JPH10338796A - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物

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JPH10338796A
JPH10338796A JP15084397A JP15084397A JPH10338796A JP H10338796 A JPH10338796 A JP H10338796A JP 15084397 A JP15084397 A JP 15084397A JP 15084397 A JP15084397 A JP 15084397A JP H10338796 A JPH10338796 A JP H10338796A
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JP
Japan
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resin
metal
epoxy resin
halogenated
halogenated epoxy
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JP15084397A
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Yuji Sato
雄二 佐藤
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた難燃性と成型加工時の熱安定性とを兼
備した難燃性熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ABS、PBT等の熱可塑性樹脂(A)
と、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂系難
然剤(B)と、錫酸金属塩等の金属塩(C)とを配合。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成型加工時の熱滞
留時に起きるゲル化反応を抑制して高度な熱安定性と難
燃性を有する難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、スチレン系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂等の熱可塑性樹脂の難燃化には、低揮発性、低
ブリード性、耐熱性などに優れたハロゲン化ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂からなる難燃剤と、さらに必要に
応じて三酸化アンチモンなどの難燃助剤を添加配合する
技術が知られているが、これらエポキシ基を有する難燃
剤を使用した難燃性熱可塑性樹脂組成物は、成型加工時
の熱滞留時に組成物中の三酸化アンチモンのルイス酸触
媒の作用で難燃剤中のエポキシ基がゲル化反応を引き起
こして焼け異物やゲル物などを発生し得られた成形品の
外観不良を起こすなどの問題があった。
【0003】このような問題を解決するため、例えば、
特開平1−101350号公報には、スチレン系樹脂の
難燃化に関し、エポキシ基を有するハロゲン化ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、三酸化アンチモンと共にアル
カリ土類金属酸化物等の塩基性無機化合物を添加してゲ
ル化反応を抑制し熱安定性を改善する技術が開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、さらに、前記
の特開平1−101350号公報に記載の難燃性樹脂組
成物は、成型時の熱安定性が或程度改善されるものの、
長時間の成型加工において、成形品に焼け異物の混入が
起こり、成形品の外観が劣るものであった。
【0005】本発明が解決しようとする課題は、優れた
難燃性と成型加工時の熱安定性とを兼備した難燃性熱可
塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ハロゲン化エポ
キシ樹脂と、錫酸金属塩、チタン酸金属塩、ジルコニウ
ム酸金属塩からなる群より選ばれた少なくとも一種以上
の金属塩とを必須成分として熱可塑性樹脂に配合するこ
とにより、成型加工時の熱滞留時に起きるゲル化反応を
抑制して高度な熱安定性と難燃性を兼備した難燃性熱可
塑性樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完
成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、熱可塑性樹脂(A)と、
ハロゲン化エポキシ樹脂、及び、ハロゲン化エポキシ樹
脂のエポキシ基の一部乃至全部が封鎖された構造を有す
る化合物の中から選ばれる一種以上のハロゲン化エポキ
シ樹脂系難燃剤(B)と、錫酸金属塩、チタン酸金属塩
及びジルコニウム酸金属塩からなる群より選ばれた少な
くとも一種以上の金属塩(C)とを必須成分とすること
を特徴とする難燃性熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成
物で使用する熱可塑性樹脂(A)としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、ポリスチレン、ポリメチ
ルスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、アク
リロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリ
ロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹
脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重
合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロ
ピレンゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチ
レン系樹脂、ABS樹脂とポリカーボネイトのアロイ、
ABS樹脂とポリエステル系樹脂のアロイ、ABS樹脂
とポリアミド樹脂のアロイ、ポリスチレンとポリフェニ
レンオキサイドのアロイ等のスチレン系樹脂を含むポリ
マーアロイ、更に、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘ
キサメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレン
ジカルボキシレート、ポリブチレンナフタレンジカルボ
キシレート、ポリヘキサメチレンナフタレンジカルボキ
シレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリブテン等のオレフィン系樹脂、ナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹
脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート(P
C)、ポリカーボネートとポリアミド樹脂のアロイ等の
ポリアミド樹脂を含むポリマーアロイ、ポリブチレンテ
レフタレートとポリカーボネートのアロイ等のポリエス
テル樹脂を含むポリマーアロイなどが挙げられる。
【0009】これらのなかでも、難燃剤との相溶性、熱
安定性の改善効果の点からスチレン系樹脂又はスチレン
系樹脂を含むポリマーアロイ、更に具体的にはHIP
S、ABS樹脂、ABS樹脂とPCのアロイが好まし
く、難然剤との相溶性、成形流動性の改善効果が顕著で
ある点からポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、お
よびこれらの樹脂を含むポリマーアロイが好ましく、具
体的には、PBT、および、PBTとPCのアロイ、ナ
イロン66、ポリカーボネートとポリアミド樹脂のアロ
イ等が好ましい。
【0010】ここでABS樹脂は、ゴム成分含有量5〜
25重量%、アクリロニトリル−スチレン(AS)共重
合体含有量75〜94重量%、AS共重合体中のアクリ
ロニトリル(AN)含有量20〜30重量%からなる組
成のものが、耐衝撃性に優れ、更に難然剤(B)との相
溶性に優れる点で好ましい。
【0011】次に、本発明で用いるハロゲン化エポキシ
樹脂系難燃剤(B)としては、特に限定されるものでは
ないが、末端にエポキシ基を有したハロゲン化エポキシ
樹脂、または該ハロゲン化エポキシ樹脂のエポキシ基の
一部ないし全部が封鎖された化合物の中から選ばれる1
種以上のものが挙げられる。
【0012】上記のハロゲン化エポキシ樹脂とは、特に
その構造が制限されるものではないが、例えば、ハロゲ
ン化ビスフェノール型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノ
ールノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化レゾルシン型エ
ポキシ樹脂、ハロゲン化ハイドロキノン型エポキシ樹
脂、ハロゲン化ビスフェノールAノボラック型エポキシ
樹脂、ハロゲン化メチルレゾルシン型エポキシ樹脂、ハ
ロゲン化レゾルシンノボラック型エポキシ樹脂等が挙げ
られるが、耐熱性並びに熱可塑性樹脂(A)への相溶性
に優れる点からハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹
脂が好ましい。
【0013】当該ハロゲン化ビスフェノール型エポキシ
樹脂としては、特に制限されるものではないが、例え
ば、ジブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラ
ブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジクロロビス
フェノールA型エポキシ樹脂、テトラクロロビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂、ジブロモビスフェノールF型エ
ポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールF型エポキシ
樹脂、ジクロロビスフェノールF型エポキシ樹脂、テト
ラクロロビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジブロモビ
スフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェ
ノールS型エポキシ樹脂、ジクロロビスフェノールS型
エポキシ樹脂、テトラクロロビスフェノールS型エポキ
シ樹脂等が挙げられる。これらのハロゲン化ビスフェノ
ール型エポキシ樹脂のなかでもテトラブロモビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂が改善効果が顕著となる点で好ま
しい。
【0014】また、ハロゲン化エポキシ樹脂系難燃剤
(B)として用いられるハロゲン化エポキシ樹脂のエポ
キシ基の一部乃至全部が封鎖された構造を有する化合物
としては、特に限定されるものではなく、ここで使用さ
れるハロゲン化エポキシ樹脂として前述のハロゲン化エ
ポキシ樹脂が何れも使用できる。
【0015】この様なハロゲン化エポキシ樹脂のエポキ
シ基の一部乃至全部が、エポキシ基と反応し得る官能基
を含む化合物で封鎖された構造を有するものを用いた場
合、特に熱可塑性樹脂に配合した際のゲル化防止効果が
格段に向上し、難燃性熱可塑性樹脂組成物の熱安定性を
一段と向上させることができる。とくに熱可塑性樹脂
(A)としてABS樹脂を用いた場合には、その改善効
果が顕著なものとなる。
【0016】ここで、エポキシ基と反応し得る封鎖化合
物の官能基としては、特に限定はなく、活性水素を有す
る官能基、又は酸無水物基の様なエポキシ基を開環付加
反応させる官能基で有ればよく、例えばカルボキシル
基、酸無水物基、アルコール類やフェノール類及びリン
酸類等の水酸基、アミノ基、イミノ基、酸アミド基、酸
イミド基、チオール基、イソシアネート基等が挙げられ
る。
【0017】さらに、前述の官能基を有する化合物とし
ては、難燃剤のハロゲン含有率を高める点で、ハロゲン
化されたものが好ましく、具体的には、例えばジブロモ
フェノール、ジブロモクレゾール、トリブロモフェノー
ル、ペンタブロモフェノール、ジクロロフェノール、ジ
クロロクレゾール、トリクロロフェノール、ペンタクロ
ロフェノール等のハロゲン化フェノール類が好ましい。
なかでも難燃性に優れる点でトリブロモフェノール、ペ
ンタブロモフェノールが好ましい。
【0018】以上詳述したハロゲン化エポキシ樹脂系難
燃剤(B)の製造方法は特に制限されるものではない
が、先ず、ハロゲン化エポキシ樹脂の製造方法として
は、例えば、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹
脂の製造方法を例に挙げると、例えば以下の方法で製造
することができる。
【0019】即ち、ハロゲン化ビスフェノールAとエ
ピクロルヒドリンとの縮合反応もしくは該縮合反応によ
って得られたハロゲン化ビスフェノールAのジグリシジ
ルエーテルとハロゲン化ビスフェノールAを触媒の存在
下で付加反応させてハロゲン化ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂を得る方法が挙げられる。
【0020】また、ハロゲン化エポキシ樹脂のエポキシ
基の一部乃至全部が封鎖された構造を有する化合物とし
て、ハロゲン化ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポ
キシ基をハロゲン化フェノールで封鎖した構造の化合物
を用いた例を挙げると、例えば、ハロゲン化ビスフェ
ノールAとエピクロルヒドリンとの縮合反応によりハロ
ゲン化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを得、
該グリシジルエーテルにハロゲン化ビスフェノールA及
びエポキシ基を封鎖するのに必要なハロゲン化フェノー
ルを触媒の存在下で付加反応させて得る。ハロゲン化フ
ェノールの使用量は、特に限定されないが、ハロゲン化
ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに
対してハロゲン化フェノールの水酸基0.1〜1モル、
なかでも0.3〜0.7モルが難燃性、耐光性と熱安定
性のバランスが向上する点で好ましい。
【0021】上記方法及び方法における何れの反応
においても反応温度は100〜220℃、なかでも12
0〜200℃であることが好ましく、反応溶媒は特に必
要ではなく使用しなくても良い。
【0022】方法及び方法に使用される触媒として
は、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化
物、ジメチルベンジルアミン等の第三級アミン、2−エ
チル−4メチルイミダゾール等のイミダゾール類、テト
ラメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウ
ム塩、エチルトリフェニルホスホニウムイオダイド等の
ホスホニウム塩、トリフェニルホスフィン等のホスフィ
ン類などを使用することができる。
【0023】この様にして得られるハロゲン化エポキシ
樹脂、或は、そのエポキシ基が封鎖された化合物の分子
量は、重量平均分子量で800〜30,000のものが
好ましく、中でも1,000〜20,000のものが熱
安定性と耐衝撃強度のバランス向上の点で好ましい。
【0024】ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミュ
エーションクロマトグラフィー(GPC)の装置(東ソ
ー製HLC−8020)を用いて、移動相にテトラヒド
ロフラン(THF)1.0ml/min、オーブン温度
40℃、カラムにTSKgel G4000HXL、G
3000HXL、G2000HXL×2、RI検出器、
PS換算の検量線等により測定することができる。
【0025】次に、本発明で用いる金属塩(C)として
は、錫酸金属塩、チタン酸金属塩、ジルコニウム酸金属
塩からなる群より選ばれた少なくとも一種以上のもので
ある。
【0026】この金属塩(C)は、固型粒状物である
が、粒度1μm未満のものを50重量%以上含有したも
の使用することが、溶融混練時の分散性が向上して熱安
定性、難燃性、機械強度などの低下が改善される点で好
ましい。
【0027】金属塩(C)の例としては、特に限定され
るものではないが、例えば周期律表第IIa族のアルカリ
土類金属及び亜鉛、鉛を加えた金属の錫酸金属塩、チタ
ン酸金属塩またはジルコニウム酸金属塩であることが好
ましく、具体的には、下記一般式(1)
【0028】
【化1】 M・SnO3 一般式(1) (但し、MはCa、Mg、Sr、Ba、Zn、Pbから
なる群より選ばれる。)で示される錫酸金属塩、下記一
般式(2)
【0029】
【化2】 M・TiO3 一般式(2) (但し、MはCa、Mg、Sr、Ba、Zn、Pbから
なる群より選ばれる。)で示されるチタン酸金属塩、下
記一般式(3)
【0030】
【化3】 M・ZrO3 一般式(3) (但し、MはCa、Mg、Sr、Ba、Zn、Pbから
なる群より選ばれる。)で示されるジルコニウム酸金属
塩、或は、ヒドロキシ錫酸金属塩、ヒドロキシチタン酸
金属塩、ヒドロキシジルコニウム酸金属塩等の水酸基含
有の金属塩が挙げられる。
【0031】これらのなかでも特に上記一般式(1)〜
(3)で表される錫酸金属塩、チタン酸金属塩またはジ
ルコニウム酸金属塩が、高温成型性に優れる点から好ま
しい。
【0032】この様な上記一般式(1)〜(3)で表さ
れる錫酸金属塩、チタン酸金属塩及びジルコニウム酸金
属塩のなかでも特に本発明の効果が顕著である点から、
錫酸亜鉛、錫酸カルシウム、錫酸バリウム等の錫酸金属
塩、チタン酸鉛、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネ
シウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等
のチタン酸金属塩、及び、ジルコニウム酸カルシウム、
ジルコニウム酸マグネシウム、ジルコニウム酸バリウム
等のジルコニウム酸金属塩などの天然または合成品が挙
げられる。これらの金属塩は、それぞれ単独で使用して
もよいし、また、二種以上を併用してもよい。
【0033】これらのなかでも錫酸亜鉛、チタン酸バリ
ウム、ジルコニウム酸カルシウムとが特に成型時の熱安
定性の改善効果の点から好ましい。
【0034】また、本発明で用いる金属塩(C)は、例
えばステアリン酸等の高級脂肪酸、オレイン酸カルシウ
ム等の金属石鹸、及びエポキシ系、イソシアヌレート
系、シラン系、チタン系、アルミニウム系カップリング
剤などの表面処理剤やビニルエステル樹脂等のコーティ
ング剤で表面処理されていても良い。これらの表面処理
剤或いはコーティング剤のなかでも特にステアリン酸等
の高級脂肪酸及びシラン系カップリング剤が特に耐湿性
に優れる点から好ましい。これらの表面処理剤やコーテ
ィング剤の使用量は、特に限定されるものではないが、
金属塩(C)100重量部に対して、0.1〜40重量
部、なかでも分散性、耐湿性等の表面処理効果への影響
が少ない点で0.5〜30重量部が好ましい。
【0035】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、上
記(A)〜(C)の各成分を配合することにより容易に
調整することができるが、例えば熱可塑性樹脂(A)
と、難燃剤(B)と、特定の金属塩(C)と、更に必要
に応じて難燃助剤やその他の添加剤成分とを所定量配合
し、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等の混合
機で予備混合した後、押出機、ニーダー、熱ロール、バ
ンバリーミキサー等で溶融混練をすることによって製造
することができるが、特に(B)成分及び(C)成分を
必須成分として含有する本発明の難燃剤組成物を調整し
た後、その他の成分と上記方法で溶融混練することが組
成物の均一性の点から好ましい。
【0036】本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物におけ
る各成分の配合割合は、特に限定されるものではない
が、例えば、上述した難燃剤組成物を製造する場合に
は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、ハロゲ
ン化エポキシ樹脂系難燃剤(B)と金属塩(C)との合
計で通常0.5〜50重量部、なかでも難燃性、耐及び
熱安定性の改善効果が高く、耐衝撃強度等の機械的強度
の低下も少ない点で2〜40重量部の範囲が好ましい。
【0037】本発明の樹脂組成物には、前記した通り、
さらに難燃化効果を高める為に難燃助剤を加えることが
好ましい。難燃助剤としては、例えば三酸化アンチモ
ン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモ
ン系化合物、酸化スズ、水酸化スズ等のスズ系化合物、
酸化モリブテン、モリブテン酸アンモニウム等のモリブ
テン系化合物、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム
等のジルコニウム系化合物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バ
リウム等のホウ素系化合物、シリコンオイル、シランカ
ップリング剤、高分子量シリコン等のケイ素系化合物、
塩素化ポリエチレン等が挙げられる。
【0038】これらの難燃助剤は、熱可塑性樹脂(A)
100重量部に対して、0.5〜10重量部が好まし
く、1〜7重量部がさらに好ましい。0.5重量部以上
では難燃性の向上が顕著なものとなり、10重量部以下
では更に耐衝撃強度、引張強度等の機械的特性が向上す
る。
【0039】尚、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物に
は、難燃性、熱安定性の改善効果を著しく損なわない範
囲で他の難燃剤を配合しても良く、更に必要に応じて紫
外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、潤滑剤、染料や
顔料等の着色剤、可塑剤、結晶化促進剤、結晶核剤、帯
電防止剤、充填剤、発泡剤、熱安定剤、酸化防止剤、ガ
ラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の補強材など
を配合することができる。
【0040】
【実施例】次に実施例および比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はこれらの例に範囲が限
定されるものではない。尚、例中の部および%はいずれ
も重量基準であり、また各種の試験の評価は、次の測定
方法による。 (1)軟化点試験(環球式) JIS K−7234に準拠して測定した。 (2)エポキシ当量試験 JIS K−7236に準拠して測定した。 (3)燃焼性試験(UL−94) アンダーライターズ・ラボラトリーズのサブジェクト9
4号の垂直燃焼試験方法に基づき、長さ5インチ×巾1
/2インチ×厚さ1/8インチの試験片各5本を用いて
測定した。 (4)ゲル化試験(流動安定性) 流動安定性の評価は、溶融混練り時に難燃性樹脂組成物
がゲル状となってトルクが上昇するまでの時間をゲルタ
イムとして測定した。具体的には、押出機でペレット化
した難燃性樹脂組成物を、小型混練り機(ラボプラスト
ミル、(株)東洋精機製、モデル20C200型)に仕
込んで、混練りトルクの測定を行い、トルクの上昇する
までの時間とゲル物の有無から流動安定性について評価
した。
【0041】ゲル物については、以下のランクに従い判
定した。 判定 ○ : トルク上昇は初期トルクの50%未満でゲル物
の生成が無く流動性が有り、変色が少ない。 △ : トルク上昇は初期トルクの50%以上で一部ゲ
ル物の生成と流動性の低下が有り、変色が顕著になる。 × : ゲル物が生成し流動性がなく炭化状になる 混練り条件は、次の通りである。
【0042】混練り温度(設定温度):HIPS、AB
S樹脂、ABS/PCのポリマーアロイの場合、260
℃ PBT、PBT/PCのポリマーアロイの場合、280
℃ 混練り時間 :1時間 ミキサー回転数 :100rpm サンプル量 :60g (5)滞留熱安定性試験 滞留熱安定性試験の評価は、所定温度にした射出成形機
に難燃性樹脂組成物を入れて20分間滞留した後、円板
状成型品の射出成型を行い、その成型品の焼け異物を測
定した。具体的には、所定温度の5オンス射出成形機
に、円板状成型品(外径100mm×厚さ3mm)を成
型できる金型を取り付け、よく乾燥した難燃性樹脂組成
物のペレットをポッパーから投入して射出成形機のシリ
ンダーに充填し20分間滞留させた。次に、焼けによる
変色と異物混入が連続的に発生するかを調べるため、初
回に10ショット射出成形を繰返し行い、10ショット
後に得られた成型品の外観から滞留熱安定性について以
下の判定基準に従って評価した。
【0043】尚、当該判定基準において変色の程度は、
成型品の表面の全体に渡る変色の程度を目視と色差(Δ
E)で確認したものであり、また、異物混入の割合は、
成型品の片側表面において2.0mm2以上の異物が混
入する数で評価したものである。また、色差(ΔE)
は、色差計を用いて滞留前成形品を基準に測定した。
【0044】判定基準 ○ : 異物がなく、ΔE=10未満で変色が少ない。
実用上、問題なし。 △ : 2.0mm2以上の異物が5個未満あり、ΔE
=10以上20未満で多少変色あり。実用上、使用困
難。 × : 2.0mm2以上の異物が5個以上あり、ΔE
=20以上で変色が著しい。実用上、使用不可。
【0045】尚、成型条件は、次の通りである。 シリンダー温度 :HIPS、ABS樹脂、ABS/
PCのポリマーアロイの場合、250℃ PBT樹脂、PBT/PCのポリマーアロイの場合、2
60℃ 射出圧力 :1400〜500kg/cm2 金型温度 :60〜80℃ 射出時間/冷却時間:10秒/20秒
【0046】合成例1〔ハロゲン化エポキシ樹脂の合
成〕 テトラブロモビスフェノールAのジグリシジルエーテル
〔大日本インキ化学工業(株)製EPICLON15
2、エポキシ当量360g/eq、臭素含有率48%〕
720.0gとテトラブロモビスフェノールA(以下T
BAと略す)150.0gと2,4,6−トリブロモフ
ェノール(以下TBPと略す)450.0gとを温度
計、攪拌機の付いた1リットルのステンレス製セパラブ
ルフラスコに入れ、内部を窒素ガスで置換した後、内容
物を加熱溶融し、100℃で水酸化ナトリウムの10%
水溶液1.3gを加えた後、160〜180℃で10時
間反応させた。反応後、反応生成物をステンレスパンに
流出し、冷却後、粉砕し、淡黄色の難燃剤粉末を得た。
この難燃剤は、エポキシ当量20000g/eq、軟化
点116℃、臭素含有率57%、重量平均分子量170
0のものであった。これを難燃剤A1とする。
【0047】合成例2(同上) TBPの使用量を240.0g、水酸化ナトリウムの1
0%水溶液の使用量を1.1gに変更し、合成例1と同
様にして難燃剤粉末を得た。この難燃剤は、エポキシ当
量1580g/eq、軟化点110℃、臭素含有率5
4.5%、重量平均分子量1600のものであった。こ
れを難燃剤A2とする。
【0048】合成例3(同上) TBAの使用量を223.2g、水酸化ナトリウムの1
0%水溶液の使用量を0.3gに変更し、TBPを用い
ない他は、合成例1と同様にして難燃剤粉末を得た。こ
の難燃剤は、エポキシ当量820g/eq、軟化点11
6℃、臭素含有率51%、重量平均分子量1800のも
のであった。これを難燃剤A3とする。
【0049】合成例4(同上) TBAの使用量を490.0g、水酸化ナトリウムの1
0%水溶液の使用量を0.6gに変更し、TBPの使用
を省略すると共に、反応条件を160〜220℃で12
時間に変更した以外は合成例1と同様にして難燃剤粉末
を得た。
【0050】この難燃剤は、エポキシ当量5400g/
eq、軟化点188℃、臭素含有率52%、重量平均分
子量18000のものであった。これを難燃剤A4とす
る。
【0051】実施例1〜12及び比較例1〜12 各成分を第1表(その1)〜(その4)に示す組成で配
合し、タンブラーミキサーで予備混合した後、30mm
φ二軸押出機によりペレット化した難燃性樹脂組成物を
得た。そのペレットを用いて、1オンス射出成型機によ
り試験片を作成して燃焼性試験、ゲル化試験を行い、さ
らに滞留熱安定性試験を行った。
【0052】各試験結果を第1表(その1)〜(その
4)に示す。尚、押出機及び試験片作成時の射出機のシ
リンダー設定温度は、HIPS、ABS樹脂、ABS/
PCのポリマーアロイの場合、210〜230℃で行
い、PBT、PBT/PCのポリマーアロイ、ナイロン
66の場合、230〜250℃で行った。
【0053】表中、HIPSは、大日本インキ化学工業
(株)製ゴム変性スチレン樹脂「GH−9650」を、
ABSは、ダイセル化学工業(株)製ABS樹脂「セピ
アンV300」を、ABS/PCは、日本合成ゴム
(株)製ABS樹脂とポリカーボネート樹脂のポリマー
アロイ「JSRエクセロイCB40」を、PBTは、日
本ジーイープラスチックス(株)製PBT樹脂「バロッ
クス310」を、PBT/PC」は日本ジーイープラス
チックス(株)製PBT樹脂とポリカーボネート樹脂の
ポリマーアロイ「Xenoy1100」を示す。
【0054】錫酸亜鉛は、水澤化学製「アルカネックス
ZS」で粒度1μm未満のものが70重量%以上含有す
るものを、チタン酸バリウムは、富士チタニウム工業製
「HBT−3」で粒度1μm未満のものが85重量%以
上含有するものを、ジルコニウム酸カルシウムは、富士
チタニウム工業製「CZ」で粒度1μm未満のものが6
0重量%以上含有するものを、三酸化アンチモンは日本
精鉱社製“PATOX−C”を、ほう酸亜鉛は、ボラッ
クス・ジャパン製「ファイアーブレイク415」を、D
BDPEは、グレートレイクケミカル社製デカブロモジ
フェニルエーテル「DE−83R」を示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、優れた難燃性と成型加
工時の熱安定性とを兼備した難燃性熱可塑性樹脂組成物
を提供できる。
【0060】従って、成型加工による焼け異物のない良
好な外観を有する成型品を製造することができ、難燃性
に優れることから、本発明の組成物は、特にOA機器ハ
ウジング材、自動車内装材等の材料として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 77/00 C08L 77/00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂(A)と、ハロゲン化エポ
    キシ樹脂、及び、ハロゲン化エポキシ樹脂のエポキシ基
    の一部乃至全部が封鎖された構造を有する化合物の中か
    ら選ばれる一種以上のハロゲン化エポキシ樹脂系難燃剤
    (B)と、錫酸金属塩、チタン酸金属塩及びジルコニウ
    ム酸金属塩からなる群より選ばれた少なくとも一種以上
    の金属塩(C)とを必須成分とすることを特徴とする難
    燃性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 金属塩(C)が、粒度1μm未満のもの
    が50重量%以上含有するものである請求項1記載の組
    成物。
  3. 【請求項3】 金属塩(C)が、周期律表第IIa族のア
    ルカリ土類金属及び亜鉛、鉛を加えた金属の錫酸金属
    塩、チタン酸金属塩、ジルコニウム酸金属からなる群よ
    り選ばれた少なくとも一種以上である請求項1又は2記
    載の組成物。
  4. 【請求項4】 ハロゲン化エポキシ樹脂系難燃剤(B)
    が、重量平均分子量で800〜30,000の、ハロゲ
    ン化エポキシ樹脂又はハロゲン化エポキシ樹脂のエポキ
    シ基の一部乃至全部が封鎖された構造を有する化合物で
    ある請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂(A)が、スチレン系樹脂
    又はスチレン系樹脂を含むポリマーアロイである請求項
    1記載の組成物。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂(A)が、ポリエステル系
    樹脂、ポリアミド系樹脂又はその熱可塑性樹脂を含むポ
    リマーアロイである請求項1記載の組成物。
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