JPH1036538A - ポリビニルアルコール系フィルム - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルム

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JPH1036538A
JPH1036538A JP8197477A JP19747796A JPH1036538A JP H1036538 A JPH1036538 A JP H1036538A JP 8197477 A JP8197477 A JP 8197477A JP 19747796 A JP19747796 A JP 19747796A JP H1036538 A JPH1036538 A JP H1036538A
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JP
Japan
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pva
film
vinyl
polymer
alkyl group
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Application number
JP8197477A
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Inventor
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
Tetsuo Murakami
哲夫 村上
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性及び表面光沢性に優れ、かつヒートシ
ール強度,接着強度を損なうことなく、滑り性,耐ブロ
ッキング性などを向上させたポリビニルアルコール系フ
ィルムを提供すること。 【解決手段】 片側又は両側の表面に、末端にアルキル
基をもつビニルアルコール系重合体を有する、好ましく
はこのものを含有する被覆層を有するポリビニルアルコ
ール系フィルムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニルアルコ
ール系フィルムに関する。さらに詳しくは、本発明は、
透明性,表面光沢性に優れ、かつヒートシール強度,接
着強度を損なうことなく、滑り性,耐ブロッキング性を
向上させたポリビニルアルコール系フィルムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアルコール(以下、PVAと
略記する)フィルムは透明性、表面光沢が良く、優れた
強靱性を示すため、各種包装材料として広く使用されて
いる。しかし、滑り性に乏しいためフィルム同志が密着
し、いわゆるブロッキング現象を起こし易く、特に自動
包装機、自動製袋機に供して高速で運転する場合、ロー
ル状に巻き取ったフィルムが解き出され難く、一方でフ
ィルムが装置に付着したりして著しく作業性を低下し、
場合によってはフィルムが破断することもある。このた
め従来は二酸化硅素、二酸化チタン、クレー、ベントナ
イト、澱粉等の微粉末をフィルム表面に塗布することが
行われているが、かかる方法ではフィルムの透明性が低
下して商品価値が損なわれるのを免れない上、該粉末が
脱落しやすく、ブロッキング防止効果が充分に発揮され
ないなどの欠点がある。
【0003】また、一般的に合成樹脂フィルムの表面に
有機高分子物質の有機溶剤溶液を塗布してブロツキング
を防止する方法も知られているが、PVAフィルムに該
方法を適用しても、かかる方法で使用される有機高分子
物質は通常疎水性の樹脂であって、PVAフィルムとの
接着力に乏しいため、処理フィルムをヒートシールする
場合、たとえ塗布樹脂自体がヒートシール性の優れたも
のであっても塗布層とPVAフィルム層とが剥離しやす
く、結果的に接合力の強いヒートシールを実施すること
は困難である。更に該方法では臭化カルシウム、硝酸マ
グネシウム等のPVAフィルムの接着に通常用いられて
いる周知の接着剤によってPVAフィルムの接着を行う
際に、接着性が著しく低下してその用途が制限されるの
を免れない。したがって、かかる方法は、PVAフィル
ムのブロッキング防止方法としては、実用的な方法であ
るとはいえない。そこで、このような欠点を改良するた
めに、例えばPVAフィルムに疎水性合成樹脂エマルジ
ョンを点在させる方法(特公昭56−38610号公
報)、あるいはスチレン系樹脂エマルジョンやメタクリ
ル系樹脂エマルジョン、PVA水溶液、シリコーン系撥
水剤および特定の粒子径の微粒子体の水分散物からなる
組成物をコートする方法(特開昭57−92031号公
報)などが提案されている。しかしながら、これらの方
法では、エマルジョン粒子とPVAフィルムの接着性が
悪く、エマルジョン粒子が脱落してブロッキング防止能
が低下したり、あるいはコート液の調製が繁雑であるば
かりでなく、透明性、耐ブロッキング性、耐摩耗性すべ
てを同時に満足することは困難である。
【0004】また、メタクリル酸メチル,スチレン及び
官能基を有するビニルモノマーの共重合体とPVA水溶
液を混合した液でPVAフィルムを処理する方法が提案
されているが(特開平1−261801号公報)、この
方法では、低温,低湿時のヒートシール性及び溶断シー
ル温度が低い場合のヒートシール性が低下するなどの問
題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、透明性,表面光沢性に優れ、かつヒートシー
ル強度,接着強度を損なうことなく、滑り性,耐ブロッ
キング性などを向上させたPVA系フィルムを提供する
ことを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の優
れた機能を有するPVA系フィルムを開発すべく鋭意研
究を重ねた結果、少なくとも片側の表面に、末端にアル
キル基をもつビニルアルコール系重合体(以下、PVA
系重合体と略記する)を有するPVA系フィルムが、そ
の目的に適合しうることを見出した。本発明は、かかる
知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明
は、少なくとも片側の表面に、末端にアルキル基をもつ
PVA系重合体を有することを特徴とするPVA系フィ
ルムを提供するものである。なお、本発明でいうフィル
ムは、厚さ5mm程度以下のシート状物をも包含するも
のである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のPVA系フィルムは、片
側又は両側の表面に、末端にアルキル基をもつPVA系
重合体を有するものであって、該PVA系重合体におけ
るアルキル基としては、炭素数2〜24のものが好まし
く挙げられる。このアルキル基は直鎖状,分岐状,環状
のいずれであってもよく、具体的には、C2 5 −,C
3 7−,C4 9 −,C6 13−,C8 17−,C10
21−,C1225−,C1429−,C1633−,C18
37−,C2041−,C2449−などが挙げられるが、こ
れらの中で、とりわけ炭素数4〜20のものが、得られ
るPVA系フィルムの耐ブロッキング性が特に優れるの
で好適である。この末端にアルキル基をもつPVA系重
合体の製造方法としては特に制限はなく、様々な方法を
挙げることができるが、上記アルキル基に対応するアル
キルチオール類の存在下に、ビニルエステル類を主体と
する単量体をラジカル重合し、連鎖移動反応により末端
にアルキル基を導入したポリビニルエステル系重合体を
得たのち、これをけん化することにより製造する方法が
最も好ましい。
【0008】この方法において用いられるアルキルチオ
ール類の例としては、C2 5 SH,n−C3 7
H,n−C4 9 SH,i−C4 9 SH,sec−C
4 9SH,n−C6 13SH,n−C8 17SH,n
−C1021SH,n−C1225SH,tert−C12
25SH,n−C1429SH,n−C1633SH,n−C
1837SH,n−C2041SH,n−C2449SHなど
が挙げられるが、これらの中で、n−C4 9 SH,n
−C6 13SH,n−C8 17SH,n−C10 21
H,n−C1225SH,n−C1429SH,n−C16
33SH,n−C18 37SH及びn−C2041SHが好適
である。一方、ビニルエステル類はラジカル重合可能な
ビニルエステル類であれば使用でき、このようなものと
しては、例えば、ギ酸ビニル,酢酸ビニル,プロピオン
酸ビニル,酪酸ビニル,イソ酪酸ビニル,パーサチック
酸ビニル,カプロン酸ビニル,カプリル酸ビニル,カプ
リン酸ビニル,ラウリル酸ビニル,パルミチン酸ビニ
ル,ステアリン酸ビニル,オレイン酸ビニル,ピバリン
酸ビニルなどが挙げられるが、これらの中で、経済性の
点で特に酢酸ビニルが好適である。
【0009】アルキルチオール類の存在下における酢酸
ビニル等のビニルエステル類を主体とするビニル系単量
体の重合は、ラジカル重合開始剤の存在下、塊状重合
法,溶液重合法,懸濁重合法,乳化重合法等いずれの方
法でも行うことができるが、酢酸ビニルの場合にはメタ
ノールを溶媒とする溶液重合法が工業的には最も有利で
ある。重合中に存在させるチオール類の重合系への添加
量、添加方法には特に制限はなく、目的とするPVA系
重合体の物性値に応じて適宜選定すればよい。重合方式
としては、回分式,半連続式,連続式のいずれの方式も
用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、
α,α'-アゾビスイソブチロニトリル;2,2’−アゾ
ビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル);過酸化ベ
ンゾイル;nープロピルパーオキシカーボネートなどの
アゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始
剤が挙げられる。重合温度については特に制限はない
が、室温〜150℃の範囲が適当である。所定時間重合
した後、未重合のビニルエステル類を通常の方法で除去
することにより末端にアルキル基を有するビニルエステ
ル系重合体が得られる。
【0010】このようにして得られたビニルエステル系
重合体は、常法によりけん化されるが、通常、重合体を
アルコール、場合によっては含水アルコールに溶解した
状態でけん化される。けん化反応に使用されるアルコー
ルとしては、メチルアルコール、エチルアルコールなど
の低級アルコールが挙げられ、メチルアルコールが特に
好適に使用される。けん化反応に使用されるアルコール
には、40重量%以下であれば、アセトン,酢酸メチル
エステル,酢酸エチルエステル,ベンゼン等の溶剤を含
有していてもよい。このけん化反応においては、触媒を
使用するのが好ましく、触媒としては、例えば水酸化カ
リウム,水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化
物、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、あるい
は鉱酸などの酸触媒が用いられる。該触媒の使用量はけ
ん化度の大小および水分量等により適宜決められるが、
ビニルエステル単位に対しモル比で0.001以上、好ま
しくは0.002以上用いるのが望ましい。一方該触媒量
が多くなりすぎると残存触媒を重合体中より除去するこ
とが困難となり、重合体が着色する等好ましくなく、モ
ル比で0.2以下にすることが望ましい。けん化反応の
温度については特に制限はないが、20〜60℃の範囲
が適当である。けん化反応の進行に伴って、ゲル状生成
物が析出してくる場合には、その時点で生成物を粉砕
し、洗浄後、乾燥することにより、所望の末端にアルキ
ル基をもつPVA系重合体が得られる。
【0011】このPVA系重合体のけん化度については
特に制限はなく、水溶性の範囲であればよいが、耐ブロ
ッキング性の点から、50モル%以上が好ましく、70
モル%以上がより好ましく、80モル%以上が特に好ま
しい。また、該PVA系重合体の粘度平均重合度(以
下、「平均重合度」と略記することがある)は10〜8
000の範囲が好ましい。この平均重合度が10未満で
はPVA系重合体としての特性が充分に発揮されないお
それがあり、8000を超えると末端にアルキル基を有
するPVA系重合体の工業的な製造が困難となる。PV
A系重合体の特性及び製造の容易さなどの面から、この
平均重合度は30〜6000の範囲がより好ましく、特
に50〜5000の範囲が好適である。
【0012】この末端にアルキル基をもつPVA系重合
体は、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能な
エチレン性不飽和単量体を共重合したものでもよい。エ
チレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン,プ
ロピレン,1−ブテン,イソブテンなどのオレフィン
類;アクリル酸,メタクリル酸,クロトン酸,フマル
酸,(無水)マレイン酸,(無水)イタコン酸などの不
飽和酸類、その塩及び炭素数1〜18のモノまたはジア
ルキルエステル類;アクリルアミド,炭素数1〜18の
N−アルキルアクリルアミド,N,N−ジメチルアクリ
ルアミド,2−アクリルアミドプロパンスルホン酸及び
その塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン、その
酸塩及びその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリ
ルアミド,炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルア
ミド,N,N−ジメチルメタクリルアミド,2−メタク
リルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリル
アミドプロピルジメチルアミン、その酸塩及びその4級
塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン,
N−ビニルホルムアミド,N−ビニルアセトアミドなど
のN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロ
ニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のア
ルキルビニルエーテル,ヒドロキシアルキルビニルエー
テル,アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニル
エーテル類;塩化ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニ
ル,フッ化ビニリデン,臭化ビニルなどのハロゲン化ビ
ニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン
類,酢酸アリル,塩化アリル,アリルアルコール,ジメ
チルアリルアルコール,トリメチル−(3−アクリルア
ミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリ
ド,アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸,
炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基含有のα−オレ
フィン類などが挙げられる。
【0013】本発明のPVA系フィルムは、基材のPV
A系フィルムの片側又は両側の表面に、末端にアルキル
基をもつPVA系重合体を有するものであり、該基材用
フィルムに用いられるPVA系重合体については特に制
限はないが、平均重合度は100〜10000の範囲が
好ましい。この平均重合度が100未満ではフィルムの
強度が不充分となるおそれがあり、また10000を超
えると製膜時に高粘度となり、作業性が低下する傾向が
みられる。フィルムの強度及び製膜時の作業性などの面
から、特に好ましい平均重合度は1000〜6000の
範囲である。また、けん化度は50モル%以上が好まし
い。このけん化度が50モル%未満ではフィルムの強度
が不充分となるおそれがある。フィルムの強度などの面
から、ケン化度はより好ましくは70モル%以上であ
り、さらに好ましくは95モル%以上である。また、特
に耐水性が要求される用途では、けん化度は高い方が高
結晶性となって耐水性が付与されるので、95モル%以
上のけん化度が望ましい。
【0014】この基材用フィルムに用いられるPVA系
重合体の製造方法としては特に制限はないが、従来公知
のビニルエステル類、特に好ましくは酢酸ビニルを重合
したのち、けん化する方法が好適である。また、このP
VA系重合体は、20モル%以下の他の成分を含んでい
てもなんら差し支えない。このような成分としては、例
えばクロトン酸,アクリル酸,メタクリル酸,(無水)
マレイン酸,(無水)イタコン酸等のエチレン性不飽和
カルボン酸及びこれらのアルキルエステル,塩化ビニリ
デン,アクリルアミド,アクリロニトリル,アルキルビ
ニルエーテル、さらにはエチレン,プロピレン等のα−
オレフィンなどが挙げられる。これらの成分を用いる場
合は、これらとビニルエステル類とを共重合させたの
ち、けん化すればよい。該基材用のPVA系フィルムに
は、所望により、可塑剤などの添加剤を含有させてもよ
い。該可塑剤としては、例えばエチレングリコール,ト
リメチレングリコール,テトラメチレングリコール,ポ
リエチレングリコール,ポリエチレングリコールポリプ
ロピレングリコール共重合体,グリセリン,ジグリセリ
ン,ブタンジオール,ジエチレングリコール,トリエチ
レングリコール,トリメチロールプロパン,ソルビトー
ル,ペンタエリスリトール,キシロース,アラビノー
ス,リブロースおよび上記の3〜6価の多価アルコール
1モルに対し、アルキレンオキサイド1〜4モルを付加
した化合物等が挙げられる。これらの中でグリセリン,
ジグリセリンおよびグリセリン,ペンタエリスリトー
ル,ソルビトールの多価アルコール1モルに対し、アル
キレンオキサイド1〜4モルを付加した化合物が可塑化
効果、PVA系重合体との相溶性、沸点の高さなどから
好ましい。
【0015】この可塑剤の添加量は特に制限はないが、
PVA系重合体100重量部に対して、50重量部以下
が好ましい。この量が50重量部を超えるとフィルムが
柔軟になりすぎて製膜性に問題が生じる傾向がみられ
る。製膜性の面から、この可塑剤の特に好ましい添加量
は、PVA系重合体100重量部に対して、20重量部
以下である。また本発明で用いられる基材用のPVA系
フィルムは厚み5mm程度以下のシートをも含むもので
あるが、5〜200μmの厚みのものが通常好んで用い
られる。
【0016】本発明で用いられる基材用のPVA系フィ
ルムの製造法としては、従来よりPVA系フィルムの製
造法として慣用されている方法が好適に用いられる。す
なわち、水を溶剤として用い、ドラムまたはベルト上に
キャスティングし、乾燥するキャスティング方式、水を
含浸させたペレットを溶融押し出しする溶融押出方式等
が適用できる。製膜後のフィルムは、必要に応じて熱処
理を行ってもよい。また、延伸処理を行ってもなんら差
し支えない。本発明のPVA系フィルムは、上記基材の
PVA系フィルムの片側又は両側の表面に、末端にアル
キル基をもつPVA系重合体を有するものであれば、い
かなる方法によって得られたものであってもよいが、前
記の末端にアルキル基をもつPVA系重合体を用い、こ
のものを含有する被覆層を形成させたものが好適であ
る。この被覆層は、末端にアルキル基をもつPVA系重
合体単独からなるものであっても、充分なブロッキング
防止効果を発揮するが、該末端にアルキル基をもつPV
A系重合体とともに、必要に応じて、他のPVA系重合
体(A),無機質や有機質の微粒子体(B)又はエマル
ジョンやディスパージョンなどの微粒子(C)、あるい
はこれらを適当に組み合わせたものを含有するものであ
ってもよい。特に、末端にアルキル基をもつPVA系重
合体と他のPVA系重合体とを含有する被覆層が、基材
フィルムとの接着性などの点から好適である。
【0017】上記他のPVA系重合体(A)としては、
けん化度80モル%以上の水可溶性のPVA系重合体で
あればよく、特に制限はないが、平均重合度100〜2
0000のものが好ましく、特に500〜8000のも
のが好適である。また、クロトン酸,(無水)イタコン
酸,アクリル酸,メタクリル酸,(無水)マレイン酸,
フマル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸及びこれら
のアルキルエステル、塩化ビニル,塩化ビニリデン,ア
クリルアミド,アクリルニトリル,アルキルビニルエー
テル,アルコキシビニルシラン、さらにはエチレン,プ
ロピレン等のα−オレフインなどの少量を共重合成分と
して含有するポリ酢酸ビニル系共重合体のけん化物のよ
うな変性PVA系重合体も好適に用いることができる。
末端にアルキル基をもつPVA系重合体とPVA系重合
体(A)との使用割合については特に制限はないが、P
VA系重合体の末端アルキル基を被覆層の表面に存在さ
せ、本発明の効果を有効に発揮させるには、末端にアル
キル基をもつPVA系重合体/PVA系重合体(A)
(固形分重量比)が100/0〜1/99の範囲にある
のが好ましい。
【0018】また、無機質や有機質の微粒子体(B)と
しては、例えば酸化珪素,炭酸カルシウム,炭酸マグネ
シウム,硫酸カルシウム,硫酸マグネシウム,ステアリ
ン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム,二酸化チ
タン,タルク,カオリン,クレー,ベントナイト,コロ
イダルシリカ等の無機物、球状ポリエチレンワックス,
ポリ4フッ化エチレン,メラミン−グアナミン共重合体
等の有機物が挙げられる。一方、エマルジョンやディス
パージョン等の微粒子(C)としては、例えば酢酸ビニ
ル系エマルジョン,エチレン−酢酸ビニル系エマルジョ
ン,塩化ビニル−酢酸ビニル系エマルジョン,アクリル
酸系エマルジョン,スチレン−アクリル酸系エマルジョ
ン,シリコーン樹脂エマルジョン等の公知のエマルジョ
ンやディスパージョンが挙げられる。これらは必要に応
じて適宜二種以上混合して用いてもよい。
【0019】上記無機質や有機質の微粒子体(B)及び
エマルジョンやディスパージョンなどの微粒子(C)
は、粒子径が0.02〜1μmの範囲にあるものが好まし
い。この粒子径が0.02μm未満のものでは微粒子とし
ての効果が充分に発揮されないおそれがあり、また、1
μmを超えるものではフィルムの透明性が低下する傾向
がみられる。本発明のPVA系フィルムにおいては、末
端にアルキル基をもつPVA系重合体を含有する被覆層
は、基材のPVA系フィルムの片側又は両側の表面に設
けられるが、その厚みは、該被覆層の厚みを〔D〕、基
材のPVA系フィルムの厚みを〔E〕とした場合、
〔D〕/〔E〕が0.0001〜0.5の範囲にあるように
選ぶのが好ましい。〔D〕/〔E〕が0.0001未満で
は充分なブロッキング性が得られにくく、また0.5を超
えるとフィルムの透明性が低下するとともに、ヒートシ
ール性が不良となるおそれがある。ブロッキング性,透
明性及びヒートシール性などの面から、この〔D〕/
〔E〕は、特に0.01〜0.2の範囲が好ましい。
【0020】基材のPVA系フィルムの片側又は両側の
表面に、末端にアルキル基をもつPVA系重合体を含有
する被覆層を設けるには、例えば末端にアルキル基をも
つPVA系重合体及び必要に応じて用いられる他のPV
A系重合体(A),無機質や有機質の微粒子体(B),
エマルジョンやディスパージョンなどの微粒子(C)を
含有する水性媒体溶液又は分散液(以下、塗工液と称す
ことがある)を、従来公知の手段により塗工する方法を
用いるのが有利である。なお、ここでいう水性媒体と
は、水を主成分とするものであり、少量であれば水と混
合可能な有機溶剤、例えばアルコール類,アセトン,エ
ーテル類,ジオキサンなどを含んでいてもよい。また、
塗工手段としては、例えばハケ塗り,浸漬塗り,流し塗
り,ロールコーター法,エアドクター法,ブレードコー
ター法,スプレー法,ディップ法などを用いることがで
きる。
【0021】該塗工液の濃度については特に制限はな
く、塗工手段及び塗工膜の厚みなどに応じて、適宜選定
されるが、乾燥処理や作業性などを考慮して、通常総固
形分含有量で0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜
7重量%の範囲が適当である。塗工後、乾燥処理するこ
とにより、本発明のPVA系フィルムが得られるが、必
要に応じて、熱処理や延伸処理などを施してもよい。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。なお、実施例中で「部」および
「%」は、特に断らない限り、それぞれ「重量部」およ
び「重量%」を意味する。なお、フィルムの諸物性は下
記方法に従って測定した。 (1)透明性: 重ねたフィルムを通して9ポイント活
字を読み得る枚数で表した(フィルム厚みは1枚あたり
30μm)。 (2)耐ブロツキング性: 縦10cm,横10cm大
のフィルムを約50枚重ね、その上に80g/m2 の荷
重をかけ、80℃,80%RH(相対湿度)雰囲気に2
4時間放置後、フィルム相互の密着力を引張試験機によ
りT剥離強度(g/10cm)で評価した。 (3)耐摩耗性: 外径32mm、幅24mmの円筒の
外表面に黒色の綿ビロードを貼布した1kgの治具をフ
ィルム上の50mmの長さにわたり、ころがさずにすべ
らし、ビロード上に付着する微粉量により、次の判定基
準に従って官能的に評価した。 A:微粉が付かない。 B:微粉が付くが微量である。 C:微粉が多量に付く。 (4)20℃,65%RHのヒートシール強度: 富士
インパルスシーラーFI−600形(富士製作所(株)
製)により、20℃,65%RHに24時間調湿したP
VAフィルムをヒートシールし、幅15mm当たりのシ
ール強度を引張試験機により測定した。 (5)5℃,40%RHのヒートシール強度: 5℃,
40%RHに24時間調湿したPVAフイルムをヒート
シールし、幅15mm当たりのシール強度を引張試験機
により測定した。
【0023】実施例1 末端にn−C1225基をもつ平均重合度500、けん化
度98.2モル%の変性PVA(PVA−1)と通常の未
変性PVA(平均重合度2400,けん化度98.5モル
%)とを、固形分重量比20:80の割合で含有する濃
度2%水溶液からなる塗工液を調製した。次に、これを
ロールコーターで、厚さ30μmのPVA(平均重合度
1750、けん化度99.9モル%)フイルムに被覆層の
厚みが0.03μmになるように塗布し,80℃、2秒間
熱風乾燥した。得られたフイルムの諸物性を第2表に示
す。透明性,耐ブロッキング性,耐摩耗性,ヒートシー
ル強度,糊接着強度のすべての物性を満足するものであ
った。なお対照例として上記処理を行わなかった場合に
ついてのPVAフイルムの諸物性を第2表に併記する。
【0024】比較例1 実施例1において、PVA−1の代わりに平均重合度5
00、けん化度98.2モル%の未変性PVA(PVA−
7)を用いた以外は、実施例1と同様にして、表面に被
覆層を有するPVAフィルムを作製した。このフィルム
の諸物性を第2表に示す。 実施例2 実施例1において、塗工液として、PVA−1を1%濃
度で含有する水溶液を用いた以外は、実施例1と同様に
して表面に被覆層を有するPVAフィルムを作製した。
このフィルムの諸物性を第2表に示す。 比較例2 実施例2において、PVA−1の代わりにPVA−7を
用いた以外は、実施例1と同様にして、表面に被覆層を
有するPVAフィルムを作製した。このフィルムの諸物
性を第2表に示す。
【0025】実施例3 PVA−1と通常の未変性PVA(平均重合度240
0、けん化度98.5モル%)と平均粒径0.15μmのメ
タクリル酸メチル/スチレン重量比64/36の共重合
体エマルジョンとを、固形分重量比10:85:5の割
合で含有する固形分濃度1%の水溶液からなる塗工液を
調製した。次に、この塗工液を用い、実施例1と同様に
して表面に被覆層を有するPVAフィルムを作製した。
このフィルムの諸物性を第2表に示す。 比較例3 実施例3において、PVA−1の代わりにPVA−7を
用いた以外は、実施例3と同様にして、表面に被覆層を
有するPVAフィルムを作製した。このフィルムの諸物
性を第2表に示す。 実施例4〜8及び比較例4 第1表に示す配合組成の各成分を含有する固形分濃度が
2%の水溶液からなる塗工液を調製し、実施例1と同様
にして、表面に被覆層を有するPVAフィルムを作製し
た。これらのフィルムの諸物性を第2表に示す。
【0026】
【表1】
【0027】注1)エマルジョン:平均粒径0.15μm
のメタクリル酸メチル/スチレン重量比64/36の共
重合体エマルジョン 2)PVA−1:末端にn−C1225基をもつ平均重合
度500、けん化度98.2モル%の変性PVA 3)PVA−2:末端にn−C4 9 基をもつ平均重合
度300、けん化度97.0モル%の変性PVA 4)PVA−3:末端にn−C1837基をもつ平均重合
度200、けん化度99.6モル%の変性PVA 5)PVA−4:末端にn−C1225基をもつ平均重合
度1000、けん化度88.5モル%の変性PVA 6)PVA−5:末端にC2 5 基をもつ平均重合度5
00、けん化度99.0モル%の変性PVA 7)PVA−6:末端にn−C1225基をもつ平均重合
度300、けん化度97.9モル%の末端変性エチレン−
ビニルアルコール共重合体(エチレン単位含有量8モル
%) 8)PVA−7:平均重合度500、けん化度98.2モ
ル%の未変性PVA 9)PVA−8:平均重合度500、けん化度98.2モ
ル%の1−オクテン−ビニルアルコール共重合体(1−
オクテン単位含有量0.4モル%)
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、基材のPVA系フィル
ムの表面に、末端にアルキル基をもつPVA系重合体
を、それを含有する被覆層を設けるなどして、存在させ
ることにより、透明性,表面光沢性に優れ、かつヒート
シール強度,接着強度を損なうことなく、滑り性,耐ブ
ロッキング性などを向上させたPVA系フィルムが容易
に得られる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも片側の表面に、末端にアルキ
    ル基をもつビニルアルコール系重合体を有することを特
    徴とするポリビニルアルコール系フィルム。
  2. 【請求項2】 少なくとも片側の表面に、末端にアルキ
    ル基をもつビニルアルコール系重合体含有被覆層を有す
    る請求項1記載のポリビニルアルコール系フィルム。
  3. 【請求項3】 被覆層が、末端にアルキル基をもつビニ
    ルアルコール系重合体単独からなる層又は末端にアルキ
    ル基をもつビニルアルコール系重合体と他のビニルアル
    コール系重合体とを含有する層である請求項2記載のポ
    リビニルアルコール系フィルム。
  4. 【請求項4】 末端にアルキル基をもつビニルアルコー
    ル系重合体の該アルキル基が炭素数4〜20のものであ
    る請求項1,2又は3記載のポリビニルアルコール系フ
    ィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6956070B2 (en) 2001-04-20 2005-10-18 Kuraray Co., Ltd. Water-soluble film and package using the same
JP2011026390A (ja) * 2009-07-22 2011-02-10 Kobe Univ コーティング組成物及び当該コーティング組成物からなるフィルム
JP2012041437A (ja) * 2010-08-19 2012-03-01 Kuraray Co Ltd 表面処理されたポリビニルアルコール系重合体フィルム

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US6956070B2 (en) 2001-04-20 2005-10-18 Kuraray Co., Ltd. Water-soluble film and package using the same
JP2011026390A (ja) * 2009-07-22 2011-02-10 Kobe Univ コーティング組成物及び当該コーティング組成物からなるフィルム
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