JPH10306361A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板

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JPH10306361A
JPH10306361A JP12785097A JP12785097A JPH10306361A JP H10306361 A JPH10306361 A JP H10306361A JP 12785097 A JP12785097 A JP 12785097A JP 12785097 A JP12785097 A JP 12785097A JP H10306361 A JPH10306361 A JP H10306361A
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淳一 稲垣
Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
T Alpass Ahmad
ティー アルパス アーメット
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形時の耐パウダリング性が良好なめっき皮
膜を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供すること。 【解決手段】 鋼板表面に鋼板側からΓ相、Γ1相とδ
1相の混在層、δ1相もしくはδ1相とζ相が順次形成
された合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、Γ相の平均
厚さが1.5μm以下、Γ1相とδ1相の混在層の平均
厚さがΓ相の平均厚さの2倍未満、Γ1相とδ1相の混
在層中におけるΓ1相の存在比率が皮膜断面における面
積比で10%以上〜60%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車・家電・建
材など、特にプレス成形やロール成形後に使用される合
金化溶融亜鉛めっき鋼板に関し、特に成形時の耐パウダ
リング性を改善した合金化溶融亜鉛めっき皮膜に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来から合金化溶融亜鉛めっき鋼板の皮
膜構造に関しては下記に示すいくつかの技術が開示され
ているが、それぞれの持つ工業的な困難さから実際に応
用されているものは少ない。
【0003】特開平1−68456号公報(以下、従来
技術1と記す。)には、耐パウダリング性および耐フレ
ーキング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する
技術が開示されており、目付量およびFe、Al濃度が
規定され、地鉄界面のΓ相が1.0μm以下、めっき層
表面にη相及びζ相が存在しない合金化溶融亜鉛めっき
皮膜が開示されている。
【0004】特開平3−249162号公報(以下、従
来技術2と記す。)には、摺動性、表面処理性、耐パウ
ダリング性を併せ持つ合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関す
る技術が開示されており、冷延鋼板の表面に、δ1相単
独若しくはδ1相と厚さ1μm以下のΓ1相からなり、
かつ表層結晶の平均アスペクト比が3以下の塊状結晶の
Fe−Zn合金皮膜を有する合金化溶融亜鉛めっき皮膜
が開示されている。
【0005】特開平4−83859号公報(以下、従来
技術3と記す。)には、塗装後の低温衝撃密着性に優れ
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関する技術が開示されて
おり、鋼板側からΓ相、δ1相、ζ相の3層構造であ
り、合金層量CW、合金層中のΓ相厚さtg(μm)
を、CW>46・tg+12で表される範囲とすること
を特徴とする合金化溶融亜鉛めっき皮膜が開示されてい
る。
【0006】特開平6−17221号公報(以下、従来
技術4と記す。)には、接着接合性に優れた合金化溶融
亜鉛めっき鋼板に関する技術が開示されており、鋼板と
の界面部がΓ相で、その表面側にΓ1相が存在し、めっ
き層全体の厚さに対するΓ1とΓ両相の合計の厚さの比
が0.10以上であり、かつΓ1相に対するΓ相の厚さ
の比が0.05〜0.50である合金化溶融亜鉛めっき
皮膜が開示されている。
【0007】特開平7−34213号公報(以下、従来
技術5と記す。)には、鋼板表面に、Fe濃度が7〜1
5%で、界面にFeが濃化された合金化溶融亜鉛めっき
皮膜であって、鋼板表面に最大径10μm以下、高さ
0.1〜2μmの凸部が形成され、この表面に、1.5
μm以下のΓ相、および0.5〜3.5μmのΓ1相が
存在し、さらにその上にδ1相或いはδ1+ζ相より成
る皮膜が存在することを特徴とする界面密着性に優れた
合金化溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】合金化溶融亜鉛めっき
鋼板製造プロセスでは、焼鈍、表面調整(一般的には水
素還元)された鋼板をAlを微量含む亜鉛浴の中に浸漬
することによりめっきし、付着量調整後に合金化炉内で
Zn−Fe間に合金化反応を生じさせ、皮膜をZn−F
e系の金属間化合物とする。Zn−Fe系の金属間化合
物にはΓ相、Γ1相、δ1相、ζ相と呼ばれる4種の相
が存在するが、それらの存在状態が品質に大きく影響す
る。特にΓ相やΓ1相が厚くなると皮膜が剥離しやすく
なるため、それらを薄くした皮膜構造が上述のように提
案されている。
【0009】従来技術1はδ1+Γ構造に関するもので
あり、η相及びζ相が存在せずΓ相を1.0μm以下に
制限するところに皮膜構造上の特徴を有している。しか
しながら、その明細書本文中に記載されているように、
上記皮膜を製造するためにはめっき浴への浸漬時間を3
秒好ましくは2秒以下、浴中有効Al量を0.1%以下
にする必要があり、従来にない新しいプロセスを用いな
ければ工業的に製造することは困難である。
【0010】従来技術2はδ1相単独若しくはδ1相と
厚さ1μm以下のΓ1相からなる皮膜構造に関するもの
であり、鋼板の浴中への侵入温度と合金化条件を適切に
選べば、従来の製造プロセスで製造可能である。しかし
ながら、鋼種や鋼板の表面状態によりΓ相が発生する場
合があり上記皮膜構造を工業的に安定して得るためには
製造条件の厳密なコントロールが必要である。
【0011】従来技術3は塗装後の低温衝撃密着性改善
を目的になされたもので、Γ相、δ1相、ζ相の3層構
造においてΓ相の厚さを全合金層厚によって決まる所定
の値以下にするところに特徴がある。すなわち、衝撃エ
ネルギーを皮膜で吸収するために、めっき層厚を厚く
し、さらに衝撃下でのクラックの起点となるΓ相の厚さ
を低減することが開示されている。しかしながら、めっ
き層厚を厚くすることは鋼板を成形する際の剥離量の増
加に繋がり、耐パウダリング性の観点からは好ましくな
い(SAE Technical Paper Series 890349(1989)[The Pe
eling-Off Resistance of Zinc and Iron-Zinc Coated
Steel Sheets in Stamping])。
【0012】従来技術4は接着接合性改善のために提案
されたもので、鋼板界面にΓ相、その表面にΓ1相が存
在し、Γ1相およびΓ相の合計厚さが所定値以上であ
り、かつΓ1相の厚さがΓ相の厚さの2〜20倍である
合金化溶融亜鉛めっき皮膜が示されている。すなわち、
その発明者らはΓ1相とΓ相とが共存するとそれらが、
緩衝相として作用するために接着接合に要求される剪断
引張強度が改善されることを知見し、その知見に基づい
て上記技術を完成させたものであり、そのためにはΓ1
とΓ両相が所定量以上なければならず、これは前述した
ように耐パウダリング性にとって好ましいことではな
い。さらに、この皮膜構造を達成するためには、鋼板上
にあらかじめFe−C電気めっきや浸炭などの前処理を
施す必要があり、製造コストが上昇するという難点を持
つ。
【0013】従来技術5は界面密着性を改善するために
提案されたものであり、そのために鋼板表面に特定の凸
部を形成しその表面に1.5μm以下のΓ相、および
0.5〜3.5μmのΓ1相、δ1相或いはδ1+ζ相
が形成された皮膜を形成するものであって、これも耐パ
ウダリング性を改善するものではない。なお、その中に
は、Γ相の成長を抑え、Γ相に比して厚いΓ1相をその
上に形成すると、耐パウダリング性が改善されることが
記載されている。
【0014】以上、従来技術をまとめると次のようにな
る。 (1)耐パウダリング性に関してはδ1単相組織が好ま
しいが、Γ相あるいはΓ1相が存在する場合にはそれら
が、薄い方が良い。 (2)低温衝撃密着性改善のためにはΓ相を薄くし、め
っき皮膜を厚くする必要がある。ただし、皮膜を厚くす
ることによって耐パウダリング性は劣化する。 (3)接着接合性や界面密着性を改善するためにはΓ1
とΓを積極的に共存させ、しかもΓ1がΓに比べて厚い
必要がある。
【0015】このように、耐パウダリング性を改善する
ために従来技術1や2の方法が存在するが、これらは従
来プロセスでは製造困難か、または鋼種や鋼板の表面状
態により最適製造条件が変化してしまうために工業的に
安定して製造するのが困難であり、一方、従来技術3〜
5の皮膜構造は耐パウダリング性にとっては必ずしも最
適化されたものでないために、需要家の要求を必ずしも
満足するものではない。
【0016】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、成形時の耐パウダリング性が良好なめっき
皮膜を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供すること
を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】前述したように、合金化
溶融亜鉛めっき皮膜は溶融亜鉛と鋼板との合金化反応に
より形成されるが、一般的にこれらの合金化反応により
形成される皮膜構造はΓ相、Γ1相、δ1相、ζ相が混
在する皮膜構造となる。そこで、本発明者らは、Γ相、
Γ1相、δ1相、ζ相からなる皮膜構造を制御し、耐パ
ウダリング性にとって最も適した皮膜構造を得ることを
目的に、皮膜構造と耐パウダリング性との関係を詳細に
調査した。その結果、以下の結論を得た。
【0018】(1)プレス成形やロール成形のように皮
膜表面の摺動と鋼板自体の変形が同時に生じる加工モー
ド、すなわち、皮膜に剪断歪と引張・圧縮歪が同時に付
与されるような加工モードでは、図1の(a)に示すよ
うに、加工の初期に主として引張応力によってδ1相中
に鋼板/皮膜界面に垂直なクラック(以下、垂直クラッ
ク)が皮膜の硬さによって決まる所定間隔で発生する。
垂直クラックの発生により、皮膜中に蓄えられた歪は、
一旦開放されるが、加工がさらに進み皮膜が鋼板の変形
に追従できなくなると、図1の(b)に示すように、垂
直クラックの近傍から、鋼板/皮膜界面に平行なクラッ
ク(以下、水平クラック)が発生する。この水平クラッ
クが隣接する垂直クラックまで達すると、皮膜剥離が起
こるようになる。
【0019】(2)このようなクラックの発生状況には
皮膜構造が大きく影響する。 (3)皮膜表層に軟質のζ相やη相が存在する場合に
は、δ1相中に発生した垂直クラックは皮膜表面へ貫通
せず、ζ相の存在領域で停止する。(図2(a))。
【0020】(4)一方、水平クラックの発生および伝
播には鋼板/皮膜界面付近の相構造が影響する。すなわ
ち、鋼板/皮膜界面にΓ相のみが存在する場合、水平ク
ラックの伝播経路は鋼板/Γ相界面となり(図2
(b))、歪量が同一の場合にはΓ相厚の増加と共に伝
播距離は増大する。一方、Γ相上にΓ1相が存在する場
合、平行クラックの伝播経路はΓ1相の存在状態によっ
て変化する。すなわち、Γ1相は発生初期には針状の形
態でδ1相中に成長し、合金化の進行とともに楔状、さ
らにはブロック状へと変化してゆく。すなわち、Γ相と
の界面が増加してゆく。そして耐パウダリング性は針状
の時が最も良好であり、楔状・ブロック状になると劣化
する。
【0021】これは、針状の段階では、図2の(c)に
示すように、平行クラックの伝播経路は複雑な様相を呈
するが、楔状になると、図2の(d)に示すように、ク
ラックはΓ相/Γ1相界面を伝播するようになり、皮膜
剥離すなわちパウダリングが生じやすくなるためであ
る。
【0022】(5)このような水平クラック伝播経路の
変化による耐パウダリング性の変化は、Γ1相とδ1相
の混在層中におけるΓ1相の面積比で良く説明できる。
【0023】本発明は、上記知見に基づいて完成された
ものであり、鋼板表面に鋼板側からΓ相、Γ1相とδ1
相の混在層、δ1相またはδ1相とζ相が順次形成され
た合金溶融亜鉛めっき鋼板において、Γ相の平均厚さが
1.5μm以下、Γ1相とδ1相の混在層の平均厚さが
Γ相の平均厚さの2倍未満、Γ1相とδ1相の混在層中
におけるΓ1相の存在比率が皮膜断面における面積比で
10%以上60%以下であることを特徴とする合金化溶
融亜鉛めっき鋼板を提供するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下本発明について、詳細に説明
する。単純な「曲げ」や「引張」「圧縮」と異なり、プ
レス成形やロール成形では皮膜中に剪断応力と引張およ
び/または圧縮応力が同時に作用する。このような場合
には耐パウダリング性に対する皮膜構造の影響も異なっ
てくる。
【0025】耐パウダリング性を改善するためには、ζ
相を生成させて垂直クラックを皮膜内で停止させる方法
が考えられるが、ζ相は融点が低く、しかも皮膜表面に
多く存在するために、場合によっては摺動性を低下さ
せ、プレス成形性を劣化させることがある。
【0026】そこで、もう1つの方法として水平クラッ
クの伝播に抵抗を与える方法が重要になる。水平クラッ
クの伝播挙動に関しては、Γ/鋼板界面あるいはΓ/Γ
1界面で直線的にクラックが進展する場合には比較的容
易にクラックが伝播するが、Γ1相とδ1相の混在層中
におけるΓ1相の存在比率が皮膜断面における面積比で
10%以上60%以下である場合、図2の(c)に示す
ように、クラックの伝播経路が屈曲すると同時にクラッ
クの進展に対する抵抗が増大するため耐パウダリング性
も改善される。
【0027】この原因は以下のように考えられる。Γ1
相はΓ相とδ1相の界面に核発生し、δ1相中に成長す
る。Γ1相の成長と共にその形状は針状−楔状−ブロッ
ク状と変化して行くが、固相内成長であるため、図3に
示すように、その成長と共にΓ1相およびδ1相内に内
部応力が蓄積される。この内部応力が増加すると、Γ/
Γ1およびδ1/Γ界面の剪断強度が相対的に弱くな
り、水平クラックが伝播しやすくなる。
【0028】図4は楔状〜ブロック状に成長したΓ1相
が存在する場合の剥離状態を示す電子顕微鏡写真であ
り、剥離がΓ/Γ1およびδ1/Γ界面で起こっている
ことがわかる。
【0029】一方、伝播経路がΓ/鋼板界面からΓ/Γ
1界面およびδ1/Γ界面へ変化する際の移行段階を考
えると、それぞれの界面で部分的に結合力の弱い部分が
存在するために、水平クラックは直線的ではなく弱い界
面を縫って走るようになる。そのために皮膜剥離に多く
のエネルギーを要するようになり剥離しにくくなるもの
と考えられる。
【0030】前述したように、Γ相は薄い方が耐パウダ
リング性にとって好ましく、本発明ではΓ相の厚さを平
均厚さとして1.5μm以下と規定する。一方、Γ1相
については、水平クラックの伝播経路が変化するという
観点から下限が、剪断強度の低下の観点から上限がそれ
ぞれ決定される。
【0031】前述したように、Γ1相とδ1相中に発生
する内部応力はΓ1相とδ1相の混在層中におけるΓ1
相の存在比率に依存し、これらの比率が10%以上60
%以下であれば、内部応力が小さくなって、クラックの
進展に対する抵抗が増大し、耐パウダリング性が改善さ
れるところから、これらの存在比率を皮膜断面における
面積比で10%以上60%以下と規定する。
【0032】さらに、Γ1相の成長と共にΓ/Γ1界面
積が増加し、界面強度が低下するため、これらの界面強
度を十分な値に維持する観点から、Γ1相の厚さ(Γ1
相の結晶の平均高さ)を、Γ相の平均厚さの2倍未満と
規定する。
【0033】なお、Γ相およびΓ1相の平均厚さの測定
は、皮膜の断面をナイタルなどにより腐食後、走査型電
子顕微鏡(SEM)により好ましくは5000倍以上で
観察することにより可能であり、Γ1相とδ1相の混在
層の厚さはΓ1相の平均厚さ、混在層中におけるΓ1相
の存在比率は混在層中におけるΓ1結晶断面の面積比と
して画像解析などにより定量化される。その際の皮膜構
造の定義を図5に示す。
【0034】本発明においては、対象となる合金化溶融
亜鉛めっき鋼板の製造方法については特に限定されるも
のではないが、以下の方法を用いて好適に製造すること
ができる。
【0035】まず、Alを0.05〜0.3%含有する
亜鉛めっき浴中に470℃好ましくは450℃以下に冷
却した鋼板を浸漬することによりめっきを施す。この
時、Al濃度と侵入板温は浴中でOutburst反応
を起こさせないように上記の値に規定する。これは、O
utburst反応が起きると、その直後にΓ相が核発
生するためであり、その結果、Γ相厚の増大や、Γ1相
の成長が起こりやすくなるためである。
【0036】Outburst反応の開始を遅らせるこ
とが本発明の皮膜構造を得るために重要な点となる。し
たがって、Outburst反応が起こりやすいIF鋼
をめっき原板として使用するときは浴中Al量を0.1
3%以上に高めることが好ましい。また、Outbur
st反応の開始を遅らせるためには、浴温を450℃以
下としたり、めっき鋼板の表面にCを含む薬液を塗布し
た後に焼鈍・めっきを行うなどの方法をとっても良い。
【0037】このように、Outburst反応を抑制
しながら溶融めっきを行った後、付着量制御および合金
化処理を行う。このとき、鋼板の最高到達板温を450
℃以上550℃以下とする。Γ1相は550℃以下の温
度領域で安定に存在するため、めっき皮膜中のFe含有
量が8%以上、14%以下となるように所定時間合金化
加熱した時にΓ相とδ1相の界面にはΓ1相が核発生す
る。そこで、この核発生直後の針状のΓ1相を楔状ある
いはブロック状に成長させないことが重要になる。その
ためには、350℃以下250℃以上の温度まで25℃
/s以上の冷却速度で急速冷却すればよい。
【0038】なお、鋼板の最高到達板温を550℃以上
とするとΓ相は合金化加熱中に過度に成長し好ましくな
い。また、350℃以下250℃以上の温度まで急冷し
た後に皮膜内の歪を緩和するために上記温度範囲内で徐
冷あるいは均熱処理を行ってもよい。
【0039】このような条件で製造することにより、皮
膜/鋼板界面付近の皮膜構造はΓ相の平均厚さが1.5
μm以下、Γ1相とδ1相の混在層の平均厚さがΓ相の
平均厚さの2倍未満、Γ1相とδ1相の混在層中におけ
るΓ1相の存在比率が皮膜断面における面積比で10%
以上60%以下という本発明の条件を満たすものとな
る。
【0040】皮膜の表面構造はδ1相でも、δ1相とζ
相とが混合した構造でもよい。皮膜に摺動性が要求され
る場合には前者が、摺動性があまり要求されない場合に
は後者の構造が好ましい。ζ相の有無を制御するために
は、本発明者らが既に提案した、特開平4−23526
5号公報、特開平4−232240号公報などに記載さ
れた方法を用いればよい。すなわち、原板鋼種に応じ
て、浴中Al量、侵入板温、浴温度などの浴条件を特定
することにより、浴中でのζ相形成反応を制御するとと
もに、合金化加熱炉の処理温度を特定することにより最
終的な皮膜構造を制御する。
【0041】本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
製造するに際しては、浴中にAlが添加されていること
が必要であるが、Al以外の浴中添加成分は特に限定さ
れない。すなわち、Alの他にFe,Pb,Sb,S
i,Sn,Mg,Mn,Ni,Ti,Li,Cuなどが
含有ないしは添加されていても、本発明の効果が損なわ
れるものではない。さらに、本発明においては、めっき
原板の成分についても何ら限定されるものではない。ま
た、皮膜表面にNi−Fe−O系やFe−Zn系などの
上層皮膜を付与してもよい。
【0042】
【実施例】表1に示す成分の冷延鋼板(板厚:0.8m
m)をCGLに通板し、種々の皮膜構造を持つ合金化溶
融亜鉛めっき鋼板を製造した。
【0043】
【表1】
【0044】この時の製造条件は、焼鈍温度850℃と
し、浴への侵入板温、浴中Al濃度および浴温を、それ
ぞれ440℃〜465℃、0.120〜0.145wt
%および450℃〜470℃とした。続いてめっきの付
着量を片面あたり45〜90g/m2に制御し、460
〜540℃の最高到達板温となるように合金化加熱した
後その加熱温度から300℃までの平均冷却速度を25
〜35℃/sとなるように急速冷却した。その後、0.
5%の調査圧延を行い皮膜調査用のサンプリングを行っ
た。
【0045】皮膜構造の調査は以下のように実施した。
まず、鋼板の断面を研磨し、5%硝酸アルコール(ナイ
タル)で腐食を行った。次に走査型電子顕微鏡により任
意の位置から3視野の写真を撮影し、各視野について2
μm間隔で10点ずつΓ相の厚さを測定し、すべての測
定値の平均値をΓ相の平均厚さとした。
【0046】一方、Γ1相は個別の結晶として出現する
ため、各結晶の厚さ(長辺)を20点測定しそれらの平
均値をΓ1相の平均厚さと定義した。さらに、Γ1相と
δ1相の混在層中におけるΓ1相の存在比率は、上記Γ
1相の平均厚さの領域内におけるΓ1結晶の面積の比率
を画像解析により定量化した。
【0047】なお、ζ相の有無はX線解析により、ζ
(−4、2、1)とδ1(2、4、9)のピーク比を測
定し、I(ζ)/I(δ1)の値から判断した。I
(ζ)/I(δ1)の値が0.4以下の時、実質的にζ
相が存在しないとみなすことができる。
【0048】耐パウダリング性は図6に示すビード引抜
試験と実プレス試験で評価した。ビード引抜では皮膜付
着量によっても剥離量が変化するため、ビード引抜試験
は雄型ビードでしごかれた面のめっき剥離量を測定し、
試験前の皮膜付着量に対する百分率で評価した。
【0049】図6において、参照符号1は試験片、2は
雌型ビード、3は雄型ビードである。実際の試験におい
ては、試験片1を雌型ビード2と雄型ビード3ではさみ
込み、一定の圧力で押し付けながら試験片を引き抜く。
そして、試験前後の重量変化から、剥離量を測定した。
この際に、押し付け力は500Kgf、雌型ビード肩R
は1.0mm、雄型ビード先端Rは0.5mmとした。
【0050】さらに、実プレス試験は、乗用車のフェン
ダー型を使用し、150枚の連続プレス後、プレス品表
面の欠陥発生状況および型に付着したパウダーの量によ
り評価した。そして、評価基準は以下のようにした。 ◎:プレス品…表面欠陥発生せず パウダー量…軽微 △:プレス品…パウダリングによる押しキズ発生(10
%未満) パウダー量…少量 ×:プレス品…パウダリングによる押しキズ発生(10
%以上) パウダー量…多量 これらの結果を表2にまとめる。
【0051】
【表2】
【0052】表2に示すように、本発明例はいずれも耐
パウダリング性が良好であるのに対し、本発明の範囲外
である比較例はいずれも耐パウダリング性が不十分なも
のであった。また、上述した従来技術1〜5についても
十分な耐パウダリング性が得られていないことが確認さ
れた。以上の結果より、本発明の効果が確認された。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
鋼板表面に鋼板側からΓ相、Γ1相とδ1相の混在層、
δ1相もしくはδ1相とζ相が順次形成された皮膜構造
を前提として、耐パウダリング性にとって最も適した皮
膜構造を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】剪断・引張・圧縮応力下でのパウダリング現象
を示す模式図。
【図2】皮膜構造とパウダリング現象を示す模式図。
【図3】Γ1相の成長と皮膜内部応力を示す模式図。
【図4】合金化溶融亜鉛めっき皮膜の剥離状態を示す電
子顕微鏡写真。
【図5】皮膜構造の定義を説明するための模式図。
【図6】ビード引抜試験装置を示す断面図。
【符号の説明】
1……試験片 2……雌型ビード 3……雄型ビード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アーメット ティー アルパス 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面に鋼板側からΓ相、Γ1相とδ
    1相の混在層、δ1相またはδ1相とζ相が順次形成さ
    れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板であって、Γ相の平均厚
    さが1.5μm以下、Γ1相とδ1相の混在層の平均厚
    さがΓ相の平均厚さの2倍未満、Γ1相とδ1相の混在
    層中におけるΓ1相の存在比率が皮膜断面における面積
    比で10%以上60%以下であることを特徴とする合金
    化溶融亜鉛めっき鋼板。
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