JPH10310804A - 脱脂焼結方法 - Google Patents

脱脂焼結方法

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JPH10310804A
JPH10310804A JP9117918A JP11791897A JPH10310804A JP H10310804 A JPH10310804 A JP H10310804A JP 9117918 A JP9117918 A JP 9117918A JP 11791897 A JP11791897 A JP 11791897A JP H10310804 A JPH10310804 A JP H10310804A
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JP
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furnace
degreasing
binder
pressure
oxygen
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JP9117918A
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Ippei Yamauchi
一平 山内
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Shimadzu Mectem Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】炉内の焼損や爆発等の危険性を伴うことがな
く、また周辺作業環境の悪化や装置全体のコストアッ
プ、大型化を伴うことなく、脱脂を極めて効果的に行
い、最終製品の品質を確実に向上させる。 【解決手段】脱脂工程では処理空間S1を減圧、加熱状
態とすることのみによって被処理物Wに対するバインダ
の大半の除去を行い、反応脱ガス工程に移行した後は、
処理空間W内に空気を導入し且つ圧力をパルス状に変化
させて被処理物Wに対する残留バインダの除去を行うよ
うにしたので、脱脂工程でCOやCO2の大量発生を防
ぎながらバインダの大半を除去することができ、また脱
ガス工程で残留高分子系バインダの確実な除去を排気能
力の高いポンプを用いずに行うことが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属射出成形プロ
セスに好適に適用される脱脂焼結方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、金属射出成形品の脱脂焼結を行う
手法として、専用の脱脂炉内に大気を導入し、攪拌しな
がら、炉内に配置した被処理物に対して脱脂処理を施す
ことが行われている。大気導入を行えば、大気中に含ま
れる酸素成分がバインダを酸化分解するので、バインダ
の除去を効率良く進行させることができる。そして、脱
脂完了後、炉から被処理物を取り出して、焼結炉に移し
替え、焼結工程に移行するようにしている。
【0003】ところが、このような手法では、脱脂工程
と焼結工程の間で被処理物が外気に接触するため、被処
理物に水分その他の不純物が混入し易く、純度の高い製
品を得ることが難しいばかりか、全体の処理効率の低下
も招くという問題がある。これに対し、脱脂から焼結ま
でを単一炉内で一貫して行うことで、炉の移し替えに伴
う不具合を解消する試みがなされている。しかしなが
ら、従来の焼結炉でこのような連続工程を採用すると、
脱脂温度がMax.600°Cと高温であるため、導入
した大気が炉内のヒータや断熱材などを酸化により焼損
させるだけでなく、ヒータ近くに存在するバインダ蒸気
が酸素雰囲気の下にヒータの放電により引火して炉内全
体の爆発につながる恐れもある。
【0004】そこで、近時、このような不具合を解消す
る手法として、図4に示すように、炉1内のヒータ14
によって加熱され得る位置に内箱2を内設し、この内箱
2に被処理物を収容して、内箱2の中に酸素又は酸素混
合ガスを炉1外より内導入系5を通じて直接導入し、か
つそのガスを内排気系3を通じて炉1外へ直接排気しな
がら減圧酸素雰囲気下に被処理物に対するバインダ除去
のための脱脂工程全般を実施し、引き続き酸素の導入を
止め、処理空間S1をより高温、高真空にして、被処理
物に残留する高分子系バインダ除去のための脱ガス工程
を実施する試みもなされている。
【0005】このような手法を採用すれば、脱脂雰囲気
がこの内箱2内の処理空間S1に制限され、ヒータ14
が配置されている炉内空間S2にガスが漏出することが
ないため、炉内構成部材の酸化による焼損の問題や、バ
インダ蒸気がヒータ周辺に漏出した際にヒータ14の放
電により引火して爆発すること等を有効に回避できる効
果が見込める。その上、減圧雰囲気下で脱脂を行うと、
大気圧下で脱脂を行う場合に比べてより低い蒸気圧でバ
インダ若しくは分解した成分が蒸発するため、脱脂を効
率良く進行させることが期待できる。図5は以上のプロ
セスにおける温度制御、圧力制御の概要を示すタイムチ
ャート図である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように脱脂工程全般に亘って内箱2内の処理空間S1に
酸素を導入すると、脱脂開始当初からいきおいバインダ
と酸素の結合反応が始まり、脱脂前半でバインダの殆ど
が酸素と結合することによりCOやCO2が大量発生す
る。このため、事実上、脱脂雰囲気を内箱2内に制限す
ることが難しく、ガスが炉内空間S2に漏出して上述し
た諸種の不具合を引き起こすおそれがあるばかりか、か
かるCOやCO2が炉1の排気系3を通じ噴煙となって
排出され、特にCOは有毒ガスであることもあって、周
辺の作業環境を極めて劣悪な状態に陥れる恐れが高い。
しかも、脱脂工程によってある程度のバインダを除去し
た後、脱ガス工程に移行したとき、従来の方法では処理
空間S1を高温、高真空に保つことによって被処理物に
残留する高分子系バインダの除去を行うようにしている
ため、被処理物から発生する大量のアウトガスを油回転
真空ポンプRP及びメカニカルブースタポンプMBだけ
では被処理物の品質に見合う真空度にまで排気すること
ができず、排気能力の大きい油拡散ポンプDP等を用い
ることが不可欠となる。このため、排気装置全体が大掛
かりなものとなり、コストパフォーマンスやスペースフ
ァクタの低下を招く要因ともなっている。しかも、この
ように排気に頼るのみでは、高分子系残バインダの脱脂
速度が極めて遅く、非効率であるばかりか、含有残バイ
ンダの除去が不十分である場合には低炭素鋼においては
規格値以下の含有炭素量が得られず、また、溶融による
型崩れを防ぐためにその後の焼結工程における焼結温度
が制約を受け、最終製品の焼結密度を向上させることに
も一定の限界が生ずる。
【0007】本発明は、以上のような課題に着目してな
されたものであって、炉内の焼損や爆発等の危険性を伴
うことなく、脱脂焼結処理の性能を有効に向上させるこ
とができるようにした脱脂焼結方法を提供することを目
的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明の脱脂焼結方法は、炉内のヒータによ
って加熱され得る位置に内箱を内設し、この内箱内の処
理空間に被処理物を収容して減圧雰囲気下に脱脂工程を
実施するとともに、引き続き内箱内に酸素又は酸素混合
ガスを炉外より直接導入しかつそのガスを炉外へ直接排
気しながら略パルス状に圧力を変化させつつ減圧酸素雰
囲気下で被処理物に残存したバインダの反応脱ガス工程
を実施し、その後、真空下で脱ガス工程を実施し、ヒー
タを昇温させて被処理物に対する焼結工程を実施するこ
とを特徴とする。
【0009】このような方法において、脱脂工程で除去
されるべき低分子系バインダや高分子系バインダは、実
際には酸素の助けを借りずとも所定の脱脂温度において
減圧雰囲気に置くだけである程度までは有効に蒸発す
る。このため、バインダ成分の大半を、CO2、COや
未分解ガスの大量発生を伴わずにこの脱脂工程において
除去することができる。そして、反応脱ガス工程に移行
したときに、処理空間内をパルス状に圧力を変化させる
減圧酸素雰囲気にすれば、被処理物があたかも呼吸する
かのように酸素の吸入、排出を繰り返すので、その間に
被処理物の中にまで有効に入り込んだ酸素が残留高分子
系バインダを分解し、その炭素と結合してガス化すると
いう触媒的な作用を営む。このため、単に減圧雰囲気に
置く場合に比べて、極めて効果的に残留バインダの除去
を行うことができる。しかも、この反応脱ガス工程に先
だつ脱脂工程において、既にバインダの大半は有毒ガス
であるCOの形をとらずに被処理物から除去されてお
り、この反応脱ガス工程で高分子系バインダが酸素と結
合して発生するCO2は比較的無害かつ希少量であるた
め、炉内汚染や噴煙による作業環境の悪化につながる恐
れも有効に低減化することができる。さらに、このよう
に脱脂、脱ガスを効果的に行うことで、その後の焼結工
程における焼結温度をより高い温度に設定することが可
能となり、最終製品の焼結密度を高めて品質を有効に向
上させることができる。さらにまた、従来の脱ガス工程
に不可欠であった油拡散ポンプ等の排気能力の大きいポ
ンプが不要になるため、装置全体のコストパフォーマン
スやスペースファクタを有効に向上させることができ
る。
【0010】具体的な実施の態様としては、内箱内を炉
内空間よりも若干減圧とし、炉内空間に不活性ガスを導
入しそのガスを定常的に内箱内の処理空間内へ差圧フロ
ーさせることでバインダの逆流が生じないようにする手
法や、内箱の気密性を向上する手法等が挙げられる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、図1〜図3を参
照して説明する。図1は、この実施例の脱脂焼結方法を
実施する際に用いられる熱処理装置を示し、図2はその
周辺配管部分を示している。この熱処理装置は、炉1内
のヒータ14によって加熱され得る位置に配置されて内
側に処理空間S1を閉成する内箱2と、前記処理空間S
1を直接炉1外に排気する内排気系3と、この内箱2の
外側に位置する炉内空間S2に炉1外から外入ガスXを
導入する外導入系4と、前記処理空間S1に炉1外から
直接酸素混合ガスである空気Yを導入する内導入系5と
を具備してなる。
【0012】詳述すると、炉1は、炉胴11の内部にグ
ラファイトフェルト製の断熱材12によって包囲される
加熱室13を有し、この加熱室13にグラファイト製の
ヒータ14を内箱2を取り囲むように内設してなるもの
で、炉胴11の一部を構成する蓋11aを断熱材12の
一部を構成する蓋12aと共に開閉することによって被
処理物Wの出し入れを可能としている。この炉1には、
被処理物Wを収容した後に蓋11a、12aを閉めて炉
内空間S2を真空排気するために、バルブ61を有する
外排気系6を介して排気手段7が接続されている。この
排気手段7は、油回転真空ポンプRPを主体として構成
されるもので、この油回転真空ポンプRPの上流にはバ
ルブ71、72の切替え操作を通じて選択的にメカニカ
ルブースタポンプMPを直列に接続できるようにしてい
る。
【0013】内箱2は、前記加熱室13におけるヒータ
14の中心部に配置されてヒータ14により加熱される
グラファイト製のもので、箱本体21と、この箱本体2
1の両端開口部を閉止する位置に配設される蓋22とを
具備してなる。この内箱2は、グラファイトという素材
の持つ性質により、また箱本体21が蓋22により開閉
可能とされる構造よりして、完全なる気密性を呈し得る
ものではなく、箱本体21と蓋22との当接隙間等を通
じてある程度のガスの流通を許容し得るものである。ま
た、この内箱2の内部の処理空間S1は多段棚構造をな
しており、各段の棚板の中央には開口が設けられ、これ
らの開口は底壁部に接続した内排気系3に連通されてい
るとともに、内箱2の頂壁部には内導入系5が接続さ
れ、この内導入系5の始端が炉1外に延出されている。
そして、内導入系5から内箱2内にガスが導入された場
合に、そのガスを各段の棚板に沿って流通させ、内排気
系3から流出させ得るようにしている。
【0014】内排気系3は、一端を炉胴11及び断熱材
12を貫通して内箱2に接続してなるもので、他端をバ
ルブ31、ワックス溜タンク32及びワックストラップ
33を介して前記排気装置7に接続している。外導入系
4は、一端を前記炉胴11を貫通して内側の炉内空間S
2に接続され、他端をガス供給源41にバルブ42を介
して接続してなるもので、このガス供給源41にはN2
やAr等の不活性ガスXが充填されている。
【0015】内導入系5は、一端を炉胴11及び断熱材
12を貫通して内箱2に接続され、他端をガス供給源5
1にバルブ52を介して接続してなるもので、このガス
供給源51は空気Yを供給し得るボンベや圧空ポンプ等
で構成されている。なお、油回転真空ポンプRPの直ぐ
上流にはパルス制御用排気弁81を有する流路コンダク
タンス切替用の排気系路82が接続され、その排気弁8
1は炉1の内空間が所定圧力になるように圧力設定器8
3によって制御可能とされている。また、炉1内には図
示しないファンが内設され、このファンは適宜の制御手
段を通じて回転数をインバータ制御可能とされている。
図においてバルブ91を備えたライン92は、初期排気
時に炉1内をワックス溜タンク32やワックストラップ
33を介さずに排気するために設けられた初期排気用の
ものであり、この初期排気ライン92は炉1内をベント
する機能をも備え、そのための大気開放弁93を有して
いる。
【0016】次に、この熱処理装置を用いた本実施例の
脱脂焼結方法を説明する。図3は制御の概要を示すタイ
ムチャート図である。先ず、被処理物Wを内箱2内にセ
ットし、外排気系6及び内排気系3を開け、ポンプR
P、MBを作動させて、炉内空間S2及び処理空間S1
を予備排気する。炉1内が所定真空度(例えば8×10
-2Torr)に達したら、外排気系6のバルブ61を閉
じ、少なくとも内排気系3を作動させたままの状態で、
今度は外導入系4のバルブ42を開いて炉内空間S2に
ガスXを導入すると同時に、ヒータ14に通電して、処
理空間S1を250°C、10-1Torrに保ち、被処
理物Wに対する脱脂工程を開始する。これにより、炉1
内には、炉内空間S2に導入されたガスXが図1中矢印
で示すように内箱本体21と蓋22との当接隙間等を通
って処理空間S1に達し、更に内排気系3を通って炉1
外に排出されるというガスの流れが形成される。そし
て、このような中で被処理物Wから蒸発するバインダ
は、ガスXと共に、炉内空間S2へ漏出することなくガ
スXと共に内箱2から内排気系3に排出された後、ワッ
クス溜タンク32及びワックストラップ33において有
害分を捕獲され、ポンプMB、RPを介して排気され
る。このプロセスでは主として低分子系バインダが除去
される。また、このような処理では除去され難い高分子
系バインダを除去するために、この脱脂プロセスの後半
においては炉1内の温度を600°Cに上げ、またポン
プMBを内排気系3から一旦外すことにより圧力を30
Torrに上げて、高分子系バインダの除去を促す。
【0017】このようにして、ある程度バインダの除去
が完了すると、反応脱ガス工程に移行する。先ず、内導
入系5のバルブ52を開き、内箱2に炉1外から直接空
気Yを導入する。このとき、圧力設定器51がパルス制
御用排気弁81を制御し、処理空間S1内をパルス状に
圧力が変化する減圧酸素雰囲気にする。また、導入する
空気中の酸素でグラファイトが酸化することを防止する
ために、ヒータ14の温度を一旦300°C前後に落と
す。これにより、導入された空気Yは被処理物Wの周囲
を流通する際に被処理物Wに接触し、残留バインダであ
る高分子系バインダの酸化分解を促進する触媒的な作用
を営む。特に、上記のようなパルス状の圧力変化をつけ
ることで、被処理物Wがあたかも呼吸するかのように酸
素の吸入、排出を繰り返し、その間に被処理物Wの中に
まで有効に入り込んだ酸素が炭素と結合して高分子系バ
インダを分解、除去する触媒的な作用を営む。しかし
て、この分解生成されたガスも、バインダ蒸気や空気Y
等と共に炉内空間S2へ漏出することなくガスXと共に
内箱2の排気口2cを経て内排気系3に排出された後、
ワックス溜タンク32やワックストラップ33において
有害分を捕獲され、ポンプRPを介して排気される。更
にその後、一旦炉1内に大気を導入し、ファンを用いて
内部を攪拌した後、内導入系5からの空気Yの導入を止
め、ポンプMB及びRPを用いて炉1内圧力を10-2
orrに減圧し、この状態で温度を1050°Cにまで
高めて脱ガス工程の後半を実施する。
【0018】以上の脱ガス工程が完了したなら、ポンプ
MBを外して引き続き炉1内圧力を5Torr〜100
Torrの弱減圧、温度を1350°C程度にまで高め
て焼結工程を実施し、さらに炉1内圧力を650Tor
rに上昇させ、ヒータをOFFにしてファンを起動さ
せ、冷却工程を実施した後に、全工程を終えた被処理物
Wを炉1外に取り出す。
【0019】このようにして、本実施例の脱脂焼結方法
は、脱脂雰囲気を内箱2内の処理空間S1に制限し、こ
の処理空間S1から炉内空間S2にガスが漏出すること
がないようにして脱脂処理を進行させるものであるた
め、ヒータ14や断熱材12を始めとする各種の炉内構
成部材の汚染や酸化による焼損の問題を有効に回避する
ことができると同時に、脱脂時にバインダ蒸気をヒータ
14の周辺に漏出させることがないため、バインダ蒸気
がヒータ14の放電等により引火して爆発するようなこ
とが無く、被処理物Wに対するバインダの酸化分解を安
全に進めることが可能となる。その上、減圧雰囲気下で
脱脂を行うことで、大気圧下で脱脂を行う場合に比べて
より低い蒸気圧でバインダ若しくは分解した成分を蒸発
させることができ、脱脂を効率良く進行させることが可
能となる。さらに、脱脂と焼結を連続して行うため、脱
脂後の被処理物Wの変質等が無く、安定した処理を効率
的に実施することができる。
【0020】以上に加え、本実施例の方法によると、脱
脂工程で除去されるべき低分子系バインダや高分子系バ
ンダーは、実際には酸素の助けを借りずとも所定の脱脂
温度において減圧雰囲気に置くだけである程度有効に取
り除かれる。このため、バインダ成分の大半(例えば9
0〜95%)を、CO2、COや未分解ガスの大量発生
を伴わずにこの脱脂工程において除去することが可能と
なる。そして、反応脱ガス工程に移行したときに、処理
空間S1内をパルス状に圧力を変化させる減圧酸素雰囲
気にすれば、被処理物Wがあたかも呼吸するかのように
酸素の吸入、排出を繰り返し、その間に被処理物Wの中
にまで有効に入り込んだ酸素が残留高分子系バインダを
分解し、その炭素と結合してガス化するという触媒的な
作用を営む。このため、単に減圧雰囲気に置く場合に比
べて、極めて効果的に残留バインダの除去を行うことが
できる。しかも、この反応脱ガス工程に先だつ脱脂工程
において、既にバインダの大半は有毒ガスであるCOの
形をとらずに被処理物Wから除去されており、この反応
脱ガス工程で高分子系バインダが酸素と結合することに
より発生するCO2は比較的無害かつ希少量であるた
め、炉内汚染や噴煙による作業環境の悪化につながる恐
れも有効に低減化することができる。さらに、このよう
に脱脂、脱ガスを効果的に行うことで、その後の焼結工
程における焼結温度をより高い温度に設定しても被処理
物Wの溶融による型崩れが生じなくなり、最終製品の焼
結密度を高めて品質を有効に向上させることができる。
さらにまた、従来の脱ガス工程に不可欠であった油拡散
ポンプ等の排気能力の大きいポンプが不要になるため、
装置全体のコストパフォーマンスやスペースファクタを
有効に向上させることができる。本発明者の実験による
と、例えばSUS316Lに対する残留カーボン値を、
太物品、異形品の如何によらずJIS規格値である0.
03%よりも1桁ないしそれ以上に低減化できる効果が
得られ、イニシャルコストやランニングコストも従来に
比べて数十%安価にすることができたものである。
【0021】なお、各部の具体的な構成は、上述した実
施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱し
ない範囲で種々変形が可能である。例えば、上記実施例
では脱ガス工程の初期にグラファイトの酸化を防ぐため
に温度を300°Cに下げたが、温度をそのままにして
酸素分圧を低く抑えるようにしても構わない。また、内
導入系5から導入する空気に代えて、適当な酸素混合ガ
ス乃至純粋な酸素を用いることもできる。
【0022】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。すなわ
ち、本発明の脱脂焼結方法は、脱脂工程では処理空間を
減圧、加熱状態とすることのみによって被処理物に対す
るバインダの大半の除去を行い、反応脱ガス工程に移行
した後は、処理空間内に酸素乃至酸素混合ガスを導入し
且つ圧力をパルス状に変化させて被処理物に対する残留
バインダの除去を行うようにしたものである。このた
め、COやCO2の大量発生を防ぎつつ周辺作業環境を
良好に保って脱脂工程を行い、かつ脱ガス工程における
高分子系バインダの除去を効率良く行うことで残留カー
ボン値を著しく低減化することができ、また、脱ガス工
程時に不可欠であった排気能力の高いポンプも不要にし
てコスト低減と装置全体の小形化を果たすことができ、
さらに最終製品の品質も確実に向上させることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で用いた炉の概略的な縦断面
図。
【図2】炉周辺のシステムを説明するための図。
【図3】同実施例の温度及び圧力制御の概要を示すタイ
ムチャート図。
【図4】従来例を示す図2に対応した図。
【図5】同従来例の図3に対応したタイムチャート図。
【符号の説明】
1…炉 2…内箱 14…ヒータ S1…処理空間 W…被処理物 Y…空気

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炉内のヒータによって加熱され得る位置に
    内箱を内設し、この内箱内の処理空間に被処理物を収容
    して減圧雰囲気下に脱脂工程を実施するとともに、引き
    続き内箱内に酸素又は酸素混合ガスを炉外より直接導入
    しかつそのガスを炉外へ直接排気しながら略パルス状に
    圧力を変化させつつ減圧酸素雰囲気下で被処理物に残存
    したバインダの反応脱ガス工程を実施し、その後、真空
    下で脱ガス工程を実施し、ヒータを昇温させて被処理物
    に対する焼結工程を実施することを特徴とする脱脂焼結
    方法。
JP9117918A 1997-05-08 1997-05-08 脱脂焼結方法 Withdrawn JPH10310804A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106738911A (zh) * 2017-01-20 2017-05-31 深圳市贝优通新能源技术开发有限公司 一种具有无氧打印环境的3d打印机
WO2020166071A1 (ja) * 2019-02-15 2020-08-20 CSG Investments株式会社 鋳型製造方法及び鋳型製造方法に用いる鋳型構造体再加熱用呼吸炉

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