JPH10306314A - 軟磁性合金の製造方法 - Google Patents

軟磁性合金の製造方法

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JPH10306314A
JPH10306314A JP11164897A JP11164897A JPH10306314A JP H10306314 A JPH10306314 A JP H10306314A JP 11164897 A JP11164897 A JP 11164897A JP 11164897 A JP11164897 A JP 11164897A JP H10306314 A JPH10306314 A JP H10306314A
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Teruo Bito
輝夫 尾藤
Takashi Hatauchi
隆史 畑内
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Akihisa Inoue
明久 井上
Takeshi Masumoto
健 増本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異方性エネルギーの制御を可能にして用途に
応じた異方性エネルギーを付与でき、しかも生産性を向
上できる軟磁性合金の製造方法の提供。 【解決手段】 Feを主成分とし、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群から選ばれた1種
または2種以上からなる元素MとBを含む金属の溶湯を
冷却体に射出し急冷して得られた非晶質合金薄帯に熱処
理を施す際に、少なくとも昇温時に静磁場中で熱処理す
るとともに昇温速度を調整し、平均結晶粒径30nm以
下の微細結晶組織を組織の50%以上析出させるととも
に誘導磁気異方性を付与することにより誘導磁気異方性
を制御する工程を少なくとも備える軟磁性合金の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッド、トラ
ンス、チョークコイル等の磁気デバイスに使用される軟
磁性合金の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、磁気ヘッドのコアやパルスモー
タの磁心あるいはトランスやチョークコイルなどの磁気
デバイスに用いられている軟磁性合金に要求される特性
は、飽和磁束密度が高いこと、透磁率が高いこと、低保
磁力であること、薄い形状が得やすいこと、低磁歪であ
ること、適度な磁気異方性エネルギーを付与できるこ
と、角型比(Ir/Is)を制御できること、磁区構造を
制御できることなどである。従って軟磁性合金の開発に
おいては、これらの観点から種々の合金系において材料
研究がなされている。従来、上述の用途に用いられる材
料として、センダスト、パーマロイ、けい素鋼等の結晶
質合金が用いられ、特に最近では、Fe系やCo系の非
晶質合金も使用されるようになってきている。
【0003】ところで、軟磁性合金を種々の磁気デバイ
スに利用するにあたっては、薄帯状とされた軟磁性合金
がよく用いられる。そのような軟磁性合金薄帯を製造す
るには、圧延に代るものとして、溶融した合金を高速に
回転する冷却体に吹付けることにより急冷して得る方法
が知られている。そして、そのような溶融した合金を急
冷して製造した非晶質合金薄帯においては、例えば特公
平4−4393号公報に記載されているように非晶質合
金合金薄帯を真空中または窒素等の不活性ガス雰囲気中
において一定時間保持することにより熱処理を施すこと
により、急冷時には非晶質であった軟磁性合金に結晶相
を生成させることが行われており、これにより高い飽和
磁束密度と透磁率を有する優れた軟磁気特性を示し、耐
摩耗性にも優れた軟磁性合金が得られる。また、上述の
ような軟磁性合金薄帯において磁気異方性は、熱処理を
磁場中で行うことに付与されており、磁気特性の制御は
熱処理時の保持時間を変更することにより行われてい
た。
【0004】また、磁気デバイスに利用される軟磁性合
金のその他の例としては、特願平4−226257号公
報に記載されているCo−Ta−Hf系のアモルファス
軟磁性合金が知られており、このアモルファス軟磁性合
金の製法としては、スパッタ法によりCo−Ta−Hf
系のアモルファス合金薄膜を成膜した後、熱処理するこ
とにより、フェライトと同じ程度の飽和磁束密度を有し
ながらも、非常に高い透磁率を有し、かつ磁歪は殆ど0
に近く、耐熱性に優れたアモルファス軟磁性合金を得る
ことができる。また、このようなアモルファス軟磁性合
金において、磁気異方性は静磁場中で熱処理を行うこと
により付与されており、磁気特性の制御は、熱処理時の
降温速度を調整することにより行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述のよ
うな従来法においては、優れた磁気特性を有する軟磁性
合金が得られるものの、機器の小型化、高性能化、量産
化に対応するために、より高性能の軟磁性材料、特に、
作製する磁気デバイスに応じた異方性ネルギーを有する
軟磁性合金をより生産性良く製造できる方法の開発が望
まれているが、従来の軟磁性合金の製造方法においては
異方性エネルギーの制御が困難であることから、軟磁性
合金に付与された異方性エネルギーは殆ど同じ値であ
り、用途も限られてしまうという問題があった。本発明
は上記課題を解決するためになされたもので、異方性エ
ネルギーの制御を可能にして用途に応じた異方性エネル
ギーを付与でき、しかも生産性を向上できる軟磁性合金
の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、Feを主成分
とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wか
らなる群から選ばれた1種または2種以上からなる元素
MとBを含む金属の溶湯を冷却体に射出し急冷して得ら
れた非晶質合金薄帯に熱処理を施す際に、少なくとも昇
温時に静磁場中で熱処理するとともに昇温速度を調整
し、平均結晶粒径30nm以下の微細結晶組織を組織の
50%以上析出させるとともに誘導磁気異方性を付与す
ることにより誘導磁気異方性を制御する工程を少なくと
も備えることを特徴とする軟磁性合金の製造方法を上記
課題の解決手段とした。上記熱処理を施す際の昇温速度
は、0.67゜C/秒以下とすることが好ましい。上記
熱処理を施す際の保持時間は、0〜60分とすることが
好ましい。上記熱処理を施す際の保持温度は、480〜
810℃とすることが好ましい。上記誘導磁気異方性付
与後の異方性エネルギー(Ku)は、20〜200J/
3の範囲内の値のものが得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の製造方法により軟磁性合金を製造するには、ま
ずFeを主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、T
a、Mo、Wからなる群から選ばれた1種または2種以
上の金属元素からなる元素MとBを含む金属溶湯を急冷
して非晶質合金薄帯を生成する。この合金薄帯の製造方
法は、例えば金属溶湯を高速回転している冷却ロール等
の移動する冷却体に射出するなどの周知の方法を用いる
ことができる。
【0008】続いて、生成された非晶質合金薄帯に熱処
理を施す。ここで熱処理を施すにあたっては、図1に示
すように非晶質合金薄帯を室温から結晶化温度以上の所
定温度(保持温度)まで昇温し、ついで所定温度(保持
温度)で所定時間保持した後、空冷等により降温する
が、このとき、誘導磁気異方性を付与するために少なく
とも昇温時に静磁場中で熱処理するとともに昇温速度を
調整し、平均結晶粒径30nm以下の微細結晶組織を組
織の50%以上析出させるとともに誘導磁気異方性を付
与する。
【0009】本発明において熱処理する際に少なくとも
昇温時に静磁場中で行うのは、磁気異方性の起源は異な
った種類の原子が異方的に配列するためであり、異方性
を誘導するには原子の再配列が必要であり、原子の再配
列を伴う結晶化の際に異方性が誘導されやすからであ
る。このような理由により本発明の製造方法では、少な
くとも昇温時に静磁場中で熱処理を行えばよいが、昇温
時と保持時と降温時の全熱処理工程を静磁場中で行って
もよいし、昇温時と保持時を静磁場中で行ってもよい。
また、非晶質合金薄帯に印加する静磁場の方向は、特に
限定されず、横磁界でも、縦磁界でもよく、目的とする
角型比等に応じて変更可能である。本発明において熱処
理する際に昇温速度を調整するのは、異方性の誘導に必
要な原子の再配列は、結晶化の再に最も生じやすいた
め、非晶質合金薄帯の結晶化温度を通過する際の昇温速
度を制御することにより、原子の再配列の程度を制御す
ることができるためである。従って、熱処理する際の昇
温速度を調整することにより、軟磁性合金が用途に応じ
た異方性エネルギー(Ku)を有するように誘導磁気異
方性を制御することができる。
【0010】熱処理を施す際の昇温速度は、0.5゜C
/秒以下とすることが好ましく、より好ましくは0.2
゜C/秒以下である。昇温速度が0.5゜C/秒を超え
ると昇温速度を変更しても異方性エネルギー(Ku)の
値は殆ど一定であり、また、その値も低いので、異方性
エネルギーの制御が困難で用途に応じた異方性エネルギ
ーを軟磁性合金に付与することができない。ただし、F
eの一部をCoに置換した場合、大きな異方性エネルギ
ーが得られるため、昇温速度は0.67゜C/秒以下の
範囲としても良い。
【0011】熱処理により平均結晶粒径30nm以下の
微細結晶組織が析出したのは、急冷状態の合金薄帯は非
晶質を主体とする組織となっており、これを加熱して昇
温させると、ある温度以上で平均結晶粒径が30nm以
下の、Feを主成分とするbcc(体心立方構造)結晶
粒からなる微結晶相が析出するからである。このbcc
構造を有するFe微結晶相が析出する温度は合金の組成
によって変化するが、480〜550℃程度である。ま
たこのbcc構造を有するFe微結晶相が析出する温度
よりも高い温度に達するとFe3B、あるいは合金にZ
rが含まれる場合にはFe3Zr等の軟磁気特性を悪化
させる化合物相が析出する。このような化合物相が析出
する温度は合金の組成によって変化するが、740〜8
10℃程度である。したがって、本発明において、非晶
質合金薄帯を熱処理する際の保持温度は480℃〜81
0℃の範囲で、bcc構造を有するFeを主成分とする
微結晶相が好ましく析出しかつ上記化合物相が析出しな
いように、合金の組成に応じて好ましく設定される。
【0012】本発明において、非晶質合金薄帯を上記保
持温度に保持する時間は、0から60分間とすることが
でき、合金の組成によっては0分、すなわち図2に示す
ように昇温後直ちに降温させて保持時間無しとしても、
目的とする異方性エネルギーが得られるとともに高い透
磁率を得ることができる。また特にCuおよびSi、殊
にSiを含まない組成の場合には、10分以下のさらに
短い保持時間で目的とする異方性エネルギーが得られる
とともに高い透磁率を得ることができる。これはSiを
添加した場合は、FeにSiを充分に固溶させる必要が
あるため、保持時間を長くしなくてはならないためであ
る。ここで保持時間は60分より長くても構わないが、
保持時間を長くしても磁気特性は向上せず、製造時間が
長くなって生産性が悪くなるので好ましくない。
【0013】上述のような操作により誘導磁気異方性付
与後の軟磁性合金の異方性エネルギー(Ku)は、20
〜200J/m3の範囲内のものを得ることができる。
作製する磁気デバイスに応じた異方性エネルギー(K
u)や磁気特性の具体例としては、軟磁性合金をコモン
モードチョークコイルに用いる場合は、異方性エネルギ
ー(Ku)が20〜150J/m3、角型比が約0.1
以下であり、可飽和コアに用いる場合は、異方性エネル
ギー(Ku)が10〜30J/m3、角型比が約0.9
以上である。
【0014】本発明の軟磁性合金の製造方法にあって
は、非晶質合金薄帯に熱処理を施す際に、少なくとも昇
温時に静磁場中で熱処理するとともに昇温速度を調整
し、平均結晶粒径30nm以下の微細結晶組織を組織の
50%以上析出させるとともに誘導磁気異方性を付与す
ることにより誘導磁気異方性を制御する工程を備えるこ
とにより、異方性エネルギーおよび磁区構造の制御が可
能であり、作製する磁気デバイスに応じた適度な異方性
エネルギーを付与できるうえ角型比や透磁率などの軟磁
気特性が優れた合金を生産性良く製造することができ
る。また、本発明の軟磁性合金の製造方法においては、
非晶質合金薄帯を熱処理する際の保持時間が短くて済
み、また場合によっては保持時間無としても、異方性エ
ネルギーおよび磁区構造の制御が可能であるうえ軟磁気
特性が優れた合金が得られるので、製造時間を短縮する
ことができ、生産性を向上させることができる。
【0015】本発明による合金が優れた軟磁気特性を示
す理由として、析出したbcc結晶粒の粒径が微細なた
めに従来の結晶質材料において軟磁気特性を劣化させる
原因の1つであるとされていた結晶磁気異方性がbcc
粒子間の磁気相互作用により平均化され、みかけの結晶
磁気異方性が非常に小さくなるためであると考えられ
る。ここで、主体となる結晶粒の平均結晶粒径が30n
mよりも大きいと、結晶磁気異方性の平均化が十分でな
く軟磁気特性が劣化するため望ましくない。また、微結
晶相が50%未満であると、粒子間の磁気相互作用が弱
まり、軟磁気特性が劣化する為、望ましくない。
【0016】本発明の軟磁性合金の製造方法は、Feを
主成分とし、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wからなる群から選ばれた1種または2種以上から
なる元素MとBを含んだ軟磁性合金の製造に好適であ
る。または、下記の各式で示される組成の軟磁性合金に
特に好適である。 Febxy FebxyZ Febxyd FebxydZ 但し、Tは、Cu、Ag、Au、Pd、Ptかなる群か
ら選ばれた1種または2種以上の元素であり、XはS
i、Al、Ge、Gaのうちの1種または2種以上の元
素であり、組成比を示すb、x、y、d、zは、7 5≦b≦
93原子%、0.5≦x≦18原子%、4≦y≦9原子
%、dは4.5原子%以下、zは4原子%以下である。
【0017】これらの組成の軟磁性合金においては、F
eの添加量を示すbの値は、93原子%以下である。こ
れは、bが93原子%を超えると液体急冷法によって非
晶質単相を得ることが困難になり、この結果、熱処理し
てから得られる合金の組織が不均一になって高い透磁率
が得られないためである。また、飽和磁束密度(Bs)
10kG以上を得るためには、bが75原子%以上であ
ることがより好ましいのでbの範囲を75〜93原子%
とした。またFeの一部は、磁歪等の調整のためにCo
もしくはNiで置換してもよく、この場合、好ましくは
Feの10%、さらに好ましくは5%以下とするのがよ
い。この範囲外であると透磁率が劣化する。また、C
o、Niを添加すると、より大きな異方性エネルギーが
得られるので、大きな異方性エネルギーが必要な場合は
Co、Niを添加することが好ましい。
【0018】また、Bには、軟磁性合金の非晶質形成能
を高める効果、結晶組織の粗大化を防ぐ効果、および熱
処理工程において磁気特性に悪影響を及ぼす化合物相の
生成を抑制する効果があると考えられる。また、本来、
α-Feに対してZr、Hfはほとんど固溶しないが、
合金の全体を急冷して非晶質化することで、ZrとHf
を過飽和に固溶させ、この後に施す熱処理によりこれら
元素の固溶量を調節して一部結晶化し、微細結晶相とし
て析出させることで、得られる軟磁性合金の軟磁気特性
を向上させ、合金薄帯の磁歪を小さくできる。また、微
結晶相を析出させ、その微結晶相の結晶粒の粗大化を抑
制するには、結晶粒成長の障害となり得る非晶質相を粒
界に残存させることが必要であると考えられる。さら
に、この粒界非晶質相は、熱処理温度の上昇によってα
−Feから排出されるZr、Hf、Nb等のM元素を固
溶することで軟磁気特性を劣化させるFe−M系化合物
の生成を抑制すると考えられる。よって、Fe−Zr
(Hf)系の合金にBを添加することが重要となる。B
の添加量を示すXが、0.5原子%を下回る場合、粒界の
非晶質相が不安定となるため、十分な添加効果が得られ
ない。また、Bの添加量を示すXが18原子%を超える
と、B-M系およびFe-B系において、ホウ化物の生成
傾向が強くなり、この結果、微細結晶組織を得るための
熱処理条件が制約され、良好な軟磁気特性が得られなく
なる。このように適切な量のBを添加することで析出す
る微細結晶相の平均結晶粒径を30nm以下に調整する
ことができる。
【0019】また、非晶質相を得やすくするためには、
非晶質形成能の特に高いZr、Hf、Nbのいずれかを
含むことが好ましく、Zr,Hf,Nbの一部は他の4
A〜6A族元素のうち、Ti,V,Ta,Mo,Wのい
ずれかと置換することができる。また、Zr,Hf,N
bのうち、Hfは非常に高価な元素であるため、原料コ
ストを考慮すると、Zr,Nbのいずれかを含むことが
より好ましい。こうしたM元素は、比較的遅い拡散種で
あり、M元素の添加は、微細結晶核の成長速度を小さく
する効果、非晶質形成能を持つと考えられ、組織の微細
化に有効である。しかし、M元素の添加量を示すyが4
原子%を下回る値になると、核成長速度を小さくする効
果が失われ、この結果、結晶粒径が粗大化し良好な軟磁
性が得られない。Fe-Hf-B系合金の場合、Hf=5
原子%での平均結晶粒径は13nmであるのに対してH
f=3原子%では39nmと粗大化する。他方、M元素
の添加量を示すyが9原子%を超えると、M-B系または
Fe-M系の化合物の生成 傾向が大きくなり、良好な特
性が得られない他、液体急冷後の薄帯状合金が脆化し、
所定のコア形状等に加工することが困難となる。よっ
て、yの範囲を4〜9 原子%とした。中でもNb、M
o、Wは、酸化物の生成自由エネルギーの絶対値が小さ
く、熱的に安定であり、製造時に酸化しずらいものであ
る。よって、これらの元素を添加している場合は、製造
条件が容易で安価に製造することができ、また、製造コ
ストの面でも有利である。これらの元素を添加して上記
軟磁性合金を製造する場合に、具体的には、溶湯を急冷
する際に使用するるつぼのノズルの先端部に、不活性ガ
スを部分的に供給しつつ大気中で製造もしくは大気中の
雰囲気で製造することができる。
【0020】また、Si,Al,Ge,Gaのうち1種
または2種以上(X)を4原子%以下含有することが好
ましい。これらは半金属元素として知られるものである
が、これらの半金属元素はFeを主成分とするbcc相
(体心立方晶の相)に固溶する。それらの元素の含有量
が4原子%を超えると磁歪が大きくなるか、飽和磁束密
度が低下するか、透磁率が低下するので好ましくない。
これらの元素は、軟磁性合金の電気抵抗を上昇させ、鉄
損を低下させる効果があるが、Alは特にその効果が大
きい。またGe,Gaは結晶粒径を微細化させる効果が
ある。従ってSi,Al,Ge,Gaのうち、Al,G
e,Gaは添加した効果が特に大きく、Al,Ge,G
aの単独添加もしくはAlとGe、AlとGa、Geと
Ga、AlとGeとGaの複合添加とすることがより好
ましい。
【0021】更に、Cu,Ag,Au,Pd,Ptの1
種または2種以上(T)を4.5原子%以下含有させる
と、軟磁気特性が改善される。Cu等のように、Feと
固溶しない元素を微量添加することにより、組成が揺ら
ぎ、Cuが結晶化の初期段階にクラスターを形成し、相
対的にFeリッチな領域が生じ、α−Feの核生成頻度
を増加させることができる。また、結晶化温度を示差熱
分析法により測定したところ、上記Cu,Ag等の元素
の添加は結晶化温度をやや低めるようである。これは、
これらの添加により非晶質中に組成揺らぎが導入され、
その結果、非晶質の安定性が低下したことに起因すると
考えられる。組成揺らぎを伴った非晶質相が結晶化する
場合、部分的に結晶化しやすい領域が多数でき均一核生
成するため、得られる組成が微細結晶粒組織となると考
えられる。以上の観点からこれらの元素以外の元素でも
結晶化温度を低下させる元素には、同様の効果が期待で
きる。
【0022】尚、これらの元素以外でも耐食性を改善す
るために、CrやRu,Rh,Pd,Os,Ir,Pt
などの白金族元素を添加することも可能である。これら
の元素は、5原子%よりも多く添加すると、飽和磁束密
度の劣化が著しくなるため、添加量は5原子%以下に抑
える必要がある。また、他に、必要に応じてY,La,
Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,D
y,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Zn,Cd,I
n,Sn,Pb,As,Sb,Bi,Se,Te,L
i,Be,Mg,Ca,Sr,Ba等の元素を添加する
ことで得られる軟磁性合金の磁歪を調整することもでき
る。
【0023】その他、上記組成系の軟磁性合金におい
て、H、N、O、S等の不可避的不純物については所望
の特性が劣化しない程度に含有していても本発明で用い
る軟磁性合金の組成と同一とみなすことができるのは勿
論である。
【0024】
【実施例】
(製造例1)本発明の範囲内の合金の例としてFe84
3.5Zr3.58Cu1なる組成を有する非晶質合金薄帯
を製造した。非晶質合金薄帯の製造には図3に示すよう
な製造装置を用いた。この装置では、チャンバ10が、
冷却ロール3とるつぼ12を収納する箱状の本体部13
と、この本体部13に接合された箱状の収納部14とを
具備して構成されている。本体部13と収納部14は、
それぞれフランジ部13a,14aを介してボルト接合さ
れ、本体部13と収納部14との接合部分は気密構造に
されている。また、チャンバ10の本体部13には、真
空排気装置に接続された排気管15が接続されている。
上記冷却ロール3は、チャンバ10の側壁を貫通する回
転軸11によって支持されており、チャンバ10の外部
に設けられた図示略のモータによって冷却ロール3が回
転駆動されるようになっている。上記るつぼ12の下端
部にはノズル6が設けられており、るつぼ12の下部に
は加熱コイル9が設けられ、るつぼ12の内部に金属溶
湯2が収納される。
【0025】上記るつぼ12の上部は、供給管16を介
してArガスなどのガス供給源18に接続されるととも
に、供給管16には、圧力調節弁19と電磁弁20とが
組み込まれ、供給管16において圧力調節弁19と電磁
弁20との間には圧力計21が組み込まれている。ま
た、供給管16には補助管23が並列的に接続され、補
助管23には圧力調整弁24と流量調整弁25と流量計
26が組み込まれている。したがって、ガス供給源18
からるつぼ12内にArなどのガスを供給してノズル6
から金属溶湯2を冷却ロール3に吹き付けることができ
るようになっている。また、チャンバ10の天井部には
Arガスなどのガス供給源31が接続管32を介して接
続され、接続管32には圧力調節弁33が組み込まれ、
チャンバ10の内部にArガスなどを送れるようになっ
ている。
【0026】この製造装置を用いて合金薄帯を製造する
には、まずチャンバ10の内部を真空排気するととも
に、このチャンバ10内にガス供給源31からArガス
などの非酸化性ガスを送る。また、ガス供給源18から
Arガスをるつぼ12の内部に圧送し、金属溶湯2をノ
ズル6から吹き出すとともに、冷却ロール3を高速回転
させる。すると、金属溶湯2は冷却ロール3の頂部から
冷却ロール3の表面に沿って押し出され、薄帯4が得ら
れる。るつぼ12から金属溶湯2を冷却ロール3に連続
的に吹き出して薄帯4を連続製造すると、冷却ロール3
から引き出された薄帯4は、チャンバ10の収納部14
に収納される。この薄帯4はまだ予熱状態で温度が高い
ので、この段階で空気に触れると酸化するおそれが高い
が、チャンバ10の内部がArガスで満たされているの
で、チャンバ10の内部で酸化することはない。そし
て、薄帯4の連続製造が終了して収納部14内に収納さ
れている薄帯4の温度が常温近くまで下がったならば、
チャンバ10の本体部13と収納部14とを分離して薄
帯4を取り出せばよい。
【0027】ついで、得られたFe84Nb3.5Zr3.5
8Cu1なる組成の非晶質合金薄帯を巻回して作製したト
ロイダル状の試料(高さ15mm、内径18mm、外径
28mm)について静磁場を印加する時期を変更して熱
処理を行い、得られた軟磁性合金の異方性エネルギー
(Ku)について調べた。ここでの熱処理条件は、昇温
速度0.033゜C/秒、保持温度600゜Cで30分
保持、降温速度0.6゜C/秒であり、静磁場はトロイ
ダル状の試料の面方向(磁化容易軸方向)に垂直磁界
(横磁界)を2kOe印加した。
【0028】その結果、昇温時と保持時と降温時の全
熱処理工程に静磁界を印加して得られた軟磁性合金のK
uは52J/m3、昇温時のみ静磁界を印加して得ら
れた軟磁性合金のKuは46J/m3(の条件のとき
のKuの値(100%)に対して88%)保持時のみ
静磁界を印加して得られた軟磁性合金のKuは19J/
3(37%)、降温時のみ静磁界を印加して得られ
た軟磁性合金のKuは13J/m3(25%)であり、
昇温時と保持時と降温時の全熱処理工程に静磁界を印加
すると、昇温時のみ静磁界を印加するの場合が得ら
れる軟磁性合金のKuの値が大きいことがわかる。ここ
での異方性エネルギーは、〜の熱処理条件でそれぞ
れ得られた軟磁性合金の磁化曲線のB−Hカーブの傾き
から求めたものであり、B−Hカーブの傾きが大きい程
異方性エネルギーも大きくなる。
【0029】次に、Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる
組成の非晶質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の
試料に熱処理する際に昇温時と保持時と降温時に印加す
る静磁場の方向および磁界の強さと磁化曲線との関係に
ついて調べた。なお、熱処理時に印加する静磁界の方向
および磁界の強さ以外の熱処理条件は、昇温速度0.0
33゜C/秒、保持温度600゜Cで30分保持、降温
速度0.6゜C/秒であった。その結果を図4〜図6に
示す。図4は、Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる組成
のトロイダル状の試料を熱処理する際、磁路に垂直な方
向に160kA/mの垂直磁界(横磁界)を印加しなが
ら熱処理して得られた軟磁性合金の磁化曲線を示す図で
ある。図5は、Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる組成
のトロイダル状の試料を熱処理する際、磁界を印加する
ことなしに熱処理して得られた軟磁性合金の磁化曲線を
示す図である。図6は、Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1
なる組成のトロイダル状の試料を熱処理する際、磁路に
平行な方向に80A/mの平行磁界(縦磁界)を印加し
ながら熱処理して得られた軟磁性合金の磁化曲線を示す
図である。図4〜図6から非晶質合金薄帯を熱処理する
際に昇温時と保持時と降温時に印加する静磁場の方向お
よび磁界の強さを変更することにより、異なるB−H曲
線を得ることができるので、作製するデバイスに応じて
角型比、異方性エネルギーを制御できることがわかる。
【0030】次に、Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる
組成の非晶質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の
試料を熱処理する際に保持温度600゜Cで30分保持
した合金と、保持時間無し(保持時間0分)の合金のそ
れぞれについて、異方性エネルギー(Ku)の昇温速度
依存性について調べた。ここでの昇温速度以外の熱処理
条件は、降温速度0.6゜C/秒であり、静磁場は昇温
時と保持時と降温時の全熱処理工程中(但し、保持時間
無しのものについては昇温時と降温時)にトロイダル状
の試料の磁路に垂直な方向に垂直磁界(横磁界)を16
0kA/m(2kOe)印加した。結果を図7に示す。
図7からFe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる組成の非晶
質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の試料を横磁
界中で熱処理する際、昇温速度を0.2゜C/秒以下と
したものは、20J/m3以上の異方性エネルギーが得
られていることがわかる。また、熱処理する際に保持温
度600゜Cで30分保持した合金は、保持時間無しの
合金に比べて異方性エネルギーが大きいことが認められ
る。
【0031】次に、Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる
組成の非晶質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の
試料を熱処理するときの異方性エネルギー(Ku)の熱
処理温度依存性について調べた。ここでの熱処理条件
は、昇温速度0.67゜C/分、保持温度(熱処理温
度)での保持時間60分、降温速度0.6゜C/秒であ
り、静磁場は昇温時と保持時と降温時の全熱処理工程中
にトロイダル状の試料の磁路に垂直な方向に垂直磁界
(横磁界)を160kA/m(2kOe)印加した。結
果を図8に示す。図8から明らかなようにFe84Nb
3.5Zr3.58Cu1なる組成を用いて作製したトロイダ
ル状の試料を熱処理する際、熱処理温度を変更しても異
方性エネルギーは殆ど変化しておらず、異方性エネルギ
ーの熱処理温度依存性は認められないことがわかる。
【0032】次に、Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる
組成の非晶質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の
試料を熱処理するときの異方性エネルギー(Ku)の降
温速度依存性について調べた。ここでの降温速度以外の
熱処理条件は、昇温速度0.67゜C/分、保持温度
(熱処理温度)600゜Cで60分保持であり、静磁場
は昇温時と保持時と降温時の全熱処理工程中にトロイダ
ル状の試料の磁路に垂直な方向に垂直磁界(横磁界)を
160kA/m(2kOe)印加した。結果を図9に示
す。図9から明らかなようにFe84Nb3.5Zr3.58
Cu1なる組成を用いて作製したトロイダル状の試料を
熱処理する際、降温温度を変更しても異方性エネルギー
は殆ど変化しておらず、異方性エネルギーの降温速度依
存性は認められないことがわかる。従って、図7〜図9
よりFe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる組成の非晶質合
金薄帯を用いて作製したトロイダル状の試料を横磁界中
で熱処理する際、異方性エネルギーは昇温速度に大きく
依存することがわかる。
【0033】(製造例2)本発明の範囲内の合金の例と
して、Fe83Nb79Cu1なる組成の非晶質合金薄帯
を上記製造例1と同様にして製造し、さらにこのFe83
Nb79Cu1なる組成の非晶質合金薄帯を用いて作製
したトロイダル状の試料(高さ15mm、内径18m
m、外径28mm)を熱処理するときの異方性エネルギ
ー(Ku)の昇温速度依存性について調べた。ここでの
昇温速度以外の熱処理条件は、保持温度650゜Cで3
0分、降温速度0.6゜C/秒であり、静磁場は昇温時
と保持時と降温時の全熱処理工程中にトロイダル状の試
料の磁路に垂直な方向に垂直磁界(横磁界)を160k
A/m(2kOe)印加した。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示した結果から、製造例1と同様に
異方性エネルギーは昇温速度の影響を強く受け、0.2
゜C/秒以下とすることで大きな異方性エネルギーが得
られたことがわかる。
【0036】(製造例3)本発明の範囲内の合金の例と
して、Fe88.2Co1.8Zr72Cu1なる組成の非晶質
合金薄帯を上記製造例1と同様にして製造し、さらにこ
のFe88.2Co1. 8Zr72Cu1なる組成の非晶質合金
薄帯を用いて作製したトロイダル状の試料(高さ15m
m、内径18mm、外径28mm)を熱処理するときの
異方性エネルギー(Ku)の昇温速度依存性について調
べた。ここでの昇温速度以外の熱処理条件は、保持温度
600゜Cで30分、降温速度0.6゜C/秒であり、
静磁場は昇温時と保持時と降温時の全熱処理工程中にト
ロイダル状の試料の磁路に垂直な方向に垂直磁界(横磁
界)を160kA/m(2kOe)印加した。結果を表
2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】表2に示した結果から、Coを添加したこ
とにより、製造例1、2よりも大きな異方性エネルギー
が得られていることがわかる。更に、Coを添加した場
合でも、異方性エネルギーは昇温速度に強く依存し、昇
温速度を0.2゜C/秒以下としたもので、100〜2
00J/m3の大きな異方性エネルギーが得られた。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明の軟磁性合金
の製造方法にあっては、Feを主成分とし、Ti、Z
r、Hf、V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群から選
ばれた1種または2種以上からなる元素MとBを含む金
属の溶湯を冷却体に射出し急冷して得られた非晶質合金
薄帯に熱処理を施す際に、少なくとも昇温時に静磁場中
で熱処理するとともに昇温速度を調整し、平均結晶粒径
30nm以下の微細結晶組織を組織の50%以上析出さ
せるとともに誘導磁気異方性を付与することにより誘導
磁気異方性を制御する工程を少なくとも備えることによ
り、異方性エネルギーおよび磁区構造の制御が可能であ
り、作製する磁気デバイスに応じた適度な異方性エネル
ギーを付与できるうえ角型比や透磁率などの軟磁気特性
が優れた合金を生産性良く製造することができる。ま
た、本発明の軟磁性合金の製造方法においては、非晶質
合金薄帯を熱処理する際の保持時間が短くて済み、また
場合によっては保持時間無としても、異方性エネルギー
および磁区構造の制御が可能であるうえ軟磁気特性が優
れた合金が得られるので、製造時間を短縮することがで
き、生産性を向上させることができる。
【0040】また、上記熱処理における昇温速度を0.
67℃/秒以下とすることにより、異方性エネルギーの
制御が容易で用途に応じた異方性エネルギーを軟磁性合
金に付与し易い。また、上記熱処理における保持時間を
0〜60分間程度に短くすることもでき、製造時間の短
縮を図ることができる。また、上記熱処理における保持
温度は、具体的には480〜810℃の範囲が好まし
く、これにより良好な軟磁気特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の軟磁性合金の製造方法の熱処理パタ
ーンの例を示すグラフである。
【図2】 本発明の軟磁性合金の製造方法の熱処理パタ
ーンのその他の例を示すグラフである。
【図3】 本発明の軟磁性合金の製造方法に好適に用い
られる合金薄帯の製造装置の一例を示す構成図である。
【図4】 Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる組成の非
晶質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の試料を熱
処理する際、試料に160kA/mの垂直磁界(横磁
界)を印加しながら熱処理して得られた軟磁性合金の磁
化曲線を示す図である。
【図5】 Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる組成の非
晶質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の試料を熱
処理する際、磁界を印加することなしに熱処理して得ら
れた軟磁性合金の磁化曲線を示す図である。
【図6】 Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる組成の非
晶質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の試料を熱
処理する際、試料に80A/mの平行磁界(縦磁界)を
印加しながら熱処理して得られた軟磁性合金の磁化曲線
を示す図である。
【図7】 Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる組成の非
晶質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の試料を熱
処理するときの異方性エネルギー(Ku)の昇温速度依
存性を示すグラフである。
【図8】 Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる組成の非
晶質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の試料を熱
処理するときの異方性エネルギー(Ku)の熱処理温度
依存性について調べた結果を示す図である。
【図9】 Fe84Nb3.5Zr3.58Cu1なる組成の非
晶質合金薄帯を用いて作製したトロイダル状の試料を熱
処理するときの異方性エネルギー(Ku)の降温速度依
存性について調べた結果を示す図である。
【符号の説明】
2 金属溶湯 3 冷却ロール(冷却体) 4 合金薄帯
フロントページの続き (72)発明者 尾藤 輝夫 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 畑内 隆史 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806 (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区上杉3丁目8番22号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Feを主成分とし、Ti、Zr、Hf、
    V、Nb、Ta、Mo、Wからなる群から選ばれた1種
    または2種以上からなる元素MとBを含む金属の溶湯を
    冷却体に射出し急冷して得られた非晶質合金薄帯に熱処
    理を施す際に、少なくとも昇温時に静磁場中で熱処理す
    るとともに昇温速度を調整し、平均結晶粒径30nm以
    下の微細結晶組織を組織の50%以上析出させるととも
    に誘導磁気異方性を付与することにより誘導磁気異方性
    を制御する工程を少なくとも備えることを特徴とする軟
    磁性合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱処理を施す際の昇温速度を0.6
    7゜C/秒以下とすることを特徴とする請求項1記載の
    軟磁性合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記熱処理を施す際の保持時間を0〜6
    0分とすることを特徴とする請求項1又は2記載の軟磁
    性合金の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記熱処理を施す際の保持温度を480
    〜810℃とすることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の軟磁性合金の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記誘導磁気異方性付与後の異方性エネ
    ルギー(Ku)が20〜200J/m3であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の軟磁性合金の
    製造方法。
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