JPH10338967A

JPH10338967A - 鉄骨構造物の柱・梁接合部構造

Info

Publication number: JPH10338967A
Application number: JP15083397A
Authority: JP
Inventors: Kuniaki Sato; 邦昭佐藤; Masahiro Koyama; 雅裕小山; Tomiro Kaya; 富郎茅; Masaaki Ase; 正明阿瀬
Original assignee: ARTES KK; Splice Sleeve Japan Ltd
Current assignee: ARTES KK; Splice Sleeve Japan Ltd
Priority date: 1997-06-09
Filing date: 1997-06-09
Publication date: 1998-12-22
Anticipated expiration: 2017-06-09
Also published as: JP2954548B2

Abstract

(57)【要約】【課題】特に閉鎖形断面材からなる鉄骨柱にＨ形断面
材からなる鉄骨梁を特別な仕口金物を使用せずに簡単に
接合できるようにした鉄骨構造物の柱・梁接合部構造を
提供する。【解決手段】鉄骨梁２の上・下フランジ2aの上面に接
合スリーブ３を複数それぞれ突設し、鉄骨柱１の仕口部
に接合ボルト４を複数挿通するとともに、その端部を接
合スリーブ３にそれぞれ挿通し、かつ接合スリーブ３に
グラウト材５を充填する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、特に角形鋼管な
どの閉鎖形断面材からなる鉄骨柱にＨ形断面材からなる
鉄骨梁を接合する鉄骨構造物の柱・梁接合部構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決しようとする課題】鉄骨
構造の建物において、例えば角形鋼管からなる鉄骨柱に
Ｈ形鋼などのＨ形断面材からなる鉄骨梁を接合する方法
として、鉄骨柱の仕口部に鉄骨梁と同形断面を有するブ
ラケット（以下「仕口金物」という）を水平に突設し、
この仕口金物に鉄骨梁の端部を接合プレートと接合ボル
トとによって接合する方法が一般に知られている。

【０００３】しかし、仕口金物は、鉄骨梁の断面形に合
わせてＨ形断面形に形成され、また梁貫通タイプのもの
にあっては鉄骨柱の仕口部を水平に切断して仕口金物の
フランジと同一レベルにダイアフラムを溶接しておき、
仕口金物のフランジおよびウェブ共柱に溶接する必要が
あるので、製作と取り付けが共に面倒であった。

【０００４】また、柱に接合される梁は一方向にだけで
なく、これと直角方向にも存在するので、それぞれの梁
成が異なるとダイアフラムが多段になって鉄骨製作が困
難になるので、梁成を同一にしなければならないという
制約があった。

【０００５】しかも、この仕口金物は工場で製作され、
仕口部に取り付けられるので、現地への搬入時に仕口部
分が嵩ばる等して取り扱いが面倒なだけでなく、ぶつけ
る等して破損してしまう等の心配もあった。

【０００６】この発明は以上の課題を解決するためにな
されたもので、特に閉鎖形断面材からなる鉄骨柱を水平
に切断することなく、Ｈ形断面材からなる鉄骨梁を特別
な仕口金物を使用せずに簡単に接合できるようにした鉄
骨構造物の柱・梁接合部構造を提供することを目的とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、この発明に係る鉄骨構造物の柱・梁接合部構造
は、鉄骨梁の上・下フランジの端部に接合スリーブを複
数突設する一方、鉄骨柱の仕口部に接合ボルトを複数挿
通するとともに、その端部を前記接合スリーブにそれぞ
れ挿通し、かつ前記接合スリーブにグラウト材を充填す
ることにより構成されている。また、接合スリーブの内
周にグラウト材の付着力を高めるために付着リブが複数
突設されている。さらに、接合スリーブを上・下フラン
ジの側面部に溶接し易くするために、接合スリーブの一
側部に溶接部が形成されている。

【０００８】また、鉄骨梁の端部に接合スリーブを確実
に取り付けるために、鉄骨梁の上・下フランジの端部に
切欠部をそれぞれ形成し、この切欠部に接合スリーブを
それぞれ挿入し、その周囲を上・下フランジにそれぞれ
溶接してある。

【０００９】また、接合スリーブを上・下フランジの両
面に突設し、接合ボルトの本数を増やして柱と梁との接
合耐力を高めるために、２つの接合スリーブを連結部を
介して一体化的に連結し、この連結部を上・下フランジ
の端部に形成した切欠部に挿入し、その周囲を上・下フ
ランジにそれぞれ溶接してある。さらに、接合ボルトの
端部を接合スリーブの端部から突出させ、その突出部分
に定着ナットが螺合してある。

【００１０】

【発明の実施の形態】

発明の実施の形態１．図１(a) 〜(c) 、図２(a) 〜(c)
、図３(a) 〜(d) および図４(a),(b) は、この発明の
実施の一形態を示し、図において、角形鋼管からなる柱
１の仕口部にＨ形断面材からなる鉄骨梁２の端部フラン
ジが接合スリーブ３と接合ボルト４とによって接合され
ている。

【００１１】接合スリーブ３は、図３(d) に図示するよ
うに円筒形をなし、接合ボルト４を挿通できるように両
端が開口し、かつ両端の側面部にはグラウト材５を充填
するためのグラウト材充填孔６がそれぞれ形成されてい
る。また、接合スリーブ３の内周にはグラウト材５の付
着力を高める付着リブ７が接合スリーブ３の円周方向に
連続するリング状にかつ接合スリーブ３の長手方向に所
定間隔に複数形成されている。付着リブ７は、接合ボル
ト４の引き抜き方向に位置するものほど、その突出高さ
が徐々に高くなるように形成されている（柱１に近いも
のほど長い）。

【００１２】このように形成された接合スリーブ３は、
鉄骨梁２の上・下フランジ2aの端部に溶接することによ
り一体的に取り付けられている。その際、接合スリーブ
３は図２(a),(b) に図示するように上・下フランジ2aの
上側または下側に単に添え付けた状態に溶接するか、ま
たは側柱の場合は接合ボルト４を鉄骨梁２の反対側から
挿通できるので、図３(a),(b),(c) に図示するようにフ
ランジ2aの端部に切欠部2bを形成し、この切欠部2bに挿
入しその周囲を上・下フランジ2aにそれぞれ溶接するか
して取り付けられている。

【００１３】また、図４(a),(b) に図示するように２つ
の接合スリーブ3,3 を連結部3aを介して一体的に連結し
たものを上・下フランジ2aの端部にそれぞれ取り付ける
ことにより、接合ボルト４の本数を増して柱１と鉄骨梁
２との接合耐力を高めることができる。その際、一体化
された上・下接合スリーブ３は、連結部3aを上・下フラ
ンジ2aの端部に形成された切欠部2bに挿入し、連結部3b
の周囲を上・下フランジ2aに溶接することにより取り付
けられている。

【００１４】また、いずれの場合においても、柱１と鉄
骨梁２間で応力が均等に伝達されるように、接合スリー
ブ３は鉄骨梁２の強軸方向および弱軸方向の中立軸を軸
にそれぞれ上下および左右対称に取り付けられている。

【００１５】なお、フランジ2aの上側または下側に添え
付けるタイプのものは、図２(a),(b),(c) に図示するよ
うにフランジ2aの側面部にセッティングし易く、かつ溶
接し易いように下面が平滑な溶接部3bを有して形成され
ている。また、切欠部2bに取り付けるタイプのものは、
図３(a),(b),(c) に図示するように他端が閉塞されてい
る。

【００１６】また、図４(a),(b) に図示するように、２
つの接合スリーブ3,3 を連結部3aを介して一体的に連結
したものは、柱１に対して鉄骨梁２側から接合ボルト４
を挿入できるように接合スリーブ３が配置されている。

【００１７】接合ボルト４は図１(a),(b),(c) に図示す
るように、柱１の仕口部に仕口部分を水平に貫通して複
数取り付けられている。また、接合ボルト４の端部が鉄
骨梁２の端部に突設された接合スリーブ３にそれぞれ挿
通されている。そして、接合ボルト４の端部に定着ナッ
ト８が螺合され、また接合スリーブ３内に一方のグラウ
ト材充填孔６からモルタル等のグラウト材５が充填され
ている。このようにして柱１の仕口部に鉄骨梁２の上・
下フランジ2aの端部が接合スリーブ３と接合ボルト４と
を介して接合されている。また、ウェブ部2cの端部が柱
１の仕口部に接合金具11a と接合ボルト11b とを介して
接合されている。

【００１８】その際、鉄骨梁２が柱１の仕口部の両側に
接合される場合は、図１(a) に図示するように、仕口部
の両側に接合ボルト４の両端部がそれぞれ突出され、か
つ接合スリーブ３にそれぞれ接合されている。一方、鉄
骨梁２が仕口部の一側部にのみ接合される場合は、図１
(b) に図示するように、接合ボルト４の一端が仕口部の
側部に定着ナット９によって定着され、他端が接合スリ
ーブ３に接合されている。その際、接合ボルト４の一端
を仕口部に定着できるように、図１(c) に図示するよう
に接合ボルト４に頭付きボルトを使用してもよい。

【００１９】また、柱１に対して直交方向に鉄骨梁２を
設けるときは、柱１内での接合ボルト４の干渉を防ぐた
め、接合スリーブ３の一方はフランジ上面に、他方はフ
ランジの下面にそれぞれ設ける等、仕口の形状によって
選択することができる（図６(a),(b),(c) 参照）。

【００２０】また、いずれのタイプにおいても、比較的
軽微な柱と梁との接合部においては、接合ボルト４の端
部に定着ナット９を螺合することで、接合スリーブを短
くすることができ、また接合スリーブ４として薄肉のカ
プラーを使用することもできる。なお、接合ボルト４に
は高力ボルトのほかに、異形棒鋼などが使用されてい
る。

【００２１】発明の実施の形態２．図５と図６(a) 〜
(d) は、この発明の実施の他の形態を示し、図５に図示
するものは、接合スリーブ３を、柱１側になるほど、そ
の径を徐々に太くして柱１との当接面積を大きくするこ
とにより、接合スリーブ３を介して柱１側に伝達される
鉄骨梁２からの軸力が、柱１の側面部に可能な限り分散
して伝達されるようにしたものである。

【００２２】また、図６(a) 〜(d) に図示するものは、
同様の目的で接合スリーブ３の柱１側端部に、柱１の側
面部に当接するフランジ部10を突設し、柱１との当接面
積を大きくしたものである。さらに、柱１内での接合ボ
ルト４の干渉を防ぐため、直交方向の梁端の接合スリー
ブ３を上・下フランジ2aの下面にそれぞれ設けたもので
もある。なお、接合ボルト4aがこれと直交方向の接合ボ
ルト４と干渉しない状態を図６(a) に示す。すなわち、
一方向の接合スリーブ３は図４(c) に図示するようにフ
ランジ2aの上側、これと直交方向の梁に対しては図４
(b) に図示するようにフランジ2aの下側に設ける。

【００２３】なお、発明の実施の形態1,2 のいずれにお
いても、柱１の仕口部を補強するために、柱内にコンク
リートを充填したり、あるいは仕口部に補強プレートを
取り付けたり、特にコーナ部にアングル材を取り付ける
等してもよい。

【００２４】

【発明の効果】この発明は以上説明した構成からなり、
特に鉄骨梁の上・下フランジの端部に接合スリーブを複
数突設する一方、鉄骨柱の仕口部に接合ボルトを複数挿
通するとともに、その端部を前記接合スリーブにそれぞ
れ挿通し、かつ前記接合スリーブにグラウト材を充填す
ることにより構成されているので、特別な仕口金物を必
要とせずに、角形鋼管などからなる鉄骨柱の仕口部に鉄
骨梁をきわめて簡単に接合できる。また、柱の四方から
接合される梁成が自由に選択できるので、力学的に合理
的な骨組計画ができる等の効果がある。

【００２５】また、接合スリーブの内周にグラウト材の
付着力を高めるために付着リブが複数突設されているの
で、柱と梁との一体的接合が可能となり、また接合スリ
ーブの一側部に溶接部が形成されているので、接合スリ
ーブを上・下フランジの側面部にセッティングしやす
く、接合スリーブを上・下フランジの一側部に確実に取
り付けることができる。

【００２６】さらに、上・下フランジの端部に切欠部を
形成し、この切欠部に接合スリーブを挿入するととも
に、その周囲を上・下フランジにそれぞれ溶接すること
により接合スリーブが上・下フランジの端部に取り付け
られているので、接合スリーブの一部を梁内に納めるこ
とができて、接合スリーブをコンパクトに取り付けるこ
とができる等の効果がある。

【００２７】また、２つの接合スリーブを連結部を介し
て一体化的に連結し、この連結部を上・下フランジの端
部に形成した切欠部に挿入し、かつその周囲を上・下フ
ランジにそれぞれ溶接してあるので、接合ボルトの本数
を増やして柱と梁との接合耐力を著しく高めることがで
きる。さらに、接合ボルトの端部を接合スリーブの端部
から突出させ、その突出部分に定着ナットが螺合してあ
るので、柱と梁とをさらに強固に接合できる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】(a),(b),(c) は、鉄骨柱と鉄骨梁との接合部の
構造を示す縦断面図である。

【図２】(a),(b),(c) は、接合スリーブの取付状態を示
す鉄骨梁端部の縦断面図である。

【図３】(a),(b),(c),(d) は接合スリーブの取付状態を
示し、(a),(b) は鉄骨梁端部の縦断面図、(c) はその平
面図、(d) は接合スリーブの縦断面図である。

【図４】(a),(b) は接合スリーブの取付状態を示す鉄骨
梁端部の縦断面図である。

【図５】接合スリーブの取付状態を示す鉄骨梁端部の縦
断面図である。

【図６】(a) は鉄骨柱と鉄骨梁との接合部の構造を示す
横断面図、(b) は(a) におけるＡ−Ａ線断面図、(c) は
鉄骨柱と鉄骨梁との接合部の構造を示す縦断面図、(d)
は(c) におけるイ部拡大断面図である。

【符号の説明】

１鉄骨柱２鉄骨梁 2a 上・下フランジ 2b 切欠部 2c ウェブ３接合スリーブ 3a 連結部 3b 溶接部４接合ボルト 4a 接合ボルト５グラウト材６グラウト材充填孔７付着リブ８定着ナット９定着ナット 10 フランジ部 11a 接合プレート 11b 接合ボルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者阿瀬正明茨城県稲敷郡茎崎町森の里75−７

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】閉鎖形断面材からなる鉄骨柱に鉄骨梁を
接合する鉄骨構造物の柱・梁接合部構造において、前記
鉄骨梁の上・下フランジの端部に接合スリーブをそれぞ
れ突設し、前記鉄骨柱の仕口部に接合ボルトを複数挿通
するとともに、その端部を前記接合スリーブにそれぞれ
挿通し、かつ前記接合スリーブにグラウト材をそれぞれ
充填してなることを特徴とする鉄骨構造物の柱・梁接合
部構造。
【請求項２】接合スリーブの内周に付着リブを前記接
合スリーブの長手方向に所定間隔に複数突設してなるこ
とを特徴とする請求項第１項記載の鉄骨構造物の柱・梁
接合部構造。
【請求項３】接合スリーブの一側部に溶接部を設け、
この溶接部を上・下フランジの側面部にそれぞれ溶接し
てなることを特徴とする請求項第１項または第２項記載
の鉄骨構造物の柱・梁接合部構造。
【請求項４】鉄骨梁の上・下フランジの端部に切欠部
をそれぞれ形成し、この切欠部に接合スリーブをそれぞ
れ挿入するとともに、その周囲を前記上・下フランジに
それぞれ溶接してなることを特徴とする請求項第１項ま
たは第２項記載の鉄骨構造物の柱・梁接合部構造。
【請求項５】接合スリーブを鉄骨梁の上・下フランジ
の上側と下側にそれぞれ配するとともに、この上・下接
合スリーブを連結部を介して一体的にそれぞれ連結し、
前記上・下フランジの端部に切欠部をそれぞれ形成し、
この切欠部に前記連結部を挿入するとともに、その周囲
を前記上・下フランジにそれぞれ溶接してなることを特
徴とする請求項第１項または第２項記載の鉄骨構造物の
柱・梁接合部構造。
【請求項６】接合ボルトの端部を接合スリーブの端部
に突出し、かつこの接合ボルトの突出部分に定着ナット
を螺合してなることを特徴とする請求項第１項、第２
項、第３項または第５項記載の鉄骨構造物の柱・梁接合
部構造。