JPH1032353A - 熱電材料 - Google Patents

熱電材料

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JPH1032353A JP8185865A JP18586596A JPH1032353A JP H1032353 A JPH1032353 A JP H1032353A JP 8185865 A JP8185865 A JP 8185865A JP 18586596 A JP18586596 A JP 18586596A JP H1032353 A JPH1032353 A JP H1032353A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温下においても高い熱電性能を発揮し得る
熱電材料を提供する。 【解決手段】 熱電材料1は第1の半導体s1 のみから
なる複数の伝導層3と、第1の半導体s1 とは異なる材
質を備えた第2の半導体s2 のみからなる複数のバリヤ
層4とを交互に、且つ層をなすように配設すると共に相
隣る伝導層3およびバリヤ層4間に、拡散防止層5を介
在させたものである。これにより、高温下における伝導
層3およびバリヤ層4間の拡散を防止し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱電材料、即ち、第
1の半導体のみからなる複数の伝導層と、前記第1の半
導体とは異なる材質を備えた第2の半導体のみからなる
複数のバリヤ層とを交互に、且つ層をなすように配設し
た熱電材料の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の熱電材料としては、相隣
る伝導層とバリヤ層とを直接接合したものが公知である
(米国特許明細書第5436467号参照)。
【0003】この熱電材料においては、伝導層のエネル
ギギャップよりもバリヤ層のエネルギギャップを十分に
広く維持することによって両エネルギギャップの差を大
にし、この大きなエネルギギャップ差に基づいて各伝導
層内に量子井戸を形成し、これにより熱電材料の電気伝
導度を高めて熱電性能を向上させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来例
のように相隣る伝導層とバリヤ層とを直接接合すると、
高温下において伝導層およびバリヤ層間に拡散、主とし
て相互拡散が発生するため、伝導層のエネルギギャップ
が広くなると共にバリヤ層のエネルギギャップが狭くな
り、その結果、両エネルギギャップの差が小となって、
伝導層内に量子井戸を形成することができなくなる。つ
まり、従来の熱電材料は、耐熱性が低いため高温下にお
いて熱電性能を維持することができない、という問題が
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、相隣る伝導層
およびバリヤ層間の拡散を防止し得るようにして、耐熱
性を向上させた前記熱電材料を提供することを目的とす
る。
【0006】前記目的を達成するため本発明によれば、
第1の半導体のみからなる複数の伝導層と、前記第1の
半導体とは異なる材質を備えた第2の半導体のみからな
る複数のバリヤ層とを交互に、且つ層をなすように配設
すると共に相隣る前記伝導層および前記バリヤ層間に、
それら両層間の拡散を防止する拡散防止層を介在させた
熱電材料が提供される。
【0007】前記のように構成すると、高温下において
伝導層およびバリヤ層間の拡散を拡散防止層により回避
することができるので、熱電材料に優れた耐熱性を付与
して、高温下においても良好な熱電性能を発揮させるこ
とができる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1において、熱電材料1は基板
2上に形成され、第1の半導体s1 のみからなる複数の
超薄膜状伝導層3と、第1の半導体s1 とは異なる材質
を備えた第2の半導体s2 のみからなる複数の超薄膜状
バリヤ層4とを交互に、且つ層をなすように配設すると
共に相隣る伝導層3およびバリヤ層4間に、それら両層
3,4間の拡散を防止する超薄膜状拡散防止層5を介在
させたものである。この場合、基板1側および最外側に
はそれぞれバリヤ層4が位置する。
【0009】前記のように構成すると、高温下において
伝導層3およびバリヤ層4間の相互拡散を拡散防止層5
により回避することができるので、熱電材料1に優れた
耐熱性を付与して、高温下においても良好な熱電性能を
発揮させることができる。
【0010】拡散防止層5の構成材料mとしては、ギブ
スの自由エネルギが大きな材料、即ち、高温下で安定で
あり、且つ分解し難く、拡散も起し難い材料であって、
半導体特性を示すもの、または拡散の活性化エネルギが
大きな材料、即ち、拡散係数が小さく、拡散し難い材料
であって半導体特性を示すものが用いられる。
【0011】このような構成材料mには、SiO、Si
2 、TiO2 、FeO、Fe2 3 、SnO2 、In
2 3 、CaMnO3 等の金属酸化物、SiC等のケイ
化物およびSiB、B4 C等のホウ化物が該当する。こ
れらは単独で、または混合物として用いられる。また拡
散防止層5は、組成を異にする複数の構成層より形成さ
れていてもよい。
【0012】伝導層3を構成する第1の半導体s1
は、Fe0.9 Mn0.1 Si2 [FeSi2 系半導体]、
(Si0.8 Ge0.2 )B0.003 [SiGe系半導体]、
(PbTe0.95Se0.05)Na0.01[PbTe系半導
体]、(GeTe)0.85(AgSbTe2 0.15[Pb
Te系代替え半導体]等のp型半導体、Fe0.9 Co
0.1Si2 [FeSi2 系半導体]、(Si0.8 Ge
0.2 )P0.002 [SiGe系半導体]、(Pb0.95Ge
0.05Te)(PbI2 0.001 [PbTe系半導体]等
のn型半導体ならびにp型およびn型のBiTe系半導
体が該当する。
【0013】バリヤ層4を構成する第2の半導体s2
は、Si、FeSi2 [FeSi2系半導体]、Si
0.8 Ge0.2 [SiGe系半導体]、(Pb0.9 Eu
0.07)Te[PbTe系半導体]等が該当する。
【0014】熱電材料1の製造には、汎用的な薄膜形成
法であるスパッタリングが採用される。この場合、基板
としては、半導体基板用ガラス、シリコンウエハ、セラ
ミックウエハ、高分子フィルム等が用いられる。またチ
ャンバ内は真空排気により約10-3Torrに保持さ
れ、またアルゴンガスフロー置換が行われる。アルゴン
ガス流量調整後、放電を開始し、その放電中において、
アルゴンガス流量は5〜25SCCM(SCCM:質量
流量)に、またスパッタ電力は50〜500Wに、スパ
ッタリング速度は10〜300Å/sec にそれぞれ設定
される。
【0015】層形成に当っては、基板2上にバリヤ層
4、拡散防止層5、伝導層3および拡散防止層5を順次
形成し、これを1サイクルとして必要サイクル数繰返
し、最終的に最外層となるバリヤ層4の形成を行う、と
いう方法が採用される。
【0016】以下、具体例について説明する。
【0017】表1は熱電材料1の製造条件を示し、この
製造条件にて複数の実施例を製造した。
【0018】
【表1】
【0019】比較のため、拡散防止層5の形成を行わず
に、バリヤ層4の形成およびそれに次ぐ伝導層3の形成
を1サイクルとした、いうこと以外は表1の製造条件と
同一条件にて複数の比較例を製造した。
【0020】製造後、無加熱状態の実施例および比較例
について、次のような方法で熱電出力の測定と電気伝導
度の測定を行った。
【0021】熱電出力の測定に当っては、実施例および
比較例の両積層面a(図には一方のみ示す)にそれぞれ
電極を付設し、一方の電極側を赤外線ヒータにより30
0℃に加熱すると共に他方の電極側を室温に保持して温
度勾配を現出させ、両電極間に発生する熱電出力を測定
する、という方法を採用した。その際、両電極側の温度
管理をそれぞれ熱電対を用いて行った。電気伝導度の測
定は公知の四端子法を採用して行った。
【0022】次に、実施例および比較例について、加熱
温度を100〜800℃の範囲で変化させ、且つ各温度
下における保持時間を20時間(一定)に設定した耐熱
試験を行い、その後、前記と同様の方法で熱電出力の測
定と電気伝導度の測定を行った。
【0023】表2は前記測定結果を示す。表2には前記
無加熱状態における測定値も掲載されている。
【0024】
【表2】
【0025】表2において、実施例の場合、耐熱試験後
の熱電出力および電気伝導度の値が加熱温度の変化に伴
い若干変動しているが、これは無加熱状態の場合の基準
値からのばらつきの範囲内に収まるもので、したがって
実施例は温度変化に拘らず優れた耐熱性を有すると言え
る。これは、加熱下において拡散防止層5によりバリヤ
層4および伝導層3間の相互拡散が回避されたことに起
因する。
【0026】比較例の場合は、無加熱状態では実施例と
同等の熱電性能を示すが、加熱温度の上昇に伴い熱電出
力および電気伝導度が共に低下する。これは、加熱下に
おいてバリヤ層および伝導層間に相互拡散が生じたこと
に起因する。
【0027】次に、実施例および比較例について、加熱
温度を500℃(一定)に設定し、且つその温度下にお
ける保持時間を変化させた耐熱試験を行い、その後、前
記と同様の方法で熱電出力の測定と電気伝導度の測定を
行った。
【0028】表3は前記測定結果を示す。表3には前記
無加熱状態における測定値も掲載されている。
【0029】
【表3】
【0030】表3において、実施例の場合、耐熱試験後
の熱電出力および電気伝導度の値が保持時間の変化に伴
い若干変動しているが、これは無加熱状態の場合の基準
値からのばらつきの範囲内に収まるもので、したがって
実施例は保持時間の変化に拘らず優れた耐熱性を有する
と言える。これは、前記同様に、加熱下において、拡散
防止層5によりバリヤ層4および伝導層3間の相互拡散
が回避されたことに起因する。
【0031】比較例の場合は、保持時間の増加に伴い熱
電出力および電気伝導度が共に低下する。これは、前記
同様に、加熱下において、バリヤ層および伝導層間に相
互拡散が生じたことに起因する。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように構成する
ことによって、優れた耐熱性を有し、高温下においても
良好な熱電性能を発揮し得る熱電材料を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱電材料の説明図である。
【符号の説明】
1 熱電材料 3 伝導層 4 バリヤ層 5 拡散防止層 s1 第1の半導体 s2 第2の半導体 m 構成材料

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の半導体(s1 )のみからなる複数
    の伝導層(3)と、前記第1の半導体(s1 )とは異な
    る材質を備えた第2の半導体(s2 )のみからなる複数
    のバリヤ層(4)とを交互に、且つ層をなすように配設
    すると共に相隣る前記伝導層(3)および前記バリヤ層
    (4)間に、それら両層(3,4)間の拡散を防止する
    拡散防止層(5)を介在させたことを特徴とする熱電材
    料。
  2. 【請求項2】 前記第1の半導体(s1 )は、FeSi
    2 系半導体、SiGe系半導体、PbTe系半導体およ
    びBiTe系半導体から選択される一種であり、第2の
    半導体(s2 )は、Si、FeSi2 系半導体、SiG
    e系半導体およびPbTe系半導体から選択される一種
    であり、前記拡散防止層(5)の構成材料(m)は、S
    iO、SiO2 、TiO2 、FeO、Fe2 3 、Sn
    2 、In2 3 、CaMnO3 、SiC、SiBおよ
    びB4 Cから選択される少なくとも一種である、請求項
    1記載の熱電材料。
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