JPH10332997A - プラスチック光ファイバコード - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性があり、かつ、光コネクタとの接続に
際して十分な接続強度が得られるようなプラスチック光
ファイバコードを提供すること。 【解決手段】 プラスチック光ファイバＦの外周に１次
被覆層１，２次被覆層２及び３次被覆層３が形成されて
いる。１次被覆層１を硬質樹脂により形成すると共に、
その外径寸法を光コネクタ側のフェルールの収容孔部の
固着部の内径寸法とほぼ同じに仕上げる。２次被覆層２
を軟質樹脂により形成する。３次被覆層３を耐磨耗性に
優れた硬質樹脂により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、自動車等に用い
られるプラスチック光ファイバコードに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のプラスチック光ファイバコードと
しては、例えば、特開昭６１−９０１０９号公報に開示
の如くプラスチック光ファイバの外周に１層のみの被覆
を施したものや、特開昭６１−１８５７０８号公報に開
示の如く多層の被覆を施したものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
プラスチック光ファイバコードによると、その被覆が可
塑剤含有の塩化ビニル樹脂等の軟質樹脂により形成され
ているため、当該コードの柔軟性は確保されるが、その
柔軟性故にコード端部に被覆層を介して光コネクタを圧
着し、又は、接着した場合にその被覆が破損して固着強
度に劣るという問題がある。逆に被覆を可塑剤を含まな
い塩化ビニル樹脂等の硬質樹脂により形成した場合は、
光コネクタとの固着強度は強くなるが、当該コードの柔
軟性に劣るという問題がある。

【０００４】また、後者のプラスチック光ファイバコー
ドによると、外側の層になるほど大きな曲げ弾性率、即
ち、硬質の樹脂が用いられているため、全ての被覆を硬
質樹脂により形成したプラスチック光ファイバコードよ
りも柔軟性は向上する。しかしながら、光コネクタに接
続することができるコードの外径寸法には制約がある一
方で、多層の被覆を施した場合にはその外径寸法が大き
くなるため、光コネクタとの接続に支障が生じるという
問題がある。

【０００５】そこで、この発明は上述したような問題を
解決すべくなされたもので、柔軟性があり、かつ、十分
な接続強度をもって光コネクタと接続することが可能な
プラスチック光ファイバコードを提供することを目的と
する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明のプラスチック光ファイバコードは、プラ
スチック光ファイバの外周に少なくとも３層の被覆層が
形成され、その端部が光コネクタ側のフェルールの収容
孔部内に挿通されると共に、前記被覆層を介してその収
容孔部に固着されるプラスチック光ファイバコードであ
って、前記各被覆層のうち最も外側の層を除くいずれか
の被覆層を硬質樹脂により形成すると共に、その外径寸
法を前記収容孔部の固着部の内径寸法とほぼ同じに仕上
げ、前記各被覆層のうちのいずれかであって前記硬質樹
脂により形成した被覆層よりも外側の被覆層を、軟質樹
脂により形成したことを特徴とする。

【０００７】また、この発明の他のプラスチック光ファ
イバコードは、プラスチック光ファイバの外周にその内
側から順に１次被覆層，２次被覆層及び３次被覆層が形
成され、その端部が光コネクタ側のフェルールの収容孔
部内に挿通されると共に、被覆層を介してその収容孔部
に固着されるプラスチック光ファイバコードであって、
前記１次被覆層を硬質樹脂により形成すると共に、その
外径寸法を前記収容孔部の固着部の内径寸法とほぼ同じ
に仕上げ、前記２次被覆層を軟質樹脂により形成し、前
記３次被覆層を耐磨耗性に優れた硬質樹脂により形成し
たことを特徴とする。

【０００８】なお、前記１次被覆層を、ポリエチレン，
ポリプロピレン又はナイロンのうちのいずれかの樹脂に
より形成し、前記２次被覆層を、エチレン−αオレフィ
ン共重合体樹脂，可塑剤を含むポリ塩化ビニル樹脂又は
スチレン系エラストマーのうちのいずれかの樹脂により
形成し、前記３次被覆層を、オレフィン系樹脂，酸グラ
フト変成ポリオレフィン樹脂，ナイロン，ポリウレタン
又はポリエステルのうちのいずれかの樹脂により形成す
るとよい。

【０００９】また、この発明の他のプラスチック光ファ
イバコードは、プラスチック光ファイバの外周にその内
側から順に１次被覆層，２次被覆層及び３次被覆層が形
成され、その端部が光コネクタ側のフェルールの収容孔
部内に挿通されると共に、前記被覆層を介してその収容
孔部に固着されるプラスチック光ファイバコードであっ
て、前記１次被覆層を可塑剤を含まない樹脂により形成
し、前記２次被覆層を硬質樹脂により形成すると共に、
その外径寸法を前記収容孔部の固着部の内径寸法とほぼ
同じに仕上げ、前記３次被覆層を軟質樹脂により形成し
たことを特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、この発明にかかる第１実施
形態のプラスチック光ファイバコードについて説明す
る。

【００１１】このプラスチック光ファイバコードは、図
１に示すように、プラスチック光ファイバＦの外周にそ
の内側から順に１次被覆層１，２次被覆層２及び３次被
覆層３が形成されている。

【００１２】上記プラスチック光ファイバＦは、ポリメ
タクリル酸メチル（ＰＭＭＡ）等よりなるコアの外周に
フッ素樹脂等よりなるクラッドを被覆した周知構造のも
のであり、その外径はおよそ０．５〜１．０ｍｍであ
る。

【００１３】１次被覆層１は、難燃性があり、ヤング率
が大きく、かつ、可塑剤が混入されていない硬質樹脂を
押出被覆することにより形成され、その外径寸法は、後
述する光コネクタ側のフェルール１０の収容孔部１２の
固着部１４の内径寸法とほぼ同じ程度に仕上げられる。
通常、上記外径寸法が０．５〜１．０ｍｍのプラスチッ
ク光ファイバＦに対して、１次被覆層１の外径寸法は、
およそ１．０〜２．２ｍｍに仕上げられる。

【００１４】１次被覆層１に用いられる樹脂の硬度は、
そのＪＩＳ硬度Ａが９０以上、被覆加工性を考慮すると
好ましくは、ＪＩＳ硬度Ａが９０以上１００以下のもの
が好ましい。

【００１５】このような樹脂として、高密度ポリエチレ
ン，直鎖状の低密度ポリエチレン，ポリプロピレンの中
から選択される１種又は２種類以上のオレフィン系樹脂
１００重量部に対して、水酸化アルミニウム，水酸化マ
グネシウム，水酸化カルシウム，ハイドロタルサイト類
等の金属水酸化物３０〜２００重量部を混入したものが
挙げられる。

【００１６】また、高密度ポリエチレン，直鎖状の低密
度ポリエチレン，ポリプロピレンの中から選択される１
種又は２種類以上のオレフィン系樹脂１００重量部に対
して、スチレン系エラストマーなどのエラストマー又は
エチレン酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ），エチレンエチ
ルアクリレート共重合体（ＥＥＡ）などのエチレン−α
オレフィン共重合体又は水添ＳＢＲ，ＥＰＲなどのゴム
の中から選択される１種又は２種類以上の軟質化物１〜
１００重量部、水酸化マグネシウム，水酸化カルシウ
ム，ハイドロタルサイト類等の１種又は２種類の金属水
酸化物３０〜４００重量部を混入したものも挙げられ
る。なお、耐寒性を向上させる場合には、スチレン系エ
ラストマーなどのエラストマー，エチレン酢酸ビニル共
重合体（ＥＶＡ），エチレンエチルアクリレート共重合
体（ＥＥＡ）などのエチレン−αオレフィン共重合体を
混入するとよい。

【００１７】なお、金属水酸化物は、耐水性、機械的性
質を考慮して、その平均粒子径は、０．１〜５μｍの範
囲が適しており、より好ましくは、０．５〜２μｍの範
囲が適している。また、その分散性等を考慮して脂肪酸
金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリン
グ剤等で表面処理したものを用いてもよい。

【００１８】その他にも、ポリアミド系樹脂であるナイ
ロンも用いることができる。

【００１９】上記２次被覆層２は、難燃性のある軟質樹
脂を押出被覆することにより形成され、その外径寸法
は、２．０〜３．２ｍｍに仕上げられる。

【００２０】また、その硬度は、ＪＩＳ硬度Ａが９０以
下、その中でもより柔らかい樹脂、例えば、ＪＩＳ硬度
Ａが５０以上８５以下のものを用いるのが好ましい。

【００２１】このような樹脂としては、エチレン−酢酸
ビニル共重合体，エチレン−エチルアクリレート共重合
体，エチレン−プロピレン共重合体，エチレン−メチル
メタクリレート共重合体又はエチレン−プロピレン−ジ
エン共重合体などの中から選択される１種又は２種以上
のエチレン−αオレフィン共重合体１００重量部に対し
て、水酸化マグネシウム，水酸化カルシウム，ハイドロ
タルサイト類等の１種又は２種類の金属水酸化物５０〜
４００重量部を混入したもの等が挙げられる。

【００２２】なお、上述の場合と同様に、金属水酸化物
は、耐水性、機械的性質を考慮して、その平均粒子径
は、０．１〜５μｍの範囲が適しており、より好ましく
は、０．５〜２μｍの範囲が適している。また、その分
散性等を考慮して脂肪酸金属塩、シランカップリング
剤、チタネートカップリング剤等で表面処理したものを
用いてもよい。

【００２３】その他、可塑剤を混入することによって軟
化させたポリ塩化ビニル樹脂やスチレン系エラストマー
を用いてもよい。

【００２４】３次被覆層３は、耐磨耗性に優れた硬質樹
脂を押出被覆することにより形成され、その外径寸法
が、２．１〜３．５ｍｍに仕上げられる。

【００２５】また、その硬度は、ＪＩＳ硬度Ａが９０以
上、被覆加工性を考慮するとより好ましくは、９０以上
１００以下の硬質ものがよい。

【００２６】このような樹脂としては、高密度ポリエチ
レン，直鎖状の低密度ポリエチレン，ポリプロピレン等
のオレフィン系樹脂や酸グラフト変成ポリオレフィン樹
脂が挙げられる。

【００２７】その他，ナイロン（ポリアミド系樹脂），
ポリウレタン，ポリエステル等も挙げられ、この場合に
は２次被覆層との接着性を向上させるために、酸グラフ
ト変成ポリオレフィン系樹脂又はアイオノマーのような
接着性樹脂を混入してもよい。

【００２８】なお、上記１次被覆層１，２次被覆層２及
び３次被覆層３を形成する樹脂は必要に応じて架橋させ
てもよく、また、必要に応じてその特性を低下させない
範囲で、シリカ，カーボンブラック，酸化アンチモン，
ホウ酸亜鉛等の難燃助剤やその他酸化防止剤，分散剤，
銅害防止剤，着色剤，滑材，充填材，架橋剤等を混入し
てもよい。

【００２９】また、３次被覆層３のさらに外周に保護被
覆層を形成してもよい。

【００３０】なお、このようなプラスチック光ファイバ
コードにおいて、１次被覆層１の断面積がＳ₁，ヤング
率がＥ₁である場合、その破断強度は（Ｓ₁×Ｅ₁）で表
され、２次被覆層２の断面積がＳ₂，ヤング率がＥ₂であ
る場合、その破断強度は（Ｓ₂×Ｅ₂）で表され、３次被
覆層３の断面積がＳ₃，ヤング率がＥ₃である場合、その
破断強度は（Ｓ₃×Ｅ₃）で表され、軟質樹脂により形成
される２次被覆層２の破断強度（Ｓ₂×Ｅ₂）が、硬質樹
脂により形成される１次被覆層１及び３次被覆層３のそ
れぞれの破断強度（Ｓ₁×Ｅ₁），（Ｓ₃×Ｅ₃）よりも大
きい方が、このコードは柔軟性に富む。

【００３１】つまり、このようなプラスチック光ファイ
バコードをより柔軟にするためには、硬質樹脂により形
成された１次被覆層１及び３次被覆層３がより薄く、２
次被覆層２がより厚ければよい。したがって、一般的に
必要とされる柔軟性を得るためには、２次被覆層２の断
面積を１次被覆層１及び２次被覆層２のそれぞれの断面
積よりも大きくするのがよい。

【００３２】かかるプラスチック光ファイバが接続され
る光コネクタは、通常、図２に示すような金属製フェル
ール１０を備えている。このフェルール１０は、筒状に
形成され、その基端側から先端側にかけて貫通する収容
孔部１２が形成されている。その収容孔部１２の先端側
は、その内径寸法がプラスチック光ファイバＦの外径寸
法とほぼ同じ大きさに仕上げられたファイバ収容部１３
とされ、また、その基端側は、ファイバ収容部１３より
も大きな内径の固着部１４とされている。また、これら
ファイバ収容部１３と固着部１４の間には、そのファイ
バ収容部１３側に向かって順次縮径するガイド部１５が
形成されている。

【００３３】このフェルール１０とプラスチック光ファ
イバコードとの接続について説明すると、まず、プラス
チック光ファイバコード端部の２次被覆層２及び３次被
覆層３が剥離されて、その端部から所定の長さに亘って
１次被覆層１が露出される。さらに、当該露出された１
次被覆層１のコード端部側が剥離されて、露出した１次
被覆層の先端側にプラスチック光ファイバＦが露出され
ている。即ち、コード端部には、その先端側から順にプ
ラスチック光ファイバＦと１次被覆層１が露出してい
る。

【００３４】そして、プラスチック光ファイバコードを
収容孔部１２の基端側より挿入すると、コード端部に露
出した光ファイバＦがガイド部１５によりファイバ収容
部１３に導かれてそこに収容される。また、コード端部
に露出した１次被覆層１の端面がガイド部１５に当接さ
れ、その露出した１次被覆層１が固着部１４に収容され
る。この状態で、フェルール１０の基端側を図２の矢符
Ａで示す位置でカシメることにより、１次被覆層１が固
着部１４に圧接され、１次被覆層１を介してプラスチッ
ク光ファイバコードがフェルール１０に固着されること
になる。

【００３５】以上のように構成されたプラスチック光フ
ァイバコードによると、２次被覆層２を軟質樹脂により
形成しているため、プラスチック光ファイバＦの被覆全
てを硬質樹脂により形成している場合と比べて、コード
の柔軟性に優れる。

【００３６】これと同時に、最も外側の層である３次被
覆層３を、耐磨耗性に優れた硬質樹脂により形成してい
るため、コードの耐磨耗性にも優れる。

【００３７】しかも、最も内側の層である１次被覆層１
が硬質樹脂により形成されると共に、その内径寸法が、
フェルール１０の収容孔部１２の固着部１４の内径寸法
とほぼ同じ大きさに仕上げられているため、１次被覆層
１を露出させたコード端部を収容孔部１２に挿通させて
固着部１４に固着することができる。このように硬質樹
脂により形成された１次被覆層１を介して固着している
ため、軟質樹脂により形成された被覆を介して固着する
場合と比べて、接続強度が強くなる。しかも、フェルー
ル１０の基端側を圧着した場合に生じやすい、プラスチ
ック光ファイバＦの変形を防止することもできる。

【００３８】また、従来、可塑剤を混入したポリ塩化ビ
ニル等をプラスチック光ファイバＦに接触して被覆して
いた場合には、その可塑剤が光ファイバＦに移行してそ
の光伝送損失の増加を招く恐れがあったが、本実施形態
では、１次被覆層１に、可塑剤を含まない硬質樹脂を用
いているため、それに起因する光伝送損失の増加を防止
することができる。

【００３９】したがって、コードの柔軟性確保と、耐磨
耗性確保と、光コネクタとの接続強度確保と、光伝送損
失の低減化が同時に満たされる。

【００４０】なお、上記第１実施形態では、プラスチッ
ク光ファイバコードとフェルール１０とをカシメ固定に
より接続した場合で説明したが、光ファイバコードの１
次被覆層１とフェルール１０の収容孔部１２とを、接着
剤により固着した場合であっても、１次被覆層１が硬質
樹脂により形成されているため、それらの接続強度は同
様に強固である。

【００４１】また、各被覆層１〜３を、塩化ビニル樹脂
等のようにハロゲンを含む樹脂以外の樹脂により形成し
た場合、それらの被覆層がたとえ燃焼するようなことが
あってもハロゲンを含む有毒ガスが発生しない。

【００４２】次にこの発明に係る第２実施形態のプラス
チック光ファイバコードについて説明する。

【００４３】このプラスチック光ファイバコードは、図
３に示すように、プラスチック光ファイバＦの外周にそ
の内側から順に１次被覆層２１，２次被覆層２２及び３
次被覆層２３が形成されている。

【００４４】上記プラスチック光ファイバＦは、ポリメ
タクリル酸メチル（ＰＭＭＡ）等よりなるコアの外周に
フッ素樹脂等よりなるクラッドを被覆した周知構造のも
のである。

【００４５】上記１次被覆層２１は、可塑剤を含まない
樹脂、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等を押出
被覆することにより形成されている。なお、後述するよ
うにこの１次被覆層２１には、フェルール１０が圧着さ
れないので、上記第１実施形態のように硬質樹脂である
必要はない。

【００４６】２次被覆層２２は、硬質樹脂、例えば、ポ
リエチレンやポリプロピレン，ナイロン等を押出被覆す
ることによって形成されている。また、その硬度は、そ
のＪＩＳ硬度Ａが９０以上、被覆加工性を考慮すると好
ましくは、９０以上１００以下のものが好ましい。

【００４７】また、この外径寸法は、後述する光コネク
タ側のフェルール１０の収容孔部１２の固着部１４の内
径寸法とほぼ同じになる程度の厚さに被覆されている。

【００４８】３次被覆層２３は、ポリ塩化ビニル等の軟
質樹脂によって形成されている。なお、この３次被覆層
２３は、プラスチック光ファイバＦに直接接触しないた
め、可塑剤の移行を考慮する必要がなく、したがって、
可塑剤を混入した樹脂であってもよい。その硬度は、Ｊ
ＩＳ硬度Ａが９０以下、その中でもより柔らかい樹脂、
例えば、ＪＩＳ硬度Ａが５０以上８５以下が好ましい。

【００４９】なお、上記１次被覆層２１，２次被覆層２
２及び３次被覆層２３を形成する樹脂は必要に応じて架
橋させてもよく、また、必要に応じてその特性を低下さ
せない範囲で、シリカ，カーボンブラック，酸化アンチ
モン，ホウ酸亜鉛等の難燃助剤やその他酸化防止剤，分
散剤，銅害防止剤，着色剤，滑材，充填材，架橋剤等を
混入してもよい。

【００５０】また、このようなプラスチック光ファイバ
コードをより柔軟にするためには、硬質樹脂により形成
された２次被覆層２２がより薄く、軟質樹脂により形成
される３次被覆層２３がより厚ければよい。したがっ
て、一般的に必要とされる柔軟性を得るためには、３次
被覆層２３の断面積を２次被覆層２２の断面積よりも大
きくするのがよい。

【００５１】かかるプラスチック光ファイバコードと光
コネクタとの接続について説明する。なお、光コネクタ
のフェルール１０は、図２に示すものと同様の構成とさ
れており、同様構成部分に同一符号を付してその説明を
省略する。

【００５２】このフェルール１０とプラスチック光ファ
イバコードとの接続について説明すると、まず、プラス
チック光ファイバコード端部の３次被覆層２３が剥離さ
れて、その端部から所定の長さに亘って２次被覆層２２
が露出される。さらに、当該露出された２次被覆層２１
のコード端部側で１次被覆層２１及び２次被覆層２２が
剥離されて、露出した２次被覆層２２の先端側にプラス
チック光ファイバＦが露出されている。即ち、コード端
部には、その先端側から順にプラスチック光ファイバＦ
と２次被覆層２２が露出している。

【００５３】そして、プラスチック光ファイバコードを
収容孔部１２の基端側より挿入すると、コード端部に露
出した光ファイバＦがガイド部１５によりファイバ収容
部１３に導かれてそこに収容される。また、コード端部
に露出した２次被覆層２２の端面がガイド部１５に当接
され、その露出した２次被覆層２２が固着部１４に収容
される。この状態で、フェルール１０の基端側を図２の
矢符Ａで示す位置でカシメることにより、２次被覆層２
２が固着部１４に圧接され、２次被覆層２２を介してプ
ラスチック光ファイバコードがフェルール１０に固着さ
れることになる。

【００５４】図５は、第２実施形態に係るプラスチック
光ファイバコードを図４とは別のタイプのフェルール１
０に接続した状態を示す図である。

【００５５】即ち、このフェルール１０は、そのファイ
バ収容部１３ｂの内径寸法が、１次被覆層２１の外径寸
法とほぼ同じに仕上げられている。また、プラスチック
光ファイバコードの先端部には、その先端側から１次被
覆層２１及び２次被覆層２２が順次露出している。そし
て、１次被覆層２１が収容部１３ｂに収容されると共
に、２次被覆層２２が固着部１４に固着されている。

【００５６】以上のように構成されたプラスチック光フ
ァイバコードによると、３次被覆層３を軟質樹脂により
形成しているため、プラスチック光ファイバＦの被覆全
てを硬質樹脂により形成している場合と比べて、コード
の柔軟性に優れる。

【００５７】しかも、２次被覆層２２が硬質樹脂により
形成されると共に、その内径寸法が、フェルール１０の
収容孔部１２の固着部１４の内径寸法とほぼ同じ大きさ
に仕上げられているため、２次被覆層２２を露出させた
コード端部を収容孔部１２に挿通させて固着部１４に固
着することができる。このように硬質樹脂により形成さ
れた２次被覆層２２を介して固着しているため、軟質樹
脂により形成された被覆を介して両者を固着する場合と
比べて、接続強度が強くなる。しかも、フェルール１０
の基端側を圧着した場合に、プラスチック光ファイバＦ
の変形を防止することもできる。

【００５８】また、従来、可塑剤を混入したポリ塩化ビ
ニル等をプラスチック光ファイバＦに接触させて被覆し
ていた場合には、その可塑剤が光ファイバＦに移行して
その光伝送損失の増加を招く恐れがあったが、本実施形
態では、１次被覆層２１に、可塑剤を含まない樹脂を用
いているため、それに起因する光伝送損失の増加を防止
することができる。

【００５９】したがって、コードの柔軟性確保と、光コ
ネクタとの接続強度確保と、光伝送損失の低減化が同時
に満たされる。

【００６０】なお、上記各実施形態では、プラスチック
光ファイバコードとフェルール１０とをカシメ固定によ
り接続した場合で説明したが、光ファイバコードの被覆
層とフェルール１０の収容孔部１２とを、接着剤により
固着した場合であっても、それらの接続強度は同様に強
固である。

【００６１】なお、上記各被覆層２１〜２３をハロゲン
を含まない樹脂により形成した場合には、このコードが
燃焼した場合に、ハロゲンを含む有毒ガスの発生を防止
することができる。

【００６２】下記に、第１実施形態に係るプラスチック
光ファイバコードの１次〜３次被覆層１〜３の配合例を
示しておく。

【００６３】即ち、第１の配合例では、１次被覆層１が
高密度ポリエチレン１００重量部に対して水酸化マグネ
シウム１４０重量部，酸化防止剤１重量部，滑材１重量
部を添加した樹脂により形成され、２次被覆層２がエチ
レン−αオレフィン共重合体１００重量部よりなる樹脂
により形成され、３次被覆層３が高密度ポリエチレン１
００重量部よりなる樹脂により形成される。

【００６４】また、第２の配合例では、１次被覆層１が
ポリプロピレン１００重量部に対して水酸化アルミニウ
ム１２０〜１４０重量部，酸化防止剤１重量部，滑材１
重量部を添加した樹脂により形成され、２次被覆層２が
スチレン系エラストマー１００重量部よりなる樹脂によ
り形成され、３次被覆層３がポリプロピレンにより形成
される。

【００６５】第３の配合例では、１次被覆層１が高密度
ポリエチレン１００重量部に対して水酸化マグネシウム
１４０重量部，酸化防止剤１重量部，滑材１重量部を添
加した樹脂により形成され、２次被覆層２がエチレン−
αオレフィン共重合体１００重量部よりなる樹脂により
形成され、３次被覆層３がポリアミド１００重量部より
なる樹脂により形成される。

【００６６】第４の配合例では、１次被覆層１がポリプ
ロピレン１００重量部に対して水酸化アルミニウム１２
０〜１４０重量部，酸化防止剤１重量部，滑材１重量部
を添加した樹脂により形成され、２次被覆層２がスチレ
ン系エラストマーにより形成され、３次被覆層３がナイ
ロン又はポリウレタン又はポリエステルエラストマーに
より形成される。

【００６７】上記各配合例による光ファイバコードによ
ると、いずれも柔軟性のあるものが得られた。

【００６８】

【発明の効果】以上のように、この発明の請求項１記載
のプラスチック光ファイバコードによると、各被覆層の
うち最も外側の層を除くいずれかの被覆層を硬質樹脂に
より形成し、各被覆層のうちのいずれかであって前記硬
質樹脂により形成した被覆層よりも外側の被覆層を、軟
質樹脂により形成しているため、被覆層全てを硬質樹脂
により形成した場合と比べて柔軟性に優れる。また、複
数の被覆層のうち最も外側の層を除くいずれかの被覆層
であって硬質樹脂により形成した被覆層の外径寸法を、
光コネクタの固着部の内径寸法とほぼ同じに仕上げてい
るため、当該被覆層を露出させたコード端部を収容孔部
に挿通し、その被覆層を介して収容孔部の固着部に固着
することができ、十分な接続強度をもって光コネクタと
接続することができる。

【００６９】また、この発明の請求項２記載のプラスチ
ック光ファイバコードによると、１次被覆層を硬質樹脂
により形成し、２次被覆層を軟質樹脂により形成し、３
次被覆層を耐磨耗性に優れた硬質樹脂により形成してい
るため、被覆層全てを軟質樹脂により形成した場合と比
べてコードの柔軟性に優れる。また、１次被覆層を硬質
樹脂により形成すると共に、その外径寸法を収容孔部の
固着部の内径寸法とほぼ同じに仕上げているため、その
１次被覆層を露出させたコード端部を収容孔部に挿通
し、１次被覆層を介して収容孔部の固着部に固着するこ
とができ、十分な接続強度をもって光コネクタと接続す
ることができる。さらに、３次被覆層を耐磨耗性に優れ
た硬質樹脂により形成しているため、このコードの耐磨
耗性も確保できる。

【００７０】なお、従来、被覆層の最も内側の被覆層を
可塑剤を混入した樹脂により形成した場合には、その可
塑剤が光ファイバに移行することによって、その光ファ
イバの光伝送損失が増加することがあった。そこで、１
次被覆層を、可塑剤を含まない硬質樹脂により形成する
と、可塑剤の移行による光ファイバの光伝送損失の増加
を防止することができる。

【００７１】さらに、この発明の請求項５記載のプラス
チック光ファイバコードによると、１次被覆層を可塑剤
を含まない樹脂により形成し、２次被覆層を硬質樹脂に
より形成すると共に、その外径寸法を光コネクタ側の収
容孔部の固着部の内径寸法とほぼ同じに仕上げ、３次被
覆層を軟質樹脂により形成しているため、全ての被覆を
硬質樹脂により形成した場合と比べて柔軟性に優れ、ま
た、可塑剤の移行による光ファイバの光伝送損失の増加
を防止できる。さらに、２次被覆層を露出させたコード
端部を光コネクタ側の収容孔部に挿通してその２次被覆
層を介して収容孔部の固着部に固着することができ、十
分な接続強度をもって両者を固着することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる第１実施形態のプラスチック
光ファイバコードを示す断面図である。

【図２】同上のプラスチック光ファイバコードとフェル
ールとの接続状態を示す断面図である。

【図３】この発明にかかる第２実施形態のプラスチック
光ファイバコードを示す断面図である。

【図４】同上のプラスチック光ファイバコードとフェル
ールとの接続状態を示す断面図である。

【図５】同上のプラスチック光ファイバコードと他のタ
イプのフェルールとの接続状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１ １次被覆層 ２ ２次被覆層 ３ ３次被覆層 １０ フェルール １２ 収容孔部 １４ 固着部 Ｆ プラスチック光ファイバ

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラスチック光ファイバの外周に少なく
   とも３層の被覆層が形成され、その端部が光コネクタ側
   のフェルールの収容孔部内に挿通されると共に、前記被
   覆層を介してその収容孔部に固着されるプラスチック光
   ファイバコードであって、 前記各被覆層のうち最も外側の層を除くいずれかの被覆
   層を硬質樹脂により形成すると共に、その外径寸法を前
   記収容孔部の固着部の内径寸法とほぼ同じに仕上げ、 前記各被覆層のうちのいずれかであって前記硬質樹脂に
   より形成した被覆層よりも外側の被覆層を、軟質樹脂に
   より形成したことを特徴とするプラスチック光ファイバ
   コード。
2. 【請求項２】 プラスチック光ファイバの外周にその内
   側から順に１次被覆層，２次被覆層及び３次被覆層が形
   成され、その端部が光コネクタ側のフェルールの収容孔
   部内に挿通されると共に、被覆層を介してその収容孔部
   に固着されるプラスチック光ファイバコードであって、 前記１次被覆層を硬質樹脂により形成すると共に、その
   外径寸法を前記収容孔部の固着部の内径寸法とほぼ同じ
   に仕上げ、 前記２次被覆層を軟質樹脂により形成し、 前記３次被覆層を耐磨耗性のある硬質樹脂により形成し
   たことを特徴とするプラスチック光ファイバコード。
3. 【請求項３】 前記１次被覆層を、可塑剤を含まない硬
   質樹脂により形成したことを特徴とする請求項２記載の
   プラスチック光ファイバコード。
4. 【請求項４】 前記１次被覆層を、ポリエチレン，ポリ
   プロピレン又はナイロンのうちのいずれかの樹脂により
   形成し、 前記２次被覆層を、エチレン−αオレフィン共重合体樹
   脂，可塑剤を含むポリ塩化ビニル樹脂又はスチレン系エ
   ラストマーのうちのいずれかの樹脂により形成し、 前記３次被覆層を、オレフィン系樹脂，酸グラフト変成
   ポリオレフィン樹脂，ナイロン，ポリウレタン又はポリ
   エステルのうちのいずれかの樹脂により形成したことを
   特徴とする請求項２又は３のいずれかに記載のプラスチ
   ック光ファイバコード。
5. 【請求項５】 プラスチック光ファイバの外周にその内
   側から順に１次被覆層，２次被覆層及び３次被覆層が形
   成され、その端部が光コネクタ側のフェルールの収容孔
   部内に挿通されると共に、前記被覆層を介してその収容
   孔部に固着されるプラスチック光ファイバコードであっ
   て、 前記１次被覆層を可塑剤を含まない樹脂により形成し、 前記２次被覆層を硬質樹脂により形成すると共に、その
   外径寸法を前記収容孔部の固着部の内径寸法とほぼ同じ
   に仕上げ、 前記３次被覆層を軟質樹脂により形成したことを特徴と
   するプラスチック光ファイバコード。