JPH10316423A - 酸化錫粉末の製造方法 - Google Patents

酸化錫粉末の製造方法

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JPH10316423A
JPH10316423A JP9121308A JP12130897A JPH10316423A JP H10316423 A JPH10316423 A JP H10316423A JP 9121308 A JP9121308 A JP 9121308A JP 12130897 A JP12130897 A JP 12130897A JP H10316423 A JPH10316423 A JP H10316423A
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organic solvent
compound
soluble
tin
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JP9121308A
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Chisui Okano
知水 岡野
Hiroya Yamashita
博也 山下
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Tokuyama Corp
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Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広範な第2成分元素を均一に含有する球状の
複合酸化錫粉末の製造方法を提供する。 【解決手段】 錫および第2成分元素の可溶性化合物を
有機溶媒に溶解した前駆体溶液または該前駆体溶液を加
水分解して得られる懸濁液を噴霧乾燥して球状ゲルを生
成せしめ、次いで該球状ゲルを焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、球状の複合酸化錫
粉末の製造方法および該複合酸化錫粉末を負極活物質と
する非水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、急速に普及する携帯電話、携帯用
端末、ビデオカメラなどの携帯用機器の電源として、あ
るいは電気自動車用電源として、小型、軽量でエネルギ
ー密度の高い二次電池に対する社会的要求が益々強くな
っている。
【0003】充電可能で繰り返し使用できる二次電池の
うち、水溶液系電解質を用いる鉛蓄電池、ニッケル−カ
ドミウム電池、ニッケル−水素電池などの二次電池で
は、過電圧の高い鉛蓄電池を除いては水の分解電圧を超
える高い電池電圧を得ることはできない。これに対し非
水電解液二次電池は電解液に非水溶媒を用いるため、水
溶液系電解質を用いる上述の二次電池よりも高い電池電
圧を得ることができる。非水電解液二次電池はエネルギ
ー密度が高く小型化及び軽量化が可能であり、携帯用機
器の電源として急速に需要が伸びているが、更にこれら
電子機器の長時間稼働を実現させるために、電池容量の
更なる向上が求められている。
【0004】非水電解液二次電池は、リチウムを吸蔵、
放出することが可能な正極活物質と集電体などからなる
正極と、リチウムを吸蔵、放出することが可能な負極活
物質と集電体などからなる負極、さらにはリチウム塩を
非水溶媒に溶解してなる電解液、及びセパレータ、電池
容器などから構成される。このような二次電池におい
て、充電時には正極活物質中から放出されたリチウムは
負極活物質中に吸蔵され、また放電時にはリチウムは逆
に負極活物質中から放出され、正極活物質中に吸蔵され
る。そのため、電池容量を向上させるためには、負極ま
たは正極活物質自体の充放電容量を向上させることと、
負極または正極内への活物質の充填密度を高めることが
重要である。
【0005】充放電容量の高い非水電解液二次電池に適
した負極活物質としては、エネルギー密度にのみ着目す
れば、単位重量当たりに含まれるリチウム量が最も多い
金属リチウムを用いることが望ましい。しかし、負極活
物質に金属リチウムを用いると、充電時にリチウムが負
極表面に均一に析出せずに樹枝状に析出し、これがセパ
レータを貫通して負極と正極が短絡し、発熱や発火する
危険性がある。また樹枝状に析出した金属リチウムが負
極から脱落して充放電サイクル寿命が短くなるという問
題がある。これらの問題のために、金属リチウムは電池
反応に関与する理論的リチウム容量が最も高いにも関わ
らず、負極活物質として実用化されるに至っていない。
【0006】現在、市販の非水電解液二次電池の負極活
物質としては、黒鉛に代表される比較的結晶化度の高い
炭素材料(以下、黒鉛材料ともいう)、あるいは難黒鉛
化炭素などと称される比較的結晶化度の低い炭素材料
(以下、難黒鉛化炭素材料ともいう)などが用いられて
いる。
【0007】黒鉛材料を非水電解液二次電池の負極活物
質(以下、負極活物質ともいう)として使用すると、放
電初期から末期に至るまで負極電位はほぼ一定の値で安
定するため、放電末期まで安定した電池電圧を確保する
ことができる。しかしながら、黒鉛材料の充放電容量は
理論値で最高372mAh/g、現実には280〜33
0mAh/g程度である。従って、よりエネルギー密度
の高い非水電解液二次電池を作製するためにはさらに高
い充放電容量を有する負極活物質が望まれている。
【0008】一方、難黒鉛化炭素材料は、充放電容量は
400〜700mAh/gであり、この点では黒鉛材料
よりも優れた特性を有している。しかし、難黒鉛化炭素
材料では、放電初期から負極電位が上昇し続けるため、
非水電解液二次電池に用いると放電に伴って電池電圧が
低下し続ける。そのため、負極活物質である難黒鉛化炭
素には、未だ放出可能なリチウムが十分に残存している
にも関わらず、それ以上の放電は低い電圧下で起こるた
めに電源として利用できないという問題点がある。その
結果、実質的に利用できる充放電容量は、黒鉛材料とほ
ぼ同等の300mAh/g程度にすぎない場合がある。
【0009】このような炭素材料に対して、最近、酸化
錫系材料が高い充放電容量を有する材料として注目され
ている。酸化錫系材料では、最初SnOあるいはSnO
2において500〜600mAh/gといった高い放電
容量が見いだされた(特開平6−275268、特開平
7−122274など)。その後、Sn−Li−O系材
料(特開平7−201318)、Sn−Si−O系材料
(特開平7−230800)、あるいはSn−M−O系
材料(Mはアルカリ土類金属、周期律表13、14、1
5族元素又は亜鉛、特開平7−288123)といった
組成の複合酸化錫系材料が提案されている。これらの複
合酸化錫系材料においては、充放電サイクル特性が多少
改善されたが、放電容量はSnOあるいはSnO2と比
較して、むしろ低下する傾向を示しており、未だ十分で
はない。例えば、LixSnOの放電容量は300mA
h/g以下(電池の容積より推定)、固相反応により作
製したLi2SnO3、Li2SnO2では各々442,4
83mAh/g、又、溶融法により作製された非晶質の
SnSiO3では493mAh/g程度と、これらの放
電容量は何れもSnOあるいはSnO2と同等あるいは
それ以下に留まっており、充放電容量の更なる増大が求
められている。すなわち、充放電容量の増大は飽和して
きており、新たな視点でこの容量向上を図ることが求め
られていた。
【0010】一方で、負極における負極活物質の充填密
度を高めることは、非水電解液二次電池の単位体積当り
のエネルギ−密度を高めることができるので、電池容量
を向上させる上で重要である。
【0011】負極における複合酸化錫系材料の充填密度
を高くするためには、複合酸化錫系材料が球状の粉末で
あることが最も好ましい。しかも、負極活物質として複
合酸化錫粉末ではなく酸化錫粉末を用いた場合にはサイ
クル特性が充分でない場合があり、また、複合酸化物と
することにより、得られる複合酸化錫粉末の比表面積、
細孔径等が制御され、充放電容量を向上させることが可
能になる場合もある。従って、非水電解液二次電池の電
池容量を向上させるためには、酸化錫系材料が球状の複
合酸化錫粉末であるのがサイクル特性や充放電容量など
の電池特性が最適化された複合酸化錫粉末が最も望まし
い。しかしながら、従来から知られている球状の複合酸
化錫粉末の製造方法では、限られた種類の元素としか複
合することができず、電池の特性の点で必ずしも満足の
ゆく球状複合化錫粉末を作製することができなかった。
又、添加することが可能な第2成分元素の種類や含有量
が制限されてしまうため、これまでは第2成分元素の添
加により電池特性を最適化し、しかもその形状が球状で
ある複合酸化錫粉末を作製することができなかった。
【0012】従来から知られている球状の酸化錫粉末を
作製する方法としては、アセトニトリル/n−オクタノ
ールの混合溶媒中にテトラn−ブトキシ錫(Sn(O−
n−C494)をコロイド状に析出させ、この球状の
テトラn−ブトキシ錫を加水分解して球状ゲルとし、こ
れを焼成する方法がある(インオーガニック・マテリア
ルズ,3巻,5号,177−87,1996年)。
【0013】しかしながら、この文献には複合球状酸化
錫に関する記述は無い。また、この方法を用いて球状の
複合酸化錫粉末を得ようとすれば、混合溶媒に錫以外の
元素の化合物(以下、第2成分元素化合物ともいう)と
して混合溶媒に可溶なものをを添加しなければならな
い。しかし、この方法ではアセトニトリルとn−オクタ
ノールとの混合比によりテトラn−ブトキシ錫の混合溶
媒中への溶解度を制御してテトラn−ブトキシ錫の析出
を制御しているため、混合溶媒に添加する第2成分元素
の化合物は、上記混合溶媒中へのテトラn−ブトキシ錫
の溶解度に近い溶解度を有する必要がある。テトラn−
ブトキシ錫と第2成分元素の化合物の混合溶媒中への溶
解度が異なると、得られる複合酸化錫粉末の組成が仕込
み組成からずれるだけでなく、コロイド状に析出するこ
となく混合溶媒中に溶け残った成分も加水分解により析
出する場合があり、組成の片寄った不純物粉末として複
合酸化錫粉末に混入してしまうという問題を起こす場合
があった。また、第2成分元素の化合物の溶解度を任意
に選ぶことは一般的に極めて困難であるため、この方法
では使用可能な第2成分元素化合物の種類およびその添
加量がかなり限定されてしまい、電池特性を最適化した
球状の複合酸化錫粉末を作製することは不可能であっ
た。
【0014】また、この方法では、混合溶液中にテトラ
n−ブトキシ錫の液滴が析出し、その表面張力により球
状の形状が得られている。従って、球状の複合酸化錫系
材料粉末を作製するためには、錫および第2成分元素化
合物は混合溶液中で液滴として析出すること、即ち液体
状であることが必要である。このため、錫および第2成
分元素化合物は、高価なアルコキシドを中心とする化合
物の中から選択せざるをえない場合が多いという問題が
ある。
【0015】このように従来の球状酸化錫の製造方法
は、リチウムイオン電池など非水電解液二次電池の負極
活物質として適した球状の複合酸化錫粉末を製造し、充
放電容量を増大させるためには充分でなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明は、微細
構造を制御して充放電容量を高くし、更に充填密度を上
げるため、球状の形状を有する複合酸化錫粉末を製造す
る方法であって、より広範な組成の複合酸化錫粉末を簡
便に製造する方法を開発することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく種々の角度から鋭意研究を重ねた。その結果、
錫および第2成分元素が均一に混合した前駆体溶液を噴
霧乾燥し、次いで焼成することにより、広範な均一組成
を有する球状の複合酸化錫粉末が得られることを見いだ
した。さらに、このような複合酸化錫は充放電容量が大
きく、更に充填密度が高くなるので電池容量を増大させ
ることができることを見いだし、ここに本発明を完成さ
せるに至った。
【0018】即ち、本発明は、有機溶媒可溶性錫化合物
及び/又は金属錫、並びに有機溶媒可溶性アルカリ土類
金属化合物、有機溶媒可溶性希土類元素化合物、有機溶
媒可溶性遷移元素化合物、有機溶媒可溶性周期律表13
族元素化合物、有機溶媒可溶性周期律表14族元素化合
物(有機溶媒可溶性錫化合物を除く)、有機溶媒可溶性
周期律表15族元素化合物および有機溶媒可溶性カルコ
ゲン元素化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種
の可溶性化合物を有機溶媒に溶解して前駆体溶液とした
後、該前駆体溶液を噴霧乾燥して球状ゲルを生成せし
め、次いで該球状ゲルを焼成することを特徴とする複合
酸化錫粉末の製造方法である。
【0019】他の発明は、上記の前駆体溶液を加水分解
してゲルの懸濁液とし、該懸濁液を噴霧乾燥することに
より懸濁液に分散したゲルを球状に成形し、次いで該球
状ゲルを焼成することを特徴とする複合酸化錫粉末の製
造方法である。
【0020】更に他の発明は、上記製造方法により得ら
れる複合酸化錫粉末からなる非水二次電池用負極活物質
である。
【0021】更に他の発明は、上記非水電解液二次電池
用負極活物質を集電体に接合してなる負極と、リチウム
イオンを吸蔵、放出することが可能な材料からなる正極
活物質を集電体に接合してなる正極とが、セパレータを
介して非水電解液と共に電池容器内に収納されているこ
とを特徴とする非水電解液二次電池である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。
【0023】本発明の球状の複合酸化錫粉末の製造方法
においては、先ず(1)有機溶媒可溶性錫化合物および
/または金属錫と、(2)有機溶媒可溶性アルカリ土類
金属化合物、有機溶媒可溶性希土類元素化合物、有機溶
媒可溶性遷移元素化合物、有機溶媒可溶性周期律表13
族元素化合物、有機溶媒可溶性周期律表14族元素化合
物(有機溶媒可溶性錫化合物を除く)、有機溶媒可溶性
周期律表15族元素化合物および有機溶媒可溶性カルコ
ゲン元素化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種
の可溶性化合物(以下、可溶性第2成分元素化合物とも
いう)を有機溶媒に溶解させた溶液(以下、前駆体溶液
ともいう)を調製する。
【0024】本発明において前駆体溶液の調製に用いる
有機溶媒は、後述の有機溶媒可溶性錫化合物、金属錫お
よび可溶性第2成分元素化合物を溶解するものであれば
何ら制限されない。このような有機溶媒として、アルコ
ール、アセトン、アセトニトリル等、あるいはこれらの
混合物が挙げられるが、通常アルコールを主にすること
が多い。アルコールを一般式ROHで表わすと、Rはメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基
などの非置換アルキル基、2−メトキシエチル基、2−
エトキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−メト
キシ−2−プロピル基、メトキシエトキシエチル基、2
−フェニルエチル基、フェニルメチル基などの置換アル
キル基、アリル基などの非置換アルケニル基、2−メチ
ル−2−プロペニル基、3−メチル−3−ブテニル基な
どの置換アルケニル基などが挙げられる。
【0025】上記の置換アルキル基、置換アルケニル基
または置換アリール基における置換基の具体例として
は、上記したRの具体例に見られるメトキシ基、エトキ
シ基などのアルコキシル基、ヒドロキシル基、フェニル
基などのアリール基、メチル基、エチル基などのアルキ
ル基の他に、アミノ基、シアノ基、Cl原子、Br原
子、I原子、F原子などのハロゲンなどが挙げられる。
【0026】これらアルコールの具体例として、メタノ
ール(メチルアルコールともいう)、エタノール(エチ
ルアルコールともいう)、プロパノール(プロピルアル
コールともいう)、ブタノール(ブチルアルコールとも
いう)、オクタノール(オクチルアルコール)、2−メ
トキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレン
グリコール、1−メトキシ−2−プロピルアルコール、
メトキシエトキシエタノール、2−フェニルエチルアル
コール、ベンジルアルコール、アリルアルコール、2−
メチル−2−プロペン−1−オール、3−メチル−3−
ブテン−1−オールなどを挙げることができる。中でも
メタノール、エタノールは、有機溶媒可溶性化合物の溶
解度が高いため、好ましく、特にメタノールは安価で手
に入りやすいという理由もあり、より好ましい。上記ア
ルコールは通常単独で用いられるが、有機溶媒可溶性化
合物との反応性や溶解性などを制御するために2種類以
上のアルコールの混合物を用いることもできる。
【0027】本発明に用いる有機溶媒可溶性錫化合物
(以下、可溶性錫化合物ともいう)としては、ハロゲン
化錫、有機錫、錫のアルコキシドなどが挙げられる。ハ
ロゲン化錫のハロゲンは、Cl、Br、I、F原子であ
る。また水和物でも構わない。これらの化合物のうちハ
ロゲン化錫を用いることが更に好ましい。又、ハロゲン
化錫のなかでも、塩化錫、臭化錫が価格、安定性の点か
ら特に好ましい。具体的には、SnCl2、SnCl2
2H20、SnBr2、SnI2、SnF2などが挙げら
れ、特に、SnCl2、SnBr2、SnCl2・2H2
が好ましく用いられる。また該ハロゲン化錫化合物にお
いて有機化合物で修飾したもの、例えばSn(CH3)2
Cl2なども使用できる。有機錫化合物としては、(C
32Sn、(C252Sn、(C374Snなどが
溶解する範囲で使用または添加することができる。錫の
アルコキシドとしては、Sn(OC254、Sn(O
374、Sn(OC494など挙げることができ
る。また上記可溶性錫化合物は2種類以上の混合物を用
いることもできる。
【0028】本発明に用いる金属錫(金属錫は有機溶媒
可溶性を有する)の形状は特に限定されず、板状、棒
状、シート状、粒状、粉末状、砂状、花状、塊状のもの
などが挙げられ、溶解のしやすさの点からは粒状、粉末
状、砂状のものが好ましい。純度は高い方が好ましい
が、電池反応、ひいては電池性能に影響しない範囲であ
れば特に制限されない。
【0029】前駆体溶液を調製する際の有機溶媒と可溶
性錫化合物及び/または金属錫との割合は、可溶性錫化
合物及び/又は金属錫が有機溶媒に均一に溶解する範囲
であれば、特に制限されない。但し、あまりに有機溶媒
が少ないと、可溶性錫化合物及び/又は金属錫が完全に
溶解せずに不溶物が残り均一な前駆体溶液が得られな
い。またあまりに有機溶媒が多いと、可溶性錫化合物及
び/又は金属錫の溶解速度は高まるが、後の濃縮におい
て時間がかかってしまう。したがって、使用する有機溶
媒や可溶性錫化合物及び/又は金属錫の種類によっても
異なるが、元素換算で錫に対して有機溶媒の量がモル比
で2〜1000倍となるような割合が好ましく、さらに
は5〜500倍となるような割合が望ましい。また錫源
として金属錫のみを用いるときは、塩化水素などのハロ
ゲン化水素ガスや塩酸などを添加すると、有機溶媒への
金属錫の溶解速度が高まるため、好ましい。
【0030】可溶性錫化合物と金属錫を併用する場合、
金属錫の量は各仕込組成において溶解する範囲であれば
特に制限されない。但し、金属錫の量が多すぎると溶解
に時間がかかったり、溶けないで残る場合があるので、
可溶性錫化合物と金属錫との量比は、分子数比(可溶性
錫化合物/金属錫)で0.3〜3とするのが好ましい。
特に、錫化合物にハロゲン化錫化合物を用いた場合に
は、溶解する金属錫とハロゲン化錫化合物のハロゲンと
錫の原子数比が0.60以上1.80未満となるように
金属錫の溶解量を決めるのが好ましい。
【0031】本発明においては、複合酸化錫とするため
に前記可溶性化合物及び/または金属錫に加えて第2成
分元素化合物として有機溶媒可溶性アルカリ土類金属化
合物、有機溶媒可溶性希土類元素化合物、有機溶媒可溶
性遷移元素化合物、有機溶媒可溶性周期律表13族元素
化合物、有機溶媒可溶性周期律表14族元素化合物(有
機溶媒可溶性錫化合物を除く)、有機溶媒可溶性周期律
表15族元素化合物および有機溶媒可溶性カルコゲン元
素化合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の有機
溶媒可溶性化合物(可溶性第2成分元素化合物)を溶解
させた前駆体溶液を使用する。
【0032】以下、可溶性第2成分元素化合物について
説明する。
【0033】可溶性第2成分元素化合物がアルカリ土類
金属の化合物である場合には、アルカリ土類金属のハロ
ゲン化物およびその水和物、硝酸塩およびその水和物、
アルコキシドなどより、特に制限されることなく用いる
ことができる。具体的な化合物として、CaCl2、C
aBr2、CaI2、CaCl2・6H2O、CaBr2
6H2O、CaI2・6H2O、Ca(NO32・4H
2O、Ca(NO32・xH2O、Ca(OCH32、C
a(OC252、Ca(OC372、Ca(OC
492、SrCl2、SrBr2、SrI2、SrCl2
・6H2O、SrBr2・6H2O、SrI2・6H2O、
Sr(NO32、Sr(OCH32、Sr(OC25
2、Sr(OC372、Sr(OC492、BaC
2、BaBr2、BaI 2、BaCl2・2H2O、Ba
Br2・2H2O、BaI2・2H2O、Ba(NO32
Ba(OCH32、Ba(OC252、Ba(OC3
72、Ba(OC492、などを例示することができ
る。
【0034】可溶性第2成分元素が希土類元素の化合物
である場合には、希土類元素のハロゲン化物およびその
水和物、硝酸塩およびその水和物、アルコキシドなどよ
り、特に制限されることなく用いることができる。具体
的な化合物として、LaCl3、LaBr3、LaI3
LaCl3・7H2O、La(NO33・6H2O、La
(OCH33、La(OC253、La(OC
373、CeCl3、CeBr3、CeI3、CeCl3
・6H2O、Ce(NO33・6H2O、PrCl3、P
rCl3・7H2O、Pr(NO33・6H2O、Pr
(OC373、NdCl3、NdBr3、NdCl3・6
2O、Nd(NO33・5H2O、SmCl3・xH
2O、Sm(NO33・xH2O、Sm(OC373
EuCl3・6H2O、Eu(NO33・6H2O、Gd
Cl3、GdCl3・6H2O、Gd(NO33・5H
2O、TbCl3、TbCl3・xH2O、Tb(NO33
・xH2O、DyCl3、DyCl3・xH2O、Dy(N
33・5H2O、Dy(OC373、HoCl3、H
oCl3・6H2O、Ho(NO33・5H2O、ErC
3・6H2O、Er(NO33・5H2O、Er(OC3
73、TmCl3・6H2O、Tm(NO33・5H2
O、YbBr3、YbI3、YbCl3・6H2O、Yb
(NO33・xH2O、LuCl3、Lu(NO33・x
2Oなどを例示することができる。
【0035】可溶性第2成分元素化合物が遷移元素の化
合物である場合には、遷移元素のハロゲン化物およびそ
の水和物、オキシハロゲン化物、酢酸塩、硝酸塩および
その水和物、硫酸塩およびその水和物、アンモニウム
塩、遷移元素のアルコキシドなどより、特に制限される
ことなく用いることができる。具体的な化合物として、
ScCl3、ScCl3・xH2O、Sc(NO33・x
2O、TiCl4、TiBr4、Ti(OCH32、T
i(OC252、Ti(OC372、Ti(OC
492、VBr3、VCl2、VCl3、VCl4、VO
Br2、VOBr3、VOCl3、VF3、VF4、VF5
VI3・6H2O、VO(OCH33、VO(OC25
3、VO(OC373、VO(OC493、CrC
3、CrBr3、CrCl3・xH2O、CrBr3・6
2O、CrI3・xH2O、Cr(CH3COO)3・x
2O、MnCl2、MnBr2、MnI2、MnCl2
4H2O、MnBr2・4H2O、MnI2・4H2O、M
n(NO32・6H2O、Mn(OC372、Mn(O
252、FeBr2、Fe2Br・6H2O、FeBr
3、FeBr3・6H2O、Fe(OH)(CH3CO
O)2、FeCl2、FeCl3・6H2O、FeCl3
FeI2、Fe(NO33・9H2O、(NH42Fe
(SO42・xH2O、(NH4)Fe(SO42・xH
2O、Fe(OCH33、Fe(OC253、Fe(O
373、Fe(OC493、CoBr2、CoBr2
・6H2O、Co(C2322・4H2O、CoC
2、CoCl2・6H2O、CoI2、Co(NO32
6H2O、Co(OC372、NiBr2、NiBr2
xH2O、Ni(CH3COO)2・xH2O、NiC
2、NiCl2・6H2O、NiI2、NiI2・6H
2O、Ni(NO32・6H2O、CuBr、CuB
2、Cu(CH3COO)2、CuCl、CuCl2、C
uCl2・2H2O、Cu(NO32・3H2O、ZnB
2、Zn(CH3COO)2・2H2O、ZnCl2、Z
nI2、Zn(NO32・6H2O,Zn(OCH32
Zn(OC252、Zn(OC372、Zn(OC4
92、YBr3、YCl3・6H2O、YCl3、Y(N
33・6H2O、Y(OCH33、Y(OC253
Y(OC373、ZrBr4、ZrCl4、ZrI4、Z
rO(CH3COO)2、ZrOCl2・8H2O、ZrI
2・xH2O、ZrO(NO32・2H2O、Zr(S
42・4H2O、Zr(OCH34、Zr(OC
254、Zr(OC374、Zr(OC494、N
bCl5、NbOCl3、NbBr5、NbF5、Nb(O
CH35、Nb(OC255、Nb(OC375、N
b(OC495、MoBr2、MoBr3、MoCl5
(NH46Mo724・4H2O、Mo(OC255
RuCl3・H2O、PdCl2・2H2O、AgNO3
CdBr2・4H2O、CdBr2、CdCl2・5/2H
2O、CdCl2、CdF2、CdI2、Cd(NO32
4H2O、HfCl4、HfOCl2・8H2O、Hf(O
CH34、Hf(OC254、Hf(OC374、H
f(OC494、TaCl5、TaBr5、Ta(OC
35、Ta(OC255、Ta(OC375、Ta
(OC49)5、WCl5、WCl6、WBr6、W(OC2
55、W(OC375、ReCl3、ReCl5、O
sCl3、IrCl3・3H2O、IrCl3、IrC
4、PtCl4・5H2O、H2PtCl6・nH2O、A
uBr3・xH2O、AuCl3・xH2O、AuHCl4
・4H2O、Hg2Br2、HgCl2、Hg(NO32
2H2O、HgSO4などを例示することができる。
【0036】可溶性第2成分元素化合物が周期律表13
族元素の化合物である場合には、周期律表13族元素の
ハロゲン化物およびその水和物、アンモニウム塩、硫酸
塩、有機酸塩、アルコキシドなどより、特に制限される
ことなく用いることができる。具体的な化合物として、
23、(NH42O・5B23・8H2O、BCl3
BBr3、BI3、H3BO3、B(OCH33、B(OC
253、B(OC373、B(OC493、AlB
3、AlCl3・6H2O、AlCl3、AlI3、Al
(NO33・9H2O、Al2(SO43、Al2(S
43・nH2O、Al(OCH33、Al(OC
253、Al(OC373、Al(OC493、G
aBr3、GaCl3、GaI3、Ga(NO33・xH2
O、Ga2(SO43、Ga2(SO43・xH2O、G
a(OCH33、Ga(OC253、Ga(OC
373、Ga(OC493、InBr3、InCl3
InCl3・xH2O、InI3、In(NO33・xH2
O、In2(SO43、In2(SO43・xH2O、I
n(OCH33、In(OC253、In(OC
373、In(OC493、CH2(COOTl)2
TlOOCHなどを例示することができる。
【0037】可溶性第2成分元素化合物が周期律表14
族元素の化合物である場合には、周期律表14族元素の
ハロゲン化物およびその水和物、アンモニウム塩、硫酸
塩、有機酸塩、アルコキシドなどより、特に制限される
ことなく用いることができる。具体的な化合物として、
GeBr4、GeCl4、GeI4、Ge(OCH34
Ge(OC254、Ge(OC374、Ge(OC4
94などを例示することができる。また、可溶性第2
成分元素化合物として珪素を添加する場合には、一般式
Si(ORA4、RBSi(ORA3、RBCSi(O
A2で表される珪素アルコキシドが用いられる。ここ
で、RA、RB、RCは、各々、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基などの直鎖状または分
岐状アルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル
基、ペンテニル基などの直鎖状または分岐状アルケニル
基、フェニル基などのアリール基を示す。珪素アルコキ
シドを具体的に例示すると、テトラメトキシシラン、テ
トラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラ
ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルト
リメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、プロ
ピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラ
ン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリ
メトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、アミルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オク
タデシルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリエトキ
シシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリブト
キシシラン、エチルトリプロポキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジフェニ
ルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニ
ルメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラ
ン、エチルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
ハロゲン化珪素としては、SiCl4、SiHCl3、S
iH2Cl2などが挙げられる。
【0038】可溶性第2成分元素化合物が周期律表15
族元素の化合物である場合には、周期律表15族元素の
ハロゲン化物およびその水和物、アンモニウム塩、硫酸
塩、有機酸塩、アルコキシドなどより、特に制限される
ことなく用いることができる。具体的な化合物として、
25、PBr3、PCl3、POBr3、POCl3、P
O(OCH33、PO(OC253、PO(OC
373、PO(OC493、P(OCH33、P(O
253、AsBr3、AsCl3、AsI3、As(O
CH33、As(OC253、As(OC3H7)3
SbBr3、SbCl3、SbCl5、SbOCl,Sb2
(SO43、Sb(OCH33、Sb(OC253
Sb(OC373、Sb(OC493、BiBr3
BiCl3、BiI3、Bi(NO33・xH2O、Bi
OCl、Bi(OC373などを例示することができ
る。
【0039】可溶性第2成分元素化合物がカルコゲン元
素の化合物である場合には、カルコゲン元素のハロゲン
化物およびその水和物、アンモニウム塩、硫酸塩、有機
酸塩、アルコキシドなどより、特に制限されることなく
用いることができる。具体的な化合物として、S2
2、SCl2、SeO2、SeO2、SeBr4、SeC
4、SeI4、TeBr4、TeCl4、TeO42・x
2Oなどを例示することができる。
【0040】本発明で使用する前駆体溶液中における
(1)可溶性錫化合物及び/又は金属錫と(2)可溶性
第2成分元素化合物の量比は特に限定されないが、前駆
体溶液中のSn原子とアルカリ土類金属、希土類元素、
遷移元素、周期律表13族元素、周期律表14族元素
(錫を除く)、周期律表15族元素およびカルコゲン元
素などの第2成分元素との原子組成で表せば、Sn原子
が30.0〜99.9原子%の範囲になるようにするこ
とが好ましい。
【0041】前駆体溶液への上記(1)および(2)の
化合物の溶解方法は特に限定されない。例えば、撹拌
下、可溶性錫化合物及び/又は金属錫、並びに可溶性第
2成分元素化合物からなる混合物に有機溶媒を滴下する
方法、あるいは撹拌下、有機溶媒に可溶性錫化合物及び
/又は金属錫、並びに可溶性第2成分元素化合物を同時
に、または順次溶解させる方法などを用いることができ
る。また、金属錫の溶解を促進するために、有機溶媒を
還流させて金属錫を溶解させることも効果的である。
【0042】さらに、前駆体溶液中の前記各化合物の加
水分解反応、重合及び縮合反応を促進させるために、前
駆体溶液に若干の水を添加してもよい。この水の添加
は、特にアルコキシドなどの有機溶媒可溶性化合物を用
いて前駆体溶液を調製する際に、加水分解、重合及び縮
合反応を十分に進行させるなどの効果がある。但し、添
加する水の量があまりに多いと、沈殿が生じたり、急激
にゲル化したりして、組成等の均質性にばらつきが生じ
る場合がある。有機溶媒可溶性化合物の種類などによっ
ても異なるが、添加する水の量は有機溶媒可溶性化合物
に対してモル換算で0.01〜10倍が好ましい。
【0043】又、得られる複合酸化錫粉末の細孔径およ
びその分布を制御すること等を目的として、前駆体溶液
に、該前駆体溶液に使用される有機溶媒に可溶でかつ該
有機溶媒よりも高い沸点を有し更に焼成時に酸化などに
より複合酸化錫粉末より脱離させることが可能な化合物
(以下、有機溶媒可溶性高沸点化合物ともいう)を添加
してもよい。有機溶媒可溶性高沸点化合物を添加した前
駆体溶液より後述の方法で球状ゲルを作製すると、有機
溶媒可溶性高沸点化合物が球状ゲル中に均一に分散す
る。このような球状ゲルを焼成して球状の複合酸化錫粉
末を作製すると、焼成過程において有機溶媒可溶性高沸
点化合物が脱離し、複合酸化錫粉末中に細孔を導入する
ことが可能となる。このようにして形成される細孔の平
均細孔半径、細孔容積およびその分布は、添加する有機
溶媒可溶性高沸点化合物の性状およびその添加量により
制御することが可能である。好ましい有機溶媒可溶性高
沸点化合物は使用する有機溶媒にもより異なるが、例え
ば有機溶媒がメタノールの場合には重量平均分子量10
0〜100000のポリエチレングリコールを前駆体溶
液中の有機溶媒可溶性化合物に対して0.1〜50重量
部添加することが好ましい。
【0044】上述のようにして調製した前駆体溶液より
球状ゲル作製するためには、前駆体溶液を直接、噴霧乾
燥するか、あるいは、前駆体溶液を加水分解して一旦微
細なゲルを溶液中に生成させ、このようにして得られた
懸濁溶液を噴霧乾燥すればよい。
【0045】本発明の前駆体溶液は、錫を含む溶質(可
溶性錫化合物及び/又は金属錫)と第2成分元素を含む
溶質(可溶性第2成分元素化合物)とが分子レベルで均
一に混合されている。しかも、錫を含む溶質と第2成分
元素を含む溶質とは、それぞれ分子あるいはイオンとし
て孤立して溶解しているのではなく、有機溶媒との反応
などを経て重縮合し、ゾルとして溶解していると考えら
れる。このことは前駆体溶液より有機溶媒を留去してゆ
くと徐々に前駆体溶液の粘度が上昇し、ついには前駆体
溶液が曳糸性を示すに至ることからも明かである。そし
てこのような溶質の重縮合又はゾル化は可溶性錫や有機
溶媒可溶性化合物として、ハロゲン化物やアルコキシド
を用いた際に特に顕著である。従って、前駆体溶液を、
直接、噴霧乾燥して溶媒を除去すれば、後述の焼成にお
いても形態が安定な球状ゲルを得ることができる。
【0046】また、加水分解により一旦ゲルを生成させ
る場合においても、一般に溶液の加水分解により2成分
以上の組成を有するゲルを生成させる場合には各成分の
溶解度が異なるために得られるゲルは不均一な組成を有
してしまう場合が多いが、本発明においては上述の通り
前駆体溶液中で各成分が重縮合したゾルが形成されてい
るので、加水分解を行っても前駆体溶液中の均一な組成
が維持される。
【0047】加水分解によりゲルを生成させて懸濁溶液
を得る方法としては、前駆体溶液を調製するのに用いる
錫化合物や有機溶媒可溶性化合物の種類にもよるが、前
駆体溶液とアルカリ性水溶液を混合してゲルを生成させ
る方法、前駆体溶液中にアンモニアを遊離する化合物又
はその水溶液を加えておき、該化合物よりアンモニアを
遊離させてゲルを生成する方法などを用いることができ
る。
【0048】前駆体溶液とアルカリ性水溶液を混合して
加水分解を行い生成したゲルが分散した懸濁液を調製す
る場合には、前駆体溶液にアルカリ性水溶液を添加する
か、あるいは逆にアルカリ性水溶液に前駆体溶液を添加
することにより前駆体溶液を加水分解してゲルを生成さ
せることができる。このとき、上述した通り、本発明の
前駆体溶液中では錫を含む溶質と第2成分元素を含む溶
質とが重縮合してゾルを形成しているので、アルカリ性
水溶液により沈澱を生成させても従来の水溶液法のよう
な組成の分離は生じず、ゲルにおいても分子レベルで均
一な混合状態が維持される。
【0049】ゲル生成に用いるアルカリ性水溶液は特に
限定されないが、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶
液などを用いることができる。アルカリ性水溶液として
水酸化ナトリウムを用いるとナトリウムが複合酸化錫粉
末中に残存し、充放電容量を低下させる場合があるの
で、特に好ましいアルカリ性水溶液はアンモニア水であ
る。
【0050】アルカリ性水溶液の濃度あるいは添加量は
前駆体溶液の酸性度に応じて決定すれば良いが、アルカ
リ性水溶液添加後の溶液のpHが3〜9の範囲であるの
が、得られる複合酸化錫粉末を負極活物質として用いた
場合、充放電サイクル特性などが優れており好適であ
る。
【0051】また、前駆体溶液中にアンモニアを遊離す
る化合物又はその水溶液を加えておき、該化合物よりア
ンモニアを遊離させてることによってもゲルを生成する
ことができる。アンモニアを遊離させることができる化
合物として、尿素、ヘキサメチレンテトラミン、ホルム
アミド、アセトアミドなどの化合物を挙げることができ
る。これらの化合物は加熱することによりアンモニアを
遊離するので、これらの 化合物あるいは水溶液を加え
た前駆体溶液を加熱すると遊離したアンモニアにより前
駆体溶液が加水分解されて、ゲルが沈澱として生成す
る。アンモニアを遊離させるための加熱温度は用いる化
合物の種類により異なるが、60℃以上に加熱すること
によりアンモニアを遊離することができる。
【0052】これらの化合物の添加量は前駆体溶液の酸
性度に応じて決定すれば良いが、前記したのと同じ理由
によりアンモニア遊離後の溶液のpHは3〜9の範囲に
あることが好ましい。
【0053】前駆体溶液中でアンモニアを遊離させる方
法は、前駆体溶液とアルカリ性水溶液を混合する場合に
比べ、ゲル化が均一に起こるのでゲルの形状などを制御
する際に有効な場合がある。
【0054】前駆体溶液または上述の方法により得られ
る懸濁液を噴霧乾燥して球状ゲルを作製するには、公知
の噴霧乾燥機を用いて行うことができる。噴霧乾燥によ
り得られる球状ゲルの粒径は、噴霧に用いるノズルの構
造にもよるが、概ね1〜100μmの範囲である。
【0055】以上のようにして作製した球状ゲルを焼成
することにより本発明の複合酸化錫粉末を得ることがで
きる。球状ゲルを焼成する際の焼成温度は特に限定され
ないが、得られる複合酸化錫粉末をの充放電容量の観点
から250〜1200℃であることが好ましく、500
〜1100℃であるのが更に好ましい。
【0056】焼成時間は、焼成温度、雰囲気などによっ
ても異なるが、焼成時間は0.03〜8時間であること
が好ましい。焼成時の昇温速度は特に制限されないが、
0.1〜100℃/分であることが好ましい。
【0057】焼成時の雰囲気は特に限定されない。例え
ば、空気、酸素、水蒸気などの酸化性ガス、またはこれ
らの混合ガスなどで満たされた雰囲気、あるいはヘリウ
ム、ネオン、アルゴンなどの不活性ガス、窒素、あるい
は水素、一酸化炭素などの還元性ガス雰囲気などが挙げ
られる。しかし、不活性ガスあるいは還元性ガス雰囲気
の場合には、複合酸化錫以外に還元されて多量の金属錫
が生成したり有機物が多く残存してサイクル特性が低下
したりする場合があるので、好ましい焼成雰囲気は酸化
性ガス雰囲気であり、その中でも酸素雰囲気が特に好ま
しい。また、サイクル特性を改善するなどのために、一
度酸化性ガス雰囲気中で複合酸化錫を作製した後、還元
性雰囲気中で錫の平均の価数を0を越えて4以下の範囲
で調整する等酸化性ガス雰囲気焼成と還元性ガス雰囲気
焼成を組み合わせることもできる。
【0058】このようにして製造される複合酸化錫粉末
は球状である。本発明でいう球状とは、複合酸化錫粉末
の粒子が球あるいはそれに近い形状を有し、その平均均
斉度(Pa)が0.66〜1.00であることをいう。
このような球状の複合酸化錫粉末では、タップ密度とし
て表される粉末の充填密度が高く、そのため非水電解液
二次電池の負極中に複合酸化錫粉末を高密度で充填させ
ることが容易となる。その結果、電池としての充放電容
量を増大させることができる。
【0059】上述の平均均斉度paは複合酸化錫粉末を
構成する粒子について、n(n>30)個の粒子それぞ
れの最大幅(長径:L)および長径に直交する方向での
最大幅(短径:B)を測定して下記式により求めること
ができる。
【0060】
【数1】
【0061】長径および短径は、例えば複合酸化錫粉末
の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真の単位視野内に観
察される複合酸化錫粉末を構成する粒子について長径お
よび短径を測定することにより求めることができる。
【0062】本発明の製造方法では、複合酸化錫粉末の
平均粒子径は、前述した球状ゲルの作製条件や、焼成条
件にもよるが、概ね1〜100μmの範囲の平均粒子径
を有する複合酸化錫粉末を作製することができる。
【0063】上記の平均粒子径Dは下記式により求めら
れる。
【0064】
【数2】
【0065】又、本発明により製造される複合酸化錫粉
末の組成は、添加した有機溶媒可溶性化合物の種類およ
び量に応じて変化するが、第2成分元素は酸化錫中に均
一に分布し、仕込み組成が複合酸化錫粉末においても維
持される場合が多い。複合酸化錫中に含まれる元素の種
類および含有量は、化学分析や蛍光エックス線分析など
により同定、定量することができる。
【0066】又、本発明により製造される複合酸化錫の
構造は、焼成条件や第2成分元素などにより結晶質複合
酸化錫あるいは非晶質複合酸化錫の何れの構造もとり得
る。
【0067】本発明の複合酸化錫が結晶質である場合に
おいては、その結晶構造は二酸化錫の結晶構造であるJ
CPDSカード21−1250記載の正方晶二酸化錫、
同29−1484記載の斜方晶二酸化錫、同33−13
74記載の立方晶二酸化錫などの結晶構造をとる場合が
ある。また、JCPDSカード25−1259記載の結
晶構造を有する三酸化二錫の結晶構造をとる場合もあ
る。また、JCPDSカード20−1293記載の結晶
構造を有する四酸化三錫の結晶構造をとる場合がある。
また、一酸化錫の結晶構造である、JCPDSカード6
−395記載の正方晶一酸化錫、同7−195記載の結
晶構造を有する一酸化錫、同24−1342記載の斜方
晶一酸化錫などの結晶構造をとる場合がある。更に上述
の結晶構造を有する二種類以上の酸化錫が任意の割合で
含まれている場合もある。
【0068】複合酸化錫の構造は粉末エックス線回折
法、電子線回折法などにより得られる回折ピークの位置
と強度を基に判定することができる。粉末エックス線回
折の回折ピークの位置と強度は、錫、酸素以外の元素の
固溶、結晶配向などが原因となって若干の変動を示す場
合があるが、上述のJCPDSカードなどに登録されて
いる酸化錫の回折ピーク位置と強度を比較することなど
により複合酸化錫の結晶構造を判定することができる。
【0069】本発明により製造される複合酸化錫粉末の
BET法により測定される比表面積は、焼成条件や第2
成分元素などの製造条件により異なるが、0.5〜30
0m2/gの範囲にあることが多い。
【0070】又、本発明により製造される代表的な複合
酸化錫粉末の細孔構造は、平均細孔半径が0.05〜2
5nmの範囲にある細孔の容積が0.01〜1.0cm
3/gであり、またそのような細孔の容積が全細孔容積
の15%以上を占める場合が多い。これらの平均細孔半
径、細孔容積は水銀圧入法、ガス吸着法、X線小角散乱
法および高電圧電子顕微鏡法などにより測定することが
できる。
【0071】本発明の製造方法により製造される球状の
複合酸化錫粉末が結晶質である場合、その代表的な結晶
子サイズは1〜300nmである。この結晶子サイズ
は、粉末エックス線回折などにより観測される回折ピー
クの広がりより、シェラーの方法により求めることがで
きる(カリティ著、松村源太郎訳 ”新版エックス線回
折要論第”91頁 アグネ刊 1985年)。また、透
過電子顕微鏡などによる直接観察によっても、確認する
ことができる。
【0072】又、本発明により製造される球状の複合酸
化錫粉末は、第2成分元素は均一に分散し得られる球状
の複合酸化錫粉末は単一相により形成される場合が多い
が、結晶子サイズが1〜30nmである酸化錫からなる
(A)相と、酸化珪素等の第2成分元素の酸化物からな
る(B)相からなる構造を有する場合がある。具体的に
は、(B)相を母相として最大径1μm以下の(A)相
が析出した構造、あるいは(A)相を母相として最大径
1μm以下の(B)相が析出した構造をとる場合があ
る。このような微細構造は透過電子顕微鏡などで観察す
ることができ、その大きさは、小角エックス線散乱など
により測定することができる。
【0073】本発明により製造される球状の複合酸化錫
粉末は、そのままでも非水電解液二次電池用負極活物質
として用いることができるが、初期の充電容量と放電容
量の差(不可逆容量ともいう)を小さくするために、前
記複合酸化錫中に予めリチウムを吸蔵させておくことも
できる。この方法として後述する複合酸化錫を製造する
際に、不可逆容量に相当するだけのリチウム化合物を同
時に添加して複合酸化錫中に化合物を形成させておく方
法、あるいはリチウム塩を溶解させた有機電解液中でリ
チウム金属、あるいはリチウム合金等を対極として電気
化学的にリチウムを複合酸化錫中に吸蔵させる方法等が
採用できる。
【0074】また、不可逆容量を低減するために複合酸
化錫の表面を改質することも可能である。例えば、複合
酸化錫表面のみをSnOに変化させたり、炭素被覆を行
ったりすることもできる。また、ごく表面層のみをSn
に変化させておくと、不可逆容量の低減に有効な場合も
ある。
【0075】また、本発明により製造される平均均斉度
が0.66〜1.00の球状の複合酸化錫粉末は、その
まま用いても十分高い充填密度が得られるので充放電容
量の向上に効果的であるが、更に充填密度を向上させる
ためには、粒径分布を二項分布あるいはそれ以上の多項
分布に調整することが有効であり、このような粒径分布
を制御する手法を併用してもかまわない。
【0076】上述のようにして製造された球状の複合酸
化錫粉末を非水電解液二次電池用負極活物質に用いる場
合、非水電解液二次電池の構成及び製造は、公知の方法
で実施することができる。代表的な作製方法を以下に示
す。
【0077】まず混練機、混合機などを用いて、複合酸
化錫をN−メチルピロリドンなどの溶媒と混練し、ペー
ストを製造する。このとき黒鉛やアセチレンブラックな
どの導電性付与剤、あるいはポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を適宜添加して
も構わない。
【0078】ペースト製造後、集電体にペーストを塗
布、充填あるいは含浸させ、溶媒を乾燥、除去した後、
加圧、切断などを行って所望の形状に加工して負極とす
る。該負極と、同様にして製造した正極をセパレータを
介して帯状に重ね、円筒型非水電解液二次電池であれば
円柱状に巻回し、また角形非水電解液二次電池であれば
折り重ねて、電極部分を製造する。その後、この電極部
分を所望の電池容器に挿入し、非水電解液を注入後、安
全装置などを挿入し、封缶する。
【0079】正極、集電体、非水電解液、セパレータな
どは、従来の非水電解液二次電池に用いられている材料
が何ら問題なく使用される。
【0080】正極活物質としては、TiS2、MoS2
FeS2などの硫化物、NbSe3などのセレン化物など
のカルコゲン化合物、あるいはCr25、Cr38、V
38、V25、V613などの遷移金属の酸化物、Li
Mn24、LiMnO2、LiV35、LiNiO2、L
iCoO2などのリチウムと遷移金属との複合酸化物な
ど、あるいはポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラ
フェニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、
ポリチオフェンなどの共役系高分子、ジスルフィド結合
を有する架橋高分子などのリチウムを吸蔵、放出するこ
とが可能な材料を使用すればよい。
【0081】集電体としては、銅、アルミニウムなどか
らなる帯形状の薄板あるいはメッシュなどを用いればよ
い。
【0082】非水電解液としては、プロピレンカーボネ
ート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、
テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチ
ル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホ
ラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニ
トリルなどの単独あるいは2種類以上の混合非水溶媒
に、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiB
4、LiB(C654、LiCl、LiBr、CH3
SO3Li、CF3SO3Liなどのリチウム塩が溶解し
てなる非水電解液がいずれの組合せにおいても使用可能
である。
【0083】セパレータとしては、イオンの移動に対し
て低抵抗であり、かつ溶液保持性に優れたものを用いる
ればよい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リエステル、ポリフロンなどからなる高分子ポアフィル
ター、ガラス繊維フィルター、不織布、あるいはガラス
繊維とこれらの上記高分子からなる不織布が使用可能で
ある。更に、電池内部が高温になったとき、溶融して細
孔をふさぎ、正極及び負極のショートを防ぐ材料が好ま
しい。
【0084】
【発明の効果】本発明の方法により、広範な第2成分元
素を均一に含有した球状の複合酸化錫粉末を製造するこ
とが可能となる。その結果、高い充放電容量を有する非
水電解液二次電池の負極活物質として適する組成の複合
酸化錫粉末を、高密度で負極中に充填することが可能と
なり、電池の充放電容量を増大させることが可能とな
る。
【0085】
【実施例】本発明を以下、実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。
【0086】以下の実施例及び比較例に示す複合酸化錫
の放電容量の測定は、以下のようにして行った。
【0087】複合酸化錫、ポリフッ化ビニリデン(結着
剤)およびアセチレンブラック(導電性付与剤)を80
/5/15(重量比)の割合で混合し、この混合物50
0mgに対し、N−メチルピロリドン1mlを添加して
混練し、ペーストを作製した。このペーストを100℃
の真空乾燥器にて24時間乾燥した。乾燥したペースト
6mgをニッケル網に塗布して負極とした。非水電解液
には、LiCl04(1モル/リットルの濃度)をエチ
レンカーボネートとジエチルカーネートの等体積混合溶
媒に溶解したものを使用した。また電池容器にはガラス
製の円筒容器を使用し、負極1個の両側に正極(リチウ
ムを使用)2個、また負極の近傍に参照電極(リチウム
を使用)1個を配置するように、上部蓋からクリップ付
きのニッケル線(ガラス管被覆)で吊り下げて簡易型電
池セルを構成した。
【0088】充放電装置(北斗電工製)を用いて、上記
簡易型電池セルの充放電サイクル試験を行い、負極活物
質の充放電容量を測定した。充放電サイクル試験では、
30mA/gに相当する電流値(一定)で行った。負極
活物質の放電容量は、放電時間t(単位;時間)を測定
することによって、 容量=30×t (単位;mAh/g) から計算した。また充放電は参照電極に対して、0〜
1.99Vの範囲内で行った。なお、実施例及び比較例
に示した放電容量は、初回放電時の放電容量を示す。
【0089】実施例1 メタノール38.5g(1.20モル)に、塩化第一錫
(SnCl2)7.58g(0.04モル)、金属錫
4.75g(0.04モル)を還流しながら順次溶解さ
せ、均一で透明な前駆体溶液を調製した。
【0090】この前駆体溶液を噴霧乾燥して球状ゲルを
生成させた後、電気炉を用いて空気中700℃で2時間
焼成して複合酸化錫粉末を作製した。
【0091】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であるこ
とが確認された。
【0092】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約7.9
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.88の球
状粒子であった。
【0093】この球状複合酸化錫覆末はタップ密度が
3.3g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は708mAh/gであった。
【0094】実施例2 メタノール38.5g(1.20モル)に、塩化第一錫
(SnCl2)7.58g(0.04モル)、金属錫
4.75g(0.04モル)、三塩化アンチモン(Sb
Cl3)0.96g(0.0042モル)を還流しなが
ら順次溶解させ、均一で透明な前駆体溶液を調製した。
【0095】この前駆体溶液を噴霧乾燥して球状ゲルを
生成させた後、電気炉を用いて空気中700℃で2時間
焼成して複合酸化錫粉末を作製した。
【0096】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化アンチモンによる回折エックス線ピークが
検出されなかったことから、酸化アンチモンは酸化錫中
に固溶していることがわかった。
【0097】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とアンチモンの比率は、仕込み比とほぼ一致して
いた。
【0098】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.2
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.85の球
状粒子であった。
【0099】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.5g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は718mAh/gであった。
【0100】実施例3 三塩化アンチモン(SbCl3)0.96g(0.00
42モル)の代わりに三塩化アンチモン(SbCl3
2.97g(0.013モル)を用いること以外は実施
例2と同様にして複合酸化錫粉末を得た。
【0101】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化アンチモンによる回折エックス線ピークが
検出されなかったことから、酸化アンチモンは酸化錫中
に固溶していることがわかった。
【0102】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とアンチモンの比率は、仕込み比とほぼ一致して
いた。
【0103】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.1
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.83の球
状粒子であった。
【0104】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.7g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は717mAh/gであった。
【0105】実施例4 三塩化アンチモン(SbCl3)0.96g(0.00
42モル)の代わりにテトラエトキシシラン(Si(0
254)7.1g(0.034モル)を用いること
以外は実施例2と同様にして複合酸化錫粉末を得た。
【0106】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化珪素による回折エックス線ピークは特に認
められなかった。
【0107】透過電子顕微鏡観察の結果、非晶質の酸化
珪素は酸化錫の粒子間に均一に分布していること、即ち
分散相が酸化錫からなる相であることが確かめられた。
小角エックス線散乱法によってこの分散相の平均領域径
を求めた結果、約10nmであった。
【0108】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫と珪素の比率は、仕込み比とほぼ一致していた。
【0109】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.6
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.85の球
状粒子であった。
【0110】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.5g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は729mAh/gであった。
【0111】実施例5 塩化第一錫(SnCl2)7.58g(0.04モ
ル)、金属錫4.75g(0.04モル)、三塩化アン
チモン(SbCl3)0.96g(0.0042モル)
に加えてテトラエトキシシラン(Si(0C254
3.3g(0.016モル)をメタノール38.5g
(1.20モル)に溶解させること以外は実施例2と同
様にして複合酸化錫粉末を得た。
【0112】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化珪素あるいは酸化アンチモンによる回折エ
ックス線ピークは特に認められなかった。
【0113】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫と珪素の比率および錫とアンチモンの比率は、仕
込み比とほぼ一致していた。
【0114】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.3
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.86の球
状粒子であった。
【0115】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.4g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は730mAh/gであった。
【0116】実施例6 三塩化アンチモン(SbCl3)0.96g(0.00
42モル)の代わりにトリメトキシボロン(B(OCH
33)4.14g(0.040モル)、およびトリエト
キシホスホリル(PO(OEt)3)7.29g(0.
040モル)を用い、空気中280℃で1時間焼成する
こと以外は実施例2と同様にして複合酸化錫粉末を得
た。
【0117】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫は非晶質であった。
【0118】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とほう素の比率、および錫と燐の比率は、仕込み
比とほぼ一致していた。
【0119】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.5
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.84の球
状粒子であった。
【0120】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.2g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は715mAh/gであった。
【0121】実施例7 塩化第一錫(SnCl2)7.58g(0.04モ
ル)、金属錫4.75g(0.04モル)、三塩化アン
チモン(SbCl3)0.96g(0.0042モル)
に加えてLa(NO33・6H2O1.73g(0.0
04モル)をメタノール38.5g(1.20モル)に
溶解させること以外は実施例2と同様にして複合酸化錫
粉末を得た。
【0122】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化アンチモンまたは酸化ランタンによる回折
エックス線ピークが検出されなかったことから、酸化ア
ンチモンおよび酸化ランタンは酸化錫中に固溶している
ことがわかった。
【0123】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とアンチモンの比率、および錫とランタンの比率
は、仕込み比とほぼ一致していた。
【0124】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約7.7
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.83の球
状粒子であった。
【0125】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.2g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は712mAh/gであった。
【0126】実施例8 塩化第一錫(SnCl2)7.58g(0.04モ
ル)、金属錫4.75g(0.04モル)、三塩化アン
チモン(SbCl3)0.96g(0.0042モル)
に加えてトリエトキシホスホリル(PO(OEt)3
0.73g(0.004モル)をメタノール38.5g
(1.20モル)に溶解させること以外は実施例2と同
様にして複合酸化錫粉末を得た。
【0127】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化アンチモンまたは酸化ランタンによる回折
エックス線ピークが検出されなかったことから、酸化ア
ンチモャおよび酸化燐は酸化錫中に固溶していることが
わかった。
【0128】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とアンチモンの比率、および錫と燐の比率は、仕
込み比とほぼ一致していた。
【0129】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.0
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.85の球
状粒子であった。
【0130】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.1g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は720mAh/gであった。
【0131】実施例9 三塩化アンチモン(SbCl3)0.96g(0.00
42モル)の代わりに、同モルの五塩化タンタル(Ta
Cl5)を用いること以外は実施例2と同様にして複合
酸化錫粉末を得た。
【0132】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化タンタルによる回折エックス線ピークが検
出されなかったことから、酸化タンタルは酸化錫中に固
溶していることがわかった。
【0133】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とタンタルの比率は、仕込み比とほぼ一致してい
た。
【0134】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.3
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.82の球
状粒子であった。
【0135】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.5g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は703mAh/gであった。
【0136】実施例10 三塩化アンチモン(SbCl3)0.96g(0.00
42モル)の代わりに、同モルの五塩化ニオブ(NbC
5)を用いること以外は実施例2と同様にして複合酸
化錫粉末を得た。
【0137】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化タンタルによる回折エックス線ピークが検
出されなかったことから、酸化ニオブは酸化錫中に固溶
していることがわかった。
【0138】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とニオブの比率は、仕込み比とほぼ一致してい
た。
【0139】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.2
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.80の球
状粒子であった。
【0140】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.3g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は709mAh/gであった。
【0141】実施例11 三塩化アンチモン(SbCl3)0.96g(0.00
42モル)の代わりに、塩化マグネシウム(MgC
2)0.76g(0.008モル)を用いること以外
は実施例2と同様にして複合酸化錫粉末を得た。
【0142】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化マグネシウムによる回折エックス線ピーク
が検出されなかったことから、酸化マグネシウムは酸化
錫中に固溶していることがわかった。
【0143】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とマグネシウムの比率は、仕込み比とほぼ一致し
ていた。
【0144】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.1
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.82の球
状粒子であった。
【0145】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.2g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は697mAh/gであった。
【0146】実施例12 三塩化アンチモン(SbCl3)0.96g(0.00
42モル)の代わりに、トリメトキシボロン(B(OC
33)0.83g(0.008モル)を用いること以
外は実施例2と同様にして複合酸化錫粉末を得た。
【0147】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化ほう素による回折エックス線ピークが検出
されなかったことから、酸化ほう素は酸化錫中に固溶し
ていることがわかった。
【0148】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とほう素の比率は、仕込み比とほぼ一致してい
た。
【0149】得られた複合酸化錫粉昧をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.4
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.81の球
状粒子であった。
【0150】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.1g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は713mAh/gであった。
【0151】実施例13 三塩化アンチモン(SbCl3)0.96g(0.00
42モル)の代わりに、四塩化セレン(SeCl4
1.62g(0.008モル)を用いること以外は実施
例2と同様にして複合酸化錫粉末を得た。
【0152】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。またセレンによる回折エックス線ピークが検出され
なかったことから、セレンは酸化錫中に固溶しているこ
とがわかった。
【0153】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とセレンの比率は、仕込み比とほぼ一致してい
た。
【0154】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約8.5
μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.86の球
状粒子であった。
【0155】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.6g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は708mAh/gであった。
【0156】実施例14 メタノール38.5g(1.20モル)に、塩化第一錫
(SnCl2)7.58g(0.04モル)、金属錫
4.75g(0.04モル)を還流しながら順次溶解さ
せ、均一で透明な前駆体溶液を調製した。
【0157】この前駆体溶液に1%アンモニア水41g
を激しく攪拌しながら加えることにより、加水分解して
ゲルが溶液中に分散した懸濁液を得た。この懸濁液を噴
霧乾燥して溶媒を除去して得られた球状ゲルを電気炉を
用いて空気中700℃で2時間焼成して複合酸化錫粉末
を作製した。
【0158】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であるこ
とが確認された。
【0159】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約12.
5μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.88の
球状粒子であった。
【0160】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.3g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は705mAh/gであった。
【0161】実施例15 メタノール38.5g(1.20モル)に、塩化第一錫
(SnCl2)7.58g(0.04モル)、金属錫
4.75g(0.04モル)、三塩化アンチモン(Sb
Cl3)0.96g(0.0042モル)を還流しなが
ら順次溶解させ、均一で透明な前駆体溶液を調製した。
【0162】この前駆体溶液に1%アンモニア水41g
を激しく攪拌しながら加えることにより、加水分解して
ゲルが溶液中に分散した懸濁液を得た。この懸濁液を噴
霧乾燥して溶媒を除去して得られた球状ゲルを電気炉を
用いて空気中700℃で2時間焼成して複合酸化錫粉末
を作製した。
【0163】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化アンチモンによる回折エックス線ピークが
検出されなかったことから、酸化アンチモンは酸化錫中
に固溶していることがわかった。
【0164】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とアンチモンの比率は、仕込み比とほぼ一致して
いた。
【0165】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約12.
0μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.70の
球状粒子であった。
【0166】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.1g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は714mAh/gであった。
【0167】実施例16 三塩化アンチモン(SbCl3)0.96g(0.00
42モル)の代わりにテトラエトキシシラン(Si(0
254)7.1g(0.034モル)を用いること
以外は実施例15と同様にして複合酸化錫粉末を得た。
【0168】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫であっ
た。また酸化珪素による回折エックス線ピークは特に認
められなかった。
【0169】透過電子顕微鏡観察の結果、非晶質の酸化
珪素は酸化錫の粒子間に均一に分布していること、即ち
分散相が酸化錫からなる相であることが確かめられた。
小角エックス線散乱法によってこの分散相の平均領域径
を求めた結果、約10nmであった。
【0170】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫と珪素の比率は、仕込み比とほぼ一致していた。
【0171】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約11.
2μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度075の球
状粒子であった。
【0172】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.1g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は725mAh/gであった。
【0173】実施例17 三塩化アンチモン(SbCl3)0.96g(0.00
42モル)の代わりにトリメトキシボロン(B(OCH
33)4.14g(0.040モル)、およびトリエト
キシホスホリル(PO(OEt)3)7.29g(0.
040モル)を用い、空気中280℃で1時間焼成する
こと以外は実施例15と同様にして複合酸化錫粉末を得
た。
【0174】粉末エックス線回折の結果、得られた複合
酸化錫は非晶質であった。
【0175】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とほう素の比率、および錫と燐の比率は、仕込み
比とほぼ一致していた。
【0176】得られた複合酸化錫粉末をSEMにより観
察したところ、この複合酸化錫粉末は、粒子径約13.
0μmのほぼ均一な粒径を有する平均均斉度0.69の
球状粒子であった。
【0177】この球状の複合酸化錫粉末はタップ密度が
3.0g/cm3と高く、前記の方法により負極を作製
すると高い充填密度で充填することが可能であった。さ
らに前記簡易型電池セルを作製し、充放電サイクル試験
を行ったところ放電容量は710mAh/gであった。
【0178】比較例1 n−オクタノール153.6g(1.20モル)に錫テ
トラブトキシド(Sn(O−n−C494)4.1g
(0.01モル)、SbCl30.36g(0.001
6モル)を加えて還流し均一な溶液を得た。この溶液に
ヒドロキシプロピルセルロース0.1g、アセトニトリ
ル40mlを添加して懸濁液を得た。これに、5mol
/lの水を含有するオクタノール/ブタノール混合溶液
(体積比;1:1)100mlを加えてアルコキシドを
加水分解、ゲル化した。このゲルを乾燥させて得られた
粉末を、空気中1000℃の温度で2時間焼成して白色
の粉末状を得た。
【0179】粉末エックス線回折の結果、得られた粉末
はルチル構造を有する結晶質複合酸化錫と酸化アンチモ
ンの混合物であった。
【0180】この粉末についてSEMにより観察したと
ころ、この粉末は、粒子径約0.2μmの球状粒子と大
きさ約1μmの不定径粒子の混合物であった。これらの
粒子の組成を分析した結果、球状粒子は複合酸化錫であ
り、不定形粒子は酸化アンチモンであることがわかっ
た。
【0181】この結果より、均一組成の球状の複合酸化
錫粉末が得られなかったことがわかった。
【0182】比較例2 n−オクタノール153.6g(1.20モル)に錫テ
トラブトキシド(Sn(O−n−C494)4.1g
(0.01モル)、B(OC2530.74g(0.
0050モル)およびPO(OC2530.90g
(0.0050モル)を加えて還流し、均一な溶液を得
た。この溶液にヒドロキシプロピルセルロース0.1
g、アセトニトリル40mlを添加して懸濁液も得た。
これに、5mol/lの水を含有するオクタノール/ブ
タノール混合溶液(体積比;1:1)100mlを加え
てアルコキシドを加水分解、ゲル化した。このゲルを乾
燥させて得られた粉末を、空気中700℃の温度で2時
間焼成して白色の粉末状を得た。
【0183】粉末エックス線回折の結果、得られた粉末
はルチル構造を有する結晶質酸化錫と酸化ほう素の混合
物であった。
【0184】この粉末についてSEMにより観察したと
ころ、この粉末は、粒子径約0.2μmの球状粒子と大
きさ約1μmの不定径粒子の混合物であった。これらの
粒子の組成を分析した結果、球状粒子は燐を含んだ酸化
錫であり、不定径粒子は酸化ほう素であることが分かっ
た。
【0185】この結果より、均一組成の球状の複合酸化
錫粉末が得られなかったことがわかった。
【0186】比較例3 n−オクタノール153.6g(1.20モル)に錫テ
トラブトキシド(Sn(O−n−C494)4.1g
(0.01モル)、TaCl50.19g(0.000
53モル)を加えて還流させたが、TaCl3は溶解し
なかった。この液にヒドロキシプロピルセルロース0.
1g、アセトニトリル40mlを添加して懸濁液を得
た。これに、5mol/lの水を含有するオクタノール
/ブタノール混合溶嬰(体積比;1:1)100mlを
加えてアルコキシドを加水分解、ゲル化した。このゲル
を乾燥させて得られた粉末を、空気中700℃の温度で
2時間焼成して白色の粉末状を得た。
【0187】粉末エックス線回折の結果、得られた粉末
はルチル構造を有する結晶質酸化錫と酸化タンタルの混
合物であった。
【0188】この粉末についてSEMにより観察したと
ころ、この粉末は、粒子径約0.2μmの球状粒子と大
きさ約1μmの不定径粒子の混合物であった。これらの
粒子の組成を分析した結果、球状粒子は燐を含んだ酸化
錫であり、不定径粒子は酸化タンタルであることが分か
った。
【0189】この結果より、均一組成の球状の複合酸化
錫粉末が得られなかったことがわかった。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C01G 30/00 C01G 30/00 33/00 33/00 A 35/00 35/00 C

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶媒可溶性錫化合物及び/又は金属
    錫、並びに有機溶媒可溶性アルカリ土類金属化合物、有
    機溶媒可溶性希土類元素化合物、有機溶媒可溶性遷移元
    素化合物、有機溶媒可溶性周期律表13族元素化合物、
    有機溶媒可溶性周期律表14族元素化合物(有機溶媒可
    溶性錫化合物を除く)、有機溶媒可溶性周期律表15族
    元素化合物および有機溶媒可溶性カルコゲン元素化合物
    からなる群より選ばれた少なくとも一種の有機溶媒可溶
    性化合物を有機溶媒に溶解して前駆体溶液とした後、該
    前駆体溶液を噴霧乾燥して球状ゲルを生成せしめ、次い
    で該球状ゲルを焼成することを特徴とする複合酸化錫粉
    末の製造方法。
  2. 【請求項2】 前駆体溶液を加水分解してゲルの懸濁液
    とし、次いで該懸濁液を噴霧乾燥することにより球状ゲ
    ルを生成せしめた後、該球状ゲルを焼成することを特徴
    とする請求項1記載の複合酸化錫粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の製造方法により
    得られる複合酸化錫粉末からなる非水二次電池用負極活
    物質。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の非水電解液二次電池用負
    極活物質を集電体に接合してなる負極と、リチウムイオ
    ンを吸蔵、放出することが可能な材料からなる正極活物
    質を集電体に接合してなる正極とが、セパレータを介し
    て非水電解液と共に電池容器内に収納されていることを
    特徴とする非水電解液二次電池。
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