JPH10324260A - 車両の舵角制御装置 - Google Patents

車両の舵角制御装置

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JPH10324260A
JPH10324260A JP13247097A JP13247097A JPH10324260A JP H10324260 A JPH10324260 A JP H10324260A JP 13247097 A JP13247097 A JP 13247097A JP 13247097 A JP13247097 A JP 13247097A JP H10324260 A JPH10324260 A JP H10324260A
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JP
Japan
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wheel
steering angle
slip angle
angle
vehicle
Prior art date
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Pending
Application number
JP13247097A
Other languages
English (en)
Inventor
Motoji Suzuki
基司 鈴木
Toshiyuki Ido
準行 井戸
Takahisa Yokoyama
横山  隆久
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
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Publication of JPH10324260A publication Critical patent/JPH10324260A/ja
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の走行安定性を確実に向上させることの
できる車両の舵角制御装置を提供する。 【解決手段】 実際のステアリング角度及び車速から求
めた目標ヨーレートと目標横加速度とを実現するよう
に、車輪の舵角を制御する車両の舵角制御装置におい
て、車輪のスリップ角を演算により検出し(S21
0)、そのスリップ角が、車輪のサイドフォースが最大
となるスリップ角であるとして設定されたスリップ角基
準値を越えたと判定すると(S220:NO)、現在の
スリップ角とスリップ角基準値との差分だけ舵角を中立
方向へ戻すように、舵角の制御量(追加制御舵角量)を
設定して、実際のスリップ角が上記スリップ角基準値と
なるようにする(S260)。この結果、車輪のスリッ
プ角が過大にならず、車両が大きなオーバステア状態や
アンダステア状態になってしまうことを確実に防止でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の走行状態に
応じて車輪の舵角を制御する舵角制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の舵角制御装置とし
て、例えば、車両運転者によるステアリングの操作角度
や車速などから車両の理想的な目標走行状態を設定し、
車両の実際の走行状態が上記目標走行状態となるように
各車輪の舵角(トー角)を制御して、車両の走行安定性
を向上させるようにしたものが考えられている。
【0003】つまり、車両は、車輪(詳しくは、車輪に
装着されたタイヤ)が路面との間で発生するコーナリン
グフォースやサイドフォースといった横方向の力によっ
て旋回し、その横方向の力は、車輪にスリップ角が生じ
ることで発生する。そこで、車輪の舵角を制御すること
により、車輪にスリップ角を生じさせ、これにより、車
輪に目標走行状態を達成するのに必要な横方向の力を発
生させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車輪のスリ
ップ角とサイドフォース(SF)との関係を表す図5の
曲線のように、車輪は、通常状態において、そのスリッ
プ角が大きくなるほど、路面との間で発生する横方向の
力が大きくなるが、スリップ角が特定のスリップ角(図
5のスリップ角基準値)を越えると、横方向の力は減少
傾向に転じてしまう。即ち、タイヤが発生する横方向の
力は、スリップ角に対して飽和特性を示し、特定のスリ
ップ角を越えると急激に低下してしまう。
【0005】ところが、従来の舵角制御装置では、この
ような特性を意識しておらず、車輪が横方向に発生する
力を増加したい場合に、常に車輪の舵角を大きくするよ
うにしている。このため、上記特定のスリップ角を越え
た過大なスリップ角が生じて、車輪の横方向の力がかえ
って減少してしまい、この結果、車両のオーバステア状
態やアンダステア状態が大きくなって、スピンやドリフ
トアウトといった破綻を招いてしまうという問題があ
る。
【0006】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
のであり、車両の走行安定性を確実に向上させることの
できる車両の舵角制御装置を提供することを目的として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】本発明
の舵角制御装置は、車両の走行状態に応じて車輪の舵角
を制御するが、その際に、車輪状態判定手段により、車
輪が、スリップ角の増加に応じて横方向の力が増加する
通常状態にあるか否かを判定する。そして、この車輪状
態判定手段により車輪が前記通常状態にないと判定され
ると、復帰制御手段が、車輪が前記通常状態となるよう
に、その車輪の舵角を中立方向へ戻す。
【0008】よって、本発明の舵角制御装置によれば、
車輪のスリップ角が、車輪の横方向の力が最大となる所
定のスリップ角を越えてしまい、車輪の横方向の力が減
少してしまう事態が発生した場合には、車輪の舵角が即
座に中立方向へ戻されて、車輪の状態が前記通常状態
(即ち、スリップ角の増加に応じて横方向の力が増加す
る状態)へと復帰することとなる。従って、車両が大き
なオーバステア状態やアンダステア状態になってしまう
ことを防止して、車両の走行安定性を確実に向上させる
ことができる。
【0009】尚、車両の走行状態に応じて車輪の舵角を
制御するとは、車両運転者によるステアリングの操作角
度や車速などから車両の理想的な目標走行状態を設定す
ると共に、車体に取り付けたヨーレート(ヨー角速度)
センサや横加速度センサなどからの信号に基づき車両の
実際の走行状態を検出し、その実際の走行状態が目標走
行状態となるように各車輪の舵角を制御する、といった
制御でも良いし、また、例えば、車両運転者によるステ
アリングの操作角度に応じて、その操作角度の所定割合
の角度分だけ後輪の舵角を変化させる、といった簡単な
制御でもよい。
【0010】ここで、車輪状態判定手段は、請求項2に
記載の如く構成することができる。即ち、請求項2に記
載の舵角制御装置では、車輪状態判定手段が、スリップ
角検出手段により、車輪の実際のスリップ角を検出し、
更に、スリップ角判定手段により、スリップ角検出手段
にて検出されたスリップ角が、車輪の横方向の力が最大
となるスリップ角であるとして設定された所定のスリッ
プ角以内であるか否かを判定する。そして、車輪状態判
定手段は、スリップ角判定手段により否定判定された場
合(つまり、実際のスリップ角が所定のスリップ角以内
ではないと判定された場合)に、車輪が前記通常状態に
ないと判定する。
【0011】このように構成すれば、車輪が前記通常状
態にあるか否かを簡単に判定することができる。しか
も、この請求項2に記載の舵角制御装置において、請求
項3に記載のように、復帰制御手段が、車輪状態判定手
段により車輪が前記通常状態にないと判定されると、ス
リップ角検出手段により検出されたスリップ角と前記所
定のスリップ角との差分だけ、前記車輪の舵角を中立方
向へ戻すよう構成すれば、車両の走行安定性をより確実
に向上させることができる。
【0012】つまり、車輪の実際のスリップ角が前記所
定のスリップ角を越えて、車輪状態判定手段により車輪
が前記通常状態にないと判定されたということは、車輪
がより大きな横方向の力を発生することが望まれている
場合である。そして、この場合に、実際のスリップ角が
前記所定のスリップ角となるように車輪の舵角が戻され
るため、車輪は横方向に最大の力を発生することとな
り、車両のオーバステア状態やアンダステア状態をより
速やかに抑制することができるからである。
【0013】例えば、車両の前輪のスリップ角が過大と
なって、アンダステア状態が発生した場合には、前輪の
スリップ角が最大の横方向力を発生可能な値となるよう
に舵角が戻されて、車両のドリフトアウトが防止され、
また、車両の後輪のスリップ角が過大となって、オーバ
ステア状態が発生した場合には、後輪のスリップ角が最
大の横方向力を発生可能な値となるように舵角が戻され
て、車両のスピンが防止される。尚、本発明は、前輪と
後輪とのうちの何れかだけに適用しても良い。
【0014】ここで更に、上記請求項2又は請求項3に
記載の舵角制御装置を、請求項4に記載の如く、スリッ
プ角検出手段により検出されたスリップ角と車輪に対す
る舵角の制御量との和が前記所定のスリップ角を越えな
いように、前記制御量を設定し、その設定した制御量の
分だけ車輪の舵角を変化させるよう構成すれば、より大
きな効果を得ることができる。
【0015】つまり、車輪の実際のスリップ角が、車輪
の横方向の力が最大になると見なされる前記所定のスリ
ップ角を越えないように、車輪の舵角が事前に制御され
ることとなり、また万一、所定のスリップ角を越えた場
合には、車輪が前記通常状態となるように舵角が戻され
ることとなるため、車両の走行安定性をより一層向上さ
せることが可能となる。
【0016】一方、請求項1に記載の舵角制御装置にお
ける車輪状態判定手段は、請求項5に記載の如く構成す
ることもできる。即ち、請求項5に記載の舵角制御装置
では、車輪状態判定手段が、セルフアライニングトルク
検出手段により、車輪に加わるセルフアライニングトル
ク(車輪のスリップ角を小さくする方向に、車輪の接地
面に発生するトルク)を検出し、第1判定手段により、
車輪のスリップ角が増している状況であるか否かを判定
する。更に、第2判定手段により、第1判定手段にて車
輪のスリップ角が増している状況であると判定されてい
る場合に、セルフアライニングトルク検出手段にて検出
された車輪のセルフアライニングトルクが増加傾向にあ
るか否かを判定する。そして、当該車輪状態判定手段
は、前記第2判定手段により否定判定された場合(車輪
のセルフアライニングトルクが増加傾向にないと判定さ
れた場合)に、車輪が前記通常状態にないと判定する。
【0017】つまり、車輪のスリップ角とセルフアライ
ニングトルク(SAT)との関係を示す図9の曲線のよ
うに、車輪のセルフアライニングトルクは、スリップ角
との関係において、車輪の横方向の力と全く同様の飽和
特性を示し、横方向の力が最大の時に最大となる。そこ
で、請求項5に記載の舵角制御装置では、スリップ角が
増している状況であるにも拘らず、セルフアライニング
トルクが増加傾向にない場合(換言すれば、減少傾向で
ある場合)に、車輪が前記通常状態にないと判定するよ
うにしている。
【0018】そして、このようにすれば、車輪の横方向
の力が最大になると見なす所定のスリップ角を予め設定
することなく、車輪の実際の状態に基づいた判定が可能
となるため、車輪が前記通常状態にあるか否かをより正
確に判定することができる。一方また、請求項1に記載
の舵角制御装置における車輪状態判定手段は、請求項6
に記載の如く構成することもできる。
【0019】即ち、請求項6に記載の舵角制御装置で
は、車輪状態判定手段が、発生力検出手段により、車輪
が路面との間で発生している横方向の力を検出し、第1
判定手段により、車輪のスリップ角が増している状況で
あるか否かを判定する。更に、第2判定手段により、第
1判定手段にて車輪のスリップ角が増している状況であ
ると判定されている場合に、発生力検出手段により検出
された力が増加傾向にあるか否かを判定する。そして、
当該車輪状態判定手段は、前記第2判定手段により否定
判定された場合(車輪の発生している横方向の力が増加
傾向にないと判定された場合)に、車輪が前記通常状態
にないと判定する。
【0020】つまり、請求項6に記載の舵角制御装置で
は、請求項5に記載の舵角制御装置に対し、セルフアラ
イニングトルクに代えて、車輪が発生している横方向の
力を検出するようにしており、スリップ角が増している
状況であるにも拘らず、車輪の横方向の力が増加傾向に
ない場合(換言すれば、減少傾向である場合)に、車輪
が前記通常状態にないと判定するようにしている。
【0021】そして、このようにしても、車輪が前記通
常状態にあるか否かをより正確に判定することができ
る。尚、請求項5又は請求項6に記載の第1判定手段
は、車輪の実際のスリップ角を検出することで、スリッ
プ角が増している状況であるか否かを判定するように構
成しても良いし、また、舵角の制御状態から、スリップ
角が増している状況であるか否かを判定するように構成
しても良い。一方、請求項6に記載の発生力検出手段が
検出する横方向の力としては、車輪のサイドフォースや
コーナリングフォースであっても良いし、車体の前後方
向と直交する方向に車輪が発生している力であっても良
い。
【0022】次に、請求項7に記載の舵角制御装置は、
請求項1に記載の舵角制御装置と同様に車両の走行状態
に応じて車輪の舵角を制御するが、その際に、スリップ
角検出手段により、車輪のスリップ角を検出する。そし
て、当該舵角制御装置は、スリップ角検出手段により検
出されるスリップ角が、車輪の横方向の力が最大となる
スリップ角であるとして設定された所定のスリップ角を
越えない範囲内で、車輪の舵角を制御する。
【0023】具体的には、請求項8に記載のように、ス
リップ角検出手段により検出されたスリップ角と車輪に
対する舵角の制御量との和が前記所定のスリップ角を越
えないように、前記制御量を設定し、その設定した制御
量の分だけ車輪の舵角を変化させる。
【0024】このような舵角制御装置によれば、前述し
た請求項4の舵角制御装置と同様に、車輪の実際のスリ
ップ角が、車輪の横方向の力が最大になると見なされる
前記所定のスリップ角を越えないように、車輪の舵角が
制御されることとなる。よって、車輪のスリップ角が過
大となって車両が大きなオーバステア状態やアンダステ
ア状態になってしまうことを事前に防止することができ
る。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を用いて説明する。尚、本発明の実施形態は、下記
のものに何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲
に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでも
ない。また、以下の説明において、車輪とは、その車輪
に装着されたタイヤのことも指している。
【0026】[第1実施形態]まず図1は、本発明が適
用された第1実施形態の車両の制御系全体の構成を表す
概略構成図である。図1に示すように、車両の各車輪
(右前輪2FR,左前輪2FL,右後輪2RR,左後輪2RL)
には、車輪の回転速度(以下、車輪速度という)を検出
するための車輪速センサ4FR,4FL,4RR,4RLが夫々
設けられている。
【0027】尚、本実施形態に関する説明において、
「FR」,「FL」,「RR」,「RL」なるアルファ
ベットは、夫々、右前輪2FR,左前輪2FL,右後輪2R
R,左後輪2RLに対応するものであることを示してい
る。更に、当該車両には、車両の横加速度(以下、横G
という)を検出するための横Gセンサ6と、車両のヨー
レート(ヨー角速度)を検出するためのヨーレートセン
サ8と、運転者により操作されるステアリングの操作角
度(以下、ステアリング角度という)を検出するための
ステアリング角度センサ12とが設けられている。
【0028】そして、上記各センサからの信号は、電子
制御装置(以下、ECUという)14に入力されてい
る。一方、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLには、車輪の
舵角を調節するための舵角制御アクチュエータ16FR,
16FL,16RR,16RLが夫々設けられている。
【0029】このような本実施形態の車両においては、
ECU14が、図2に示す処理を定期的(例えば8ms
毎)に実行することにより、上記各センサからの信号に
基づき、車両の実際の走行状態を検出すると共に、理想
的な目標の走行状態を定め、実際の走行状態が目標走行
状態となるように、舵角制御アクチュエータ16FR,1
6FL,16RR,16RLを制御して各車輪2FR,2FL,2
RR,2RLの舵角を調節している。
【0030】そこで以下、ECU14で実行される処理
について、図面を用いて具体的に説明する。尚、以下に
説明する処理で用いられる「車重(車両重量)」,「モ
ーメント定数」,「重心リアタイヤ間距離」,「重心フ
ロントタイヤ間距離」,「ホイルベース」,及び「ギア
比」は、当該車両の諸元に基づく定数であり、それらは
ECU14内の図示されないROMに予めデータとして
記憶されている。また、ECU14は、図示しない検出
処理を定期的に実行することにより、横Gセンサ6,ヨ
ーレートセンサ8,及びステアリング角度センサ12か
らの各信号に基づき、車両の横G,ヨーレート,及びス
テアリング角度を夫々検出すると共に、各車輪速センサ
4FR,4FL,4RR,4RLからの信号に基づき検出される
車輪速度を平均化するなどして、車速を検出している。
そして、この検出処理で検出された横Gやヨーレートな
どが後述する処理で用いられる。
【0031】まず図2は、ECU14で実行される処理
全体を表すフローチャートである。図2に示すように、
ECU14が処理の実行を開始すると、まずステップ
(以下、単に「S」と記す)100にて、車輪速センサ
4FR,4FL,4RR,4RLからの信号に基づき検出された
車速と、ステアリング角度センサ12からの信号に基づ
き検出されたステアリング角度と、横Gセンサ6からの
信号に基づき検出された車両の横Gと、ヨーレートセン
サ8からの信号に基づき検出された車両のヨーレートと
を入力する。
【0032】そして、続くS110にて、下記の式1に
基づき、目標ヨーレートを算出し、更に続くS120に
て、目標ヨーレートにS100で入力した車速を乗じる
ことにより、目標横G(=目標ヨーレート×車速)を算
出する。尚、目標ヨーレートと目標横Gは、夫々、実際
のステアリング角度及び車速から考えられる車両の理想
的なヨーレートと横Gである。また、下記の式1を始め
とする後述の式において、「/」は除算を示しており、
「ギア比」は、当該車両のステアリングボックスのギア
比を示している。このため「ステアリング角度/ギア
比」は、ステアリングの操作によって生じる前輪2FR,
2FLの舵角を示す。また更に、「目標スタビリティファ
クタ」は、算出される目標ヨーレートが、車両の挙動と
して運転者に違和感を感じさせない値となるように設定
された定数である。
【0033】
【数1】 目標ヨーレート=(ステアリング角度/ギア比×車速/ホイルベース)/(1 +目標スタビリティファクタ×車速×車速) …式1 このようにして目標ヨーレートと目標横Gを算出する
と、続くS130にて、下記の式2に基づき、目標横G
を実現するために4輪2FR,2FL,2RR,2RLが追加し
て発生しなければならない合計の横力である追加車体横
力を算出する。
【0034】尚、「追加」とは、正の追加(即ち増加)
だけではなく、負の追加(即ち減少)を含むものであ
る。また、「横力」とは、車体の前後方向と直交する方
向の力である。
【0035】
【数2】 追加車体横力=(目標横G−横G)×車重 …式2 次に、続くS140にて、上記S110で算出した目標
ヨーレートを微分することにより、車両の目標ヨー角加
速度を算出すると共に、上記S100で入力した実際の
ヨーレートを微分することにより、車両の実際のヨー角
加速度を算出する。そして、この目標ヨー角加速度と実
際のヨー角加速度とを用いて、下記の式3に基づき、目
標ヨーレートを達成するために車両に追加して発生すべ
きヨーモーメントである追加ヨーモーメントを算出す
る。
【0036】
【数3】 追加ヨーモーメント=(目標ヨー角加速度−ヨー角加速度)×モーメント定数 …式3 そして、続くS150にて、下記の式4に基づき、目標
ヨーレート及び目標横Gを実現するために両前輪2FR,
2FLが追加して発生しなければならない合計の横力であ
るフロント追加横力を算出し、更に、下記の式5に基づ
き、目標ヨーレート及び目標横Gを実現するために両後
輪2RR,2RLが追加して発生しなければならない合計の
横力であるリア追加横力を算出する。
【0037】尚、以下の式において、「重心フロントタ
イヤ間距離」は、車両の重心と前輪2FR,2FLの車軸中
心との水平距離であり、「重心リアタイヤ間距離」は、
車両の重心と後輪2RR,2RLの車軸中心との水平距離で
ある。
【0038】
【数4】 フロント追加横力=(追加車体横力×重心リアタイヤ間距離+追加ヨーモーメ ント)/ホイルベース …式4
【0039】
【数5】 リア追加横力=(追加車体横力×重心フロントタイヤ間距離−追加ヨーモーメ ント)/ホイルベース …式5 そして更に、続くS160にて、下記の式6に示す如
く、上記S150で算出したフロント追加横力を2で割
ることにより、目標ヨーレート及び目標横Gを実現する
ために前輪2FR,2FLの各々が追加して発生しなければ
ならない追加横力(FR追加横力,FL追加横力)を算
出すると共に、下記の式7に示す如く、上記S150で
算出したリア追加横力を2で割ることにより、目標ヨー
レート及び目標横Gを実現するために後輪2RR,2RLの
各々が追加して発生しなければならない追加横力(RR
追加横力,RL追加横力)を算出する。
【0040】
【数6】 FR追加横力=FL追加横力=フロント追加横力/2 …式6
【0041】
【数7】 RR追加横力=RL追加横力=リア追加横力/2 …式7 このようにして、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLが追加
して発生すべき追加横力(FR〜RL追加横力)を算出
すると、次にS170へ進んで、図3に示す追加制御舵
角量演算処理を実行する。
【0042】尚、この追加制御舵角量演算処理は、舵角
制御アクチュエータ16FR,16FL,16RR,16RLに
よる各車輪2FR,2FL,2RR,2RLの舵角の制御量であ
る追加制御舵角量を算出するための処理であり、各車輪
2FR,2FL,2RR,2RLについて、夫々実行される。一
方、以下の説明において、「横力」及び「サイドフォー
ス」の正負極性については、車輪が現在発生している力
の方向を正とし、それと反対の方向を負としている。ま
た同様に、「舵角」及び「スリップ角」の正負極性につ
いては、車輪の現在の舵角方向及びスリップ角方向を正
とし、それと反対の方向を負としている。
【0043】図3に示すように、追加制御舵角量演算処
理の実行を開始すると、まずS200にて、処理対象の
車輪(4輪2FR,2FL,2RR,2RLの何れか)につい
て、その車輪が目標ヨーレート及び目標横Gを実現する
ために追加して発生しなければならないサイドフォース
(SF)である、必要SF追加量を算出する。
【0044】即ち、図2のS160で算出した追加横力
(FR〜RL追加横力)は、図4に示すように、車体の
前後方向と直交する方向の力であり、このS200で
は、車輪の現在の舵角αと、上記算出した追加横力とに
より、必要SF追加量を算出する。
【0045】具体的には、前輪2FR,2FLの各々につい
ては、下記の式8,式9に基づき、必要SF追加量(F
R必要SF追加量,FL必要SF追加量)を算出し、後
輪2RR,2RLの各々については、下記の式10,式11
に基づき、必要SF追加量(RR必要SF追加量,RL
必要SF追加量)を算出する。尚、以下の式における
「αFR」,「αFL」,「αRR」,「αRL」は、図4に示
すように、夫々、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLの現在
の舵角である。また、「FR制御舵角」,「FL制御舵
角」,「RR制御舵角」,「RL制御舵角」は、夫々、
舵角制御アクチュエータ16FR,16FL,16RR,16
RLにより現在調節されている各車輪2FR,2FL,2RR,
2RLの舵角である。
【0046】
【数8】 FR必要SF追加量=FR追加横力/cos(αFR)=FR追加横力/cos (ステアリング角度/ギア比+FR制御舵角) …式8
【0047】
【数9】 FL必要SF追加量=FL追加横力/cos(αFL)=FL追加横力/cos (ステアリング角度/ギア比+FL制御舵角) …式9
【0048】
【数10】 RR必要SF追加量=RR追加横力/cos(αRR)=RR追加横力/cos (RR制御舵角) …式10
【0049】
【数11】 RL必要SF追加量=RL追加横力/cos(αRL)=RL追加横力/cos (RL制御舵角) …式11 このようにして必要SF追加量を算出すると、次にS2
10へ進み、処理対象の車輪について、その車輪の現在
のスリップ角を算出する。
【0050】具体的には、前輪2FR,2FLの各々につい
ては、下記の式12,式13に基づき、スリップ角(F
Rスリップ角,FLスリップ角)を算出し、後輪2RR,
2RLの各々については、下記の式14,式15に基づ
き、スリップ角(RRスリップ角,RLスリップ角)を
算出する。
【0051】
【数12】 FRスリップ角=車体横滑り角度−ヨーレート×重心フロントタイヤ間距離/ 車速+ステアリング角度/ギア比+FR制御舵角 …式12
【0052】
【数13】 FLスリップ角=車体横滑り角度−ヨーレート×重心フロントタイヤ間距離/ 車速+ステアリング角度/ギア比+FL制御舵角 …式13
【0053】
【数14】 RRスリップ角=車体横滑り角度+ヨーレート×重心リアタイヤ間距離/車速 +RR制御舵角 …式14
【0054】
【数15】 RLスリップ角=車体横滑り角度+ヨーレート×重心リアタイヤ間距離/車速 +RL制御舵角 …式15 尚、式12〜式15における「車体横滑り角度」は、車
体の向きと車体の進行方向とのなす角度であり、実際の
横G,車速,及びヨーレートから、下記の式16に基づ
き、車体横滑り角速度を求め、更に、その車体横滑り角
速度を積分することにより算出される。
【0055】
【数16】 車体横滑り角速度=−横G/車速+ヨーレート …式16 このようにして車輪のスリップ角を算出すると、次にS
220へ進み、処理対象の車輪について、上記S210
で算出したスリップ角が、予め設定されたスリップ角基
準値よりも小さいか否かを判定する。
【0056】ここで、ECU14内のROMには、図5
の曲線で示すように、車輪2FR,2FL,2RR,2RLのス
リップ角とサイドフォース(SF)との関係を表す「ス
リップ角対サイドフォースマップ」が、予めデータ化さ
れて記憶されており、上記スリップ角基準値は、この
「スリップ角対サイドフォースマップ」において、車輪
のサイドフォースが最大となるスリップ角に設定されて
いる。つまり、S220の判定で用いるスリップ角基準
値は、車輪のサイドフォースが最大となるスリップ角で
あるとして設定されたスリップ角である。
【0057】そして、上記S220にて、車輪のスリッ
プ角がスリップ角基準値よりも小さいと判定した場合に
は、処理対象の車輪がサイドフォースを更に追加して発
生可能であると判断して、次のS230に進む。そし
て、このS230にて、処理対象の車輪が追加して発生
可能なサイドフォースの余裕度であるSF余裕を、以下
の手順で算出する。
【0058】即ち、図5に示すように、まず、「スリッ
プ角対サイドフォースマップ」に基づき、上記S210
で算出した現在のスリップ角(現状スリップ角)に対応
するサイドフォース(つまり、車輪が発生していると見
なされる現在のサイドフォース)SFgを算出する。次
に、「スリップ角対サイドフォースマップ」において、
スリップ角基準値に対応するサイドフォース(つまり、
車輪が発生可能なサイドフォースの最大値)SFmax を
読み出す。そして、図5の矢印Y1に示すように、上記
サイドフォースの最大値SFmax と現在のサイドフォー
スSFgとの差を、SF余裕として算出する。
【0059】こうしてSF余裕を算出すると、次にS2
40へ進み、S200で算出した必要SF追加量が、上
記S230で算出したSF余裕よりも小さいか否かを判
定する。そして、図5において矢印Y2と矢印Y1との
大小関係で示す如く、必要SF追加量がSF余裕よりも
小さい場合には、必要SF追加量を車輪に発生させるこ
とが可能であると判断して、S250に進む。
【0060】そして、このS250にて、処理対象の車
輪に対する追加制御舵角量を、以下の手順により算出す
る。即ち、まず図5において、矢印Y2で示される必要
SF追加量を、現在のサイドフォースSFgに加算し
て、目標のサイドフォースSFmを求める。次に、「ス
リップ角対サイドフォースマップ」において、上記目標
のサイドフォースSFmに対応するスリップ角であるス
リップ角目標値を算出する。そして、図5の矢印Y3に
示すように、上記スリップ角目標値と現在のスリップ角
(現状スリップ角)との差を、追加制御舵角量として算
出する。
【0061】一方、上記S240にて、必要SF追加量
がSF余裕よりも小さくないと判定した場合、即ち、図
5において矢印Y4と矢印Y1との大小関係で示す如
く、必要SF追加量がSF余裕を越えている場合には、
必要SF追加量の全てを車輪に発生させることが不可能
であると判断して、S260に移行する。
【0062】そして、このS260にて、図5の矢印Y
5に示すように、サイドフォースの最大値SFmax に対
応するスリップ角基準値から、現在のスリップ角を引い
た値を、追加制御舵角量として算出する。一方更に、上
記S220にて、車輪のスリップ角がスリップ角基準値
よりも小さくないと判定した場合、即ち、車輪のスリッ
プ角がスリップ角基準値を越えてしまっている場合に
も、S260に移行して、スリップ角基準値から現在の
スリップ角を引いた値を、追加制御舵角量として算出す
る。尚、この場合には、現在のスリップ角がスリップ角
基準値よりも大きいため、追加制御舵角量が負の値(即
ち、車輪の舵角を中立方向へ戻す方向)に設定される。
【0063】そして、上記S250或いはS260の処
理を行った後、当該追加制御舵角量演算処理を終了し、
次に図2のS180へ進む。このS180では、図3の
追加制御舵角量演算処理で算出した各車輪2FR,2FL,
2RR,2RLの追加制御舵角量に応じて、舵角制御アクチ
ュエータ16FR,16FL,16RR,16RLを作動させる
ことにより、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLの舵角を、
夫々、対応する追加制御舵角量の分だけ変化させる。
【0064】そして、このS180で舵角制御アクチュ
エータ16FR,16FL,16RR,16RLを作動させた
後、図2の処理を一旦終了し、その後に、次の実行周期
が到来すると、図2のS100以降の処理を再度実行す
る。以上のように、本第1実施形態のECU14では、
実際のステアリング角度及び車速から目標の走行状態を
表す目標ヨーレートと目標横Gを求め、実際のヨーレー
ト及び横Gが目標ヨーレート及び目標横Gとなるよう
に、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLの舵角を、舵角制御
アクチュエータ16FR,16FL,16RR,16RLにより
制御している。
【0065】そして特に、本第1実施形態のECU14
では、スリップ角検出手段としての図3のS210に
て、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLのスリップ角(FR
〜RLスリップ角)を演算により検出し、スリップ角判
定手段としての図3のS220にて、車輪のスリップ角
が、車輪のサイドフォースが最大となるスリップ角であ
るとして設定されたスリップ角基準値以内であるか否か
を判定している。そして、図3のS220で否定判定す
ると(S220:NO)、その車輪が、スリップ角の増
加に応じて横方向の力が増加する通常状態(即ち、図5
にてスリップ角基準値よりも左側の状態)ではないと判
断して、復帰制御手段としての図3のS260により、
その車輪の舵角を中立方向へ戻すようにしている。尚、
本実施形態では、図3のS210及びS220が、車輪
状態判定手段に相当している。
【0066】よって、このECU14によれば、車輪の
スリップ角が、最大のサイドフォースが得られるスリッ
プ角基準値を越えてしまい、車輪のサイドフォースがか
えって減少してしまう事態が発生した場合には、車輪の
舵角が即座に中立方向へ戻されて、車輪の状態が前記通
常状態へと復帰することとなる。従って、車両が大きな
オーバステア状態やアンダステア状態になってしまうこ
とを防止して、車両の走行安定性を確実に向上させるこ
とができる。
【0067】しかも、本第1実施形態のECU14で
は、図3のS220で否定判定して、車輪が前記通常状
態にないと判断すると、車輪の現在のスリップ角とスリ
ップ角基準値との差分だけ、車輪の舵角を中立方向へ戻
すようにしているため(S220:NO,S260)、
実際のスリップ角がスリップ角基準値となるように車輪
の舵角が戻される。よって、車輪は最大のサイドフォー
ス(図5のSFmax )を発生することとなり、車両のオ
ーバステア状態やアンダステア状態をより速やかに抑制
することができる。
【0068】例えば、前輪2FR,2FLのスリップ角が過
大となって、アンダステア状態が発生した場合には、前
輪2FR,2FLのスリップ角がスリップ角基準値となるよ
うに舵角が戻されて、車両のドリフトアウトが防止さ
れ、また、後輪2RR,2RLのスリップ角が過大となっ
て、オーバステア状態が発生した場合には、後輪2RR,
2RLのスリップ角がスリップ角基準値となるように舵角
が戻されて、車両のスピンが防止される。
【0069】また更に、本第1実施形態のECU14で
は、図3のS230〜S260の処理により、車輪の現
在のスリップ角と、車輪に対する舵角の制御量である追
加制御舵角量との和が、スリップ角基準値を越えないよ
うに、追加制御舵角量を設定し、その設定した追加制御
舵角量の分だけ車輪の舵角を変化させるようにしてい
る。
【0070】よって、車輪のスリップ角が、車輪のサイ
ドフォースが最大になると見なされるスリップ角基準値
を越えないように、車輪の舵角が制御されることとな
り、車輪のスリップ角が過大となって車両が大きなオー
バステア状態やアンダステア状態になってしまうことを
事前に防止することができる。そして、車両運転者によ
る無理なステアリング操作などにより、万一、スリップ
角基準値を越えた場合には、図3のS220及びS26
0の処理により、車輪の舵角が強制的に戻されるため、
車両の走行安定性をより一層確実に向上させることがで
きる。
【0071】尚、本第1実施形態では、図3のS20
0,S230〜S250にて、車輪のサイドフォースを
制御パラメータとして用いたが、車輪のコーナリングフ
ォースや横力(車体の前後方向と直交する方向の力)を
制御に用いるようにしても良い。つまり、図5の「スリ
ップ角対サイドフォースマップ」に代えて、スリップ角
とコーナリングフォースとの関係を表すデータマップ、
或いは、スリップ角と横力との関係を表すデータマップ
を用意して、前述した処理と同様の処理を行えば良い。
【0072】[第2実施形態]ところで、前述した第1
実施形態では、車輪2FR,2FL,2RR,2RLが、スリッ
プ角の増加に応じて横方向の力が増加する通常状態であ
るか否かを、車輪のスリップ角の大きさに基づいて判定
したが、その判定は、次に説明する第2実施形態のよう
に行っても良い。
【0073】即ち、まず図6は、第2実施形態の車両の
制御系全体の構成を表す概略構成図である。図6に示す
ように、本第2実施形態では、第1実施形態と比較し
て、各舵角制御アクチュエータ16FR,16FL,16R
R,16RLに、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLのセルフ
アライニングトルク(車輪のスリップ角を小さくする方
向に、車輪の接地面に発生するトルクであり、以下、S
ATと記す)を検出するためのSAT検出センサ18F
R,18FL,18RR,18RLが設けられている。
【0074】そして、本第2実施形態のECU14は、
前述した検出処理(図示省略)の実行により、上記各S
AT検出センサ18FR,18FL,18RR,18RLからの
信号に基づき、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLのSAT
を検出している。そして更に、本第2実施形態のECU
14は、図2のS170にて、図3の処理に代えて、図
7に示す追加制御舵角量演算処理を実行する。尚、その
他については、第1実施形態と同様であるため、詳細な
説明は省略する。
【0075】そこで以下、本第2実施形態にて、ECU
14が実行する図7の追加制御舵角量演算処理について
説明する。尚、図7の追加制御舵角量演算処理も、舵角
制御アクチュエータ16FR,16FL,16RR,16RLに
よる各車輪2FR,2FL,2RR,2RLの舵角の制御量であ
る追加制御舵角量を算出するための処理であり、各車輪
2FR,2FL,2RR,2RLについて、夫々実行される。一
方、以下の説明において、「横力」の正負極性について
は、車輪が現在発生している力の方向を正とし、それと
反対の方向を負としている。また同様に、「舵角」の正
負極性については、車輪の現在の舵角方向を正とし、そ
れと反対の方向を負としている。
【0076】図7に示すように、ECU14が図2のS
170で追加制御舵角量演算処理の実行を開始すると、
まずS300にて、処理対象の車輪(4輪2FR,2FL,
2RR,2RLの何れか)について、SAT検出センサ18
FR,18FL,18RR,18RLからの信号に基づき検出さ
れたSATを入力する。
【0077】そして、続くS310にて、処理対象の車
輪について図2のS160で前回算出した追加横力(追
加横力の前回値)が、横力を増す方向の値(つまり、
正)であったか否かを判定し、横力を増す方向の値でな
ければ、そのままS320へ進む。
【0078】S320では、まず、ROMから「追加横
力対追加制御舵角量マップ」を読み込む。尚、「追加横
力対追加制御舵角量マップ」は、図8に示す如く、追加
横力と追加制御舵角量との関係を記憶したデータマップ
であり、追加横力が正方向に大きい場合ほど(つまり、
車輪の横力を現在の発生方向と同方向に大きく増加させ
る場合ほど)、追加制御舵角量が正方向(つまり、舵角
を更に大きくする方向)に大きくなり、逆に、追加横力
が負方向に大きいほど(つまり、車輪の横力を現在の発
生方向と逆方向に大きく減少させる場合ほど)、追加制
御舵角量が負方向(つまり、舵角を戻す方向)に大きく
なるよう設定されている。
【0079】そして更に、S320では、処理対象の車
輪について図2のS160で今回算出した追加横力(追
加横力の今回値)を読み出し、その追加横力の今回値に
対応する追加制御舵角量を、上記読み込んだ「追加横力
対追加制御舵角量マップ」に基づき算出する。
【0080】そして、このS320にて、上記の如く処
理対象の車輪に対する追加制御舵角量を算出した後、当
該追加制御舵角量演算処理を終了する。一方、上記S3
10にて、追加横力の前回値が横力を増す方向の値であ
ったと判定した場合には、S330へ移行し、処理対象
の車輪について、上記S300で今回入力したSATの
絶対値(|今回SAT|)が、上記S300で前回入力
したSATの絶対値(|前回SAT|)よりも大きいか
否かを判定する。
【0081】つまり、追加横力の前回値が横力を増す方
向の値であれば、前回のS320の処理により、追加制
御舵角量が舵角を更に大きくする値に設定され、その追
加制御舵角量に応じて舵角制御アクチュエータ16FR,
16FL,16RR,16RLが作動することにより、車輪の
スリップ角が増すこととなる。そして、図9に示すよう
に、車輪のSATは、スリップ角との関係において、車
輪のサイドフォース,コーナリングフォース,横力とい
った横方向の力と全く同様の飽和特性を示し、車輪の状
態が、スリップ角の増加に伴い横方向の力が増加する通
常状態であれば、スリップ角が増すことによりSATも
増加する。そこで、S330では、車輪のスリップ角が
増したと見なされる状況において、その車輪のSATが
増加したか否かを判定し、これにより、処理対象の車輪
が前記通常状態であるか否かを判断しているのである。
【0082】そして、S330で肯定判定した場合(S
330:YES)、即ち、処理対象の車輪が前記通常状
態にあると見なされる場合には、そのままS320へ移
行して、処理対象の車輪に対する追加制御舵角量を算出
する。これに対し、S330で否定判定した場合には
(S330:NO)、処理対象の車輪が前記通常状態に
ないと判断して、S340へ進み、処理対象の車輪につ
いて図2のS160で今回算出した追加横力(追加横力
の今回値)が、横力を増す方向の値(つまり、正)であ
るか否かを判定する。
【0083】そして、追加横力の今回値が横力を増す方
向の値でなければ(S340:NO)、そのままS32
0に移行して、処理対象の車輪に対する追加制御舵角量
を算出するが、追加横力の今回値が横力を増す方向の値
であれば(S340:YES)、S350へ進んで、追
加横力の今回値に「−1」を乗じた値を、追加横力の今
回値として設定し直し、その後、S320へ移行して、
処理対象の車輪に対する追加制御舵角量を算出する。
【0084】つまり、処理対象の車輪が前記通常状態に
なと判断した場合に(S330:NO)、追加横力の今
回値が横力を増す方向の値であれば(S340:YE
S)、今回算出した追加横力の正負極性を反転させるこ
とにより、S320で算出される追加制御舵角量が舵角
を戻す方向の値となるようにしており、これによって、
処理対象の車輪の舵角が中立方向へ戻されるようにして
いる。
【0085】尚、本第2実施形態では、SAT検出セン
サ18FR,18FL,18RR,18RLと前述した検出処理
とが、セルフアライニングトルク検出手段に相当し、図
7のS310が第1判定手段に相当し、図7のS330
が第2判定手段に相当している。また、図7のS340
及びS350が復帰制御手段に相当している。
【0086】以上のように、本第2実施形態では、車輪
のスリップ角が増している状況であるか否かをS310
の処理にて判定し、車輪のスリップ角が増している状況
(S310:YES)であるにも拘らず、その車輪のS
ATが増加傾向にない場合(S330:NO)に、車輪
が、スリップ角の増加に伴い横方向の力が増加する通常
状態にないと判定して、車輪の舵角を中立方向へ戻すよ
うにしている。
【0087】よって、本第2実施形態によっても、第1
実施形態と同様に、車両が大きなオーバステア状態やア
ンダステア状態になってしまうことを防止して、車両の
走行安定性を確実に向上させることができる。そして、
本第2実施形態によれば、車輪の横方向の力が最大にな
ると見なすスリップ角基準値を予め設定することなく、
車輪の実際の状態に基づいた判定が可能となり、車輪が
前記通常状態にあるか否かをより正確に判定することが
できる。
【0088】ところで、上記第2実施形態は、各車輪2
FR,2FL,2RR,2RLのSATを検出して、車輪が通常
状態にあるか否かを判定するようにしたが、SATに代
えて、例えば、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLの横力を
検出し、スリップ角が増している状況であるにも拘ら
ず、横力が増加傾向にない場合に、車輪が通常状態にな
いと判定するよう構成しても良い。
【0089】具体的には、図7のS300にて、車輪2
FR,2FL,2RR,2RLの横力を検出し、図7のS330
では、今回検出した横力の絶対値が前回検出した横力の
絶対値よりも大きいか否かを判定すれば良い。そして、
車輪2FR,2FL,2RR,2RLの横力は、SAT検出セン
サ18FR,18FL,18RR,18RLと同様の、発生力検
出手段としてのセンサにより直接検出するようにしても
良いし、また、発生力検出手段としての演算処理により
検出するようにしても良い。
【0090】尚、各車輪2FR,2FL,2RR,2RLの横力
を演算により検出する場合には、前述した式4及び式5
において、「追加車体横力」の代わりに、実際の横Gと
車重との積からなる「実際の車体横力(=横G×車
重)」を用いると共に、「追加ヨーモーメント」の代わ
りに、実際のヨーレートを微分したヨー角加速度とモー
メント定数との積からなる「実際のヨーモーメント(=
ヨー角加速度×モーメント定数)」を用いることで、両
前輪2FR,2FLの実際の合計横力であるフロント横力
と、両後輪2RR,2RLの実際の合計横力であるリア横力
とを求め、そのフロント横力とリア横力とを、夫々、2
で割ることにより、各前輪2FR,2FLの実際の横力と、
各後輪2RR,2RLの実際の横力とを求めることができ
る。
【0091】また、SATに代えて用いる車輪の力とし
ては、横力に限るものではなく、サイドフォースやコー
ナリングフォースでも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態の車両の制御系全体の構成を表
わす概略構成図である。
【図2】 図1のECUで実行される処理全体を表すフ
ローチャートである。
【図3】 図2内の追加制御舵角量演算処理を表すフロ
ーチャートである。
【図4】 図2の処理で算出する追加横力及び必要SF
追加量を説明する説明図である。
【図5】 図3の追加制御舵角量演算処理で参照される
スリップ角対サイドフォースマップを説明する説明図で
ある。
【図6】 第2実施形態の車両の制御系全体の構成を表
わす概略構成図である。
【図7】 第2実施形態のECUで実行される追加制御
舵角量演算処理を表すフローチャートである。
【図8】 図7の追加制御舵角量演算処理で参照される
追加横力対追加制御舵角量マップを説明する説明図であ
る。
【図9】 車輪のスリップ角とセルフアライニングトル
ク及び横方向の力との関係を説明する説明図である。
【符号の説明】
2FR,2FL,2RR,2RL…車輪 4FR,4FL,4RR,
4RL…車輪速センサ 6…横Gセンサ 8…ヨーレートセンサ 12…ステアリング角度センサ 14…電子制御装置
(ECU) 16FR,16FL,16RR,16RL…舵角制御アクチュエ
ータ 18FR,18FL,18RR,18RL…SAT検出センサ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の走行状態に応じて、該車両の車輪
    の舵角を制御する舵角制御装置において、 前記車輪が、スリップ角の増加に応じて横方向の力が増
    加する通常状態にあるか否かを判定する車輪状態判定手
    段と、 該車輪状態判定手段により前記車輪が前記通常状態にな
    いと判定されると、前記車輪が前記通常状態となるよう
    に、該車輪の舵角を中立方向へ戻す復帰制御手段と、 を備えたことを特徴とする車両の舵角制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の車両の舵角制御装置に
    おいて、 前記車輪状態判定手段は、 前記車輪のスリップ角を検出するスリップ角検出手段
    と、 該スリップ角検出手段により検出されたスリップ角が、
    前記車輪の横方向の力が最大となるスリップ角であると
    して設定された所定のスリップ角以内であるか否かを判
    定するスリップ角判定手段とを備えており、 前記スリップ角判定手段により否定判定された場合に、
    前記車輪が前記通常状態にないと判定するよう構成され
    ていること、 を特徴とする車両の舵角制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の車両の舵角制御装置に
    おいて、 前記復帰制御手段は、 前記車輪状態判定手段により前記車輪が前記通常状態に
    ないと判定されると、前記スリップ角検出手段により検
    出されたスリップ角と前記所定のスリップ角との差分だ
    け、前記車輪の舵角を中立方向へ戻すよう構成されてい
    ること、 を特徴とする車両の舵角制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3に記載の車両の舵
    角制御装置において、 当該舵角制御装置は、 前記スリップ角検出手段により検出されたスリップ角と
    前記車輪に対する舵角の制御量との和が前記所定のスリ
    ップ角を越えないように、前記制御量を設定し、該設定
    した制御量の分だけ前記車輪の舵角を変化させるよう構
    成されていること、 を特徴とする車両の舵角制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の車両の舵角制御装置に
    おいて、 前記車輪状態判定手段は、 前記車輪に加わるセルフアライニングトルクを検出する
    セルフアライニングトルク検出手段と、 前記車輪のスリップ角が増している状況であるか否かを
    判定する第1判定手段と、 該第1判定手段によりスリップ角が増している状況であ
    ると判定されている場合に、前記セルフアライニングト
    ルク検出手段により検出されたセルフアライニングトル
    クが増加傾向にあるか否かを判定する第2判定手段とを
    備えており、 前記第2判定手段により否定判定された場合に、前記車
    輪が前記通常状態にないと判定するよう構成されている
    こと、 を特徴とする車両の舵角制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の車両の舵角制御装置に
    おいて、 前記車輪状態判定手段は、 前記車輪が路面との間で発生している横方向の力を検出
    する発生力検出手段と、 前記車輪のスリップ角が増している状況であるか否かを
    判定する第1判定手段と、 該第1判定手段によりスリップ角が増している状況であ
    ると判定されている場合に、前記発生力検出手段により
    検出された力が増加傾向にあるか否かを判定する第2判
    定手段とを備えており、 前記第2判定手段により否定判定された場合に、前記車
    輪が前記通常状態にないと判定するよう構成されている
    こと、 を特徴とする車両の舵角制御装置。
  7. 【請求項7】 車両の走行状態に応じて、該車両の車輪
    の舵角を制御する舵角制御装置において、 前記車輪のスリップ角を検出するスリップ角検出手段を
    備え、 該スリップ角検出手段により検出されるスリップ角が、
    前記車輪の横方向の力が最大となるスリップ角であると
    して設定された所定のスリップ角を越えない範囲内で、
    前記車輪の舵角を制御するよう構成されていること、 を特徴とする車両の舵角制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の車両の舵角制御装置に
    おいて、 当該舵角制御装置は、 前記スリップ角検出手段により検出されたスリップ角と
    前記車輪に対する舵角の制御量との和が前記所定のスリ
    ップ角を越えないように、前記制御量を設定し、該設定
    した制御量の分だけ前記車輪の舵角を変化させるよう構
    成されていること、 を特徴とする車両の舵角制御装置。
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