JPH10301578A - 能動型騒音振動制御装置 - Google Patents

能動型騒音振動制御装置

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JPH10301578A
JPH10301578A JP10616697A JP10616697A JPH10301578A JP H10301578 A JPH10301578 A JP H10301578A JP 10616697 A JP10616697 A JP 10616697A JP 10616697 A JP10616697 A JP 10616697A JP H10301578 A JPH10301578 A JP H10301578A
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vibration
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佐藤  茂樹
Takeshi Kimura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】サンプリング・クロックが固定の場合でも、更
新用基準信号の演算精度を向上させて、良好な騒音低減
制御、振動低減制御を実行したい。 【解決手段】コントローラ25は、固定サンプリング・
クロックの周期と同じ幅の基準方形波を駆動信号yとし
て出力した場合の応答波形に基づいて生成された伝達関
数フィルタC^の他に、基準方形波よりも幅の狭い方形
波を駆動信号yとして出力した場合の応答波形に基づい
て生成された端数用伝達関数フィルタ候補を複数種類記
憶しており、端数EDに応じて端数用伝達関数フィルタ
候補のうちから一つの端数用伝達関数フィルタC^' を
選択する。そして、コントローラ25は、伝達関数フィ
ルタC^に対応した基本数列RT と同様に、端数用伝達
関数フィルタC^' に基づいて端数用基本数列RT ' を
生成し、適応ディジタルフィルタの最終タップを更新す
る際には、端数用基本数列RT ' から更新用基準信号を
選択する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、適応アルゴリズ
ムに従ってフィルタ係数が更新される適応ディジタルフ
ィルタを用いて周期的な騒音又は周期的な振動の低減制
御を実行するようになっている能動型騒音振動制御装置
に関し、特に、制御音源又は制御振動源と残留騒音又は
残留振動を検出する手段との間の伝達関数をモデル化し
た伝達関数フィルタを有し、周期的な騒音又は周期的な
振動の発生状態を表す基準信号をその伝達関数フィルタ
でフィルタ処理することにより、適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数の更新に用いられる更新用基準信号を
演算するようになっており、しかもサンプリング・クロ
ックが固定である能動型騒音振動制御装置において、更
新用基準信号の演算精度が向上して、良好な騒音低減制
御、振動低減制御が実行されるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、騒音低減
に限定された発明ではあるが、特許第2524046号
(特開平5−249985号公報)がある。
【0003】即ち、上記特許に係る技術は、特に電子消
音方法及び装置に関するものであって、騒音源から発せ
られる周期性騒音又は疑似周期性騒音に対して逆位相で
且つ同一音圧の制御音(付加音)を干渉させることによ
り、消音を行うようになっている。そして、この特許に
あっては、制御音を生成するために同期式Filter
ed−X LMSアルゴリズム(SFXアルゴリズム)
を適用していて、これにより、コントローラにおける演
算量を大幅に低減することができる、というものであっ
た。
【0004】なお、上記特許には、サンプリング・クロ
ックを固定にしたもの(上記特許の請求項2に係る発
明)と、サンプリング・クロックを可変にしたもの(上
記特許の請求項3に係る発明)との両方が含まれてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記特許のう
ち、そのサンプリング・クロックを固定にしたものにあ
っては、制御音を発生させるスピーカと残留騒音を検出
するエラーセンサとの間の伝達関数を、制御に用いる固
定サンプリング・クロックの周期と同じ時間間隔で取り
込んだ数列を係数としたフィルタ(有限インパルス応答
型のフィルタ)として予め保存しておけば基本的には十
分である。これに対し、サンプリング・クロックを可変
にしたものにあっては、サンプリング・クロック毎の伝
達関数が必要であるから、極めて多数の伝達関数を生成
し記憶するか、若しくは、騒音低減制御と並行して伝達
関数を同定する処理を実行することが必要になる。
【0006】このため、単に演算負荷の軽減等を図るこ
とだけを考えるのなら、サンプリング・クロックは固定
にした方が有利である。また、演算負荷の軽減のために
は、サンプリング・クロックの周期は長い方がよいが、
サンプリング・クロックの周期が長過ぎるとそれだけ消
音効果が期待できなくなるから、演算処理を実行するコ
ントローラの能力が許す範囲で、サンプリング・クロッ
クの周波数は高くすることが望ましい。
【0007】しかしながら、例えば騒音源が車両のエン
ジンのような場合には、発生する騒音の周期はエンジン
の回転数に応じてリニアに変化するものであるため、サ
ンプリング・クロックが固定であると、騒音の周期がサ
ンプリング・クロックの周期の整数倍になるのは稀な現
象になる。
【0008】すると、固定サンプリング・クロックに同
期して出力される駆動信号のうち、騒音の一周期内の最
後に出力される駆動信号以外の駆動信号は、固定サンプ
リング・クロックの周期と同じ幅の方形波として出力さ
れるが、騒音の一周期内の最後の出力される駆動信号
は、固定サンプリング・クロックの周期よりも短い幅の
方形波(つまり騒音の一周期を固定サンプリング・クロ
ックの周期で除算した場合の端数と同じ幅の方形波)と
して出力されることになる。
【0009】しかし、サンプリング・クロックが固定で
あることから、上記従来の騒音低減装置では、伝達関数
フィルタを一種類しか記憶していなかった。つまり、伝
達関数フィルタは、有限インパルス応答型のディジタル
フィルタとして記憶されているが、LMSアルゴリズム
の特性から、その伝達関数フィルタの基礎になっている
インパルス応答測定時のインパルス信号として、サンプ
リング・クロックの周期と同じ幅の方形波を用いている
のである。
【0010】従って、上記端数と同じ幅で出力される駆
動信号との関係では、記憶している伝達関数フィルタの
精度が低いということになり、これが良好な騒音低減効
果を得る上で一つの支障になっていたことが判った(第
1の課題)。
【0011】さらに、基本的には基準信号を伝達関数フ
ィルタ(上記特許では、第2のフィルタ係数を有するデ
ィジタルフィルタが対応する。)でフィルタ処理した値
である更新用基準信号(上記特許では、リファレンス信
号が対応する。)を畳み込み演算によって求めようとす
ると、騒音の周期をサンプリング・クロックの周期で除
算した場合の端数の大きさによっては、更新用基準信号
の精度が十分でなくなり、それに基づいて行われる適応
ディジタルフィルタのフィルタ係数(上記特許では、第
1のフィルタ係数が対応する。)の更新演算の精度が低
下して、良好な騒音低減制御が実行できなくなる可能性
がある。
【0012】つまり、上記特許における表現や記号等を
用いれば、サンプリング・クロックが固定の場合、基準
信号を第2のフィルタでフィルタ処理することにより作
成される疑似周期列C〜の精度が低いため、その疑似周
期列C〜に基づいて作成されるリファレンス信号の精度
も低くなり、適応型ディジタルフィルタの精度も低くな
ってしまうのである。特に、コントローラの能力から、
サンプリング・クロックの周波数を十分に高くできない
場合、必然的に端数と固定サンプリング・クロックの周
期との差も大きくなるから、上記のような精度低下も顕
著になってしまう。
【0013】このような問題点を解決するために、本出
願人が先に提案した特開平7−129250号公報に開
示された技術がある。即ち、かかる公報に記載された装
置においては、基準信号と伝達関数フィルタとの畳み込
み演算に用いられる伝達関数フィルタのフィルタ係数
を、単に順番に用いるのではなく、基準信号の周期(つ
まり、騒音や振動の周期)をサンプリング・クロックの
周期で割った場合の端数に応じて選択するようにしてい
て、これにより、適応ディジタルフィルタの更新演算に
用いる更新用基準信号(上記特開平7−129250号
公報では、基準処理信号が対応する。)の精度を向上さ
せていた。
【0014】確かに、上記特開平7−129250号公
報に記載された発明であれば、上記特許をそのまま実行
した場合に比べて、更新用基準信号(疑似周期列C〜)
の精度を向上させることができたが、本発明者のその後
の研究によれば、改良の余地があることが判った。
【0015】特に、上記特開平7−129250号公報
に記載された発明のように、畳み込み演算により更新用
基準信号となる数列を作成する際だけではなく、実際に
適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新演算に用
いられる更新用基準信号の選択(上記特許では、疑似周
期列C〜に基づいてリファレンス信号を作成することが
対応する。)にも工夫をすれば、更なる精度向上が期待
できること判った(第2の課題)。
【0016】本発明は、上記のような種々の知見に基づ
いてなされたものであり、上記第1の課題に対応し、サ
ンプリング・クロックが固定であっても、騒音や振動の
一周期内に出力される全ての駆動信号との関係で伝達関
数フィルタの精度を良好に保つことができて、良好な騒
音低減制御、振動低減制御が実行される能動型騒音振動
制御装置を提供することを第1の目的としている。
【0017】また、本発明は、上記第1の課題及び第2
の課題の両方に対応し、サンプリング・クロックが固定
であっても、騒音や振動の一周期内に出力される全ての
駆動信号との関係で伝達関数フィルタの精度を良好に保
つことができるとともに、更新用基準信号の精度をさら
に向上でき、もって、良好な騒音低減制御、振動低減制
御が実行される能動型騒音振動制御装置を提供すること
を第2の目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、請求項1に係る発明は、騒音源又は振動源か
ら発せられる周期的な騒音又は周期的な振動と干渉する
制御音又は制御振動を発生可能な制御音源又は制御振動
源と、前記干渉した後の残留騒音又は残留振動を検出し
残留騒音信号又は残留振動信号として出力する残留騒音
検出手段又は残留振動検出手段と、前記騒音又は振動の
発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成
手段と、フィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタ
と、前記基準信号を前記適応ディジタルフィルタでフィ
ルタ処理することにより前記制御音源又は制御振動源を
駆動する駆動信号を生成し出力する駆動信号生成手段
と、前記制御音源又は制御振動源と前記残留騒音検出手
段又は残留振動検出手段との間の伝達関数をモデル化し
た伝達関数フィルタと、前記基準信号及び前記伝達関数
フィルタに基づいて更新用基準信号を生成する更新用基
準信号生成手段と、前記残留騒音信号又は残留振動信号
及び前記更新用基準信号に基づき逐次更新型の適応アル
ゴリズムに従って前記適応ディジタルフィルタのフィル
タ係数を更新する適応処理手段と、を備え、固定サンプ
リング・クロックに同期して各演算処理を実行するよう
になっている能動型騒音振動制御装置において、前記伝
達関数フィルタは、前記固定サンプリング・クロックの
周期と同じ幅の基準方形波を入力とした場合の応答波形
に基づいて各フィルタ係数を生成したディジタルフィル
タであり、前記周期的な騒音又は周期的な振動の周期を
前記固定サンプリング・クロックの周期で割った場合の
端数を求める端数演算手段と、前記基準方形波に代えて
前記端数と同じ幅の端数方形波を入力とした場合の前記
伝達関数フィルタに相当する端数用伝達関数フィルタと
して求める端数用伝達関数フィルタ生成手段と、を設け
るとともに、前記更新用基準信号生成手段は、前記基準
信号と前記伝達関数フィルタの各フィルタ係数とを畳み
込んで基本数列を生成する基本数列生成手段と、前記基
準信号と前記端数用伝達関数フィルタの各フィルタ係数
とを畳み込んで端数用基本数列を生成する端数用基本数
列生成手段と、前記基本数列又は前記端数用基本数列か
ら前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新に
用いる前記更新用基準信号を選択する更新用基準信号選
択手段と、を含んで構成され、前記更新用基準信号選択
手段は、前記適応ディジタルフィルタの各フィルタ係数
のうち、最終タップ以外のフィルタ係数の更新には前記
基本数列から前記更新用基準信号を選択し、最終タップ
のフィルタ係数の更新には前記端数用基本数列から前記
更新用基準信号を選択するようになっているものであ
る。
【0019】また、請求項2に係る発明は、上記請求項
1に係る発明である能動型騒音振動制御装置において、
前記基準方形波に代えて前記固定サンプリング・クロッ
クの周期以下の幅である方形波を入力とした場合の前記
伝達関数フィルタに相当する端数用伝達関数フィルタ候
補を、複数種類予め記憶しておき、前記端数用伝達関数
フィルタ生成手段は、前記端数に応じて、前記端数用伝
達関数フィルタ候補から前記端数用伝達関数フィルタを
選択するようになっているものである。
【0020】そして、請求項3に係る発明は、上記請求
項1に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、前記基準方形波に代えて実質的にデルタ関数と見な
すことができる単位パルス波を入力とした場合の前記伝
達関数フィルタに相当する伝達関数フィルタ単位波形
を、予め記憶しておき、 前記端数用伝達関数フィルタ
生成手段は、前記端数に相当する時間に渡って所定間隔
で前記伝達関数フィルタ単位波形を次々と出力したよう
に並べた各波形を重畳することにより、前記端数用伝達
関数フィルタを求めるようになっているものである。
【0021】さらに、請求項4に係る発明は、上記請求
項1に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、前記端数用伝達関数フィルタ生成手段は、前記端数
が前記固定サンプリング・クロックの周期の1/2を越
える場合には、前記端数用伝達関数フィルタとして前記
伝達関数フィルタを用いる一方で、前記端数が前記固定
サンプリング・クロックの周期の1/2以下の場合に
は、前記伝達関数フィルタを補正して前記端数用伝達関
数フィルタを求めるようにしたものである。
【0022】そして、請求項5に係る発明は、上記請求
項4に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、前記端数用伝達関数フィルタ生成手段は、前記端数
が前記固定サンプリング・クロックの周期の1/2以下
の場合には、前記伝達関数フィルタC^の各フィルタ係
数C^j (j=0,1,2,…,J−1;Jは伝達関数
フィルタC^のタップ数)に基づき、下記の(1)式又
は(2)式に従って、端数用伝達関数フィルタC^' の
各フィルタ係数C^' j を求めるようにしたものであ
る。
【0023】 C^' 0 =C^' 1 =0 ……(1) C^' j =(C^(j-1) +C^j )/2 (j≧2) ……(2) 一方、上記第2の目的を達成するために、請求項6に係
る発明は、上記請求項1〜5に係る発明である能動型騒
音振動制御装置に加えて、さらに、前記更新用基準信号
選択手段は、前記端数を考慮しつつ前記更新用基準信号
を選択するようになっているものである。
【0024】また、請求項7に係る発明は、上記請求項
1〜6に係る発明である能動型騒音振動制御装置におい
て、さらに、前記基本数列生成手段は、前記端数に応じ
て前記畳み込み演算に用いられる前記伝達関数フィルタ
のフィルタ係数を選択し、前記端数用基本数列生成手段
は、前記端数に応じて前記畳み込み演算に用いられる前
記端数用伝達関数フィルタのフィルタ係数を選択するよ
うになっているものである。
【0025】そして、請求項8に係る発明は、上記請求
項1〜6に係る発明である能動型騒音振動制御装置にお
いて、前記基準信号は、前記周期的な騒音又は周期的な
振動の基本周期に同期したインパルス信号であり、前記
駆動信号生成手段は、前記基準信号としての最新のイン
パルス信号の生成時点から前記固定サンプリング・クロ
ックに同期して前記適応ディジタルフィルタのフィルタ
係数を順番に前記駆動信号として出力するようになって
おり、前記基準信号としての最新のインパルス信号の生
成時点から次のインパルス信号の生成時点までの間の前
記駆動信号の出力回数Tyをカウントする駆動信号カウ
ント手段と、この駆動信号カウント手段が最後にカウン
トした前記駆動信号の出力時点から次のインパルス信号
の生成時点までの間の端数時間を計測する端数時間計測
手段と、を設け、前記端数演算手段は、前記端数時間計
測手段が計測した前記端数時間及び前記固定サンプリン
グ・クロックの周期に基づいて前記端数を演算するよう
になっており、前記駆動信号カウント手段がカウントし
た前記出力回数Tyから1だけ減算した値と前記端数演
算手段が演算した端数とを加算した結果を実際タップ長
Lf、前記実際タップ長Lfを小数点第1位で四捨五入
した結果を整数タップ長L1、前記基本数列RT を〔R
0 ,R11 ,R12 ,…,R1(Ty-1)〕、前記端数用
基本数列RT' を〔R1'0,R1'1,R1'2,…,R1'
(Ty-1)〕、前記最新のインパルス信号の生成時点から
前記固定サンプリング・クロックに同期してi(=0,
1,2,…,Ty−1)番目に出力する前記駆動信号を
i 、前記適応ディジタルフィルタWのj(=0,1,
2,…,Ty−1)番目のフィルタ係数をWj 、前記残
留騒音信号又は残留振動信号をe、収束係数をαとそれ
ぞれした場合、前記適応処理手段は、前記駆動信号yi
を出力する度にTy個の前記フィルタ係数Wj を下記
(3)式に基づいて更新するようになっており、前記更
新用基準信号選択手段は、前記j番目の前記フィルタ係
数Wj の更新に用いる前記更新用基準信号R2j を下記
(4)式、(5)式、(6)式又は(7)式に従って選
択するようになっているものである。
【0026】 Wj (n+1)=Wj (n)−αR2j e ……(3) R2j =R1(i+j) (j≠Ty−1,0≦j≦i) ……(4) R2j =R1(L1+i-j) (j≠Ty−1,j>i) ……(5) R2j =R1' (i+1) (j=Ty−1,j<i) ……(6) R2j =R1'0 (j=Ty−1,j=i) ……(7) 請求項9に係る発明は、上記請求項8に係る発明である
能動型騒音振動制御装置において、前記端数演算手段
は、前記端数時間計測手段が計測した前記端数時間を前
記固定サンプリング・クロックの周期で除算することに
より前記端数を演算するようになっているものである。
【0027】これに対し、請求項10に係る発明は、上
記請求項8に係る発明である能動型騒音振動制御装置に
おいて、前記端数演算手段は、前記端数時間計測手段が
計測した前記端数時間が、前記固定サンプリング・クロ
ックの周期の1/2以上か未満かを判定する比較手段を
含んでいる。
【0028】さらに、上記第2の目的を達成するため
に、請求項11に係る発明は、上記請求項1〜5に係る
発明である能動型騒音振動制御装置に加えて、さらに、
前記周期的な騒音又は周期的な振動の周期Tx を検出す
る周期検出手段と、前記周期T x を前記固定サンプリン
グ・クロックの周期TSCで除算した結果である実際タッ
プ長Lfを求める実際タップ長演算手段と、前記実際タ
ップ長Lfを小数点第1位で四捨五入した結果である整
数タップ長L1を演算する整数タップ長演算手段と、前
記実際タップ長Lfの小数点以下を切り上げた値である
出力回数Tyを求める出力回数演算手段と、を設けると
ともに、前記基本数列RT を〔R10 ,R11 ,R
2 ,…,R1(Ty-1)〕、前記騒音又は振動の一周期内
に前記固定サンプリング・クロックに同期してi(=
0,1,2,…,Ty−1)番目に出力する前記駆動信
号をyi 、前記適応ディジタルフィルタWのj(=0,
1,2,…,Ty−1)番目のフィルタ係数をWj 、前
記残留騒音信号又は残留振動信号をe、収束係数をαと
それぞれした場合、前記適応処理手段は、前記駆動信号
を出力する度にTy個の前記フィルタ係数Wj を上記請
求項8記載の(3)式に基づいて更新するようになって
おり、前記更新用基準信号選択手段は、前記j番目の前
記フィルタ係数Wj の更新に用いる前記更新用基準信号
R2j を上記請求項8記載の(4)式、(5)式、
(6)式又は(7)式に従って選択するようになってい
るものである。
【0029】そして、請求項12に係る発明は、上記請
求項8〜11に係る発明である能動型騒音振動制御装置
において、前記伝達関数フィルタC^の各フィルタ係数
をC^j (j=0,1,2,…,J−1;Jは伝達関数
フィルタC^のタップ数)、前記端数用伝達関数フィル
タC^' の各フィルタ係数C^' j (j=0,1,2,
…,J−1)とした場合、前記基本数列生成手段は、下
記の(8)式に従って前記基本数列RT の各値R1
j (j=0,1,2,…,Ty−1)を演算し、前記端
数用基本数列生成手段は、下記の(9)式に従って前記
端数用基本数列RT' の各値R1' j (j=0,1,
2,…,Ty−1)を演算するようになっているもので
ある。ただし、round(A)は、数値Aを小数点以
下第1位で四捨五入した値(正の整数)である。
【0030】 R1j =C^j +C^(j+round(Lf)) +C^(j+round(2Lf)) +C^(j+round(3Lf))+C^(j+round(4Lf))+・・・ ……(8) R1' j =C^' j +C^' (j+round(Lf)) +C^' (j+round(2Lf)) +C^' (j+round(3Lf))+C^' (j+round(4Lf))+・・・ ……(9) さらに、請求項13に係る発明は、上記請求項1〜12
に係る発明である能動型騒音振動制御装置を車両に適用
したものであって、前記騒音源又は振動源はエンジンで
あり、前記基準信号生成手段は、前記基準信号として、
前記エンジンでの燃焼タイミングに同期したインパルス
信号を生成するようになっている。
【0031】ここで、請求項1に係る発明にあっては、
端数用伝達関数フィルタ生成手段によって、端数と同じ
幅の方形波に応じた端数用伝達関数フィルタが生成さ
れ、端数用基本数列生成手段によって、端数用伝達関数
フィルタに基づいた端数用基本数列生成手段が生成され
る。
【0032】そして、適応ディジタルフィルタのフィル
タ係数が更新される際に、更新用基準信号選択手段によ
って、基本数列又は端数用基本数列から更新用基準信号
が選択されるが、適応ディジタルフィルタの最終タップ
のフィルタ係数(騒音又は振動の一周期内の最後の駆動
信号に関係するフィルタ係数)の更新には、基本数列か
らではなく、端数用基本数列から更新用基準信号が選択
される。
【0033】このため、適応ディジタルフィルタの各フ
ィルタ係数の更新に用いる更新用基準信号を、常に基本
数列(上記特許では、疑似周期列C〜)から選択してい
た従に比べて、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数
の更新精度が向上する。
【0034】請求項2、3、4及び5に係る発明は、い
ずれも端数用伝達関数フィルタ生成手段の構成をより具
体的にしたものである。即ち、請求項2に係る発明にあ
っては、端数用伝達関数フィルタ候補を予め複数種類記
憶している(なお、端数用伝達関数フィルタ候補のうち
の一つとして、伝達関数フィルタを兼用してもよい。)
という構成を採用している。つまり、端数用伝達関数フ
ィルタ生成手段は、端数の大きさに従って、最も高い精
度が得られるであろう端数用伝達関数フィルタ候補を、
端数用伝達関数フィルタとして選出する。
【0035】例えば、端数用伝達関数フィルタ候補とし
て、伝達関数フィルタそのものである第1の端数用伝達
関数フィルタ候補、固定サンプリング・クロックの周期
の1/2と同じ幅の方形波を入力とした場合の伝達関数
フィルタに相当する第2の端数用伝達関数フィルタ候
補、固定サンプリング・クロックの周期の1/4と同じ
幅の方形波を入力とした場合の伝達関数フィルタに相当
する第3の端数用伝達関数フィルタ候補、という三種類
のフィルタを記憶しているものとすれば、端数の大きさ
が、固定サンプリング・クロックの周期に対して、1/
2を越えるときには第1の端数用伝達関数フィルタ候補
を端数用伝達関数フィルタとして選出し、1/4を越え
1/2以下のときには第2の端数用伝達関数フィルタ候
補を端数用伝達関数フィルタとして選出し、1/2未満
のときには第3の端数用伝達関数フィルタ候補を端数用
伝達関数フィルタとして選出する、という具合になる。
【0036】このように、請求項2に係る発明であれ
ば、端数用伝達関数フィルタ候補を記憶する必要はある
が、制御中には端数に応じて端数用伝達関数フィルタを
選出するだけで済むから、処理が容易であるという利点
がある。
【0037】これに対し、請求項3に係る発明にあって
は、実質的にデルタ関数(幅が0で面積が1の方形波)
と見なすことができる単位パルス波(具体的には、固定
サンプリング・クロックの周期に比べて幅が極めて狭
く、高さは可能な範囲で最大になっているパルス波)を
利用したものであって、その単位パルス波の応答波形で
ある伝達関数フィルタ単位波形を出来るだけ細かいサン
プリング周期(例えば、固定サンプリング・クロックの
1/10)で生成し記憶しておき、その伝達関数フィル
タ単位波形を適宜積分すれば、任意の幅のパルス波形の
応答波形が求められる、という点に着目している。
【0038】つまり、端数に相当する時間に渡って、伝
達関数フィルタ単位波形を所定間隔(例えば、伝達関数
フィルタ単位波形のサンプリング周期に相当する時間間
隔)で次々と出力したと考えると、それら出力された各
波形は、出力タイミングが所定間隔だけずれているが、
同じ形の波形であるから、それら各波形の重畳波形は伝
達関数フィルタ単位波形の各値を加算するだけで求める
ことができる。
【0039】このように、請求項3に係る発明であれ
ば、一つの伝達関数フィルタ単位半径を記憶しておくだ
けで、後は端数時間に応じた加算演算を行うことによ
り、端数用伝達関数フィルタを生成することができる、
という利点がある。
【0040】そして、請求項4に係る発明にあっては、
端数が固定サンプリング・クロックの周期の1/2を越
えるか否かによって、伝達関数フィルタを端数用伝達関
数フィルタとしてそのまま用いるか、伝達関数フィルタ
を補正して端数用伝達関数フィルタを別途生成するか、
を選択するようになる。これは、精度として請求項2又
は請求項3に係る発明に比べて若干劣るが、記憶容量に
余裕がない場合や、演算能力が低い場合には適用が容易
であるという利点がある。
【0041】端数が固定サンプリング・クロックの周期
の1/2を越えない場合に伝達関数フィルタを補正して
端数用伝達関数フィルタを生成する具体的な手法として
は、種々の手法が考えられる。例えば請求項5に係る発
明であれば、端数が固定サンプリング・クロックの周期
の1/2を越えない場合には、その周期の1/2の幅の
方形波を入力とした場合の伝達関数フィルタに相当する
フィルタを、端数用伝達関数フィルタとして用いるため
に、上記(1)式、(2)式に従って伝達関数フィルタ
C^の各フィルタ係数C^j を補正して各フィルタ係数
C^' j (j=0,1,2,…,J−1)が求められ
る。
【0042】そして、請求項6に係る発明にあっては、
端数演算手段が求めた端数を考慮しつつ、更新用基準信
号選択手段が基本数列又は端数用基本数列のうちから更
新用基準信号を選択するため、端数を全く考慮せずに更
新用基準信号を選択していた従来に比べて、更新用基準
信号の精度が向上する。
【0043】また、請求項7に係る発明にあっては、基
本数列又は端数用基本数列を生成するための畳み込み演
算に用いられる伝達関数フィルタ又は端数用伝達関数フ
ィルタのフィルタ係数をも、端数演算手段が求めた端数
に応じて選択するようになっているから、基本数列及び
端数用基本数列の精度も向上し、それから選択される更
新用基準信号の精度がさらに向上する。
【0044】これに対し、請求項8に係る発明にあって
は、駆動信号カウント手段が、最新のインパルス信号の
生成時点から次のインパルス信号の生成時点の間の駆動
信号の出力回数をカウントするため、次のインパルス信
号の生成時点における駆動信号カウント手段のカウント
値は、そのまま基準信号の一周期(騒音又は振動の一周
期)内における駆動信号の出力回数Tyとなる。具体的
には、インパルス信号が生成された時点で最初の駆動信
号が出力され、その出力時点からサンプリング・クロッ
クの一周期が経過した時点で二番目の駆動信号が出力さ
れ、その後も同様にサンプリング・クロックに同期して
次々と駆動信号が出力される。よって、最終的にカウン
トされた出力回数Tyから1だけ減算した値は、実際タ
ップ長Lfの整数部分に等しい。
【0045】その一方で、端数時間計測手段が、駆動信
号カウント手段が最後にカウントした駆動信号の出力時
点から次のインパルス信号の生成時点までの間(つま
り、インパルス信号の生成時点と、その直前に出力され
ている駆動信号の出力時点との間)の端数時間を計測す
る。この計測された端数時間は、固定サンプリング・ク
ロックの周期よりも短い時間である。そして、この端数
時間及び固定サンプリング・クロックに基づいて端数演
算手段が演算した端数は、実際タップ長Lfの小数点以
下に等しい。
【0046】よって、値(Ty−1)と端数演算手段が
求めた端数とを加算すると、実際タップ長(基準信号の
周期を固定サンプリング・クロックで除算して求められ
る小数点以下も含むタップ長)Lfが得られる。また、
その実際タップ長Lfを小数点以下第1位で四捨五入す
れば、端数が0.5以上の場合には実際タップ長Lfの
整数部分に1を加算した値(つまり、出力回数Ty)が
整数タップ長L1となり、端数が0.5未満の場合には
実際タップ長Lfの整数部分(つまり、出力回数Ty−
1)がそのまま整数タップ長L1となる。
【0047】ちなみに、従来の装置では、端数について
は全く考慮せず、実際タップ長Lfの小数点以下を切り
上げた値、つまり出力回数Tyをそのまま整数タップ長
L1として取り扱っていた。
【0048】そして、整数タップ長L1が上記のように
端数を考慮しつつ決定される値であると、特に上記
(5)式に従って更新用基準信号R2j を選択する際
(つまり、j>iの場合)には、端数が0.5以上の場
合と0.5未満の場合とで、選択される更新用基準信号
R2j が異なってくる。
【0049】具体的には、端数が0.5以上の場合に
は、更新用基準信号R2j は、現時点で出力された駆動
信号yi の添え字iと更新されるフィルタ係数Wj の添
え字jとが一致するところではR10 が選択され、そこ
を起点として、添え字jが減るに従って、R11 ,R1
2 ,…,という順番で更新用基準信号R2j が選択さ
れ、逆に添え字jが増えるに従って、R1(Ty-1),R1
(Ty-2),…,という順番で更新用基準信号R2j が選択
される。
【0050】これに対し、端数が0.5未満の場合に
は、更新用基準信号R2j は、現時点で出力された駆動
信号yi の添え字iと更新されるフィルタ係数Wj の添
え字jとが一致するところではR10 が選択され、そこ
を起点として、添え字jが減るに従って、R11 ,R1
2 ,…,という順番で更新用基準信号R2j が選択され
る点は、端数が0.5以上の場合と同じであるが、起点
から逆に添え字jが増えるに従って、R1(Ty-2),R1
(Ty-3),…,という順番で更新用基準信号R2jが選択
される。
【0051】そして、このように端数の大きさに応じて
更新用基準信号が選択される結果、端数を考慮せずに更
新用基準信号(リファレンス信号)を選択していた従来
に比べて、更新用基準信号の精度が向上する。
【0052】なお、この請求項8に係る発明における端
数演算手段の具体的構成の一例としては、請求項9に係
る発明がある。すなわち、端数時間を固定サンプリング
・クロックの周期で除算すれば、端数を求めることがで
きる。
【0053】ただし、端数演算手段に要求される最低限
の能力は、測定された端数時間が、固定サンプリング・
クロックの周期の1/2以上か未満か、ということであ
るから、請求項9に係る発明のようにわざわざ除算を行
わなくても済む。
【0054】そこで、請求項10に係る発明のように、
端数演算手段が比較手段を有していれば、請求項9に係
る発明と同様の作用が得られる。つまり、その比較手段
が、端数時間が固定サンプリング・クロックの周期の1
/2以上であると判定した場合には、出力回数Tyを整
数タップ長L1とし、端数時間が固定サンプリング・ク
ロックの周期の1/2未満であると判定された場合に
は、出力回数Tyから1を減算した値を整数タップ長L
1とすればよい。或いは、その比較手段が、端数時間が
固定サンプリング・クロックの周期の1/2以上である
と判定した場合には、端数を0.5以上1.0未満の値
(例えば、0.5)に設定し、端数時間が固定サンプリ
ング・クロックの周期の1/2未満であると判定した場
合には、端数を0以上0.5未満の値(例えば、0.
4)に設定すればよい。
【0055】一方、請求項11に係る発明にあっても、
周期検出手段と、実際タップ長演算手段と、整数タップ
長演算手段と、出力回数演算手段とを備えており、適応
処理手段や更新用基準信号選択手段は、上記(3)〜
(7)式に従った演算を行うようになっているから、上
記請求項8に係る発明と同様の作用が得られる。
【0056】また、請求項12に係る発明にあっては、
基本数列及び端数用基本数列を生成する際に上記(8)
式、(9)式を用いているため、更新用基準信号の元に
なる基本数列及び端数用基本数列を生成する際にも、端
数が考慮されるようになる。この結果、基本数列及び端
数用基本数列の精度も向上し、それから選択される更新
用基準信号の精度がさらに向上する。
【0057】そして、請求項13に係る発明にあって
は、騒音源又は振動源が車両のエンジンであるから、そ
のエンジンで発生する騒音又は振動は、エンジンでの燃
焼に同期しているはずである。そこで、基準信号生成手
段が生成するエンジンでの燃焼タイミングに同期したイ
ンパルス信号は、基準信号として適当である。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
騒音や振動の一周期を固定サンプリング・クロックの周
期で除算した場合の端数に対応する伝達関数フィルタで
ある端数用伝達関数フィルタを、伝達関数フィルタとは
別に求めるとともに、その端数用伝達関数フィルタに基
づいた端数用基本数列を生成し、適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数のうち最終タップのフィルタ係数の更
新には、端数用基本数列から更新用基準信号を選択する
ようにしたため、適応ディジタルフィルタの更新精度が
向上し、良好な騒音低減制御、振動低減制御が実行でき
るという効果がある。
【0059】特に、請求項6及び請求項8に係る発明で
あれば、更新用基準信号を基本数列又は端数用基本数列
から選択する際に、端数を考慮するようにしたため、全
く考慮しない場合に比べて更新用基準信号に含まれる誤
差を小さくすることができ、更新用基準信号の精度が向
上し、これを用いて行われる適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数の更新処理の精度もさらに向上し、より良
好な騒音低減制御又は振動低減制御が実行できるという
効果がある。
【0060】さらに、請求項7及び請求項12に係る発
明にあっては、基本数列及び端数用基本数列を生成する
際にも端数を考慮するため、更新用基準信号に含まれる
誤差をさらに小さくすることができ、一段と良好な騒音
低減制御又は振動低減制御が実行できるという効果があ
る。
【0061】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1乃至図5は本発明の第1の
実施の形態を示す図であって、図1は本発明に係る能動
型騒音振動制御装置の一実施形態である能動型振動制御
装置を適用した車両の概略側面図である。
【0062】先ず、構成を説明すると、エンジン30が
駆動信号に応じた能動的な支持力を発生可能な能動型エ
ンジンマウント1を介して、サスペンションメンバ等か
ら構成される車体35に支持されている。なお、実際に
は、エンジン30及び車体35間には、能動型エンジン
マウント1の他に、エンジン30及び車体35間の相対
変位に応じた受動的な支持力を発生する複数のエンジン
マウントも介在している。受動的なエンジンマウントと
しては、例えばゴム状の弾性体で荷重を支持する通常の
エンジンマウントや、ゴム状の弾性体内部に減衰力発生
可能に流体を封入してなる公知の流体封入式のマウント
インシュレータ等が適用できる。
【0063】一方、能動型エンジンマウント1は、例え
ば、図2に示すように構成されている。即ち、この実施
の形態における能動型エンジンマウント1は、エンジン
30への取付け用のボルト2aを上部に一体に備え且つ
内部が空洞で下部が開口したキャップ2を有し、このキ
ャップ2の下部外面には、軸が上下方向を向く内筒3の
上端部がかしめ止めされている。
【0064】内筒3は、下端側の方が縮径した形状とな
っていて、その下端部が内側に水平に折り曲げられて、
ここに円形の開口部3aが形成されている。そして、内
筒3の内側には、キャップ2及び内筒3内部の空間を上
下に二分するように、キャップ2及び内筒3のかしめ止
め部分に一緒に挟み込まれてダイアフラム4が配設され
ている。ダイアフラム4の上側の空間は、キャップ2の
側面に孔を開けることにより大気圧に通じている。
【0065】さらに、内筒3の内側にはオリフィス構成
体5が配設されている。なお、本実施の形態では、内筒
3内面及びオリフィス構成5間には、薄膜状の弾性体
(ダイアフラム4の外周部を延長させたものでもよい)
が介在していて、これにより、オリフィス構成体5は内
筒3内側に強固に嵌め込まれている。
【0066】このオリフィス構成体5は、内筒3の内部
空間に整合して略円柱形に形成されていて、その上面に
は円形の凹部5aが形成されている。そして、その凹部
5aと、底面の開口部3aに対向する部分との間が、オ
リフィス5bを介して連通するようになっている。オリ
フィス5bは、例えば、オリフィス構成体5の外周面に
沿って螺旋状に延びる溝と、その溝の一端部を凹部5a
に連通させる流路と、その溝の他端部を開口部3aに連
通させる流路とで構成される。
【0067】一方、内筒3の外周面には、内周面側が若
干上方に盛り上がった肉厚円筒状の支持弾性体6の内周
面が加硫接着されていて、その支持弾性体6の外周面
は、上端側が拡径した外筒7の内周面上部に加硫接着さ
れている。
【0068】そして、外筒7の下端部は上面が開口した
円筒形のアクチュエータケース8の上端部にかしめ止め
されていて、そのアクチュエータケース8の下端面から
は、車体35側への取付け用の取付けボルト9が突出し
ている。取付けボルト9は、その頭部9aが、アクチュ
エータケース8の内底面に張り付いた状態で配設された
平板部材8aの中央の空洞部8bに収容されている。
【0069】さらに、アクチュエータケース8の内側に
は、円筒形の鉄製のヨーク10Aと、このヨーク10A
の中央部に軸を上下に向けて巻き付けられた励磁コイル
10Bと、ヨーク10Aの励磁コイル10Bに包囲され
た部分の上面に極を上下に向けて固定された永久磁石1
0Cと、から構成される電磁アクチュエータ10が配設
されている。
【0070】また、アクチュエータケース8の上端部は
フランジ状に形成されたフランジ部8Aとなっていて、
そのフランジ部8Aに外筒7の下端部がかしめられて両
者が一体となっているのであるが、そのかしめ止め部分
には、円形の金属製の板ばね11の周縁部(端部)が挟
み込まれていて、その板ばね11の中央部の電磁アクチ
ュエータ10側には、リベット11aによって磁化可能
な磁路部材12が固定されている。なお、磁路部材12
はヨーク10Aよりも若干小径の鉄製の円板であって、
その底面が電磁アクチュエータ10に近接するような厚
みに形成されている。板ばね11及び磁路部材12によ
って可動部材が構成される。
【0071】さらに、上記かしめ止め部分には、フラン
ジ部8Aと板ばね11とに挟まれるように、リング状の
薄膜弾性体13と、力伝達部材14のフランジ部14a
とが支持されている。具体的には、アクチュエータケー
ス8のフランジ部8A上に、薄膜弾性体13と、力伝達
部材14のフランジ部14aと、板ばね11とをこの順
序で重ね合わせるとともに、その重なり合った全体を外
筒7の下端部をかしめて一体としている。
【0072】力伝達部材14は、磁路部材12を包囲す
る短い円筒形の部材であって、その上端部がフランジ部
14aとなっており、その下端部は電磁アクチュエータ
10のヨーク10Aの上面に結合している。具体的に
は、ヨーク10Aの上端面周縁部に形成された円形の溝
に、力伝達部材14の下端部が嵌合して両者が結合され
ている。また、力伝達部材14の弾性変形時のばね定数
は、薄膜弾性体13のばね定数よりも大きい値に設定さ
れている。
【0073】ここで、本実施の形態では、支持弾性体6
の下面及び板ばね11の上面によって画成された部分に
主流体室15が形成され、ダイアフラム4及び凹部5a
によって画成された部分に副流体室16が形成されてい
て、これら主流体室15及び副流体室16間が、オリフ
ィス構成体5に形成されたオリフィス5bを介して連通
している。なお、これら主流体室15,副流体室16及
びオリフィス5b内には、エチレングリコール等の流体
が封入されている。
【0074】かかるオリフィス5bの流路形状等で決ま
る流体マウントとしての特性は、走行中のエンジンシェ
イク発生時、つまり5〜15Hzで能動型エンジンマウン
ト1が加振された場合に高動ばね定数、高減衰力を示す
ように調整されている。
【0075】そして、電磁アクチュエータ10の励磁コ
イル10Bは、コントローラ25からハーネス23aを
通じて供給される電流である駆動信号yに応じて所定の
電磁力を発生するようになっている。コントローラ25
は、マイクロコンピュータ,必要なインタフェース回
路,A/D変換器,D/A変換器,アンプ、ROM,R
AM等の記憶媒体等を含んで構成され、アイドル振動や
こもり音振動・加速時振動が車体35に入力されている
場合には、その振動を低減できる能動的な支持力が能動
型エンジンマウント1に発生するように、能動型エンジ
ンマウント1に対する駆動信号yを生成し出力するよう
になっている。
【0076】ここで、アイドル振動やこもり音振動は、
例えばレシプロ4気筒エンジンの場合、エンジン回転2
次成分のエンジン振動が車体35に伝達されることが主
な原因であるから、そのエンジン回転2次成分に同期し
て駆動信号yを生成し出力すれば、車体側振動の低減が
可能となる。そこで、本実施の形態では、エンジン30
のクランク軸の回転に同期した(例えば、レシプロ4気
筒エンジンの場合には、クランク軸が180度回転する
度に一つの)インパルス信号を生成し基準信号xとして
出力するパルス信号生成器26を設けていて、その基準
信号xが、エンジン30における振動の発生状態を表す
信号としてコントローラ25に供給されるようになって
いる。
【0077】一方、電磁アクチュエータ10のヨーク1
0Aの下端面と、アクチュエータケース8の底面を形成
する平板部材8aの上面との間に挟み込まれるように、
エンジン30から支持弾性体6を通じて伝達する加振力
を検出する荷重センサ22が配設されていて、荷重セン
サ22の検出結果がハーネス23bを通じて残留振動信
号eとしてコントローラ25に供給されるようになって
いる。荷重センサ22としては、具体的には、圧電素
子,磁歪素子,歪ゲージ等が適用可能である。
【0078】そして、コントローラ25は、供給される
残留振動信号e及び基準信号xに基づき、逐次更新型の
適応アルゴリズムの一つである同期式Filtered
−XLMSアルゴリズムを実行することにより、能動型
エンジンマウント1に対する駆動信号yを演算し、その
駆動信号yを能動型エンジンマウント1に出力するよう
になっている。
【0079】具体的には、コントローラ25は、フィル
タ係数Wj 可変の適応ディジタルフィルタWを有してい
て、最新の基準信号xが入力された時点から固定サンプ
リング・クロックに同期して、その適応ディジタルフィ
ルタWのフィルタ係数Wj を順番に駆動信号yとして出
力する一方、基準信号x及び残留振動信号eに基づいて
適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数Wj を適宜
更新する処理を実行するようになっている。
【0080】適応ディジタルフィルタWの更新式は、F
iltered−X LMSアルゴリズムに従った下記
の(3)式のようになる。 Wj (n+1)=Wj (n)−αR2j e(n) ……(3) ここで、(n),(n+1)が付く項はサンプリング時
刻n,n+1における値であることを表し、αは収束係
数である。また、更新用基準信号R2j は、理論的に
は、基準信号xを、能動型エンジンマウント1の電磁ア
クチュエータ10及び荷重センサ22間の伝達関数Cを
有限インパルス応答型フィルタでモデル化した伝達関数
フィルタC^でフィルタ処理した値であるが、基準信号
xの大きさは“1”であるから、伝達関数フィルタC^
のインパルス応答を基準信号xに同期して次々と生成し
た場合のそれらインパルス応答波形を合わせてなる基本
数列RT 〔R10 ,R11 ,R12 ,…,R1(Ty-1)
から選択することにより求められる。
【0081】ただし、伝達関数フィルタC^は、厳密な
意味での伝達関数Cに対応するものではなく、実際は、
駆動信号yの出力周期を決める固定のサンプリング・ク
ロックの周期TSCと同じ幅の方形波を、駆動信号yとし
て電磁アクチュエータ10に供給し、その駆動信号yに
応じて発生した制御振動を加重センサ22で測定した場
合の応答波形(つまり、残留振動信号eの波形)を周期
SCでサンプリングすることによりフィルタ係数C^j
が決定されたディジタルフィルタであり、例えば、図4
(a)に示すような形になっている。
【0082】さらに、本実施の形態では、コントローラ
25は、上記伝達関数フィルタC^の他に、端数用伝達
関数フィルタC^' の候補を複数種類記憶している。端
数用伝達関数フィルタC^' は、例えば、図4(b)に
示すように、周期TSCよりも幅の狭い方形波を入力した
場合の伝達関数フィルタC^に相当するディジタルフィ
ルタであり、周期TSCよりも幅の狭い方形波を、駆動信
号yとして電磁アクチュエータ10に供給し、その駆動
信号yに応じて発生した制御振動を加重センサ22で測
定した場合の応答波形(つまり、残留振動信号eの波
形)を周期TSCでサンプリングすることにより生成され
るディジタルフィルタである。つまり、そのような端数
用伝達関数フィルタC^' を、入力となる方形波の幅を
複数選択して複数種類生成しておき、コントローラ25
は、それら各端数用伝達関数フィルタC^' を候補とし
て記憶しているのである。
【0083】そして、コントローラ25は、後述のよう
な端数EDが求められると、その端数EDに応じて端数
用伝達関数フィルタ候補のうちから一つの端数用伝達関
数フィルタC^' を選択するようになっている。例え
ば、周期TSCよりも幅の狭い方形波として、TSC/2、
SC/4、TSC/8、TSC/10という四種類を選択し
て各方形波に対応した端数用伝達関数フィルタ候補をコ
ントローラ25が記憶していたとすると、端数EDが、
1/2を越えるときには伝達関数フィルタC^を端数用
伝達関数フィルタC^' として選択し、1/4を越えて
1/2以下の場合には、幅がTSC/2の方形波に対応す
る端数用伝達関数フィルタ候補を端数用伝達関数フィル
タC^' として選択し、1/8を越えて1/4以下の場
合には、幅がTSC/4の方形波に対応する端数用伝達関
数フィルタ候補を端数用伝達関数フィルタC^' として
選択し、1/10を越えて1/8以下の場合には、幅が
SC/8の方形波に対応する端数用伝達関数フィルタ候
補を端数用伝達関数フィルタC^' として選択し、1/
10以下の場合には、幅がTSC/10の方形波に対応す
る端数用伝達関数フィルタ候補を端数用伝達関数フィル
タC^' として選択する、というようになっている。
【0084】そして、コントローラ25は、伝達関数フ
ィルタC^に対応した基本数列RTを演算するのと同様
に、端数用伝達関数フィルタC^' を基準信号xに同期
して次々と生成した場合の応答波形を合わせてなる端数
用基本数列RT ' 〔R1'0,R1'1,R1'2,…,R
1' (Ty-1)〕を生成するようにもなっている。
【0085】また、理論的には、基準信号xを適応ディ
ジタルフィルタWでフィルタ処理して駆動信号yを生成
するのであるが、基準信号xの大きさが“1”であるた
め、フィルタ係数Wj を順番に駆動信号yとして出力し
ても、フィルタ処理の結果を駆動信号yとしたのと同じ
結果になる。
【0086】上記基本数列RT の演算は、最新の基準信
号xの入力タイミングを始点として伝達関数フィルタC
^のインパルス応答波形と、一つ前の基準信号xの入力
タイミングを始点とした伝達関数フィルタC^のインパ
ルス応答波形と、二つ前の基準信号xの入力タイミング
を始点とした伝達関数フィルタC^のインパルス応答波
形と、…、という具合に、現時点まで応答波形が届いて
いる全ての伝達関数フィルタC^を重畳することにより
行う。また、端数用基本数列RT ' の演算も、同様に、
最新の基準信号xの入力タイミングを始点として端数用
伝達関数フィルタC^' のインパルス応答波形と、一つ
前の基準信号xの入力タイミングを始点とした端数用伝
達関数フィルタC^' のインパルス応答波形と、二つ前
の基準信号xの入力タイミングを始点とした端数用伝達
関数フィルタC^' のインパルス応答波形と、…、とい
う具合に、現時点まで応答波形が届いている全ての端数
用伝達関数フィルタC^' を重畳することにより行う。
【0087】そして、ディジタル領域では、例えば伝達
関数フィルタC^のインパルス応答は、その伝達関数フ
ィルタC^を構成する各フィルタ係数C^j (j=0,
1,2,…,J−1:Jはタップ数)そのものであるこ
とから、基準信号xの周期がサンプリング・クロックの
間隔の4倍であれば、例えば基本数列RT の第1番目の
数値R11 は、 R11 =C^1 +C^5 +C^9 +C^13+… として求めることができる。
【0088】しかし、サンプリング・クロックの周期が
固定であり、基準信号xの周期はリニアに変化すること
から、基準信号xの周期がサンプリング・クロックの周
期の整数倍にならない場合があり、例えば基準信号xの
周期がサンプリング・クロックの間隔の3.28倍、
3.87倍等となるようなことがある。そして、本実施
の形態では、そのような端数0.28や0.87を無視
することなく、基本数列RT の各数値R1j 及び端数用
基本数列RT ' の各数値R1' j を演算するようにして
いる。
【0089】さらに、本実施の形態では、適応ディジタ
ルフィルタWのフィルタ係数Wj の更新の際に、上記の
ように生成された基本数列RT の各数値R1j から各更
新演算に用いる更新用基準信号R2j を選択するにあた
っても、上記端数を考量するようになっている。
【0090】ここで、コントローラ25内における基本
数列RT 及び端数用基本数列RT 'の生成処理と、更新
用基準信号R2j の選択処理について具体的に説明す
る。即ち、コントローラ25内では、最新の基準信号x
の入力時点から固定サンプリング・クロックに同期して
出力される駆動信号yの出力回数がカウントされ、次の
基準信号xの入力時点までの駆動信号yの出力回数が、
最新の出力回数Tyとして記憶されるようになってい
る。つまり、最新の基準信号xが入力された時点で、適
応ディジタルフィルタWの最初のフィルタ係数W0 が最
初の駆動信号y 0 として出力され、その出力時点から固
定のサンプリング・クロックの周期TSCだけ経過した時
点で次のフィルタ係数W1 が駆動信号y1 として出力さ
れ、…、という具合に固定のサンプリング・クロックに
同期して次々と出力される駆動信号yi の出力回数Ty
がカウントされるのである。
【0091】また、コントローラ25は、駆動信号yi
を出力する度にクリア・スタートするとともに、基準信
号xが入力された時点で時間計測を停止するようになっ
ているタイマ機能を有していて、基準信号xが入力され
た時点でのタイマの計測時間(端数時間)をサンプリン
グ・クロックの周期TSCで除算することにより、端数E
Dを演算するようになっている。つまり、タイマによっ
て計測された端数時間は、出力回数Tyの最後のカウン
トを行った時点から次の基準信号xの入力時点までの間
の時間であり、サンプリング・クロックの周期TSCより
も短い時間である。
【0092】そして、出力回数Tyから1だけ減じた値
(Ty−1)と端数EDとを加算した値を実際タップ長
Lf、実際タップ長Lfを小数点第1位で四捨五入した
値を整数タップ長L1、とそれぞれすると、コントロー
ラ25内で、下記の(8)式に従って基本数列RT の各
数値R1j (j=0,1,2,…,Ty−1)を演算
し、下記の(9)式に従って端数用基本数列RT ' の各
数値R1' j (j=0,1,2,…,Ty−1)を演算
するようになっている。
【0093】 R1j =C^j +C^(j+round(Lf)) +C^(j+round(2Lf)) +C^(j+round(3Lf))+C^(j+round(4Lf))+・・・ ……(8) R1' j =C^' j +C^' (j+round(Lf)) +C^' (j+round(2Lf)) +C^' (j+round(3Lf))+C^' (j+round(4Lf))+・・・ ……(9) ただし、round(A)は、数値Aを小数点以下第1
位で四捨五入した値である。また、上記(8)式、
(9)式の右辺の加算は、加算される伝達関数フィルタ
C^、端数用伝達関数フィルタC^' のフィルタ係数C
* 、C^' * の添え字(j+round(a・L
f))が、伝達関数フィルタC^のタップ数J以下であ
る範囲で行えばよい。
【0094】さらに、コントローラ25内では、下記の
(4)式、(5)式、(6)式又は(7)式に従って、
更新用基準信号R2j を選択するようになっている。 R2j =R1(i+j) (j≠Ty−1,0≦j≦i) ……(4) R2j =R1(L1+i-j) (j≠Ty−1,j>i) ……(5) R2j =R1' (i+1) (j=Ty−1,j<i) ……(6) R2j =R1'0 (j=Ty−1,j=i) ……(7) 次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0095】即ち、エンジンシェイク発生時には、オリ
フィス5aの流路形状等を適宜選定している結果、この
エンジンマウント1は高動バネ定数,高減衰力の支持装
置として機能するため、エンジン30で発生したエンジ
ンシェイクがエンジンマウント1によって減衰され、メ
ンバ35側の振動レベルが低減される。なお、かかる場
合には、特に可動部材12を変位させる必要はない。
【0096】一方、オリフィス5a内の流体がスティッ
ク状態となり主流体室15及び副流体16間での流体の
移動が不可能になるアイドル振動周波数以上の周波数の
振動が入力された場合には、コントローラ20は、所定
の演算処理を実行し、電磁アクチュエータ13に駆動信
号yを出力し、エンジンマウント1に振動を低減し得る
能動的な制御力を発生させる。
【0097】これを、アイドル振動,こもり音振動入力
時にコントローラ20内で実行される処理の概要を示す
フローチャートである図3に従って具体的に説明する。
先ず、そのステップ101において所定の初期設定を行
った後に、ステップ102に移行し、上記(8)式に従
って、基本数列RT の各数値R1j (j=0,1,2,
…,Ty−1)を演算するとともに、上記(9)式に従
って、端数用基本数列RT ' の各数値R1' j (j=
0,1,2,…,Ty−1)を演算する。なお、出力回
数Tyは前回の処理で求められた値を用いるため、図3
の処理が開始された時点では、出力回数Ty、実際タッ
プ長Lf、整数タップ長L1は決まらないが、第1回目
の処理の際には伝達関数フィルタC^の過去の応答は考
慮しなくてよいから、伝達関数フィルタC^の各フィル
タ係数C^j をそのまま基本数列RT の各数値R1j
すればよい。
【0098】しかし、図3に示す処理が繰り返し実行さ
れれば、出力回数Tyには常に最新の値が保存されるよ
うになり、出力回数Tyと、後述する端数EDとが定ま
れば実際タップ長Lfが求められるから、上記(8)式
に従って基本数列RT が演算されるようになる。
【0099】同様に、図3の処理が開始された時点で
は、端数EDが定まっていないから、端数用伝達関数フ
ィルタC^' が選択されていないため、端数用基本数列
T 'の各数値R1' j の演算は行われない。しかし、
図3に示す処理が繰り返し実行されれば、後述のように
端数EDに応じた端数用伝達関数フィルタC^' が複数
の候補のうちから選択されるから、上記(9)式に従っ
て端数用基本数列RT 'が演算されるようになる。
【0100】このステップ102における演算処理は、
後にさらに詳細に説明する。ステップ102で基本数列
T 及び端数用基本数列RT ' が生成されたら、ステッ
プ103に移行してカウンタiを零クリアし、そして、
ステップ104に移行して、適応ディジタルフィルタW
のi番目のフィルタ係数Wi を駆動信号yiとして出力
する。
【0101】駆動信号yi を出力したら、ステップ10
5に移行して、図示しないタイマを零クリアした後に計
測をスタートさせる。そして、ステップ106に移行し
て残留振動信号eを読み込んだら、ステップ107に移
行してカウンタjを零クリアし、次いで、ステップ10
8に移行し、上記(4)〜(7)式に従って更新用基準
信号R2j を選択するとともに、適応ディジタルフィル
タWのj番目のフィルタ係数Wj を上記(3)式に従っ
て更新する。
【0102】ステップ108における更新処理を終えた
ら、ステップ109に移行して次の基準信号xが入力さ
れているか否かを判定し、ここで基準信号xが入力され
ていないと判定された場合には、ステップ110に移行
しカウンタjが出力回数Ty(正確には、カウンタjは
0からスタートするため、出力回数Tyから1を減じた
値)に達しているか否かを判定する。この判定は、ステ
ップ104で適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数
i を駆動信号yi として出力した後に適応ディジタル
フィルタWのフィルタ係数全てを更新したか否かを判断
するためのものである。そこで、このステップ110の
判定が「NO」の場合には、ステップ111でカウンタ
jをインクリメントした後に、ステップ108に戻って
上述した処理を繰り返し実行する。
【0103】しかし、ステップ110の判定が「YE
S」の場合には、適応ディジタルフィルタWの全てのフ
ィルタ係数に対する更新演算が完了したと判断できるか
ら、ステップ112に移行してカウンタiをインクリメ
ントし且つ前回ステップ104の処理を実行してからサ
ンプリング・クロックの周期TSCが経過するまで待機し
た後に、ステップ104に戻って上述した処理を繰り返
し実行する。従って、駆動信号yを出力するステップ1
04以降の演算処理は、サンプリング・クロックの周期
SC毎に実行されることになる。
【0104】一方、ステップ109で基準信号xが入力
されたと判断された場合には、ステップ113に移行
し、ステップ105でクリア・スタートしたタイマの値
(端数時間)を読み込み、その端数時間をサンプリング
・クロックの周期TSCで除算した結果を、端数EDにセ
ットする。
【0105】次いで、ステップ114に移行し、カウン
タi(正確には、カウンタiが0からスタートするた
め、カウンタiに1を加えた値)を最新の出力回数Ty
として保存する。
【0106】そして、ステップ115に移行し、端数E
Dに応じて、端数用伝達関数フィルタ候補のうちから一
つの端数用伝達関数フィルタC^' を選択する。その
後、ステップ102に戻って上述した処理を繰り返し実
行する。
【0107】このような処理を繰り返し実行する結果、
コントローラ20から能動型エンジンマウント1に対し
ては、基準信号xが入力された時点から、サンプリング
・クロックに同期して、適応ディジタルフィルタWのフ
ィルタ係数Wi が順番に駆動信号yi として供給される
が、適応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数W
iは、同期式Filtered−X LMSアルゴリズ
ムに従った上記(3)によって逐次更新されるため、あ
る程度の時間が経過して適応ディジタルフィルタWの各
フィルタ係数Wi が最適値に収束した後は、駆動信号y
i が能動型エンジンマウント1に供給されることによっ
て、エンジン30から能動型エンジンマウント1を介し
てメンバ35側に伝達されるアイドル振動やこもり音振
動が低減されるようになる。なお、能動型エンジンマウ
ント1から発せられる制御振動は、電磁アクチュエータ
10から発せられる電磁力によって磁路部材12が上下
に変位し、その変位によって主流体室15の容積が変化
し、その容積変化によって支持弾性体6の拡張ばねが変
形することにより得られるものである。
【0108】しかも、本実施の形態にあっては、ステッ
プ113の処理を実行した後に再びステップ102の処
理が実行される際には、ステップ115において端数E
Dに対応した端数用伝達関数フィルタC^' が選択され
ているから、基本数列RT の他に、端数用基本数列
T ' も演算されることになる。
【0109】その結果、ステップ108においては、適
応ディジタルフィルタWの各フィルタ係数W0 〜W
(Ty-1)のうち、最終タップ以外のフィルタ係数W0 〜W
(Ty-2)の更新の際には、上記(4)式又は(5)式に従
って、基本数列RT から更新用基準信号R2j が選択さ
れ、最終タップのフィルタ係数W(Ty-1)の更新の際に
は、上記(6)式又は(7)式に従って、端数用基本数
列RT ' から更新用基準信号R2j が選択される。
【0110】そして、端数用基本数列RT ' は、端数用
伝達関数フィルタC^' に基づいて生成された数列であ
り、その端数用伝達関数フィルタC^' としては、予め
記憶している複数の候補のうちから端数EDに応じた伝
達関数フィルタC^として最も好適と思われるディジタ
ルフィルタが選択されている。このため、上記(6)式
又は(7)式に従って最終タップのフィルタ係数W
(Ty-1)の更新のために更新用基準信号R2j を選択する
ことは、そのフィルタ係数W(Ty-1)の更新に用いる更新
用基準信号R2j をも基本数列RT から選択するように
なっている従来の比べて、適応ディジタルフィルタWの
精度を向上させて良好な振動低減制御を実行する上で極
めて有益なのである。
【0111】また、本実施の形態にあっては、ステップ
113の処理を実行した後に再びステップ102の処理
が実行される際には、端数EDを考慮して基本数列RT
及び端数用基本数列RT ' の各数値R1j 、R1' j
演算されることになる。
【0112】具体的には、基準信号xの周期をサンプリ
ング・クロックの周期TSCで除算した値(実際タップ長
Lf)の整数部分は、出力回数Tyから1を減じた値に
等しく、その少数部分は端数EDに等しいから、逆に、
出力回数Tyから1を減じた値に端数EDを加算すれ
ば、実際タップ長Lfが求められるのである。
【0113】例えば、出力回数Ty=4、端数ED=
0.28であれば、実際タップ長Lf=3.28とな
る。従って、厳密に基本数列RT 及び端数用基本数列R
T ' の各数値R1j 及びR1' j を演算するのであれ
ば、例えば基本数列RT の数値R11 は、 R11 =C^1 +C^4.28+C^7.56+C^10.84 +… となり、ディジタル領域ではこのような演算は不可能で
あるが、本実施の形態では、上記(8)式が用いられる
結果、数値R11 は、 R11 =C^1 +C^4 +C^8 +C^11+… として求められる。
【0114】ちなみに、従来の装置にあっては、端数E
Dを特に考慮することなく、単純に出力回数Tyをタッ
プ長として考えていたため、数値R11 は、 R11 =C^1 +C^5 +C^8 +C^13+… となってしまう。
【0115】つまり、本実施の形態のように、端数ED
を考慮して基本数列RT 及び端数用基本数列RT ' の各
数値R1j 及びR1' j を演算するようにすると、全く
考慮しない場合に比べて、基本数列RT 及び端数用基本
数列RT ' の各数値R1j 及びR1' j に含まれる誤差
を小さくすることができ、数値R1j 及びR1' j の演
算精度が向上するのである。特に、振動の周波数が高く
なると、振動の周波数が低い場合に比べて、基本数列R
T 及び端数用基本数列RT を演算するために多くの伝達
関数フィルタC^のフィルタ係数を足し合わさなけれな
らなくなるから、本実施の形態のように加算時の誤差を
小さくすることによる効果はより顕著となる。
【0116】さらに、本実施の形態では、基本数列RT
や端数用基本数列RT ' の各数値R1j やR1' j から
更新用基準信号R2j を選択する際にも端数EDを考慮
しているため、適応ディジタルフィルタWの更新処理の
精度が従来に比べて高く、良好な振動低減制御を実行す
ることができる。
【0117】例えば、図5(a)に示すように、フィル
タ係数W4 を駆動信号yとして出力した直後(ED=
0.25)に次の基準信号xが入力されたような場合を
考えると、この例では、出力回数Ty=5であるが、端
数ED=0.25であるため、実際タップ長Lf=4.
25、整数タップ長L1=4、となる。
【0118】すると、駆動信号yi の出力回数をカウン
トするカウンタi=0,1,2,3,4のそれぞれにつ
いて、フィルタ係数Wj の更新演算を示すと、下記のよ
うになる。 〔i=0〕 j=0; R20 =R10 → W0 (n+1)=W0 (n)−αR10 e j=1; R21 =R13 → W1 (n+1)=W1 (n)−αR13 e j=2; R22 =R12 → W2 (n+1)=W2 (n)−αR12 e j=3; R23 =R11 → W3 (n+1)=W3 (n)−αR11 e j=4; R24 =R1'1→ W4 (n+1)=W4 (n)−αR1'1e 〔i=1〕 j=0; R20 =R11 → W0 (n+1)=W0 (n)−αR11 e j=1; R21 =R10 → W1 (n+1)=W1 (n)−αR10 e j=2; R22 =R13 → W2 (n+1)=W2 (n)−αR13 e j=3; R23 =R12 → W3 (n+1)=W3 (n)−αR12 e j=4; R24 =R1'2→ W4 (n+1)=W4 (n)−αR1'2e 〔i=2〕 j=0; R20 =R12 → W0 (n+1)=W0 (n)−αR12 e j=1; R21 =R11 → W1 (n+1)=W1 (n)−αR11 e j=2; R22 =R10 → W2 (n+1)=W2 (n)−αR10 e j=3; R23 =R13 → W3 (n+1)=W3 (n)−αR13 e j=4; R24 =R1'3→ W4 (n+1)=W4 (n)−αR1'3e 〔i=3〕 j=0; R20 =R13 → W0 (n+1)=W0 (n)−αR13 e j=1; R21 =R12 → W1 (n+1)=W1 (n)−αR12 e j=2; R22 =R11 → W2 (n+1)=W2 (n)−αR11 e j=3; R23 =R10 → W3 (n+1)=W3 (n)−αR10 e j=4; R24 =R1'4→ W4 (n+1)=W4 (n)−αR1'4e 〔i=4〕 j=0; R20 =R10 → W0 (n+1)=W0 (n)−αR10 e j=1; R21 =R13 → W1 (n+1)=W1 (n)−αR13 e j=2; R22 =R12 → W2 (n+1)=W2 (n)−αR12 e j=3; R23 =R11 → W3 (n+1)=W3 (n)−αR11 e j=4; R24 =R1'0→ W4 (n+1)=W4 (n)−αR1'0e つまり、図5(a)に示すように端数EDが0.5未満
の場合には、基本数列RT の最後の数値R1(Ty-1)を、
更新用基準信号R2j としては使用しないのである。そ
の結果、j=0〜3の間で更新用基準信号R2j として
の数値R10 〜R13 が順次シフトするとともに、j=
4の更新用基準信号R2j としては数値R1'0〜R1'4
が順番に選択される。
【0119】これに対し、図5(b)に示すように、フ
ィルタ係数W4 を駆動信号yとして出力してからある程
度時間が経過してから(ED=0.75)次の基準信号
xが入力されたような場合を考えると、この例では、出
力回数Ty=5であるが、端数ED=0.75であるた
め、実際タップ長Lf=4.75、整数タップ長L1=
5、となる。
【0120】すると、駆動信号yi の出力回数をカウン
トするカウンタi=0,1,2,3,4のそれぞれにつ
いて、フィルタ係数Wj の更新演算を示すと、下記のよ
うになる。 〔i=0〕 j=0; R20 =R10 → W0 (n+1)=W0 (n)−αR10 e j=1; R21 =R14 → W1 (n+1)=W1 (n)−αR14 e j=2; R22 =R13 → W2 (n+1)=W2 (n)−αR13 e j=3; R23 =R12 → W3 (n+1)=W3 (n)−αR12 e j=4; R24 =R1'1→ W4 (n+1)=W4 (n)−αR1'1e 〔i=1〕 j=0; R20 =R11 → W0 (n+1)=W0 (n)−αR11 e j=1; R21 =R10 → W1 (n+1)=W1 (n)−αR10 e j=2; R22 =R14 → W2 (n+1)=W2 (n)−αR14 e j=3; R23 =R13 → W3 (n+1)=W3 (n)−αR13 e j=4; R24 =R1'2→ W4 (n+1)=W4 (n)−αR1'2e 〔i=2〕 j=0; R20 =R12 → W0 (n+1)=W0 (n)−αR12 e j=1; R21 =R11 → W1 (n+1)=W1 (n)−αR11 e j=2; R22 =R10 → W2 (n+1)=W2 (n)−αR10 e j=3; R23 =R14 → W3 (n+1)=W3 (n)−αR14 e j=4; R24 =R1'3→ W4 (n+1)=W4 (n)−αR1'3e 〔i=3〕 j=0; R20 =R13 → W0 (n+1)=W0 (n)−αR13 e j=1; R21 =R12 → W1 (n+1)=W1 (n)−αR12 e j=2; R22 =R11 → W2 (n+1)=W2 (n)−αR11 e j=3; R23 =R10 → W3 (n+1)=W3 (n)−αR10 e j=4; R24 =R1'4→ W4 (n+1)=W4 (n)−αR1'4e 〔i=4〕 j=0; R20 =R14 → W0 (n+1)=W0 (n)−αR14 e j=1; R21 =R13 → W1 (n+1)=W1 (n)−αR13 e j=2; R22 =R12 → W2 (n+1)=W2 (n)−αR12 e j=3; R23 =R11 → W3 (n+1)=W3 (n)−αR11 e j=4; R24 =R1'0→ W4 (n+1)=W4 (n)−αR1'0e つまり、図5(b)に示すように端数EDが0.5以上
の場合には、基本数列RT の最後の数値R1(Ty-1)も、
更新用基準信号R2j として使用されるのである。その
結果、更新用基準信号R2j として選択される各数値R
j 、R1' jの添え字は連続しており(添え字だけに
着目すれば、数値R1j 、R1' j が次々とシフトして
いるのが判る。)、ただ単に、j=4についてのみ端数
用基本数列RT ' から更新用基準信号R2j が選択され
るだけである。
【0121】以上をまとめると、本実施の形態では、端
数EDに応じた端数用伝達関数フィルタC^' に従って
端数用基本数列RT ' を別途生成しているが、これは端
数EDに対応するフィルタ係数W(Ty-1)の更新には基本
数列RT から更新用基準信号R2j を選択することを避
けるための工夫である。また、基本数列RT の各数値R
j を演算する際に端数EDを考慮してフィルタ係数C
j を選択するようにしているが、これは、伝達関数フ
ィルタC^の時間軸上の位置関係に基づく誤差をなくす
るための工夫である。そして、基本数列RT の各数値R
j から更新用基準信号R2j を選択する際にも端数E
Dを考慮しているが、これは、周期演算における演算処
理の切れ目がスムーズになるようにするための工夫であ
る。
【0122】そして、更新用基準信号R2j を得るため
にこのような三つの工夫を施した結果、その更新用基準
信号R2j の精度が従来に比べて大幅に向上するから、
良好な振動低減効果が発揮されるのである。
【0123】ここで、本実施の形態にあっては、エンジ
ン30が振動源に対応し、能動型エンジンマウント1が
制御振動源に対応し、加重センサ22が残留振動検出手
段に対応し、パルス信号生成器26が基準信号生成手段
に対応し、図3の処理において固定サンプリング・クロ
ックに同期してステップ104でフィルタ係数Wi を駆
動信号yi として出力する処理が駆動信号生成手段に対
応し、ステップ115において端数EDに応じて端数用
伝達関数フィルタC^' を選択する処理が端数用伝達関
数フィルタ生成手段に対応し、ステップ102において
上記(8)式に従って基本数列RT を生成する処理,上
記(9)式に従って端数用基本数列RT' を生成する処
理及びステップ108において上記(4)〜(7)式に
従って更新用基準信号R2j を選択する処理が更新用基
準信号生成手段に対応し、ステップ108において上記
(3)式に従ってフィルタ係数Wj を更新する処理が適
応処理手段に対応し、113において端数時間を周期T
SCで除算する処理が端数演算手段に対応し、ステップ1
02において上記(8)式に従って基本数列RT を生成
する処理が基本数列生成手段に対応し、ステップ102
において上記(9)式に従って端数用基本数列RT ' を
生成する処理が端数用基本数列生成手段に対応し、ステ
ップ108において上記(4)〜(7)式に従って更新
用基準信号R2j を選択する処理が更新用基準信号選択
手段に対応し、ステップ103及び112の処理が駆動
信号カウント手段に対応し、ステップ105の処理及び
ステップ109の判定が「YES」となったときにタイ
マを停止する処理によって端数時間計測手段が構成され
る。
【0124】図6は本発明の第2の実施の形態を説明す
るための図である。なお、全体的な構成は上記第1の実
施の形態と同様であるため、その図示及び説明は省略す
る。また、処理の内容も特徴部分を除いて上記第1の実
施の形態と同様であるため、その図示及び重複する説明
は省略する。
【0125】即ち、本実施の形態は、端数用伝達関数フ
ィルタC^' の生成方法が上記第1の実施の形態におけ
る生成方法とは異なっている。具体的には、コントロー
ラ25内には、上記第1の実施の形態のように端数用伝
達関数フィルタ候補を複数種類記憶するのではなく、実
質的にデルタ関数と見なすことができる単位パルス波に
対応する伝達関数フィルタが、伝達関数フィルタ単位波
形C^* として記憶されている。つまり、伝達関数フィ
ルタ単位波形C^* は、単位パルス波を入力した場合の
伝達関数フィルタC^に相当するものであって、単位パ
ルス波を駆動信号yとして電磁アクチュエータ10に供
給し、その駆動信号yに応じて発生した制御振動を加重
センサ22で測定した場合の応答波形(つまり、残留振
動信号eの波形)を、周期TSCに比べて十分に短い時間
(例えば、TSC/10程度)でサンプリングすることに
より生成される。
【0126】そして、本実施の形態では、図3のステッ
プ115においては、端数用伝達関数フィルタC^' を
選択するのではなく、端数EDに相当する時間に渡って
伝達関数フィルタ単位波形C^* を、この伝達関数フィ
ルタ単位波形C^* のサンプリング周期で次々と出力し
た場合の各波形を積分し、その積分結果を端数用伝達関
数フィルタC^' として用いるようになっている。図6
には、伝達関数フィルタ単位波形C^* を、この伝達関
数フィルタ単位波形C^* のサンプリング周期離して二
つ出力した様子を示している。
【0127】このような構成であっても、端数EDに応
じた端数用伝達関数フィルタC^'が生成され、その端
数用伝達関数フィルタC^' に従って端数用基本数列R
T 'が生成されるし、その他の処理も上記第1の実施の
形態と同様に実行されるから、上記第1の実施の形態と
同様の作用効果が得られる。
【0128】そして、本実施の形態にあっては、複数の
端数用伝達関数フィルタ候補を記憶しておく必要がない
から、伝達関数フィルタ単位波形C^* のサンプリング
周期にもよるが、多数の端数用伝達関数フィルタ候補を
記憶するのに比べて、必要な記憶容量が少なくて済むよ
うになる。
【0129】次に、本発明の第3の実施の形態を説明す
る。なお、全体的な構成は上記第1の実施の形態と同様
であるため、その図示及び説明は省略する。また、処理
の内容も特徴部分を除いて上記第1の実施の形態と同様
であるため、その図示及び重複する説明は省略する。本
実施の形態も、端数用伝達関数フィルタC^' の生成方
法が、上記第1,2の実施の形態における生成方法とは
異なっている。
【0130】即ち、コントローラ25内には、伝達関数
フィルタC^そのものは記憶されているが、端数用伝達
関数フィルタ候補や伝達関数フィルタ単位波形C^*
記憶されていない。そして、図3のステップ115にお
いては、端数EDに応じて伝達関数フィルタC^を補正
して端数用伝達関数フィルタC^' を生成するようにな
っている。具体的には、端数EDが1/2を越える場合
には、伝達関数フィルタC^そのものを端数用伝達関数
フィルタC^' とする。この場合には、ステップ102
では基本数列RT のみを演算し、端数用基本数列RT '
は基本数列RTを代入すれば済む。
【0131】これに対し、端数EDが1/2未満の場合
には、下記の(1)式及び(2)式に従って、端数用伝
達関数フィルタC^' の各フィルタ係数C^' j が演算
される。
【0132】 C^' 0 =C^' 1 =0 ……(1) C^' j =(C^(j-1) +C^j )/2 (j≧2) ……(2) つまり、端数EDが1/2以上の場合には伝達関数フィ
ルタC^を補正せずに端数用伝達関数フィルタC^' を
求める一方で、端数EDが1/2未満の場合には伝達関
数フィルタC^を補正することにより、端数用伝達関数
フィルタC^'を求めるようになっているのである。
【0133】そして、伝達関数フィルタC^を補正する
場合には、上記(2)式からも判るように、本来の伝達
関数フィルタC^を幅が半分(TSC/2)の信号で測定
した場合の応答波形に相当するものが、端数用伝達関数
フィルタC^' として求められる。
【0134】このような構成であっても、上記第1の実
施の形態や第2の実施の形態程ではないが、端数EDに
応じた端数用伝達関数フィルタC^' が生成されるか
ら、従来の装置に比べて更新用基準信号R2j の精度が
向上し、それだけ良好な振動低減制御が実行できるよう
になる。
【0135】なお、上記各実施の形態では、過去の端数
EDを特に保存することなく、最新の端数EDのみを考
慮して基本数列RT 及び端数用基本数列RT ' を生成す
ることとしているが、これは極短時間では端数ED(つ
まり、振動の周期)が変化しないと考えて差し支えない
からである。従って、振動の周期が極短時間で変化する
制御対象の場合等には、過去の端数EDを保存し、それ
らを累積してフィルタ係数C^j を選択するようにすれ
ばよい。
【0136】また、上記第3の実施の形態においては、
端数時間を周期TSCで除算することにより端数EDを演
算するのではなく、端数時間と周期TSCの1/2とを比
較する比較演算(比較手段)により、実質的に端数演算
手段を構成することが望ましい。つまり、上記第3の実
施の形態の端数演算手段に要求される最低限の機能は、
端数用伝達関数フィルタC^' として、伝達関数フィル
タC^をそのまま用いるか或いは補正して用いるかとい
う判断と、実際タップ長Lfから整数タップ長L1を求
める際に、実際タップ長Lfの小数点以下を切り上げる
べきか切り捨てるべきかという判断と、を行うために必
要な情報が得られればよいのであり、その必要な情報と
は、正に端数時間が周期TSCの1/2以上であるか未満
であるか、という判定結果だからである。従って、端数
時間が周期TSCの1/2以上である場合には、端数用伝
達関数フィルタC^' として伝達関数フィルタC^をそ
のまま用いるとともに、出力回数Tyを整数タップ長L
1とし、端数時間が周期T SCの1/2未満である場合に
は、伝達関数フィルタC^を補正して端数用伝達関数フ
ィルタC^' を生成するとともに、出力回数Tyから1
を減算した値を整数タップ長L1とすればよいのであ
る。これにより、コントローラ25の演算負荷を軽減す
ることができる。
【0137】さらに、上記各実施の形態では、駆動信号
i が出力される度にクリア・スタートするタイマを用
いて端数時間を計測し、その端数時間と周期TSCとに基
づいて端数EDを求めるようにしているが、これに限定
されるものではなく、例えば、基準信号xの周期Tx
計測するタイマ機能(周期検出手段)を設け、その周期
x を周期TSCで除算する処理(実際タップ長演算手
段)により実際タップ長Lfを直接求め、その実際タッ
プ長Lfの小数点第1位で四捨五入する処理(整数タッ
プ長演算手段)により整数タップ長を求めるようにして
もよい。また、場合によっては、出力回数Tyもカウン
トにより求めるのではなく、上記のように求められた実
際タップ長Lfの小数点以下を切り上げる処理(出力回
数演算手段)により出力回数Tyを求めるようにしても
よい。
【0138】また、上記各実施の形態では、本発明に係
る能動型騒音振動制御装置を、エンジン30から車体3
5に伝達される振動を低減する車両用の能動型振動制御
装置に適用した場合について説明したが、本発明の適用
対象はこれに限定されるものではなく、例えば騒音源と
してのエンジン30から車室内に伝達される騒音を低減
する能動型騒音制御装置であってもよい。かかる能動型
騒音制御装置とする場合には、車室内に制御音を発生す
るための制御音源としてのラウドスピーカと、車室内の
残留騒音を検出する残留騒音検出手段としてのマイクロ
フォンとを設け、上記実施の形態と同様の演算処理によ
って得られる駆動信号yi に応じてラウドスピーカを駆
動させるとともに、マイクロフォンの出力を残留騒音信
号eとして適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数W
j の更新処理に用いればよい。
【0139】そして、本発明の適用対象は車両に限定さ
れるものではなく、エンジン30以外で発生する周期的
な振動や騒音を低減するための能動型振動制御装置,能
動型騒音制御装置であっても本発明は適用可能である。
例えば、工作機械からフロアや室内に伝達される振動や
騒音を低減する装置等であっても、本発明は適用可能で
ある。
【0140】
【実施例】図7乃至図9は、上記実施の形態で示した車
両用の能動型振動制御装置を用いて本発明者が行った実
験結果を示す波形図であって、横軸には時間を、縦軸に
は残留振動信号eのレベルをとっている。
【0141】図7は、端数用伝達関数フィルタC^' を
用いることなく、従って端数用基本数列RT ' を生成す
ることなく、更新用基準信号R2j は全て基本数列RT
から選択することにより振動低減制御を実行した場合の
結果を示している。なお、この場合には、基本数列RT
を生成する際には端数EDを考慮したが、その基本数列
T から更新用基準信号R2j を選択する際には端数E
Dを考慮することなく、出力回数Tyをそのまま整数タ
ップ長L1としている。
【0142】図8も、図7と同様に更新用基準信号R2
j は全て基本数列RT から選択することにより振動低減
制御を実行した場合の結果を示しているが、この場合に
は、基本数列RT を生成する際及びその基本数列RT
ら更新用基準信号R2j を選択する際のいずれにおいて
も端数EDを考慮している。
【0143】これに対し、図9は、上記第2の実施の形
態と同様に、端数用伝達関数フィルタC^' を用いて端
数用基本数列RT ' を生成し、更新用基準信号R2j
基本数列RT 又は端数用基本数列RT ' から選択するこ
とにより振動低減制御を実行した場合の結果を示してい
る。そして、この場合には、基本数列RT を生成する際
及びその基本数列RT から更新用基準信号R2j を選択
する際のいずれにおいても端数EDを考慮している。
【0144】図7及び図8の比較から、基本数列RT
ら更新用基準信号R2j を選択する際に端数EDを考慮
すること(より望ましくは、基本数列RT を生成する際
及びその基本数列RT から更新用基準信号R2j を選択
する際のいずれにおいても端数EDを考慮すること)
が、良好な振動低減効果を得るためには極めて有効であ
ることが判る。
【0145】また、図8及び図9の比較から、更新用基
準信号R2j を、基本数列RT 又は端数用基本数列
T ' から選択することが、良好な振動低減効果を得る
ためには極めて有効であることが判る。
【0146】さらに、図9から、更新用基準信号R2j
を、基本数列RT 又は端数用基本数列RT ' から選択す
るとともに、基本数列RT を生成する際及びその基本数
列R T から更新用基準信号R2j を選択する際のいずれ
においても端数EDを考慮することが、良好な振動低減
効果を得るためには極めて有効であることが判る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における車両の概略側面
図である。
【図2】能動型エンジンマウントの一例を示す断面図で
ある。
【図3】振動低減処理の概要を示すフローチャートであ
る。
【図4】伝達関数フィルタ及び端数用伝達関数フィルタ
の一例を示す波形図である。
【図5】実施の形態の動作を説明する波形図である。
【図6】第2の実施の形態の要点を説明するための波形
図である。
【図7】発明者が行った実験の結果を示す波形図であ
る。
【図8】発明者が行った実験の結果を示す波形図であ
る。
【図9】発明者が行った実験の結果を示す波形図であ
る。
【符号の説明】
1 能動型エンジンマウント(制御振動源) 22 加重センサ(残留振動検出手段) 25 コントローラ 26 パルス信号生成器(基準信号生成手段) 30 エンジン(振動源) 35 車体

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音源又は振動源から発せられる周期的
    な騒音又は周期的な振動と干渉する制御音又は制御振動
    を発生可能な制御音源又は制御振動源と、前記干渉した
    後の残留騒音又は残留振動を検出し残留騒音信号又は残
    留振動信号として出力する残留騒音検出手段又は残留振
    動検出手段と、前記騒音又は振動の発生状態を検出し基
    準信号として出力する基準信号生成手段と、フィルタ係
    数可変の適応ディジタルフィルタと、前記基準信号を前
    記適応ディジタルフィルタでフィルタ処理することによ
    り前記制御音源又は制御振動源を駆動する駆動信号を生
    成し出力する駆動信号生成手段と、前記制御音源又は制
    御振動源と前記残留騒音検出手段又は残留振動検出手段
    との間の伝達関数をモデル化した伝達関数フィルタと、
    前記基準信号及び前記伝達関数フィルタに基づいて更新
    用基準信号を生成する更新用基準信号生成手段と、前記
    残留騒音信号又は残留振動信号及び前記更新用基準信号
    に基づき逐次更新型の適応アルゴリズムに従って前記適
    応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処
    理手段と、を備え、固定サンプリング・クロックに同期
    して各演算処理を実行するようになっている能動型騒音
    振動制御装置において、 前記伝達関数フィルタは、前記固定サンプリング・クロ
    ックの周期と同じ幅の基準方形波を入力とした場合の応
    答波形に基づいて各フィルタ係数を生成したディジタル
    フィルタであり、 前記周期的な騒音又は周期的な振動の周期を前記固定サ
    ンプリング・クロックの周期で割った場合の端数を求め
    る端数演算手段と、前記基準方形波に代えて前記端数と
    同じ幅の端数方形波を入力とした場合の前記伝達関数フ
    ィルタに相当する端数用伝達関数フィルタとして求める
    端数用伝達関数フィルタ生成手段と、を設けるととも
    に、 前記更新用基準信号生成手段は、前記基準信号と前記伝
    達関数フィルタの各フィルタ係数とを畳み込んで基本数
    列を生成する基本数列生成手段と、前記基準信号と前記
    端数用伝達関数フィルタの各フィルタ係数とを畳み込ん
    で端数用基本数列を生成する端数用基本数列生成手段
    と、前記基本数列又は前記端数用基本数列から前記適応
    ディジタルフィルタのフィルタ係数の更新に用いる前記
    更新用基準信号を選択する更新用基準信号選択手段と、
    を含んで構成され、 前記更新用基準信号選択手段は、前記適応ディジタルフ
    ィルタの各フィルタ係数のうち、最終タップ以外のフィ
    ルタ係数の更新には前記基本数列から前記更新用基準信
    号を選択し、最終タップのフィルタ係数の更新には前記
    端数用基本数列から前記更新用基準信号を選択するよう
    になっていることを特徴とする能動型騒音振動制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記基準方形波に代えて前記固定サンプ
    リング・クロックの周期以下の幅である方形波を入力と
    した場合の前記伝達関数フィルタに相当する端数用伝達
    関数フィルタ候補を、複数種類予め記憶しておき、 前記端数用伝達関数フィルタ生成手段は、前記端数に応
    じて、前記端数用伝達関数フィルタ候補から前記端数用
    伝達関数フィルタを選択するようになっている請求項1
    記載の能動型騒音振動制御装置。
  3. 【請求項3】 前記基準方形波に代えて実質的にデルタ
    関数と見なすことができる単位パルス波を入力とした場
    合の前記伝達関数フィルタに相当する伝達関数フィルタ
    単位波形を、予め記憶しておき、 前記端数用伝達関数フィルタ生成手段は、前記端数に相
    当する時間に渡って所定間隔で前記伝達関数フィルタ単
    位波形を次々と出力したように並べた各波形を重畳する
    ことにより、前記端数用伝達関数フィルタを求めるよう
    になっている請求項1記載の能動型騒音振動制御装置。
  4. 【請求項4】 前記端数用伝達関数フィルタ生成手段
    は、前記端数が前記固定サンプリング・クロックの周期
    の1/2を越える場合には、前記端数用伝達関数フィル
    タとして前記伝達関数フィルタを用いる一方で、前記端
    数が前記固定サンプリング・クロックの周期の1/2以
    下の場合には、前記伝達関数フィルタを補正して前記端
    数用伝達関数フィルタを求めるようになっている請求項
    1記載の能動型騒音振動制御装置。
  5. 【請求項5】 前記端数用伝達関数フィルタ生成手段
    は、前記端数が前記固定サンプリング・クロックの周期
    の1/2以下の場合には、前記伝達関数フィルタC^の
    各フィルタ係数C^j (j=0,1,2,…,J−1;
    Jは伝達関数フィルタC^のタップ数)に基づき、下記
    の(1)式又は(2)式に従って、端数用伝達関数フィ
    ルタC^' の各フィルタ係数C^' j を求めるようにな
    っている請求項4記載の能動型騒音振動制御装置。 C^' 0 =C^' 1 =0 ……(1) C^' j =(C^(j-1) +C^j )/2 (j≧2) ……(2)
  6. 【請求項6】 前記更新用基準信号選択手段は、前記端
    数を考慮しつつ前記更新用基準信号を選択するようにな
    っている請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の能動
    型騒音振動制御装置。
  7. 【請求項7】 前記基本数列生成手段は、前記端数に応
    じて前記畳み込み演算に用いられる前記伝達関数フィル
    タのフィルタ係数を選択し、前記端数用基本数列生成手
    段は、前記端数に応じて前記畳み込み演算に用いられる
    前記端数用伝達関数フィルタのフィルタ係数を選択する
    ようになっている請求項1乃至請求項6のいずれかに記
    載の能動型騒音振動制御装置。
  8. 【請求項8】 前記基準信号は、前記周期的な騒音又は
    周期的な振動の基本周期に同期したインパルス信号であ
    り、前記駆動信号生成手段は、前記基準信号としての最
    新のインパルス信号の生成時点から前記固定サンプリン
    グ・クロックに同期して前記適応ディジタルフィルタの
    フィルタ係数を順番に前記駆動信号として出力するよう
    になっており、 前記基準信号としての最新のインパルス信号の生成時点
    から次のインパルス信号の生成時点までの間の前記駆動
    信号の出力回数Tyをカウントする駆動信号カウント手
    段と、この駆動信号カウント手段が最後にカウントした
    前記駆動信号の出力時点から次のインパルス信号の生成
    時点までの間の端数時間を計測する端数時間計測手段
    と、を設け、 前記端数演算手段は、前記端数時間計測手段が計測した
    前記端数時間及び前記固定サンプリング・クロックの周
    期に基づいて前記端数を演算するようになっており、 前記駆動信号カウント手段がカウントした前記出力回数
    Tyから1だけ減算した値と前記端数演算手段が演算し
    た端数とを加算した結果を実際タップ長Lf、前記実際
    タップ長Lfを小数点第1位で四捨五入した結果を整数
    タップ長L1、前記基本数列RT を〔R10 ,R11
    R12 ,…,R1(Ty-1)〕、前記端数用基本数列RT '
    を〔R1'0,R1'1,R1'2,…,R1' (Ty-1)〕、前
    記最新のインパルス信号の生成時点から前記固定サンプ
    リング・クロックに同期してi(=0,1,2,…,T
    y−1)番目に出力する前記駆動信号をyi 、前記適応
    ディジタルフィルタWのj(=0,1,2,…,Ty−
    1)番目のフィルタ係数をWj 、前記残留騒音信号又は
    残留振動信号をe、収束係数をαとそれぞれした場合、 前記適応処理手段は、前記駆動信号yi を出力する度に
    Ty個の前記フィルタ係数Wj を下記(3)式に基づい
    て更新するようになっており、前記更新用基準信号選択
    手段は、前記j番目の前記フィルタ係数Wj の更新に用
    いる前記更新用基準信号R2j を下記(4)式、(5)
    式、(6)式又は(7)式に従って選択するようになっ
    ている請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の能動型
    騒音振動制御装置。 Wj (n+1)=Wj (n)−αR2j e ……(3) R2j =R1(i+j) (j≠Ty−1,0≦j≦i) ……(4) R2j =R1(L1+i-j) (j≠Ty−1,j>i) ……(5) R2j =R1' (i+1) (j=Ty−1,j<i) ……(6) R2j =R1'0 (j=Ty−1,j=i) ……(7)
  9. 【請求項9】 前記端数演算手段は、前記端数時間計測
    手段が計測した前記端数時間を前記固定サンプリング・
    クロックの周期で除算することにより前記端数を演算す
    るようになっている請求項8記載の能動型騒音振動制御
    装置。
  10. 【請求項10】 前記端数演算手段は、前記端数時間計
    測手段が計測した前記端数時間が、前記固定サンプリン
    グ・クロックの周期の1/2以上か未満かを判定する比
    較手段を含んでいる請求項8記載の能動型騒音振動制御
    装置。
  11. 【請求項11】 前記周期的な騒音又は周期的な振動の
    周期Tx を検出する周期検出手段と、前記周期Tx を前
    記固定サンプリング・クロックの周期TSCで除算した結
    果である実際タップ長Lfを求める実際タップ長演算手
    段と、前記実際タップ長Lfを小数点第1位で四捨五入
    した結果である整数タップ長L1を演算する整数タップ
    長演算手段と、前記実際タップ長Lfの小数点以下を切
    り上げた値である出力回数Tyを求める出力回数演算手
    段と、を設けるとともに、 前記基本数列RT を〔R10 ,R11 ,R12 ,…,R
    (Ty-1)〕、前記騒音又は振動の一周期内に前記固定サ
    ンプリング・クロックに同期してi(=0,1,2,
    …,Ty−1)番目に出力する前記駆動信号をyi 、前
    記適応ディジタルフィルタWのj(=0,1,2,…,
    Ty−1)番目のフィルタ係数をWj 、前記残留騒音信
    号又は残留振動信号をe、収束係数をαとそれぞれした
    場合、 前記適応処理手段は、前記駆動信号を出力する度にTy
    個の前記フィルタ係数Wj を上記請求項8記載の(3)
    式に基づいて更新するようになっており、前記更新用基
    準信号選択手段は、前記j番目の前記フィルタ係数Wj
    の更新に用いる前記更新用基準信号R2j を上記請求項
    8記載の(4)式、(5)式、(6)式又は(7)式に
    従って選択するようになっている請求項1乃至請求項5
    のいずれかに記載の能動型騒音振動制御装置。
  12. 【請求項12】 前記伝達関数フィルタC^の各フィル
    タ係数をC^j (j=0,1,2,…,J−1;Jは伝
    達関数フィルタC^のタップ数)、前記端数用伝達関数
    フィルタC^' の各フィルタ係数C^' j (j=0,
    1,2,…,J−1)とした場合、前記基本数列生成手
    段は、下記の(8)式に従って前記基本数列RT の各値
    R1j (j=0,1,2,…,Ty−1)を演算し、前
    記端数用基本数列生成手段は、下記の(9)式に従って
    前記端数用基本数列RT ' の各値R1' j (j=0,
    1,2,…,Ty−1)を演算するようになっている請
    求項8乃至請求項11のいずれかに記載の能動型騒音振
    動制御装置。 R1j =C^j +C^(j+round(Lf)) +C^(j+round(2Lf)) +C^(j+round(3Lf))+C^(j+round(4Lf))+・・・ ……(8) R1' j =C^' j +C^' (j+round(Lf)) +C^' (j+round(2Lf)) +C^' (j+round(3Lf))+C^' (j+round(4Lf))+・・・ ……(9) ただし、round(A)は、数値Aを小数点以下第1
    位で四捨五入した値である。
  13. 【請求項13】 車両に適用され、前記騒音源又は振動
    源はエンジンであり、前記基準信号生成手段は、前記基
    準信号として、前記エンジンでの燃焼タイミングに同期
    したインパルス信号を生成するようになっている請求項
    1乃至請求項12のいずれかに記載の能動型騒音振動制
    御装置。
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