JPH1044425A

JPH1044425A - 記録方法

Info

Publication number: JPH1044425A
Application number: JP21690496A
Authority: JP
Inventors: Makoto Shiotani; 真塩谷
Original assignee: Canon Inc
Current assignee: Canon Inc
Priority date: 1996-07-31
Filing date: 1996-07-31
Publication date: 1998-02-17

Abstract

(57)【要約】【課題】バブルジェット法において、液体吐出時に
おけるヘッドの液体接触面が損傷を受けることなく、長
期間の安定した液体の吐出及び記録が可能である記録方
法を提供すること。【解決手段】発熱ヘッドを介して熱エネルギーを液体
に伝達して液体を吐出するバブルジェット記録方法にお
いて、上記発熱ヘッドの液体接触面が金属又は金属化合
物で形成され、且つ上記液体が、少なくとも水とカチオ
ン性高分子物質と４級アミンとを含有することを特徴と
する記録方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は熱エネルギーを用い
て液体を吐出するバブルジェット記録に関し、更に詳し
くは、液体吐出時におけるヘッドの液体接触面が損傷を
受けることなく、長期間の安定した液体の吐出及び記録
が可能であるバブルジェット記録方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、インクジェット方式におい
て、画像品位、耐水性及び定着性に優れた記録を行うた
めに、カチオン性基を有するポリマーを含有する液体組
成物を被記録材に付与した後、アニオン性染料を含有し
たインクを用いて記録を行う方法が知られている（例え
ば、特開昭６３−６０７８３号公報参照）。

【０００３】しかしながら、上記記録方法をバブルジェ
ット方式に適用した場合には、バブルジェット方式にお
ける発熱ヘッド面が金属又は金属化合物で形成されてお
り、該ヘッドの液体接触面が液体組成物によって損傷を
受けてしまい、安定した吐出を長期間継続することがで
きないという問題があった。上記問題は、発熱ヘッドと
液体組成物とが接触する面（伝熱面）が、金属又は金属
化合物で形成されていること、そして用いられる液体が
水系であり、更にカチオン性基を持つポリマーを含有す
る液体（インク或いは液体組成物等）であることから、
液体発泡時の熱によってカチオン性ポリマーとヘッドの
保護膜中の金属とが何らかの化学反応を起し、保護膜中
の金属が液体中に溶解してしまい、電気パルスの印加の
増加とともに上記保護膜が薄くなることが原因であると
思われる。この時、保護膜は均一には薄くならずに部分
的に膜厚が不均一になることが多く、その結果、液体の
吐出が不安定になる。又、上記のようにヘッドの保護膜
の溶解が進むと液体が発熱抵抗体と接触し、発熱抵抗体
に断線が生じることも起り得る。

【０００４】

【発明が解決しようとしている課題】従って、本発明の
目的は、バブルジェット法において、液体吐出時におけ
るヘッドの液体接触面（伝熱面）が損傷を受けることな
く、長期間の安定した液体の吐出及び記録が可能である
記録方法を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、発熱ヘッドを介
して熱エネルギーを液体に伝達して液体を吐出するバブ
ルジェット記録方法において、上記発熱ヘッドの液体接
触面が金属又は金属化合物で形成され、且つ上記液体
が、少なくとも水とカチオン性高分子物質と４級アミン
とを含有することを特徴とする記録方法である。

【０００６】バブルジェット法において、使用する液体
組成物に４級アミンを包含させることによって、これら
の４級アミンが発熱ヘッドの液体接触面に吸着され、液
体発泡時における高温下においても発熱ヘッドの液体接
触面がカチオン性高分子物質によって損傷されるのが防
止されるものと考えられる。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に、好ましい実施の形態を挙げ
て本発明をより詳細に説明する。本発明で使用するバブ
ルジェット方式自体は、インクジェット記録方式の１種
として広く知られた方式であり、その要部である発熱ヘ
ッドの一例を概略断面図をもって図３及び図４に示す。

【０００８】図３に示した例は、発熱ヘッドの液体接触
面が複数の層からなり、インクと接触する面である保護
膜３０６が金属又は金属化合物から形成されている発熱
ヘッドの例である。又、図４に示した例は、発熱抵抗体
３０３自体が金属又は金属化合物から形成され、上記の
如き保護膜を形成することなく、発熱抵抗体が直接イン
クに接する例である。尚、本発明の記録方法で使用する
発熱ヘッドとしては、いずれの構成とすることもでき、
以上の例に限定されない。

【０００９】上記の発熱ヘッドの液体接触面の構成は特
に限定されないが、本発明においては、上記液体接触面
がタンタル又はタンタル化合物から構成されていること
が好ましい。タンタル化合物としては、例えば、Ｔａ₂
Ｏ₅、Ｔａ₂Ｏ₅・ｎＨ₂Ｏ等のタンタル酸化物、ＴａＩｒ
等が挙げられる。これらのなかではタンタル又はタンタ
ル酸化物がより好ましい。タンタル又はタンタル化合物
は、液体組成物に含まれているカチオン性高分子物質に
対する耐久性が他の材料に比べて優れていることによ
る。

【００１０】次に、本発明において使用する液体につい
て説明する。本発明において使用する少なくとも１種の
液体は、水、カチオン性高分子物質及び４級アミンを少
なくとも含有する液体組成物である。該液体組成物に使
用するカチオン性高分子物質としては、例えば、ポリア
リルアミン、ポリアミンスルホン、ポリビニルアミン、
及びこれらの塩酸、酢酸等の酸による中和物又は部分中
和物を挙げることができるが、これら以外にもカチオン
性を有し、且つ水溶性であればいずれも本発明において
使用することができる。

【００１１】又、液体組成物に使用する４級アミンとし
ては、ベンジル基や炭素数１２以上の長鎖アルキル基を
有する４級アミンが本発明においては好適に用いられ
る。具体的には、例えば、塩化ベンザルコニウム、ベン
ジルトリブチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリ
メチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。

【００１２】これらの４級アミンは、発熱ヘッドの液体
接触面を構成している金属又は金属化合物の表面に吸着
することにより、発泡時に加わる高熱下でカチオン性高
分子物質による液体接触面の金属又は金属化合物の溶解
を妨げているものと推定される。金属又は金属化合物の
溶解を防ぐ４級アミンの効果は、４級アミンが液体接触
面に吸着された時に金属表面を広く覆うほど効果が大き
いと推定され、ベンジル基や炭素数１２以上の長鎖アル
キル基を有する４級アミンが好ましい理由と考えられ
る。

【００１３】上記のカチオン性高分子物質及び４級アミ
ンを溶解させる液媒体としては水が用いられるが、本発
明においては、水と水溶性有機溶剤とを混合して用いる
ことがより好ましい。更に、本発明で用いる液体に、得
られる性能に影響のない範囲内であれば、ｐＨ調整剤、
流動性付与剤、粘度調整剤、防かび剤、界面活性剤等の
添加剤を加えてもよい。

【００１４】上記液体組成物には、更に色材を含有させ
てインクとして用いることも可能であるが、本発明にお
いては、色材を含有させずに無色或いは淡色の処理液と
して用い、画像を形成する際、記録紙の画像形成領域に
上記の液体組成物をバブルジェット方式で付与してお
き、その付与領域に染料、特にアニオン染料を含むイン
クを付与することによって、種々の堅牢度、特に耐水性
に優れた画像を形成することができる。尚、被記録材に
対する染料を含むインクの付与は、前記液体組成物を付
与する前でもよく、又、液体組成物と同時であってもよ
い。尚、染料を含むインクは、インクジェット方式で使
用されるものとして公知のいずれのインクであってもよ
く特に限定されない。

【００１５】以下に、図を参照して本発明をより具体的
に説明する。図１は、本発明の記録方法が好適に用いら
れるインクジェットプリント装置の一例の主要部を示す
概略斜視図である。図１において、キャリッジ２上には
インクジェットユニット１Ｙ、１Ｍ、１Ｃ、１Ｂｋ及び
１Ｓが装着され、それぞれのユニットは、Ｙ（イエロ
ー）、Ｍ（マゼンタ）、Ｃ（シアン）、Ｂｋ（ブラッ
ク）及びＳ（処理液：前記液体組成物、以下同じ）を吐
出するためのヘッド１２Ｙ、１２Ｍ、１２Ｃ、１２Ｂ
ｋ、１２Ｓ及び各色インク及び処理液を貯留したタンク
とからなる。

【００１６】各ヘッドには６２．５μｍの間隔で被プリ
ント材としての記録紙２の搬送方向（以下、副走査方向
ともいう）に配列する例えば３２個の吐出口が設けら
れ、各吐出口に対応してこれに連通するインク路には吐
出のために利用される熱エネルギーを発生するためのヒ
ータを備える。ヒータは駆動データに応じて印加される
電気パルスに応じて熱を発生し、これにより、インク
（又は液体組成物、以下同じ）中に膜沸騰を生じ、この
膜沸騰による気泡の生成に伴って上記吐出口からインク
滴又は処理液滴が吐出される。ヒーター部の拡大断面図
を図３に示す。本例では、保護膜３０６は金属又は金属
化合物（ここでは、タンタルを用いている）により形成
されている。

【００１７】キャリッジ２はヘッド１２Ｙ、１２Ｍ、１
２Ｃ、１２Ｂｋ、１２Ｓ及びタンクを着脱自在に搭載
し、その一部において摺動可能に係合する２本のガイド
軸３に案内されながら移動する。尚、このキャリッジ２
の移動は、例えば、キャリッジ２の一部にプーリ５Ａ及
び５Ｂによって張設されたベルト４が取付けられ、この
ベルトがプーリを介したモータ６の駆動力によって移動
することにより行われる。フレキシブルケーブル１１は
各ヘッドに接続し、これにより、各ヘッドの一部に設け
られるヘッド駆動回路（ヘッドドライバ）へホスト装置
或いは本装置制御部からのプリントデータに基づく吐出
信号や制御信号を送信することができる。

【００１８】プラテンローラ７は、その長手方向がガイ
ド軸３と平行に延在し、紙送りモータ９によって回転す
ることにより記録紙１０を搬送するとともに、記録紙１
０における記録面を規制する。以上の構成において、各
インクジェットユニットのヘッドは、キャリッジ２の移
動にともない、記録紙１０のプリント面、即ち上記吐出
口に対向する部分にインクを吐出してプリントを行う。

【００１９】図２は、図１に示したインクジェットプリ
ント装置の制御構成を示すブロック図である。メインコ
ントローラ１００は、ＣＰＵ等からなり、ホストコンピ
ュータ２００から送られてくる画像データをそれぞれ階
調データが付与された画素データに変換し、これをフレ
ームメモリ１００Ｍに格納する。又、メインコントロー
ラ１００はフレームメモリ１００Ｍに格納された画素毎
の階調データを所定のタイミングでドライバコントロー
ラ１１０へ供給する。

【００２０】ドライバコントローラ１１０は、この供給
される階調データを、後述されるように、吐出口番号
（記録ヘッド１の吐出口配列において何番目の吐出口か
を表わすもの）とスキャン番号（何回目の主走査かを表
わすもの）に対応させた吐出データ（各ヘッド１におけ
るヒータのオン／オフを示すデータ）に変換し、これを
駆動データＲＡＭ１１０Ｍに格納する。ドライバコント
ローラ１１０は、メインコントローラ１００からの制御
信号に応じ、駆動データＲＡＭ１１０Ｍに格納される駆
動データを、吐出口番号及びスキャン番号を参照して読
出し、これをヘッドドライバ１１０Ｄに供給するととも
にその駆動のタイミングを制御する。

【００２１】以上の構成において、メインコントローラ
１００は、ヘッド１２Ｙ、１２Ｍ、１２Ｃ、１Ｂｋ及び
１２Ｓによる各色インク又は処理液の吐出、キャリッジ
モータ６の回転及び紙送りモータ６の回転をそれぞれド
ライバコントローラ１１０、モータドライバ１０４Ｄ及
びモータドライバ１０２Ｄを介して制御する。これによ
り、記録紙１０上に画像データに応じた文字、画像等が
プリントされていく。

【００２２】尚、上述の構成では、ドライバコントロー
ラ１１０が階調データを吐出データに変換するものとし
たが、これをメインコントローラ１００が行ってもよ
い。この場合、吐出データをフレームメモリ１００Ｍに
格納することができ、これによりＲＡＭ１１０Ｍを省く
ことができる。

【００２３】

【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。尚、文中「部」又は「％」とあるのは、特に
断りのない限り重量基準を表す。実施例１図３に示した複数の液体接触面を有する発熱ヘッドを、
図１に示すようなインクジェットプリント装置に組み込
んで、本実施例で使用する記録装置とした。尚、図３に
おける保護膜３０６はタンタルにより形成されている。
又、本実施例で用いる液体である４種類のカラーインク
及び処理液は以下の組成のものを用いた。

【００２４】＜インク＞・グリセリン９％・ジエチレングリコール７％・尿素５％・染料イエロー（Ｙ）Ｃ．Ｉ．ダイレクトイエロー１４２３．５％マゼンタ（Ｍ）Ｃ．Ｉ．アシッドレッド２８９３．５％シアン（Ｃ）Ｃ．Ｉ．ダイレクトブルー１９９３．５％ブラック（Ｂｋ）Ｃ．Ｉ．フードブラック２３．５％・水残部

【００２５】＜処理液＞・ポリアリルアミン酢酸塩５．０％・ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド０．５％・ジエチレングリコール１０％・水残部以上の装置、インク及び処理液を用いて記録を行ったと
ころ、安定した吐出及び記録が長期間にわたって行え
た。

【００２６】実施例２図４に示す発熱ヘッドを用いる以外は実施例１で使用し
たと同様の装置を使用した。但し、液体接触面である発
熱抵抗体３０３はＴａＴｒで形成されている。又、本実
施例では液体として実施例１で作製したインクＹ、Ｍ、
Ｃ及びＢｋと以下の組成の処理液を用いた。

【００２７】＜処理液＞・ポリアリルアミン酢酸塩５．０％・ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド０．３％・ジエチレングリコール１０％・水残部以上の装置、インク及び処理液を用いて記録を行ったと
ころ、安定な吐出及び記録が長期間にわたって行えた。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
液体接触面が金属又は金属化合物、とりわけタンタル又
はタンタル化合物で形成され、且つ液体のうち少なくと
も一つの液体が、水とカチオン性物質と４級アミンとを
含むものを用いることにより、熱エネルギーを用いて液
体を吐出するバブルジェット記録方法においても、液体
接触面が溶解することなく、長期間にわたって安定した
吐出及び記録を行うことができる記録方法が提供され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明で使用するインクジェットプリント装
置の一例を示す概略斜視図。

【図２】図１の装置の制御構成を示すブロック図。

【図３】本発明で使用する発熱ヘッドのヒーター部の
一例を示す断面模式図。

【図４】本発明で使用する発熱ヘッドのヒーター部の
別の例を示す断面模式図。

【符号の説明】１Ｙ、１Ｍ、１Ｃ、１Ｂｋ、１Ｓ：インクジェットユニ
ット２：キャリッジ３：ガイド軸４：ベルト５Ａ、５Ｂ：プーリ６、９：モータ７：プラテンローラ１０：記録紙１２Ｙ、１２Ｍ、１２Ｃ、１２Ｂｋ、１２Ｓ：ヘッド１００：メインコントローラ１００Ｍ：フレームメモリ１１０：ドライバコントローラ１１０Ｄ：ヘッドドライバ１１０Ｍ：駆動データＲＡＭ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】発熱ヘッドを介して熱エネルギーを液体
に伝達して液体を吐出するバブルジェット記録方法にお
いて、上記発熱ヘッドの液体接触面が金属又は金属化合
物で形成され、且つ上記液体が、少なくとも水とカチオ
ン性高分子物質と４級アミンとを含有することを特徴と
する記録方法。
【請求項２】液体が少なくとも２種の液体からなり、
一方の液体が少なくとも染料を含むインクであり、他方
の液体が少なくとも水とカチオン性高分子物質と４級ア
ミンとを含有する液体である請求項１に記載の記録方
法。
【請求項３】金属又は金属化合物が、タンタル又はタ
ンタル化合物である請求項１に記載の記録方法。
【請求項４】金属化合物が、タンタル酸化物である請
求項１に記載の記録方法。
【請求項５】４級アミンが、、ベンジル基又は炭素数
１２以上の長鎖アルキル基を有する請求項１に記載の記
録方法。
【請求項６】個別に準備した液体及びインクに対し
て、これらに接した発熱ヘッドを介して熱エネルギーを
伝達してこれらを吐出させ、吐出した上記液体と上記イ
ンクとを以て記録を行う記録方法において、上記発熱ヘ
ッドの表面が少なくとも金属又は金属化合物で形成さ
れ、且つ上記液体が少なくとも水とカチオン性高分子物
質と４級アミンとを含有し、上記インクが少なくとも染
料を含有することを特徴とする記録方法。