JPH10323712A

JPH10323712A - チタン線の伸線方法及び装置

Info

Publication number: JPH10323712A
Application number: JP13494097A
Authority: JP
Inventors: Keiichiro Yoshida; 桂一郎吉田
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1997-05-26
Filing date: 1997-05-26
Publication date: 1998-12-08

Abstract

(57)【要約】【課題】この発明は、チタン又はチタン合金よりなる
線素材を寸法精度及び表面精度の良好なチタン線製品を
高能率で製造することを目的としたものである。【課題解決する為の手段】チタン線素材をローラダイ
スにより伸線する方法において、単位ローラダイスによ
る加圧成形時に、ローラ面と、チタン線外壁面とが焼付
を生じない程度の減面率に規制して加工することを特徴
としたチタン線の伸線方法。隣接ローラダイスの軸線を
互に９０度以下の角度にして近接架設した数対のローラ
ダイスによりブロックローラダイスを構成し、該ブロッ
クローラダイスの複数ブロックを所定間隔で直列に配列
し、各ブロックローラダイス間へ必要に応じ線素材の引
張手段を介装したことを特徴とするチタン線の伸線装
置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、寸法精度及び表
面精度の良好なチタン線製品を高能率で製造することを
目的としたチタン線の伸線方法及び装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】この発明の発明者は、先に各カセットロ
ーラの圧延接触内面における相対速度差の０点を先進、
後進を同じくする位置に保たさせるようにしたチタン細
線の圧延成形方法と装置を提案した（特開平７−２０４
７０９号）。またチタン薄板を長手方向に切断し、これ
を加熱して加圧成形するチタン細線の製造方法を提案し
た（特開平８−１４１６０１号）。

【０００３】

【発明により解決すべき課題】前記公知の技術は、チタ
ン細線の加工を改善する技術として格段の効果を発揮し
ているが、チタン細線の用途の多様性に鑑み製品細線の
表面精度（平滑度）の向上、品質の均一性及び無傷性な
ど、更に高度の技術開発を要請されていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、本発明者が
先に開発したローラダイス（特公昭５８−１７６８５
号）を基本とし、その使用に当りチタン線の特性に着目
した新使用方法を開発し、前記従来の要請に対応したの
である。

【０００５】この発明におけるローラダイスは、例えば
カセットローラダイス（株式会社ヨシダキネンの商標）
であって、積層型ローラダイスを指称するもので、前記
公知例の実施例の積層構造に限定されない。例えば特公
昭５８−１７６８５号の発明の実施例に示された積層構
造を含むことは勿論、隣接ローラ軸間距離が、ローラ直
径とほぼ同一（例えばローラ直径の１０％増位まで）又
はこれより小さくなるように積層した各種の積層型ロー
ラダイスの総てを含むものである。

【０００６】即ち方法の発明は、チタン線素材をローラ
ダイスにより伸線する方法において、単位ローラダイス
による加圧成形時に、ローラ面と、チタン線外壁面とが
焼付を生じない程度の減面率に規制して加工することを
特徴としたチタン線の伸線方法であり、減面率を３％未
満とすることを特徴としたものである。またローラダイ
スの数対を１ブロックローラダイスとし、複数ブロック
ローラダイスを直列に配列し、必要に応じ各ブロック間
にチタン線素材の引張り手段を介装させると共に、各１
対のローラダイスの減面率を３％未満とすることを特徴
としたものであり、チタン線素材の材質は、チタン及び
チタン合金としたことを特徴とするものである。

【０００７】次に装置の発明は、隣接ローラダイスの軸
線を互に９０度以下の角度にして近接架設した数対のロ
ーラダイスによりブロックローラダイスを構成し、該ブ
ロックローラダイスの複数ブロックを所定間隔で直列に
配列し、各ブロックローラダイス間へ必要に応じ線素材
の引張手段を介装したことを特徴とするチタン線の伸線
装置であり、隣接ローラダイスの軸線の角度を９０度、
６０度、４５度、３６度又は３０度としたことを特徴と
するものである。

【０００８】前記発明において、隣接ローラダイスの一
対のリダクションを３％以上にすると、ローラ面と、チ
タン線外壁との間の辷り量が大きくなって焼付を生じる
（特に常温伸線の場合）おそれがあり、焼付を生じる
と、加工済細線の肌荒れを生じ、或いは細傷の原因とな
り、或いは局部的ストレスの残留原因になるなど、製品
の表面精度及び品質の均一性を損するおそれがあった。

【０００９】またブロックローラダイスを構成するロー
ラダイスの数を数対例えば（５〜６対）以下にすると、
加工能率を低下させるので、線素材の抗張力の耐え得る
範囲内で、ローラダイスの対数を増加させる。

【００１０】即ち、ブロックローラダイスにおけるロー
ラダイスの対数を増加させると対数の増加に伴って加圧
成形抵抗が増加するが、１台の引張装置の引張力は、線
素材の抗張力に見合う大きさまでの引張力を付与するこ
とができる。従って、ローラダイスの対数は線素材の材
質、直径、１ブロックローラダイスにおける合計リダク
ション及び加工速度など幾多の条件により定める。例え
ばチタン及びチタン合金において、直径５mmの線素材を
直径２mmの製品に加工する場合には、ローラダイス１０
対〜１５対を１ブロックローラダイスとして、３乃至６
ブロックローラダイスを直列に配列し、各ブロックロー
ラダイス間又は複数ブロックローラダイス毎に引張手段
を介装し、高速で優良伸線製品を得ることができる。

【００１１】次に従来公知のローラダイスのブロックに
おける隣接したローラダイスは、各軸の中心線を９０度
にして配列することにより、隣接ローラダイスの間隔を
０．６Ｄ（Ｄはローラの直径）付近まで近接させること
に成功し、伸線技術に飛躍的改善を付与したのである。
この場合に、線素材は互に直角方向から加圧加工される
ことになり、伸線技術上も優れた効果を奏するのである
が、表面精度を更に向上させる場合には、隣接ローラダ
イスの軸の中心線の角度を９０度より更に小さい角度で
連続加圧成形することが考えられる。例えば９０度、６
０度、４５度、３６度、３０度とすることが可能であ
り、実施に際しては、ローラ直径、伸線製品の径などを
勘案して定めるが、９０度は多種の材質の加工に実績が
あり、４５度はローラダイスの組みつけが判り易いなど
の利点があり、４５度以下にした場合のメリットとデメ
リットの関係もあるので、特別の加工条件がない限り、
隣接ローラダイスの軸の中心線の角度は９０度と４５度
が最も多く用いられる。

【００１２】また隣接ローラダイスの間隔を１．０Ｄ
（Ｄはローラの直径）以上（例えば１０％増）にした場
合でも十分な効果を奏する場合があるので、必ずしも
１．０Ｄ以下に制限されるものではない。

【００１３】

【発明の実施の形態】この発明は、隣接ローラダイスの
軸の中心線の角度を９０度以下に架設した数対のローラ
ダイスにより、１ブロックローラダイスを構成し、該ブ
ロックローラダイスの複数ブロックを直列に配列し、要
すれば、各ブロック間又は必要なブロック数毎に、線素
材の引張手段を介装し、１対の各ローラダイスの減面率
を３％未満としたチタン線の伸線方法及び装置である。
前記における１ブロックローラダイスは、数対以上のロ
ーラダイスを１体的に並列固定してあって、このブロッ
クローラダイスを通過するチタン線素材は、恰もスウェ
ージングマシンによる加圧加工の如く、異なる方向から
放射線状に高速加圧成形されるので、線素材の変形抵抗
は著しく小さくなる（比較的小さい抵抗で加工可能）。
従って通常の冷間圧延では考えられないような小さい変
形抵抗で、所望の形状に加圧成形されることになるか
ら、断面が異形であっても、伸線と同時の加圧成形がで
きる。

【００１４】

【実施例１】この発明の実施例について説明する。厚さ
５mmのチタン薄板を幅１０mmに切断して、線素材とし、
この線素材を、１０対のローラダイスからなるブロック
ローラダイスを４台直列に配列した加工ラインに入れて
伸線加工する。この場合に、各ローラダイスの減面率を
２％以下に調整し、１ブロックローラダイスの減面率を
１５％程度とすれば、第１のブロックローラダイス１ａ
により、線素材の直径は４．２５mmとなり、第２のブロ
ックローラダイス１ｂにより線素材の直径は３．６mmと
なり、第３のブロックローラダイス１ｃにより線素材は
３．０mmとなり、第４のブロックローラダイス１ｄによ
り２．５mmとなった。前記各ブロックローラダイス１
ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄの後部には、引張装置２ａ、２
ｂ、２ｃ、２ｄを配置して、線素材の抗張力以内で加圧
成形すると共に、高速（例えば毎秒２ｍ）加工を可能に
した。

【００１５】前記各ブロックローラダイスにおける１対
のローラダイス３、３の各減面率は２．０％以下であっ
たので、各ローラの加圧成形面と、線素材との辷りがき
わめて小さく押さえられ、線素材の表面は無傷で光沢が
あった。

【００１６】前記各ブロックローラダイスによる加圧成
形の１例を、図２により説明する断面形状の線素材４が
第１のローラダイスに入ると、上下方向５、５から加圧
され、ついで４５度の方向６、６から加圧された後、左
右方向７、７から加圧され、更に４５度の方向から加圧
されて１加工サイクルを終了し、再び１加工サイクルを
経て小径の線素材４ａとして第２のブロックローラダイ
スに供給される。従って前記加工により得たチタン線製
品は、表面処理が不必要であって、そのまま各種製品に
成形加工することができると共に、ストレスの偏在と
か、微小傷による製品の使用中の折損などは皆無であ
る。

【００１７】

【実施例２】この発明のブロックローラダイスの実施例
を図１、３、４について説明する。１対のローラダイス
３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ、３ｅを、順次４５度に配列し
てブロックローラダイス１を形成する（図３）。このよ
うなブロックローラダイス１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄの４
台を直列に配列すれば（図１）、この発明の加工装置９
ができる。前記において、図１は各ブロックローラダイ
ス毎に引張装置３を介装したが、引張装置３は、線素材
４の抗張力との関係を考慮し、破断しない範囲で介装す
ればよいので、必ずしも各ブロックローラダイス間に介
装する必要はない。

【００１８】

【発明の効果】この発明によれば、各ローラダイスの減
面率を、チタン線素材が加圧成形に際して焼付を生じな
い程度（例えば３％未満）としたので、高速加圧成形し
た場合であっても、常時光沢のある表面無傷のチタン細
線を得ることができる効果がある。

【００１９】またローラダイスを数対以上一体的、かつ
９０度以下の角度に配列したので、線素材は、円周方向
から放射状に加圧成形され、ストレスの偏在しない均質
線に仕上げることができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の装置の実施例の概念図。

【図２】同じく１ブロックローラダイスにおける線素材
の断面形状の変化の説明図。

【図３】同じくローラダイスの配列例を示す斜視図。

【図４】同じく一部を省略した正面図。

【符号の説明】

１１ａ、１ｂ、１ｃ、１ｄブロックローラダイス２２ａ、２ｂ、２ｃ、２ｄ引張装置３３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ、３ｅローラダイス４線素材９加工装置

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】チタン線素材をローラダイスにより伸線
する方法において、単位ローラダイスによる加圧成形時
に、ローラ面と、チタン線外壁面とが焼付を生じない程
度の減面率に規制して加工することを特徴としたチタン
線の伸線方法。
【請求項２】減面率を３％未満とすることを特徴とし
た請求項１記載のチタン線の伸線方法。
【請求項３】ローラダイスの数対を１ブロックローラ
ダイスとし、複数ブロックローラダイスを直列に配列
し、必要に応じ各ブロック間にチタン線素材の引張り手
段を介装させると共に、各１対のローラダイスの減面率
を３％未満とすることを特徴とした請求項１記載のチタ
ン線の伸線方法。
【請求項４】チタン線素材の材質は、チタン及びチタ
ン合金としたことを特徴とする請求項１記載のチタン線
の伸線方法。
【請求項５】隣接ローラダイスの軸線を互に９０度以
下の角度にして近接架設した数対のローラダイスにより
ブロックローラダイスを構成し、該ブロックローラダイ
スの複数ブロックを所定間隔で直列に配列し、各ブロッ
クローラダイス間へ必要に応じ線素材の引張手段を介装
したことを特徴とするチタン線の伸線装置。
【請求項６】隣接ローラダイスの軸線の角度を９０度
又は４５度としたことを特徴とする請求項５記載のチタ
ン線の伸線装置。