JP2002012805A - インク、インクジェット用インク、インクジェット記録ヘッドのヒータへのコゲ付着低減方法、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録ユニット及び記録ヘッドの長寿命化方法 - Google Patents

インク、インクジェット用インク、インクジェット記録ヘッドのヒータへのコゲ付着低減方法、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録ユニット及び記録ヘッドの長寿命化方法

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JP2002012805A
JP2002012805A JP2001122412A JP2001122412A JP2002012805A JP 2002012805 A JP2002012805 A JP 2002012805A JP 2001122412 A JP2001122412 A JP 2001122412A JP 2001122412 A JP2001122412 A JP 2001122412A JP 2002012805 A JP2002012805 A JP 2002012805A
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隆司 葛城
Makoto Shiotani
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録ヘッド内のインクに熱エネルギーを印加
してインクを記録ヘッドから吐出させるためのヒータ表
面へのコゲの付着をより一層低減可能な(インクジェッ
ト用)インク、記録ヘッドのコゲ付着低減方法、高品質
な印字と記録ヘッドの長寿命化を達成できるインクジェ
ット記録方法及び記録装置の提供。 【解決手段】 (a)色材、(b)液媒体、(c)ポリ
リン酸、ジカルボン酸、ポリアミノカルボン酸、アルド
ン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリオールリン酸エステ
ル、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種、及び
(d)アミノ基を有する酸及び/又はその塩を含むイン
ク、該インクを用いるインクジェット用インク、記録ヘ
ッドのヒータ表面へのコゲの付着低減方法、インクジェ
ット記録方法、記録装置、記録ユニット、及び記録ヘッ
ドの長寿命化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク、インクジ
ェット用インク、インクに熱エネルギーを印加するため
のヒータ表面へのコゲの付着を低減するインクジェット
記録ヘッドのヒータへのコゲ付着低減方法、インクジェ
ット記録方法、インクジェット記録装置、記録ユニッ
ト、及びインクジェット記録ヘッドの長寿命化方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、インクジェット記録方法を用
いた印刷には様々な方式が案出されているが、その中で
も、例えば、特開昭54−51837号公報等に記載さ
れているインクを熱エネルギーの作用によりインク滴と
して吐出させるインクジェット方法(所謂、バブルジェ
ット法)は、高密度マルチノズルが非常に簡単であるた
め、高画質の画像が高速で且つ非常に安いコストで得ら
れ、しかも特別なコート層等を有しない普通紙にも印刷
できるという特徴を有している。この方法では、記録ヘ
ッドのヒータが急速に加熱されることにより、ヒータ上
の液体が気泡を発生して急激な体積の増大を起こし、こ
の急激な体積の増大に基づく作用力によって記録ヘッド
部先端のノズルより液滴が吐出、飛翔して被記録材に付
着して印刷が行われる。
【0003】しかしながら、この方法では、インクを吐
出させる度に記録ヘッドのヒータが繰り返し加熱される
ので、大量の印刷を行うと、ヒータ面にインクの分解物
(所謂コゲ)が堆積することがある。コゲが堆積する
と、ヒータからインクに熱エネルギーが有効に伝わら
ず、吐出する液滴量や吐出する液滴の速度が初期と比べ
て減少し、それが画像品質に影響を及ぼしてしまうとい
った問題が生じる。この場合、高い品質の印刷を続けて
得ようとすると記録ヘッドを交換する必要があり、この
ような状況はユーザにとってトータルでの印刷コストの
上昇に繋がる。
【0004】従って、このような状況をもたらす可能性
のあるヒータ上へのコゲの付着をより一層減少させ、記
録ヘッドのより一層の長寿命化を図ることは、バブルジ
ェット(登録商標)記録方式においては、常に、より一
層の改善を目指すべき場合の重要な技術課題の一つとな
っている。例えば、特開平3−160070号公報に
は、オキソ陰イオンを含むインクが提案されている。そ
して、オキソ陰イオンとして、リン酸塩、ポリリン酸
塩、リン酸エステル、ヒ酸塩、モリブデン酸塩、硫酸
塩、亜硫酸塩、及びシュウ酸塩が挙げられている。
【0005】しかしながら、この様なインクでは、イン
クの吐出を繰り返す過程において、これらのリン酸塩、
ポリリン酸塩、リン酸エステル、ヒ酸塩、モリブデン酸
塩、硫酸塩、亜硫酸塩、及びシュウ酸塩が、発熱抵抗体
上に形成されているタンタル等の金属及び/又は金属の
酸化物からなるインクと接する最表面保護膜を溶解し、
ヒータが断線したりして、インクの吐出を不能にすると
いう問題がある。又、コゲの付着防止能力も不十分であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、記録ヘッド内のインクに対して熱エネルギーを印加
して、該インクを記録ヘッドから吐出させるためのヒー
タ表面へのコゲの付着をより一層低減することのできる
インク、及びインクジェット記録ヘッドのヒータへのコ
ゲ付着低減方法を提供することを目的とする。又、本発
明の他の目的は、より一層の高品質な印刷を可能とし、
更に、記録ヘッドのより一層の長寿命化を達成すること
のできるインクジェット記録方法、及びインクジェット
記録装置を提供することにある。又、本発明の他の目的
は、より長期間に亘り高品質な印刷を行なうことのでき
る記録ユニットを提供することにある。更に、本発明の
他の目的は、優れた品質の印刷を、より一層の低コスト
化で達成し得る記録ヘッドの長寿命化方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本
発明によって達成することができる。即ち、本発明は、
(a)色材、(b)液媒体、(c)ポリリン酸、ジカル
ボン酸、ポリアミノカルボン酸、アルドン酸、ヒドロキ
シカルボン酸、ポリオールリン酸エステル、及びこれら
の塩から選ばれる少なくとも1種、及び(d)アミノ基
を有する酸及び/又はその塩、を含むことを特徴とする
インク、及び、本発明の別の形態は、インクに熱エネル
ギーを印加してオリフィスから該インクを吐出させるた
めのヒータと該ヒータを保護するための金属及び/又は
該金属の酸化物を含む最表面保護層を備えた記録ヘッド
を有するインクジェットプリンタに使用されるインク
が、上記のインクであることを特徴とするインクジェッ
ト用インクである。又、本発明の別の形態は、インクに
熱エネルギーを印加してオリフィスから吐出させる工程
を含むインクジェット記録方法において、該インクが、
上記のインクジェット用インクであることを特徴とする
インクジェット記録方法である。
【0008】上記構成のインクジェット記録方式のイン
クジェットプリンタに、上記した構成の本発明のインク
を用いて画像を形成した場合には、インクに熱エネルギ
ーを印加してオリフィスからインクを吐出させるための
ヒータの最表面保護層を溶解することなく、ヒータの最
表面保護層へのコゲの付着を極めて有効に低減させるこ
とが可能となる。
【0009】本発明のインクを用いることで、このよう
なコゲ付着低減効果が得られる理由は明らかでないが、
本発明者らの検討によれば、インク中に上記(c)成
分、又は(d)成分を夫々単独に含有させた場合より
も、これらを組合わせて使用した場合の方がヒータ表面
へのコゲ付着が低減され、ヘッド寿命を長期化できるこ
とが確認できた。このことから、上記効果は、インク中
に含有させた(c)成分と(d)成分との相乗効果によ
るものと推測される。又、本発明者らの更なる検討の結
果、インク中の(c)成分の使用は、特に、コゲの付着
の防止、或いはコゲの分解、コゲのヒータ表面からの剥
離を促進させる一方、(d)成分の使用は、ヒータ表面
の最表面保護層を構成する金属及び/又は金属の酸化物
の溶解を抑制し、ヘッド寿命を向上させることも推測さ
れた。そして、このような(d)成分を使用することに
よる効果は、(d)成分として、アミノ基の他にスルホ
ン基を有している酸を用いた場合に特に顕著であること
がわかった。この結果、コゲ防止効果とヘッドの長寿命
化との双方を極めて高いレベルで満たすことができるイ
ンクが得られる
【0010】更に、ヒータの最表面保護層に含まれる金
属/その酸化物が、タンタル/タンタルの酸化物である
場合に、上記したコゲの付着低減効果、及び最表面保護
層の溶解防止効果はより顕著なものとなることが分かっ
た。更に、インクに熱エネルギーを印加してオリフィス
からインクを吐出させるためのヒータに対して投入する
エネルギー量をEop、インクを吐出させるために最低限
必要な上記ヒータへの投入エネルギー量をEthとしたと
きに、Eop/Ethの値が下記の関係を満たすように該ヒ
ータへのエネルギー投入量を設定することで、上記した
コゲ防止効果はより一層優れたものとできることもわか
った。 1.10≦Eop/Eth≦1.90
【0011】又、前記した本発明の目的を達成すること
のできるインクジェット記録装置の一実施態様は、イン
クを収容しているインク収容部、該インク収納部から導
かれたインク流路内のインクに熱エネルギーを付与する
ヒータを有するインクジェット記録用ヘッド、及び記録
情報に応じて上記ヒータにパルス状の電気信号を印加す
る手段を具備しているインクジェット記録装置であっ
て、上記ヒータが金属及び/又は該金属の酸化物を含む
最表面保護層を具備し、且つ、上記インクが、(a)色
材、(b)液媒体、(c)ポリリン酸、ジカルボン酸、
ポリアミノカルボン酸、アルドン酸、ヒドロキシカルボ
ン酸、ポリオールリン酸エステル、及びこれらの塩から
選ばれる少なくとも1種、及び(d)アミノ基を有する
酸及び/又はその塩、を含むことを特徴とするインクで
あることを特徴とするインクジェット記録装置が挙げら
れる。
【0012】又、前記した本発明の目的を達成すること
のできる記録ユニットの一実施態様は、インクを収容し
ているインク収容部と、該インクを熱エネルギーの作用
によりオリフィスから吐出させるためのインクジェット
記録用ヘッド部とを有する記録ユニットであって、該イ
ンクジェット記録用ヘッドは、該ヒータに熱エネルギー
を印加するための金属及び/又は該金属の酸化物を含む
最表面保護層を備えたヒータを具備し、且つ、上記イン
クが、(a)色材、(b)液媒体、(c)ポリリン酸、
ジカルボン酸、ポリアミノカルボン酸、アルドン酸、ヒ
ドロキシカルボン酸、ポリオールリン酸エステル、及び
これらの塩から選ばれる少なくとも1種、及び(d)ア
ミノ基を有する酸及び/又はその塩、を含むことを特徴
とするインクであることを特徴とする記録ユニットが挙
げられる。
【0013】更に、前記した本発明の目的を達成するこ
とのできる記録ヘッドの長寿命化方法の一実施態様は、
インクに熱エネルギーを印加してオリフィスから吐出さ
せる工程を含むインクジェット記録方法に用いられるイ
ンクに熱エネルギーを付与するヒータを具備している記
録ヘッドの長寿命化方法であって、該ヒータに金属及び
/又は該金属の酸化物を含む最表面保護層を設け、且
つ、上記インクが、(a)色材、(b)液媒体、(c)
ポリリン酸、ジカルボン酸、ポリアミノカルボン酸、ア
ルドン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリオールリン酸エ
ステル、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種、
及び(d)アミノ基を有する酸及び/又はその塩、を含
むことを特徴とするインクであることを特徴とする記録
ヘッドの長寿命化方法が挙げられる。尚、特開平6−2
20386号公報は、熱インクジェット方式に使用する
インクジェット用インクに関し、ヒータの故障の防止、
長期のインク保存安定性、ノズルの目詰りの防止等を目
的として、特定の構造のアミン化合物を含むインクを開
示し、該アミン化合物の一例として、β−アミノエタン
スルホン酸(タウリン)が挙げられている。又、特開平
10−36735号公報は、インク吐出性の改善を図っ
たインクジェット用インクとして2級又は3級アミン化
合物から選択される少なくとも1つ以上の化合物と、ア
ルカリ金属の水酸化物と、カルボキシル基を有する染料
とを含むインクジェット記録用インクが開示しており、
当該インクにキレート化剤としてEDTA、EDMA、
NTA等を添加しても良いことが記載されている。しか
し、これらの先行技術には、本発明の構成は何ら開示さ
れておらず、又その効果を示唆する記載は一切ない。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、好ましい実施の形態を挙げ
て、本発明をより詳細に説明する。先ず、本発明にかか
るインクについて説明する。該インクは、(a)色材、
(b)液媒体、(c)ポリリン酸、ジカルボン酸、ポリ
アミノカルボン酸、アルドン酸、ヒドロキシカルボン
酸、ポリオールリン酸エステル、及びこれらの塩から選
ばれる少なくとも1種、及び(d)アミノ基を有する酸
及び/又はその塩を構成成分として含む。本発明者ら
は、インクを熱エネルギーの作用によりインク滴として
吐出させるインクジェット記録方法において、該インク
ジェット記録用ヘッドのヒータ上に付着するコゲを低減
する方法について鋭意検討した結果、使用するインク
に、上記の(c)成分と、上記(d)成分とを併用すれ
ば、非常に効果的にコゲの発生を低減することができ、
更に、ヒータの最表面保護層を構成する金属及び/又は
その金属の酸化物が溶解せず、記録ヘッドの長寿命化が
図れることを知見して本発明に至った。以下、本発明の
インクの各構成成分について説明する。
【0015】<(c)成分>先ず、本発明にかかるイン
クを特徴づける(c)成分について述べる。本発明で使
用する(c)成分は、ポリリン酸、ジカルボン酸、ポリ
アミノカルボン酸、アルドン酸、ヒドロキシカルボン
酸、ポリオールリン酸エステル、及びこれらの塩から選
ばれる。
【0016】更に具体的には、ポリリン酸類としては、
例えば、ピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン
酸等が挙げられ、ポリアミノカルボン酸類としては、例
えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等の
ジカルボン酸類、エチレンジアミン四酢酸、イミノ二酢
酸、ニトリロトリ酢酸等が挙げられ、アルドン酸として
は、例えば、グリコール酸、グリセリン酸、グルコン
酸、ガラクトン酸、グルコヘプトン酸が挙げられ、ヒド
ロキシカルボン酸類(別名、オキシカルボン酸類)とし
ては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール
酸、グリセリン酸、マンデル酸、酒石酸等が挙げられ、
ポリオールリン酸エステル類としては、例えば、α−グ
リセロリン酸、β−グリセロリン酸等が挙げられる。
【0017】これらの中でも、クエン酸、グルコン酸
(固体ではδ−グルコノラクトン及びγ−グルコノラク
トンの型で存在する)、リンゴ酸、乳酸、グリコール
酸、酒石酸等のヒドロキシカルボン酸類(別名、オキシ
カルボン酸類)やα−グリセロリン酸、β−グリセロリ
ン酸等が水に対する溶解性が高いので好ましく、更に
は、クエン酸、グルコン酸が特に好ましい。更に、
(c)成分としては、酸型で使用してもよいが、塩型で
使用してもよい。具体的には、アルカリ金属塩、アンモ
ニウム塩、或いは、トリエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、モノエタノールアミン、トリイソプロパノー
ルアミン等の有機アミン塩等の型で使用してもよい。
【0018】(c)成分として、塩を使用する場合に
は、塩型で市販されている化合物をそのまま使用しても
よいが、アルカリ剤を添加して有機酸の塩型を作成して
使用してもよい。この際に用いるアルカリ剤としては、
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
アンモニア水(水酸化アンモニウム)、有機アミン(例
えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モ
ノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリ
イソプロパノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒ
ドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、
テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド等)が
挙げられる。有機酸の塩としては、上記した中でもアン
モニウム塩を用いることが好ましい。
【0019】本発明にかかるインクを作製する場合に、
上記に挙げたような(c)成分は、単独で使用すること
は勿論、上記に挙げたような化合物の中から2種類以上
を選択して併用してもよい。上記の(c)成分の総含有
量は、インク全量に対して0.005〜20重量%の範
囲で使用することが好ましく、更には、インク全量に対
して0.05〜12重量%の範囲で含有させることがよ
り好ましい。この範囲とすることで、後述する(d)成
分との共存下において、優れたコゲの低減効果を有し、
又、記録ヘッドのノズル詰まり等の生じにくいインクを
得ることができる。
【0020】<(d)成分>次に、上記した(c)成分
と共にインクの構成成分に使用することで、前記した本
発明の優れた効果を得る(d)成分について述べる。本
発明においては、(d)成分として、アミノ基を有する
酸及び/又はその塩を用いる。
【0021】具体的には、例えば、アミド硫酸(別名:
スルファミン酸)、アミノメタンスルホン酸、タウリン
(別名:2−アミノエタンスルホン酸)、カルバミン
酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン
酸、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、トレ
オニン、トリプトファン、バリンメチオニン及びリシン
等のアミノ基を有する酸が挙げられる。これらの中で
も、スルホン基を有する化合物が水への溶解性が高く、
前記したようにヘッド寿命を向上させる効果が高いので
好ましい。具体的には、アミド硫酸(別名:スルファミ
ン酸)、アミノメタンスルホン酸、タウリン(別名:2
−アミノエタンスルホン酸)が挙げられる。これらの中
でも特に、タウリン(別名:2−アミノエタンスルホン
酸)が入手容易であるので好ましい。
【0022】又、上記(d)成分を使用する場合には、
塩型で市販されている化合物を使用してもよいし、下記
に挙げるようなアルカリ剤を添加して有機酸の塩型を作
成して使用してもよい。アルカリ剤としては、例えば、
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
アンモニア水(水酸化アンモニウム)、有機アミン(例
えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モ
ノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリ
イソプロパノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒ
ドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、
テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド等)が
挙げられる。中でも、(d)成分として、アミノ基を有
する有機酸のアンモニウム塩を使用することが好まし
い。
【0023】又、これらの化合物は単独で使用すること
は勿論、2種類以上を併用することもできる。上記成分
(d)の総含有量は、インク全量に対して0.005〜
20重量%とすることが好ましく、更には、インク全量
に対して0.05〜12重量%の範囲で含有させること
が好ましい。即ち、このような範囲とすることで、前記
(c)成分と共存している状況において、優れたコゲの
低減効果を有し、且つノズル詰まり等の生じにくいイン
クを得ることができる。
【0024】又、本発明にかかるインクにおいては、イ
ンク中における前記した(c)成分の含有量と、上記し
た(d)成分の総含有量の重量比が、20:1〜1:2
0とすることが好ましい。重量比がこの範囲内である
と、ヒータへのコゲ付着低減効果が十分発揮され、又、
ヒータの最表面保護層の損傷も極めて有効に抑制するこ
とができる。
【0025】<(a)色材>次に、本発明にかかるイン
クの(a)成分である色材について説明する。色材とし
ては、染料及び顔料の少なくとも一方を用いるのが好ま
しい。
【0026】(染料)染料としては、直接染料、酸性染
料、塩基性染料、分散染料等あらゆる染料を用いること
ができる。
【0027】具体的には、例えば、下記に挙げるものが
適宜に使用できる。しかし、これらに限定されるもので
はない。C.I.ダイレクトブラック−4、同−9、同
−11、同−17、同−19、同−22、同−32、同
−80、同−151、同−154、同−168、同−1
71、同−194、同−195、C.I.ダイレクトブ
ルー−1、同−2、同−6、同−8、同−22、同−3
4、同−70、同−71、同−76、同−78、同−8
6、同−142、同−199、同−200、同−20
1、同−202、同−203、同−207、同−21
8、同−236、同−287、C.I.ダイレクトレッ
ド−1、同−2、同−4、同−8、同−9、同−11、
同−13、同−15、同−20、同−28、同−31、
同−33、同−37、同−39、同−51、同−59、
同−62、同−63、同−73、同−75、同−80、
同−81、同−83、同−87、同−90、同−94、
同−95、同−99、同−101、同−110、同−1
89、同−225、同−227、C.I.ダイレクトイ
エロー−1、同−2、同−4、同−8、同−11、同−
12、同−26、同−27、同−28、同−33、同−
34、同−41、同−44、同−48、同−86、同−
87、同−88、同−132、同−135、同−14
2、同−144、
【0028】C.I.フードブラック−1、同−2、
C.I.アシッドブラック−1、同−2、同−7、同−
16、同−24、同−26、同−28、同−31、同−
48、同−52、同−63、同−107、同−112、
同−118、同−119、同−121、同−172、同
−194、同−208、C.I.アシッドブルー−1、
同−7、同−9、同−15、同−22、同−23、同−
27、同−29、同−40、同−43、同−55、同−
59、同−62、同−78、同−80、同−81、同−
90、同−102、同−104、同−111、同−18
5、同−254、C.I.アシッドレッド−1、同−
4、同−8、同−13、同−14、同−15、同−1
8、同−21、同−26、同−35、同−37、同−5
2、同−249、同−257、同−289、C.I.ア
シッドイエロー−1、同−3、同−4、同−7、同−1
1、同−12、同−13、同−14、同−19、同−2
3、同−25、同−34、同−38、同−41、同−4
2、同−44、同−53、同−55、同−61、同−7
1、同−76、同−79、
【0029】C.I.リアクティブブルー−1、同−
2、同−3、同−4、同−5、同−7、同−8、同−
9、同−13、同−14、同−15、同−17、同−1
8、同−19、同−20、同−21、同−25、同−2
6、同−27、同−28、同−29、同−31、同−3
2、同−33、同−34、同−37、同−38、同−3
9、同−40、同−41、同−43、同−44、同−4
6、C.I.リアクティブレッド−1、同−2、同−
3、同−4、同−5、同−6、同−7、同−8、同−1
1、同−12、同−13、同−15、同−16、同−1
7、同−19、同−20、同−21、同−22、同−2
3、同−24、同−28、同−29、同−31、同−3
2、同−33、同−34、同−35、同−36、同−3
7、同−38、同−39、同−40、同−41、同−4
2、同−43、同−45、同−46、同−49、同−5
0、同−58、同−59、同−63、同−64、同−1
80、C.I.リアクティブイエロー−1、同−2、同
−3、同−4、同−6、同−7、同−11、同−12、
同−13、同−14、同−15、同−16、同−17、
同−18、同−22、同−23、同−24、同−25、
同−26、同−27、同−37、同−42、C.I.リ
アクティブブラック−1、同−3、同−4、同−5、同
−6、同−8、同−9、同−10、同−12、同−1
3、同−14、同−18、プロジェットファストシアン
2(Zeneca社)、プロジェットファストマゼンタ
2(Zeneca社)、プロジェットファストイエロー
2(Zeneca社)、プロジェットファストブラック
2(Zeneca社)等。
【0030】(顔料)顔料としては、無機顔料や有機顔
料等、あらゆる顔料を用いることができる。具体的に
は、下記に挙げるものを使用できる。しかし、これに限
定されるものではない。
【0031】カーボンブラック、C.I.ピグメントイ
エロー−1、同−2、同−3、同−12、同−13、同
−14、同−16、同−17、同−73、同−74、同
−75、同−83、同−93、同−95、同−97、同
−98、同−114、同−128、同−129、同−1
51、同−154、同−195、C.I.ピグメントレ
ッド−5、同−7、同−12、同−48(Ca)、同−
48(Mn)、同−57(Ca)、同−57:1、同−
57(Sr)、同−112、同−122、同−123、
同−168、同−184、同−202、C.I.ピグメ
ントブルー−1、同−2、同−3、同−15:3、同−
15:34、同−16、同−22、同−60、C.I.
ヴァットブルー−4、同−6等。
【0032】(分散剤)上記に挙げたような顔料をイン
クの色材として使用する場合には、顔料をインク中で安
定に分散させるために、分散剤を使用することが好まし
い。分散剤としては、高分子分散剤や界面活性剤系分散
剤等を用いることができる。高分子分散剤としては、例
えば、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合
物塩、スチレン−メタクリル酸共重合物塩、スチレン−
アクリル酸−アクリル酸エステル共重合物塩、スチレン
−マレイン酸共重合物塩、アクリル酸エステル−マレイ
ン酸共重合物塩、スチレン−メタクリルスルホン酸共重
合物塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物塩、β
−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリビニ
ルピロリドン、ポリエチレングリコール、及びポリビニ
ルアルコール等を使用することができる。これらの中で
も、特に、重量平均分子量が1,000〜30,000
で、酸価が100〜430の範囲のものが好ましい。界
面活性剤系分散剤としては、例えば、ラウリルベンゼン
スルホン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、ラウリルベンゼ
ンカルボン酸塩、ラウリルナフタレンスルホン酸塩、脂
肪族アミン塩、及びポリエチレンオキサイド縮合物等が
挙げられる。これらの分散剤の使用量は、顔料の重量:
分散剤の重量=10:5〜10:0.5の範囲とするこ
とが好ましい。
【0033】(自己分散型カーボンブラック)本発明に
かかるインクにおいては、色材として、例えば、特開平
5−186704号公報や特開平8−3498号公報に
記載されているような、カーボンブラックの表面に水溶
性基を導入することにより自己分散が可能になったカー
ボンブラックも使用できる。このような自己分散が可能
なカーボンブラックを使用すれば、上記に挙げたような
分散剤を必ずしも使用する必要がなくなる。
【0034】インクの色材として用いる上記に挙げたよ
うな染料及び顔料は、1種類で用いてもよいし、又は、
2種以上を組合わせて用いてもよい。又、これら染料及
び顔料の濃度は限定されないが、通常は、インク全量に
対して0.1〜20重量%の範囲から適宜に選択され
る。
【0035】<(b)液媒体>次に、本発明にかかるイ
ンクを構成する(b)成分としての液媒体について説明
する。液媒体としては、水を含むものを使用することが
好ましく、特に、水と水溶性有機溶剤との混合媒体を用
いることが好ましい。水は、種々のイオンを含有する一
般の水ではなく、脱イオン水を使用することが望まし
い。又、水の含有量としては、水性インク全量に対し
て、好ましくは35〜96重量%の範囲である。水溶性
有機溶剤は、インクの粘度を使用上好ましい適当な粘度
に調整するためと、インクの乾燥速度を遅らせたり、色
材の溶解性を高め記録ヘッドのノズルの目詰まりを防止
する等の種々の目的で用いられる。
【0036】上記において使用する水溶性有機溶剤とし
ては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチル
アルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルア
ルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアル
コール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアル
コール、n−ペンタノール等の炭素数1〜5のアルキル
アルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール
等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン等のエーテル類;ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;
エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチ
レングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6
−ヘキサントリオール等のアルキレン基が2〜6個の炭
素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン;エチレ
ングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエ
チレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、
トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エー
テル等の低級アルキルエーテル類;トリエチレングリコ
ールジメチル(又はエチル)エーテル、テトラエチレン
グリコールジメチル(又はエチル)エーテル等の多価ア
ルコールの低級ジアルキルエーテル類;モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等
のアルカノールアミン類;スルホラン、N−メチル−2
−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノン等が挙げられる。上記の如き水溶性
有機溶剤は、単独でも或いは混合物としても使用するこ
とができる。
【0037】<添加剤>更に、本発明にかかるインクに
は、上記の成分の他に、必要に応じて、従来公知の一般
的な各種添加剤、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防
かび剤、防腐剤、酸化防止剤、消泡剤、界面活性剤や、
尿素等のノズル乾燥防止剤等を適宜に添加して用いるこ
とができる。
【0038】<インクの物性>又、上記のような組成を
有する本発明にかかるインクは、インクジェット記録に
好適に用いられる。このため、本発明のインクの物性と
して好適な範囲は、25℃付近でのpHが3〜12、よ
り好ましくは4〜10、表面張力が好ましくは10〜6
0mN/m(dyn/cm)、より好ましくは15〜5
0mN/m(dyn/cm)、粘度が好ましくは1〜3
0cps、より好ましくは1〜10cpsの範囲であ
る。
【0039】<インクジェット記録方法及び記録装置>
本発明にかかるインクを用いて記録を行う好適な方法
は、記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱
エネルギーを与え、該エネルギーにより液滴を発生させ
るインクジェット記録方法であるが、この様な本発明の
インクが好適に使用される記録装置について、図を用い
て以下に説明する。
【0040】(記録方法)先ず、熱エネルギーを利用し
たインクジェット記録装置の主要部であるヘッド構成の
一例を図1及び図2に示す。図1は、インク流路に沿っ
たヘッド13の断面図であり、図2は、図1のA−B線
での切断面図である。ヘッド13は、インクを通す流路
(ノズル)14を有するガラス、セラミック、シリコ
ン、ポリサルホン又はプラスチック板等と、発熱素子基
板15とを接着して得られる。発熱素子基板15は、酸
化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン等で形成され
る保護層16−1、白金等の金属又は白金の酸化物等の
金属の酸化物、好ましくは、タンタル又はタンタルの酸
化物等で形成される最表面保護層16−2、アルミニウ
ム、金、アルミニウム−銅合金等で形成される電極17
−1及び17−2、ハフニウムボライド、窒化タンタ
ル、タンタルアルミニウム等の高融点材料から形成され
る発熱抵抗体層18、酸化シリコン、酸化アルミニウム
等で形成される蓄熱層19、シリコン、アルミニウム、
窒化アルミニウム等の放熱性のよい材料で形成される基
板20よりなっている。
【0041】上記ヘッド13の電極17−1及び17−
2にパルス状の電気信号が印加されると、発熱素子基板
15のnで示される領域(ヒータ)が急速に発熱し、こ
の表面に接しているインク21に気泡が発生し、その圧
力でメニスカス23が突出し、インク21がヘッドのノ
ズル14を通して吐出し、吐出オリフィス22よりイン
ク小滴24となり、被記録材25に向かって飛翔する。
図3には、図1に示したヘッドを多数並べたマルチヘッ
ドの一例の外観図を示す。このマルチヘッドは、マルチ
ノズル26を有するガラス板27と、図1に説明したも
のと同じような発熱ヘッド28を接着して作られてい
る。
【0042】(ヒータへの印加エネルギー量)次に、r
値について説明する。r値とは、バブルジェットヘッド
がぎりぎり吐出可能な臨界エネルギーに対する実際に投
入するエネルギーの比を表わす因子である。即ち、バブ
ルジェットヘッドに印加するパルスの幅をPとし(複数
のパルスを分割して与える時はその合計幅)、印加する
電圧をV、ヒータの抵抗をRとする時、投入エネルギー
Eは、下記式(A)で表される。 E=P×V2/R (A) この時、バブルジェットヘッドがぎりぎり吐出できる最
低限必要なヒータへのエネルギーをEthとし、実際に駆
動を行う時の投入エネルギーをEopとすれば、r値は、
下記式(B)で与えられる。 r=Eop/Eth (B)
【0043】そして、バブルジェットヘッドの駆動条件
からr値を求める方法としては、実用上、以下の(1)
及び(2)の二つの方法で行われる。 (1)パルス幅が固定している場合;先ず、与えられた
パルス幅で、バブルジェットヘッドが吐出する適当な電
圧を見つけて駆動する。次に、徐々に電圧を下げてゆ
き、吐出が止まる電圧を見つける。この電圧の直前の吐
出可能な最小電圧をVthとする。実際に駆動で使用され
ている電圧をVopとすれば、r値は、下記式(C)で求
められる。 r=(Vop/Vth))2 (C)
【0044】(2)電圧が固定している場合;先ず、与
えられた電圧で、バブルジェットヘッドが吐出する適当
なパルス幅を見つけて駆動する。次に、徐々にパルス幅
を短くしてゆき、吐出が止まるパルス幅を見つける。こ
のパルス幅の直前の吐出可能な最小パルス幅をPthとす
る。実際に駆動で使用されているパルス幅をPopとすれ
ば、r値は、下記式(D)で求められる。 r=Pop/Pth (D)
【0045】尚、ここでの電圧値はバブルジェットヒー
タを発熱させるためにヒータ部に実際にかかる電圧であ
る。ヘッドの外部から投入した電圧は、接点や配線抵抗
等で電圧降下することがあるので、r値の厳密な意味で
の算出には用いることはできない。しかし、ヘッドの外
部からVthとVopの測定を行う場合、これらの電圧変動
分が両方の値に含めて測定されるので、電圧変動分が大
きくない限り、これらの値を直接用いてr値を計算して
も誤差は少なく、よって、これによる値を便宜的にr値
として用いることができる。
【0046】又、実際のプリンターで記録を行っている
際には、複数のヒータが駆動されるために1つのヒータ
に対する電圧がこの影響を受けて変動する可能性がある
ことに注意する必要がある。更に、式(A)と式(B)
から、同一r値においては、Vの2乗とPは反比例する
ように見えるが、実際には、パルス波形が矩形にならな
い等の電気的問題、パルス波形が異なるとヒータ周辺の
熱拡散が異なる等の熱的問題、電圧が異なるとヒータか
らインクへの熱流束が異なり発泡状態が変化する等のバ
ブルジェット特有の問題等があって、Vの2乗とPは単
純な関係にはない。従って、上記(1)及び(2)で述
べた方法は、夫々独立して扱われなければならず、一方
の値から計算で他方の値に変換することは誤差を生じる
原因となることに注意しなければならない。本発明で
は、特に断らない限り、上記(1)の方法で求めた値を
r値とした。
【0047】インクの安定的な吐出のためには、上記の
ようにして得られるr値が1.12〜1.96程度とな
るような条件で駆動するのが一般的である。しかし、本
発明のインクを用い、該インクに熱エネルギーを印加し
て記録ヘッドから吐出させる場合には、r値を所定の範
囲、具体的には、1.10〜1.90の範囲で駆動させ
ると、ヒータへのコゲの付着がより防止され、ひいては
記録ヘッドのより一層の長寿命化を図ることができるた
め好ましい。r値が上記の範囲である場合にコゲの付着
が特に有効に防止でき、又、記録ヘッドの長寿命化を図
れる理由は明らかでないが、本発明者らは、以下のよう
に考えている。即ち、r値がこの範囲となるように駆動
すれば、第一に、本発明のインク中に含有させた(d)
成分がヒータの最表面保護層を保護し、該最表面保護層
を構成する金属及び/又は該金属の酸化物の侵食を有効
に防止でき、第二に、ヒータに過大にエネルギーが供給
されてヒータ表面温度が過大に高くなることがなく、
(c)成分による金属の侵食が過度に起こることがない
ためであると考えられる。
【0048】図4に、このヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示した。図4において、61は
ワイピング部材としてのブレードであり、その一端はブ
レード保持部材によって保持固定されており、カンチレ
バーの形態をなす。ブレード61は、記録ヘッド65に
よる記録領域に隣接した位置に配置され、又、図4に示
した装置例の場合は、記録ヘッド65の移動経路中に突
出した形態で保持されている。
【0049】62は記録ヘッド65の突出口面のキャッ
プであり、ブレード61に隣接するホームポジションに
配置され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移
動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う
構成を備える。更に、63はブレード61に隣接して設
けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記
録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持され
る。上記のブレード61、キャップ62及びインク吸収
体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード6
1及びインク吸収体63によって、吐出口面の水分や塵
埃等の除去が行われる。
【0050】65は、吐出エネルギー発生手段を有し、
吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを
吐出して記録を行う記録ヘッドであり、66は、該記録
ヘッド65を搭載して記録ヘッド65の移動を行うため
のキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と
摺動可能に係合し、キャリッジ66の一部は、モーター
68によって駆動されるベルト69と接続(不図示)し
ている。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿
った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域
及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0051】又、51は被記録材を挿入するための紙給
部、52は不図示のモーターにより駆動される紙送りロ
ーラーである。これらの構成により記録ヘッドの65吐
出口面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進
行するにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へと排
紙される。以上の構成において、記録ヘッド65が記録
終了してホームポジションへ戻る際、吐出回復部64の
キャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避して
いるが、ブレード61は移動経路中に突出している。そ
の結果、記録ヘッド65の吐出口がワイピングされる。
【0052】尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出
面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62
は、記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動す
る。記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位
置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は上
記したワイピングの時の位置と同一の位置にある。この
結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面は
ワイピングされる。上述の記録ヘッドのホームポジショ
ンへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりでなく、
記録ヘッドが記録のために記録領域を移動する間に所定
の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動
し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0053】図5は、記録ヘッドにインク供給部材、例
えば、チューブを介して供給されるインクを収容したイ
ンクカートリッジの一例を示す図である。ここで40
は、供給用インクを収納したインク収容部、例えば、イ
ンク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられ
ている。この栓42に針(不図示)を挿入することによ
り、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能にす
る。44は廃インクを受容するインク吸収体である。イ
ンク収容部としてはインクとの接液面がポリオレフィ
ン、特にポリエチレンで形成されているものが好まし
い。
【0054】本発明のインクジェット記録装置として
は、上述のようにヘッドとインクカートリッジとが別体
となったものに限らず、図6に示すようなそれらが一体
になったものでもよい。図6において、70は記録ユニ
ットであり、この中にはインクを収容したインク収容
部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるイ
ンク吸収体中のインクが複数オリフィスを有するヘッド
部71からインク滴として吐出される構成になってい
る。インク吸収体の材料としてはポリウレタンを用いる
ことが本発明にとって好ましい。又、インク吸収体を用
いず、インク収容部が内部にバネ等を仕込んだインク袋
であるような構造でもよい。72はカートリッジ内部を
大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユ
ニット70は図4に示す記録ヘッド65に換えて用いら
れるものであって、キャリッジ66に対して着脱自在に
なっている。
【0055】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、下記実施例により限定されるものではない。尚、文
中「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り重
量基準である。
【0056】<実施例1〜4>先ず、下記に示す各成分
を混合し、充分攪拌して溶解させた後、ポアサイズ0.
2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)
製)にて加圧濾過して実施例1のインクを調製した。
【0057】
【0058】[評価1]上記の実施例1のインクを用い
て、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与する
ことによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記
録ヘッド[BC−02(キヤノン(株)製):ヒータ上
の最表面保護層はタンタル及びタンタルの酸化物より成
る]を有するインクジェット記録装置で、下記の条件で
インクを吐出させて評価した。上記インクジェット記録
装置のインクの吐出条件は、実施例1では、パルス幅
1.1μs(on)+3.0μs(off)+3.2μ
s(on)、駆動周波数6,250Hzで、Vth(吐出
するぎりぎりの臨界電圧)を実測し、r値=1.39に
相当するVop(駆動電圧)をかけてインクを吐出させ
た。そして、この条件でインクジェット記録を行った場
合の、インクジェット記録ヘッドにおける吐出耐久性及
びヒータへのコゲ付着を下記の方法及び基準で夫々評価
した。その結果を表1に示した。尚、Vop(駆動電圧)
は、次の式より算出した。 Vop=√r×Vth
【0059】又、実施例1のインクを用いて、r値=
1.10に相当するVop(駆動電圧)で同様の評価をし
たものを実施例2、r値=1.49に相当するVop(駆
動電圧)で同様の評価をしたものを実施例3、r値=
1.72に相当するVop(駆動電圧)で同様の評価をし
たものを実施例4とし、結果を表1に示した。
【0060】(1)吐出耐久性 実施例1〜4について、前記装置と駆動条件で連続吐出
を行い、1×106発おきに記録ヘッドから吐出される
液滴を容器に収集して、電子天秤で秤量した。容器の増
加量より1×106発における平均の吐出液滴量を算出
した。尚、連続吐出は1×108発まで行い、下記の基
準で評価し、その結果を表1に示した。尚、ここでは評
価B以上を実用に供し得るものと判断している。 A:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量
が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて90
%以上。 B:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量
が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて90
%未満〜70%。 C:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量
が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて70
%未満。 D:途中で吐出不能に陥った。
【0061】(2)コゲ付着量 上記したヘッドの吐出耐久性評価で使用した記録ヘッド
を終了後に分解し、吐出耐久に使用したノズルのヒータ
表面を光学顕微鏡(倍率400倍)で観察して、コゲの
付着量を下記の基準で評価した。 A:コゲの付着が殆ど見られない。 B:コゲの付着が僅かに見られる。 C:コゲの付着が多く見られる。 D:コゲの付着が非常に多く見られる。
【0062】<実施例5〜13>更に、下記に示す各成
分を混合し、充分攪拌して溶解させた後、ポアサイズ
0.2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム
(株)製)にて加圧濾過して実施例5〜12のインクを
調製した。そして、得られた実施例5〜12のインクを
用いて、r値=1.72に相当するVop(駆動電圧)で
評価すること以外は実施例1〜4と同様の方法で評価を
行なった。その結果を表1に示した。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】<比較例1〜9>更に、下記に示す各成分
を混合し、充分攪拌して溶解させた後、ポアサイズ0.
2μmのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)
製)にて加圧濾過して比較例1〜9のインクを調製し
た。そして、得られた比較例1〜9のインクを用いて、
r値=1.72に相当するVop(駆動電圧)で評価する
こと以外は実施例1〜4と同様にして、同様の評価を行
なった。その結果を表2に示した。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】<実施例13〜30及び比較例6〜14>
下記に示す各成分を混合し、充分攪拌して溶解させた
後、ポアサイズ0.2μmのミクロフィルター(富士写
真フィルム(株)製)にて加圧濾過して実施例13〜2
5の染料インクを夫々調製した。更に、下記に示すよう
にして顔料分散液を作製した後、得られた顔料分散液を
用いて実施例26〜30の顔料インクを調製した。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】(実施例26のインクの作成) [顔料分散液1の調製] ・スチレン-アクリル酸-アクリル酸ブチル共重合体 (酸価116、平均分子量3,700) 5部 ・トリエタノールアミン 0.5部 ・ジエチレングリコール 5部 ・水 69.5部 上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、
樹脂成分を完全に溶解させる。この溶液にカーボンブラ
ック「MA−100」(pH3.5;三菱化学(株)
製)15部、2−プロパノール5部を加え、30分間プ
レミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行っ
た。
【0094】 ・分散機:サンドグライダー(五十嵐機械製) ・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ 1mm径 ・粉砕メディアの充填率:50%(体積) ・粉砕時間:3時間 更に、遠心分散処理(12,000rpm、20分間)
を行い、粗大粒子を除去して顔料分散液1とした。
【0095】[インクの調製]上記のようにして得た顔
料分散液1を用い、以下の各成分をビーカーにて混合
し、25℃にて3時間撹拌し、この混合物をポアサイズ
3.0μmのメンブランフィルター(住友電工(株)
製)で加圧ろ過したものを実施例26のインクとした。 ・顔料分散液1 30部 ・ジエチレングリコール 10部 ・2−プロパノール 2部 ・クエン酸三アンモニウム 2部 ・タウリン 1部 ・水酸化ナトリウム 0.1部 ・水 54.9部
【0096】(実施例27のインク作成) [顔料分散液2の調製]市販の酸性カーボンブラック
「MA77」(pH3;三菱化学(株)製)300gを
水1,000mlによく混合した後、これに次亜塩素酸
ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、1
00〜105℃で10時間攪拌した。得られたスラリー
を東洋ろ紙No.2(アドバンティス社製)でろ過し、
顔料粒子を十分に水洗した。この顔料ウェットケーキを
水3,000mlに再分散し、電導度0.2μsまで逆
浸透膜で脱塩した。更に、この顔料分散液(pH=8〜
10)を顔料濃度10重量%に濃縮し、顔料分散液2を
調製した。上記の方法によってカーボンブラックの表面
には親水性の−COONa基が導入され、自己分散性が
付与される。
【0097】[インクの調製]上記のようにして得た顔
料分散液2を含む以下の各成分をビーカーにて混合し、
25℃にて3時間撹拌した。この混合物をポアサイズ
3.0μmのメンブランフィルター(住友電工(株)
製)で加圧ろ過したものを実施例27のインクとした。 ・顔料分散液2 30部 ・グリセリン 5部 ・トリメチロールプロパン 5部 ・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 (商品名:アセチレノールEH、 川研ファインケミカル製) 0.2部 ・クエン酸三アンモニウム 2部 ・タウリン 1部 ・水酸化ナトリウム 0.1部 ・水 56.7部
【0098】(実施例28のインク作成) [顔料分散液3の調製] ・スチレン−アクリル酸共重合体(酸価200、 平均分子量7,000) 5.5部 ・モノエタノールアミン 1.0部 ・イオン交換水 67.5部 ・ジエチレングリコール 5.0部
【0099】上記成分を混合し、ウォーターバスで70
℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させた。この溶液に
C.I.Pigment Yellow 93を20
部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間
プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行
なった。
【0100】・分散機:サンドグラインダー ・粉砕メディア:ガラスビーズ 1mm径 ・粉砕メディアの充填率:50%(体積) ・粉砕時間:3時間 更に遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を
行い、粗大粒子を除去して顔料分散液3とした。
【0101】[インクの調製]上記のようにして得た顔
料分散液3を含む以下の各成分をビーカーにて混合し、
25℃にて3時間撹拌したものを実施例28のインクと
した。
【0102】(実施例29のインク作成) [顔料分散液4の調製] ・スチレン−アクリル酸共重合体(酸価200、 平均分子量7,000) 5.5部 ・モノエタノールアミン 1.0部 ・イオン交換水 67.5部 ・ジエチレングリコール 5.0部 上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、
樹脂分を完全に溶解させた。この溶液にC.I.Pig
ment Red 122を20部、イソプロピルアル
コールを1.0部加え、30分間プレミキシングを行っ
た後、下記の条件で分散処理を行なった。
【0103】・分散機:サンドグラインダー ・粉砕メディア:ガラスビーズ 1mm径 ・粉砕メディアの充填率:50%(体積) ・粉砕時間:3時間 更に遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を
行い、粗大粒子を除去して顔料分散液4とした。
【0104】[インクの調製]上記のようにして得た顔
料分散液4を含む以下の各成分をビーカーにて混合し、
25℃にて3時間撹拌したものを実施例29のインクと
した。
【0105】(実施例30のインク作成) [顔料分散液5の調製] ・スチレン−アクリル酸共重合体(酸価200、 平均分子量7,000) 5.5部 ・モノエタノールアミン 1.0部 ・イオン交換水 67.5部 ・ジエチレングリコール 5.0部
【0106】上記成分を混合し、ウォーターバスで70
℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させた。この溶液に
C.I.Pigment Blue 15:3を20
部、イソプロピルアルコールを1.0部加え、30分間
プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行
なった。
【0107】・分散機:サンドグラインダー ・粉砕メディア:ガラスビーズ 1mm径 ・粉砕メディアの充填率:50%(体積) ・粉砕時間:3時間 更に遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を
行い、粗大粒子を除去して顔料分散液5とした。
【0108】[インクの調製]上記のようにして得た顔
料分散液5を含む以下の各成分をビーカーにて混合し、
25℃にて3時間撹拌したものを実施例30のインクと
した。
【0109】<比較例6〜14>下記に示す各成分を混
合し、充分攪拌して溶解させた後、ポアサイズ0.2μ
mのミクロフィルター(富士写真フィルム(株)製)に
て加圧濾過して比較例6〜9の染料インクを夫々調製し
た。更に、実施例26〜30で調製した顔料分散液を用
いて比較例10〜14の顔料インクを調製した。
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】(比較例10のインク作成)以下の各成分
をビーカーにて混合し、25℃にて3時間撹拌したもの
を比較例10のインクとした。 ・顔料分散液1 30部 ・ジエチレングリコール 10部 ・2−プロパノール 2部 ・水酸化ナトリウム 0.1部 ・水 57.9部
【0115】(比較例11のインク作成)以下の各成分
をビーカーにて混合し、25℃にて3時間撹拌した。こ
の混合物をポアサイズ3.0μmのメンブランフィルタ
ー(住友電工(株)製)で加圧ろ過したものを比較例1
1のインクとした。 ・顔料分散液2 30部 ・グリセリン 5部 ・トリメチロールプロパン 5部 ・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 (商品名:アセチレノールEH、 川研ファインケミカル製) 0.2部 ・水酸化ナトリウム 0.1部 ・水 59.7部
【0116】(比較例12のインク作成)以下の各成分
をビーカーにて混合し、25℃にて3時間撹拌したもの
を本発明に使用する比較例12のインクとした。
【0117】(比較例13のインク作成)以下の各成分
をビーカーにて混合し、25℃にて3時間撹拌したもの
を比較例13のインクとした。
【0118】(比較例14のインク作成)以下の各成分
をビーカーにて混合し、25℃にて3時間撹拌したもの
を比較例14のインクとした。
【0119】[評価2]上記の実施例13〜30及び比
較例6〜14のインクと、記録信号に応じた熱エネルギ
ーをインクに付与することによりインクを吐出させるオ
ンデマンド型マルチ記録ヘッド(BC−02(キヤノン
(株)製):ヒータ上の最表面保護層はタンタル及びタ
ンタルの酸化物より成る)を有するインクジェット記録
装置を用い、下記の条件でインクを吐出させて評価し
た。上記インクジェット記録装置のインクの吐出条件
は、パルス幅1.1μs(on)+3.0μs(of
f)+3.2μs(on)、駆動周波数6,250Hz
で、Vth(吐出するぎりぎりの臨界電圧)を実測し、r
値=1.39に相当するVop(駆動電圧)をかけてイン
クを吐出させた。そして、この条件でインクジェット記
録を行った場合のインクジェット記録ヘッドにおける吐
出耐久性及びヒータへのコゲ付着を下記の方法及び基準
で評価した。インクの主組成及び評価結果については、
表3−1に実施例13〜25の染料インクについての結
果を示し、表3−2に実施例26〜30の顔料インクに
ついての結果を示し、更に、比較例6〜14のインクに
ついては表4に示した。
【0120】(1)吐出耐久性 実施例13〜30及び比較例6〜14について、前記装
置と駆動条件で連続吐出を行い、1×106発おきに記
録ヘッドから吐出される液滴を容器に収集して、電子天
秤で秤量した。容器の増加量より1×106発における
平均の吐出液滴量を算出した。尚、連続吐出は1×10
8発まで行い、下記の基準で評価し、その結果を表3及
び表4に示した。 A:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量
が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて90
%以上。 B:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量
が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて90
%未満〜70%。 C:9.9×107〜1×108発間の平均の吐出液滴量
が0〜1×106発後の平均の吐出液滴量と比べて70
%未満。 D:途中で吐出不能に陥った。
【0121】(2)コゲ付着量 上記したヘッドの吐出耐久性評価で使用した記録ヘッド
を終了後に分解し、吐出耐久に使用したノズルのヒータ
表面を光学顕微鏡(倍率400倍)で目視して、コゲの
付着量を下記の基準で評価し、その結果を表3及び表4
に示した。 A:コゲの付着が殆ど見られない。 B:コゲの付着が僅かに見られる。 C:コゲの付着が多く見られる。 D:コゲの付着が非常に多く見られる。
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特に、熱エネルギーを利用したインクジェット記録にお
いて、記録ヘッドのヒータ上のコゲ付着が有効に低減さ
れ、更には、記録ヘッドの寿命を向上させることができ
るインク、インクジェット記録ヘッドのヒータへのコゲ
付着低減方法、インクジェット記録方法、インクジェッ
ト記録装置、インクジェット記録ユニット及び記録ヘッ
ドの長寿命化方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の記録ヘッド
の一例を示す縦断面図である。
【図2】本発明のインクジェット記録装置の記録ヘッド
の一例を示す横断面図である。
【図3】本発明の図1に示した記録ヘッドをマルチ化し
たヘッドの外観斜視図である。
【図4】本発明のインクジェット記録装置の一例を示す
概略斜視図である
【図5】インクカートリッジの一例を示す内部構成斜視
図である。
【図6】記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
13:記録ヘッド 14:インク溝 15:発熱ヘッド 16−1:保護膜 16−2:最表面保護膜 17−1、17−2:電極 18:発熱抵抗体層 19:蓄熱層 20:基板 21:インク 22:吐出オリフィス(微細孔) 23:メニスカス 24:インク小滴 25:被記録材 26:マルチ溝 27:ガラス板 28:発熱ヘッド 40:インク袋 42:栓 44:インク吸収体 45:インクカートリッジ 51:給紙部 52:紙送りローラー 53:排紙ローラー 61:ブレード 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:記録ヘッド 66:キャリッジ 67:ガイド軸 68:モーター 69:ベルト 70:記録ユニット 71:ヘッド部 72:大気連通口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA21 EC42 FA03 FC01 FC02 HA17 2H086 BA02 BA53 BA55 BA56 BA59 BA62 4J039 BA04 BA19 BC07 BC09 BC13 BC16 BC19 BC31 BC33 BC35 BC36 BC37 BC50 BC51 BC54 BC55 BC56 BE01 BE03 BE04 BE05 BE06 BE08 BE12 CA03 CA06 EA15 EA16 EA17 EA19 EA41 EA42 EA44 GA24 (54)【発明の名称】 インク、インクジェット用インク、インクジェット記録ヘッドのヒータへのコゲ付着低減方法、 インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録ユニット及び記録ヘッドの長寿命化方 法

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)色材、(b)液媒体、(c)ポリ
    リン酸、ジカルボン酸、ポリアミノカルボン酸、アルド
    ン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリオールリン酸エステ
    ル、及びこれらの塩から選ばれる少なくとも1種、及び
    (d)アミノ基を有する酸及び/又はその塩、を含むこ
    とを特徴とするインク。
  2. 【請求項2】 前記(c)成分の含有量が、インク全量
    に対して0.005〜20重量%、且つ、前記(d)成
    分の含有量が、インク全量に対して0.005〜20重
    量%である請求項1に記載のインク。
  3. 【請求項3】 前記(c)成分と前記(d)成分との重
    量比が、20:1〜1:20である請求項1又は2に記
    載のインク。
  4. 【請求項4】 前記(c)成分が、アンモニウム塩であ
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク。
  5. 【請求項5】 前記(d)成分が、アンモニウム塩であ
    る請求項1〜4のいずれか1項に記載のインク。
  6. 【請求項6】 前記ヒドロキシカルボン酸が、クエン酸
    及び酒石酸から選択される少なくとも1種である請求項
    1に記載のインク。
  7. 【請求項7】 前記アルドン酸が、グルコン酸である請
    求項6に記載のインク。
  8. 【請求項8】 前記ポリオールリン酸エステルが、α−
    グリセロリン酸及びβ−グリセロリン酸の少なくともい
    ずれかである請求項1に記載のインク。
  9. 【請求項9】 前記(d)成分が、アミド硫酸(別名:
    スルファミン酸)、アミノメタンスルホン酸、タウリン
    (別名:2−アミノエタンスルホン酸)、カルバミン
    酸、グリシン、アラニン、アスパラギン酸及びグルタミ
    ン酸から選択される少なくとも1種である請求項1に記
    載のインク。
  10. 【請求項10】 前記(d)成分が、アミノ基とスルホ
    ン基とを有している酸又はその塩である請求項1〜9の
    いずれか1項に記載のインク。
  11. 【請求項11】 前記(d)成分が、アミド硫酸(別
    名:スルファミン酸)、アミノメタンスルホン酸及びタ
    ウリンから選択される少なくとも1種である請求項10
    に記載のインク。
  12. 【請求項12】 前記(a)成分が、水溶性染料である
    請求項1〜11のいずれか1項に記載のインク。
  13. 【請求項13】 前記(a)成分が、顔料である請求項
    1〜12のいずれか1項に記載のインク。
  14. 【請求項14】 前記(b)成分が、水を含み、該水の
    含有量がインク全量に対して35〜96重量%である請
    求項1〜13のいずれか1項に記載のインク。
  15. 【請求項15】 該インクが、インクジェット用インク
    である請求項1〜14のいずれか1項に記載のインク。
  16. 【請求項16】 インクに熱エネルギーを印加してオリ
    フィスから該インクを吐出させるためのヒータと該ヒー
    タを保護するための金属及び/又は該金属の酸化物を含
    む最表面保護層を備えた記録ヘッドを有するインクジェ
    ットプリンタに使用されるインクであって、該インク
    が、請求項15に記載のインクであることを特徴とする
    インクジェット用インク。
  17. 【請求項17】 前記金属及び/又は金属の酸化物が、
    タンタル及び/又はタンタルの酸化物である請求項16
    に記載のインクジェット用インク。
  18. 【請求項18】 インクに熱エネルギーを印加してオリ
    フィスから該インクを吐出させるためのヒータを備えた
    記録ヘッドを有するインクジェット記録装置におけるヒ
    ータ表面へのコゲの付着低減方法であって、上記ヒータ
    が、金属及び/又は該金属の酸化物を含む最表面保護層
    を備え、且つ、上記インクが請求項15に記載のインク
    であることを特徴とするヒータへのコゲ付着低減方法。
  19. 【請求項19】 前記金属及び/又は金属の酸化物が、
    タンタル及び/又はタンタルの酸化物である請求項18
    に記載のコゲ付着低減方法。
  20. 【請求項20】 インクを吐出させるためにヒータに投
    入するエネルギーをEopとし、記録ヘッドからインクを
    吐出させるために最低限必要なヒータへのエネルギー投
    入量をEthとしたとき、Eop/Ethが、下記の関係を満
    たす請求項18又は19に記載のコゲ付着低減方法。 1.10≦Eop/Eth≦1.90
  21. 【請求項21】 インクに熱エネルギーを印加してオリ
    フィスから吐出させる工程を含むインクジェット記録方
    法において、該インクが、請求項15に記載のインクで
    あることを特徴とするインクジェット記録方法。
  22. 【請求項22】 インクを収容しているインク収容部、
    該インク収納部から導かれたインク流路内のインクに熱
    エネルギーを付与するヒータを有するインクジェット記
    録用ヘッド、及び記録情報に応じて上記ヒータにパルス
    状の電気信号を印加する手段を具備しているインクジェ
    ット記録装置であって、上記ヒータが金属及び/又は該
    金属の酸化物を含む最表面保護層を具備し、且つ、上記
    インクが、請求項15に記載のインクであることを特徴
    とするインクジェット記録装置。
  23. 【請求項23】 前記金属及び金属酸化物が、タンタル
    及びタンタルの酸化物である請求項22に記載のインク
    ジェット記録装置。
  24. 【請求項24】 インクを吐出させるためにヒータに投
    入するエネルギーをEopとし、記録ヘッドからインクを
    吐出させるために最低限必要なヒータへのエネルギー投
    入量をEthとしたとき、Eop/Ethが、下記の関係を満
    たす請求項22又は23に記載のインクジェット記録装
    置。 1.10≦Eop/Eth≦1.90
  25. 【請求項25】 インクを収容しているインク収容部
    と、該インクを熱エネルギーの作用によりオリフィスか
    ら吐出させるためのインクジェット記録用ヘッド部とを
    有する記録ユニットであって、該インクジェット記録用
    ヘッドは、該ヒータに熱エネルギーを印加するための金
    属及び/又は該金属の酸化物を含む最表面保護層を備え
    たヒータを具備し、且つ、該インクが、請求項15に記
    載のインクであることを特徴とする記録ユニット。
  26. 【請求項26】 前記金属及び/又は該金属の酸化物
    が、タンタル及びタンタルの酸化物である請求項25に
    記載の記録ユニット。
  27. 【請求項27】 インクに熱エネルギーを印加してオリ
    フィスから吐出させる工程を含むインクジェット記録方
    法に用いられるインクに熱エネルギーを付与するヒータ
    を具備している記録ヘッドの長寿命化方法であって、該
    ヒータに金属及び/又は該金属の酸化物を含む最表面保
    護層を設け、且つ、該インクとして請求項15に記載の
    インクを用いることを特徴とする記録ヘッドの長寿命化
    方法。
  28. 【請求項28】 前記金属及び/又は該金属の酸化物
    が、タンタル及びタンタルの酸化物である請求項27に
    記載の記録ヘッドの長寿命化方法。
  29. 【請求項29】 インクを吐出させるためにヒータに投
    入するエネルギーをEopとし、記録ヘッドからインクを
    吐出させるために最低限必要なヒータへのエネルギー投
    入量をEthとしたとき、Eop/Ethが、下記の関係を満
    たす請求項27又は28に記載の記録ヘッドの長寿命化
    方法。 1.10≦Eop/Eth≦1.90
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