用パウダー の形態であってよい。また、メークアップ用製品、例えば、メークアップルージ ュまたはアイシャドウ、ほほ紅、またはフェイスパウダーの形態であってもよい 。 さらに、発明の組成物は、特に、油性のゲル、油性の液体または油、ペースト 、スティックまたはエアゾールの形態、またはイオン性および／または非イオン 性の脂質を含有する小胞体分散物の形態であってもよい。これらの製薬的形態は 、考慮される分野における通常の方法で調製される。これら局所適用用の組成物 は、特に、顔、首、手またはボディの保護、トリートメントまたは手入れ用の、 化粧品用、皮膚病用、衛生用または製薬用組成物（例えば、無水の手入れ用クリ ーム、サンオイルまたはボディゲル）、メークアップ用組成物（例えば、メーク アップゲル）、または人工的に日焼けした状態とする組成物を構成するものであ ってもよい。 以下、実施例にて、発明をより詳細に例証する。 実施例１ないし６は、油中へのポリマー粒子の分散物のいくつかの調製につい て記載している。 実施例７ないし１２は、発明の分散物を含有するメークアップ用組成物につい て記載している。実施例１ ｎ−ヘプタン３６０ｇと、ケラトン Ｇ１７０１（シェル）の名称で販売され ている、ポリスチレン／コポリ（エチレン−プロピレン）のジブロックコポリマ ー型の連鎖状の安定化ポリマー１５ｇとを混合する。 分散溶液を得るために、混合物を少なくとも３時間、約６０℃で加熱する。 ２５℃で、１９ｇのメタクリル酸メチル、１ｇのエチレングリコールジメタク リラート、０．４ｇの２−tert−ブチルペルオキシエチル−へキサノアート［ア クゾ（Akzo）社のトリゴノックス（Trigonox）２１Ｓ］、および５ｇのヘプタン を、混合物に添加する。 窒素下にて、混合物を７５℃で、少なくとも３時間加熱する。 ついで、７６ｇのメタクリル酸メチル、４ｇのエチレングリコールジメタクリ ラート、１．６ｇの２−tert−ブチルペルオキシエチル−ヘキサノアート（アク ゾ社のトリゴノックス ２１Ｓ）、および８０ｇのヘプタンの混合物を、７５℃ で、１．５時間かけて添加する。 添加の終わりに、混合物を８５℃で４時間加熱し、５ｇのヘプタンに、１ｇの トリゴノックスを溶解させたものを添加し、混合物を８５℃で、さらに７時間加 熱する。 固体含有量が１８．６重量％の、ミルク状の外観の安定した分散物が得られる 。 コールター Ｎ４ ＳＤ機で、準弾性光散乱により測定した粒子径の結果を以 下に示す： ・平均粒子径：１６０ｎｍ ・多分散性：０．１未満 ヘプタン中の上述した分散物５０ｇを、２８．５ｇの非揮発性流動パラフィン と混合する。ヘプタンは、ロータリーエバポレーターを使用して、選択的に蒸発 させる。 流動パラフィンに、エチレングリコールジメタクリラートと架橋したポリメチ ル−メタクリラートを含有する、固体含有量が２５重量％の、ミルク状の外観の 安定した分散物が得られる。実施例２ ヘプタンに代えて、分枝状で揮発性の流動パラフィン［エクスエキソン（Exxo n）社のイソパー（Isopar）Ｌ］を使用した他は、実施例１と同様の方法で、該 流動パラフィン イソパーＬと、エチレングリコールジメタクリラートと架橋し たポリメチルメタクリラートとの分散物を調製した。 このようにして、固体含有量が１９重量％で、平均粒子径が１５９ｎｍ（多分 散性：０．０５）の安定した分散物が得られる。実施例３ イソパー中の上述した分散物２０ｇを、１６．２ｇのシクロテトラジメチルシ ロキサン（揮発性のシリコーン油）と混合する。 エチレングリコールジメタクリラートと架橋したポリメチルメタクリラートを ３．８ｇ、揮発性の流動パラフィンを１６．２ｇ、および揮発性のシリコーン油 を１６．２ｇ含有してなるミルク状の外観を有する安定した分散物が得られる。実施例４ 実施例２のイソパー中の分散物２０ｇを、１６．２ｇのＣ₁₂−Ｃ₁₅の安息香酸 アルキル［ウィトコ（witco）社のフィンソルブ（Finsolv）ＴＮ］と混合する。 エチレングリコールジメタクリラートと架橋したポリメチルメタクリラートを ３．８ｇ、揮発性の流動パラフィンを１６．２ｇ、および揮発性のエステルを１ ６．２ｇ含有してなる、ミルク状の外観を有する安定した分散物が得られる。実施例５ ｎ−ヘプタン３６０ｇと、ケラトン Ｇ１７０１（シェル）の名称で販売され ている、ポリスチレン／コポリ（エチレン−プロピレン）のジブロックコポリマ ー型の連鎖状の安定化ポリマー１５ｇとを混合する。 分散溶液を得るために、混合物を少なくとも３時間、約６０℃で加熱する。 ２５℃で、２０ｇのメタクリル酸メチル、０．４ｇの２−tert−ブチルペルオ キシエチル−ヘキサノアート、および５ｇのヘプタンを、混合物に添加する。 窒素下にて、混合物を７５℃で、３時間加熱する。ついで、８０ｇのアクリル 酸メチル、１．６ｇの２−tert−ブチルペルオキシエチル−ヘキサノアート、お よび８０ｇのヘプタンの混合物を、７５℃で、１．５時間かけて添加する。 添加の終わりに、混合物を８５℃で４時間加熱し、５ｇのヘプタンに、１ｇの トリゴノックスを溶解させたものを添加し、混合物を８５℃で、さらに７時間加 熱する。 固体含有量が１９重量％の、ミルク状の外観の安定した分散物が得られる。 コールター Ｎ４ ＳＤ機で、準弾性光散乱により測定した粒子径の結果を以 下に示す： ・平均粒子径：２３０ｎｍ ・多分散性：０．１未満 ヘプタン中の上述した分散物５０ｇを、２８．５ｇの非揮発性流動パラフィン と混合する。ヘプタンは、ロータリーエバポレーターを使用して、選択的に蒸発 させる。 非揮発性の流動パラフィンに、ポリメチル−アクリラート（Ｔｇ＝１０℃）を 含有する、固体含有量が２５重量％の、ミルク状の外観の安定した分散物が得ら れる。実施例６ ヘプタンに代えて、分枝状で揮発性の流動パラフィン［エクスエキソン社のイ ソパー Ｌ］を使用した他は、実施例５と同様の方法で、該流動パラフィン イ ソパーＬと、ポリメチルアクリラートとの分散物を調製する。 このようにして、固体含有量が２０重量％で、平均粒子径が１９７ｎｍ（多分 散性：０．０６）の安定した分散物が得られる。 この分散物は皮膜を形成するものであり、乾燥後に連続した透明な皮膜が得ら れる。実施例７：防水処理が施されたマスカラ 次の方法により、組成物を調製する：Ａ相の成分を溶解し、そこに顔料を添加 し、混合する。Ｂ相の成分を共に混合して、Ａ相の成分に添加する。 Ａ相 ・パラフィンロウ １２ｇ ・ラノリンアルコール １５ｇ ・黒酸化鉄 ５ｇ Ｂ相 ・モンモリロナイト ８ｇ ・デンプン ２ｇ ・イソパラフィン ４５ｇ ・実施例１の分散物 ５ｇ 良好な化粧品特性を有するマスカラが得られる。実施例８ 以下の組成を有する柔らかなペースト状の形態の棒状口紅を調製する： ・ロウ（ミツロウおよびカルナウバロウ） ５ｇ ・油 ２０ｇ ・アセチル化ラノリン ２０ｇ ・ラノリン ３０ｇ ・フィラー １０ｇ ・顔料 １０ｇ ・実施例１の分散物 ５ｇ 完全に均質な混合物が得られるまで混合しながら、９５−１００℃で種々の成 分を加熱することにより組成物を調製する。 冷却後、適用が容易で、皮膜を形成し、好ましい適用感を有する棒状口紅が得 られる。 皮膜は数時間着用した後でも、皮膚のコジワに入り込まないことが観察される 。実施例９ 以下の組成を有するスティック状の形態の棒状口紅を調製する： ・ヒマシ油 １５ｇ ・ホホバ油 １３ｇ ・水素添加ヤシ油 ７ｇ ・ラノリン酸イソプロピル ２５ｇ ・カルナウバロウ １０ｇ ・ポリエチレンロウ １０ｇ ・顔料およびフィラー １５ｇ ・実施例１の分散物 ５ｇ 次の方法により、スティックを調製する：脂肪相を約１００℃で加熱し、フィ ラーと顔料を添加し、ついで、全体をモリツ（Moritz）ターボミキサーを使用し 、３０００rev/minで混合する。ついで、前記混合物は、適切な鋳型に入れて成 形することができる。 得られた組成物は、適用が容易で好ましい。皮膜は数時間着用した後でも、皮 膚のコジワに入り込まないことが観察される。実施例１０ 以下の組成を有するコンパクトパウダーを調製する： 組成Ａ −タルク ３０ｇ −オキシ塩化ビスマス １０ｇ −ステアリン酸亜鉛 ４ｇ −ナイロンパウダー ２０ｇ −実施例５の分散物 ５ｇ 組成Ｂ −酸化鉄 ２ｇ −流動ワセリン ６ｇ 次の方法により、パウダーを得る：組成Ａを、ケンウッド（Kenwood）型の製 粉機で、５分間、ゆっくりと撹拌しながらひき、組成Ｂを添加し、混合物を同様 の スピードで約２分間、ついで速度を速めて３分間ひく。調製物を０．１６-mmの ふるいにてふるいに分け、この混合物を皿に圧密化する。 良好な付着性を有するコンパクトパウダーが得られる。このものは、接触時に 柔軟な感触を有し、皮膚に好ましく良好に展伸する。実施例１１：顔用ゲル 以下の組成を有する顔用ゲルを調製する： −パルミチン酸イソプロピル １０ｇ −ワセリン（ロウ） ５ｇ −変性ヘクトライト（hectorite）（クレー） ０．１５ｇ −オゾケライト（クレー） ５ｇ −オキシエチレン化されたセプタオレイン酸ソル ５ｇ ビタン（sorbitan septaoleate）（４０ＥＯ） −実施例１の分散物（固体含有量 ２５％） ７５ｇ 良好な化粧品特性を有するゲルが得られる。実施例１２：手入れ用の油 以下の組成物を調製する： −実施例２の分散物（固体含有量 ２５％） ７０ｇ −ホホバ油 １５ｇ −大豆油 １５ｇ ボデイまたは顔に適用することのできる手入れ用の油が得られる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 ９５／０７４３１ (32)優先日 1995年６月21日 (33)優先権主張国 フランス（ＦＲ） (31)優先権主張番号 ９５／０７４３２ (32)優先日 1995年６月21日 (33)優先権主張国 フランス（ＦＲ） (81)指定国 ＣＡ，ＪＰ，ＫＲ，ＵＳ

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 液状の脂肪物質中への界面安定化ポリマー粒子の分散物を含有することを 特徴とする、脂肪物質と微粉状化合物を有する化粧品用組成物。 ２． 化粧品的、皮膚科学的、衛生的または製薬的に許容可能な液状の脂肪物質 中への、架橋した界面安定化ポリマー粒子の分散物を含有する、少なくとも１つ のロウを有する成形製品の形態の組成物。 ３． 化粧品的、皮膚科学的、製薬的または衛生的に許容可能な液状の脂肪物質 中への、界面安定化ポリマー粒子の分散物を含有することを特徴とする、脂肪結 合剤と微粉状化合物を有するコンパクトパウダー形態の組成物。 ４． 化粧品的、皮膚科学的、衛生的または製薬的に許容可能な非揮発性で液状 の脂肪物質中への、非皮膜形成の界面安定化ポリマー粒子の分散物を含有し、該 分散物の固体含有量が少なくとも１５重量％である組成物。 ５． ポリマーが、ラジカルポリマー、重縮合物、天然由来のポリマー、および それらの混合物から選択されることを特徴とする請求項１ないし４のいずれか１ 項に記載の組成物。 ６． 液状の脂肪物質が、炭素をベースとしたもの、炭化水素、鉱物性、動物性 、植物性または合成由来のフッ化および／またはシリコーン油の単独物または混 合物からなることを特徴とする請求項１ないし５のいずれか１項に記載の組成物 。 ７． 液状の脂肪物質が、流動パラフィンまたは流動ワセリン；ミンク油、カメ 油、大豆油、ペルヒドロスクワレン；アルモンド油；カロフィルム油、ヤシ油、 ブドウ種油、ゴマ油、コーン油、菜種油、ヒマワリ油、綿油、ヒマシ油、アボカ ド油、ホホバ油、オリーブ油または穀類胚芽油；ラノリン酸、オレイン酸、ラウ リル酸、またはステアリン酸のエステル；ミリスチン酸イソプロピル、パルミチ ン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイ ソプロピル、イソノナン酸イソノニル、２−エチルヘキシルパルミタート、２− ヘキシルデシルラウラート、２−オクチルデシルパルミタート、２−オクチルド デシルミリスタートまたはラクタート、２−ジエチルヘキシルスクシンナート、 リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ジグリセリルまたはグリセリ ルのような脂肪エステル；ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン 酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、またはイソステアリン酸のような高 級脂肪酸；セタノール、ステアリルアルコール、またはオレイルアルコール、リ ノレイルまたはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、またはオク チルドデカノールのような高級脂肪アルコール；PDMS類のようなシリコーン油で 、フェニルトリメチコーンのようにフェニル化されていてもよいもの、または脂 肪族および／または芳香族基で置換されていてもよく、フッ化されていてもよく 、またはヒドロキシル基、チオールおよび／またはアミン基のような官能基で置 換されていてもよいもの；脂肪酸、脂肪アルコール、またはポリオキシアルキレ ンで変性したポリシロキサン、フルオロシリコーン、およびペルフルオロ油、シ クロテトラジメチルシロキサン、シクロペンタジメチルシロキサン、シクロヘキ サジメチルシロキサン、およびメチルヘキシルジメチルシロキサンのような揮発 性の油、または「ISOPARs」のようなイソパラフィン、イソドデカンから選択さ れることを特徴とする請求項１ないし６のいずれか１項に記載の組成物。 ８． 液状の脂肪物質が、 −ハンセンの溶解スペースによる包括的溶解パラメータが１７（ＭＰａ）^1/2未 満の非水性液状化合物、 −または、ハンセンの溶解スペースによる包括的溶解パラメータが２０（ＭＰａ ）^1/2以下のモノアルコール、 −または、それらの混合物、 からなるグループから選択されることを特徴とする請求項１ないし７のいずれか １項に記載の組成物。 ９． ポリマー粒子が、連鎖状のポリマー、グラフトしたポリマー、および／ま たはランダムポリマーの単独物または混合物から選択される安定剤により界面安 定化されたものであることを特徴とする請求項１ないし８のいずれか１項に記載 の組成物。 １０． 安定剤が、炭化水素鎖を有するグラフトしたシリコーンポリマー；シリ コーン鎖を有するグラフトした炭化水素ポリマー；ポリヒドロキシステアリン酸 型の可溶性のグラブト部と、ポリアクリル型の不溶性の骨格を有するグラフトし たコポリマー；少なくとも１つのポリオルガノシロキサン型のブロックと少なく とも１つのラジカルポリマーのブロックを含有する、連鎖状またはグラフトした ブロックコポリマー；少なくとも１つのポリオルガノシロキサン型のブロックと 少なくとも１つのポリエーテルを含有する、連鎖状またはグラフトしたブロック コポリマー；Ｃ₁−Ｃ₄のアルコールのアクリラートまたはメタクリラートとＣ₈ −Ｃ₃₀のアルコールのアクリラートまたはメタクリラートのコポリマー；ジエン の重合により生じる少なくとも１つのブロックと少なくとも１つのビニルポリマ ーのブロックを含有する、連鎖状またはグラフトしたブロックコポリマー；ジエ ンの重合により生じる少なくとも１つのブロックと少なくとも１つのアクリルポ リマーのブロックを含有する、連鎖状またはグラフトしたブロックコポリマー； ジエンの重合により生じる少なくとも１つのブロックと少なくとも１つのポリエ ーテルのブロックを含有する、連鎖状またはグラフトしたブロックコポリマーか ら選択されることを特徴とする請求項９に記載の組成物。 １１． シリコーンをベースとした、または植物性、動物性、鉱物性または合成 由来の、ペースト状の脂肪物質、ロウ、油、および／またはガムから選択される 付加的な脂肪物質、および／または微粉状の化合物類をさらに含有することを特 徴とする請求項１ないし１０のいずれか１項に記載の組成物。 １２． 溶媒とロウとの微小分散物、溶液、または懸濁液の形態、または無水の 固体またはペーストの形態、または油性のゲルの形態であることを特徴とする請 求項１ないし１１のいずれか１項に記載の組成物。 １３． マスカラの形態である請求項１２に記載の組成物。 １４． スティックまたはペンシル状の形態；２５℃で粘性率が３−３０Ｐａ・ ｓの柔軟なペースト状の形態；皿状の形態であることを特徴とする請求項１ない し１１のいずれか１項に記載の組成物。 １５． 成形ファンデーション、成形メークアップルージュまたはアイシャドウ 、棒状口紅、または唇の手入れ用ベース、または手入れ用バルムのような、皮膚 をメークアップする、および／または手入れするための製品の形態であることを 特徴とする請求項１４に記載の組成物。 １６． メークアップルージュまたはアイシャドウ、ほほ紅、またはフェイスパ ウダーのようなメークアップ製品、制汗用パウダー、ベビーパウダー、またはボ ディパウダーの形態であることを特徴とする請求項１ないし１１のいずれか１項 に記載の組成物。 １７． 油性のゲル、油性の液体または油、ペーストまたはスティックまたはエ アゾールの形態、またはイオン性および／または非イオン性の脂質を含有する小 胞体分散物の形態であることを特徴とする請求項１ないし１１のいずれか１項に 記載の組成物。 １８． 顔、首、手またはボディの保護、トリートメントまたは手入れ用の、化 粧品用、皮膚病用、衛生用または製薬用組成物、抗日光組成物、または人工的に 日焼けした状態とする組成物の形態であることを特徴とする請求項１７に記載の 組成物。 １９． まつげの長さ、および／または組成物の水残存性を改良するための、液 状の脂肪物質中への界面安定化ポリマー粒子の分散物の、脂肪物質と微粉状の化 合物を含有する眼のメークアップ用の化粧品用組成物への使用。 ２０． 皮膚のコジワへの組成物の成分の移動の緩和、および／または組成物の 保持力の改善を目的とした、化粧品的、皮膚科学的、製薬的または衛生的に許容 可能な液状の脂肪物質中への非皮膜形成の界面安定化ポリマー粒子の分散物の、 少なくとも１つのロウを含有する成形製品形態の組成物への使用。 ２１． 組成物の圧密化の容易化を目的とした、化粧品的、皮膚科学的、製薬的 または衛生的に許容可能な液状の脂肪物質中への界面安定化ポリマー粒子の分散 物の、脂肪結合剤と微粉状の化合物を含有するコンパクトパウダー形態の組成物 への使用。 ２２． 皮膚のシワおよび／またはコジワの緩和を目的とした、化粧品的、皮膚 科学的、衛生的または製薬的に許容可能な非揮発性で液状の脂肪物質中への、非 皮膜形成界面安定化ポリマー粒子の分散物の、化粧品用、皮膚病用、製薬用また は衛生用組成物への使用であって、該分散物の固体含有量が少なくとも１５重量 ％である使用。