JPH10316426A - 被覆酸化錫 - Google Patents

被覆酸化錫

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JPH10316426A
JPH10316426A JP9121311A JP12131197A JPH10316426A JP H10316426 A JPH10316426 A JP H10316426A JP 9121311 A JP9121311 A JP 9121311A JP 12131197 A JP12131197 A JP 12131197A JP H10316426 A JPH10316426 A JP H10316426A
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JP
Japan
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tin oxide
tin
compound
group
coated
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JP9121311A
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English (en)
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Chisui Okano
知水 岡野
Hiroya Yamashita
博也 山下
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来よりも不可逆容量が小さく且つ高い充放
電容量の非水電解液二次電池用負極活物質を得る 【解決手段】 酸化錫系材料の表面に錫単体などの被覆
層を形成することにより、不可逆容量が小さく且つ充放
電容量の大きな非水電解液二次電池用負極活物質が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化錫を基本成分
とする非水電解液二次電池用負極活物質及び該負極活物
質を用いた非水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、急速に普及する携帯電話、携帯用
端末、ビデオカメラなどの携帯用機器の電源として、あ
るいは電気自動車用電源として、小型、軽量でエネルギ
ー密度の高い二次電池に対する社会的要求が益々強くな
っている。
【0003】充電可能で繰り返し使用できる二次電池の
うち、水溶液系電解質を用いる鉛蓄電池、ニッケル−カ
ドミウム電池、ニッケル−水素電池などの二次電池で
は、過電圧の高い鉛蓄電池を除いては水の分解電圧を超
える高い電池電圧を得ることはできない。これに対し非
水電解液二次電池は電解液に非水溶媒を用いるため、水
溶液系電解質を用いる上述の二次電池よりも高い電池電
圧を得ることができる。そのため、非水電解液二次電池
はエネルギー密度が高く小型化及び軽量化が可能であ
り、携帯用機器の電源として急速に需要が伸びている
が、更にこれら電子機器の長時間稼働を実現させるため
に、電池性能、即ち充放電容量の更なる向上が求められ
ている。
【0004】非水電解液二次電池は、リチウムを吸蔵、
放出することが可能な正極活物質と集電体などからなる
正極と、リチウムを吸蔵、放出することが可能な負極活
物質と集電体などからなる負極、さらにはリチウム塩を
非水溶媒に溶解してなる電解液、及びセパレータ、電池
容器などから構成される。このような二次電池におい
て、充電時には正極活物質中から放出されたリチウムは
負極活物質中に吸蔵され、また放電時にはリチウムは逆
に負極活物質中から放出され、正極活物質中に吸蔵され
る。
【0005】充放電容量の高い非水電解液二次電池に適
した負極活物質としては、エネルギー密度にのみ着目す
れば、単位重量当たりに含まれるリチウム量が最も多い
金属リチウムを用いることが望ましい。しかし、負極活
物質に金属リチウムを用いると、充電時にリチウムが負
極表面に均一に析出せずに樹枝状に析出し、これがセパ
レータを貫通して負極と正極が短絡し、発熱や発火する
危険性がある。また樹枝状に析出した金属リチウムが負
極から脱落して充放電サイクル寿命が短くなるという問
題がある。これらの問題のために、金属リチウムは電池
反応に関与する理論的リチウム容量が最も高いにも関わ
らず、負極活物質として実用化されるに至っていない。
【0006】現在、市販の非水電解液二次電池の負極活
物質としては、黒鉛に代表される比較的結晶化度の高い
炭素材料(以下、黒鉛材料ともいう)、あるいは難黒鉛
化炭素などと称される比較的結晶化度の低い炭素材料
(以下、難黒鉛化炭素材料ともいう)などが用いられて
いる。
【0007】黒鉛材料を非水電解液二次電池の負極活物
質(以下、負極活物質ともいう)として使用すると、放
電初期から末期に至るまで負極電位はほぼ一定の値で安
定するため、放電末期まで安定した電池電圧を確保する
ことができる。しかしながら、黒鉛材料の充放電容量は
理論値で最高372mAh/g、現実には280〜33
0mAh/g程度である。従って、よりエネルギー密度
の高い非水電解液二次電池を作製するためにはさらに高
い充放電容量を有する負極活物質が望まれている。
【0008】一方、難黒鉛化炭素材料は、充放電容量は
400〜700mAh/gであり、この点では黒鉛材料
よりも優れた特性を有している。しかし、難黒鉛化炭素
材料では、放電初期から負極電位が上昇し続けるため、
非水電解液二次電池に用いると放電に伴って電池電圧が
低下し続ける。そのため、負極活物質である難黒鉛化炭
素には、未だ放出可能なリチウムが十分に残存している
にも関わらず、それ以上の放電は低い電圧下で起こるた
めに電源として利用できないという問題点がある。その
結果、実質的に利用できる充放電容量は、黒鉛材料とほ
ぼ同等の300mAh/g程度にすぎない場合がある。
【0009】このような炭素材料に対して、最近、酸化
錫系材料が高い充放電容量を有する材料として注目され
ている。酸化錫系材料では、最初SnOあるいはSnO
2において500〜600mAh/gといった高い放電
容量が見いだされた(特開平6−275268、特開平
7−122274など)。その後、Sn−Li−O系材
料(特開平7−201318)、Sn−Si−O系材料
(特開平7−230800)、あるいはSn−M−O系
材料(Mはアルカリ土類金属、周期律表13、14、1
5族元素又は亜鉛、特開平7−288123)といった
組成の酸化錫系材料が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれらの
酸化錫系材料においては、初回の充電容量と放電容量の
差(以下、不可逆容量ともいう)が比較的大きく、該不
可逆容量さらに小さくすることが望まれていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、酸化錫系材料の表面に被覆層を形成すると
不可逆容量が低減することを見い出し、ここに本発明を
完成させるに至った。
【0012】即ち、本発明は、アルカリ土類金属、希土
類元素、遷移元素、周期律表13族元素、周期律表14
族元素および周期律表15族元素からなる群より選ばれ
た少なくとも一種の元素が構成する単体、化合物あるい
は固溶体からなる被覆層が酸化錫又は複合酸化錫の表面
に被覆されてなることを特徴とする被覆酸化錫又は被覆
複合酸化錫である。
【0013】他の発明は、上記被覆酸化錫又は被覆複合
酸化錫からなる非水二次電池用負極活物質である。
【0014】更に他の発明は、上記非水電解液二次電池
用負極活物質を集電体に接合してなる負極と、リチウム
イオンを吸蔵、放出することが可能な材料からなる正極
活物質を集電体に接合してなる正極とが、セパレータを
介して非水電解液と共に電池容器内に収納されているこ
とを特徴とする非水電解液二次電池である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。
【0016】本発明において被覆層が形成される酸化錫
又は複合酸化錫(以下、これらを各々、基体酸化錫、基
体複合酸化錫という)は、後述する元素(第2成分元
素)等を含むこともできるが基本的に周期律表14族
(新IUPAC方式による、以下同様)第5周期の錫と
16族第2周期の酸素からなる化合物あるいはその固溶
体であればよく、基体酸化錫又は基体複合酸化錫の組成
および構造は特に限定されない。
【0017】組成の観点から基体酸化錫又は基体複合酸
化錫を例示すると、代表的には二酸化錫、三酸化二錫、
四酸化三錫、一酸化錫などの組成を有する酸化錫であ
り、また、これらの組成を有する酸化錫が任意の割合で
混合されたものでもかまわない。
【0018】又、本発明の基体酸化錫又は基体複合酸化
錫は、構造的には結晶質酸化錫あるいは非晶質酸化錫の
何れの構造を取っていても構わない。
【0019】本発明の基体酸化錫又は基体複合酸化錫が
結晶質である場合においては、その結晶構造は特に限定
されない。例えば、基体酸化錫又は基体複合酸化錫が二
酸化錫の構造を有する場合には、JCPDSカード21
−1250記載の正方晶二酸化錫、同29−1484記
載の斜方晶二酸化錫、同33−1374記載の立方晶二
酸化錫などの結晶構造をとることができ、また、これら
の結晶構造を有する二種類以上の二酸化錫が任意の割合
で含まれていてもよい。また、三酸化二錫の構造を有す
る場合には、JCPDSカード25−1259記載の結
晶構造を有する三酸化二錫などの結晶構造をとることが
できる。四酸化三錫の構造を有する場合にはJCPDS
カード20−1293記載の結晶構造を有する四酸化三
錫などの結晶構造をとることができる。また、一酸化錫
の構造を有する場合には、JCPDSカード6−395
記載の正方晶一酸化錫、同7−195記載の結晶構造を
有する一酸化錫、同24−1342記載の斜方晶一酸化
錫などの結晶構造をとることができ、また、これらの結
晶構造を有する二種類以上の一酸化錫が任意の割合で含
まれていてもよい。
【0020】本発明の基体酸化錫又は基体複合酸化錫の
組成は、蛍光エックス線分析などの化学分析により同定
及び定量することが可能である。また、基体酸化錫又は
基体複合酸化錫の構造は粉末エックス線回折法、電子線
回折法などにより得られる回折ピークの位置と強度を基
に判定することができる。粉末エックス線回折の回折ピ
ークの位置と強度は、錫、酸素以外の元素の固溶、結晶
配向などが原因となって若干の変動を示す場合がある
が、上述のJCPDSカードなどに登録されている酸化
錫の回折ピーク位置と強度を比較することなどにより酸
化錫の結晶構造を判定することができる。
【0021】本発明における基体複合酸化錫は、充放電
容量を大きくしたりサイクル特性を改善するために、ア
ルカリ土類金属、希土類元素、遷移元素、周期律表13
族元素、周期律表14族元素(錫を除く)、周期律表1
5族元素およびカルコゲン元素からなる群より選ばれた
少なくとも1種の元素(以下、第2成分元素ともいう)
を含有することができる。基体酸化錫又は基体複合酸化
錫に含有される元素は、上記の群に含まれる元素であれ
ば特に制限なく選ぶことができるが、具体例として以下
の元素を挙げることができる。
【0022】アルカリ土類金属としては、元素記号C
a、Sr、Ba、MgおよびRaの各元素を挙げること
ができる。希土類元素としては、元素記号La、Ce、
Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、Lu、またはAcなどのアクチ
ノイドの各元素を挙げることができる。遷移元素として
は、元素記号Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、
Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、R
e、Os、Ir、Pt、AuおよびHgの各元素を挙げ
ることができる。周期律表13族元素としては、元素記
号B、Al、Ga、In、Tlの各元素が挙げられ、周
期律表14族元素としては、C、Si、Ge、Pbの各
元素が挙げられ、周期律表15族元素としては、元素記
号N、P、As、SbおよびBiの各元素を挙げること
ができる。さらに、カルコゲン元素としては、元素記号
S、SeおよびTeの各元素を挙げることができる。
【0023】基体複合酸化錫に含有される第2成分元素
の添加量は特に限定されないが、その量が多すぎるとリ
チウムイオン吸蔵能のある酸化錫の割合が減少してしま
うため、非水電解液二次電池用負極活物質として用いた
場合充放電容量が低下するので好ましくない。逆に、第
2成分元素の添加量が少なすぎるとサイクル特性が低下
する場合がある。第2成分元素の添加量は錫と第2成分
元素の合計量に対して0.01〜50mol%であり、
さらに好ましくは0.1〜30mol%の範囲である。
基体複合酸化錫中に含まれる元素の種類および含有量
は、化学分析や蛍光エックス線分析などにより同定、定
量することができる。
【0024】本発明の基体酸化錫又は基体複合酸化錫に
は電気伝導性を向上させ、負極活物質として用いた場合
の分極を低減させ、更に充放電容量を高める目的でバナ
ジウム等の周期律表5族元素、あるいはアンチモン等の
周期律表15族元素などの公知の元素(導電性付与元素
ともいう)を0.1〜10mol%程度添加することが
できる。この場合、アセチレンブラック等の導電性付与
剤の添加量を少なくでき、電池の充放電容量の低下を防
ぐことができる。
【0025】本発明の基体酸化錫又は基体複合酸化錫の
形態は特に限定されず、粉末状、繊維状あるいは膜状な
どの形態を採ることができる。
【0026】粉末状の基体酸化錫又は基体複合酸化錫
は、広く公知の方法を用いて作製することができる。例
えば、粉末状の基体酸化錫又は基体複合酸化錫は、固相
反応法あるいは水溶液法などにより作製することができ
る。
【0027】固相反応法により粉末状の基体酸化錫又は
基体複合酸化錫を製造する場合には、粉末状の酸化錫と
酸化錫に添加する第2成分元素の酸化物などを固相混合
した後、700〜1000℃で12時間程度焼成するこ
とにより基体酸化錫又は基体複合酸化錫を製造すること
ができる。
【0028】水溶液法により粉末状の基体酸化錫又は基
体複合酸化錫を製造する場合には、塩化錫の水溶液に第
2成分元素の塩化物などの可溶性化合物を溶解した後、
アルカリで中和してゲルを沈澱として生成させ、得られ
たゲルを焼成することにより基体酸化錫又は基体複合酸
化錫を製造することができる。
【0029】しかしながら、上述の固相反応法や水溶液
法においては、焼成前の錫の化合物と第2成分元素の化
合物とを均一に混合することが困難であるため、得られ
る基体酸化錫又は基体複合酸化錫の各粒子間で組成にば
らつきが生じる場合がある。組成変動を有する基体酸化
錫又は基体複合酸化錫を用いて本発明の被覆酸化錫又は
被覆複合酸化錫を作製すると、これを負極活物質として
用いたとき、充放容量などの特性が低下する場合があ
る。従って、このような観点からは基体酸化錫又は基体
複合酸化錫の組成は均一であることが好ましい。
【0030】組成が均一な基体酸化錫又は基体複合酸化
錫の製造方法としては以下のような方法を例示すること
ができる。組成が均一な基体酸化錫又は基体複合酸化錫
を作製する場合には、先ず有機溶媒可溶性錫化合物およ
び/または金属錫を有機溶媒に溶解させた溶液(以下、
前駆体溶液ともいう)を調製する。また、基体複合酸化
錫を製造する場合には、上記前駆体溶液に第2成分元素
源となる有機溶媒可溶性アルカリ土類金属化合物、有機
溶媒可溶性希土類元素化合物、有機溶媒可溶性遷移元素
化合物、有機溶媒可溶性周期律表13族元素化合物、有
機溶媒可溶性周期律表14族元素化合物(有機溶媒可溶
性錫化合物を除く)、並びに有機溶媒可溶性周期律表1
5族元素化合物および有機溶媒可溶性カルコゲン元素化
合物からなる群より選ばれた少なくとも一種の可溶性化
合物(以下、第2成分元素の有機溶媒可溶性化合物とも
いう)を溶解させた溶液を前駆体溶液とし、該前駆体溶
液を、ゲル化し、焼成する。
【0031】上記製造方法において前駆体溶液の調製に
用いる有機溶媒は、後述の有機溶媒可溶性錫化合物、第
2成分元素の有機溶媒可溶性化合物、有機溶媒可溶性の
導電性付与元素化合物(以下、これらを総称して有機溶
媒可溶性化合物ともいう)を溶解するものであれば何ら
制限されない。これらには、アルコール、アセトン、ア
セトニトリル等、あるいはこれらの混合物が挙げられる
が、溶解度、コストの観点から通常アルコールを主にす
ることが多い。アルコールを一般式ROHで表わすと、
Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オク
チル基などの非置換アルキル基、2−メトキシエチル
基、2−エトキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、
1−メトキシ−2−プロピル基、メトキシエトキシエチ
ル基、2−フェニルエチル基、フェニルメチル基などの
置換アルキル基、アリル基などの非置換アルケニル基、
2−メチル−2−プロペニル基、3−メチル−3−ブテ
ニル基などの置換アルケニル基などが挙げられる。
【0032】上記の置換アルキル基、置換アルケニル基
または置換アリール基における置換基の具体例として
は、上記したRの具体例に見られるメトキシ基、エトキ
シ基などのアルコキシル基、ヒドロキシル基、フェニル
基などのアリール基、メチル基、エチル基などのアルキ
ル基の他に、アミノ基、シアノ基、Cl原子、Br原
子、I原子、F原子などのハロゲンなどが挙げられる。
【0033】これらアルコールの具体例として、メタノ
ール(メチルアルコールともいう)、エタノール(エチ
ルアルコールともいう)、プロパノール(プロピルアル
コールともいう)、ブタノール(ブチルアルコールとも
いう)、オクタノール(オクチルアルコール)、2−メ
トキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレン
グリコール、1−メトキシ−2−プロピルアルコール、
メトキシエトキシエタノール、2−フェニルエチルアル
コール、ベンジルアルコール、アリルアルコール、2−
メチル−2−プロペン−1−オール、3−メチル−3−
ブテン−1−オールなどを挙げることができる。中でも
メタノール、エタノールは、有機溶媒可溶性化合物の溶
解度が高いため、好ましく、特にメタノールは安価で手
に入りやすいという理由もあり、より好ましい。上記ア
ルコールは通常単独で用いられるが、有機溶媒可溶性化
合物との反応性や溶解性などを制御するために2種類以
上のアルコールの混合物を用いることもできる。
【0034】前記製造方法で用いる有機溶媒可溶性錫化
合物(以下、可溶性錫化合物ともいう)としては、ハロ
ゲン化錫、有機錫、錫のアルコキシドなどが挙げられ
る。ハロゲン化錫のハロゲンは、Cl、Br、I、F原
子である。また水和物でも構わない。ハロゲン化錫のな
かでも、塩化錫、臭化錫が価格、安定性の点から好まし
い。具体的には、SnCl2、SnCl2・2H20、S
nBr2、SnI2、SnF2などが挙げられ、特に、S
nCl2、SnBr2、SnCl2・2H2Oが好ましく用
いられる。また該ハロゲン化錫化合物において有機化合
物で修飾したもの、例えばSn(CH3)2Cl2なども使
用できる。有機錫化合物としては、(CH32Sn、
(C252Sn、(C374Snなどが溶解する範囲
で使用または添加することができる。錫のアルコキシド
としては、Sn(OC254、Sn(OC374、S
n(OC494などを挙げることができる。また上記
可溶性錫化合物は2種類以上の混合物を用いることもで
きる。
【0035】本発明に用いる金属錫の形状は特に限定さ
れず、板状、棒状、シート状、粒状、粉末状、砂状、花
状、塊状のものなどが挙げられ、溶解のしやすさの点か
らは粒状、粉末状、砂状のものが好ましい。純度は高い
方が好ましいが、電池反応、ひいては電池性能に影響し
ない範囲であれば特に制限されない。
【0036】前駆体溶液を調製する際の有機溶媒と可溶
性錫化合物及び/または金属錫との割合は、可溶性錫化
合物及び/または金属錫が有機溶媒に均一に溶解する範
囲であれば、特に制限されない。但し、あまりに有機溶
媒が少ないと、錫化合物及び/または金属錫が完全に溶
解せずに不溶物が残り均一な前駆体溶液が得られない。
またあまりに有機溶媒が多いと、可溶性錫化合物及び/
または金属錫の溶解速度は高まるが、後の濃縮において
時間がかかってしまう。したがって、使用する有機溶媒
や可溶性錫化合物及び/または金属錫の種類によっても
異なるが、元素換算で錫に対して有機溶媒の量がモル比
で2〜1000倍となるような割合が好ましく、さらに
は5〜500倍となるような割合が望ましい。また錫源
として金属錫のみを用いるときは、塩化水素などのハロ
ゲン化水素ガスや塩酸などを添加すると、有機溶媒への
金属錫の溶解速度が高まるため、好ましい。
【0037】金属錫の量は各仕込組成において溶解する
範囲であれば特に制限されない。但し、金属錫の量が多
すぎると溶解に時間がかかったり、溶けないで残る場合
があるので、可溶性錫化合物途金属錫との量比は、溶解
する金属錫と可溶性錫化合物の錫の合計量に対する可溶
性錫化合物に含まれる錫の原子数百分率が10%以上1
00%以下となるように金属錫の溶解量を決めるのが好
ましい。特に、可溶性錫化合物としてハロゲン化錫化合
物を用いた場合には、溶解する金属錫とハロゲン化錫化
合物のハロゲンと錫の原子数比が0.60以上1.80
未満となるように金属錫の溶解量を決めるのが好まし
い。
【0038】第2成分元素の有機溶媒可溶性化合物とし
ては、第2成分元素を含有するアルコキシド、ハロゲン
化物、オキシ塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、あるい
はアンモニウム塩などの有機溶媒に可溶性の化合物から
特に限定することなく用いることができる。
【0039】第2成分元素がアルカリ土類金属である場
合には、アルカリ土類金属のハロゲン化物およびその水
和物、硝酸塩およびその水和物、アルコキシドなどよ
り、特に制限されることなく用いることができる。具体
的な化合物として、CaCl2、CaBr2、CaI2
CaCl2・6H2O、CaBr2・6H2O、CaI2
6H2O、Ca(NO32・4H2O、Ca(NO32
xH2O、Ca(OCH32、Ca(OC252、Ca
(OC372、Ca(OC492、SrCl2、Sr
Br2、SrI2、SrCl2・6H2O、SrBr2・6
2O、SrI2・6H2O、Sr(NO32、Sr(O
CH32、Sr(OC252、Sr(OC372、S
r(OC492、BaCl2、BaBr2、BaI2、B
aCl2・2H2O、BaBr2・2H2O、BaI2・2
2O、Ba(NO32、Ba(OCH32、Ba(O
252、Ba(OC372、Ba(OC492
などを例示することができる。
【0040】第2成分元素が希土類元素である場合に
は、希土類元素のハロゲン化物およびその水和物、硝酸
塩およびその水和物、アルコキシドなどより、特に制限
されることなく用いることができる。具体的な化合物と
して、LaCl3、LaBr3、LaI3、LaCl3・7
2O、La(NO33・6H2O、La(OCH33
La(OC253、La(OC373、CeCl3
CeBr3、CeI3、CeCl3・6H2O、Ce(NO
33・6H2O、PrCl3、PrCl3・7H2O、Pr
(NO33・6H2O、Pr(OC373、NdC
3、NdBr3、NdCl3・6H2O、Nd(NO33
・5H2O、SmCl3・xH2O、Sm(NO33・x
2O、Sm(OC373、EuCl3・6H2O、Eu
(NO33・6H2O、GdCl3、GdCl3・6H
2O、Gd(NO33・5H2O、TbCl3、TbCl3
・xH2O、Tb(NO33・xH2O、DyCl3、D
yCl3・xH2O、Dy(NO33・5H2O、Dy
(OC373、HoCl3、HoCl3・6H2O、Ho
(NO33・5H2O、ErCl3・6H2O、Er(N
33・5H2O、Er(OC373、TmCl3・6
2O、Tm(NO33・5H2O、YbBr3、Yb
3、YbCl3・6H2O、Yb(NO33・xH2O、
LuCl3、Lu(NO33・xH2Oなどを例示するこ
とができる。
【0041】第2成分元素が遷移元素である場合には、
遷移元素のハロゲン化物およびその水和物、オキシハロ
ゲン化物、酢酸塩、硝酸塩およびその水和物、硫酸塩お
よびその水和物、アンモニウム塩、遷移元素のアルコキ
シドなどより、特に制限されることなく用いることがで
きる。具体的な化合物として、ScCl3、ScCl3
xH2O、Sc(NO33・xH2O、TiCl4、Ti
Br4、Ti(OCH32、Ti(OC252、Ti
(OC372、Ti(OC492、VOCl3、VO
(OCH33、VO(OC253、VO(OC
373、VO(OC493、CrCl3、CrBr3
CrCl3・xH2O、CrBr3・6H2O、CrI3
xH2O、Cr(CH3COO)3・xH2O、MnC
2、MnBr2、MnI2、MnCl2・4H2O、Mn
Br2・4H2O、MnI2・4H2O、Mn(NO32
6H2O、Mn(OC372、Mn(OC252、F
eBr2、Fe2Br・6H2O、FeBr3、FeBr3・6H
2O、Fe(OH)(CH3COO)2、FeCl2、F
eCl3・6H2O、FeCl3、FeI2、Fe(N
33・9H2O、(NH42Fe(SO42・xH
2O、(NH4)Fe(SO42・xH2O、Fe(OC
33、Fe(OC253、Fe(OC373、Fe
(OC493、CoBr2、CoBr2・6H2O、Co
(C2322・4H2O、CoCl2、CoCl2・6
2O、CoI2、Co(NO32・6H2O、Co(O
372、NiBr2、NiBr2・xH2O、Ni(C
3COO)2・xH2O、NiCl2、NiCl2・6H2
O、NiI2、NiI2・6H2O、Ni(NO32・6
2O、CuBr、CuBr2、Cu(CH3COO)2
CuCl、CuCl2、CuCl2・2H2O、Cu(N
32・3H2O、ZnBr2、Zn(CH3COO)2
2H2O、ZnCl2、ZnI2、Zn(NO32・6H2
O,Zn(OCH32、Zn(OC252、Zn(O
372、Zn(OC492、YBr3、YCl3・6
2O、YCl3、Y(NO33・6H2O、Y(OC
33、Y(OC253、Y(OC373、ZrBr
4、ZrCl4、ZrI4、ZrO(CH3COO)2、Z
rOCl2・8H2O、ZrI2・xH2O、ZrO(NO
32・2H2O、Zr(SO42・4H2O、Zr(OC
34、Zr(OC254、Zr(OC374、Zr
(OC494、NbCl5、NbOCl3、NbBr5
Nb(OCH35、Nb(OC255、Nb(OC3
75、Nb(OC495、MoBr2、MoBr3、M
oCl5、(NH46Mo724・4H2O、Mo(OC2
55、RuCl3・H2O、PdCl2・2H2O、Ag
NO3、CdBr2・4H2O、CdBr2、CdCl2
5/2H2O、CdCl2、CdF2、CdI2、Cd(N
32・4H2O、HfCl4、HfOCl2・8H2O、
Hf(OCH34、Hf(OC254、Hf(OC3
74、Hf(OC494、TaCl5、TaBr5、T
a(OCH35、Ta(OC255、Ta(OC
375、Ta(OC495、WCl5、WCl6、WB
6、W(OC255、W(OC375、ReCl3
ReCl5、OsCl3、IrCl3・3H2O、IrCl
3、IrCl4、PtCl4・5H2O、H2PtCl6・n
2O、AuBr3・xH2O、AuCl3・xH2O、A
uHCl4・4H2O、Hg2Br2、HgCl2、Hg
(NO32・2H2O、HgSO4などを例示することが
できる。
【0042】第2成分元素が周期律表13族元素である
場合には、周期律表13族元素のハロゲン化物およびそ
の水和物、アンモニウム塩、硫酸塩、有機酸塩、アルコ
キシドなどより、特に制限されることなく用いることが
できる。具体的な化合物として、B23、(NH42
・5B23・8H2O、BCl3、BBr3、BI3、H3
BO3、B(OCH33、B(OC253、B(OC3
73、B(OC493、AlBr3、AlCl3・6
2O、AlCl3、AlI3、Al(NO33・9H
2O、Al2(SO43、Al2(SO43・xH2O、A
l(OCH33、Al(OC253、Al(OC
373、Al(OC493、GaBr3、GaCl3
GaI3、Ga(NO33・xH2O、Ga2(S
43、Ga2(SO43・xH2O、Ga(OC
33、Ga(OC253、Ga(OC373、Ga
(OC493、InBr3、InCl3、InCl3・x
2O、InI3、In(NO33・xH2O、In2(S
43、In2(SO43・xH2O、In(OC
33、In(OC253、In(OC373、In
(OC493、CH2(COOTl)2、TlOOCH
などを例示することができる。
【0043】第2成分元素が周期律表14族元素である
場合には、周期律表14族元素のハロゲン化物およびそ
の水和物、アンモニウム塩、硫酸塩、有機酸塩、アルコ
キシドなどより、特に制限されることなく用いることが
できる。具体的な化合物として、GeBr4、GeC
4、GeI4、Ge(OCH34、Ge(OC
254、Ge(OC374、Ge(OC494など
を例示することができる。また、第2成分元素として珪
素を添加する場合には、珪素アルコキシド、ハロゲン化
珪素などが挙げられる。珪素アルコキシドとしては、一
般式Si(ORA4、RBSi(ORA3、RBCSi
(ORA2で表される珪素アルコキシドが用いられる。
ここで、RA、RB、RCは、各々、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などの直鎖状ま
たは分岐状アルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブ
テニル基、ペンテニル基などの直鎖状または分岐状アル
ケニル基、フェニル基などのアリール基を示す。珪素ア
ルコキシドを具体的に例示すると、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、
テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメト
キシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキ
シルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエト
キシシラン、アミルトリエトキシシラン、フェニルトリ
エトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n
−オクタデシルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリ
エトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルト
リブトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジ
フェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラ
ン、ビニルメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキ
シシラン、エチルメチルジエトキシシランなどが挙げら
れる。ハロゲン化珪素としては、SiCl4、SiHC
3、SiH2Cl2などが挙げられる。
【0044】第2成分元素が周期律表15族元素である
場合には、周期律表15族元素のハロゲン化物およびそ
の水和物、アンモニウム塩、硫酸塩、有機酸塩、アルコ
キシドなどより、特に制限されることなく用いることが
できる。具体的な化合物として、P25、PBr3、P
Cl3、POBr3、POCl3、PO(OCH33、P
O(OC253、PO(OC373、PO(OC
493、P(OCH33、P(OC253、AsBr
3、AsCl3、AsI3、As(OCH33、As(O
253、As(OC373、SbBr3、SbC
3、SbCl5、SbOCl,Sb2(SO43、Sb
(OCH33、Sb(OC253、Sb(OC
373、Sb(OC493、BiBr3、BiCl3
BiI3、Bi(NO33・xH2O、BiOCl、Bi
(OC373などを例示することができる。
【0045】第2成分元素がカルコゲン元素である場合
には、カルコゲン元素のハロゲン化物およびその水和
物、アンモニウム塩、硫酸塩、有機酸塩、アルコキシド
などより、特に制限されることなく用いることができ
る。具体的な化合物として、S2Cl2、SCl2、Se
2、SeBr4、SeCl4、SeI4、TeBr4、T
eCl4、TeO42・xH2Oなどを例示することがで
きる。
【0046】前記酸化錫または複合酸化錫の導電性を高
める目的で添加する周期律表5族元素、あるいは周期律
表15族元素などの導電性付与元素の化合物(導電性付
与元素化合物ともいう)としては、バナジウム化合物、
ニオブ化合物、タンタル化合物、アンチモン化合物、あ
るいはビスマス化合物等が挙げられる。具体的には、バ
ナジウム化合物として、VBr3、VCl2、VCl3
VCl4、VOBr2、VOBr3、VOCl3、VF3
VF4、VF5、VI36H2O、バナジウムのアルコキシ
ドが挙げられ、ニオブ化合物として、NbCl5、Nb
Br5、NbF5、NbOCl3、ニオブのアルコキシド
が挙げられ、タンタル化合物として、TaBr5、Ta
Cl5、タンタルのアルコキシドが、アンチモン化合物
として、SbCl3、SbCl5、SbBr3、オキシ塩
化アンチモン、あるいはアンチモンのアルコキシドが、
また、ビスマス化合物としては、BiCl3、BiI3
ビスマスのアルコキシド等が挙げられる。
【0047】有機溶媒中への可溶性錫化合物、金属錫、
導電性付与元素化合物、第2成分元素有機溶媒可溶性化
合物の溶解方法は、特に限定されない。例えば、撹拌
下、これら化合物に有機溶媒を滴下する方法、あるいは
撹拌下、有機溶媒にこれら化合物を同時に、または別々
に溶解させる方法などを用いることができる。また、金
属錫の溶解を促進するために、有機溶媒をリフラックス
させて金属錫を溶解させることも効果的である。
【0048】さらに、有機溶媒可溶性化合物の加水分解
反応、重合及び縮合反応を促進させるために、若干の水
を添加してもよい。この水の添加は、特にアルコキシド
などの有機溶媒可溶性化合物を用いて前駆体溶液を調製
する際に、加水分解、重合及び縮合反応を十分に進行さ
せるなどの効果がある。但し、添加する水の量があまり
に多いと、沈殿が生じたり、急激にゲル化したりして、
組成等の均質性にばらつきが生じる場合がある。有機溶
媒可溶性化合物の種類などによっても異なるが、添加す
る水の量は有機溶媒可溶性化合物に対してモル換算で
0.01〜10倍が好ましい。
【0049】上記のように作製した前駆体溶液を濃縮、
乾固あるいは加水分解することにより、前駆体溶液中の
有機溶媒可溶性化合物を、充分に重縮合させてゲルを生
成させるのが好ましい。
【0050】上述のゲルは、粉体あるいは固化体として
得られ、得られたままの状態で焼成を行っても粉末状の
基体酸化錫又は基体複合酸化錫を製造することができる
が、基体酸化錫又は基体複合酸化錫の形態や粒径などを
制御することを目的として、ゲルを公知の方法により粉
砕あるいは造粒することも好ましい。
【0051】また、特に球状の基体酸化錫又は基体複合
酸化錫を製造する場合には、以下様な方法を採ることも
できる。
【0052】先ず、前述の前駆体溶液に、前駆体溶液を
作製するのに用いた有機溶媒と相溶し、且つ前駆体溶液
中の有機溶媒可溶性化合物の貧溶媒である有機溶媒(以
下、懸濁化溶媒ともいう)を加える。前駆体溶液に懸濁
化溶液を加えることにより、この混合溶媒中での有機溶
媒可溶性化合物の溶解度が低下し、溶液中に有機溶媒可
溶性化合物が球状に析出し、懸濁液状になる。次いで析
出した球状の可溶性化合物を加水分解によりゲル化して
形状を固定化し、次いでこの球状ゲルを焼成することに
より球状粒子からなる基体酸化錫又は基体複合酸化錫が
得られる。
【0053】このとき用いる有機溶媒および有機溶媒可
溶性化合物は、基体酸化錫又は基体複合酸化錫を製造す
るのに好適な前述の有機溶媒および有機溶媒可溶性化合
物より、特に限定されることなく用いることができ、前
駆体溶液は前述の方法と同様にして作製することができ
る。又、懸濁化溶媒としては、有機溶媒および有機溶媒
可溶性化合物にもよるが、代表的にはポリプロピレンカ
ーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチ
ロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムア
ミドなどの溶媒を用いることができる。懸濁化溶媒の好
ましい添加量は、有機溶媒および有機溶媒可溶性化合物
にもよるが、前駆体溶液の0.1〜300vol%とす
ることが好ましい。懸濁化溶媒を添加して析出する有機
溶媒可溶性化合物を安定化させる目的で、この懸濁液に
ヒドロキシプロピルセルロース等の界面活性剤を添加す
ることも好ましい。界面活性剤の添加量は、例えばヒド
ロキシプロピルセルロース用いる場合には、懸濁化溶媒
を加えた前駆体溶液に対して0.01〜1g/lである
ことが好ましい。
【0054】懸濁化溶媒の添加により球状に析出した有
機溶媒可溶性化合物を加水分解によりゲル化させた球状
ゲルを得るためには、懸濁化溶媒を添加した前駆体溶液
に、水(アンモニア水の場合もある)、前駆体溶液の有
機溶媒と水(アンモニア水の場合もある)の混合溶液、
又は懸濁化溶媒と水(アンモニア水の場合もある)の混
合溶液(以下、これらを総称してゲル化水溶液という)
を添加すれば良い。球状に析出した有機溶媒可溶性化合
物をゲル化させるために懸濁化溶媒を添加した前駆体溶
液に加えるゲル化水溶液の量は、有機溶媒可溶性化合物
に対して水がモル換算で0.01〜10倍であることが
好ましい。
【0055】この時の、粒子径や単分散性は、有機溶媒
可溶性化合物の濃度やヒドロキシプロピルセルロースの
量、有機溶媒と懸濁化溶媒の混合比率、ゲル化水溶液の
濃度と添加量、反応温度、及び反応時間等に依存し、こ
れらの要因を制御することにより、得られる球状粒子か
らなる基体酸化錫又は基体複合酸化錫の粒子径や単分散
性を制御することができる。
【0056】又、基体酸化錫又は基体複合酸化錫の粒子
形状を球状にするためには、前駆体溶液、またはアルカ
リ性水溶液により前駆体溶液を加水分解してゲルを生成
させた懸濁液を、噴霧して球状粒子からなるゲルを形成
し、ついでこの球状粒子からなるゲルを焼成することも
好ましい。
【0057】繊維状の形態を有する基体酸化錫又は基体
複合酸化錫は、上述の前駆体溶液を濃縮した後、公知の
方法により紡糸し、得られたゲル繊維を焼成することに
より製造することがでくる。尚、この方法において、ゲ
ル繊維を粉砕した後焼成するか、ゲル繊維を焼成した後
粉砕すれば、粉末状の基体酸化錫又は基体複合酸化錫を
製造することができる。この方法により製造される粉末
状の基体酸化錫又は基体複合酸化錫は、その粒子径がほ
ぼ繊維径と一致して均一であるため、均一な粒子径を有
する粉末状の基体酸化錫又は基体複合酸化錫を製造する
ためには好ましい方法である。繊維の直径は1〜200
μmの範囲で容易に制御できるので、ほぼこの範囲の粒
子径を有する基体酸化錫又は基体複合酸化錫を製造する
ことができる。
【0058】膜状の形態を有する基体酸化錫又は基体複
合酸化錫は、化学蒸着法、物理蒸着法あるいはスパッタ
リング法など公知の方法を用いて、任意の基板上に作製
することができる。又、上述の前駆体溶液を基板上に塗
布した後、次いで焼成することにより膜状の形態を有す
る基体酸化錫又は基体複合酸化錫を製造することも好ま
しい。
【0059】上述したゲルを焼成することにより基体酸
化錫又は基体複合酸化錫が製造される。焼成温度は、結
晶子サイズ、比表面積、平均細孔半径などに影響を及ぼ
すが、用いる原料の種類、量などによっても異なるので
一概には言えない。焼成温度の目安としては、250〜
1200℃の範囲が好ましく、更に好適には500〜1
000℃の温度が好ましい。焼成温度があまりにも低い
場合には、Sn−O−Sn結合が充分に形成されなかっ
たり、表面水酸基、あるいは有機物等が残存したりする
場合があるので好ましくない。一方、焼成温度が高すぎ
ると効果は飽和し、エネルギーの無駄にもなる。
【0060】焼成時間は、焼成温度、雰囲気などによっ
ても異なるが、0.03〜24時間であることが好まし
い。焼成時の昇温速度は特に制限されないが、0.1〜
100℃/分であることが好ましい。
【0061】焼成時の雰囲気は特に限定されない。例え
ば、空気、酸素、水蒸気などの酸化性ガス、またはこれ
らの混合ガスなどで満たされた雰囲気、あるいはヘリウ
ム、ネオン、アルゴンなどの不活性ガス、窒素、あるい
は水素、一酸化炭素などの還元性ガス雰囲気などが挙げ
られる。しかし、不活性ガスあるいは還元性ガス雰囲気
の場合には、酸化錫以外に還元されて多量の金属錫が生
成したり有機物が多く残存してサイクル特性が低下した
りする場合があるので、好ましい焼成雰囲気は酸化性ガ
ス雰囲気であり、その中でも酸素雰囲気が特に好まし
い。また、サイクル特性を改善するなどのために、一度
酸化性ガス雰囲気中で酸化錫を作製した後、還元性雰囲
気中で錫の価数を0〜4の範囲で調整する等酸化性ガス
雰囲気焼成と還元性ガス雰囲気焼成を組み合わせること
もできる。
【0062】また、酸化錫と第2成分元素や珪素を(主
として単体、あるいは酸化物の形態で)所定の割合に混
合し、メカニカルアロイング法により基体酸化錫又は基
体複合酸化錫あるいを製造することもできる。
【0063】上述の基体酸化錫又は基体複合酸化錫の表
面に被覆層を形成することにより、本発明の被覆酸化錫
又は被覆複合酸化錫が得られる。
【0064】本発明の非水電解質二次電池用負極活物質
において、上記基体酸化錫又は基体複合酸化錫の表面を
被覆層により被覆することが重要である。被覆層により
被覆することなく基体酸化錫又は基体複合酸化錫を負極
活物質として用いると、不可逆容量を小さくすることは
困難である。この理由については、本発明者らもまだ充
分に説明できないが、酸化錫の表面を被覆層で被覆する
ことにより、初回の充電時に電解液が負極活物質上で分
解することが抑制されるためではないかと推察してい
る。
【0065】本発明における被覆層は、アルカリ土類金
属、希土類元素、遷移元素、周期律表13族元素、周期
律表14族元素および周期律表15族元素からなる群よ
り選ばれた少なくとも一種の元素が構成する単体、化合
物あるいは固溶体からなる被覆層である。これらの被覆
層は、それ自体、充放電反応時に電解液の分解など非水
電解液二次電池としての特性を劣化させる副反応を引き
起こさない。すなわち、非水電解液二次電池の電極反応
に対して不活性な物質であるため、基体酸化錫又は基体
複合酸化錫をこれらの被覆層で被覆するとにより、電解
液と酸化錫との副反応を抑制することが可能となる。し
かも、これらの被覆層は電子伝導性を有するので、電子
の授受を伴う電極反応を阻害しない。従って、これらの
被覆層で基体酸化錫又は基体複合酸化錫を被覆すると、
副反応が抑制され不可逆容量が低減された、しかも充放
電容量の大きな非水二次電池用負極活物質となる。
【0066】このような被覆層のうちでも、チタニウ
ム、ニッケル、銅、アルミニウム、炭素または錫の単
体、チタニウム、ニッケル、銅、アルミニウム、炭素又
は錫の単体を主成分とする化合物あるいは固溶体が特に
好ましい。
【0067】特に好ましい被覆層の一例を挙げると、T
i、Ni、Cu、Al、C、α−Sn、β−Sn、Cu
2Al、CuAl、CuAl2、Al4Cu9、AlN
3、Al3Ni5、AlNi、Al3Ni2、Al3Ni、
Ti3Al、TiAl、TiAl3、CuSn3、Ti2
u、Ti3Cu4、Ti2Cu3、TiCu4、Ni3Sn、
Ni3Sn2、Ni3Sn4、Ti2Ni、TiNi、Ti
Ni3、TiCの組成を有する単体、化合物および固溶
体である。
【0068】被覆層の組成は、蛍光エックス線法やエッ
クス線光電子分光法により測定することができる。
【0069】被覆層の構造は、結晶質、非晶質の何れの
構造を取っていても負極活物質として用いたときに不可
逆容量を抑制させる効果があるので、特に限定されな
い。又、被覆層を形成する物質によっては、同一組成で
も異なる結晶構造を有する、いわゆる多形が存在する場
合があるが、その場合も構造は特に限定されない。この
ような、被覆層の構造はエックス線回折、電子線回折な
どの方法により、特定することができる。
【0070】上述の被覆層の被覆厚みは、0.0001
μmから20μm、好ましくは0.001μmから5μ
mである。被覆厚みが小さいと不可逆容量の低減効果が
小さくなり、余りに厚くなるとリチウムイオンの移動が
妨げられる傾向がある。
【0071】又、被覆面積は、基体酸化錫又は基体複合
酸化錫の全表面を覆う方が効果は当然大きくなるが、必
ずしも全面でなくても効果は得られる。従って、好まし
い被覆面積は、基体酸化錫又は基体複合酸化錫の表面の
60%以上であり、より好ましくは80%以上である。
被覆厚みおよび被覆面積は、透過型電子顕微鏡あるいは
走査型電子顕微鏡などを用いて測定することができる。
【0072】上記被覆層を形成する方法は、特に制限さ
れずに公知の方法を採用することができる。一例を挙げ
ると、無電解鍍金、電解鍍金、蒸着、スパッタリングな
どの方法を採用することができる。
【0073】また、例えば、基体酸化錫又は基体複合酸
化錫の表面に上記被覆層の前駆物質を被覆した後、前駆
物質を反応させて被覆層とすることもできる。例えば、
ポリアクリロニトリルを基体酸化錫又は基体複合酸化錫
に被覆した後、熱処理することにより炭素を被覆した被
覆酸化錫又は被覆複合酸化錫を作製することができる。
【0074】上述の、非水電解液二次電池用負極活物質
を用いた非水電解液二次電池の構成及び製造は、何等制
限されることなく公知の方法で実施することができる。
代表的な作製方法を以下に示す。
【0075】まず混練機、混合機などを用いて、被覆酸
化錫および/または被覆複合酸化錫をN−メチルピロリ
ドンなどの溶媒と混練し、ペーストを製造する。このと
き黒鉛やアセチレンブラックなどの導電性付与剤、ある
いはポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデ
ンなどの結着剤を適宜添加しても構わない。
【0076】ペースト製造後、集電体にペーストを塗
布、充填あるいは含浸させ、溶媒を乾燥、除去した後、
加圧、切断などを行って所望の形状に加工して負極とす
る。該負極と、同様にして製造した正極をセパレータを
介して帯状に重ね、円筒型非水電解液二次電池であれば
円柱状に巻回し、また角形非水電解液二次電池であれば
折り重ねて、電極部分を製造する。その後、この電極部
分を所望の電池容器に挿入し、非水電解液を注入後、安
全装置などを挿入し、封缶する。
【0077】正極、集電体、非水電解液、セパレータな
どは、従来の非水電解液二次電池に用いられている材料
が何ら問題なく使用される。
【0078】正極活物質としては、TiS2、MoS2
FeS2などの硫化物、NbSe3などのセレン化物など
のカルコゲン化合物、あるいはCr25、Cr38、V
38、V25、V613などの遷移金属の酸化物、Li
Mn24、LiMnO2、LiV35、LiNiO2、L
iCoO2などのリチウムと遷移金属との複合酸化物な
ど、あるいはポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラ
フェニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリピロール、
ポリチオフェンなどの共役系高分子、ジスルフィド結合
を有する架橋高分子などのリチウムを吸蔵、放出するこ
とが可能な材料を使用することができる。
【0079】集電体としては、銅、アルミニウムなどか
らなる帯形状の薄板あるいはメッシュなどを用いること
ができる。
【0080】非水電解液としては、プロピレンカーボネ
ート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、
テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチ
ル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホ
ラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニ
トリルなどの単独あるいは2種類以上の混合非水溶媒
に、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiB
4、LiB(C654、LiCl、LiBr、CH3
SO3Li、CF3SO3Liなどのリチウム塩が溶解し
てなる非水電解液がいずれの組合せにおいても使用可能
である。
【0081】セパレータとしては、イオンの移動に対し
て低抵抗であり、かつ溶液保持性に優れたものを用いれ
ばよい。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ
エステル、ポリフロンなどからなる高分子ポアフィルタ
ー、ガラス繊維フィルター、不織布、あるいはガラス繊
維とこれらの上記高分子からなる不織布が使用可能であ
る。更に、電池内部が高温になったとき、溶融して細孔
をふさぎ、正極及び負極のショートを防ぐ材料が好まし
い。
【0082】
【発明の効果】酸化錫系材料の表面に被覆層を形成する
ことにより、不可逆容量が小さく且つ充放電容量が大き
い非水電解液二次電池用負極活物質が得られる。この負
極活物質を用いることにより非水電解液二次電池のエネ
ルギ−密度を大きく向上させることが可能となる。
【0083】本発明を以下、実施例によって具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定さ
れるものではない。
【0084】以下の実施例及び比較例に示す酸化錫の放
電容量の測定は、以下のようにして行った。
【0085】被覆酸化錫および/または被覆複合酸化
錫、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)およびアセチレン
ブラック(導電性付与剤)を80/5/15(重量比)
の割合で混合し、この混合物500mgに対し、N−メ
チルピロリドン1mlを添加して混練し、ペーストを作
製した。このペーストを100℃の真空乾燥器にて24
時間乾燥した。乾燥したペースト6mgをニッケル網に
塗布して負極とした。非水電解液には、LiCl0
4(1モル/リットルの濃度)をエチレンカーボネート
とジエチルカーボネートの等体積混合溶媒に溶解したも
のを使用した。また電池容器にはガラス製の円筒容器を
使用し、負極1個の両側に正極(リチウムを使用)2
個、また負極の近傍に参照電極(リチウムを使用)1個
を配置するように、上部蓋からクリップ付きのニッケル
線(ガラス管被覆)で吊り下げて簡易型電池セルを構成
した。
【0086】充放電装置(北斗電工製)を用いて、上記
簡易型電池セルの充放電サイクル試験を行い、負極活物
質の充放電容量を測定した。充放電サイクル試験は、3
0mA/gに相当する電流値(一定)で行った。負極活
物質の放電容量は、放電時間t(単位;時間)を測定す
ることによって、 容量=30×t (単位;mAh/g) から計算した。また充放電は参照電極に対して、0〜
1.99Vの範囲内で行った。なお、実施例及び比較例
に示した放電容量は、初回放電時の放電容量を示す。
【0087】実施例1 メタノール38.5g(1.20モル)に、塩化第一錫
(SnCl2)7.58g(0.04モル)、金属錫
4.75g(0.04モル)を還流しながら順次溶解さ
せ、均一で透明な前駆体溶液を調製した。この前駆体溶
液を濃縮して得られた前駆体を、電気炉を用いて空気中
280℃で1時間焼成して粉末状の基体酸化錫を得た。
また、粉末エックス線回折の結果、得られた基体酸化錫
は非晶質であった。
【0088】この基体酸化錫5gを、pHを9に調製し
たクエン酸ナトリウム二水和物を0.34mol/l、
エチレンジアミン四酢酸ナトリウムを0.08mol/
l、ニトリル三酢酸ナトリウムを0.20mol/l、
二塩化錫を0.08mol/l、三塩化チタンを0.0
4mol/l含有する水溶液300mlに分散して、8
0℃で1時間加熱することにより、基体酸化錫の表面に
錫の被覆層を形成し、被覆酸化錫を得た。この被覆酸化
錫を透過型電子顕微鏡により分析したところ、電子線回
折によると被覆層は錫であり、厚さ20nmの均一な被
覆層が形成されていた。
【0089】この被覆酸化錫を用いて前記簡易型電池セ
ルを作製し、充放電サイクル試験を行ったところ、充電
容量は980mAh/gで放電容量は720mAh/g
であった。
【0090】比較例1 錫をを被覆しないこと以外は実施例1と同様に行ったと
ころ、充電容量は1100mAh/gで放電容量は69
5mAh/gであった。
【0091】実施例2 メタノール38.5g(1.20モル)に、塩化第一錫
(SnCl2)7.58g(0.04モル)、金属錫
4.75g(0.04モル)を還流しながら順次溶解さ
せた後、テトラエトキシシラン(Si(0C254
7.1g(0.034モル)を添加し、均一で透明な前
駆体溶液を調製した。この前駆体溶液を濃縮して得られ
た前駆体を、電気炉を用いて酸素中700℃で2時間焼
成して粉末状の基体複合酸化錫を得た。粉末エックス線
回折の結果、得られた基体複合酸化錫はルチル構造を有
する結晶質酸化錫であった。
【0092】この基体複合酸化錫5gを、pHを9に調
製したクエン酸ナトリウム二水和物を0.34mol/
l、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムを0.08mo
l/l、ニトリル三酢酸ナトリウムを0.20mol/
l、二塩化錫を0.08mol/l、三塩化チタンを
0.04mol/l含有する水溶液300mlに分散し
て、80℃で1時間加熱することにより、基体複合酸化
錫の表面に錫の被覆層を形成し、被覆複合酸化錫を得
た。この被覆複合酸化錫を透過型電子顕微鏡により分析
したところ、電子線回折によると被覆層は錫であり、厚
さ20nmの均一な被覆層が形成されていた。
【0093】この被覆複合酸化錫を用い前記簡易型電池
セルを作製し、充放電サイクル試験を行ったところ充電
容量は950mAhで放電容量は730mAh/gであ
った。
【0094】比較例2 錫を被覆しないこと以外は実施例2と同様に行ったとこ
ろ、充電容量は1100mAh/gで放電容量は730
mAh/gであった。
【0095】実施例3 メタノール40.5g(1.26モル)に、塩化第一錫
(SnCl2)7.58g(0.04モル)、金属錫
4.75g(0.04モル)、トリメトキシボロン(B
(OCH33)1.76g(0.017モル)、および
トリエトキシホスホリル(PO(OEt)3)3.1g
(0.017モル)を還流しながら順次溶解させ、均一
で透明な前駆体溶液を調製した。この前駆体溶液を濃縮
して得られた前駆体を、電気炉を用いて空気中280℃
で1時間焼成して粉末状の基体複合酸化錫を得た。ま
た、粉末エックス線回折の結果、得られた基体複合酸化
錫は非晶質であった。
【0096】蛍光エックス線分析によると、複合酸化錫
中の錫とほう素の比率、および錫と燐の比率は、仕込み
比とほぼ一致していた。
【0097】この基体複合酸化錫5gを、pHを9に調
製したクエン酸ナトリウム二水和物を0.34mol/
l、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムを0.08mo
l/l、ニトリル三酢酸ナトリウムを0.20mol/
l、二塩化錫を0.08mol/l、三塩化チタンを
0.04mol/l含有する水溶液300mlに分散し
て、80℃で1時間加熱することにより、基体複合酸化
錫の表面に錫の被覆層を形成し、被覆複合酸化錫を得
た。この被覆複合酸化錫を透過型電子顕微鏡により分析
したところ、電子線回折によると被覆層は錫であり、厚
さ20nmの均一な被覆層が形成されていた。
【0098】この被覆複合酸化錫を用いて前記簡易型電
池セルを作製し、充放電サイクル試験を行ったところ充
電容量は930mAh/gで放電容量は700mAh/
gであった。
【0099】比較例3 錫を被覆しないこと以外は実施例3と同様に行ったとこ
ろ、充電容量は1080mAh/gで放電容量は710
mAh/gであった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ土類金属、希土類元素、遷移元
    素、周期律表13族元素、周期律表14族元素および周
    期律表15族元素からなる群より選ばれた少なくとも一
    種の元素が構成する単体、化合物あるいは固溶体からな
    る被覆層が酸化錫又は複合酸化錫の表面に被覆されてな
    ることを特徴とする被覆酸化錫又は被覆複合酸化錫。
  2. 【請求項2】 被覆層を構成する元素のうち最大原子組
    成を占める元素がチタニウム、ニッケル、銅、アルミニ
    ウム、炭素または錫である請求項1記載の被覆酸化錫又
    は被覆複合酸化錫。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の被覆酸化錫又は
    被覆複合酸化錫からなる非水二次電池用負極活物質。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の非水電解液二次電池用負
    極活物質を集電体に接合してなる負極と、リチウムイオ
    ンを吸蔵、放出することが可能な材料からなる正極活物
    質を集電体に接合してなる正極とが、セパレータを介し
    て非水電解液と共に電池容器内に収納されていることを
    特徴とする非水電解液二次電池。
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