JPH10324888A - 金属加工用水溶性油剤 - Google Patents
金属加工用水溶性油剤Info
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- JPH10324888A JPH10324888A JP9134681A JP13468197A JPH10324888A JP H10324888 A JPH10324888 A JP H10324888A JP 9134681 A JP9134681 A JP 9134681A JP 13468197 A JP13468197 A JP 13468197A JP H10324888 A JPH10324888 A JP H10324888A
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Abstract
ず、生産性の向上に寄与する金属加工用水溶性油剤を提
供すること。 【解決手段】下記の構造式Aで表されるブロックタイプ
のポリオキシアルキレングリコールを含有する金属加工
用水溶性油剤。 構造式A HO-[CH3CH(CH3)O/CH2CH2O]x-[CH2CH2O]y-[CH3CH(CH3)O/
CH2CH2O]zH (x及びzは8〜450の整数、yは3〜200の整数
を表し、x個及びz個のブロック中のCH2CH(CH3)O とCH
2CH2O の重量比率はそれぞれ5:95〜95:5であ
る。)
Description
とする塑性加工に広く適用できる金属加工用水溶性油剤
に関し、特に、研削性、切削性の向上に寄与し、腐敗し
にくく、工作機械表面や床等に飛散・付着しても堆積す
ることがなく又は清掃が容易であり、周囲の作業環境を
悪化させることがなく、生産性の向上に寄与する金属加
工用水溶性油剤に関する。
削油剤には、鉱油をベースにし、水に希釈しない水不溶
性切削油剤と、鉱油、界面活性剤、有機アミン等を含有
し、水で希釈する水溶性油剤とがある(「JIS K
2241切削油剤」参照)。しかし、近年の生産性の向
上に伴い、機械加工条件に対する要求がますます厳しく
なってきた為、不水溶性油剤を適用していた切削、研削
加工分野においては、発煙、ミスト、引火等の問題が大
きくクローズアップされ、従来不水溶性油剤の使用され
ていた旋削、穴あけ、フライス等の切削加工や多くの研
削加工分野で不水溶性油剤に換わり水溶性油剤が広く使
用されるようになった。このように広く使用されるよう
になった水溶性油剤の組成は、切削、研削性を維持する
ために、不水溶性油剤の基油である鉱油に、界面活性
剤、有機アミン等を添加し、水に希釈出来る様にしたタ
イプの油剤(原液)(通常、エマルションタイプと呼ば
れる)が主体であった。この油剤(原液)を水で、例え
ば、約10〜50倍に希釈して使用した場合、従来不水
溶性油剤で問題となった機械加工中の発煙、ミスト、引
火等の問題は解決された。
使用すると、油剤原液中に含まれている鉱油により、希
釈油剤(エマルション)が腐敗しやすく、その結果、悪
臭を発生し周囲の作業環境を悪化させるという問題があ
る。さらに、工作機械の周辺や床に飛散した希釈油剤が
粘着状物質として堆積し、周囲を汚染するという新たな
問題を生じた。この腐敗、粘着状物質の発生の原因は、
上述したようにこの水溶性油剤組成物に多量に使用され
ている鉱油(切削性、研削性の向上に寄与する為に添加
使用)にあることがわかっている。従って、この鉱油に
代わる代替物質の開発が研究された。そしてこのような
鉱油代替品として、下記の構造式B又はCで表されるポ
リオキシアルキレングリコール化合物が開発された。 HO-[CH2CH2O]l-[CH2-CH(CH3)-O]m-[CH2CH2O]n-H (B) CH3CH2CH2CH2-[CH2-CH(CH3)-0]a-[CH2CH2O]b-H (C) 市販品としては、(Pluronic(UCC アメリカ) 、ユニルー
ブ(日本油脂株式会社)、プロノン(三洋化成株式会
社)、ニューポール(ニューポールPE64等) (三洋化成
株式会社)等がある。
含有させた水溶性金属加工用油剤(原液)は、特に合成
液(synthetic fluid)と呼ばれ、新しいタイプの水溶性
油剤として切削研削加工用分野に広く使用されるにいた
った。この油剤は、鉱油に換えてポリオキシアルキレン
グリコールを、切削研削性の向上剤として使用するもの
であり、従来の鉱油が添加されていた金属加工油剤(エ
マルションタイプ)と異なり、腐敗や工作機械周辺、床
への粘着物の汚染もなく作業環境も改善された。しか
し、金属加工油剤の給油量の多い研削加工(特にクリー
プ研削、両頭平面加工)等や自動車のエンジン部品を加
工するトランスファーマシンに使用した場合、希釈油剤
の消泡性が悪く、クーラントタンクや研削盤より泡がオ
ーバーフローし、床を汚染するという欠点が判明した。
式Dで表されるポリオキシアルキレングリコール化合物
(従来のポリオキシアルキレングリコール化合物と区別
するため、リバースタイプと呼ばれている)が開発さ
れ、市販されるに至った(BASFJAPAN、商品名 25 R-4
、BASF USA 商品名 10R-5) 。 HO-[CH2CH(CH3)O]a-[CH2CH2O]b-[CH2CH(CH3)O]c-H (D) そして、これ等の化合物を使用した消泡性の優れた水溶
性金属加工油剤も提案されている(特開平8−2319
77号公報、特開平8−239683号公報)。しか
し、上記リバースタイプのポリオキシアルキレングリコ
ール化合物は、これを水溶性金属加工油剤に使用する
と、疎水基[CH2-CH(CH3)O]の影響が強く表れ、水素結合
およびチェーン・マッチングが弱くなり、その結果、水
に対する適合性が弱まり、金属加工油剤の切削性、研削
性の向上に対する寄与率が小さくなるという問題があっ
た。
は、切削性、研削性を向上させ、消泡性に優れ、作業環
境を悪化させることがなく、生産性を向上させる金属加
工用水溶性油剤を提供することである。
で表されるブロックタイプのポリオキシアルキレングリ
コールを含有する金属加工用水溶性油剤を提供するもの
である。 構造式A HO-[CH3CH(CH3)O/CH2CH2O]x-[CH2CH2O]y-[CH3CH(CH3)O/
CH2CH2O]zH (x及びzは8〜450の整数、yは3〜200の整数
を表し、x個及びz個のブロック中のCH2CH(CH3)O とCH
2CH2O の重量比率はそれぞれ5:95〜95:5であ
る。また、スラッシュ( / ) は、ランダム状付加体を意
味する。)
性油剤は、下記の成分を含有する。 (a) 上記一般式Aで表されるポリオキシアルキレングリ
コール、(b) 炭素数6〜22の直鎮又は分岐のモノカル
ボン酸及び/又はジカルボン酸、及び(c) 上記カルボン
酸を中和水溶性化するのに必要な塩基性物質。
ックタイプのポリオキシアルキレングリコールの分子量
は、好ましくは1000〜50000、さらに好ましく
は1200〜30000であり、x個及びz個のブロッ
ク中のCH2CH(CH3)O とCH2CH2O の重量比率はそれぞれ、
好ましくは5:95〜95:5、さらに好ましくは10
〜90〜90:10である。本発明に使用する構造式A
で表されるブロックタイプのポリオキシアルキレングリ
コールは、エチレングリコールに、所望量のプロピレン
オキサイド、エチレンオキサイド又はその混合物を反応
させることにより容易に製造することができる。本発明
の油剤(原液)中、成分(a) の含有量は、好ましくは1
〜85重量%、さらに好ましくは5〜70重量%、最も
好ましくは5〜60重量%である。1重量%未満では切
削性、研削性の向上に対する寄与が小さく、また85重
量%を越えると、コストが高くなり、油剤(原液)の原
液安定性が悪くなり、分離して油剤として使用できなく
なることがある。
る炭素数6〜22の直鎮又は分岐のモノカルボン酸及び
/又はジカルボン酸の例としては、カプリン酸、カプリ
ル酸、ノナン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレ
イン酸、アラキン酸、ベヘン酸、油脂より抽出されたヤ
シ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、綿実油脂肪酸等が挙げら
れ、合成モノカルボン酸としてはイソノナン酸、ネオデ
カン酸、イソラウリン酸、イソステアリン酸等が挙げら
れる。又、ジカルボン酸としてはアジピン酸、セバチン
酸、ドデカン2酸等が挙げられる。さらに、特殊モノカ
ルボン酸としてヒドロキシステアリン酸、リシノレン
酸、ナフテン酸等も挙げられる。本発明の油剤(原液)
中、成分(b) の含有量は、好ましくは1〜30重量%、
さらに好ましくは3〜30重量%である。1重量%未満
ではその特性を充分に発揮させることができず、又、3
0重量%を越えると、切削、研削加工に10倍〜100
倍の希釈油剤として使用した場合、発泡を生じ、作業環
境を悪化させることがある。
(b) のカルボン酸を中和し、水に可溶化するために添加
するものであり、さらに油剤のサビ止め性を良好に維持
するという作用も有している。このような塩基性物質の
例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、
ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等のア
ルカノールアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘ
キシルアミン等の脂環式アミン;これらのアミンにエチ
レンオキサイドを1〜6モル付加した合成アミン、1,
3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
また脂肪族アミンとしては、炭素数8〜18の第一級又
は第二級のアルキルアミン(例えば2−エチルヘキシル
アミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイル
アミン等)、これらのアミンにエチレンオキサイドを1
〜6モル付加した合成アミン、さらにイソデシル、イソ
ステアリル等の合成アミンが挙げられる。芳香族アミン
としてはベンジルアミン、メタキシレンジアミンおよび
これらのアミンにエチレンオキサイドを1〜6モル付加
した合成アミンが挙げられる。無機塩基性物質として
は、周期表1A族のアルカリ金属の水酸化物(水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)が挙げ
られる。本発明の油剤(原液)中、成分(c) の含有量
は、成分(b) のカルボン酸を中和し、水に可溶化するの
に必要な量以上の量である。塩基性物質の添加量がカル
ボン酸の中和量未満ではカルボン酸を水に可溶化させる
事が出来ない。また、成分(b) と成分(c) の合計の含有
量は、好ましくは2〜70重量%、さらに好ましくは3
〜60重量%、最も好ましくは5〜50重量%である。
2重量%未満では量が少なすぎて効果の発現が不充分で
あり、70重量%を越えると塩基性が強く、使用する作
業者に皮膚炎を発生したり、油剤の消泡性が極端に低下
するおそれがある。
分(a) 単独でもよいが、成分(b) 及び(c) を含むことが
好ましく、さらに、水(工業用水、水道水、脱イオン
水、蒸留水)、必要に応じてアニオン系界面活性剤、ノ
ニオン系界面活性剤、防腐剤、防カビ剤、非鉄金属防食
剤、消泡剤等を適宜含有させてもよい。又、切削性、研
削性の向上に寄与させる為、合成油の基油、エステルや
高級アルコール等の油性剤、有機金属塩(モリブデン酸
塩、リン酸塩、リン酸−亜鉛塩、アルカリ土類塩等)等
の摩擦調整剤、塩素化合物、イオウ化合物、リン化合物
等の極圧剤を添加含有させることも可能である。本発明
の油剤は、切削、研削加工、プレス加工、圧延加工、鍛
造、引抜き加工等の金属加工用油剤として、水で5倍〜
200倍、通常は10倍〜100倍に希釈して使用され
る。
発明の水溶性油剤の内容を詳細に説明する。尚、表1に
例示した油剤組成物を実際の工場の機械加工現場での使
用例と同様に、水道水で30倍に希釈し、その希釈油剤
の性能を調べた。又、油剤組成物(原液)が濁っていた
り、分離したり、あまりにも粘稠状であった場合は、当
然油剤としての商品価値が低下する為、特に油剤組成物
(原液)の外観についても評価を行った。
蓋付ガラス容器に採取し、室温で1週間放置し、1週間
後の外観を肉眼で判定する。 判定 ○:合 格 透明で、2層分離なく、又流動性を有している ×:不合格 濁り、2層分離、沈澱物生成があり、又は粘稠状である 消泡性試験 30倍希釈油剤400mlを720ml家電用ミキサー(東
芝製)に採取し、9000rpmで3分間作動させ、そ
の後この希釈油剤を500mlメスシリンダーに移し、泡
の消えるまでの時間を測定する。 研削性試験 30倍希釈油剤50リットルを円筒研削盤のクーラント
タンクに張り込み、下記研削条件で実際と同様、研削実
験を行い砥石を1回ドレッシング(目立て)をした時、
何個の材料が研削可能かを調べる。研削盤のモーターの
消費電力値より30%上昇したときの電力値をもって砥
石寿命とし、そのときまでの被研削材料の加工個数によ
り油剤の良否を判定する。
へのクーラントタンクに張り込み、下記切削条件で実際
と同様切削試験(転造タップ試験)を行ない、転造タッ
プが折損するまでにタップ穴が何個も開けられたかによ
り、油剤の良否を判定する。 (切削諸元) 工作機械: 森精機製 マシニングセンターマシン 加工法: タップ加工 工具: 転造タップ(8mmφ) 材料: 合金鋼(SCM21 300× 400×30mm) 下穴: 7.2mmリーマ仕上 (目くら穴) 測定項目: 転造タップが折損するまであけられた穴の個数 クーラントタンク: 100リットル
発明の成分(a)〜(c)を含有した水溶性油剤(原
液)の実旋例1〜5は、研削性、切削性の向上に十分に
寄与し、かつ希釈油剤の消泡性も優れている事がわか
る。一方、リバースタイプのポリオキシアルキレングリ
コール化合物を含有した油剤(比較例1)は消泡性に優
れているが切削性、研削性に劣る事がわかる。更に、従
来よりのノルマルタイプのポリオキシアルキレングリコ
ール化合物を含有した油剤(比較例2)は研削性に優れ
ているが、消泡性に劣る事がわかる。さらに、比較例3
および4より、構造式A: HO-[CH3CH(CH3)O/CH2CH2O]x-[CH2CH2O]y-[CH3CH(CH3)O/
CH2CH2O]zH において、x個及びz個のブロック中のCH2CH(CH3)O と
CH2CH2O の重量比率が5:95〜95:5であることが
重要である事がわかる。
性、切削性の向上に十分に寄与すると共に、希釈油剤の
消泡性にも優れ、かつ鉱油を含有しない為、実際の機械
工場の機械加工現場での作業環境(腐敗、床の汚染)を
悪化させる事もなく非常にバランスの取れた水溶性金属
加工油剤であるといえる。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記の構造式Aで表されるブロックタイ
プのポリオキシアルキレングリコールを含有する金属加
工用水溶性油剤。 構造式A HO-[CH3CH(CH3)O/CH2CH2O]x-[CH2CH2O]y-[CH3CH(CH3)O/
CH2CH2O]zH (x及びzは8〜450の整数、yは3〜200の整数
を表し、x個及びz個のブロック中のCH2CH(CH3)O とCH
2CH2O の重量比率はそれぞれ5:95〜95:5であ
る。) - 【請求項2】 構造式Aで表されるブロックタイプのポ
リオキシアルキレングリコールの含有量が、1〜85重
量%である、請求項1記載の金属加工用水溶性油剤。 - 【請求項3】 構造式Aで表されるブロックタイプのポ
リオキシアルキレングリコールの分子量が1000〜5
0000である、請求項1又は2記載の金属加工用水溶
性油剤。 - 【請求項4】 下記の成分(a)〜(c)を含有する金
属加工用水溶性油剤。 (a) 請求項1の一般式Aで表されるポリオキシアルキレ
ングリコール、(b) 炭素数6〜22の直鎮又は分岐のモ
ノカルボン酸及び/又はジカルボン酸、及び(c) 上記カ
ルボン酸を中和し水溶性化するのに必要な塩基性物質。 - 【請求項5】 成分(a) の含有量が5〜70重量%、成
分(b) の含有量が1〜30重量%である、請求項4記載
の金属加工用水溶性油剤。 - 【請求項6】 塩基性物質が、有機アミン及び/又は無
機塩基性物質である、請求項4又は5記載の金属加工用
水溶性油剤。 - 【請求項7】 塩基性物質が、アルカノールアミン、脂
環式アミン、脂肪族アミン、芳香族アミン、及びアルカ
リ金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一種
である請求項4〜6のいずれか1項記載の金属加工用水
溶性油剤。
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